>478 遠野志貴vsチェルシー・ローレック
気が付くとジャングルジムは跡形も無く私の目の前から消えていた。
どうやら目の前の少女がこれをやったらしい。
綺麗な黒髪だった彼女の髪はいまでは朱色に染まっている。
・・・地上にはまともな人間はいないんだろうか?
本気でそんなことを考えてしまった。
二人の話を聞き耳を立てて聞いていると、どうやら二人は兄妹らしい。
そして、こんな夜に出歩いている兄を家に連れて帰る。そう言っているのだ。
(こんな兄を持っていてもやっぱり兄弟なんだな・・・)
そして、私は起き上がり、妹と思わしき少女の元へと駆け出した。
「貴女、志貴の保護者?」
少女は此方に気が付き、私に目を向ける。
「家に志貴を連れて帰るんでしょ?私も手伝うわ」
私は彼女の返答も聞かず勝手に戦闘態勢に入る。
志貴もいよいよ本気になって来たのか、胸のポケットからナイフを取り出す。
きっとまた、『直死の魔眼』と言うわけの分からない魔法を使うつもりだ。
「嫌でも家に帰ってもらうわよ。志貴」