ウピエルVSファントム
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何が起こったのかやっと認識した相方の女性が悲鳴を上げて逃げ出した。
構っている暇は無い―――― パトリオットのマガジンを交換しつつ、周囲に注意を配る。
おかしい―――― 情報では護衛は6人、だから念の為過剰と思える装備を用意した。
他の4人は一体どこに?
その時オペラ座に鳴り響く拍手。
―――――!?
客席に現れたタイトなブラックレザーに身を包んだ男、一体いつからそこに居た?
拍手が聞こえるまで空気の様に、存在そのものが認識できていなかったのだ。
――――― イノヴェルチの吸血鬼、ウピエル ―――――。
まさか来ていたとは、その尋常では無い殺気に瞬間、銃を向けるタイミングが遅れる。
突然鳴り響く銃声が一瞬の静寂を打ち破る!
俺はマントを翻して駆け出しながら、レザーの男に向ってフルオート射撃。
舞い飛ぶ空薬莢が舞台の上に転がり、真鍮色の足跡を残す。
「エレンか――― 」
聞き覚えの有る銃声はバックアップに回っていたエレンの物に間違い無い。