吸血大殲 24 血と硝煙の十字路

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殺す。
あの青白いもやし野郎を殺す。
それで終わりだ。

サイスから貰った銀の銃弾が詰まったマガジンを、AUGライフルに叩き込む。
狙撃なんて面倒なことはやんねぇ。
射程距離ギリギリから蜂の巣にしてやる。

バン、と分厚いドアを蹴破って、一般席に駆け込む。
丁度、特等席の真後ろ。
標的の線香臭せぇ背中が背もたれごしに丸見えだ。

はいはい、サヨウナラ……!?

銃声。崩れ落ちる人影。
銃声。吹き荒れる血潮。

       ナニカガヘンダ

気付いたら、あたしは床に突っ伏していた。
反射的に、流れ弾に対しての……。(――――流れ弾?)

そこで気付いた。何が起こったのかを。
サイスは死んだ。蜂の巣にされて死んだ。

戦慄。あのサイスの超護衛を出し抜ける者など、滅多にはいない。
戦慄。あいつだ。――あいつが現れた。

もう、ナハツェーラーなんてどうでも良い。サイスは死んだ。もうあたしには関係無い。

玲二、
玲二、
玲二、

あたしには分かるよ。……ハハ
あんただ――あんただ――あんただ――!!
やっと――やっと会える。

なぜだろう。
最強と同義の意味を冠するファントム。
彼女は、銃声吹き荒れる劇場の中で――泣いていた。

それは歓喜の涙。
恐怖の感情など――彼女には無い。