>137 >251 ヨコシマ&ロゼット一行 VS G.G.スレイマン
『ボーイ・ミーツ・ガール?』
イヤだ、イヤだ、死んでもイヤやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ!
織姫が、織姫が、何でよりにもよってあんなのばっかりがぁ!
錯乱に錯乱が重なり、こんがらがる頭の中。迷走する俺に放たれた言霊が追いすがる。
ひたすらに叫び、泣き、喚く。それでも言霊が生んだ虚像どもは、俺を追い詰めていった。
もう、ダメだ。
いっそ死ぬ、死なせろ!
舌に歯を合わせると、ゆっくり力を込めて――――ふと、霞む視界に空が見えた。
いや、正確には空にある人影に。
空から降ってきたねーちゃんに、俺のピントは合わさっていた。
ね ー ち ゃ ん !?
「どうせ死ぬなら、その胸で死なせてぇ!」
なんか色々あった気もするが、全部忘れたっ!
強化された身体能力ってのは、こういう時に使うもんだっ!
足首の力だけで地を蹴り、宙を舞うシスターに俺は抱き付いた。
「これや、これなんや! 俺の求めていたんはこれなんやぁ!」
仄かな温もり、確かな柔らかさ。それを両腕に感じて・・・気が付いた。
「――――――解けてる?」
俺はスレイマンの呪縛から抜け出していた、この娘に抱き付く事で。
なんか俺、時々理不尽にスゲーな・・・・・・っと、ともかく! 今ならチャンス!
クロノは俺が少女を助けたのを見ると、再びスレイマンと向き合った。
軽く頷いて応えると、俺はシスターを抱えたまま地に降り、砂利を蹴り飛ばして加速する。
あの悪魔に文珠が渡ってるなら、俺が動けばトリックは完成するハズ・・・それに賭けて。
俺は引っ掛かったワイヤーを強化された膂力で引き、牽制しつつ、走る。
コンクリを蹴り、アスファルトを切り、少女を抱きしめながら。
幾度かの交錯、クロノの爪とスレイマンのロッドが生む火花を横目に、俺の足が止まった。
ある一点、そこにようやく到達したから。
俺、スレイマン、クロノが並ぶ一点へ――――――
懐の文珠「糸」が、クロノの持つ「専」が、スレイマンを「’」にして力を発する。
「縛」が完成した今、ヤツの動きは完全に束縛された。
でも、油断は出来ない。出来る相手じゃねーのは、充分に身に染みた!
右手を軽く握る。すると、力がほとんど戻っていた。
そこに新たな文珠を一つ、そして栄光の手を生みだし、身構える。
次に来るであろう行動を予想しつつ、珠に文字を刻んで。
――――――ところで、なんでこの娘はここまで抵抗するんでしょうか?
俺、そこまで信用ありませんか?
なんつーか、もう、泣いて良いですか?