吸血大殲 24 血と硝煙の十字路

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274横島忠夫 ◆YDaTadao
>137 >251 ヨコシマ&ロゼット一行 VS G.G.スレイマン  
 『ボーイ・ミーツ・ガール?』
 
 
 イヤだ、イヤだ、死んでもイヤやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ! 
  
 織姫が、織姫が、何でよりにもよってあんなのばっかりがぁ! 
 錯乱に錯乱が重なり、こんがらがる頭の中。迷走する俺に放たれた言霊が追いすがる。  
 ひたすらに叫び、泣き、喚く。それでも言霊が生んだ虚像どもは、俺を追い詰めていった。 
 
 もう、ダメだ。 
 いっそ死ぬ、死なせろ! 
 
 舌に歯を合わせると、ゆっくり力を込めて――――ふと、霞む視界に空が見えた。 
 いや、正確には空にある人影に。 
 空から降ってきたねーちゃんに、俺のピントは合わさっていた。 
 
 ね  ー  ち  ゃ  ん  !? 
  
「どうせ死ぬなら、その胸で死なせてぇ!」 
  
 なんか色々あった気もするが、全部忘れたっ! 
 強化された身体能力ってのは、こういう時に使うもんだっ! 
 足首の力だけで地を蹴り、宙を舞うシスターに俺は抱き付いた。 
  
「これや、これなんや! 俺の求めていたんはこれなんやぁ!」 
 
 仄かな温もり、確かな柔らかさ。それを両腕に感じて・・・気が付いた。  
 
「――――――解けてる?」 
 
 俺はスレイマンの呪縛から抜け出していた、この娘に抱き付く事で。 
 なんか俺、時々理不尽にスゲーな・・・・・・っと、ともかく! 今ならチャンス! 
 
 クロノは俺が少女を助けたのを見ると、再びスレイマンと向き合った。
 軽く頷いて応えると、俺はシスターを抱えたまま地に降り、砂利を蹴り飛ばして加速する。 
 あの悪魔に文珠が渡ってるなら、俺が動けばトリックは完成するハズ・・・それに賭けて。 
 俺は引っ掛かったワイヤーを強化された膂力で引き、牽制しつつ、走る。
 コンクリを蹴り、アスファルトを切り、少女を抱きしめながら。 
  
 幾度かの交錯、クロノの爪とスレイマンのロッドが生む火花を横目に、俺の足が止まった。 
 ある一点、そこにようやく到達したから。  
 
 
 俺、スレイマン、クロノが並ぶ一点へ――――――  
  
   
 懐の文珠「糸」が、クロノの持つ「専」が、スレイマンを「’」にして力を発する。 
 「縛」が完成した今、ヤツの動きは完全に束縛された。 
  
 でも、油断は出来ない。出来る相手じゃねーのは、充分に身に染みた! 
 右手を軽く握る。すると、力がほとんど戻っていた。 
 そこに新たな文珠を一つ、そして栄光の手を生みだし、身構える。 
 次に来るであろう行動を予想しつつ、珠に文字を刻んで。 
  
 
 ――――――ところで、なんでこの娘はここまで抵抗するんでしょうか? 
          俺、そこまで信用ありませんか?  
          なんつーか、もう、泣いて良いですか?