吸血大殲 其の弐拾壱 『鬼哭骸』

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1ドラキュラ・ヴラド・ツェペシュ ◆SINSO3sw
このスレは、吸血鬼や狩人、あるいはそれに類する者が闘争を繰り広げる場である。 
無論、闘争だけではなく、名無しの諸君の質問も随時受け付けておる。 
気軽に質問をして欲しい。 
 なお、新規の参加者は下記の『吸血大殲闘争者への手引き』でルールに眼を通した上で、  
テンプレを用いて自己紹介をせよ。 
テンプレは>2-10を参照するがよい。 
 
■『吸血大殲闘争者への手引き』 
http://www.geocities.co.jp/Milkyway-Orion/4504/vampirkrieg.html  
 
■専用JBBS(雑談・闘争の打ち合わせなどはこちら) 
http://jbbs.shitaraba.com/game/163/vampirkrieg.html



以下は、関連リンクである。 
 
■参加者データサイト『吸血大殲 Blood Lust』(左手作成・過去ログも全てこちらにあり) 
http://members.tripod.co.jp/humituki5272/taisen/index.html 
 
■『闘争記録保管所』(緑川淳司作成・各闘争ごとに整理された記録) 
http://members.tripod.co.jp/tajuunin/taisen.html 
  
■吸血大殲本家サイト 
『From dusk till dawn』 
http://www.uranus.dti.ne.jp/~beaker/ 
  
『戦場には熱い風が吹く』 
http://ha7.seikyou.ne.jp/home/hagane/index.html 
 
■前スレ 
吸血大殲 第20章 殺戮考察
http://salad.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1017941718/
 
■太陽板の質問スレ 
吸血大殲/陰 其の14〜神羅屋敷地下室 餌の時間〜 
http://www.alfheim.jp/~narikiri/narikiri/test/read.cgi?bbs=TheSun&key=009742840

■吸血大殲専用チャットルーム
http://3nopage.com/~vamp/chatin.html

■JBBS内・感想スレッド(闘争の感想などはここに)
名無し(及びその他)吸血鬼達が物凄い勢いで感想を言うスレ2
http://jbbs.shitaraba.com/game/bbs/read.cgi?BBS=163&KEY=1013072172
自己紹介用テンプレートである。 
  
出典 : 
名前 : 
年齢 : 
性別 : 
職業 : 
趣味 : 
恋人の有無 : 
好きな異性のタイプ : 
好きな食べ物 : 
最近気になること : 
一番苦手なもの : 
得意な技 : 
一番の決めゼリフ : 
将来の夢 : 
ここの住人として一言 : 
ここの仲間たちに一言 : 
ここの名無しに一言 :
3横島忠夫 ◆YDaTadao :02/04/11 22:13
俺 vs チャイナ・ブルー 導入     
 
 ああ、クソッ! 
 なんで俺一人なんだよ!? 
 
 夕日に晒されて、長く影が伸びる。アスファルトさえない土を剥き出しにした道路に、 
 佇む俺の姿が紅く染まる茶色い地面へくっきりと浮かび上がった。 
 全身を真っ赤に燃やし、俺は目の前のをゆっくりと見上げる――人気のない、寂れた洋館を。 
 なんでもここには吸血鬼が一匹潜んでいて、悪さを繰り返しているらしい。 
 吸血鬼と言えばピートたちの島を思い出したが、アレとはまた違う種類だとか。 
 
 そんでもって、俺はそいつを退治しに来たわけで。 
  
 俺一人に押し付けられた理由――――報酬が安かったから。 
 美女をさらう吸血鬼相手におキヌちゃんを連れてくるわけにもいかず。 
 かといってシロやタマモを連れてくる理由もなく。 
 ましてやタイガーやピートを誘って低い報酬をさらに減らすつもりは毛頭無かった。 
  
 はぁ・・・ま、いいんだけどよー。 
 
『報酬はま、半分はあげるから』 
『なんにもしないのに半分もピンハネするんすか!』 
『それでもウン百万円は貴重だと思うけど?』 
『う・・・そ、そりゃまあ』 
『そう言えば、そいつ、あちこちで女の子をさらってるみたいなのよね〜』 
『助け出せれば、良い事あるかもね♪』 
『で、報酬がどうかしたかしら?』 
『報酬がどうかしましたか?』 
 
 ふと、美神さんとのやり取りを思い出す。 
 よく考えたら、吸血鬼にさらわれた女の子って吸血鬼になってるよな〜。 
 ・・・助けても血なんか吸われたりして。 
 
 やっぱ、帰ろうかな〜。 
 でも、今さら帰ったら美神さんに殺される・・・か。 
 まさか、そんな、あ、でも。 
 あの人、金なんか唸るほど持ってるのにたかが数百万で殺しかねんしな・・・  
 
「ええい、やったる!!」  
  
 ――――ガン! 
 と、扉を蹴破って、中に躍り込む。埃っぽい空気が胸を充たして、俺は堪らず咳き込んだ。 
 くそ〜、掃除ぐらいしておけよ! 
 
 毒づきながらも懐から懐中電灯を取り出そうとして――――――蹴り飛ばされた。 
 転がりながらも何とか振り返ると、入り口に立つ人影一人。   
 ――――なんというか、事態は吸血鬼退治に比べて、ずっとややこしくなってきたようだった。 
4チャイナ・ブルー:02/04/11 22:47
ヨコシマvsチャイナ・ブルー「夕暮れの狂詩曲」

>3

あたしは茉莉花。ショーダンサーというのは表の顔、裏の顔は吸血鬼。
でも、あたしは人を殺さないし同族をむやみに増やしたりはしない。・・・無駄ないさかいを
起こしたくないからだ。夜の闇に潜んで生き続けるには、何よりも慎重さが大切だから。

しかし、その掟を破る者がこの街にいる。『氏族』を抜け、欲望のままに吸血と殺戮を繰り返す
はぐれ吸血鬼。―あたしはそれを狩りに来た。
・・・一族の結束にほころびがあってはいけない。吸血の民を守るため、はみ出し者には死を―

ヤツの根城にしている洋館にたどりついたのはもう夕刻だった。
と、扉の前に一人の少年。怖いもの見たさの探検ごっこ?いや、違う。強い霊気を感じる。

『・・・吸血鬼ハンター?!』

これは困った。はぐれたとは言え同族は同族。人間なんかの、しかもハンターの手に掛けさせる
なんて、『氏族』の長が許さないだろう。
とっさに背中を蹴り飛ばし、館の中に押し込む。見るからに経験不足そうな少年ハンターだ。
さくっと気絶させて放り出そう。
あたしは、すかさず一歩踏み込む。震脚から流れるように鳩尾への突き、一発で決める!

「絶招歩!」

>前スレ497 レイオット&紫雲 vs アルクェイド 『企業の論理』
 
特に何も出来ずに激突する黒い男と鎧の魔法士。
人間としては傑出した能力を持つ者達ね…でもこれで終り。
 
―― どんな風に殺して欲しい? ――
 
自分でも凶暴になっているのが良く解る。
けどそれも当然、この人間達はそれだけの事をわたしにしてくれたのだから。
   
先ず動けない様に足を切り離そう…そう思って走り出した瞬間。
二人に姿、気配が、わたしの認識から消えうせた。
 
―― え、何これ? この気配…まさか!! ――
  
わたしの知らない精霊、そうとしか考えられない。
世界の延長たる『真祖』に従わない精霊など、わたしの知識には無い。
でも、この場を満たしている力は紛れも無く『精霊』と呼ばれる現象だ。
  
―― わたしに眼を精霊を使って誤魔化すなんて ――
   
どこまで、わたしを愚弄すれば気がすむのだろう。
ならば、教えてやろう本当の精霊の力を…空想具現化と呼ばれる能力を。
  
空を見上げる、…そこに月は無い。
だた厚く暗い雲がそこに在る、熱い空気、立ち込める血の匂い。
   
―― どれも気に入らない ――
  
だから、全てを押し流そう。
 
世界には意志あるが、意識は無い。
だから犯されても、汚されても反撃など出来ない。
だからわたし達がいる、世界の代弁者として、世界の『意識』として。
  
―― せめて、月の光を浴びたいわ ――
 
わたしと世界と同化する、わたしの意識が世界の秩序を形成する。
…そして、『空』が落ちてきた。  
   
一般的には『ダウン・バースト』と呼ばれる強烈な下降気流の流れ。
直撃すれば航空機などあっさりと堕とす、観測されることも希な気象現象。
   
通常ならこんな所で発生などするはずが無い。
だけど今は『わたし』が望んだ、より強く、より凶暴に荒れ狂う様に。
 
周囲が爆発するように瓦礫が吹き飛ばされ、停滞した空気が入れ替わる。
立っている事も不可能な暴風の中心に、わたしだけが静かにたたずむ。
空にほっかりと開いた窓から月の光が流れこむ。
  
血に汚れた身体と濁った空気が月の光と雨に洗いながされる。
より強力な力に吹き散らされた、精霊の力が消えていく。
   
―― ああ、月が綺麗ね、これからがわたしの時間よ ――
  
暫く、月の光とと雨を楽しんだ後、再びわたしの瞳が彼等を映した。
  
「見つけたわ、もう逃がさない」 
6紫雲(M):02/04/11 23:05
>5 vs アルクェイド 『企業の論理』
 
 風!? 
 死んだビルの谷間を荒れ狂う嵐が舞い降りてきた。辺りの空気が震え始め、 
 その力を殊更に強調している。真正面から受けたら、暴風にまみれて消えかねない。 
 強化反射神経に最大限の負荷を与える。 
 投薬量が限界まで増え、電気信号のパルスは筋肉を、脳髄を加速の渦に押し込める。 
 
 未だ反応しきれないレイオットの片腕を掴み、加速。加速。加速! 
 この作戦に彼の存在は欠かせない。ともあれ、今は第二次作戦ポイントへ・・・  
  
 震える大気を押しのけて、紫雲の体が瓦礫の狭間を駆けた。 
 浮かび上がりつつあるコンクリート片を蹴り、鉄骨を掴んで、いち早くこの場から立ち去る。 
 目標のポイントまで下がらねば、体勢を立て直す事も敵わない。 
 
 隠匿の効果が消える前に――――――! 
 
 そこで、ついに暴風が到達した。 
 ポイントがずれていたお陰か、風の束は紫雲たちの背後から押し寄せた。 
 風にまみれ、弾かれ、叩き付けられる。 
 コンクリートとアスファルトの地面に転がりながらも・・・体は何とか、第二次作戦ポイントまで到達していた。  
 
 隠匿の効果も、都市精霊ももはや無い。 
 それでも稼げた僅かな時間に感謝しながら、紫雲は物陰にカモフラージュされた武装を手に取る。 
 真祖が来るまで時間はない。だが、それでも策は張らねばならない。  
 身を翻し、いくつかのスイッチを手に取ると・・・既にそこにはアルクェイドの姿があった。 
 
 月影に佇む姿、それ目掛けて紫雲はトリガーを絞る。 
 再び吐き出される機銃の弾を確認することなく、ミラーシェードの男は走った。 
 その身を囮とした、罠へ誘うために・・・
7横島忠夫 ◆YDaTadao :02/04/11 23:10
>4 vs チャイナ・ブルー 『夕暮れの狂詩曲』 
 
 一発の衝撃で体が浮かぶ! 
 うぞっ! 聞いてない! 
 いきなり殴られるなんて、しかも後ろから―――――― 
 
 もんどり打って倒れる、俺。 
 体中埃まみれにしながら、意識がどんどんと遠くへ・・・あかん、こりゃ、気絶す・・・ 
 ぼやける視界。 
 その最後に映ったのは、チャイナ服を着た可愛い中華風の女の子・・・・  
 
 女の子ッ! 
  
「大丈夫、怪我はない? 俺、横島――――!」  
 
 後ろから、しかも殴られた事なんてのは一時忘れて、俺はその子の保護に努めた! 
 いや、別に下心なんて無い。 
 無い、無いんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 
8チャイナ・ブルー:02/04/11 23:35
ヨコシマvsチャイナ・ブルー 『夕暮れの狂詩曲』 
 
 >7
手加減はした。加減抜きなら人間なんか一撃で殴り殺せるのがあたしたち吸血鬼の膂力だから。
でも、けろっとして立ち上がってくるこの少年は何者?

「大丈夫、怪我はない? 俺、横島――――!」  
 
・・・殴られておいてその反応はないでしょ、とか何とか思ったり。

「何やの、あんた?!」

あたしは正直、混乱していた。彼はわたしに殴り飛ばされながらも、敵意も怒りも見せない。
むしろ、あたしのことを気遣っている。いったいどういうことなんだろう。

「・・・悪いことは言わん、さっさと出て行きぃ」

つとめて冷静に、感情を押し殺してあたしは彼に言った。
何やら、とんでもない相手に関わった、という悪寒が背筋に走っていた。
9横島忠夫 ◆YDaTadao :02/04/11 23:44
>8 vs チャイナ・ブルー 『夕暮れの狂詩曲』 
 
「そんな事を言わないで、可愛いお嬢さん!」 
 
 素早く手を取る。さっきの拳は鋭かったけど、やっぱ柔らかくてええ感触だった。  
 う〜ん、やっぱ女の子はええな〜。 
 
「ここは危険です! 出ていくなら、俺と一緒に――――」 
 
 取った手をそのままに、肩に腕を回す。そのまま体を百八十度回転させ、足をドアへと向けた。 
  
 助けたっ! 何か知らんけど、一人助けた気がする! 
 助け出せれば、良い事・・・良い事・・・! 
 
「く、くくくく・・・」 
 
 笑いが色々と、とまらん! 
 俺はチャイナ服の女の子を連れて、館を出ようとする――――  
 
「そー言えば、君。名前は?」 
10チャイナ・ブルー:02/04/11 23:52
ヨコシマvsチャイナ・ブルー 『夕暮れの狂詩曲』 
 
>9

困った。この少年ハンターは、あたしのことを犠牲者か何かだと思っているらしい。
肩に回された手を取り足を掛け、そのまま顔面を扉に叩きつける。無論軽く、だが。

「あたしは茉莉花(ジャスミン)。ここの外道吸血鬼はあたしの獲物や・・・邪魔せんといて」

ぶざまに顔面を打ちつけ、床に這いつくばる彼に冷たく言い放つ。
これで帰ってくれれば、これ以上痛めつけずに済むから、内心にそんな思いがよぎった。

しかし、彼は立ち上がるとこちらに向き直る。やるしかない、そう思いあたしは構えを取った。
前スレ>505
VS アルトルージュ
『The redoing saints』
 
急激に、私達の周りが冷え込んでいく。
地面を走り、白い絨毯が私達に迫る。
 
「あ!?」
「きゃぅん!!」
 
白い絨毯に追いつかれた私達の足が、地面に磔られた。
軋むような痛みが足に走る!
 
「くあ・・・・・・アズ・・・平気?!」
「うぅ・・・・大丈夫・・・・です。」
 
はぁはぁと、白い息を吐きながらアズマリアに問う。
クロノ開放による消耗が、寒さによって加速する。
うぅ・・・・・。
 
≪ロゼット、アズマリア!?≫
 
クロノの悲鳴にも似た声。次の瞬間、私たちに降り注ぐ雹!
 
「きゃぁぁぁぁ!!」
「アズッ!!!」
 
無慈悲に雹が私たちを打ち据える。
一つ一つは小さいが、数が多くなれば・・・・その破壊力は馬鹿にできない。
雹が降り止むころ、私とアズは全身に打ち身を作ってぐったりとしていた。
アズマリアにいたっては、完全に気絶している。
・・・・・まずい・・・・消耗が・・・・激しすぎる・・・・。
 
クロノの封印をといた影響、それにあわせてこの攻撃。
私の体力は限界に近づきつつあった。
 
『どう、痛い? 苦しい? デモ、マダコンナモノジャスマセナイ』

そんな事をいいながら彼女が私たちに迫る。
 
《 ど く ん 》
 
こんな―――時にまで!!
再び襲い来る既視感。
次に―――クロノが――――――
私の頭の中に見たことがない、なのによく知っているような光景が広がる。
 
彼女との間に入るように、クロノが舞い降りる。
そしてクロノが、私とアズマリアを抱きかかえた。
私の意識は完全に朦朧とし始めている。
クロノの顔には、彼女に対する憎悪の表情が浮かんでいる。
『記憶の中と同じように』。
 
だめ―――――クロノ――――――――――
このままじゃ―――――このままじゃ―――――『 ま た 』!!
12横島忠夫 ◆YDaTadao :02/04/12 00:00
>10 vs チャイナ・ブルー 『夕暮れの狂詩曲』 
 
 埃っぽい。 
 口の中までじゃりじゃりする。 
 目にも入って、ちりちりと痛む。 
  
 吸血鬼が獲物? 
 この娘もゴーストスイーパー? 
 でも、そんな雰囲気じゃない。 
 ならこの娘は、この娘は一体? 
 
 がんがんがんがん、叩き付けられた頭が痛む。 
 鼻の奥からつんとした刺激が来る。鼻血がちょっと、出たっぽい。 
  
「君が・・・やる事もないだろ、茉莉花さん」 
  
 俺と茉莉花、交わる眼光はとても鋭くて。 
 でも、やっぱり危険な目とか合わせたくないから。 
 
「俺が片付ける。これは、俺の仕事だから」 
 
 霊波刀を右手に生み出す。威嚇とも、牽制とも、脅しとも取れない行為。 
 それでも俺は「栄光の手」を構えると、ちょっとだけ語意を強めていった。 
 
「茉莉花さんは、帰ってくれないか?」 
 
 ・・・これで帰ってくれなきゃ、えっと、どうしようか?
13チャイナ・ブルー:02/04/12 00:09
ヨコシマvsチャイナ・ブルー 『夕暮れの狂詩曲』 
 
>12

彼の手に光る霊気の剣。やっぱり、見た目はともかく相当の使い手だ。ここの主ぐらいなら
容易に仕留められるだろう。ならば、なおさら―

「同族の不始末は、同族のあたしがつける。あんたこそ・・・去りや」

あたしの右目が蒼く光る。得意の構え、左足を高く上げ、右手に扇を。
なんとか殺さずに降参させられないものか、そんな考えを振り払うかのように、あたしの体は
宙に舞った。死角からの連脚、直撃すれば骨ぐらい砕くのは造作ない!
>11 『The redoing saints』
 
 悪魔が憎悪をたぎらせて、襲い掛かってくる。
 
「―――――!?」
 
 反応が遅れた。
 悪魔の蹴りをモロに喰らって、私の身体は吹き飛ばされた。
 
 そのまま、悪魔は畳み込むかのように私に攻撃を仕掛けてくる。
 
 ――あれ?
 
 ――この光景は……
 
 悪魔の攻撃の合間を縫って蹴り飛ばす。
 
 ――この後は確か……
 
「聞いた風な口をきかないないことね。あなたたちが勝手に仕掛けてきて、こうなったのでしょう?」
 
 ――もう、間違いない。運命の歯車は止まらない。
 
「――それにここまで私に屈辱を与えてくれたのはあなたたちが初めて。ナブリコロサレルカクゴハイイ?」
 
 ――前より、苦しい死を与えてあげる
 
 私の頭の中で、イメージが紡がれる。
 
 ――それは天の咆哮
 
 ――かつては神々の裁きと評されたモノ
 
 雷鳴が辺りに轟いた。
 安心しなさい。
 死なない程度に、威力は控えてあるから……
 
 ――オタノシミハコレカラヨ
15淫藤宗光/ヒトラー:02/04/12 00:21
淫藤宗光/ヒトラーvs竜崎天馬(M)&壇隼人(M)「ヴァレンシュタイン作戦」

前スレ 吸血大殲 第20章 殺戮考察 >470 >474
http://salad.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1017941718/

「一丁上がりだ」5人目の亡霊武装SSを切り倒した天馬は、同じく亡霊兵士
どもを屠った隼人に笑みを返し、ぐっと親指を立てた。

しかし、二人は顔から笑みを素早くぬぐいさった。
二人は大広間の奥にいまだわだかまる闇の奥から、先ほどの亡霊武装SSとは
けたちがいの妖気を感知したのである。

キュラキュラキュラキュラ……闇の中から威圧的なキャタピラ音が聞こえてくる。

そして、息を殺す二人の前に現れたのは迷彩塗装の縞を持つ鋼鉄の王虎――
ドイツ第三帝国最強最後の重戦車、Y号戦車B型ケーニヒス・ティーゲルであった。

「むう、これは――」

隼人の霊的視覚はこれがただの戦車ではないと見破った。
彼の目には、ケーニヒス・ティーゲルの車上にわだかまる、赤い瞳を持つ
黒い影が映っていたのである。

かつて前大戦末期、ドイツ第三帝国は敗色濃厚な戦局を挽回するため、
吸血鬼の人工製造など数々の狂気の実験に手を染めた。
その一つに、兵器に地獄から呼び出した悪霊を憑依させ、燃料も搭乗員も必要と
せず、聖別された武器によってしか破壊しえない兵器を作ろうとする計画があった。

ほとんどは悪霊を呼び出した魔術師が食い殺されるだけの失敗に終わったが、
このケーニヒス・ティーゲルはほぼ唯一の成功例であった。

しかし、この怪物は実戦に投入される前に或る勇敢なパルチザン達によって破壊
された。その地獄の虎をも、宗光とヒトラーは蘇えらせたのである。

隼人は、影がぱっくりと口を開け笑うのを見た。久方ぶりの獲物に悪霊は歓喜
しているのであった。

そして、二人を細切れの肉片に変えるべく、ケーニヒス・ティーゲルの
71口径88ミリ砲が火を吹いた。


 
16横島忠夫 ◆YDaTadao :02/04/12 00:22
>13 vs チャイナ・ブルー 『夕暮れの狂詩曲』 
 
 ようやく、気が付いた。 
 彼女は吸血鬼で、
 たぶん俺なんかよりもずっと強くて、 
 ただお金のためだけに来たスイーパーなんかよりも、ずっと強い覚悟があって・・・ 
 
 と、――――蹴り飛ばされた。  
 
 まともに一発肩口に喰らい、みしりと嫌な音がする。 
 そのまま、さらに蹴り。俺の体は床に叩き付けられた。

「い、いだだだだだだだだだだ・・・・!」 
 
 痛い! 骨が、骨が折れてる!? 
 つーか、あの娘、俺を殺す気か!? 
   
 ・・・うう、凄い逃げたい! 
 ・・・でも、でも、美神さんのお仕置きはイヤじゃあ! 
 
 相反する二つの意志が鬩ぎ合い、体を縛り付ける。 
 骨を何とか文珠で治すと、未だこちらにあからさまな敵意を向けてくる茉莉花の姿があった。 
  
 ど、どうするよ、おい! 
 片手に文珠を取りだし、距離を取る。茉莉花を何とかして無力化しないと・・・
17チャイナ・ブルー:02/04/12 00:35
ヨコシマvsチャイナ・ブルー 『夕暮れの狂詩曲』 
 
>16
「まだ、分かれへんの?」

務めて冷たく、敵意を前面に押し出すように言う。並みの人間なら悲鳴を上げて逃げ出すのに、
そう内心でぼやきながら。

横島、と名乗ったハンターは、あたしから距離を置く。たぶん技はあの霊気の光だけじゃない。
だったら、その小細工をさせる暇を与えないだけ!あたしは、低い態勢で駆ける。
スライディングから体を躍らせ、ブレイクダンスの要領で長い、自慢の脚線美を振り回す。
足払いから蹴り上げるような優美な凶器、これでなんとか黙らせられないか―
>6 vsアルクェイド
 
 身を包む装甲の表面に、浅く、または深い傷を刻みつけて、彼らはようやく、目的地へと到着していた。
 既に身体を覆っていた僅かな違和感は消え失せ、そして気がつけば、当たり前のように彼女――
 アルクェイドの姿がそこにある。
 
「ちっ――――」
 
 舌打ちをひとつ。身じろぎするごとに肋骨に鈍い痛みが走るが、可能な限りそれは無視する。
 ここには念のため、対魔族用狙撃ライフル――AMI・ASR01<サンダーボルト>――が用意してあったが、
 ミサイルの直撃をくらっても生きているような生き物に、7ミリ程度の銃弾が通用するはずもない。
 事実、雨のように機銃から撃ち出されている銃弾をさして気にもとめず、彼女は威圧するように、ゆっくりと
 こちらに接近してきていた。
 
「さて――どうする?」
 
 独りごちる。紫雲は既に、どこかへと走り出していた。おそらく……何らかの罠にでも誘い出すつもりなのだろう。
 何をするつもりなのかは知らないが……こちらに対する指示は、とくに受けていない。
 ならば。
 
「こっちは……好きにやらせて貰うか」
 
 呟いて――彼は、走り出した。同時に、携えたスタッフの操桿を操作。こきん……と言う音とともに、装填されている
 基礎呪文一回分の魔力が活性化。
 
 重くなった視界に、大きくアルクェイドの姿が映る。血にまみれながらも、月光によって浮き彫りにされるその姿は、
 なんというか……酷く凄惨で美しい。そんな柄にもない思考に自重しつつ、彼は全力疾走の中でスタッフを付きだし
 ――叫ぶ。
 
「――――顕っ!」
 
 撃発音声――爆音の中にあっても、さらに鋭く、切り裂くようなその叫びは、瞬間的に魔法を顕現させる。
 胸元から二つ。乾いた音を立てて、拘束端子が弾け飛んだ。
 <ディスポーズ>発動。網目状となった不可視の刃が、スタッフの先端から、アルクェイドに向かい射出される。
19横島忠夫 ◆YDaTadao :02/04/12 00:58
>17 vs チャイナ・ブルー 『夕暮れの狂詩曲』 
 
 逃げるべきか、戦うべきか・・・しばし、熟考の後――――出た結論は。   

「逃げよう」 
   
 そーだよな、うん。金に命賭ける事、無いよな。いくら美神さんでも茉莉花がいたことを話せば、 
 わかってくれる可能性はあるし。よし、ここは一発大人しく引き下がって帰ると・・・ 
 する前に、茉莉花はさらなる攻撃を加えてきた。 
 
 足が・・・綺麗なふとももが回ってらっしゃる。 
 い、いや、俺は逃げる! まともにやり合ってたら、命がいくらあっても足りん! 
 そーだ、俺は逃げる。逃げるんだ・・・ 
 
「――――逃げとう、無いな〜」 

 呟いた時には、既に逃げられる状況ではなかったが。  
 迫る脚線美を網膜に焼き付けながら、俺は足払いをまともに喰らい、体勢が崩れたところに・・・ 
 
「も、文珠ッ!」 
 
 とっさに文珠を発動。浮かび上がる文字は「跳」――文字の通り俺の体は倒れる前に跳ね上がって、 
 茉莉花の頭を軽々と飛び越えた。虚をつく俺の動きに一瞬だが少女に隙が出来た。 
 よし! 今、文珠を使えば確実にここから逃げる事が出来る。 
 体術に差がありすぎるんだ、まともにはやり合えない。 
 もったいないけど、逃げるしか、逃げるしか――――――  
 
「はっ!?」 
 
 だがどういうワケか、俺の体は茉莉花に抱き付いていた。 
 ええと、なんちゅーか・・・幸せや・・・・・・・・・
>14
VS アルトルージュ
『The redoing saints』
 
《がああああああああああっ!≫
 
クロノが、私とアズマリアを抱きかかえて彼女に迫る。
あぁ―――――――
駄目――――――!!
 
クロノのラッシュが、彼女を捕らえる。
次に、その間隙を縫った彼女の蹴りがクロノを弾き飛ばす。
『前と同じように』。
 
『聞いた風な口をきかないないことね。あなたたちが勝手に仕掛けてきて、こうなったのでしょう?』
 
彼女が、私達に手を向ける。
駄目――――――なの?
私の頬を涙が伝う。
結局、前と同じ結果しか――――――。
 
 
――――――だが――――――
 
 
『――それにここまで私に屈辱を与えてくれたのはあなたたちが初めて。ナブリコロサレルカクゴハイイ』
 
え?!
私達めがけて、雷撃が落ちる!
 
≪ちぃッ!!≫
 
クロノが、障壁を張ってそれを防いだ。・・・・・・・『前と』違う?
 
≪くそ・・・・時間が!!≫
 
クロノの焦燥した声。そう・・・・か。
 
「くろ・・・・の・・・・・。」
≪ロゼット?!≫
「じかんがない・・・・よく・・・・きいて・・・・・。」
 
私は、朦朧とする意識のなか、作戦を伝える。
 
≪・・・・・ロゼットは!何でそう無茶なことばっかり!!≫
「しかたないでしょ・・・・・ほかにおもいつかなかったんだから・・・・・」
≪チャンスは一度・・・・か。何もしないよりはまし、ってとこだね。≫
「しんじてるわよ・・・・あんたのこと・・・・・・」
≪あぁ・・・任せてほしい。≫
 
クロノは、牽制するように彼女めがけて光弾を放つ。
 
奇跡は、私達に少し味方してくれた・・・・・・!
『今度』は失敗しない!!
>15 淫藤宗光/ヒトラーvs竜崎天馬(M)&壇隼人(M)「ヴァレンシュタイン作戦」
 
「せ、戦車かよ・・・」
 
 広間の最奥より現れたのは、重戦車ケーニヒス・ティーゲル。
 豪胆な天馬といえども、さすがに顔色が青ざめる。
 
 そして、轟音。
 
 音が聞こえたか、という瞬間には、二人は横に飛んでいた。
 一瞬前まで二人のいた場所は、71口径88ミリ砲の直撃を受け、大きく抉り取られていた。
 直撃を受ければ、肉片すら残るかどうか。
 その上、いかなる業によるモノか、ケーニヒス・ティーゲルは弾薬の補給も無しに71口径88ミリ砲を連射。
 
 しかし、二人の卓越した身体能力ゆえに、直撃はない。
 傷などはせいぜい着弾時の破片によるもの程度とは云え、このままではまずい。
 
 なれど、この地獄の虎を破らねば、先へ進むことは不可能。
 
 苛烈に続く砲弾の雨を避けながら、隼人に問いかける。
「なあ、アンタの気でアイツを黙らせられないのか?」
>20
『The redoing saints』
 
 悪魔が光弾を放つ。
 だが、その程度では牽制にもならない。
 
 ――直撃
 
 でも、かすり傷一つ、私は負わない。
 鬱陶しい。
 やっぱり、今すぐ殺そう。
 さあ、殺そう、ころそう、コロソウ!
 
「それで? ああ、もうネタは尽きたのね? ふうん、もう、いいわ。シネ――!」
 
 ――イメージ
 
 ――何もかも切り裂く無慈悲な刃
 
 ――風の魔性の具現
 
 私の周囲の大気の層が不自然にぐにゃりと歪む。
 
「ああ、これだけじゃ、私の気はすまないわ。
この後、プライミッツマーダ―とともにあなたの組織に乗り込んで、皆殺しにしてあげる――!」
 
 私はそう彼女に最後になるであろう言葉を告げた。
 
 そして、一気に無数の真空の刃が異音と共に3人を解体すべく、飛んで行った。
 さて、果たして、3人は何分割されるだろうか?
 
 ――トテモ、タノシミ
23チャイナ・ブルー:02/04/12 01:28
ヨコシマvsチャイナ・ブルー 『夕暮れの狂詩曲』 
 
>19

どういうことなんだろう。彼はあたしから逃げられたはずなのに。
・・・よりにもよって、抱きついてきた。思考が白紙になる。

あ、けっこうたくましい胸板かも、じゃなくって、いやぁん、あたしには飛燕が、じゃなくて。

「やあっ、何すんのや・・・!」

とりあえず突き飛ばしてはみたが、どうも毒気が抜かれる。
外から漏れる光の色は、オレンジから紫に変わりつつある。『ヤツ』の時間が来る。その前に―

「ごめんなぁ・・・これでおねんねしてくれる?」

あたしの体のジャスミンの香りが、その濃密さを強める。吸血鬼さえも麻痺する魔の香り。
それが、玄関に充満する。

「ええ香りやろ・・・これでいい夢見てくれる?んふっ♥」
24檀隼人(M):02/04/12 01:33
>15>21 淫藤宗光/ヒトラーvs竜崎天馬(M)&檀隼人(M)「ヴァレンシュタイン作戦」

「頼りにされるのは光栄だが、相手があれではちときついな。飛び道具も今は撃てんし。
もっとも、倒せねば死ぬだけか」
 
 苦笑を消し、隼人と天馬は散開した。
 キャタピラ音も軽快に、10メートルを越す鋼の獣が進軍して来る。
 かつてアルデンヌの森を鳴動させた響きを以って。
 轟音と炎が闇を裂き、大地を揺らした。88ミリ砲が火を噴いたのである。
 盾にした石柱が粉微塵に爆発した。
 
「ナチの怨霊艦隊に幽霊戦車か。凄い世界だ。――ここも、な」
 
 余程勘の鋭い者なら、走る隼人の声に込められた想いを聞き取る事が出来たかもしれない。
 無限の並行世界を旅してきた戦士の、それは寂しさだったろうか。
 
 巨獣(ベヘモス)はその重量故に、当然小回りは効かない。その隙を縫い、隼人は一気に妖戦車へ
肉薄した。
 車体に取り付いた黒い影――悪霊が威嚇する様な唸り声を上げた。反対側を向いていた砲身が、
隼人目掛け旋回しかける。
 それに構わず脇腹につけた両の拳が、青白い光を発し始める。大きく振り被ったそれらを、隼人は
戦車に――

 叩き入れた。
 
 左右の拳が鉄甲を撃つ音。それは肉と鋼ではなく、確かに鋼と鋼がぶつかり合う音であった。
 『気』を纏った正拳が、手刀が、貫手が、間断なく戦車の装甲をえぐる。
 比喩ではなく、ケーニヒス・ティーゲルの護りはぶち抜かれつつある。
 
「実体のある鋼ならともかく、半ば妖物なら俺の手でなんとか――む、いかん!」 
>22
VS アルトルージュ
『The redoing saints』
 
光弾を放つと同時に、クロノが私たちの車へと疾走する。
そして、ぼこぼこの車から『アレ』を取り出す。
 
『それで? ああ、もうネタは尽きたのね? ふうん、もう、いいわ。シネ――!』
 
彼女の周りの空間が歪む・・・・・。
前と同じように。
だが、一度見た技など!!
 
『ああ、これだけじゃ、私の気はすまないわ。
 この後、プライミッツマーダ―とともにあなたの組織に乗り込んで、皆殺しにしてあげる――!』
 
彼女が叫ぶとともに無慈悲な刃が、私達を切り裂かんと迫る!
クロノが、『アレ』を彼女へと投げつける。
 
 
そ し て 、 刃 は ず た ず た に 切 り 裂 い た 。
 
 
『クロノが背負っていた武器のパックを』!!
同時に、中に入っていた銃弾が炸裂し、あたりに閃光を放つ。
 
閃光が消えた後。そこに私たちの姿はない――――――!!
>25
『The redoing saints』

 悪魔が何かのバックを私に投げる。
 直後、切り裂かれたバックから閃光がほとばしる。
  
「―――!?」
 
 目の前が真っ白になる。



 視界が元に戻った後、3人の姿は無かった。
 
「逃げた――、それとも――?」
 
 私のその一瞬の躊躇の間に――
27緑川淳司 ◆CRSxoxJM :02/04/12 04:47
◆御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司◆
前スレ>513 シグモンド
 
「なにじろじろ見てやがるんだ!!」
清水寺の境内をうろうろしていた淳司はそのように周りに威嚇するように叫ぶ声を聞いた。
ほんの少しだけ芽生えた好奇心からそちらの方向を見ると
そこには先ほど淳司を押しのけて去っていった男が数人の地元のチンピラと思われる男達に囲まながら平然としており、
その周りにいるチンピラの方がその男の気配に押されているようにも見える。
 
「おい!そこのお前!!さっきからなに見てやがるんだ!!」
先ほどから回りの通行人に対して威圧を掛けていた男がいきなり淳司のほうに向かってくる。
どうやら、彼らのご機嫌というものを損ねてしまったらしい。
午前中の古都らしい落ち着いた雰囲気はどこに行ってしまったのだろうか。
「いや、見てはいないよ。どうぞご自由に続きをしてください。」
そう淳司はいいその場から立ち去ろうとするがあしらわれた男はやはりそれを許さず、
日に焼けた浅黒い肌をさらに真っ赤にして無言で淳司の前に回りこみ、その無防備な腹に拳をいれる。
 
常人なら苦痛のあまりにへたり込む所だが、勿論吸血鬼である淳司は顔をしかめただけだった。
ゆったりとした動作で男の首筋に指を当てる。
それだけで男はその場に倒れてしまった。
淳司が男から生体エネルギーを吸収し貧血状態になってしまったからだ。
 
「や、野郎!!」
見た目的に優男である淳司になぜ仲間が倒されたか分からなかった他のチンピラたちであったが、
そうは言っても見過ごしては置けないのだろう。
男の包囲網をはずし、全員淳司に向かってくる。
それらの攻撃をかわし、最初の男のように地面に全員が倒れこんだのはさらに10秒後のことだった。
 
(やばい、目立ってしまった…。)
チンピラ達を倒してしまった淳司はいったんその場から立ち退くことにした。
(ほとぼりが冷めてからまた後で回り直そう…。)
28マッカーチス(M):02/04/12 12:26
エリvsマッカーチス 『another mission』
前スレ >510

マッカーチスの突き出した鋏を紙一重のところでかわしたエリは、下から突き上げる
ように放ったショットガンでその鋏を破壊した。
さらに素早く胴体の下に潜り込み、比較的に軽装甲の機体下部を撃ち抜く。
その破孔に何かを押し込むと、エリは怪物の脚と尻尾の間を転がるように駆け抜けた。
一瞬、敵を見失ったマッカーチスだったが、すぐに機体の向きを換えてエリに突進する。
ほとんどの武装を失ったとはいえ、生身の人間が相手ならばその鋼鉄の巨体だけで
充分すぎるほどだ。
その時、一発の乾いた銃声が鳴り響いた。
古風な中折れ式リボルバーが発した銃声だった。
次の瞬間、マッカーチスの巨体は内側から砕け散った。
マッカーチスの腹に押し込まれた砲弾が、小さな拳銃弾に撃ち抜かれて炸裂したためだ。
紫色の装甲板が宙を舞い、床に転がる。
吹き飛んだ脚が、壁際に積まれた木箱の山を押しつぶす。
巨大な鋼鉄のザリガニ、マッカーチスは完全に破壊され、戦いは終わった。
エリは「ミッション・コンプリート!」と言う声が、何処からともなく聞こえたように感じた。
   
「まったく、お前がナイフで稼いだりするから、すっかり遅くなっちまったぞ!」
白いバンダナを鉢巻きのように結んだ金髪の男が、すぐ隣を走る男に言った。
「そう言うマルコだって、やたらと天井に撃ち込んで隠し捕虜とアイテムを探して
いたじゃねえか。」
サングラスをかけた、栗色の髪の男が言い返す。
「同胞を救うのは当然の義務だろうが!」
マルコと呼ばれた金髪の男が、走りながら叫ぶ。
二人の男に十メートルほど遅れて、野戦帽をかぶり眼鏡をかけた女性が走っていた。
「マルコ少佐〜、ターマ大尉〜、待ってくださいよ〜!」
どこか緊張感に欠ける声で二人に呼びかける。
「急げ、フィオ!司令部の言ってた『新型兵器』は、さっきの捕虜から聞いた話じゃ
もう完成しているらしいぞ!起動しているとしたら、エリ一人じゃ荷が重過ぎる!」
マルコは走りつつ振り返って、フィオに言った。
「あいつのことだから、もう破壊していたりして・・・・」
ターマが小さく呟いた。
前スレ
http://salad.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1017941718/392
から
(殺人卿vs死の教師)
>392
 男のセリフ、空気が『動く』気配……
 何かが来る。
 そう感じた私は飛び退く。
 
 一瞬後、私が立っていた場所に銀の閃光が走った。
 私の頚動脈があった空間を性格にソレはなぞっていた。
 
「――ナイフに紐でもつけたのか。小学生の夏休みの工作か? もう、少し、工夫が欲しい所だな」
 
 私は肩をすくめる。
 こんな玩具で得意満面になっているネイムに少々、不快感を感じる。
 
「まあ、正確に急所を狙ったところだけは評価しておくか。で、もう、終わりか? ならば、殺すぞ?」
 
 私はネイムに向けて、そう告げた。
30ネイム・オンリー:02/04/12 18:58
>29 (殺人卿vs死の教師)
 
(これはまた、参りましたね……) 
 
あっさりかわされた刃を引き戻しながら、開いた左手で頭を掻く。 
しかし、投擲の瞬間を誤魔化し、投げる瞬間も見えないはずのあの状態で
彼女は一体どうやって飛来する刃を感知し、回避したのだろうか?  
 
(彼女が、人でありながら人の範疇を超えた存在だから?)
  
酷く安易な回答を思いついた自分に苦笑する。 
だとしても、やるべきことは、成すべきことは変わらないからだ。  
 
「評価はありがたく受け取っておきます。
 が、さて……殺されるのは困りますし、なにをしたものでしょうか?」 
 
短剣を右手の中に収め、もう一度投擲の姿勢を取る。 
ただし今度は、投げるだけではない。 
 
「芸の無い私ですが、もう少しお付き合い願いますよ」 
 
――投擲した次の瞬間、思い切り踏み出す。 
神経が反応し、筋肉がそれに応え、体がガクンと急発進した。 
 
 
死の教師はその名のとおり、標的を死を教えるべく走り出した。
>26
VS アルトルージュ
『The redoing saints』
 
《ぼごぉっ!!》
 
アルトルージュの背後の地面が大きく盛り上がる。
そこから現れたのは・・・・・クロノ!
 
≪おぉぉぉぉぉぉ!!≫
 
クロノは、驚き振り返るアルトルージュの胸元めがけ拳を突き出す!
 
《じゅぼぉ!!》
 
熟れた果実が弾ける様な音をたて、クロノの腕がアルトルージュの胸を貫く。
その手に握られるは・・・・・彼女の心臓!
彼女は、一瞬びくりと体を跳ね上げるがすぐにクロノに憎悪の視線を向ける!
 
≪まだ・・・・終わりじゃないんだよ!!≫
 
クロノは胸から腕を引き抜く。
みるみると塞がっていく傷跡。
その傷がふさがる前に―――――クロノは何かを傷後に埋め込んだ!
 
何かを包み込んだまま、傷がふさがる。
 
怪訝な表情を浮かべ、クロノに向き直るアルトルージュ。
作戦は・・・・成功した。 
クロノが大きくバックステップ、再び彼女に光弾を放つ!
絶対の自信があるのか、彼女はかわそうともしない。
光弾が彼女を直撃し――――――
 
《 ド ォ ン ! ! 》
 
彼女の体を光が包み込む!
さきほど、彼女にクロノが埋め込んだもの。それは、『福音弾(ゴスペル)』。
彼女の体に埋め込まれた『ソレ』が――――クロノの光弾の衝撃で、炸裂したのだ!!
32アルトルージュ(LV3):02/04/12 21:46
>31
『The redoing saints』
 
 突然、悪魔が私の背後に現れる。
 私が振り向いた瞬間に――
 
 私の胸を貫かれ、心臓は握りつぶされた。
 
「アハ、アハハハ! 私がこのくらいで死ぬ訳ないでしょ!?」
 
 心臓の再生を待つまでも無く、私は悪魔に迫る。
 
 ――そこに悪魔が何かを私に傷口に埋め込んだ。
 
 無駄よ、無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄――
 
「――今更、何をしようというの? シニナサイ」
 
 悪魔が飛び退いて、光弾を放つ。
 だから、無駄よ。
 そんなもので――
 
「―――――!?」
 
 光弾の着弾と同時に私の中で呼応するように、爆発が起こる。
 何が起こったのかを理解する暇もなく、私の身体は消し飛んだ。
>31
『The redoing saints』
 
 突然、悪魔が私の背後に現れる。
 私が振り向いた瞬間に――
 
 私の胸を貫かれ、心臓は握りつぶされた。
 
「アハ、アハハハ! 私がこのくらいで死ぬ訳ないでしょ!?」
 
 心臓の再生を待つまでも無く、私は悪魔に迫る。
 
 ――そこに悪魔が何かを私に傷口に埋め込んだ。
 
 無駄よ、無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄――
 
「――今更、何をしようというの? シニナサイ」
 
 悪魔が飛び退いて、光弾を放つ。
 だから、無駄よ。
 そんなもので――
 
「―――――!?」
 
 光弾の着弾と同時に私の中で呼応するように、爆発が起こる。
 何が起こったのかを理解する暇もなく、私の身体は消し飛んだ。
>33
VS アルトルージュ
『The redoing saints』
 
『ロゼット、クロノ、アズマリアの三名を収容。
 重態一名、応急処置が必要と思われる者一名!オーヴァー?』
「ロゼット!アズマリア!」
 
僕の眼の前でロゼットがマグダラのエクソシスト達に車へと運ばれていく。
アズマリアは、応急手当を受けているようだ。
 
「・・・・・・・・・。」
「ロゼット!しっかりするんだ!!」
 
ロゼットは顔面蒼白になり、息も絶え絶えだ。
消耗しているところに、長時間封印をといていたせいだろう。
く――――!
僕は、コブシをきつく握り締める。
 
『クロノ、辛いのはわかるが・・・・27祖とたった三人でやりあって、生還できたんだ・・・・。
 君は、よくやったよ。ロゼット達もね。』
「それは・・・・そうかもしれないが。」
『ロゼットの事はまかせなさい。 私達が、責任を持って治療するわよ。』
「・・・・・頼む。」
 
ばたんと、扉が閉められ車が走り出す。
僕は、それを見送る。
 
「クロノ・・・・・。」
「アズマリア、もう大丈夫なのか?!」
「はい・・・・・。
 ロゼット・・・・・大丈夫ですよね?」
「あぁ・・・・きっと平気さ。」
 
僕は、そういいながら車が去った方向を見つめた・・・・・。
35御神苗優:02/04/12 22:56
はっきり言って迷惑だ!〜御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司  
>前スレ513 シグモンド >27 緑川
 
「ん?なんだ?」 
 
妙に騒がしいと思ったら、さっき、俺がぶつかった兄さんに、
チンピラがつっかかってるところだった。
しかも、ちょうどいいことにさっきの黒い奴にもつっかかってたらしい。
気が向こうに向いてる今がチャンス! 
 
俺はそそくさと隠れていた柱の陰から抜け出すと、
急いで清水の舞台の階段へと逃げ出した。 
こんなところで戦闘なんてまっぴらだからな。 
 
36横島忠夫 ◆EPn0Sdvo :02/04/12 23:07
>23 vs チャイナ・ブルー 『夕暮れの狂詩曲』 
 
 土と埃と、色々と重く漂う洋館の床。そこに三度叩き付けられて、俺の全身はドロドロになっていた。 
 これ、どうしたもんか・・・折角の一張羅だったのにな。クリーニングするにしても、また出費かよ。 
 はぁ〜、金なんて無いのにな。 

 手をついて、そろそろと上体を起こす。それだけでも、全身にピリピリとした痛みが走った。 
 ぐはっ・・・! やっぱ、きつい。 
 う〜ん――――――ええ感触やったけど、もう潮時かな。 
 茉莉花と戦うのもイヤだし、なにより勝てる気がせん! 
 いくら吸血鬼だからって、ピートみたいなのもいるし、無理に戦う事無いよな〜。  
  
 起きあがって、茉莉花に断ってから洋館を去ろう。 
 そう思った時、俺は息苦しさに気付いた。 
 ――――どっかで嗅いだような匂いが、辺り一帯に充満している?  
  
 深く息を吸い込むと香りが全身に周り、それに意識が引き込まれそうになった。 
 な、なんだ? ただの香水、とかじゃない。まるでガス・・・ど、毒ガスですか!? 
 ヤバイ! 
 弁明とか、間に合いそうにない!? 
 痺れ始めた掌に文珠をだす。「息」の文珠を口の中に突っ込んで、香りを吸わないように努めた。 
 くそ、間に合うか? 
 
(トリップ判定。大文字が3個以上あれば、抵抗! 麻痺から回避)
37横島忠夫 ◆EPn0Sdvo :02/04/12 23:09
>36 vs チャイナ・ブルー 『夕暮れの狂詩曲』 
 
 (EPn0Sdvo:3文字・・・抵抗)  
 
 痺れるような感触が抜けきった。よし、動ける! 
 ここで麻痺して放置されるのは、いくら何でも悲しいすぎるからな。 
 足下を確かめるように、一歩、一歩と茉莉花の元へ近づく。 
 
 だが――――もう右手に「栄光の手」は輝いていない。 
 
 も〜ええから、訳を話してとっとと帰ろう。 
 可愛い娘と知り合いになれただけでも、しめしめって事にして・・・ 
 美神さんの折檻は――――――軽いコトを祈りつつ。 
>18 レイオット&紫雲 vs アルクェイド 『企業の論理』
 
二人を発見してから追いつくまで僅かに数秒。
ミラーシェードの男が懲りる事も無く銃弾をばら撒きながら逃走する。
だが、その動きには明確な意思が読み取れる…何かがある。
……ならば、根こそぎ屠ってやろう。
  
瓦礫を盾にしながら移動する、それになんの意味も無い事に気が付いていないのか?
それとも、わたしの力が瓦礫程度で防げるとでも?
  
「いいわ、身をもって知りなさい」
  
周囲の大気に歪みが発生し急速に拡大していく。
それは大気の隙間の集合体、自然にはありえない程の密度を持った真間の刃。
わたしから見れば詰まらない芸だ…でも男の身体を血と肉片に変えるには十分過ぎる。
  
それが十メートル程に拡大した時、――ドン、と大気のが弾ける音が響く。
   
殺気が形となって進路上にあるモノを侵食しながら男に殺到する。
わたしは、男が紅い血の花に変わることを確信しながら呟く。
  
「――終わりよ」
 
その時、横から不可視の刃が叩きつけられ、わたしを拘束する。
コントロールを失い乱れる真空の刃…手応えは在ったが男の生死は確認できない。
>38 続き 

―― 魔法士ね、ふざけた真似を・・・何度も何度も!! ――
 
見えない刃がわたしを引き裂こうと締め上げる。
 
「不愉快よ」
 
金色の魔眼がいっそう輝きをまし、周囲までもが異界に変わる。
世界がわたしの意識の支配下の組み込まれる。
  
左腕一本で戒めを切り裂き無効化する。
なんて貧弱な力、この程度でわたしに逆らうなって・・・なんて愚か!
そんな力に汚されるなんて、なんて不様!!
 
―― いいわ、二度とそれを使えない様にしてあげる ――
―― あなたの生んだ呪素に身体を犯される不快さを教えてあげる ――
―― 生きたまま、腕を引き裂き、足を潰してあなたを飾ってあげる ――
  
あたしの『想い』が不可視の形になって鎧の男を拘束する。
  
周囲の『世界』は全てわたしの懐と変わらない。
その気になれば一瞬で引き裂く事も出来る…だけどそんな事しない。
 
―― だって…それでは生きたまま心臓を抉り出せないもの ――
―― 抉り出した心臓を、この男に見せて上げれらないもの ――
  
鎧の男から身動きすら出来なくなった動揺が手に取る様にわかる。
だからこう宣言した。
  
「これから生きたまま引き裂くわ、抵抗してもいいのよ…できればね」
  
狂気を宿した金色の魔眼で微笑みかけながら右手を掲げ、ゆっくりと近づく。
その方が、きっと彼も喜んでくれるだろう。
 
「死は、貴方たち人間にとって最後の娯楽でしょう」
 
周囲の世界は全て押えた、いかな戦術魔法士の技術でも世界に事象の上書きなど
許さない…これ以上許したりしない。
40紫雲(M):02/04/12 23:13
>38>39 vs アルクェイド 『企業の論理』 
 
 咄嗟に体が動く。懐に仕舞い込んだ中折れ式のミサイルランチャーを取り出し、揺れる空間に射撃。 
 何ものかに切り刻まれ、AVM(対戦車ミサイル)は即座に爆散した。 
 爆風と真空。 
 重なり合っても真空はその力を僅かに弱めただけで紫雲に殺到した。が、刃が集まるべきその場所に紫雲の姿は既に無い。 
 真空のズレと爆風の反動、回避行動でその中心の災禍からは逃れていた。 
 余波だけでも、並みの人間ならば死に果てそうな勢いではあったが・・・強化された肉体は、死を許さない。  
 
 アーマージャケットは切り刻まれ、皮膚装甲もごっそりと抉り取られる。 
 鮮血が風に乗り、灰色の街の所々を朱に染めた。痛覚や感覚の麻痺に声を上げる前に、体の反応が落ちつつある事に舌打ち。 
 深刻なダメージは神経を筋肉を傷つけ、動きを制限する。打撃も与えていないのに、こちらは追い詰められている、か。 
 
 地を転がりながら体勢を立て直すと、レイオットを拘束したらしいアルクェイドにAVMの照準を定める。 
 いや――――この程度の火力など、効きはすまい。それよりもポイントに誘導出来た事を利用した方が、余程ましだ。 
 照準とランチャーをそのままに、紫雲は手をこめかみあたりに伸ばす。 
 ミラーシェードの無線で作戦の発動を依頼。 
 即座に配置されたシャーマンたちが儀式魔法を展開。 
 元から希薄だった生命の流れ「地脈」を確認するとそれを遮断。 
 一時的ながら、羽田は文字通り死の街となった。 
 
 ――それを、感じ取ったわけではあるまいが。 
 
 懐から単分子鞭のグリップを数個、取り出す。本来のそれよりも大ぶりに作られた”重り”を銃に接続。 
 撃ち出し、瓦礫とアスファルトに寝そべらせた。横たわる単分子のラインは数本。 
 ちょうど、アルクェイドとレイオットを結ぶ線を断つように、微細なる破壊は息を潜める。 
 合わせて、グリップを瓦礫の上に設置。その瓦礫の下にC4を敷設し、アルクェイドが踏み出すタイミングを待った。 
 爆風にまみれたモノ・フィラメントが、彼女を切り裂くまであと・・・・・・ 
41シグモンド ◆DGUNdOgI :02/04/12 23:22
◆御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司◆
>27緑川  >35御神苗
 
地元のチンピラが絡んできた。
早口で何かをまくし立てているが…。
別段どうでもいいので無視をしていたら…。
 
おかしな状況になってきた。
無視されていたチンピラが他の男に目をつけたらしい。
まあ、騒ぎがデカクなる前にチンピラ共にはご退場願う予定だったが…。
見る間の内にその男がしごくあっさりと片付けてしまった。
(……単純に達人…、というわけではないな、コイツも化け物か…?)
 
警戒ランクを少し高めつつ、この騒ぎに乗じて逃げようとするヤツ―――
御神苗優を発見した。 
 
「やれやれ…だ」
 
口の中でそう呟きつつヤツを追うために走った。
途中、ギターケースが何かに激しくぶつかった気はするが…、
ギターケースに異常はない。
気にしないで置こう。
42チャイナ・ブルー:02/04/12 23:29
ヨコシマvsチャイナ・ブルー 『夕暮れの狂詩曲』 
 
>36

あたしの「香り」は自分よりよほど格上の魔物でもない限り、その動きを止めてしまう。
しかし、あの少年は、それすらしのぎ切って見せた。

『・・・まいったわぁ』

こうなったら、生かして帰そうなんて甘い考えは捨てよう―
あたしは、考えを切り替え、右手を貫手の形に固める。体術ならあたしの方が上、心臓を
抉って終劇、そう思った。

と、物音がする。外はすっかり宵闇に包まれていた。

「『チャイナ・ブルー』?!そうか、貴様が追っ手なのか・・・しかも人間のハンターまで手引き
するとはな・・・『氏族(クラン)』も地に落ちたものだ」

広間の階段の上からあたしたちを見下ろす美しい容貌の青年。彼があたしの獲物。
歪んだ吸血と殺戮の欲望にかられ、パートナーを殺し氏族を抜けた外道。

「言いたいことはそれだけ?―もう、夜はあなたの時間じゃないのに」

あたしは冷たく死の宣告をして、階段の向こうの男と向かい合った。
>34 『The redoing saints』
 意識が次第に明白になる。



 気がついた時は私は通りの隅に首だけで転がっていた。
 
 少し、向こうに車に運び込まれる少女が見える。
 そして、それを心配そうに見守る2人の少年少女……
 
 ああ、そうか、私はやられたのか――
 
 身体があるなら今すぐにでも背後から、あいつらを引き裂きたい。
 でも、今の私には何もできない。
 ただ、ひたすらにもどかしい。
 
 思考がぐるぐると回転する中で、突然、大きな影が私の前に現れる。
 
 ――それは私の半身とも言えるプライミッツマーダ―だった。
 
 私の命令を完了し、戻ってきたようだ。
 
「プライミッツマーダ―、私をあの2人のところまで咥えて運びなさい」
 
 プライミッツマーダ―にそう命令する。
 プライミッツマーダ―は私の髪の毛を咥えて、あの2人のところまで一気に飛んだ。
 
 2人が驚いた表情で私を見つめる。
 それはそうだろう。
 私を倒したと思っていた矢先に、当の私が首だけとなって現れたのだから――
 
「見事にやってくれたわね。正直、私、なんて言えばいいか、分からないわ」
 
 今、ここでプライミッツマーダ―に命令すれば目の前の2人はおろか、先ほどの少女も殺すことができるだろう。
 でも、それでは私の気がすまない。
 
「――ただ、一つだけ言わせて貰うわ。次はコロス」
 
 金色の眼で2人を睨みつけた後、私はプライミッツマーダ―に合図して、その場をプライミッツマーダ―とともに立ち去った。
 
 ――今の私には時間が必要だ
 
 そう、身体を再生させ、力を取り戻す時間が……
 せめて、その間はあの3人をどう引き裂くかを夢想しよう。
 そして、それをどう実行するかを……
 
 ――ワタシノシコウハステキナジゴクエズノサクガヘトトンダ
44スミレ ◆3L3vngC6 :02/04/12 23:38
空中大殲〜ヤツは空に居る
>前スレ320
 
 扉から落ちていったパイロットが化物に喰われる。
 その表情が私の心に突き刺さる。だけど。
 
 横島が顔を歪めるのが目に入る。
 酷い話。
 名も知らぬ者の死より、彼が悽んだ事の方が何倍も痛い。
 
 目の前を駆け抜けた御神苗の言葉を聞き流し、私は機外と機内の気圧を近づけていく。
 気圧差が無くなれば断層の維持を中止して攻撃を行える。
 しかし……
 
 普段であれば一瞬で終了するその具現化を、10秒近くかけて終わらさせる。
 力の収束が普段とは比べ物にならないほど遅い。
 その上、行使できる力も悲しくなるほど小さくなっている。
 たぶん今の私に、この化物を倒す力はないだろう。
 
 ――でもね……出来る出来ないじゃない。
 
 目を細め、私は獲物を見つめた。
 笑みをさえ浮かべ私は
 
 ――お前は私が殺すよ……
 
 イメージを具現化。
 笑い出したくなるほど弱々しい力の集中。
 私はそれを化物に叩きつけた。
 
(トリップ判定。この書き込みのトリップの最初の1文字が大文字なら炎、小文字なら風、数字なら雷の具現化)
(記号の場合、具現化失敗) 
45エリ ◆Eri.06RI :02/04/12 23:42
エリvsマッカーチス 『another mission』

>28
 
「なんとか、勝てたか・・・」
 あたしは爆風で軽く吹っ飛ばされていた。
 痛む体に鞭打って立ち上がるとマルコ達が走ってくるのが見えた。
「全く、来るのが遅いわよ・・・」
 苦笑してあたしは歩き出した。
 
 
 ミッション、コンプリート!!
 
<アルトルージュvsロゼット&クロノ&アズマリア>
〜『The redoing saints』〜
のレス番纏めよ。
前スレの文のレス番まとめはコレ。
http://salad.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1017941718/508
 
>11>14>22>25>26>31>33>34>43
47横島忠夫 ◆YDaTadao :02/04/12 23:49
>42 vs チャイナ・ブルー 『夕暮れの狂詩曲』 
 
 うわぁ! ほ、ホントに出たっ! 
 広間の階段から、美形が一匹、物々しい雰囲気をまとって降りてきやがった。 
 喋りもそれっぽく、それに対する茉莉花もまた、それっぽい。 
 
 やっぱ、アレ、吸血鬼か? 
 雰囲気とか霊波とか、それっぽいし。何より・・・美形、美形だし。 
 ――――全身の遺伝子が告げた。アレは敵だと、間違いなく敵だと! 
 殺すしかねーな、うん。 
 
 そう思いつつも、足は勝手に茉莉花の後ろへ。 
 その背中に隠れる、俺。 
 何となく冷たい視線を感じ取りながらも、俺は掌に文珠を取り出す。 
 
 ――――ああ言うヤツに、遠慮はいらねぇ! 

>40 レイオット&紫雲 vs アルクェイド 『企業の論理』
 
身動きさえ取れない魔法士に一歩一歩近づいていく。
 
「どう?動けないでしょう、その拘束は人間には破れないわよ」
 
「あんたの仕業か?」
 
この後に及んでも、まだ魔法士に恐怖に色はない。
…本気のわたしを前にこの態度を取れるなんて…大したものね。
  
すこし興味が出た…顔を見てみたいな…恐怖の表情を。
     
仮面を引き剥がす為に右手を突き出す。
その時、異変が起こった。
  
―― 地脈が消えた!! ――
  
なぜ? こんな事ありえない!!
地脈が全てでは無いにいしろ、世界から力を受け取る最大の供給源なのには違いない。
 
―― まさか、あの男がまだ生きている? ――  

意識を魔法士から、周りに向ける。
 
その時……。
49チャイナ・ブルー:02/04/13 00:02
ヨコシマvsチャイナ・ブルー 『夕暮れの狂詩曲』 
 
>47

あたしは、軽い跳躍でいきなり階段の上まで飛び上がる。
そして、一気に蹴り足を叩き込む。『人間しか殺したことのない』弱い吸血鬼に負ける道理なんか、
あたしにはこれっぽっちもないのだから。

今夜のリズムは夜想曲。優美に、しかし確実に奴の体をあたしの脚は破壊していく。再生速度すら
上回る勢いで。

そして、最終楽章。必殺の後ろ回し蹴りが奴の首を捉える。階段の手摺りを破壊しながら落下して
いく奴の真下に、あのハンター、横島と名乗った、がいた。

『ま、しゃあないか・・・事故言うことで』
50淫藤宗光/ヒトラー:02/04/13 00:06
淫藤宗光/ヒトラーvs竜崎天馬(M)&壇隼人(M)「ヴァレンシュタイン作戦」

>21 >24

危険を感知した隼人がケーニヒス・ティーゲルから飛びずさる。

しかし、隼人の拳が打ち砕いた装甲の中から飛び出したなにかは、隼人を空中で
捕捉した。

「まじぃ……待ってろ!!」

天馬は、流星之剣を手に隼人を救出するべくケーニヒス・ティーゲルに肉薄したが、
その天馬の足にも「何か」は絡み付き、天馬を空中に宙吊りにした。

「んな馬鹿な、これは――」

自分と隼人に巻きつくものの正体を知り、天馬は絶句した。

「何か」――粘液をしたたらせ、悪臭を放つ赤黒いそれはどう見ても、腸であった。

悪霊は鋼鉄の車体の内部に有機生命体と変わらぬ身体構造を与えたのか。

車体前部に一文字に亀裂が走り、ビチビチと音を立てて開いた。
ケーニヒス・ティーゲルに生まれた口には、その名前の由来たる虎を軽く凌駕
するまがまがしさの牙がずらりと並んでいた。

そして、腸は二人を、その口へと恐怖をあおるようにゆっくりと近づける。

獲物を手中におさめたと確信した悪霊は、いまや体をのけぞらせて
哄笑を発していた。


>426 アーカードVSアベル・ナイトロード
(アベル J>h アーカード アベル勝利)
 
 無数の腕が虚空を渡り、アベルの身体へと喰らいついた。
 
 ――だが。
 その一瞬前に、死神の大鎌がアーカードの体を切り裂いていた。
 
「――私の、負けか」
 半分だけ残った口でそう呟くと、アーカードは倒れ込む。
 その全身には無数の傷が走り、再生すら出来ない。 
 
 最早、彼に打つ手は無い。
 見上げる先には、鎌を携えた堕天使がいる。
 ソレが獲物を振り降ろすだけで、アーカードは灰へと還るだろう。
 
 ――だが、その口元は
   これ以上ないほどの歓喜に、歪んでいた。
 
 自身の死すら厭わない程の殲争狂。
 その存在も、もうすぐ終わりを告げる。
 アーカードは訪れる死の宣告を待った。
 
「…………?」
 
 だが、死の具現が振りかかることはなかった。
 訝しげなアーカードの視線の先には、鎌を振り上げたままで立ち尽くす、それの姿がある。 
 体内で二つの意志がせめぎ会っているかのような光景だった。
 
「……約束、シタ。ズット昔。俺ハ」
 
 ――苦しげに、微かに聞こえてくる呻きは、
 怒りでも呪いでもない、深い悲しみを含んでいた――
 
「、俺ハモウ――誰モ殺サナい……罪ヲ購ウと誓ッタンダ。俺ハ――!」
 だが、その言葉とは裏腹に、大鎌は少しずつ下がっている。
 
 断罪の一撃が、風を巻いて振り下ろされ――
 
「――――神父さま!!」
 
 ――アーカードの頭部を僅かにずれた床を粉砕した。
 
 見れば。
 階段のあった場所には、一人の尼僧の姿がある。
 
「――エステル、さん」
 
 怪物そのものの己の姿を恥じるかのように、アベルは顔を伏せた。
 だが。
 
「申し上げたでしょ? あたしは、あなたなんか、全然恐くない……って。
 だから、
 ……帰りましょう。ローマへ」
 
 血の色をした瞳が、冬の湖の色へと戻ってゆく。
 その瞳で、彼は空を見上げる。
 そこには、紅く染め抜かれた十字を持つ、純白の飛行船があった。
 それは、まるで。
 罪を赦す天使のような――。
 
「……ええ。一緒に……帰りましょう」
53横島忠夫 ◆YDaTadao :02/04/13 00:19
>49 vs チャイナ・ブルー 『夕暮れの狂詩曲』 
  
 すかした吸血鬼野郎が茉莉花に蹴り倒されて、落ちてきた。 
 ・・・って、やり損なってる!? 
 てっきり茉莉花一人で片が付くかと思っていたら、そうは上手く行かないっぽい。 
 
 ――――咄嗟に、体が動いた。
  
 右手に「栄光の手」が発生。手を覆う霊波の光がギン、と鳴った。 
 近づく、ヤツの姿。それに合わせて右手をかざす。 
 
「この、ゴーストスイーパー横島忠夫が・・・」 
 
 手の形の霊波が素早く剣を形作って―――― 
 
「極楽にいかせてやるぜっ!」 
  
 軽い音と共に、吸血鬼の体をぶち抜いた。圧倒的な霊波が吸血鬼の霊体を浸食し、うち崩す。 
 元より滅びかけていたその体に、俺の一撃を耐えきる力は残っていなかった。 
54チャイナ・ブルー:02/04/13 00:28
ヨコシマvsチャイナ・ブルー 『夕暮れの狂詩曲』 
 
>53

勢い余って階下に蹴り落としてしまった奴を、あの少年の霊波の光が貫く。

「Ash to Ash、Dust to Dust・・・」

ふとハンターの常套句が口をついて出る。あたしは、軽やかにホールに飛び降りた。

「・・・やっつけてもうたね、結局」

あたしは苦笑いを浮かべた。

「ほんでもって、どないするのん。今度は・・・あたし?」

そう問い掛けてみる。油断はしない。だが――
55衾(M):02/04/13 00:29
空中大殲 「ヤツは空にいる」

前スレ>318 >320

バンダナの少年を掴み取ろうとした触手は、そいつの右手から伸びた霊気の刀に切り裂かれた。
だが、別にどうというコトはない。斬られたなら、斬りきれなくなるまで続ければよいだけのコトだ。

「ひへへ〜〜、なかなかやるじゃねぇかァ。それっぽっちじゃァ、痛くも痒くもねェけどなァ〜〜」

見たところ、闘えるのはアイツ1人のらしい。
さっきコックピットにいたヤツは何か叫びながら後ろの方へと消えた。おそらく、逃げたのだろう。
ここは空の上、どこにも逃げる場所などないというのに。

嘲弄の表情を浮かべる衾が驚いたのは、次の瞬間だった。
バンダナの奴の手が、いきなり伸びてきたのだ。少なくとも、衾にはそう見えた。
霊気の塊は、そのまま触手を薙ぎ払いつつ、衾の腹に突き刺さる。
消化しきれていなかった、以前口にした人間の持ち物が、こぼれ落ちてきた。
金のネックレス、鼈甲ぶちの眼鏡、家族が写った写真、………

「今のはちィっと効いたなァ〜〜」

だが、衾は妖の中でもすこぶる打たれ強いのだ。
驚きはしたが、大したダメージではない。

>44
と、そこに。
いきなり出現した雷が、衾の身体に絡みついてきた。
ダメージ自体はどれほどのコトもない。衾には雷などほとんど効かない。
だが、雷なんぞがいきなり現れるハズがない。そんなコトができるヤツがいるとしたら、そいつは……

「女ァ〜〜、てめェ妖だな。妖が人間の手先かよ、情けねェなァ〜〜。
 消してやらァ、そのニヤついた笑みをよォ〜〜!」

笑みを浮かべてこちらを見据える女に言い放つと、衾は女に触手を集中させた。
その数十数本。尖ったその先端は、鋼さえ紙の如く貫くだろう。
56御神苗優:02/04/13 00:31
はっきり言って迷惑だ!〜御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司    
>41 シグモンド
 
やべぇ、見つかった!? 
俺も奴に追いつかれまいと必死で逃げる。
人の間を通り抜け、人の波を掻き分け、
なんとかして集合場所に逃げ込もうと図る。
バスに乗っちまえばこっちのもんだ。
後はどうにでもなる。 
 
後ろを見る余裕なんかない。
見てたら追いつかれる。
足をとめる気もない。
ホラー映画の鉄則だ。
足をとめるな。後ろを振り向くな。
別にこれはホラー映画に限った鉄則じゃない。
戦場でも同じだ。
 
まぁ、とにかく、俺は全力で逃げていた。
・・・・・・神様、少しだけでいいから、俺に平穏な日々ってヤツをください!!
57横島忠夫 ◆YDaTadao :02/04/13 00:35
>54 vs チャイナ・ブルー 『夕暮れの狂詩曲』 
  
 ボロボロと崩れる吸血鬼ヤローの姿。 
 は、ははははははは・・・な、なんだよ。俺にも出来たじゃないか。 
 これなら、なんだ。ビビる事もなかったな! 
 よし、これで報酬だ! 美神さんにも折檻される事はない! 
 茉莉花とも知り合えたし、良い事ずくめじゃ―――――― 
 
 なんて、思っていたら。 
 
「今度は・・・あたし?」
 
 そんな事を、茉莉花は問いかけてきた。 
 へ? 俺が茉莉花を、倒す? なんで!? 
 しばらく質問の意味がわからなかった。でも・・・少し考えればわかる事。 
 
 俺はゴーストスイーパーで、彼女は吸血鬼。 
 本来なら、俺は彼女を狩らなくてはならない、のかも知れない。  
 でも・・・ 
 
「茉莉花さん、吸血鬼退治のご協力感謝! お礼に今度お食事でもご一緒に――――」 
 
 素早く、本当に素早くその手を取りながら、俺はそんな事を訊ねていた。
>50 淫藤宗光/ヒトラーvs竜崎天馬(M)&壇隼人(M)「ヴァレンシュタイン作戦」

 二人は、妖戦車の触手に絡みつかれ、今や絶体絶命。
 その上、触手は獲物を確実に仕留めるため、天馬の首をきつく締め上げる。
 
「ぐ・・・」
 
 さしもの天馬もこの状況では抵抗出来ない。
 だんだんと、意識が遠くなる。
 
(こんなところで・・・死ぬのか・・・オレは)
(オレはまだ、死にたくねぇのに)
(もっと、飛びたいんだ。もっと、速く、高く、遠く)
(はるか、月までも)
 
(なあ。流星よ――――どうすれば、いい?)
 
 かくり、と天馬の頭が垂れる。
 妖戦車が、その口を大きく開ける。
 
 刹那。
 
 触手が全て、千切れ飛んだ。
 
「聞こえたんだ――――剣の声が」
 
 天馬が呟く。
 そう、触手を断ち切ったのは、流星の剣の一閃。
 
 そして、ゆっくりと流星の剣を上段に構える。
 天に向かって伸ばされた透明な刃は、眩いばかりの輝きを帯びている。
 
 ――――まるで星の煌めきのような輝きを。
 
『陸奥守流星乃剣、其の力十全に発揮せし刻、刀身星の煌めきを放てば』
 
 そのまま、剣を振り下ろす。
 無為に見えて、無駄のない一撃。
 その技は、まさに達人のもの。
 
 刀身からの煌めきがまさに光の刃となり、妖戦車を断ち切る。
 光の刃は、妖戦車のエンジン――いまや心臓と化したソレを、一撃にして両断していた。
 
「この世に於いて、斬れぬもの無し」
 
 言葉の最後に、妖戦車の断末魔が、重なった。
59御神苗優:02/04/13 00:44
空中大殲〜ヤツは空に居る
>55 衾
俺はカーゴラックへと飛び降りた。
ギシギシときしむ機体の音に急かされながらも、
俺は役に立ちそうな獲物を物色する。
 
「これと・・・・・これ・・・・・と・・・・・・・これでいいな」 
 
俺が選んだ武器はRPG−7、M−79グレネードランチャー、
そしてMG34軽機関銃。今の武装で考えうる、最良の武装だ。
そして、俺は腕を吊っていた三角巾をはずすと、RPG-7をそれで縛る。
疲弊したあの二人じゃあ、それほどの時間は持たないだろう・・・・・・ 
そして、彼らの敗北は即、俺たちの敗北につながる。 
俺はMG34を客室内に放り込む。
そして、三角巾でしばり上げたた武器を背負い上げ、
肩からグレネードランチャーを三丁吊るし、弾薬を体に巻きつける。
そして俺は立ち上がる。戦場で俺を待ってる二人のもとに。 
 
「今行くぞ、待ってろ!!」 
 
>48 vsアルクェイド
 
 どこか面白がるような表情で、彼女はこちらに向かい右手を突き出し――――
 そして、手が触れる直前で、その動きを停止した。明らかに動揺した表情で、しきりに周囲を伺っている。
 あり得ない、と言う僅かな声が、不可視の力で束縛されてたままのレイオットに届く。
 何事が起きたのかは分からないが……彼女にとって、不測の事態が発生したらしい。逃げるのであれば、
 僅かな時間とは言え完全にこちらを忘却している今しかない。
 
 しかし――――
 
(とは言え、まったく動けない、か)
 
 口は利けるというのに、指一本動かすことが出来ない。一体、どうすれば……
 そこで、ふと思い出す。――その束縛は、人間には破れない――
 
(人間には――ね)
 
 人間には破れない。人間には。人間の力では。ならば――手は、ある。
 問題は、間に合うかというただ一点だけ。
 
「我・法を破り・理を越え・更なる力を欲す者なり――」
 
 口の中で、小さく。だが、その詠唱は可能な限り早く。スタッフさえ使えれば、僅か一動作で済む作業ではあるが、
 そんなことを考えている時間すら惜しい。
 
「我は鉄人・我は巨人・我は超人・瞬く間なれど・与えよ・我が身に・人を越えたる力を・仮初めなれど・我が拳に・
 万物を粉砕せしめる・奇跡を宿せ――」
 
 まだ彼女はこちらの動きに気付いてない。それとも――気付いていて尚、放置しているのだろうか。自らの力に対する、
 絶対の自信。だがそれは……戦いに於いては、ほんの僅かな空隙となって当人の足を掬う。
 
「ソコム・ソコム・ラ・アプス――ヘルケ・ウント・コッフ・パウ・エイス……アプス・アプス・アプス・ラン……
 <アクセラレータ>……」
 
 瞬間。彼女が、こちらの動きにようやく気が付いた。既に呪文は完成している。これが通用しなければ――
 その時点で、終わりだ。レイオットは彼女の視線を見据えて、にやり――と不敵な笑みを浮かべる。
 仮面越しに浮かべたそれは、当然見えるはずもないが。
 
 全身の力を込めて、叫ぶ。
 
「――イグジストッ――!」
>61 vsアルクェイド
 
 胸部から、ぢぃん――と乾いた音を立てて、三つの拘束端子が弾け飛んだ。残り拘束度数7。
 魔法発動と同時に強制的に肉体強化。全身が、ぎちり、と音を立てて軋む。強制的に加速された神経電流が全身を
 駆けめぐり、同時に、戦闘機動に不要な臓器の一切を仮死状態に落とし込む。
 
「おおおおおおおおおおおおおおっ!!」
 
 雄叫びと共に、強化された筋肉がうなりを上げた。毛細血管を破裂させながらも、常人を遙かに超越した驚異的な力を
 発揮。全身を拘束していた不可視の束縛を、無理矢理に引きはがす。
 その瞬間、音無き音が、レイオットの耳に聞こえたような気がした。
 束縛から解放され、レイオットは一気に動き出す。再びこちらに突き込まれようとしていた腕を、振り上げた左腕で弾く。
 同時に、彼女のその腹部に全力で蹴りを叩き込み、その反動で一気に数メートルの距離を跳躍した。
 
 こちらの突然の変化に、彼女は驚愕の表情を以て応える。レイオットは再び表情に、獰猛な笑みを浮かべた。
 <アクセラレータ>に依る身体強化は、肉体が『騙された』事に気付くまでの僅かな時間だ。レイオットの場合……
 およそ三分。それが過ぎれば、その反動によりまったく動けなくなる。
 
 つまり――勝負は、後三分決まるのだ。
 僅かな一瞬たりとも、もはや無駄には出来ない。残像が残るほどの猛烈な速度で、レイオットは動き始めた。
62檀隼人(M):02/04/13 01:07
>50>58 淫藤宗光/ヒトラーvs竜崎天馬(M)&檀隼人(M)「ヴァレンシュタイン作戦」
 
 隼人は眼を剥いた。
 目も眩む剣光一過、妖戦車は半ば二つに断たれたのである。
 聞く者の五感だけでなく第六感すらも灼きらだらせん断末魔を振り絞り、悪霊すらも消えて行く。
 星の数より尚多い戦士・武術を見知る『転校生』と言えど、唯の一刀で戦車を二つにしてのけた絶技
には、唖然とするしかなかった。
 
 ずるりと倒れる触手から身を離し、隼人は地に降り立った。
 
「助かった。礼を言う」
 
 軽く頭を下げると、隼人はまだ地上で燻っていた怨霊の残骸を踏み潰した。
 彼方に眼をやる。
  
「妖気の流れと魔術的意匠の配置からして、親玉どもの居場所はこっちだ。――行こう、相棒」 
 
 
 広大な死の空間を抜け、二人は今度はごく真っ当な部屋の前へ辿り着いた。
 ドイツ語で「艦長室」とプレートが見える。
 立ち込めるどぶ泥の如き邪気の妖気、その濃さよ。
 それはこの魔霊艦隊全体にも比すべき邪悪さであった。
63チャイナ・ブルー:02/04/13 01:10
ヨコシマvsチャイナ・ブルー 『夕暮れの狂詩曲』〜終章 
 
>57

ほんとに何なんだろう。
結局奴は倒されてしまうし、あたしの技も「香り」も効かなくて。
・・・でも、あたしに危害を加えるどころか、あたしを口説こうとして。

「・・・はあ、何やの・・・まったく」

取られた手を軽く握り返し、そして突き放す。

「もうちょっと違った出会い方したかったわ・・・再見♥」

とりつくしまも与えずに、あたしは出て行った。あのまま話してたら、押し切られそうだったから。
二度とあのハンターと会うこともないだろう、あたしはそう思っていた。
外はすっかり夜、満月が晧晧と輝いていた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――

でも、再会はすぐだった。
あたしの踊っているステージのかぶりつきの席。

「おねーさ〜〜〜〜〜ん!!」

ぶんぶんと手を振る彼の姿があった。・・・ちょっとだけ頭痛がしたりしなかったり。
64横島忠夫 ◆YDaTadao :02/04/13 01:13
>59 『空中大殲』 〜ヤツは空にいる〜 
 
 だぁ! くんなくんなくんなくんな・・・! 
 栄光の手を踊らせて、伸び来る触手という触手をなぎ払う。 
 しっかし、キリがない! 一体こいつの手はどのくらいあるんだ!? 
 と、延ばしきった手が何か今までとは感触の違うモノを切り裂いた。 
 な、なんだ? 本体に届いたのか? 
 
 その、手先に引っ掛かる微かな違和感に何か、寒いモノを感じる・・・気付くと俺は、
 栄光の手を引き戻していた。さっき、吸い出されたパイロットの姿が微かに脳裏を過ぎる。 
 なんとかそれを心の隅に追いやりつつ、霊能力を制御すると―――光る霊波の手が、指に、  
 ネックレスとか家族の写り込んだ写真とかを引っ掛かけて帰ってきた。 
  
 な、なんだよ! なんなんだよ! さっきから、こいつは――――――! 
 
 じわり、と涙が出てきた。怖くて、悔しくて、情けなくて・・・でも、こいつだけは許せなくて。 
 右手に宿る霊波が、ぐん、と出力を増す・・・ 
 
>55 衾→スミレ  
 
 さらに触手! しかも、今度はスミレさんを狙ってる!? 
 とっさに駆け込んで、触手の前に立ち塞がる――――こいつに良いように、やらせるかっ! 
 出力が高まった「栄光の手」が霊波刀の形に安定した。 
 迫り来る触手を切り裂き、叩き落とし、振り払う。 
 それでも押し寄せる触手目掛け、再び俺は手を構えた。 
 
 ――――――ハンズ・オブ・グローリー!! 
 
 俺はその名を叫ぶ。 
 突き進む霊体の塊が触手の束とぶつかる! 
 それを突き破って、再び栄光の手が大空を舞った。 
65緑川淳司:02/04/13 01:27
◆御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司◆
>41 シグモンド >56 御神苗優
 
(あそこまで騒ぎが大きくなっていくのもなぁ…
 またいつでもここに来れるんだしな、諦めよう)
先ほどの騒動が起こった場所から離れた淳司は
そのまま境内の中を見るのを諦めお土産を買う事にした。
 
2、3件の土産屋をまわり、キーホルダーやら何やらを見繕って購入していく。
(さて、次のところにでも行くか。)
まだ日は高い。他にも幾つかの場所を見る事が出来るだろう。
 
袋に入れられたみやげ物を受け取りさあ出ようと人の往来の激しい道に振り返ると、
そこを、修学旅行中だと思われる学生がすごい勢いで坂を下り、バスの駐車場に向かっていく。
(遅刻しそうなのかな…、しかしどっかで見たような。)
そう考えつつも自分の自転車を置いておいた所に向かおうとする…と、
 
坂の上から走ってきた男と思いっきりぶつかってしまう。
「…いたたた、どうもすいません…ってああ!!」
今日何度目の偶然だろうか。
淳司にぶつかったのは喫茶店の出口で彼を押しどけ、清水寺の境内でチンピラに絡まれていた男だった。
ばつの悪そうな顔をして男はそのまま走り去っていこうとする。
 
それをほんのしばらく唖然としてみている淳司。
しかし、気を取り直して男を追いかけることにした。
…関わってはいけない気がしたがそれ以上にこの男がなぜか気になったので。
66淫藤宗光/ヒトラー:02/04/13 01:36
淫藤宗光/ヒトラーvs竜崎天馬(M)&檀隼人(M)「ヴァレンシュタイン作戦」
 
>58 >62

遂に最後の決戦の時が来たのを知り、二人はお互いにうなずき合う。

隼人はドアのノブにゆっくりと手をかけた。
そっとノブをまわし――、一気に飛びこむ。

「いやあ、ようこそ」

底抜けに快活な声があがった。

大の大人が二人ぶんは並べられそうなデスクの向こうで、さながらドイツ軍に
身を投じた気鋭の大日本帝国青年将校といった格好の美青年――淫藤宗光が
見たもの全てが微笑を返さずに入られない天使のような微笑を浮かべ、
二人を迎え入れた。

どんな強烈な敵愾心も憎悪も、この笑顔を前にすれば蕩けてしまいそうであった。

しかし、隼人と天馬は、宗光の笑顔の裏に、獲物を前にした餓狼の貌を見ていた。

「ああ、“同居人”がお呼びだ。ちょっと待っててくださいね」

そして――二人の目の前で、
宗光の髪は左分けの黒から右分けの茶褐色に
黒瞳は青に
面貌は美青年から鼻下の髭が特徴的な中年男に、それぞれ変わった。

いまやデスクの向こうにいるのは、宗光ではなくアドルフ・ヒトラーであった。

「我らの魔術圏を突破し、よくぞここまでたどり着いた。
 宗光といいおまえたちといい、つくづく日本人とは侮れんな。
 貴様達を殺し、地獄の諸侯に魂を捧げる前に聞いておこう――お前達の名を」
67紫雲(M):02/04/13 01:39
>60>61 vs アルクェイド 『企業の論理』 
 
 突然、拘束を受けたはずのレイオットが加速したかのような勢いで動き始めた。 
 あのアルクェイドに肉薄し、その腹を蹴って宙を舞う。 
 サイバーウェアも埋め込んでいない、生身の人間があれかよ。 
 紫雲の口の中で、驚嘆とも嘆息ともとれない声が生まれた。 
   
 ――――狙うなら、今しかないか。 
 
 片手に持ったスイッチを押し込む。電波のトリガーが引かれ、プラスティック爆弾が煉獄を吐き出して弾けた。 
 だが、あくまで発生したのは小規模な爆発。しかも、アルクェイドからはそれなりに離れている。 
 吹き飛ぶのも精々、その周りにあった瓦礫程度。爆風に呑まれて、いくつかの瓦礫がたかだかと舞った。 
 そこに置かれた「モノ・フィラメントウィップ」のグリップごと。 
 
 ――――目に捕らえきれないほど細いラインが、それに合わせて踊り狂う。 
 ――――それはちょうど、アルクェイドの足下の事。 
 
 単分子が触れ、巻き付き、絡み付き、切り裂く。 
 身を切り裂く綱は、思惑通りに真祖の姫君を捕らえていた。 
 雨で洗い流した血が、再び体中を赤く染め直そうと溢れ出る。 
 今度は返り血ではなく、自分の血だが・・・・・・ 
  
 その成果を確認しながら、紫雲は再びスイッチを取り出す。 
 今しか、チャンスはない。ここで畳み込めねば、会社の決断によって死なざるを得なくなる。 
 部外者まで、それに巻き込むのは本意ではない。 
 なら、打てる手はすべて打つ。 
 
 ――――スイッチを押し込む。 
 
 途端、爆音があたりに鳴り響いた。発破がビルの基礎を吹き飛ばし、倒壊させたのだ。 
 破壊する柱と壁を調整する事で、倒れ込む方向までも制御して。 
 アルクェイドが単分子に拘束されている、そのポイント向けてビルが殺到した。
68スミレ ◆SUMIREYo :02/04/13 01:41
空中大殲〜ヤツは空に居る
 >55>64
 
『女ァ〜〜、てめェ妖だな。妖が人間の手先かよ、情けねェなァ〜〜。
 消してやらァ、そのニヤついた笑みをよォ〜〜!』
 
 化け物の声と共に数十数本の触手が殺到する。
 今の私にそれを防ぐ術はない。
 
 それでも私は笑っていた。
 
 その笑みを消そうと触手がさらにスピードを速める。
 そして――
 
 走りこんできた横島が、私に向かってくる触手を切り飛ばし消し飛ばした。
 
「手下じゃないわ……パートナーよ」
 
 分からないだろうけど。そうつぶやいて、
 
 私はヤツを倒すための手段を具現化する。
 
 ――雷が効かないなら……
 
 破壊と生命の象徴。
 浄化のイメージ。
 罪を清めるもの。
 
 ――これならどう?
 
 出来うる限りの炎の乱舞。
69衾(M):02/04/13 01:57
空中大殲 「ヤツは空にいる」

>59 >64 >68

女に向かって伸ばした触手は、しかしその前に立ちはだかったバンダナの少年によって阻まれた。
全ての触手が、その手に光る霊波刀に切り払われる。
その切り口は蒸発し、煙を上げていた。出力が、上がっているようだ。

さらに、触手の波を突き破り、再び伸びる霊気の手。
その光は、先程よりも明らかに強い。
今度は、無傷とはいかない。その一撃は、確かに衾に対してダメージを与えていた。

さらに、またしても唐突に現れたのは、燃えさかる炎。
これはまずい。極めて打たれ強い衾だが、炎だけは例外だ。
荒れ狂う熱気の舌にさらされた部分が、ちりちりと焼けこげ、溶けしなびていく。

「ぎぃやああぁぁぁ〜〜!!
 痛てェ〜〜じゃねェかァ、熱ちィじゃねェかよォ〜〜!!
 畜生、くたばる時は、おめーらも一緒だよォ〜〜!!」

怒り狂って叫びながら、衾はよりいっそうがっちりと飛行機を捕らえ、しがみつく。
機体各所のあげる悲鳴は、さらに大きくなる。
このままでは、もう保つまい。
>60>61>67 vsアルクェイド
 
 爆音と共に瓦礫が舞い――
 一瞬の後、単分子の鞭が彼女の全身を切り裂きながら束縛する。自身の血によって再び赤く
 染め上げられた彼女は、屈辱と憎悪をその双眸に浮かべ、その束縛を振り払おうとしていた。
 
(――――今っ!)
 
 動きを止めて。
 左手が、機械よりも素早く、そして正確にスタッフを操作。ごきん、という濁った音が、彼に力を伝えてくる。
 瞬間、彼女は自らを戒めていた単分子の鞭を、無理矢理にふりほどいた。両腕が高々と振り上げられ、
 その動きをほんの刹那だけ、止める――だが、今の彼には、その刹那だけで充分だった。
 
「顕っ!」
 
 スタッフを突き出すのと同時に、鋭く撃発音声を唱える。同時に――爆発的な力が生まれた。
 発現点を彼女の左腕に設定された<ブラスト>が、その内部から爆炎と衝撃波を弾けさせ、根本から左腕を吹き飛ばす。
 半ば炭化した腕は、どこか湿った音を立てて、レイオットの足下に転がっていた。
 
 その次瞬――――
 新たな爆音が、空間に轟く。見れば、重い地響きと粉塵を伴って、巨大なビルがアルクェイドにむかい倒壊している。
 
「――無茶をする……!」
 
 一声叫んで、レイオットは全力で、その空間からの離脱を開始した。

71横島忠夫 ◆YDaTadao :02/04/13 02:04
俺 vs 茉莉花さん(チャイナ・ブルー)の闘争のまとめだ。 
 
 プロローグ 
 >3 >4 
 
 本編 
 >7 >8 >9 >10 >12 >13 >16 >17 >19 >23 >36 >37 >42 >47 >49 >53 >54 
 
 エピローグ 
 >63 
  
また一人、お近づきに〜♪ 
>66 淫藤宗光/ヒトラーvs竜崎天馬(M)&檀隼人(M)「ヴァレンシュタイン作戦」
 
 デスクの向こうのヒトラーの問いかけに、怒気もあらわに答える。
 
「名前だと・・・?」
 
 悠然と構えるこの男が、この魔界艦隊を。
 つまり・・・あの回廊の悲しみを生み出したのも・・・この男。
 怒りが、さらに加速する。
 
「テメェ、いやテメェらみたいな外道に名乗る名前は持ち合わせちゃいない!」
「それに、語ることもねぇ! 語るんなら、コイツで語れ!」
 
 流星の剣を構え、そのまま飛びかかる。
 小細工無しの、真っ正面からの一撃。
『人形使い京都奇談』
>41
 
「ハハハハ、遂に私は太陽を克服したぞ!」
 
 イノヴェルチの誇るヴァンパイア三銃士の1人人形使いナハツェーラーは遂に300年かけて太陽を克服した。
 
「これでかの27祖にも名を連ねることができる!」
 
 そう、彼は今、この瞬間に死徒27祖入りの資格を果たしたのだ!
 清水の舞台で愉快そうに彼は笑う。
 
<ドン!>
 
 その瞬間、激しい衝撃。
 
「―――!?」
 
 ナハツェーラーはそのまま、清水の舞台から転落した。
 
「ぐっ――、何が一体…?」
 
 地面に落下したナハツェーラーはよろよろと……
 
<ガラガラガラガラ……>
 
「ぎゃあああああああああああああああああああ!」
 
 立ち上がろうとした瞬間に観光用人力車に轢かれた。
 そして、限界を超えた肉体は滅び灰となる。
 
 彼は27祖入りと切符を手にしたと同時に、地獄への片道切符も手にしたのだ。
74檀隼人(M):02/04/13 02:30
>66>72 淫藤宗光/ヒトラーvs竜崎天馬(M)&檀隼人(M)「ヴァレンシュタイン作戦」

「違いない。名を聞かすには、相手にもそれ相応の格が必要だ。お前たちにそんなものはない」

 宙を駆ける天馬に続き、そう言い捨てた隼人も地を走る疾風と化した。
 敵味方問わず、数千万の人命を地獄へ捧げた世紀の大妖人、アドルフ・ヒトラー。
 そしてその魂を宿す呪術師、淫藤宗光。
 魔人の醸し出す鬼気にも、隼人と天馬は臆する事はない。
 
 天を馳せる竜の剣と、地から迸る光の拳が、二にして一なる魔導師を襲う。
75御神苗優:02/04/13 02:32
空中大殲〜ヤツは空に居る
>64>68>69 
揺れる機体の中からなんとか客室に戻った俺の目に飛び込んできたのは、
機内に入り込もうとする触手と、それを切り払う横島の姿、
そして触手に炎を叩きつけるスミレの姿だった。
 
炎の舌に焼かれ、触手は溶けしなびていく。
外からはヤツの絶叫が聞こえる。 
 
『畜生、くたばる時は、おめーらも一緒だよォ〜〜!!』 
 
ヤツは恐ろしいことを口走りやがった。
その宣言が終わるや否や、機体の悲鳴がいっそうけたたましく機内に鳴り響く。
 
「まずぃ!グレネード乱射すりゃヤツは殺せるけど・・・・・・機体のほうも逝っちまう!
 なんとか、機体から切り離さねぇと―――」 
 
そうこうしてる間にも機体はぎしぎしと嫌な悲鳴を上げている、
方法は一つ、機外にでて、ヤツを切り離すだけ・・・・・・
しかし・・・・・・くそぅ、どうすりゃいいんだ! 
 
76横島忠夫 ◆YDaTadao :02/04/13 03:01
>75 『空中大殲』 〜ヤツは空にいる〜 
 
 ぎしぎしぎしぎし・・・鋼鉄のハズの機体が軋んで悲鳴を上げ続ける。 
 最初は啜り泣くような声が、今では重なる大絶叫ほどに大きくなっていた。 
 これは――――破滅の音? 
 い、いややぁ! 本当に終わりだなんて・・・ 
 
「横島……」 
 
 傍らで、スミレさんがそんな声を出した。 
 
「この中でアイツを飛行機から切り離せるのは貴方しかいないわ」
 
 つっと、俺の手を取る。

「そ、そんな・・・俺にそんな事出来るはずが!」  
「無茶言ってるの分かるけど……やらないと全員死ぬわ」 
 
 その目は、いつもの酔ったスミレさんの瞳とは違っていて、俺を真っ直ぐに射抜いて――   
 
「私の命……まかせてもいい?」
「・・・俺、なんかで良ければ」 
 
 細い声でそう答えるのが精一杯、だった。 
 情けねぇ! なんでこう、はっきりと胸を張って答えられないのか・・・ 
 俯き加減の俺。傾く顔の前に突然、スミレさんが顔を出してきた。 
 息が、香りが、その眼差しが近い――――! 
 そして、次の瞬間――――唇に触れた。 
 
「生きて帰ってきたら、もっといいことしたげるからね♪」 
 
 モットイイコトデスカ? 
  
「や、やったる! やったります! もう、全力で!」 
 
 それこそ風のように扉に近づくと御神苗を押しのけつつ、暴風の壁へと向かった。 
 人なんか、容易に吹き飛ぶ荒れ狂う空気の流れ。 
 だからどうした! 
 ここで突っ切れば、俺はスミレさんと――――――ぐ、ぐふふふふふふふふっ! 
 止まらない笑いをなんとか噛み殺しつつ、俺は慎重に一歩を踏み出した。 
77スミレ ◆SUMIREYo :02/04/13 03:49
空中大殲 「ヤツは空にいる」
>69>75>76
 
「私と横島であいつを切り離してくるから、そこにグレネードお願い〜」
 
 飛び出し際、御神苗に言い残して、
 私は横島と共に飛行機の外に踏み出す。
 同時に風を具現化。
 自分達の身体を屋根の上に押し上げる。
 飛行機に巻きついている化け物、その目の前に降り立つ。
 
『てめーらぁーッ!!』
 
 目の前に立った私達に化け物が吼える。
 その咆哮を受けて私は笑う。
 
「死ぬ時は一人で死になさい。貴方がいままで殺してきた相手だってそうだったでしょう……?」
 
『ぶっ殺してやるうう!!』
 
 応えて化け物がさらに吼える。だが知ったことじゃない。
 
「横島……やるよ」
 
 傍らの彼に声をかける。
 そして私達は飛行機の背を走り出した。
78衾(M):02/04/13 04:07
空中大殲 「ヤツは空にいる」

>75 >76 >77

「死ぬ時は一人で死になさい。貴方がいままで殺してきた相手だってそうだったでしょう……?」
バンダナのヤツと一緒に、機上へと上がってきた女が言った。

(許さねェ、許さねェ、許さねェ〜!
 ふざけんじゃねェ、てめェらも道連れだァ〜〜、誰が一人でなんぞ死ぬかよオォォ〜〜!!)
「てめェらがくそったれな霊力でオレを刺したんかァ〜〜、くそったれな炎でオレを焼いたんかァ〜〜!!」

こちらへ向かって走ってくる2人。
その二人に向け、ありったけの触手を伸ばす。

巻き付いて、握りつぶしてやる。
突き刺して、穴だらけにしてやる。
殴り飛ばして、グチャグチャにしてやる。

ありったけの殺意の込められた攻撃が、2人を襲う!
79シグモンド ◆DGUNdOgI :02/04/13 15:07
◆御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司◆
>56御神苗 >65緑川 

ヤツは駆けて行く・・・。
こちらを一切振り返らず、一目散に。
行き先は分っているが、連絡を取られると少々厄介だ。
もう少し速度を上げようかという時に、先ほどの化け物にぶつかる。
 
チンピラに絡まれていたのを結果的に助けてもらったような気分になり、複雑だ。
sigh 
小さく溜息をつきつつ、そのまま足早に去る。
 
バスの駐車場に行く手前、ショートカットできそうな林を見つける。
そこには人はいないようだ。
一気にカタをつけるか?
ギターケースを小脇に抱えるようにしてそちらへ駆けて行く。 
 
拳銃の有効射程は限られているが・・・、俺の腕なら外さん。
先ほどのミスも含めて―――この一瞬に集中する。
80ゴキヴリマン:02/04/13 23:12
夜の倉庫街。 
潮の香りが漂うその場所に、二人の男が向かい合って立っている。 
 
一人は赤い鎧を纏った壮年の男。 
手にした大剣は実用を疑うほどに巨大ではあるのだが、それを片手で支える姿に揺らぎは存在しない。 
 
一人は黒い……昆虫が擬人化されたような、おぞましい姿。 
右手を湾曲した剣と化し、触角を風に揺らせている。 
 
「貴公がGか?」
 
赤い鎧の男……ヴァンパイア三銃士の一人、ギーラッハが先に口を開いた。  
 
「そうだ。人類の未来の為、あんたを倒すッ!」   
 
外見からは判明しようがないが、黒い人影は、どうやらかなり若いようだった。 
声の調子から判断するに、恐らく高校生から大学生といったところだろう。
 
純粋と言っても良い闘志を感じ、ギーラッハは愉しげに唇を歪ませ、剣を構える。
その姿に反応し、Gと呼ばれた男の重心が僅かに下がった。 
 
 
「そうか。貴公の噂は聞いている。来るが良いッ! 怪奇ゴキブリ男ッ!」 
「違うッ! ゴキヴリマンだッ!」 
 
 
 
「…………どこが違うのだ?」  
 
 
何とも言えない重い沈黙。  
二人の間を、ひゅるりらと風が吹き抜けた。
81ギーラッハ ◆GIeRaCHE :02/04/13 23:20
>80 GG対決

「これ以上の問答は無用!闘志が萎えるわ…… 参る!!」

 駆け出すと一気に間合いを詰め、
 上段からヒルドルヴ・フォーク でから竹割に打ち下ろす。
82ゴキヴリマン:02/04/13 23:33
>81 GG対決 
 
「早いッ!?」 
 
ギーラッハの凄まじい打ち込みを右腕のゴキヴリソヲドで受け止めようとする。  
だがあまりにも重い一撃に耐え切れずソヲドが折れた。 
ソヲドを構成していたゴキヴリ達がボロボロ落ちていくのを尻目に、 
大きく後ろに跳躍して間合いからはなれる。 
 
(まずいぞ、シリアス一直線のキャラだ。……おまけに武器の差がありすぎる) 
 
だらだらと冷や汗を流すが、それくらいで諦めるようではヒーローではない。 
 
(ならば、速攻で決めてやるッ!) 
 
ゴキヴリマンは大きく空に跳躍。 
羽を広げて空中に静止した。 
 
「お返しだ、いくぞ、ゴキヴリダイブッ!」
 
 
 
 
 
解説:ゴキヴリダイブ 
 
   空中高く飛び上がった後、急降下しながら体当たりする技。 
  『ゴキヴリが顔に向かって飛んでくる』という恐怖を相手に与える事によって、 
   金縛り効果も期待出来る、ゴキヴリマンの代表的なキメ技である。
83御神苗優:02/04/13 23:35
はっきり言って迷惑だ!〜御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司    
>65 緑川 >79 シグモンド 
 
・・・・・・妙だな・・・・・・ 
俺はわき目も振らずに一目散に駆けながら、
むくむくと頭をもたげる疑問を消せずにいた。 
 
なんで、アイツ追っかけてこないんだ? 
本来なら、ここらで何かしらのアクションがあってもいいはずなのに・・・・・ 
まぁ、襲撃がないのは喜ばしいことなんだが・・・・・・ 
 
その時、俺は変に悪寒を感じた。
ソレと同時に、すさまじく鼻までムズムズする・・・・・・
 
「ふぁ・・・・・・ふぁ・・・・・・・ふぁっくしょい!!」 
 
俺は盛大にくしゃみをかました。
それでバランスを崩したのだろうか?
それとも石にでも躓いたのか? 
次の瞬間には、俺は宙に飛んでいた。 
 
世界が一回転し、そして硬い地面に叩きつけられた。
と思う間も無く、走ってた勢いそのままに、
俺は清水の坂を転がり落ちていく。
 
「ぎゃ〜〜〜!!!お助け〜〜〜〜!!!」 
 
助ける人もいないまま、俺は駐車場まで転がりながら到着した。
もちろん、すでにズタボロだ・・・・・・
みんなに笑われながら俺は集合の列に加わる・・・・・・
なんでいつもこうなるんだ!! 
俺は平穏な日々が欲しいだけなんだ!! 
 
84才堂不志人 ◆HU599DhU :02/04/13 23:41
<わくわくソンビ学園〜遠野志貴vs才堂不志人>
 
『全てのモノに死を――!』
 
 その白衣の鬼の面をつけた狂人はその言葉を繰り返しつつ、人の大勢いるところを求めて徘徊していた。
 そして、その高校が選ばれたのは不運というしかない。
  
 男はカバンの中から、瓶を取り出して、中身を辺りにぶちまけた。
 この男の行為が今から起こる惨劇の引き金になるとは誰が予想しただろうか?
 
 
 高校では丁度、文化祭の後夜祭が行われているところだった。
 校庭の中心のキャンプファイアーに参加していた生徒たちまず異変が起こった。
 
 生徒の一部が唐突に動きがぎこちなくなり、虚ろな眼で近くの生徒に襲い掛かった。
 歓声がたちまち、悲鳴に変わる。
 
 襲われた生徒も又、襲った生徒と同じようにになり、別の生徒に襲い掛かる。
 鼠算式に犠牲者の数が増えていった。



 犠牲者―便宜的にゾンビと呼ぶとしよう。
 彼等は校舎の中に生者を求めて、殺到した。
 
 ――さらなる惨劇の幕が開く
85ギーラッハ ◆GIeRaCHE :02/04/13 23:42
>82 GG対決

 一瞬のうちに刃が奇怪な粘液でドロドロになる。
 己は顔をしかめ……。

「ええい、気色の悪い!」

 飛び掛ってくる奴に向って咄嗟にヒルドルヴ・フォーク を横に振り、
 剣の腹から叩きつけようとする。

「さっさと死なぬか!?」
>70
 
「 い     つ、 間       違え   たの」
  
負ける筈の無い相手だった。
完全に捕らえた獲物だった。
  
「な い  、ど こ に   腕 が」
  
魔法士の足元に落ちている。
半ば炭と化し、無残に転がっている。
 
「 ・  ・ ・  か、  えせ 」
 
身体中を切り裂かれ、白い身体が赤く染まっている。
左腕を肩からもぎ取られ、不様にのたうつ自分の姿が目に映る。
 
「 い ま 行 く わ 」
 
……朱い血はまだ流れ続けている。
静かに、立ち上がり…また朱い水溜りのなかに転ぶ。
  
「まっ、てて」
  
地脈を断たれ、魔法士の呪素に犯され、誇りを汚され…。
わたしの中の何かが溢れ、何かが壊れていく。
  
そして、わたしに向かって膨大な質量を持つビルが堕ちてきた…。
そこで『わたし』の中の私が起きた。
>86 続き
 
   
          ―― Blue Blue Glass Moon ――
   
         ――― Under The Crimson Air ―――
  
  
地脈以外のラインからの力が流入が跳ね上がる。
空に在る月の輝きが増している…どこまでも白く…冷たい。
 
―― いいわ、その腕を貴方にあげる ――
―― よかろう、貴様にその腕をくれてやろう ――  
  
―― だから、貴方の命をちょうだい ――
―― 代わりに貴様の命をこの身に捧げよ ――
 
ふたつに思考が入り混じる、矛盾がないのは同じ個体の別の側面だから。
互いに存在を意識せずとも、一つの結論に辿りつく。
  
 
―― こんな屈辱、・・・相手が志貴だって許せない…それをあの人間達に教えてやろう ――
―― 何より、この身はブリュンスタッドである…それを人間に思い知らせねばならない ――
 
屈辱を消す為に強くなっていく誇り。 
怒りと屈辱で白くなっていく思考。
強すぎて純白になっていく想い。
 
その白い想いをそのまま世界にぶちまけた。
  
灼熱の白い空間と化した世界、プラズマと呼ばれる現象。
それが見渡す限りの世界を塗りつぶしていく…広がりつづける白い世界。
自然に属する全ての物が灼熱の空間と化し、自然に属さない全ての物を焼き尽くす。
  
瓦礫が全て灰燼と化すまで僅かに数秒、そして…『わたし』が立ちあがる。
 
―― 身体の再生は進まない、再生に回す力があるならその分を
   世界と同化する事にまわす、最大の力でこの屈辱を焼き尽くそう ――
  
―― 白い世界を引きつれて、あの者のもとへ行こう、
   ゆっくりと、それで十分だ…既に世界がアレを捕らえている ――
   
白く染まった世界の中、『わたし』の周りだけに色が在った。
 
朱く染まった服は焼け落ちて、代わりに白と青のドレスを浮かび上がり、
わたしの黄金の髪が本来の姿を取り戻していく。
 
黄金の瞳が灼熱の空間の中でさえ引かない鎧の男を映し出す。  
 
『さあ、今度こそ誰にも邪魔はさせない』
  
白い世界の中、再び魔法士と向かい合う。
88遠野志貴:02/04/13 23:45
>84 <わくわくソンビ学園〜遠野志貴vs才堂不志人>

 後夜祭は既に始まっている。
 校庭にはボルガが流されて、焚き火のまわりで生徒たちは踊っている。お祭りの最後の
盛り上がりを楽しもうと、別のことをして楽しんでいる生徒もいるだろう。

 だけど俺は、その輪の中に入る気にならず、こうして教室で机に座ってぼんやりとしていた。

 校庭からは絶えず歓声が聞こえてくる。みんな楽しんでいるようだった。
 俺はその歓声を聞きながら、祭りの終わりをかみしめていた。


 ――その歓声が悲鳴へと変わるまでは。

 校庭から突如として悲鳴が聞こえた。何かあったのかと思い、机を降りる。
 降りて一歩踏み出したらまた悲鳴が聞こえた。それも一人じゃない。
 慌てて窓際に寄った。

 校庭では、信じられない事が起こっていた。よくわからないが、妙に動きのぎこちない生徒が
別の生徒に襲いかかり、襲いかかられた生徒はまた別の生徒を襲う。
 校庭のいたることで悲鳴が上がっていた。
「一体、なんなんだ……」
 強く握りしめた手には、汗がにじんでいる。

 呆然と見ている間に、おかしくなった生徒は校舎に押し寄せてきている。

 俺は、胸ポケットに入っている「七つ夜」の銘が入ったナイフの感触を確かめると、
教室を飛び出した。
 何をしようとしてるのは、自分でもわからなかったが。
>87 vsアルクェイド
 
 突如。
 全身に、突き抜けるような悪寒が走る。ビルの倒壊を免れたその地点で足を止め、彼は後ろを振り返った。
 そこには――――
 
「……なんだ、これは――!?」
 
 世界が――――白く、染まっていく。
 崩れ落ちたビルの残骸が、浮かび上がった「白」に飲み込まれ消えた。
 だが、それでは終わらない。止まることを知らないように広がり続けるその「白」は、周囲の物体をことごとく
 蒸発させながら、猛烈な勢いで一帯を蹂躙していく。
 そしてそれは――彼の正面にまで迫っていた。
 
「顕っ!」
 
 突き刺すように構えたスタッフの先端。
 その先の空間に、魔力によって生み出された特殊な力場平面が展開した。
 
 遮蔽呪文<デフィレイド>発動。
 効果時間、およそ三十秒。風景をゆがめつつ空間に波紋が走り、襲い来るその「白」――プラズマの壁――
 を受け止めていた。轟音が、全てを飲み込むように深く遠く木霊する。
 
 だが、一定以上の圧力や熱、そして衝撃さえも遮蔽する防御呪文を以てしても、周囲から連続して叩きづけ
 られる膨大な熱量は遮蔽しきれない。
 一気に蒸発することは避けられたものの、モールドの表面装甲は、少しずつ変形を始めている。
 
 防御魔法を展開しながらも、レイオットはその場から動けないでいた。延々と広がっていくプラズマの壁。
 既に周囲の一帯を埋めつくした「白」は、逃げ場などどこにもない事実を彼に突きつけている。
 彼は、静かに嘆息した。
 
(ここまでだな。まあ――仕方ないか)
 
 白い世界の中で、そんなことを考える。もはや、手も足も出ない。相手は、こんな馬鹿げた芸当を行える
 ような化け物だ。ただの人間でしかない俺に……一体、これ以上の何が出来る?
 何も出来ない。何者も、決定的な力には抗えない。ここで諦めても、みんな納得してくれる――そうだろう?

 維持限界を待つまでもない。全てを終わらせようと、<デフィレイド>を解除しようとした……
 まさに、その時だった。
 
 歪んでいるはずの――いや、白く染まりきっているはずの視界の向こうに。彼女の姿が見えていた。
 身に纏う白と青。その二つの色が、己の存在を誇示するように、レイオットの意識へとはっきりと刻み込まれる。
 同時に……彼女の周囲にぽっかりと存在する、この白い世界の空白も。それがなんなのかを理解した瞬間。
 
 疾風をも後に従えるほどの速度で、レイオットは猛然と駆け出していた。
90ゴキヴリマン:02/04/13 23:53
>85 GG対決

「ぐはぁっ!」 
 
ヒルヴルド・フォークは見事ゴキヴリマンに命中・撃墜。 
蝿叩きで叩き潰されるゴキヴリの気持ちを理解しながら、ゴキヴリマンは吹き飛んだ。 
 
(く……真っ二つにされなかっただけましか。しかし、ゴキヴリダイブが通じない相手にどうやって勝てばいいんだ!?)
 
ライダーキックを破られた仮面ライダーのごとく懊悩するゴキヴリマンの前に、ギーラッハが隙無く歩み寄る。 
その目には油断はない。 
一撃で終わらせる勝負なら、一撃で終わらせてしまおうというシンプルな闘志のみがある。 
 
 
(クソ……気は進まないが……あれしかないかッ!) 
 
決断すると行動は早かった。 
後一歩で剣の間合いに入る瞬間、 
ゴキヴリマンは―――――
 
 
 
 
――――――土下座した。
91ギーラッハ ◆GIeRaCHE :02/04/14 00:01
>90 GG対決

 此奴は、戦士の誇りすら持たぬのかっ!
 己が、斯様な奴と戦わねばならぬとは何たる屈辱!

「散り際くらい潔く散ってみせよ!」

 呆れて脱力しつつもヒルドルヴ・フォークで上から斬り付ける。
92才堂不志人 ◆HU599DhU :02/04/14 00:02
>88 <とある生徒―高田くんの場合>
 
 文化祭も終わる。
 キャンプファイアーもそろそろ佳境か。
 
 楽しかったなあ。
 色々、出店で食べれたし……

 僕は祭りの余韻にひたりつつ、帰り支度を始めた。
 荷物をまとめて、廊下へとでる。
 そこで、眼の虚ろな生徒と出くわした。
 とても顔色が悪い。
 
「やあ、どうしたんだい? キミ、偉く顔色が悪いね」
 
 僕は彼にそう話し掛けた。
 彼は無言で近づいてきて、僕の胸倉をつかんでかみついた。
 抵抗する間もなく、僕の意識は暗転した。



 ――なにやら、気を失っていたらしい。
 眼が覚めた時、とてもおなかが減っていた。
 
 僕の方に女生徒が怯えた顔をして走ってきた。
 どうしたんだろう?
 そんなにあわてて――
 
 まあ、どうでもいいや。
 とりあえず、おなかすいたから、食事をしよう。
 
 僕は目の前の女生徒の首をひっつかんでそのまま、かぶりついた。



 頭を半分ほど食べたところで、教室の方から誰か出てきた。
 ――遠野くんだった。
 
 ああ、そうだ、こんなに美味しい物だし、遠野くんにも分けてあげよう。
 僕は力任せに女生徒の頭を引きちぎる。 

「やあ、遠野くん、キミもこれ、食べる? 美味しいよ」
 
 そして、僕は笑顔で遠野くんに近づきながら、女生徒の頭を差し出した。
93スミレ ◆SUMIREYo :02/04/14 00:19
空中大殲 「ヤツは空にいる」
>78
 
 横島と共に駆ける。
 
 触手が私達に向けて殺到する。
 
 掠っただけで致命傷のそれを、あるいは焼き、あるいは叩き斬って前進する。
 
 数本の触手が身体を掠め、服を肌を引き裂くが私達はただ前進する。
 
 一瞬悪寒が背筋を這うが横島の腕の感触がそれを押しのける。
 
 気圧操作を緩め、追い風を背に受けさらに加速。
 
 横島の霊波刀がひときわ大きく輝く。
 
 そして――
94淫藤宗光/ヒトラー:02/04/14 00:36
淫藤宗光/ヒトラーvs竜崎天馬(M)&檀隼人(M)「ヴァレンシュタイン作戦」

>72 >74

「いやはや、つれないなあ……名前ぐらい教えてくれたっていいのに」

ヒトラーから一瞬のうちに変じた宗光は、まるでナンパに失敗した遊び人の
ような緊張感の無い苦笑を浮かべつつ、デスクをひょい、と軽く足で押した。

それだけで、重厚なマホガニーのデスクは茶色の弾丸となって二人を
迎え撃った。

無論、その程度の攻撃が二人に効くわけが無い。天馬の剣と隼人の拳によって
デスクは粉々に砕け散った。

しかし、その隙に宗光の体は、空中へと浮かび上がっていた。

「ふふ……この技、久しぶりに試すな」

虚空に悠然とたたずむ宗光の口から、満足げな響きのドイツ語が漏れる。

米国国務省機密文書保安局に保管された極秘資料――ヒトラーの近従の一人、
ギャリン・エッケルトの日誌には、彼が目撃した空中を浮遊するヒトラーのことが
克明に描かれている。その空中浮遊の技を、ヒトラーはここに再現したのであった。

今度は宗光が、嬉しくてたまらないといった感じで話す。

「いやあ、素晴らしい。
 僕らが“超人”へと進化するには、地球規模の大災厄とともに
 あなたがたのような者たちを生と死ぎりぎりの極限の死闘のすえ倒すことが
 必要なのですよ。
 でも、そんな重要な闘いがこんなギャラリーもいない狭苦しい艦長室で
 行われるのはもったいないですよね。
 では、ふさわしい場所へと移動しましょう」

そして、宗光は青年の声と中年男の声とで魔界の呪句を唱える。

「冥府召喚(インウォルコ・インフェルリ)」

刹那、艦長室が不気味な暗緑色の光に包まれた。

次に二人が目を開けた時、あたりの風景は一変していた。

奇麗に踏み固められ、白い土がかぶせられた円形のグラウンド、
ヒナ段上にせり上がっていく観覧席、
東西南北に配置されたアーチ型の闘士の出入り口。

ここはまさに、古代ローマのコロシアムではないか。

しかし、その観客席を埋め尽くしているのはローマ市民などではなく、
ボッシュの絵画から抜け出してきたかのような魑魅魍魎どもであった。

さらに貴賓席に陣取っているのは人外の美としか形容できぬ美しさを有し、
唇に己をも含めた全宇宙の全存在を蔑む冷笑を浮かべた
“大いなる敵”(アーキ・エネミイ)魔王サタンであった。


>89 レイオット&紫雲 vs アルクェイド 『企業の論理』
 
鎧の魔法士は灼熱の空間を超え、怯むことなく向かってくる。
当然だろう、それ以外にない…それ以外は許さない。
  
―― この屈辱を消す為に、敬意をもって ――
―― この身の在り方を教える為に、恐怖をもって ――
  
向かってくる、鎧の魔法士に対して残った右腕を構える。
そこに在るのは爪に過ぎない、だがこの爪は…あらゆる存在を堕とし、
打ち破る最強にして最凶の武器だ。
  
魔法士が自らの力だけで灼熱の世界を乗り切るのを待ちかまえる。
その時は…
 
―― 最高の力をもって、持てなそう ――
96緑川淳司 ◆CRSxoxJM :02/04/14 00:40
◆御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司◆
>79 シグモンド >83 御神苗優

前を走る黒いロングコートの男は巧みに人込みをすり抜けていく。
しかし淳司も何とか見失うこともなく付いていく。
そしてもうすぐ駐車場、という所で男が道をそれ林の中に入っていくのが見えた。
いくらか遅れて淳司も迷わず入っていく。
……盛大にこけて坂を転がり落ちていく先ほどの学生を横目に。
 
林に入ったのはいいが男を見失ってしまった。慎重に探す。
(…見つけた。……ん?)
男を見つけた淳司だが、拳銃を持ちバスの駐車場に向けて狙いを向けているのを見て驚く。
この距離では急いで近づいてもとても間に合わないだろう。
(くっ・・・)
地面に落ちている石を拾い男の足めがけて投げつける。
北多摩シルバーフォックスのセンターの強肩が投げた石は、
風を切る音とともに凄まじいスピードで、男の足に向かっていった。
>95 vsアルクェイド
 
 <デフィレイド>によってプラズマの壁を押しのけながら、ただひたすらに走る、走る、走る――!
 
 目指すのは、世界に穿たれたたった一つの空隙。唯一つ、「白」に覆われていない彼女の元に。
 つい一瞬前に、諦観と共に死を受け入れたとは思えないほどの挙動で、彼はひたすらに走り続けた。
 
 ――――まだ、抜けない。<デフィレイド>展開から二十三秒経過。
 
 走りながら、手にしたスタッフを操作。呪文書式選択、操桿を引き――無音詠唱。
 さらに、即座に補助呪文詠唱開始。
 
「我法を破り理を越え破軍の意志をここに得んとする者なり――――!」
 
 脳内に、発動中の<デフィレイド>とは別の魔法回路が構築される。
 負荷が鈍い痛みとなってレイオットを襲うが、もはやそれに構っている時間など無い。
 
「――――爆炎よ猛炎よ荒ぶる火炎よ焼却し滅却し駆逐せよ我の戦意を以て敵に等しく
 滅びを与えよ我求めるは完璧なる殲滅っ―――!!」
 
 二十七秒経過。視界が――開けた。
 
 プラズマの壁を抜けると同時、力場平面が力を失い消滅。
 正面には、悠然と。ただ其処に佇んでいるだけで、全てを屈服させる、そんな雰囲気を纏った彼女が一人。
 黄金の双眸を怪しく輝かせて、無表情にこちらを見据えている。
 半ば表面の溶けかけた仮面の内側で、レイオットは声を上げた。
 
「さて、お姫様! そろそろ幕だ――最後は、こちらも派手に行かせて貰うぞ!」
 
 一息。
 
「<マキシ・ブラスト>――イグジストッッ!」
 
 <マキシ・ブラスト>――「第三の業火」。
 対装甲艦艇用に運用されていた<マグナ・ブラスト>の数倍から数十倍の制圧力を持つ純白の爆炎が、
 スタッフの先端から、周囲の白に匹敵する閃光を伴って溢れ出す――――!
98ゴキヴリマン:02/04/14 00:42
>91 GG対決
 
顔を上げる。 
剣撃が迫る。 
だが、地に伏したままのゴキヴリマンに焦りは無い。 
 
 
    カサササササッ……  
 
  
その動きはまさにゴキヴリ!  
地を舐める稲妻のような速さで、ゴキヴリマンは『土下座したまま』高速移動を開始した。 
 
「舐めるなッ! いくぞ、ゴキヴリ・クラウチングスタイルッ!」 
 
縦横無尽に『伏せたまま』走り始めるゴキヴリマン。 
人間には絶対真似の出来ない動きで、紅の騎士を幻惑しようとする。 
 
 
 
解説:ゴキヴリ・クラウチングスタイル 
 
   ゴキヴリマン本来の戦闘スタイル。
   地面を高速で這って移動する為、相手は非常にやりづらい。 
   『なんか身も心もゴキヴリになりそうで嫌』
   とは本人談。

99ギーラッハ ◆GIeRaCHE :02/04/14 00:47
>98 GG対決

「此奴!? テイッ、テイッ、テイッ!」

 ゴキヴリマンを追い、連続で突きを繰り出していくが当らぬ。

「往生せいっ!」

 足元をすり抜ける奴に蹴りを喰らわせる。
100横島忠夫 ◆YDaTadao :02/04/14 01:15
>93 『空中大殲』 〜ヤツは空にいる〜 
 
「おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」 
 
 叫びを上げ、栄光の手を振るう。 
 
 霊気の残滓を煌めかせ、霊波刀がその頭を叩き割った。 
 あがる絶叫を切り裂き、返す刃が腕を、足を切り裂いた。 
 風に煽られ、化け物の体が空に浮き上がる。飛行機に繋がるのは、残った半分の手足のみ。 
  
 ぎゅっと、スミレさんの肩を抱く。 
 もう・・・大丈夫。片はもうすぐ付くから――――――  
 そしたら、そしたら! キスよりもええ事がぁ! 
 
「地獄が貴様を呼んでるぜっ!」 
 
 三度、「栄光の手」を延ばし鞭のようにしならせる。 
 機体表面を霊気の光が走り、衾の最後の手綱を叩き斬った。 
 一つ、腕を断つ――――――空に消えたパイロットの恨むような泣くような、顔が浮かぶ。 
 二つ、足を断つ――――――幸せそうな家族の肖像が微かに脳裏を過ぎる。 
 
 だけれど、すべてはもう終わった事。 
  
 右手を覆う輝きが消えた時――――衾の体が飛行機の機体から剥がれた。
101御神苗優:02/04/14 01:33
空中大殲〜ヤツは空に居る
>93>100 
 
俺は機内のドアに陣取り、静かに刻を待っていた。
俺に出来るのはただ二つ。
機外に出た二人があの化け物をぶった斬るを待つこと。
そしてぶった斬られたヤツの体に、炎の洗礼を授けて、
黄泉の国への切符を切ること。
何故か、彼らが失敗するということは頭には思い浮かばなかった。 
 
機体の悲鳴が収まった。
と思うよりも早く、俺の目は手足を切り刻まれ、
機体から剥がされたヤツを確認していた。
すぐさま俺はRPG−7の照準を合わせると、
ヤツめがけて一発目を叩き込む。 
すさまじい反動とともに、俺の手から放たれた弾は、
うねる様に動きながらヤツへと吸い込まれていく。 
一発目をぶっぱなしてすぐ、二発目、三発目のロケット砲を叩き込む。
命中する度に、すさまじい悲鳴が上がる。
そのおぞましい叫びをBGMに、俺はヤツにグレネードを叩き込み続けていた。 
 
102ゴキヴリマン:02/04/14 01:39
>99 GG対決  
 
股の間をすり抜けてやろうとしたのは、流石に無理があった。 
だが、ゴキヴリのしぶとさを甘く見てはならない。 
 
「し、死んでたまるかぁあッ!」 
 
蹴りが命中して踏み潰されそうになるが、羽一枚を残して何とか逃れる。 
(無論、ゴキヴリマンの体を構成する羽もゴキヴリの集合体なので、とうぜんグチャりと……ゲフゲフ) 
  
慌ててサササッとギーラッハから離れ、物陰に隠れようとするゴキヴリマン。 
(ゴキヴリは暗い所や狭い所が大好きです) 
だが、なかなか吸血鬼の鋭い感覚を誤魔化し切れず、追われ続ける。 
 
 
 
後少し。後少しで援軍が来る。 
それまで粘らなければ……

103遠野志貴:02/04/14 01:39
>92 <わくわくソンビ学園〜遠野志貴vs才堂不志人>

 教室を出た途端、嫌な感覚がした。
 以前路地裏で感じたような――。

 勘違いであってほしい。
 でも、俺の感覚は勘違いではないことを告げている。

 教室を出るとすぐのところに人がいた。
 駆け寄ろうと思ったところで、足が凍り付く。

 ――人が、人を食べている。

 女子生徒に噛み付き、咀嚼しているのは高田くんだった。
 高田くんは俺に気付いて、顔を上げた。
 そして、女子生徒の首を引きちぎる。

『やあ、遠野くん、キミもこれ、食べる? 美味しいよ』

 そう言って血が滴る首を俺に差し出しながら、近付いてきた。
 俺は身を翻して、高田くんとは逆方向に走り出す。

 今までこんなに必死になって走ったのは、アルクェイドに追いかけられたとき。
 混乱と恐怖に突き動かされ、全力で走る。

 どうして高田くんが人を食べているのか。
 どうして高田くんが人を引きちぎれるほどの力を持っているのか。
 ワカラナイ。

 そこで気がついた。
 校庭での悲鳴がこのことの関係があるんだとしたら――。
>94 淫藤宗光/ヒトラーvs竜崎天馬(M)&檀隼人(M)「ヴァレンシュタイン作戦」
 
 一変した風景。
 しかし、そんなことを気にすることなく、天馬は叫んだ。
 
「つまり、テメェらはそのくだらない『進化』とやらのために、あんなに沢山の人を殺したのか!」
  
 怒り。
 堪えられないほどの怒りがこみ上げる。
 自分ではない誰かのための怒り。それは彼の純粋さゆえの怒り。
 その気迫は凄まじく、観客席の魑魅魍魎どもも恐れをなすかのように引いた。
 
 しかし、その怒りの気迫を真っ正面から受けながらも、宗光/ヒトラーは薄笑いを浮かべていた。
 その笑みが、天馬の言葉が真実であると、何よりも雄弁に語っていた。
 
 ちゃき、と流星の剣を宗光/ヒトラーに向けて、言い放つ。
 
「テメェらは、許さない。殺された人たちの無念、身体で感じながら、地獄へ堕ちろ」
 
 そして、一瞬で間合いを詰める。
 青眼に構えられた剣から、目にも止まらぬ早さの斬撃が矢継ぎ早に繰り出される。
 『光を放たない』流星の剣の透明な刀身は、その斬撃のスピードに加え、さらに視認を難しくしていた。
 
 そう。流星の剣からは星の煌めきが消えていた。
105衾(M):02/04/14 01:58
空中大殲 「ヤツは空にいる」

>93 >100 >101

奴らに向かって伸ばした触手は、しかし目標を捉える前に消滅していく。
焼かれ、斬られ、それらはどれひとつ2人には届かない。
そのまま、彼らは風に乗って加速する。
バンダナの少年の手から伸びた霊波刀が、機体に絡みついた衾の両手、両足、それに頭を、抵抗する間もなく叩き斬っていった。

「ひっひええやあああ!!
 あ…ああ…オッ、オレの手がァァ、足イィがァァ……!
 うわああぁぁ!!」

胴体のみとなった衾の身体が、飛行機から剥がれ、宙空に漂っていく。
そこに、開いていた扉から放たれた砲弾が飛来する。
今の衾に、回避も防御もできようハズがない。
直撃したそれらが火炎を上げ、衾の身体を焼き尽くしていく。
いかに衾が打たれ強いといえども、弱点である火をこれほど浴びせられては、ひとたまりもない。
その身体は、見る見るうちに燃え尽きていった。

「ひっ、火ィィィ!こんなにたくさんの火ィィィ!!
 火はやだ!やだあぁぁ!!
 うげえぇぇ…ぁぁぁぁ……」

後に残ったのは、断末魔の悲鳴のみ。
空の魔物・衾の、それが最期だった………
106才堂不志人 ◆HU599DhU :02/04/14 01:58
>103 <わくわくソンビ学園〜遠野志貴vs才堂不志人>
 
<とあるゾンビたち―元人間の生徒たちの場合>
 
 彼等は本能的に生存者を探していた。
 喰うために――
 仲間を増やすために――
 
 制服を着たゾンビたちが校舎を徘徊する。
 時間が経過するにつれ、その数が増えていく。
 
 同時に各所の悲鳴も少なくなっていく。
 ある意味、ゾンビになる暇もなく喰われた生徒は運が良かったかもしれない。
 
 ゾンビになってしまえば最早、魂の尊厳は欠片も存在しない。
 そこにあるのはただの動く肉塊。
 中には生前の記憶・行動を持って動く者がいるだけ、性質が悪い。



 そして、彼等は新たな獲物を見つけた。
 目の前の眼鏡を掛けた生徒。
 
 ――マダコイツハナカマジャナイ
 
 彼等はわらわらとその生徒―遠野志貴に殺到した。
 本能のままに――
107ギーラッハ ◆GIeRaCHE :02/04/14 01:59
>102 GG対決

 踏みつけた足を上げると、
 ぬちゃり……と糸を引く……。

「ぬ……ぬぅぅぅぅ…… 」

 足を上げ、二〜三回足を振って糸を切る。

「汚らわしい、もはや近づく事すら我慢ならぬ!」

 逃げ込んだ奴に向ってヒルドルヴ・フォーク を大きく振りかぶると、

「セイヤァッ!」

 気合いの掛け声と共に剣戟に魔力を合わせ、ゴキヴリマンの逃げ込んだ辺りに
 十字剣閃の空間断裂派を叩き込む。
108ゴキヴリマン:02/04/14 02:09
>107 GG対決   
 
「のわぁ〜ッ!」 
 
隠れていたコンテナを破壊され、ゴキヴリマンはひたすら逃げ回る。 
一撃。 
一撃。 
また一撃。 
一発当たれば即死しかねない殺意の刃があたりに降り注ぐ。 
 
(まだかッ、まだなのか!?) 
 
ゴキヴリマン=ケンヂの心の絶叫に応える声があった。 
 
(出来たぞ、向こうだ) 
 
落ち着いた声。頼もしき相棒『G』が、ようやく召還を終了したのだ。  
 

 
Gの案内する倉庫に向かってゴキヴリマンは飛び込んだ。 
振り切れなかった紅の騎士が、それに続く。 
 
広い、倉庫だった。
その真ん中で、ゴキヴリマンが立ち上がる。 
月明かりが窓から差し込んでいるが、積み上げられたコンテナは真っ黒で、
何が収められているのかはわからない。
 
「……逃げ回るのは、そろそろ止めだ」 
 
ざわりと、闇が蠢いた。 
異様な雰囲気に、ギーラッハの足が止る。 
 
「45億年の歴史の強さ。思い知らせてやるッ!」 
 
 
凄まじい羽音が巻き起こった。 
同時に、乱舞する無数のゴキヴリ達。 
息をするのも苦労するような局地的な嵐が、倉庫の中を埋め尽くしたッ!

>97 レイオット&紫雲 vs アルクェイド 『企業の論理』
 
鎧の男、戦術魔法士、わたしを傷つけた男、人の身でありながらわたしに刃向かう存在。
  
―― 何故、わたしを襲ったの、貴方の真意は何? ――
―― この身の存在意義は霊長と敵対する、だが個体とは敵対しない ―― 
  
埋葬者でもなく、死徒でもない、そんな存在と闘う理由がない…だけどそれも無意味、
ただ今は…。
 
あの者が闘う理由が解らない…だが解る必要ない、この身が為すのは現在を否定し、
古き真世界に回帰する事、だが今は…。
 
 
『…この身を焦がすほどの憤怒をぶつけ叩きつける時が、
   
                    どれほど気持ちよい事か想像も出来ないだけだから』
 
 
  
わたしの周囲に僅かに残った空白の世界、そこに侵入した鎧の男は、
これまでとは比較にならない程の強制力で世界に事象を上書きする。
 
これが最後の力だろう、その事象はこちらとと同じ灼熱の空間。
その力がわたしに収束する、同時にわたしに爪にも全ての力が集まった。
  
周囲は全て灼熱の死が満ちる、その中でわたしと男は僅かな生を奪いあう。
より強い力で世界を掴むモノが生き残る…それはどちらなのか。
  
―― わたしに決まっている!! ――
  
男の叫びと、わたしの無言の叫びが交錯する。
 
先程の再現、だけど今のわたしは犯せない、全身に爆炎を浴びながらも右手は砕けることなく
鎧の男の左胸に吸い込まれた。
 
110檀隼人(M):02/04/14 02:14
>94>104 淫藤宗光/ヒトラーvs竜崎天馬(M)&檀隼人(M)「ヴァレンシュタイン作戦」

 いかん。彼は、竜崎は怒りで我を忘れている。
 あのままでは、いかな達人とて奴らには通じまい。
 
 そう冷静に見て取りながら、隼人はその場を動かなかった。
 やや腰を落とし身構える。
 使い切った筈の『気』が、丹田へと凝集して来る。
 『気砲』を再度撃つ準備は整いつつあった。援護は後方からしてこそ真の価値を発揮するのである。
 
 低い声で呟いた。
 
「『転校生』魔戒十条、その一。みだりに戦いをなすべからず。されど開始後はすみやかに敵を――」
 
 形相が修羅と変じる。隼人は両手を広げた。

「斃すべし」

 掌が、聖なる輝きを発し始めた。
111ギーラッハ ◆GIeRaCHE :02/04/14 02:23
>108 GG対決

 倉庫を満たす黒き群れ!?

「ぬおぉぉぉ!!」

 それはおぞましき生き物の塊であった。
 しかし、その程度でひるんではおれぬ……だが……。
 己は塊の中から彼奴の気配を探り、十字剣閃を叩き込むと一度後退する。
 何も群れの中に飛び込む事など無い。
112ゴキヴリマン:02/04/14 02:37
>111 GG対決 
 
四等分された影が倒れ……その欠片が残らずワサワサ動き出す。
 
(あ、危なかった……もう少し遅れていたら僕がああなっていたんだな) 
 
安堵の息をつくと、全霊の意思力でもって命令を下し、ゴキヴリマンはひらりと空を舞った。 
 
 
数十秒後、蟲の嵐は収まった。 
引き換えに現れたのは、コンテナの上に立つ30人の影。 
その影達は一斉に飛び立つと、空中に静止した。 
 
「「「ゴキヴリ・1to30。この世で一番強い、数の暴力を味わってもらうよ」」」
 
羽音が高まる。ゆっくりと突撃体勢を取るゴキヴリマン達。  
単純に計算すると、その威圧感は30倍。 
まともな人間なら発狂しかねない光景がそこに出現していた。 
 
 
 
「ゴキヴリダイブズッ(複数形)」×30 
 
 
30にも及ぶ、黒い流星群。 
一度は破られた必殺技が、再びギーラッハに牙を剥いたッ! 
 
 
 
解説:ゴキヴリ・1to30 
 
   ゴキヴリを大量召還することによって、分身を作り出す技。 
   着用者の精神力により、最大30体まで分身を作成可能。
   技の名前は『ゴキヴリは1匹見かければ30匹は居ると思え』 
   という例の言葉から。

113シグモンド ◆DGUNdOgI :02/04/14 02:57
◆御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司◆
>83御神苗 >96緑川
 
本来、拳銃で狙撃は無理な相談だ。
狙撃を可能とする銃は手持ちにあるにはあるが、
それは―――どうしようもない化け物相手にしか使う気がない。
超A級エージェントであるスプリガン、御神苗優は人間だ。
おそらく最高クラスの。  
無理な相談だからこそやって見たくなると言うのもある。

世界から音と色が消え、銃と俺の腕が一体化し、ヤツとオレだけになる。
ヤツとオレが一本の線で結ばれる・・・。
 
―――さあ、行くぞ。
心の中で呟き、ただ一点に引き絞る。

ヤツの心臓に弾は当たる―――
 
天数(運命)というヤツがあるのなら、ソイツはヤツに味方しているようだ。
『ふぁ・・・・・・ふぁ・・・・・・・ふぁっくしょい!!』
大きくヤツがくしゃみをする。
 
そして・・・階段を転げ落ちた。
弾は・・・側の木に命中した。
 
極度の集中が消え、オレの世界に色彩と音が復活する。
駐車場にヤツはたどり着いてしまった・・・。
 
よっぽどの幸運の持ち主だな。
そう苦笑してもう一度、集中に入ろうとした時、左足に衝撃が走る。
 
――舌打ちする時間すら惜しい。
 
すぐさま、ソイツに向き直った。
ギターケースの中身をいつでも出せるようにしつつ。
 
「よう」
 
そうソイツに声を掛けた。
114淫藤宗光/ヒトラー:02/04/14 02:58
淫藤宗光/ヒトラーvs竜崎天馬(M)&檀隼人(M)「ヴァレンシュタイン作戦」

>104 >110

「ふふ、そんなに頭に血が上っていては、僕らは倒せませんよ」

天馬の神速の斬撃を、宗光はことごとく紙一重でかわしてみせた。

超人的な体術である。

怒りに燃える天馬に、宗光の口を借りてヒトラーが諭すように話し始めた。

劣等生にこんこんと答えを教えこむベテラン教師のように。

「国家社会主義に含まれる政治運動以上のものとは、人類を新たに創造しよう
 とする意志なのだ。我らの犠牲となったものたちの死は、輝かしい人類の
 進化に必要な尊い犠牲なのだよ」

「うるせえ!!」

さらなる怒りが込められた天馬の突きが宗光の喉元にえぐりこまれる。

しかし、宙に舞った宗光は、流星之剣の刀峰に着地すると、天馬の胸に蹴りを
叩きこんだ。

たまらず吹っ飛ぶ天馬を見届けつつ着地した宗光の手には、虚空から出現した
長剣めいたものが握られていた。

「ごらんあれ、我が淫藤家の家宝“女肉剣”」

宗光の持つ剣の肉厚の刃は異様な力でひねりつぶされ、縮小し、扁平になって
しまったような女の体で出来ていた。

さらに仔細に検分すれば、刃となっている一つの女体はおびただしい数の
女たちが組み合わさって形作られているではないか。

天馬と隼人の耳に、おびただしい女たちの嘆きが聞こえた。

さらに宗光は、じっと動かず、“気”を溜めている隼人に目をやる。

「ハンディキャップマッチとはひどいなあ、タッグマッチに変更させて
 もらいますよ」

その言葉とともに、宗光の口から白色の粘体――エクトプラズムがほとばしる。

エクトプラズムは隼人の前方1メートルで集まり――
次の瞬間、八つ首の大蛇が砂の上に現れた。限りない飢えに16の瞳を輝かせた
八つの蛇頭が、隼人に襲いかかる。

「いえーっ」

それを見届けると、跳躍した宗光は怪鳥のごとき気合とともに天馬の頭上に
女肉剣を振り下ろした。
115遠野志貴:02/04/14 03:00
>106 <わくわくソンビ学園〜遠野志貴vs才堂不志人>

 悪い予感は当たった。
 全力で走るその先にも、様子のおかしい生徒達がこちらに向けて進んできている。

 廊下の灯りが消えていてほしいとこれほどまでに思ったことはない。
 群がってくる生徒の顔は、廊下ですれ違い、食堂で見かけ、教室で話したような
見覚えのあるものばかりだ。

 嫌な感覚は吐き気をもよおすほどに増してきている。
 だけど、それだけじゃない。
 俺の血が騒ぎだしている。目の前の群を殺せと、うずいている。
 おかしくなった生徒達の動作は緩慢で、眼鏡を外せば容易く殺せるだろう。

 冗談じゃない。学校の仲間を、よりによって俺が殺せるはずがないじゃないか。

 俺はそのまま走り続け、生徒達が目の前になったその時、地面を蹴った。
 斜め前の壁めがけて跳ぶ。
 そして壁を足がかりにして、天井すれすれにまで跳ぶ。
 群の人数は意外に多く、着地するのは群の真ん中。
 だが着地はしない。
 手頃な生徒の肩を踏み台にして、もう一度跳ぶ。

 おかしくなった生徒の群を飛び越えて着地する。
 ちらりとだけ振り返ったが、群の誰一人としてこちらを見ている者はいない。
 俺の姿を視認すらできなかったんだろう。

 ――もしかすると生き残っている人がいるかもしれない。
 俺は一縷の望みを託して走り出した。
116才堂不志人 ◆HU599DhU :02/04/14 03:01
>115 <わくわくソンビ学園〜遠野志貴vs才堂不志人>
<とあるゾンビたち―元人間の教師の場合>
 
(――ワタシハナニヲシテイルノカ?)
 
 虚ろな眼をした教師は廊下を力なく徘徊しながら、わずかに残った理性で考える。
 彼の後ろには多数の生徒たちがついてきていた。
 
 ――もちろん、彼らの眼は虚ろであるが
 
(――セイトヲミチビクノガワタシノヤクメダ)
 
 彼は生前、よほど責任感の強い教師だったのだろう。
 今時、こんな責任感の強い教師はそうは見られない。
 
 ――彼の眼の前に眼鏡をかけた生徒―遠野志貴が踊り出た
 
(アア、コノセイトモミチビカナクテハ――)
 
 彼はそのまま遠野志貴に向かっていった。
 教師もといゾンビとして指導するために――
117スミレ ◆SUMIREYo :02/04/14 03:23
空中大殲 「ヤツは空にいる」
>105
 
 断末魔の叫びを上げて化物が消える。
 横島に肩を預けながら、私はその最後を眺めていた。
 
 ――これで敵が討てた……なんて勝手な思い込みだけどね……
 
 苦笑。
 その間に化物の残滓も空に熔ける。
 それを見送って、私は機内に戻る為に風を具現化する――
 
 ぷちん。
 
 瞬間、
 化物に裂かれた服が破れて胸がこぼれた。
 
「……あ」
 
 慌てて手で隠す。が、横島の目つきが尋常じゃなくなっている。
 
「え っ と …… 横 島 ?」
 
「……スミレさん」
 
「な ん か …… 怖 い よ 〜 ?」
 
 横島から少し距離を取る。
 と、横島が、跳ねた。
 
「スミレさぁん! ぼかぁっぼかぁもお!!」
 
「だからなんでいちいち飛びかかってくるの〜?」
 
 目つきが怖かったので反射的に避けた。
 そこで気がついたのだが、
 私の後ろに飛行機の背はない。
 
『あ”』
 
 凍りついた表情のまま見詰め合う、私と横島。
 横島はそのまま飛行機から落下していく。
 
「ぎゃあああああああっ!」
「横島ぁぁぁ〜っ!」
「アホかアンタら〜!」
 
 ツッコミながら御神苗が鉤つきロープで横島を釣ってくれました。
 御神苗サンクス。
118ギーラッハ ◆GIeRaCHE :02/04/14 03:30
>112 GG対決

 30体もの異形の影の突進!

「雑魚が何匹現れようとも!!」

 空中に向けヒルドルヴ・フォーク を振りかざすと

「セイヤァ!テイヤァ!トオァッ!キテハァ!」

 十字剣閃みだれ打ち! 四発の十字剣閃が密集体型の各部に命中し、
 一撃で数体、計九体のゴキヴリマンが撃墜される。
 迫るは残り二十二体、

「テイヤアァッ!」

 真正面からヒルドルヴ・フォーク を叩きつけると、
 魔力を集中させ放射状に爆散させる!
 粉々に吹き飛ぶゴキヴリマンが六体、爆風で吹き飛ばされた者は十体にのぼり、
 残る至近距離の六体に、袈裟懸けにヒルドルヴ・フォーク を振る!

「セイヤアァッ!」

 二体の体のパーツが宙に舞い!

「ぬんっ!」

 上に返した刃でもう二体を斬り飛ばす!

 残った一体の頭に柄を叩き込んで潰すと、もう一体の足払いを掛け、
 倒れたところに真上からヒルドルヴ・フォーク を突き刺した。
119遠野志貴:02/04/14 03:34
>116 <わくわくソンビ学園〜遠野志貴vs才堂不志人>

 しばらく校内を駆け回ってみたが、生き残っている人はいなかった。

 自分にはワカラナイ――。
 そうしてこんな事になってしまったのか。

 疲れたので廊下の壁にもたれかかった。
 ハア、と一つ大きく息をする。

 そこで気がついた。
 廊下の両方からおぞましい気配が近付いてくる。
 囲まれたみたいだ。

 ――覚悟を決めよう。
 眼鏡を外した。こめかみに軽い頭痛。
 廊下の床や壁にうっすらと『線』が視えた。
 胸のポケットから「七つ夜」のナイフを取り出し、パチンという音と共に
刃を出す。

 俺一人で全員殺せるわけがないから、退路をつくらなきゃならない。
 まずは片側をつぶす――。
 俺は右手から近付いてくる群に向かって走り出した。

 先頭の人間を見て、吐き気を覚えた。
 以前見たことのある死者と同じように、体中に『線』が走っている。
 まるでヒトの形をしたラクガキがこちらに歩いてくるかのような。
 そしてそのラクガキのいたるところに『黒い点』が視えている。

 俺にとってはラクガキで顔がわからないのが救いだった。
 躊躇なくとびこんで、腹にあった『点』を突いた。
 あっけなく崩れ落ちるヒトだったもの。
 俺はそんなものに意を介さず、右から近付いてきたラクガキにナイフを振るう。
 脇の下から脇の下へ、肺、心臓を切り裂いて、胸のところで体を二つに分割した。

 今度は左から近付いてきた死者が腕を伸ばし俺につかみかかってきた。
 俺をバカにしているのか?
 身を沈め、腿の部分にあった『線』を切り裂く。
 片足を失って倒れはじめる死者。
 俺は体当たりをかけて、その後にいた死者ごとはじき飛ばした。

 体勢を立て直すと同時に、右腕を伸ばして近付いてきた死者の点を突く――。
120ゴキヴリマン:02/04/14 03:55
>118 GG対決   
 
「く、なんて奴だ」 
 
瞬く間にゴキヴリマンズ(複数形)を倒してのけたギーラッハ。 
その姿は体液まみれで、どうみてももう紅の騎士とは言えない。 
 
残ったゴキヴリ達に命令して、新たにゴキヴリマンズを作り出そうとした時、 
更にケンヂに追い討ちが掛かった。 
  
(まずいぞケンヂ) 
(どうしたんだ、G) 
(……警察だ。騒ぎすぎたようだな) 
 
サイレンの音がケンヂの耳に届き、疲れきって青ざめていた顔
(無論外からはわからないが)が更に青くなった。 
―――子供達を怯えさせ、街で暴れるゴキヴリマンと警察との関係は、
とても友好的とは言えないからだ。 
 
「……、き、今日の所は勝負は預けるッ」 
 
飛び立ったゴキヴリマンの姿は、あっという間に夜空に溶けていく。 
消える寸前……  
 
「以上ッ」 
 
一応、キメ台詞は忘れずに言っておいた。 
締まらない状況ではあったが。

121才堂不志人 ◆HU599DhU :02/04/14 03:56
>119 <わくわくソンビ学園〜遠野志貴vs才堂不志人>
<とある割烹着の女性の場合>
 いつから、こんなことになったのでしょう?
 チャイナドレスを返して、翡翠ちゃんと一緒に遠野邸に帰ろうとした矢先に、
 虚ろな眼をした学生さんたちに囲まれて……


・ 
 気づけば、わたしは翡翠ちゃんを食べていました。
 
 ――どうしてでしょう
 
 ――何故、わたしはこんなことをしているでしょう
 
 ――分かりません
 
 ただ、翡翠ちゃんを『食べる』という行為がごく自然なことに感じられました。
 
 翡翠ちゃんを食べてしまったわたしは校舎の中を他の学生さんと一緒に歩きます。
 翡翠ちゃんの返り血を浴びた血まみれの姿で……
 
 廊下の向こうで何か、聞こえます。
 
 ――志貴さんが学生さんたちを殺していました
 
 一心不乱に、ただ機械のごとく……
  
 わたしは志貴さんの方に歩いていきます。
 ただ、そうしなければならないと思っただけです。
 
 志貴さんに近づき、志貴さんに話し掛けます。
 
「志貴さん、わたし、どうしてしまったんでしょう?」
 
 ただ、志貴さんの白い首筋が愛しく感じます。
 
 ――そう、食べちゃいたいくらいに
 
 わたしはゆっくり志貴さんに近づいていきました。
122ギーラッハ ◆GIeRaCHE :02/04/14 04:11
>120 GG対決 エピローグ

「逃げおった……あっさりと……」

 一人残され、呆れる己の耳に、遠くからサイレンの音が聞こえてくる。
 単なる警官等問題にもならぬが、もうじき夜も明ける。

「否、それより…… 」

 己は身を包む粘液と異臭に顔をしかめる。

「はよう風呂に入って寝たいわ 」

 己らしからぬ言葉と感じながらも現場を後にしたのであった。

         終       劇
123ゴキヴリマン:02/04/14 04:14
>122 GG対決   
 
《ゴキヴリマンまたも出現。倉庫のお菓子を全滅させる!》 
 
朝刊の記事を見て、ケンヂはぐったり項垂れた。 
 
(なんでよりにもよって……他の倉庫なら) 
(仕方あるまい。同族を呼び集めるにはアソコが一番良かったのだ) 
(そりゃそーだろうけどさ……) 
 
更に朝の港の惨状を思ってゲンナリする。 
なにせそこかしこでゴキヴリが潰れたり集まったりしているのである。 
片付ける人間の精神的苦痛は計り知れない。 
 
(僕は正義のヒーロー……のはずだよなぁ)
(その通りだ。だがもっと強くならなければあの吸血鬼は倒せまい) 
(いや、そーでなくて……もういいや) 
(そうか。では早く朝食にしよう)  
 
激闘の後の朝食のテーブルについたケンヂだが、 
昨夜の闘争の光景を思い出し酸っぱいモノが喉の辺りから込み上げて来た。
 
「はぁ……」 
(どうした、食べないと体に悪いぞ) 
 
Gを……机の下の黄金のゴキヴリを一瞥した後、
自分は一体どこで間違ったのだろうか、 
そんなことを考えながら、ケンヂはようやく箸を取った。  
 
【ゴキヴリマンvsギーラッハ  終】

>114 淫藤宗光/ヒトラーvs竜崎天馬(M)&檀隼人(M)「ヴァレンシュタイン作戦」
 
 怒りのままに繰り出した攻撃は全て躱された。
 鈍った剣ではそれも当然。
 
 そこへ、頭上から宗光/ヒトラーの女肉剣が振り下ろされる。
 
「くっ!」
 
 技量こそ拙いものの、人外の力を持ったその一撃は、受けるのがやっと。
 
 そのうえ、流星の剣と打ち合わせた女肉剣からは、怨嗟の声が響く。
 そう、生きながらに剣とされた女たちの怨嗟の声が。
 
「・・・あぁぁぁぁぁぁ!!」
 
 天馬が、吠える。
 その咆吼に込められたものは、怒りか、悲しみか。
 
 ――――流星の剣は、未だ星の煌めきを宿さない。
125ギーラッハ ◆GIeRaCHE :02/04/14 04:23
ゴキヴリマンvsギーラッハ、レス番纏め

>80 >81 >82 >85 >90 >91 >98 >99 >102
>107 >108 >111 >112 >118 >120 >122 >123

ネタやらマジやら判らぬ闘争となったのは反省せねばな。
生粋のネタ師とも戦こうてみたきところよ。
126遠野志貴:02/04/14 04:23
>121 <わくわくソンビ学園〜遠野志貴vs才堂不志人>

 俺は、一心不乱に、まるでただそれだけをし続けて生きてきたかのように、
死者を『殺し』続けていた。

 殺しても殺しても殺しても殺しても次々と死者は寄ってくる。
 いくら切り裂いても、いくら貫いても数が減らない。
 さっきと同じように飛び越えて逃げるか、そう考えた瞬間。

『志貴さん、わたし、どうしてしまったんでしょう?』

 聞き慣れた声がした――。


 思わず動きを止めて、声がした方を見入ってしまう。
 ラクガキに覆われて顔はわからないが、姿は間違いなく――。

「琥珀さん……」

 呆然と呟いた。
 琥珀さんの顔が『線』で見えないということは。
 体のいたるところに『点』があるということは。

 俺に迷っている時間はなかった。
 叫び出したいのをこらえて、ナイフを持った腕を伸ばし――。


 琥珀さんの胸の『点』を突いた。


 俺に倒れ込んでくる琥珀さんを、一瞬だけ抱き留める。
 一瞬だけで手を放し、琥珀さんが倒れていく。

 琥珀さんが倒れる音と共に、俺の中で何かが壊れた。

 身体が異常に軽い。
 ナイフがまるで体の一部になったように、扱いの正確さが増す。
 俺に視えるのはもはや『点』と『線』だけ。
 口元に笑みが浮かんでいるのがわかる。

 俺は全員を殺す事を決めて、死者たちに二度目の『死』を与え続けた。
127檀隼人(M):02/04/14 04:49
>114>124 淫藤宗光/ヒトラーvs竜崎天馬(M)&檀隼人(M)「ヴァレンシュタイン作戦」

 凝った邪気の吐息を撒き散らし、十六の紅瞳をぎらつかせ、うねくり迫る大蛇の首、首、首。
 神代の昔、七谷八峰を巡ったとされる八岐大蛇、これはその悪夢の再現であった。
 常人でなくとも狂う。そのおぞましい魔界の光景にも、しかし隼人は動じてはいない様に見えた。
 あまつさえ薄く笑っているではないか。
 これが『転校生』か、檀隼人よ。
 
 同時に八つの口が開く。長大な牙を光らせ、妖蛇の群れが踊る。
 隼人は身体をひねった。旋回させた両手が蛇の頭を捌き、鱗を叩く。
 血風が吹いた。
 『転校生』と言えど、攻撃の全てをかわしきれなかった。
 学生服は裂け、身体のあちこちで紅い飛沫が上がる。
 込められた『気』の力を炸裂させても、隼人の打撃は大蛇の鱗を貫く事は出来なかったのだ。
 
 ――ならば。
 
 一息に飲み込まんと大口を開けて振ってくる蛇頭、隼人はそれ目掛けて右拳を突き出した。
 濃さを増した光が噴出する。満を持して放たれた『気砲』である。
 大蛇の頭を消失した。
 
 頭を幾ら潰してもきりが無いな。ここは大元を断つに如くはない。
 
「はあぁっ」
 
 続いて疾る『気砲』は大蛇の胴体部へと吸い込まれていく。   
128淫藤宗光/ヒトラー:02/04/14 05:44
淫藤宗光/ヒトラーvs竜崎天馬(M)&檀隼人(M)「ヴァレンシュタイン作戦」

>124 天馬

宗光は女肉剣に力を込め、ぐいぐいと押してきた。

いまや刃を形作る女は、口と鼻から血を吹きはじめていた。

宗光が力を込めるたびに、鮮血が天馬の顔に降りかかり、女たちの嘆きの声が
その耳に突き刺さる。

「くうっ」

天馬の流星之剣を握る力が、段々と弱まっていく。

宗光とヒトラーの黒い瞳と青い瞳には、すでに勝利の確信が宿されていた。

しかし、彼らは知らぬ――すでにこの瞬間にも、女肉剣の犠牲となったものたちの
魂が、その最後の訴えを、流星之剣を通して天馬に語りかけていることを。


>127 隼人

隼人の放った“気砲”は、狙いあやまたずに八岐大蛇の胴体にすいこまれた。

「いかん!」

しかし叫んだのは、さきほど攻撃を命中させたはずの隼人の方であった。

渾身の『気砲』は、大蛇の半透明となった胴体をそのまますり抜け、
コロシアムの壁を壊し、一部の魑魅魍魎どもを消すだけに終わった。

大蛇は一瞬のうちに、頭は実体として残し、胴のみを非実体化せしめたのである。

自由自在にその身を非実体化させ得る大蛇――このような怪物を、いかにして
屠ればよいというのか。

隼人を前に、大蛇の頭は醜怪な笑みめいたものを浮かべた。



――闇のものたちの優勢に、観客席の魑魅魍魎たちは盛んに声援を送る。

 
>128 淫藤宗光/ヒトラーvs竜崎天馬(M)&檀隼人(M)「ヴァレンシュタイン作戦」
 
 悲しみが、伝わってくる。
 囚われ、弄ばれ、そして今道具とされている女たちの悲しみが。
 流れる血と共に、伝わってくる。
 つたい落ちる涙と共に、伝わってくる。
 
 その悲しみを感じ取って、天馬も知らず知らずのうちに涙を流していた。
(そうか・・・辛かったんだな、苦しかったんだな・・・)
 
 いつしか、怒りで曇っていた心は悲しみで拭い去られていた。
(オレは、何をしていたんだろう)
 
 師の言葉を思い出す。
『怒りを胸に沈めてはならぬ。怒りは両足に込めて、己を支える礎とせよ』
 
(そうか・・・そうだったな・・・先生)
 
 仄かな輝きが、流星の剣から漏れる。
 先ほどのような、爆発的な煌めきではなく、まるで夜空の星のように、儚く美しい煌めき。
 
 ゆっくりと。
 ゆっくりと、剣を押し戻す。
 
 女肉剣も切り裂かれていく。
 だが、切り裂かれた女たちは、微笑みながら、その運命――死――を受け入れた。
 あるいは、それは最後の救いであったのかも知れない。
 
 
 そのまま、大上段に構える。
 
「陸奥守流星乃剣、其の力十全に発揮せし刻、刀身星の煌めきを放てば」
 
 流星の剣の煌めきが、強くなる。
 先ほどまでのそれが、星の瞬きであるならば、これは、そう。
 超新星の如き煌めき。
 
 そして、煌めく刃が真っ向から振り下ろされた。
 
 結果も見ず、くるりと振り向く天馬。
 言い放つように、一言。
 
「この世に於いて、斬れぬもの無し」
 
 血煙が、舞った。
130檀隼人(M):02/04/14 06:38
>128>129 淫藤宗光/ヒトラーvs竜崎天馬(M)&檀隼人(M)「ヴァレンシュタイン作戦」
 
「――主人が主人なら僕も僕。大層な技を使う」
 
 背後に跳びずさり、振りかぶられた鎌首の連撃に空を切らせて隼人は呻く。
 怒涛と化して殺到する怪蛇を前に、隼人はだらりと両手を下ろした。
 何の策も無いと言わんばかりに。
 左の掌が輝く。またもや『気』が放たれた。
 大蛇にあらず、地面へと。
 光は静かに吸収され、白い砂中に消えた。
 八つから七つへ減った蛇怪の顎が『転校生』を捕らえんとした刹那――。
 野太い絶叫が上がった。
 突如大地より天を突いた閃光の柱が、大蛇の胴体を串刺しにしたのだ。
 最前、隼人が投じた『気』が。
 
 単なる直線攻撃のみならず、地中に潜み、時間差を以って敵を狙う『地雷気』の奥義であった。
 
 頭と頭がぶつかり合い、尾が大地を叩く。
 雄牛じみた悲鳴を洩らす大蛇は、眼前の獲物も忘れ果てたかの様に悶えている。
 隼人はゆっくりと、両手を大蛇に向けた。
 左右の掌から迸る二条の光芒は、禍々しき蛇妖のことごとくを祓い尽くした。
131淫藤宗光/ヒトラー:02/04/14 07:27
淫藤宗光/ヒトラーvs竜崎天馬(M)&檀隼人(M)「ヴァレンシュタイン作戦」

>129 >130

天馬の一刀は、宗光の頭からみぞおちまでを一気に切り裂いていた。

いまや半分に割られた美貌の上で、朱唇が最後の言葉をつむぎ出す。

「思い出したぞ……地球に落ちた星のかけらから作られたと伝えられ
 北辰一刀流免許皆伝をうけた者のみが持つことを許された刀――流星之剣。
 この世において切れぬもの無し――僕の野望も……切ったか……」

次の瞬間、宗光は膝を突き、コロシアムの砂の上に前のめりに倒れていった。

そしてほぼ同時に、宗光が生み出した八つ首の妖蛇も隼人の『地雷気』の直撃を
受けたのち隼人に焼き払われ、一握のチリと化した。

次の瞬間、コロシアムは凄まじい怒号に包まれた。

魑魅魍魎たちが、人間には到底理解できぬ奇怪な言葉を興奮してわめき散らす。

並の人間なら、これだけの殺意をぶつけられただけでどうにかなってしまうだろう。

そのような罵声に臆することなく、天馬は宗光の死を確認すると、宗光の死体
に背を向け、隼人の方に歩き出した。

――その背後で、宗光の死体がゆっくりと立ち上がった。
いや、それはもはや宗光の死体などではない。
青い瞳に憎悪を燃やす白人の中年男だ。
宗光の霊魂の消失の寸前、宗光の肉体を支配し、この世に蘇えったアドルフ・
ヒトラーであった。

しかし、魑魅魍魎どもの怒声に耳を煩わされたか、或いは死闘は終わったと放心したか、
天馬は己の背後の気配に気づくのも、ヒトラーがどこからともなく取り出したクロスボウに
かつて大錬金術師パラケルススが呪いを込めた矢をつがえる音を聞くのも遅れた。

いまだ背を向けたままの天馬に、“パラケルススの死矢”が放たれた。

132シャークヴァンプ:02/04/14 14:18
<浅上藤乃vsシャークヴァンプ>
 
 とにかく、『彼』は何も思い出せなかった。
 ただ、路地裏に潜み、日中をやり過ごす。
 何故、こんな事になったのすら分からない。
 
 ――ただ人目につくのは不味い。
 
 そう判断した『彼』は、迷走した挙句、倉庫街にたどり着いた。
 ちょうど、その時……
 
 ――悲鳴
  
 不審に思った『彼』は声の下へと向かう。
 
 ――倉庫と倉庫の間の薄暗い路地に女がいた。
 
 ――そして、彼女の足元に血溜まりの肉塊
 
 少女がなにやら呟いている。
 
『―――母さま。藤乃はこんなことまでしないと駄目な人間なんですか?』
 
『わたし、人殺しなんかしたくないのに』
 
 『彼』は訳が分からなかった。
 『彼』は丸一日『食事』をしていなかった。
 
 そして、目の前に女がいる。
 これを無視する術はない。
 
 ニヤリと笑って、身にまとっていたコートを脱ぐ。
 
 ――そこには鮫の形をした異形があった
 
「キシャアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
 
 威嚇の声をあげながら、『彼』―シャークヴァンプは女―浅上藤乃にゆっくり近づいていった。
133浅上藤乃:02/04/14 15:09
>132

刹那―――奇声とも取れる叫び声



後ろを振り向くと得体の知れない・・・青い生き物。

「・・・見られたのでしょうか?」

見た感じ話の通じるような相手ではない事はわかっていたが
そんな言葉を問い掛けて見る。

反応無し

どうやらこの生き物はそれ所では無い模様
ゆっくりと近づき・・・
そして

「キシャアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

ものすごい速さで藤乃に襲いかかる
まさにその姿は肉食獣そのものもだ
しかし、藤乃は同ぜず・・・いや・・・この機会を待っていたかのように
つぶやく・・・

「あなたが悪いんですよ・・・こんな所に来るあなたが」


ふと―――     藤乃の顔に笑みがこぼれた
134シャークヴァンプ:02/04/14 15:10
>133

「――――!?」
 
 シャークヴァンプが藤乃に近づいた時、ソレは起こった。
 
「ブギャァァァッ!」
 
 何の前触れもなく、シャークヴァンプの右腕が『曲がり、ねじ切れた』
 
「クギャァッ!」
 
 悲鳴を上げるシャークヴァンプ。
 一体、何が起こったのか理解できなかった。
 
 ……シャークヴァンプは本能的に理解した。
 
 ――コロサレル
 
「キィッ!」
 
 奇声を上げて、シャークヴァンプは藤乃に背を向けて駆け出す。
 
 キメラヴァンプの運動性能は想像を絶する。
 一瞬で10メートル近い距離を詰めることも可能だ。
 
 その脅威の脚力でシャークヴァンプは逃げ出した……
135浅上藤乃:02/04/14 15:11
>134
 
ものすごい勢いで逃げ出す 青い生き物


ふと、人刺し指を顎にあて、首を傾げ考えてみる。

「困りましたね・・・私、逃げられると困るんです」

普通に考えればこんな化け物が殺人現場を目撃したからと言って
警察にどうこうする訳が無い。

藤乃もそれをわかっている。
では、なぜ・・・化け物を追いかけるのか
理由は単純明快。ただ藤乃が殺しに餓えているだけの話―――

只――それだけの話。

藤乃は逃げようとする化け物(勝手にドラえもんと命名)を視る。
そして化け物の足を直視し、回転軸を創り出す。

その回転軸を中心にし――――凶げる


「逃げちゃダメなんですよ・・・ドラえもんさん♪」
136シャークヴァンプ:02/04/14 15:12
>135

「ギヒャァァァァァッ!」
 
 今度は、逃げるシャークヴァンプの左足がねじ切れた。
 
 本当に何が起こったのか分からない。
 相手は銃器もなにも持っていない少女なのに――
 
 シャークヴァンプは混乱していた。
 
 藤乃が笑みを浮かべて、シャークヴァンプに近づいてくる。
 シャークヴァンプはそんな藤乃にただ、恐怖した。
 
 ――狩る者と狩られる者の構図
 
 いつも狩る側だったシャークヴァンプが狩られる側にまわった。
 ただ、それだけのことだが……
 
「ブフウウウッ!」
 
 力を振り絞って、奇声をあげてシャークヴァンプは倉庫の中へと跳躍した。
 
 逃げられない。
 このままでは殺される。
 ならば、戦って生き延びる。
 
 それがシャークヴァンプの出した結論だった。
 
 シャークヴァンプは倉庫の中の荷物の陰に隠れて、不意打ちをすることにした。
 
 ――シャークヴァンプは気づいていなかった
 
 ――ねじ切れた腕と足の傷口から血が点々と自分の隠れる物陰に続いていることを
137浅上藤乃:02/04/14 15:25
>136

「・・・・逃げられちゃいましたか」

完璧に足を捕らえたのは確かなのだが、それ以上に
あの化け物の生命力が強かった。
藤乃は化け物の姿を完全に見失ってしまった。

しかし

「・・・血」

藤乃は咄嗟に勘付き、その血の後を辿る事にした。

―――ついた場所は倉庫
路地裏近くの只の古い倉庫だ。

「そこにいらっしゃるのですね・・・」

中は暗闇。
今が夜と言うこともあり暗い倉庫が更に暗黒の空間となっている。
中に入り、そっと手をやると中にはダンボールの山が大量に峰になって
程よい隠れ場所になっているようだ。

そして血の後を更に辿り・・・隠れている場所を見付けた。

「隠れているのはわかっているんです・・・ごめんなさい。
 だから・・・素直に殺されてください・・・お願いです」

しかし、相手に動きは無い。

「しかた・・・ありませんね」

そして、藤乃は一歩踏み出す事を決意した。
138シャークヴァンプ:02/04/14 15:36
>137
 
『――だから・・・素直に殺されてください・・・お願いです』
 
『しかた・・・ありませんね』
 
 気づかれた!?
 何故!?
 
 シャークヴァンプは動揺する。
 そして、気づいた。
 
 ――血が点々と自分の居場所につづいていることを
 
 シャークヴァンプはただ、自分の迂闊さを呪った。
 
 藤乃が近づいてくる。
 
 シャークヴァンプは決断した。
 座して、死ぬよりは突撃してでも活路を開くことを……
 
 シャークヴァンプは残った右足に力を篭める。
 
「クオオオッ!」
 
 そして、雄たけびとともに物陰から浅上藤乃に向かって一気に跳躍。
 
「シャアアアアアアアアアア!」
 
 叫びに最大の殺意を篭めて、シャークヴァンプは藤乃の頭を狙って、左腕の鉤爪を振り下ろした!
139浅上藤乃:02/04/14 15:57
>138
 
『シャアアアアアアアアアア!』


藤乃の頭に鉤爪を振り下ろされた。

しかし、それはどう考えても化け物に分があるとは考えられない。

腕を振るよりも―――視る事の方が速い。


       凶ガレ 



何度も繰り返される言葉は呪いとなる。
友人に聞いた言葉。

そしてその呪いはその化け物に降り注ぐ。

ミシミシと音を立てて頭が無理矢理引き千切られようとしている。
まるで子供が飽きた玩具の人形を癇癪を起こして壊そうとしている様に。
ただ、この場合は癇癪ではなく――快楽なのだが。



そして                          千切れた

頭はどこかへと飛んでしまいわからなくなってしまったが
残された胴体だけは壊れた水道管の様に血を撒き散らしたいる。

そして
うっすらと笑みを溢す少女が一人

「ごめんなさい・・・私・・・こうしなきゃ駄目なんです」

そんな言葉を残し、藤乃は去って行く。
その言葉は・・・まるで自分を宥めるかのような言葉だった。
>139
 
 浅上藤乃が去って、数分後、入れ替わりに筋骨隆々した逞しい男が倉庫に現れた。
 
「探したぜ。――おいおい、勝手にリタイアか?」
 
 男―フリッツ・ハールマンは頭部を失って、痙攣するシャークヴァンプをあざ笑うかのように見下した後、
 
「汝、魂魄なき虚ろの器、カインの末裔、墓無き亡者…… 灰は灰にィ、塵は塵にィ……ってなぁッ!」
 
 右手のボウガンでシャークヴァンプの心臓を撃ち抜いた。
 
『ギャヒイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!』
 
 シャークヴァンプは断末魔の悲鳴を上げた後、灰に還っていった。
 
「ふん、手間どらせやがって――」
 
 フリッツはそう呟いた後、倉庫から立ち去っていった。
 
 ――跡には、一握の灰が倉庫の床に残るのみ
さてと、浅上藤乃vsシャークヴァンプのレス番まとめだ。
 
>132>133>134>135>136>137>138>139>140
142ガロン ◆GALON/hc :02/04/14 16:29
・・・・・・このような場所があったとはな・・・・・・ 
俺の名はガロン。
血の呪いで、今は狼と人の間を行き来している。
ここならば、呪いを解くための闘争にもことかかなそうだな・・・・・・ 
さぁ、殺しあおうか、ナイトストーカーども?
 
出典 :ヴァンパイアハンター(カプコン) 
名前 :ガロン 
年齢 :1940年生まれだ・・・・・・ 
性別 :男 
職業 :格闘家だった 
趣味 :特にない・・・・・・ 
恋人の有無 :居ない 
好きな異性のタイプ :さぁな。恋や愛など、俺には縁のないことだ。 
好きな食べ物 :特にない。食えるものが好物だ、とでも言っておこう。 
最近気になること :人で居られる時間が少なくなりつつあること 
一番苦手なもの :涙、かな?
得意な技 :中国拳法をベースにした格闘 
一番の決めゼリフ :牙なき者に生きる資格なし! 
将来の夢 :人になることだ。 
ここの住人として一言 :ただ、行くのみ、だ。 
ここの仲間たちに一言 :まぁ、よろしく頼む。 
ここの名無しに一言 :血と狂気を感じ取れる闘争をやるつもりだ。
143御神苗優:02/04/14 19:06
はっきり言って迷惑だ!〜御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司
>96>113
 
まぁ、なんとか駐車場に(無事にとはいえないが)たどり着いた俺は、
バスに乗って移動している。 
次の場所は東山。銀閣を見学した後は再び自由行動だ。
もし奴がまた来るようなら、
哲学の小道あたりで決着つけちゃる・・・・・・
これ以上の妨害は、もうナンピトたりとも許さねぇ! 
思い切り手を握り締める俺に、
初穂が声をかけた。
 
『どうしたの御神苗?あんた何怒ってんのよ?』 
「い、いやなんでもねぇ。気にスンナ」 
 
笑ってごまかしたが・・・・・・周りに迷惑はかけたくねぇし・・・・・・
あぁ、畜生!!本当に、ふざけんじゃねぇ〜!!
 
144横島忠夫 ◆YDaTadao :02/04/14 19:45
>117 『空中大殲』 〜ヤツは空にいる〜  エピローグ 
  
 釣り上げられたり、洒落にならない冷風を浴びたり、飛行機のボディに叩き付けられたり、 
 しばらく飛行機からヒモありバンジー状態だったけど。 
 俺は今日も、それなりに元気です。 
 
「大 丈 夫 〜 ?」 
「こ、これくらい、なんともないっす!」 
 
 微妙に凍傷を負った手に包帯を巻きながら、スミレさんが間延びした声で俺を気遣ってくれる。 
 くるくる、不器用な手つきで手当てしてくれる姿は、なんか微笑ましかったり。 
 ――――時々、俺たちに御神苗が鋭い視線を投げ掛けたりもしてきたが、気にしない。 
 それでもおおむね良好で、ボロボロ航空機はなんとかかんとか、最寄りの空港までは辿り着けた。 
 
 パイロットは一人欠け、機体は今にも崩れそうなほどボロボロで。 
 俺もスミレさんも御神苗も、みんな何処かに傷を負って。 
 体は何処か重くて、なんだか気分は晴れなくて、打撲の跡はじわじわと痛んで。  
 それでも・・・ 
 
「ん、どうした?」 
「へっ? え、ああ。なんでもねーよ」 
 
 空港には、新しい飛行機が用意されていた。また、似たような軍用機だ。 
 音を立てるエンジンに急かされるように、俺たちは飛行機に乗り込む。 
 今度こそ、今度こそ目指すは日本。長い長い旅行が、ようやく終わ――――――  
 
 あれ、何か忘れてるような? ありゃ・・・なんだったかな? 
 う〜ん、ま、思い出せないなら良いか。 
 いつの間にか、酒瓶を抱えて眠ってしまったスミレさんの隣で、俺もシートに身を沈めた。 
 色々あって疲れたな・・・そんな事を考えながら、俺も遅い眠りに就く。 
 
 ――――「生きて帰れたら、もっといいことしたげるからね♪」――――
 
 その言葉を思い出したのは日本に着いてから、それも事務所の扉をくぐってからだった・・・ 
 あは、あはははははははははははははは・・・・・・ 
 どぢぐじょぉ――――――――――――――ッ! 
145才堂不志人 ◆HU599DhU :02/04/14 19:52
>126 <わくわくソンビ学園〜遠野志貴vs才堂不志人>
<乾くんの場合>
 
(オレ、どうしたんだろな?)
 
 廊下をボーッと歩きながら、考える。
 たまに、オレから逃げようとする奴をとっ捕まえて喰う。
 
 ――でも、何も満たされない。
 
(――なんで、人を喰ってるんだ、オレ?)
 
 答えは出ない。
 
(まあ、いいか――。おっ、アレは遠野?)
 
 廊下の向こうで遠野がナイフを振り回しているのが見える。
 
「おーい、遠野、危ないじゃないか。こんなところでナイフをふりまわすなんてよ?」
 
 オレはそう言いながら、遠野に近づいていった。
 他の連中もみんな、遠野に殺到している。
 吉良も常盤も高田も舞士間も――
 
(ハハハハ、あいつも人気者だな、ヲイ!)
 
 苦笑しながら、オレは遠野に向かっていった。
146御神苗優:02/04/14 20:07
空中大殲〜ヤツは空に居る 
 エピローグ 
>117 >144
 
ヤツは業火に包まれながら灼け溶けていく。
終わったな・・・・・・しかし、そんなことを考える暇はなかった。
横島が落ちていくのが見えたからだ。 
 
「アホか、テメエは〜〜!」 
 
俺は横島をなんとかロープで拾い、機内に導きいれた。 
・・・・・・本当に、こいつ、世界最強クラスのGSなんだろうか・・・・・・? 
まぁ、実力はあるんだろうけど・・・・・・ 
 
機内でスミレに手当てを受けながら鼻の下を伸ばしている横島を見ていると、
何故か無性に腹が立ったので、俺は一眠りをすることにした。 
すでに換えの機体は最寄の空港に用意してある、という。
・・・・・・なんか出来すぎの気はするが・・・・・・今は何も考えたくない・・・・・・ひどく疲れた。
俺はゆっくり、目を閉じた。 
 
〜〜〜 
「ガーナム会長、スプリガンの御神苗優から連絡が入りました。
『我、不意の襲撃を受けるも何とか撃退せり。されど機体に損傷あり、換わりの期待を求む』だそうです。
 ・・・・・・どうやら、衾の襲撃を撃退したようですね」 
 
男の報告を受けたガーナムはゆっくりと向き直る。
 
「・・・・・・そうか・・・・・・やはり最強クラスのスプリガンなだけはある、か・・・・・・
 彼も我等の考えに賛同してくれれば、これほど心強いことはないのだがな・・・・・・」  
 
アーカム会長、ヘンリー・ガーナムはそうつぶやくと、葉巻にゆっくり火をつける。
 
「まぁ、我々のあの計画が成功すれば、彼も必要なくなるのだがね・・・・・・」 
  
  END
147緑川淳司:02/04/14 20:18
◆御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司◆
>113 シグモンド
 
男が引き金を引く前に淳司の投げた小石は男の左足に当たる。
もちろん彼は男がすでに1発撃っていた事も知らないし、
それが林に入った時に見た転がっていく学生を狙っていた事も、
そしてその弾丸が外れた事も知らない。
 
まあ、知っていても彼には関係のない事だが。
 
男が淳司のほうを向き、「よう」と声を掛けてきた。
「あんたは何者だ…?」
もちろん彼は淳司を警戒しているので銃はまだしまってはいない。
淳司は吸血鬼ではあるが、よく小説などで書かれているほど強くはない。
銃で撃たれた事はないので撃たれたときに傷が再生するかも分からない。
まあ、そんな事を試したくもないわけだが…。
 
「単なるおせっかいな通りすがりだよ。ところで…」
逃げる体勢にしつつ話を続ける。
「ここは平和な法治国家、日本だ。
 無能で強欲な政治家と役人によって治められている、だが。
 そんな国でなんで銃なんて持ってるんだい?
 銃刀法違反だぜ?」
男の反応を待つ。
148アーカード ◆ARCARDr. :02/04/14 20:31
>51-52 VSアベル・ナイトロード エピローグ
 
 凄絶な破壊の跡。
 吹きさらしになってしまったホテルの一室、床一面を朱く染める血。
 あちこちに穿たれた弾痕。
 
 酸鼻を極めるその地獄に佇むは、半分になった下半身と、更に半分の上半身。
 不死の王の残骸は、動けないながらも、それでも生きていた。
 もっとも、再生の気配もなく動くこともままならないようだが。
 
「……血が足りん」
 
 ぼそりと呟く無惨な上半身。
 まさか、このような醜態を晒して生き残ることになるとは考えてもいなかった。
 鏖殺主義者のヴァチカンが殺せない、ましてや化物であるアーカードを殺せないなどとは。
 
 だが、トドメを刺そうとしていたようにも見えたあの男の戸惑いのワケは何だったのか?
 それはついぞアーカードには思い当たらなかった。
 
「これで、ヴァチカンに借り二つか。アンデルセンと……あのカソックはAxだったな。
 確か一切のパーソナルデータが消去されているはずだが、ヘルシングなら調べられるだろう」
 
 そう、この借りは必ず兆倍にして返す。
 あの時のアンデルセンの件も含めて、充分すぎるほどノシを付けてだ。
 今回の件は、明らかにヘルシングとヴァチカンにとって火種になる。
 それは主(マスター)たるインテグラの望むところではあるまいが……。
 
「戦争狂(ウォーモンガー)は止まらない」
 
 限りない喜悦の表情を浮かべるアーカード。
 そう、もう誰にも止められない、否――誰も止まらない。
 
 だが、今のアーカードは止まったままだ。
 このままではにっちもさっちもいかない。
 なので、従僕を呼びつけて棺桶と輸血パックを持ってこさせる事にしよう。
 
 ふと、先ほどのシスターと男のやりとりを思い出す。
 別にシスターと婦警が似ているというワケではないのだが。
 呼びかける前から、呼びかけた時の婦警が予想できて思わず苦笑が浮かぶ。
 それを押し殺しながら念話を従僕であるセラス・ヴィクトリアへと飛ばした――。
 
 TO BE CONTINUED
149シグモンド ◆DGUNdOgI :02/04/14 20:51
◆御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司◆
>143御神苗  >147緑川 
痛みはそれほどでもない。
ヤツはバスに乗っていってしまった。
おそらく、今度は待ち構えているだろう。
―――ああ、やってやろうじゃないか。
 
『あんたは何者だ…?』
さっきのチンピラを一人で片付けた男が声をかけてきた。
 
「質問に質問で返すようで悪いが、一人で無傷にチンピラを片付けられるアンタは何者だ?」
 
そう言って銃を収める。無駄弾は使わん。この距離ならコイツが何をしてきても抜き撃ちで片付けられる。
 
『単なるおせっかいな通りすがりだよ。ところで…』
 
一拍待つ。
 
『ここは平和な法治国家、日本だ。
 無能で強欲な政治家と役人によって治められている、だが。
 そんな国でなんで銃なんて持ってるんだい?
 銃刀法違反だぜ?』 
 
気が向いたのと、揺さぶりをかねて本当の事を軽く言ってやる
「バケモノ相手に法律は適用されるのか?」
 
相手の反応を待たずにそのまま横の駐車場へと走る!

150七夜志貴:02/04/14 20:58
>145 <わくわくソンビ学園〜遠野志貴vs才堂不志人>

 吐息と体は、限りなく熱く。
 頭蓋は、内側から焼けるように。
 視線と意識は、凍てついた氷のように冷たく。
 腕は、それ自体が殺戮に特化した意識を持ったように。

 俺はナイフで切り裂き、突き刺して、死者たちを殺し続けていた。

『おーい、遠野、危ないじゃないか。こんなところでナイフをふりまわすなんてよ?』

 耳に飛び込んできたのは有彦の声。
 だが俺は止まらない。
 今殺した死者もクラスメイトだったようだが、どうでもいい。
 今の俺にあるのは、死者を殺し尽くすというただその一点のみだ。
 だが、このままでは俺の体力が尽きてしまう。
 どうするか。


 考えついた。
 だが「あそこ」へ移動しなければならない。
「鬼ごっこといくか……」
 そう呟く。
 死者はだいぶ数を減らしているから、飛び越えることは可能だ。

 俺は背にしていた廊下の壁を蹴って、死者の群の上へと飛び上がる。
 そして手近な奴の頭を踏み台にして再び跳躍。
 踏み台にしたときに首の骨が折れた感触がしたが、あのくらいでは死なないだろう。
 あくまで俺の自己満足だ。
 普通の人間なら殺せただろうが。

 群の向こう側、まばらにいる死者の間へ着地すると同時に、前方へと転がる。
 立ち上がりざまに手近な死者の『点』を突いて、振り返った。
「どこを見ている! 俺はここだ!」
 そう叫んで、身を翻した。

 だが、全力では走らない。
 おびき寄せるために。
151才堂不志人 ◆HU599DhU :02/04/14 21:25
>126 <わくわくソンビ学園〜遠野志貴vs才堂不志人>
<生存者―山瀬明美の場合>
 
 正直、一体、何が起こったか、分かりませんでした。
 ただ、化け物になった皆から逃げるのに、わたし、必死でしたから……
 
 もう、どうしようもなくて廊下の掃除用具入れに隠れたんです。
 息を殺して、気配を潜めて……
 目の前を化け物になった人が通る度に心臓が止まるかと思いました。
 
 たまに化け物になった人で意識が残っている人がいるんです。
 そういう人がにこやかに他の生き残りの人を食べている時は本当に声も出ませんでした。
 わたしは掃除用具の隙間からその様子を見るだけ――
 
 悲鳴を上げて喰われていく人を見ても、何も出来ないんです。
 怖くて、どうしようもなくて、無力で……
 
 そのうち、化け物になった皆が廊下の向こうに殺到し始めたんです。
 そして、皆がバタバタ、倒れていきました。
 
 よく見ると、男の人―確かに2年の遠野先輩でしたか?
 その人がナイフで戦っているんです。
 
 先輩がナイフを振るたび、化け物になった人が1人、又、1人と倒れていきました。
 でも、多勢に無勢、少しずつ先輩は押されていきました。
 
 すると先輩が壁をけって、人を踏み台にして、上の階への階段へと向かったんです。
 化け物の皆もすぐに方向転換して、先輩を追っていきます。
 
 ――そして、その後、起こったことは……
152緑川淳司:02/04/14 21:32
◆御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司◆
>149 シグモンド 
 
『バケモノ相手に法律は適用されるのか?』
そう言い放つと男はそのまま横の駐車場に走る。
「何だと…?」
対照的に男の言葉を聞いた淳司は立ち尽くす。
(何処まで知っている……俺たちの事を)
問いただすにしてももう一度追いつかねばいけないだろう。
気を取り直して淳司は男を追いかけ始めた。
 
しかし、一瞬でも立ち尽くしたのがいけないのだろう。
またも一足違いでタクシーに乗り込んで走り去ろうとする男を見送る事になった。
(……くそっ)
タクシー乗り場から離れ駐輪場に向かう。
停めておいたレンタル自転車の鍵をはずし、全速力で追いかけ始めた。
 
しかしいくら道路が混んでおり、また自転車をこいでいるのが吸血鬼であったとしても
またもやある角を曲がったところで引き離され見失ってしまった。
近くに自転車を止め男の行く先を推理する。
(やつは最初に誰かを狙っていた。で、俺から逃げつつその目標を狙っている。
 ということはその目標までは最短コースをたどるはずだから……)
バックから出した地図で今の位置を確認する。
(多分、ここだ……)
淳司が地図を指先で叩いた地点は【東山慈照寺(銀閣寺)】と書かれていた…。
153アーカード ◆ARCARDr. :02/04/14 21:40
今回のアーカードVSアベル・ナイトロードに関する報告だが……。
余りにも多くのスレ(11〜21章)に渡っている為、レス番まとめが不可能だ。
よって、以下の資料を用意してもらった。
 
http://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Pen/5305/arucard-12.html
 
また、感想は随時こちらで募集している。
 
名無し(及びその他)吸血鬼達が物凄い勢いで感想を言うスレ2
http://jbbs.shitaraba.com/game/bbs/read.cgi?BBS=163&KEY=1013072172
 
待っていろ、ヴァチカン(ニィ
154七夜志貴:02/04/14 22:03
>151 <わくわくソンビ学園〜遠野志貴vs才堂不志人>

 俺は「あそこ」へ向けて走った。
 時々振り返り立ち止まって、近付いてくる死者を殺しながら、上の階へと移動していった。

 そして、そこにたどり着く。
 去年『原因不明の』崩壊を起こした渡り廊下――。


 ゆっくりと歩きつつ、俺は脳のスウィッチを入れた。
 脳髄が白熱する。
 廊下に浮かび上がる『点』。
 そのすぐ近くまで歩いていく。

 後から死者が迫ってくる気配がした。
 振り返ってみると、ラクガキのような『線』の間に見覚えのある髪が見え隠れする死者が
先頭だった。
 有彦か。

 有彦が俺につかみかかるように手を伸ばして近付いてくる。
 振り返った体勢のまま、俺はぼんやりとその様子を眺めていると、すぐに有彦が間近に
迫ってきた。
「じゃあな、有彦」
 そう言うと俺は。


 しゃがんで、たん、と廊下の『点』を突き刺した。


 突き刺した瞬間、俺は大きく前へと跳んだ。
 廊下の『線』がうねり、崩れはじめる。
 廊下としての意味をなくした鉄筋とコンクリートの塊は、俺を追ってきた死者の群と共に、
地上へと落ちていった。

「ハア――――」
 壁にもたれかかって、大きく息をした。

 これで、終わったはず――。

 そう思ってへたり込みそうになるが、慌てて気を取り直した。
 全て殺すと決めた。
 ならば、殺したかどうか確かめにいかなければならない。

 俺は階段に向かいゆっくりと歩き出した。
155スミレ ◆SUMIREYo :02/04/14 22:16
空中大殲 「ヤツは空にいる」
レ ス 番 纏 め 〜 。
  
前 ス レ の 分 は こ こ 〜 。 
http://salad.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1017941718/518
 
>44>55>59>64>68>69>75>76>77>78>93>100>101>105>117
 
エピローグ
>144>146
156才堂不志人 ◆HU599DhU :02/04/14 22:21
>154 <わくわくソンビ学園〜遠野志貴vs才堂不志人>
<殺人鬼―才堂不志人の場合>
 
 静かになった校庭に、才堂不志人はただ立っていた。
 もう、ここに生きる者はいない。
 そう判断して、踵を返そうとした不志人の耳に轟音が聞こえた。
 
 ……不志人は轟音のした方向へと向かった。
 まだ生きている者がいる。
 ならば、殺さなければならない。
 
「――全ての者に死を!」
 
 それが彼の行動原理だった。



 瓦礫の山の前で、2人の殺人鬼が相対する。
 
 1人は七夜志貴……
 1人は才堂不志人……
 
「死を、死を、死を――!」
 
 何かの呪文のようにその言葉を繰り返して、不志人は右手の大鉈を振り上げる。
 そして、不志人は大鉈を七夜志貴に振り下ろした。
 
 人間如き容易にミンチに出来る鉄の塊が唸りを上げて、七夜志貴へと襲い掛かった。
157エリ ◆Eri.06RI :02/04/14 22:23
遅くなったけどレス纏めよ。
 
エリvsマッカーチス
『another mission』
 
第16章
>655>657
 
第18章
>19>47>474
 
第19章
>21>23>28>54>105>433>444>499
 
第20章
>384>394>424>454>480>510
第21章
>28>45
 
つ、疲れた・・・。
ジュピターキングより手強かったわ・・・。
 
あ、感想とかはこっちのスレで募集してるから。
 
名無し(及びその他)吸血鬼達が物凄い勢いで感想を言うスレ2
http://jbbs.shitaraba.com/game/bbs/read.cgi?BBS=163&KEY=1013072172
 
 
MISSION COMPLETE!
158七夜志貴:02/04/14 22:52
>156 <わくわくソンビ学園〜遠野志貴vs才堂不志人>

 むせかえるような血臭。
 辺り一面に血が飛び散り、このまま血の霧でもでてきそうな感じがする。
 動いている死者はいない。
 本当に全員『殺した』。

「はあ――――」

 安堵のため息をついた。

『――全ての者に死を!』

 その叫びに俺は振り返った。
 明らかにこの学校とは無関係の奴がいる。右手に大鉈を持って。

 ギリ――という音が聞こえた。
 俺自身の歯ぎしり。
 こいつが元凶か。

『死を、死を、死を――!』

 言葉と共に大鉈を振り上げ、俺に向かって振り下ろしてくる。
 この程度で俺を殺そうというのか。
 振り下ろされる鉈を少しだけ後に下がってかわし、無造作に一歩踏み込んで。

 奴の胸にあった『点』を突いた――。

 動きが止まった奴に一言だけ呼びかける。
「死ぬのはお前だ――」
 そして腹に蹴りを入れて、奴を無理矢理離れさせた。

 奴は仰向けに倒れ込んで動かなくなる。
 確実に『点』は突いた。生きてはいないだろう。


 今度こそ、本当に、終わった――。
159才堂不志人 ◆HU599DhU :02/04/14 22:58
>158 <わくわくソンビ学園〜遠野志貴vs才堂不志人>
 
「――――」
 
 不志人はうめき声あげず、その場に倒れ附した。
 いかに、彼でも死点を突かれてはひとたまりもない。
 
 彼の持つ大鉈がカランを乾いた響きをたてて、地面に転がった時、
 ようやく、この惨劇の幕が下りた。
160シグモンド ◆DGUNdOgI :02/04/14 23:06
◆御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司◆
 
 >152緑川
 
 あっけに取られたか、それとも予想以上に動揺したのか、
 とにかく奴はすぐには動かなかった。
 難なくタクシーに乗る
 地図と情報屋から買った『修学旅行』の予定表を照らし合わせ、
 次の目的地―――【東山慈照寺(銀閣寺)】を目指す。
 
 ヤツは決戦に入るつもりだろう。
 ああ、オレもだ―――。
 
 途中のトイレで弾倉に弾を補充し、ギターケースを担いで出る。
 そこで―――ヤツを見つけた。
  
 「待たせたな、じゃあ、やるか」
 とヤツに俺が言った。
 そして走る。獲物を見つけた猟犬のように。
 ―――もう逃がしは、しない。
161不知火 幻庵 (M):02/04/14 23:13
不知火幻庵vs乾九郎 導入 
 
地図から抹消された島、鬼哭島。 
荒涼とした大地に、洞穴がときたま口を開ける不毛の島。 
その洞窟のひとつに、男はいた。 
石筍が立ち並ぶその広間のようになった一角に、無造作にしゃれこうべが積み上げられている。 
あるものは長い年月に白く磨かれ、あるものは耐えきれず風化し、あるものは上からの水滴に穿たれ 
まるでもうひとつ眼窩が空いたようにぽっかりと空虚を覗かせている。 
最早棲む者すらいないこの島で、男は独り嗄れた声を上げる。 
 
「おのれ、アンブロジャ、何ゆえ二百年余りの永い眠りから 
儂の眠りを覚ます!」 
 
男は、慟哭する。 
男は、嘲笑する。 
男は、咆吼する。 
 
男は、呪いの言葉を紡ぎ続ける。 
 
 
 
かつて江戸と呼ばれた街は、東京と名を変え、いまや 
かの悪名高き「始末法」により、刀の街…「刀京」と呼ばれていた。 
 
男は駈ける。星もなく、眩いほどに明るい「夜」を。  
石に覆われた大地を、「ぎやまん」を張り巡らせた建物の間を。 
奇しくも、男の生きた時代の如く、その一刀を以て生きねばならぬ都市を。 
その影は、果たして見た者をして「人」として認識せしめうるものであったか。 
 
その背は大きく曲がり、短い脚の更に膝を曲げているために子供ほどの丈しかない。 
襤褸のような着物の破れ目からは、苔生したような色の肌。 
干した様な小さな頭は禿げ上がり、白目ばかりの眼がぎょろりと光っている。 
頭の下には不釣り合いなほど広い肩、厚い胸と、地を擦るほどの腕の 
子供の胴ばかりもある太さから、只の異形ではないことがみて取れる。 
その右腕には、籠手に似たものを着けている。 
唯一違うのは、指の先に「爪」、恐ろしく長い鋼の爪がついてあることぐらいか。 
 
男は強者を感じた。 
腰に刀を帯びた、隻腕の男に。 
男は嗤い、こう告げる。 
「ンケケケケケ、ヌシの魂、儂が魔道に堕としてやるケ。 
さぁ、堕ちるケ、堕ちるケ・・・」 
久しぶりの感触を確かめるように指を動かすと、 
鋼同士の擦れ会う、ギリギリという不快な、そして心地よい音がした。 
162乾九郎(M):02/04/14 23:26
>161
乾九郎(M) VS 不知火幻庵(M)

黒いロングコートの人影が、夜の街を歩く。
左腰に刀を帯びてはいるが、その刀を抜くべき右腕は無い。
ただ、中身の無い袖が風に吹かれて揺れているのみ。
隻腕の黒い塊のような男。
それが、乾九郎。
いつも通り、塒へ戻るべく歩を進めていたところ―――

『ンケケケケケ、ヌシの魂、儂が魔道に堕としてやるケ』

突然、耳に不快な声が飛び込んでくる。
九郎は声の主を探し、その方向へ向き直る。

――――何だ、コイツは。

声の主であろう男を確認して、思わず顔をしかめる。
人間には有り得ない緑の肌、化け物の体を無理やり人間の形に押し込めたような体型。
それらのどれもが、世に存在を許されない。そんな印象を与える。

―――「始末」では、無いな。

目を見た瞬間、九郎は即座に判断した。
その目は九郎がよく知っている目だ。
そして、気に入らない目。
殺しを楽しむ、純粋な『人殺し』の目だ。

『さぁ、堕ちるケ、堕ちるケ・・・』

「――――堕ちる、か」

けだるげに口を開いた九郎が、呟く。
その声はか細く、掠れ―――そして、どこか物憂げな声。
呟きと共にコートのポケットに納められていた左手を出し、指弾を弾く。
鉄の球が、男の顔面に向かって突き進む。
163本庄:02/04/14 23:33
黒騎士ブラフォード対燦月の走狗
【英国 『風の騎士達の街』 20:00】
「ママがぁぁ!!」
夜の街道を駆け抜ける小柄な影。
一目で小僧と判るその影は、尋常でない焦燥感により塗り潰されていた。
 
俺が前に立つ。前も見なかったのか小僧は俺にもろにぶつかる。
いい当たりだ。餓鬼とは思えない。
 
「どうしたんだ小僧。何があったか順を追って説明してみろ」
 
右も左も判らないほどに気が動転していた小僧だが、
ようやく落ち着いて話を聴くと、どうやらこいつの母親が化物になったと。
 
 
まったく・・・・・・・やれやれだな。
俺の名は本庄。下の名前はとっくに捨てた。
俺の所属する燦月製薬・・・・・・・・・・いやイノヴェルチは
長年に渡り――それも俺の生まれる何世紀も前から――化物、
ことに吸血鬼の研究をしている組織だ。
貴族や有力者に同志を増やしていき、遂にナチスドイツと
手を組むまでに組織化されることになった歴史がある。
よりによってそんな気違いどもの参加に入ったのが俺の運のつきだ。
おかげでこんなド田舎に派遣される羽目になった。
 
イノヴェルチが追ってきた吸血鬼製造法。
その先端にある『石仮面』によって生まれた吸血鬼が、
そしてそいつによって造られた屍生人がこの町に繁殖しているらしい。
これ以上屍生人が増えるのを防ぐため、
吸血鬼の存在が漏洩する事を防ぐため。
何より燦月製薬の研究のために俺達はここに派遣されてきた。
 
「よしよし、恐かったな。安心しろ。すぐにおまえの母さんは元に戻るさ」
 
優しく小僧を抱きとめようと腕を広げると、小僧は自分から飛び込んでくる。
ガクガクとまだ震えている。余程恐かったのか。それとも・・・・・・・・・
 
ゆっくりと俺の胸に、首元に顔を近づけながら小僧は嘯く。吐息は冷たい。
 
 『母さんを元に戻せるの?』 「ああ」 『どうやって?』 「こうさ」
 
右手のナイフで小僧の首を刈り取るのと、左手の40口径が小僧の胸を貫いたのは同時だった。
 
 『WRRRYYYYYYYYAAAAAAA!!!!』
 
生憎、小僧が本性を現す。まったくひでえ顔だ。屍生人が。
・・・・・・・・・・・・相棒、出番だぜ。
 
後ろに控えていたコートの大男が軽く腕を振るう。
小僧の頭は一撃の下に叩き潰された。
地面に血と脳漿が振りまけられ泥なのか血なのかもよくわからない。
これじゃあ不死身だって言ってもたまらんだろう。ちょろいもんだぜ。
 
有象無象の区別無く、死を振り撒く化物どもが。さっさと終わらせてやらなきゃな。
 
「?!」
 
いきなり、大地が揺れる。ただならぬ鬼迫に俺どころか相棒までもが狼狽する。
そこへ現れたのは―――――
>131 淫藤宗光/ヒトラーvs竜崎天馬(M)&檀隼人(M)「ヴァレンシュタイン作戦」
 
 一瞬の不覚。
 
 敵の生死を確認することなく、背を向けたこと。
 闘技場が怒声と殺意で塗り固められたこと。
 流星の剣の力を発揮しきったがゆえの疲労。
 
 様々な要因が重なり合った、一瞬だが致命的な不覚。
 
 その一瞬に、死が、飛び込んできた。
 パラケルススの死矢、と呼ばれるそれは、まっすぐに天馬の心臓目掛けて飛んでゆく。
165御神苗優:02/04/14 23:42
はっきり言って迷惑だ!〜御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司  
>160 シグモンド
 
落ち着かない気持ちで銀閣を見学した後、
俺は一人、哲学の小道を歩いていた。 
 
ここなら他の学生や観光客も居るし、カモフラージュにもなる。
そう思ったんだが・・・・・・
俺の期待は思いっきり外れた。
トイレから出てきた、例の黒コートの男と思い切り目が合った。
その瞬間、俺は回れ右をすると・・・・・・逃げた。
 
『待たせたな、じゃあ、やるか』 
 
奴は俺に言ったが、知ったこっちゃねぇ。
やりあうにしても、少なくとも、こんなところでやれるか!! 
今の俺は学生なんだ!!
修学旅行に来てる普通の一高校生なんだ!!
 
>163
 
黒騎士ブラフォード対燦月の走狗
【英国 『風の騎士達の街』 20:02】
 
大地を割って現れたのは、漆黒の鎧に身を包んだ騎士だった。
月光を照り返し、鎧が昏い光を帯びている。
 
その騎士の表情から生気は伺えない。
当然だろう、彼もまた屍生人なのだから。
彼の胸にあるのは、生きとし生ける者への怨念だけ。
 
「俺の名は黒騎士ブラフォード……」
 
無表情に名乗りをあげると、黒い騎士は地面を蹴って駆け出した。
そのまま、本庄目掛けて拳を繰り出す。
 
風を切る音とともに、黒い籠手に包まれた拳が、本庄へと迫る―――――。

167遠野志貴:02/04/14 23:44
>159 <わくわくソンビ学園〜遠野志貴vs才堂不志人>
<エピローグ>

 全てが終わって、俺は座り込んでしまった。
 無理に『モノの死』を視てしまったから、頭痛がひどい。
 手に持ったナイフを取り落とし、地面に転がしてしまう。

 でも、もういいんだ。全部終わったんだ。

 そう思って、俺はそのまま仰向けに寝ころんだ。


――――――頭上には銀色の月。

 ユメに出てきた殺人鬼でさえも照らしていた月。
 手を伸ばせば触れられて、触れれば壊れてしまいそうなガラス細工。
 そんな銀色の月は、紛れもなく殺人鬼となった俺も照らしていた。

 円いはずの月が滲んできた。
 今さらの涙。
 多くの友人を殺しておきながら、その死を悲しむ都合のいい涙。

 俺は眼鏡をかけることも忘れ、涙を流しながら、銀色の月を見つめ続けていた。

 ずっと、ずっと――――――。
168不知火 幻庵 (M):02/04/14 23:50
>162
乾九郎(M) VS 不知火幻庵(M)
 
 
長い外套の脇にある「隠し」から左手を出すと、 
黒ずくめの男は指弾を打つ。 
古来から「印地打ち」とも呼ばれる、遠当ての術。 
 
無論、幻庵も遣い手を相手にしたことはあろう。 
それでも、今までに見たどの遣い手にもひけをとらない 
その腕前に、幻庵は、知らず心が逸った。 
 
「ケ、ケ、ケ、いいケ、いいケ」 
 
身体の前に右腕をだし、その腕に隠れるように身体を縮める。 
籠手の表面に鉄球が音を立てて当たり、 
小さなへこみを作る。 
 
「ケケケケケ、石投げ遊びはそこまでケ」 
 
指の間からぎょろりと眼を覗かせると、 
その場で跳躍する。 
人ではあり得ない、人の規格を越えたからこそあり得る、 
尋常ならざる大跳躍。 
 
その場で七尺(約2m)程も跳び上がると、 
隻腕の男めがけてその長大な爪を振り下ろす。  
>166 対黒騎士ブラフォード
 
ようやく頭を出しやがったか、化物。
しかし・・・・・・・・・・・・ずいぶん派手好きらしいな。
この時代錯誤な屍生人さんは。
 
と思う間もなく拳を繰り出す騎士。
 
唸る夜族の拳を受け止めたのは、同じく夜族の腕だった。
コートの大男のコートが破れ、その下に隠された本性を露わにする。
 
キメラヴァンプ。燦月製薬最強の生物兵器にして
かのロードヴァンパイアリァノーンの因子を受け継ぐ夜族。
蒼いその皮膚は月の光を反射しない。
自ら夜気を取り込むかのように鰓が開閉する。
 
  シ イ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 
 
相棒の吐息はさながら研ぎ澄まされた刃のそれだな。
 
あとは相棒任せだ。俺はさっさと身を引く。
もちろん論理的な策を聾した戦術的撤退だ。
 
俺が街道に身を沈めるのを見届けると、相棒――シャークヴァンプは
容赦なくその鉤爪を黒騎士の胸へ向け叩きつけた。
170檀隼人(M):02/04/15 00:04
>131>164 淫藤宗光/ヒトラーvs竜崎天馬(M)&檀隼人(M)「ヴァレンシュタイン作戦」 
 
 視界に入った。天馬の背後で、二から一に戻った独裁者がクロスボウを番える姿が。
 雷瞬の間も置かず隼人は駆け出した。拳は『気砲』を繰り出す。
 ヒトラーでも放たれた邪悪なる流星でもなく、天馬に向かって。
 光球は、威力をセーブしてなお天馬を薙ぎ倒した。
 数秒前に天馬が在った空間を矢が駆け抜ける。
 矢は観客席まで達し、忌まわしい悲鳴もろとも異形数匹を灰燼に帰した。

 クロスボウを振り捨てたヒトラーは躍り上がった。凄まじい手刀が、馳せ来る隼人を迎え撃つ。
 隼人は左肘で受けた。
 脳天まで噴き上げる激痛に耐え、唸った右の貫手はヒトラーの左胸を抉り抜いていた。
 わななくヒトラーから右腕を引き抜く。妖人はよろめいた。
  
「進化とは、俺たちが遂に知る事のない大宇宙の法則によって為される。例え一時の破壊を招こうと、
その先にあるのは新たなる創造でなくてはならん。
敢えて神のとは言うまい。だが、それは人が手を出せる業ではない」

 崩れ落ちるドイツ人総統に、隼人は冷然たる声を投げ掛けた。
 
「ましてや、お前たちの歪みきった精神で為す事など出来はせん。
ヒトラーよ。お前が世界大戦の火蓋を切る前に、俺はこの世界へ喚ばれておくべきだった」
 
 身を翻し、倒れたままの天馬の元へ駆け寄る。手を差し伸べながら言い難そうに言った。
 
「咄嗟の事とは言え、済まなかった。立てるか?」
>169 対燦月の走狗
 
爪が鎧にぶつかり、鈍い金属音が夜の空間に広がった。
 
鎧には、爪の形をした傷痕が深々と残る。
鎧に守られ、ブラフォード自身の体には損傷はなかったが……。
 
「よくも……メアリー女王から授かった鎧に傷をゥ!!」
 
その鎧の傷が、ブラフォードの怨念を暴発させた。
女王への忠誠、そしてその女王を殺された怨念こそが、彼の力の源。
怨念のこもった黒騎士の長い髪が、奇妙なリズムをとって動き出した。
 
「首の骨をへし折ってやるゥッ!!」
 
黒髪が舞い踊り、一塊りとなって蒼い化け物の喉元へと吸い込まれていく。
172才堂不志人 ◆HU599DhU :02/04/15 00:20
>167 <わくわくソンビ学園〜遠野志貴vs才堂不志人>
<エピローグ―生存者・山瀬明美の場合>
 
 轟音の後、急に静かになりました。
 廊下を覆う異様な気配も感じられません。
 わたしは意を決して、掃除用具入れの中から出ることにしました。



 廊下には何もなく、化け物になった皆もいませんでした。
 ただ、廊下には静寂が広がるのみです……
 
 ……先ほどのアレが夢だと思えてきます。



 階段を下りて、昇降口から、校庭に出ます。
 そこで見たものは……
 
 ――瓦礫の山を背景に月を見上げる遠野先輩
 
 そこでわたしは実感しました。
 
 ――これが夢じゃないことを
 
 わたしは助かったことを喜ぶべきでしょうか?
 正直、分かりません。
 
 ……私も空の真円の月を見上げました。
 ふと、涙が出てきます。
 
 思考が真っ白になります。
 ただ、思いました。
 この時間だけは遠野先輩と共有しようと……
 
                 <END>
<わくわくソンビ学園〜遠野志貴vs才堂不志人>
>84>88>92>103>106>115>116>119>121
>126>151>154>156>158>159>167>172
のレス番まとめね。
 
志貴、初闘争お疲れ様!
174乾九郎(M):02/04/15 00:22
>168
不知火幻庵(M) VS 乾九郎(M)

男は高々と跳躍するが、九郎に動揺の色は伺えない。
猛烈な速度で振り下ろされる爪を、体を少しずらすだけで当然のように避ける。

どんなに威力が高かろうが、それは軌道の変わらない攻撃。
その程度の攻撃を避けるのは九郎にとっては容易い事だ。

「―――遊ぶのはやめるか。お互いにな」

空を切った爪を地面に叩きつけた男に、言い放つ。
何時の間にか、九郎の獣を思わせるその眼は鋭さを増している。
再び左手がポケットから覗き、鉄の弾丸を放つ。
狙いは右足に付けた。この脚力は少々厄介だ。
さらに、放った球を追いかけるようにして二つ目の弾丸を送り込む。
二つ目の狙いは、胸。
至近距離から放たれた高速の鉄球が男に襲い掛かる。
>171 対黒騎士ブラフォード
 
シャークヴァンプは飢えていた。
任務という物があるため、
なかなかに思うように『食事』をすることは出来ない。
相棒の監視の目がある間、思うように動けない。
だが、それもひとまず終わったのだ。今は夜。
いつもの監視の目も無い。大きく欠伸をするかのように息を吐き
目の前の黒髪の騎士に鉤爪を突き立てる。
 
(これじゃあ楽勝だろうなァ。俺様を誰だと思っていやがる?えぇ?)
 
だが、次に余裕綽々に腕を振るうシャークヴァンプを襲ったのは恐怖だった。
 
目の前の騎士の体躯が一回りも二回りも大きくなったような気がする。
ばらばらとその長い黒髪が動き出す。初めは錯覚かと思った。
だが、それは確実に意志をもって動きシャークヴァンプの首元に迫る。
 
気がついたときには、既に首をへし折られた後だった。
 
血を吐く。何度も何度も吐き出す。これくらいでは死なない。否、死ねない。
この程度ならすぐに治る。擦過傷と違い骨折では体外に血を失う事はない。
その程度ではまだまだ死ねない。それがキメラヴァンプ。
 
許せるか、許せるか?この俺を・・・・俺をオレヲォォォガァアァ!!
 
首の神経が繋がってすぐに飛び上がりその黒騎士に飛び掛る。
何度も、何度も何度もその鎧に爪を突き立てる。過負荷で自分の腕がへし折れようと
爪が剥れようと相手に切り付けられようと構わない殺す殺す。
そのまま幾重にも張り合わされた鎧の金属板に爪を引っ掛け剥がそうとする。
相手の抵抗により、また自分の強すぎる力により身体から噴き出した血が自らを朱に染める。
濃い血臭が霧の様に辺りを包む。シャークヴァンプは狂喜していた。
斬りつけても死なない相手。切りつけられても死ねない自分。殺し殺されることが最大の喜び。
 
さあ殺されろ殺してくれ俺をお前を・・・・・・・・・・・ヒャハハハハハハハアァハァ!!
 
彼らの噴き出す血の汗の薫りに、引き寄せられる者があれば。
それは必ず狂気に凍りつく事だろう。それほどまでに野蛮で・・・・・・・・・美しい。
<わくわくソンビ学園〜遠野志貴vs才堂不志人>

訂正!

>84>88>92>103>106>115>116>119>121
>126>145>150>151>154>156>158>159>167>172
 
ごめんなさい!
177アーカード ◆KW8IkuCk :02/04/15 00:41
>前スレ456、>19章50 アーカードVSファントム
 
「なるほど、確かに私は命をチップに載せていないな」
 
 得心がいったという顔で少年に答えるアーカード。
 
「だが、困ったことにこの命をチップとしてテーブルに載せる手段は私にも分からん。
 私の命は、私にも自由にできんのだよ。
 それが可能なのは、我が主(マイマスター)唯一人なのだが」
 
 薄く笑いながら、言葉を続ける。
 
「ふむ……確かにコレが賭けとして成立していないというおまえの言い分は一理あるな。
 ならば、これはゲームではない……そう」
 
 笑みが深くなる。
 
「至極シンプルな殺し合いだ」
 
 少年から言葉と共に吹き付けてくる殺意を、むしろ心地よく感じながら佇んでいる。
 まだ、少年は諦めていない。
 と言うことは、何か最強の鬼札(ジョーカー)を隠し持っているはずだ……。
 
 少年が動いた。
 体ごと地面に飛び、その先には――悲しいほど非力に映るグロッグが一挺。
 だが、分かる、戦争狂(ウォーモンガー)には分かる。
 その非力な一挺こそが、まさに少年にとっての鬼札だと。
 
「させん」
 
 ゲームならば、いくらでも受けて立とう。
 しかし、それは少年自身が否定したのだ。
 これは殺し合いだ、と。
 
 ならば、一切の躊躇も手加減も与えずに捻り殺す。
 鬼札を手放しているのなら、再びその手に握らせる道理などありはしない。
 こちらに背中を向けている少年に腕を伸ばす。
 
「さぁ、王手詰み(チェックメイト)はどちらだ?」

(トリップ判定)
178淫藤宗光/ヒトラー:02/04/15 00:45
淫藤宗光/ヒトラーvs竜崎天馬(M)&檀隼人(M)「ヴァレンシュタイン作戦」 

>164 >170

隼人の手刀がヒトラーの左胸をえぐる。

史上最大最悪の独裁者は、ここに二度目の死を迎えた。

肉体は。

倒れた瞬間、ヒトラーの霊魂は魔界の闘技場を離れ、亜空間に離脱していた。

「おのれ……またしても……
 だが、余の魂は我が理想と同じく不滅だ。いったんコーネリアス城に帰還して
 また力を蓄え、余の魂の新たなる受け皿となりうる者を待つか……。
 最後に勝利するのは余なのだ」

敗北感に打ちのめされつつも、自らに言い聞かせるようにヒトラーの霊魂は
つぶやき、亜空間を移動しつづける。

――突然、周囲の景色が一変した。

そしてヒトラーの魂は、自分が地獄の諸侯の前に引き出されているのを知り、
絶句した。

猫と人と蛙の三頭を持つ魔王バール、途方も無く年老いた鬼の外見を有する魔王
ベルフェゴール、黒き高慢な龍人間ベリアル、巨大な馬に乗った騎士アロセール、
狼の体に蛇の尾とフクロウの頭を持つアモン、ハエの王ベルゼブブ、その他
多くの名のある大悪魔たちが集結していた。

地獄の諸侯から凄まじい怒りの思念が発せられる。

――北米大陸を焼き尽くすはずの“炎”はどうした!!

――我らに捧げられるはずの、アメリカの生きとし生けるもの全ての“血”と
  魂はどうした!!

――貴様の艦隊を冥府より呼び出すのに力を貸してやったとき、貴様はそれらを
  必ず献上すると誓ったではないか!!

「も……申し訳ございません、ですが……今一度機会をお与えくだされば……
 その時は必ず……」

居並ぶ地獄の諸侯から発せられる怒りに独裁者としての、黒魔術師としての
矜持も忘れはて、ヒトラーの霊魂は懇願した。

しかし、そのような訴えに耳を傾けるほど、地獄の諸侯は慈悲深くは無かった。

ヒトラーの周囲から黒い手が伸び、彼の魂を奈辺へと引きずりこむ。

声にならない悲鳴を上げつつ、ヒトラーの魂は神すら這い上がれぬ
大暗黒界(クリフォト)の深淵(アビス)へと落ちていった。



アドルフ・ヒトラー(妖魔シリーズVer)再起不能(リタイア)


 
 
179不知火 幻庵 (M):02/04/15 00:45
>174 
不知火幻庵(M) VS 乾九郎(M)
 
 
『―――遊ぶのはやめるか。お互いにな』
 
言いつつ、男は再び指弾を放つ。 
一発は脚に、そして一発は胸に。 
 
手裏剣術に似たものがある。 
微妙に軌道をずらした手裏剣を複数打つ事により 
打ち落としにくく、また避けにくくするものである。 
 
幻庵は足許の鉄球は跳び上がることにより避ける。 
しかし第二撃を胸に受け、呻き声を上げつつその場に倒れる。 
 
その胸には余りの威力からか、ぽつりと穴が空き、そこから、 
 
血は流れては来なかった。 
 
そこからは、ぎらりと光るもの。 
それが眼であると気付く間もなく。 
 
指が突き出す。 
胸の穴を押し広げつつ、古き皮を脱ぎ捨て幻庵は 
てらてらと粘液に光る身体をあらわした。  
 
「ケ、ケケケ・・・遊びは終わりではなかったケ?」 
 
幻庵は、爪を突き出しつつ、低く嗤った。 

>175 対燦月の走狗
 
爪が黒き鎧を引き裂き胸を抉り肉を裂き肋が砕け血が肺を満たしても黒騎士は倒れない。
屍生人であるブラフォードは痛みも苦しみも躊躇いも感じない。
ただひたすらに敵を切り裂き叩き潰し血を啜るのに必要な本能と怨念だけが彼を動かす。
 
黒騎士は1つ咆哮を挙げると、その自在に動く魔髪で、背の剣を抜き放った。
蒼く白い月明かりを照り返した剣が、血と肉と骨にまみれた惨状の中に鮮やかに輝いた。
 
「女王も俺も死んだァァァァァッ!!何故貴様等は生きているゥゥゥゥゥッ!!」
 
生きて動く者、全てへの呪詛と血を吐くブラフォード。
黒騎士は黒く蠢く虫の群のような髪とともに、蒼い化け物に剣を叩き込む。
さらに、髪の毛に隠れた死角から拳を連打していく。
 
壊してやる壊してやる壊してやる。
怨念と血と咆哮とが辺りに飛び散っていく。
 
181乾九郎(M):02/04/15 01:09
>179
不知火幻庵(M) VS 乾九郎(M)

「な―――!?」

皮を脱ぎ捨て、刃の爪が現れる。

咄嗟に体を捻るが、完全に避けることは出来なかった。
幸い、コートの下に防刃着を着ていたため重傷ではない。
が―――ダメージが与えられた事には変わりない。

「―――脱皮とは、ますます人間離れしてきたな」

痛みに顔を歪めつつ、バックステップ。
同時に―――懐かしい感覚を覚える。

殺さなければ、殺される。

そんな言葉が記憶の底から浮かんでくる。
殺す事でしか生きてゆけぬ自分。
そんな相手が化け物だというのならば、それもいいか。

ぼんやりとそんな事を思いつつも腰の刀を鞘ごと抜く。
その刀を構える事もせず、だらりとぶら下げながら九郎は呟く。

「さぁ―――来い」

その顔には、肉食獣を思わせる獰猛な笑みが浮かんでいた。
>180 対黒騎士ブラフォード
 
月の光を照り返してなお貪欲に輝きを求める騎士の白刃。
その魔剣はシャークヴァンプのその鮮血の輝きを欲していたかのように。
 
 目の前を光が疾った。
 ぶちぶち、と肉を千切られる。
 肩口から腕を切り落とされてもなお、
 シャークヴァンプの闘争本能は揺るがない。
 
いい!いい!いい!イイぜぇ、愉しませてくれる。クハハハッ!!
 
 シ ュ ゴ オ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ !
 
地を蹴る。
 
        W R R R Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y !
 
                       剣を拳を髪を叩き込む。
 
既に辺り一面はてらてらとした生々しい朱に染まっている。
切り落とされた腕が再生する。そこが俺の強み。ついて来れるか?騎士さんよぉ!!
 
全身を騎士の髪で押さえつけられ、剣で、拳でケンでケンデ引き裂かれるその身体。
見るもの全てが甘美な赤。嗅覚を覆い尽くす血霧。何より楽しいのはその痛み!
 
怨念?怒り?憎悪?呪詛?嫉み?違うな。アンタは違う。愉しんでいるのさ俺と同じく。
 
                   殺し、殺されるコト
 
/本庄フェイズ
 
相棒と敵の戦いを影で窺う俺。
辺りを覆い尽くさんばかりに広がる血の瘴気。これに惹かれて来る者があった。
他の屍生人ども。こちとら生身だぜ?少々手に余るよな・・・・・・・・まあ、いい。来い。
面倒くさいのは嫌いだ。辺り一面の建物には花火を設置してある。
 
   『UUUU・・・・・・・・RRRYYYYY・・・・・・・・・・・・・・』
 
ずんずんと俺に近寄ってくるゾンビども。さあ、来てみろ。
ざっと200はいる奴らを屋根から見下ろすと、俺は花火のスイッチを押した。
周りの建物がいっせいに吹き飛ぶ。火を吹く。それは壮大な火葬。
屍生人どもを巻き込み炎は勢いを増す。石造りの町だからこそこれくらい派手にやれる。
灰は灰にってな。あばよ雑魚ども。
183吾妻玲二 ◆I2FnXeqA :02/04/15 01:17
>177 アーカードvsファントム

 切り札として残されたのはただ一つ、グロッグに装填された特殊弾。
 迷いは無い、最期まで希望は捨てない…… 必ず勝つ!!

 地を蹴り、身を屈めながらグロッグに手を伸ばす。

 スローモーションの様に過ぎる時間…… 
 俺の手足はこんなにもゆっくりとしか動かなかったのだろうか?

 銃を拾い上げ、奴に向って振り返えろうと動いた瞬間には、マニュアルセーフティ
 の無いグロッグで良かったと考える余裕すら有る。

 背後には強烈な迄の殺気…… 見なくても判る、このままでは間に合わない。
 俺は奴から遠ざかる方向に転がるように身を投げ出しながら振り返る。

 覆い被さる様に視界に広がる、血の赤とも闇ともつかない影に向ってトリガーを……


 (トリップ判定)
>170>178 淫藤宗光/ヒトラーvs竜崎天馬(M)&檀隼人(M)「ヴァレンシュタイン作戦」
 
「ああ、ちっと痛いが死ぬよりゃマシだ。ありがとう、礼を言うよ」
 
 苦笑いを浮かべながら、差し伸べられた手を取る。
 己のミスを無しにして貰えたのだ、礼などいくら言っても足りないほどだ。
 
 
 ヒトラーの死と共に、最前まで闘技場であった場所は元の艦長室に戻っていた。
 しかし、宗光/ヒトラーの魔力によって創られていたこの船も、その供給源を失い、再び元の藻屑に帰ろうとしていた。
 
 そのことに気付くと、二人は駆けだした。
 この魔界の船と命運を共にする気などはない。
 
「甲板に、俺の飛行機がある!それに乗って脱出と行こう!」
 
 叫びながら、走る、走る、走る。
 
 魔力を失ったグラーフ・ツェッペリンは如何に巨大であろうともただの船の大きさにしか過ぎない。
 崩壊の中、二人は無事新・天翔馬号に辿り着いた。
 
 コクピットに飛び乗り、エンジンに火を入れ、翼端を伸ばす。
 カタパルトもなく、甲板は崩れる一方。飛び立つには最悪の状況だ。
 しかし、生粋の飛行機乗りたる天馬にははっきりと『道』が見える。
 そう、飛び立つための『道』が。
 
「新・天翔馬号・・・発進!」
 
 邪悪を誅し、再びペガサスは飛び立った。
185緑川淳司 ◆CRSxoxJM :02/04/15 01:30
◆御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司◆
>160 シグモンド >165 御神苗優
 
銀閣寺前のバス停留所に自転車を止め、淳司は『哲学の道』のほうに歩いていく。
(こちらの方が人が密集してカモフラージュしやすいとやつが目標の思考を読むならここにいるはず。
 まあ一往復して居なければ、銀閣寺のほうを探せば良いんだし)
 
思いのほかあっさり見つかった。
こちらに向かって歩いていた一人の学生がいきなり回れ右をして走り出したと思ったら、
淳司が探していた男が近くのトイレから飛び出し、その学生を追い始めたのである。
見失わないように淳司も男を追う。
 
今、周りの穏やかな雰囲気をよそに【哲学の道】での追走劇が始まった。
186檀隼人(M):02/04/15 01:39
>178>184 淫藤宗光/ヒトラーvs竜崎天馬(M)&檀隼人(M)「ヴァレンシュタイン作戦」

 猛烈に大気を切り裂いて、冠された名の如き天馬は虚空へと離艦する。
 強烈なGが二人を座席の背もたれへ押し付けた。
 消えつつある濃密な妖気の渦を掻き分け、二人の乗った新・天翔馬号は宙を舞う。
 
 眼下に見える死霊艦隊は、主の妖力を失い、溶けるように沈んでいく。
 毒々しい緑色の泡沫が海を沸き立たせた。
 
 順調に高度を上げ、大空を羽ばたき進む青い複葉機は、急に機体を揺らした。
 プロペラの旋回音が、素人にも判る程異常なそれに変わっていく。
 妖魔空軍との戦いで受けたダメージの所為だろうか。
 だが隼人は、

「こんな状況で訊くのも何だが一ついいか」
 
 逆巻く風の中、妙にしみじみとした口調で操縦席の天馬に尋ねた。
 
「この機体、燃料切れてないか」
187不知火 幻庵 (M):02/04/15 01:41
>181 
不知火幻庵(M) VS 乾九郎(M)
 
 
男は鞘ぐるみ剣を腰から抜くと、左手に下げている。 
 
普通刀を抜くには、まず鯉口を切り、そして抜刀する。 
右手のない男が剣を抜くには、鞘ごと持ったままでは不可能だ。 
隻腕に刀を下げた男は何を思っているのか、ひどく恐ろしい笑みを、 
 
一剣を以て生きる者の笑みを浮かべている。 
 
爪に付いた血をぺろりと舐めると、幻庵は薄い唇を歪め、 
乱杭歯を剥き出しながら、 
嗤った。 
 

「それではワシは斬れんケ、その魂、 
この『魔道の王』、不知火幻庵が堕としてやるケ」 
 
言うと、その右腕を前に突き出す。 
そのまま身体ごと凄まじい勢いで前転すると、 
触れるものを薙ぎ倒しながら男の元へとその外法の剣撃を放つ。 
 
これぞ『魔道の流”肉転突き”』 
>182 対燦月の走狗
 
「UREEEYYYYYYY!!殺させろォオォォォアアアァアアァァァッ!!」
 
黒騎士の絶叫。
それとともに髪に絡みつけられた刃が、化け物の腕をバターのように裁断する。
 
ゾムゥンッ!!
 
名状しがたい奇妙な音とともに腕が落ち、血が噴き出した。
大地がその汚れた血を吸い、吸いきれずに溜まった血が月光で鈍く光る。
そちらに目をやる間もなく化け物の腕が再生を始める。
 
「KUAA!」
 
一声吠えると、黒騎士は牙を剥き出しにし、生えかけの腕に食らいつく。
魔髪で相手を絡め取り、生えかけた腕を再び引き離さんとする。
さらに、拳も蹴りも休めることはない。
レバーを拳で抉り、膝を鳩尾に食い込ませ、魔髪で敵の全身の骨を軋ませる。
 
相手への憎悪が限界を越え、歓喜へと昇華する。
最早言葉の体を成していない呪詛と感謝の言葉をわめき散らしながら、共に肉体を破壊しあう。
 
肉と骨とそれ以外の何かが砕け続ける音がじはらく響き続け――――。
突如その音はかき消される。
 
 
村中を揺るがす、凄まじいまでの轟音。
星屑のような炎の煌めき。
黒騎士の目には、盛大なる死の祭りを讃える花火に映った。
189吾妻玲二 ◆REIJI2xI :02/04/15 01:42
>183 アーカードvsファントム

 パンッ!

 頼りないまでの銃声が響き、排出された薬莢が宙に舞う。
 スライドが後退したグロッグは、次弾を装填する事無くそこで止まる。

 確かに命中した手ごたえ…… 奴の中心に叩き込んだ筈だ。
 それを証明する様に闇の中心に見える弾痕。

 しかし止まらない奴の手刀が……。


(エレン…………)
>109 vsアルクェイド
 
 炸裂した純白の爆炎は、一気に視界を埋めつくし――――
 
「これで――どうだ」
 
 肩で息をしつつ、今だ領域の滅却を続けるその爆炎を見つめる。あれがどんな存在であれ、至近距離で
 炸裂した<マキシ・ブラスト>を喰らって、生きていられるはずがない。
 
 だが――
 爆炎の向こう側から、全てを切り裂くような鋭さを持って、なにひとつ傷ついていない、彼女の腕が突き出
 された。それは一直線にこちらを目指し、次瞬、モールドごと彼の胸部を貫いている。
 ぶちん、という決定的な音が、身体の内側から聞こえてきた。
 
「な――――」
 
 言葉はそれ以上続かなかった。即座に彼女の腕が引き抜かれる。バランスを崩し、後方へ一歩、二歩。
 それが合図だったように、胸に穿たれた穴から、音を立てて鮮血が溢れ出す。途端、糸が切れたように、
 彼の身体が崩れ落ちた。出血の勢いに負けるかのように、なんの抵抗も出来ずに後方へと倒れ込む。

 起きあがろうと、手足に力を込める――が、その努力をあざ笑うかのように、全身がゆっくりと弛緩していく。
 肺に残った空気を使い切るように、彼は深々と嘆息した。
 今度こそ――なんの抵抗も出来ない終わり。自分は死ぬ。

 視界には、困惑を抱えて立ちつくす彼女の姿がある。そこには、先ほどまでの、世界の全てを押し潰すような……
 そんな雰囲気はカケラも見られない。
 
「最期に一つだけ答えて。貴方―――どうしてわたしを襲ったりしたの?」
 
 迷ったような、彼女の言葉。その問いかけに、仮面の内側で彼は苦笑した。どうして?
 
「はて……一体、どうしてなんだろうな」
 
 力の籠もらない、かすれた笑い声が零れる。それを侮辱と受け取ったのか、彼女の表情が一気に険しくなるが、
 それを遮るように、彼は言葉を続けていた。
 
「まあ……たいした理由なんて無いんだ。偶々、俺があんたの敵になった。それだけの、事だ――――」
 
 続けて彼女がなにかを言ってきている――が、自分には、もう何も聞こえない。視界がゆっくりと力を失っていく。
 最後に、全身を包む気怠い寒気だけを認識して。
 
 彼は静かに――その意識を、深い闇へと沈み込ませていった。
191御神苗優:02/04/15 01:48
はっきり言って迷惑だ!〜御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司  
>185 緑川
 
全力で逃げながら、俺は後ろを確認した。
・・・・・・一人増えてる!? 
増えた一人は、俺がぶつかっちまった眼鏡の兄さんだった。 
・・・・・・お礼返しですか? 
勘弁してくれ・・・・・・俺はそう思いながら、
必死に人気のない場所を探して走った。 
 
どれくらい走ったろうか、寺の一角に人気のない広場を見つけた俺は、
そこへと駆け込む。そして手ごろな石を拾うと、松の木陰に隠れる。
さぁ、来るなら来てみろ、こん畜生!! 
 
>190 レイオット&紫雲 vs アルクェイド 『企業の論理』

お互いが放った絶対の一撃、一瞬の差でわたしは僅かに残った生を手に入れた。
 
命を容赦なく奪い取るその瞬間。
自らを辱めた存在に、自らの憤怒を余すことなく叩きつけたその瞬間、相手の命と引き換えに
狂気と狂喜が去っていく。 
 
私の瞳がもとの色を取り戻し、世界が元の姿を取り戻す。
……全てが終ったその時に、再び感じる素朴な疑問。 
  
―― 何故この男はわたしを襲ったりしたのだろう? ――
―― 何故この人間はこの身と敵対したのか? ――
 
腕を引き抜いた瞬間、鎧の男の仮面が落ちた。
そこに在るのは人の顔、狂信の犯されるでもなく、殺戮に狂うでもない………。
ごく当たり前の、少し気だるそうな、けれども端正な顔がそこにあった。
 
「最期に一つだけ答えて、貴方―――どうしてわたしを襲ったりしたの?」
 
何故そんな事を聞いたのか・・・わたしにも解らない。
たぶん余りに想像と違ったから、余りにその表情が静だったから。
  
「はて……一体、どうしてなんだろうな」
  
死を目前にしながら不敵な態度を崩さない…この男は何者だろう?
  
「まあ……たいした理由なんて無いんだ。偶々、俺があんたの敵になった。それだけの、事だ――――」
 
意味のない答え、それはわたしの知りたかった答えじゃない、納得など出来ない。
だけど………。
 
―― 知りたい、でも知るのが恐い知らなければ……何も失わない何も感じない ――
 
―― 識らなければならない、識る事は全てを壊し全てを変える手段だから ――
  
わたしが『私』に感じるはじめての齟齬。
だけどそれは決定的な齟齬じゃない…、わたしもこの男を知りたかったから。
  
『ならば知ろう、わたしに、この身に、世界に、識る事が出来ない事など何も無い』
  
周囲の世界から知識を直接吸い上げる、過度に行えば人格を均一化する危険な行為。
だけど今は少しだけ…この男を、この襲撃の意味を知る為に世界と同化した。
>192 続き
 
『 戦術魔法士、魔族、カペル、アズ・テクノロジー、
     誓いの言葉、作戦、疑惑、真祖の姫、 
            利用、計画、羽田放棄、核、殺菌、
                    レイオット・スタインバーグ 』
 
……何てこと、知らなければよかった、わたしは自分を襲った相手を憎めなくなる、
わたしは殺した事を後悔している…やっぱりわたしは壊れているのかな?
 
―― わたしには、命を救う力はない ――  
  
ならせめて人としての終りを見守ろう、それがせめての手向けだろう。
  
 
     ……下らない、このような理由でこの身を襲うとは…だがこの人間の能力は本物だ、
     せめて、この能力をこの道具を手に入れよう。
 
     ―― この身には、命を所有する術がある ――
 
     故にこの人間に新たな命を与え、死徒として所有する権利がある。
 
……ここで、わたしと私の齟齬は致命的になった。
志貴は不死なんか望まなかった、人間に永遠は長すぎるって……。
この男は最後まで死を、わたしを恐れていなかった…だから!!
  
『わたしはソレを許さない』
 
わたしの中から消えていく私、力なく崩れ落ちる男の身体を支えようとして止める、
もうその行為に意味が無いから、身体を支えても命を支える術が無い。
 
……その代り、彼の仮面を拾い上げ、その場から霧のように消えうせた。
もう一つの決着を着けるために。
194シグモンド ◆DGUNdOgI :02/04/15 01:59
◆御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司◆
>185緑川 >191御神苗
 
ヤツは背を向けて走った。
同じく追って走る。
 
随分時間を使った。
 
ヤツは後ろを振り向いてさらにスピードを上げる。
 
逃がす物かよ。
 
寺の一角に広場を見た。
 
ヤツの姿は見えない。
 
さて、何処に隠れている?
 
挑発もかねて、広場の中心へとゆっくりと歩き始める。
 
この時、ギターケースのロックが緩んでいるのに、まだ気付いていなかった。
195エンハウンス:02/04/15 02:00
>前スレ316 エンハウンスVS黒川丈【ゴースト】
 
 何かが張りつめた闇夜の陥穽。
 エンハウンスと、男の殺気が空気を限りなく薄く、脆く引き延ばしている。
 そう、ほんの僅かのきっかけで切れるほどに張りつめさせて――。
 
 既に、奴の居場所は察知している。
 そちら――ビルの壁面に視線だけを向けて、ただ一言を告げる。
 
「来い」
 
 たった一本、張りつめていた何かが切れた。
 
 闇夜よりも濃い闇を従えた魔剣を構えて復讐騎は跳ぶ、交錯する一瞬へと。
 月光すら跳ね返さぬ刃が、闇をより濃い闇に染めながら閃く。
 
(トリップ判定)
196乾九郎(M):02/04/15 02:05
>187
不知火幻庵(M) VS 乾九郎(M)

男が回転しながら、自分を殺すべく突き進む。
だが、九郎の笑みは全く崩れない。

迫ってくる刃の車輪を見もせずに、体を地面に接する程深く沈み込ませる。
そして、極限まで縮めたバネが弾かれるように、九郎は跳躍した。

空中で鞘を眼前に構え――――柄を口で咥える。
男は眼前まで迫って来ているが、九郎はただ鋭い眼で見つめるのみ。

―――左手で刀を鞘走らせ、口で刀を操り斬撃を繰り出す。
ほぼ密着した間合いから放たれる居合。
隻腕の九郎ならではの剣技と言えるだろう。
>188 対黒騎士ブラフォード
 
肉片と血潮と体液がグチャグチャに絡み合い、混ざり合う。
これ以上無いほどの一体感。キメラヴァンプとなった彼。屍生人となった黒騎士。
その二つの夜族を繋ぐのは殺しあうという行為。
そこにのみ、快楽がある。
お前を殺すこと、お前に殺されること、どちらも同じだ。
シャークヴァンプが騎士を叩きつぶす。
だが騎士はなおもその体を髪で締め上げ、殴り飛ばし、切りつける。
しかしどちらも死ぬことは出来ない。たとえその心臓を杭で貫かれようと、
太陽光でその身を焼かれようと二人の殺意が死ぬ事はないだろう。
 
 
一撃。    一閃。    一撃。    一閃。    一撃。    一撃。
    一閃。    一撃。    一閃。    一撃。    一閃。
 
切る                                  喰らいつく。
抉る                                  吼える。
裂く                                   圧し折る。
殴る                                  引き剥がす。
潰す                                  啜り尽くす。
千切る                                 倒れるまで。
 
嘲笑っている。両者とも嘲笑っている。明らかにシャークヴァンプの方が不利だ。
だが、お互いに10も20も死ねるほどの傷を受けながらも嘲笑っている。
不利であろうと有利であろうと二人は対等だ。ただただお互いに殺しあうだけ。
その関係ほど単純で平等な関係は世界に無い。獣ですらこの境地には至れない。
 
 
爆音とともに炎が上がる。ふいにその目に知性が戻る。やっと来たか。
やってくれるな、相棒。
魔髪を無理やりに、自分の身を裂くことで振りほどき、シャークヴァンプは眼下の
湖へ飛び込んだ。炎に身を焼かれること無く、誰にも邪魔されること無く。
殺し合うのに相応しい闘技場。いや、ここが闘技場となるのか、それとも
屠殺場となり下がるか。それは彼ら次第。どちらにせよ、その湖の水が
血に変わる事は間違いない。それが獣の掟。夜族の掟などより余程甘美な掟。
「ああ、燃料切れだな」
 
 全く動じた風もなく答える天馬。
 大物と云うべきか、それともただの愚か者か。
 
「そういえば、ロケットエンジンは燃料を喰うって、ウェルが云ってたっけな・・・」
 
 まあ、どちらにせよ、燃料のない飛行機は飛ぶことが出来ない。
 ゆっくりと機体が傾ぎ・・・落下する。
 
 しかし、天馬は動じない。
 何故なら・・・
 
『お待たせ! 天馬!!』
 
 無線機から元気な女性の声が響く。
 同時に、眼下に巨大な影。
 
 大空を行く覇王。
 最強の艦。
 そう、超弩級飛空戦艦「カイザーツェッペリン号」またの名を「天空の覇者Z(ツェット)」が今、ここに現れたのだ。
 
「よし! もう一踏ん張りだ、頼むぜ、新・天翔馬号!」
 
 操縦桿を握りしめ、もう満足に舵も効かない新・天翔馬号を無理矢理Zの甲板に着陸させる。
 まさに、空の申し子とも云うべき天馬故に出来る芸当であった。
 
 
「天馬〜〜!」
 
 Zに降り立った天馬に、仲間たちが駆け寄る。
 その仲間たちに笑顔を向けながら、天馬は新・天翔馬号に目をやる。
 共に闘った戦友を、仲間たちに紹介するために。
 
 だが、そこには、誰もいなかった。
199檀隼人(M):02/04/15 02:29
>186>198 淫藤宗光/ヒトラーvs竜崎天馬(M)&檀隼人(M)「ヴァレンシュタイン作戦」
 
 奇妙な空間の中に隼人はいた。
 色彩は――人間の言葉では表し様が無い。
 強いて言うなら、それは混沌であった。
 
「ご苦労様。今回も鮮やかなお手並みだったわ」
 
 女の声が聞こえた。年の頃も何もかも判別し難い声である。
 ひょっとすると、女どころか人間ではないのかもしれない。
 
「中々素敵なコンビだったわね、彼。また会いたい?」
「二度と会うことはない。それが掟だ」
 
 胸の内で隼人は言葉を噛み締める。

 『転校生』魔戒十条、その十。別れは死と同じ。再び会うことは叶わず。

「報酬だけど、望みをおっしゃい。あなたの正体? それとも――?」
「いつも通りだ。あの世界を守りきったことが、俺の報酬だ」

 それだけ言うと、隼人は歩き始めた。
 『転校生』のいるべき場所へ。
 鮮血と汚怪に溢れた修羅の戦場へ。
 
200不知火 幻庵 (M):02/04/15 02:33
>196
不知火幻庵(M) VS 乾九郎(M)
 
 
二人の男が、二筋の剣閃が交錯する。 
 
「ケケ、見たぞ見たぞ、ヌシの剣技!」 
 
脇腹に、浅からぬ傷を負いながら幻庵は叫ぶ。 
歓喜に声を震わせつつ。 
 
「魔道に堕とす前に訊いておくケ。 
・・・見かけぬ太刀筋、今のは何じゃ!」 
 
何故その様なことを訊くのか。 
二百年もの眠りを覚まさせられ、此の様な場で遭うた男との、 
よもや斯くも強きこととは。 
幻庵は最早忘我の境に有った。 
>197 対燦月の走狗
 
湖へと飛び込んだ化け物を追わんとして、黒騎士はわずかによろめいた。
しかし、即座に体勢を整える。
 
屍生人であるブラフォードには再生能力などはない。
すでに全身の骨は砕け散り、本来ならすでに滅んでいるだけの深手を負っている。
それでも彼の身を動かすのは妄執か、本能か、歓喜か。
 
「貴様も俺も、水中は最も得意なる場所か!全てと全てぶつけ合って、俺と戦えィィィィ!」
 
絶叫とともに、黒騎士は半壊した鎧もそのままに水中へと飛び込む。
両者の体のありとあらゆる部分から血が溢れ出し、湖は深紅の場と化した。
 
「これでこそ決闘の場にふさわしいィィィ!!」
 
黒騎士は怨念に満ちた喜びの言葉とともに、鎧などないような速度で化け物に迫る。
その課程で、鎧の部品と朱い液体を湖中に撒き散らされていく。
 
霧のように身を包んだそれを貫いて、化け物の胸元目掛け手刀を放つ。
さらに、髪で操られた刃が背後から水を裂く音を立て迫る。
 
黒騎士の2つの攻撃が、朱い湖を白い泡で砕いていく―――――。
 
202乾九郎(M):02/04/15 02:51
>200
不知火幻庵(M) VS 乾九郎(M)

頬に先ほどの交錯での傷が走っている。
表情は相変わらず笑みのままだが・・・眼の光が違う。
今の眼は、獲物を仕留める、獣のそれだ。

「―――口走る」

掠れた、抑揚の無い声が言葉を紡ぐ。

「―――『口走る』九郎。それが俺の二つ名だ」

冷たい視線で射抜きつつ、九郎は左手と口を巧みに使って納刀。
そして再び、刀をぶら下げる。

「―――次は、仕留める」

聞くものを怯えされる、九郎の刃物のような声は、妙に通って聞こえた。
次で、必ず斬る。
その意思だけを明確に伝える声だった

―――冷たい殺気が、発散される。
>201 対黒騎士ブラフォード
 
それは獣の身体能力と、吸血鬼の身体能力を共に持っていた。
それは凄まじい力となってそれの全身を駆け巡る。
その力を手にしたそれは、もう、死を知ることは無くなった。
 
決闘の場?                 いいぜぇそう来なくっちゃな。
 
ようこそようこそ、                 この俺様の独壇場へ。
 
何になりたい?刺身か? 擂り潰してカマボコにでもしてやるかぁ?
 
                   ああ、いいぜいいぜ気分がいいぜ!!
 
何度こうしたいと思ってきたことかなぁ!
 
                      殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ!!
 
早く俺を殺してみろぉぉぉぉぉアハハハハ!!
 
怨念に満ちた喜び。ズンズン奴から伝わってくる。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
奴の手刀が胸に突き刺さる。俺の身体を剣の切っ先が狙う。
 
だが―――――――――おせぇんだよ!!
 
遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅いぃぃ!
 
俺を見ろ。俺を見ろ!いや・・・見えるか?見えないンじゃねえか?
 
だって・・・・・・・・・・・速すぎるもんなぁ。
 
ちょっとずつ・・・・・・・・・・ちょっとずつオマエの肉を抉って血を絞り取って。
オマエの血の混ざった水を啜り尽くしてやるよ。アア、愉しみだ楽しみだ。
 
                   上から
左から                                   右から
                   下から
 
陸上にて戦ったときを凌駕するほどの勢いで黒騎士を襲う。
その目に映るのは、血の色と臓物の薫りだけ。
>199 淫藤宗光/ヒトラーvs竜崎天馬(M)&檀隼人(M)「ヴァレンシュタイン作戦」
 
 祝勝のパーティが、Z艦内のバーラウンジ『鷲の巣』で開かれていた。
 その中心は無論、竜崎天馬。
 しかし、その天馬は何処かぼーっとしており、いまいち反応が薄い。
 
「どうしたの、天馬?」
「ん・・・? ああ、ちょっと、ね」
 
 束の間、共に闘った戦友。
 最早、名前すら覚えていない誰か。
 おそらくは、もう二度と会うこともないだろう。
 だが・・・
 
(共に闘ったことは決して忘れない)
 
 そう、彼は命を共にした「戦友」なのだから。
 
 ビールを手に取り、掲げる。
 
「乾杯だ、戦友」
205緑川淳司 ◆CRSxoxJM :02/04/15 03:07
◆御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司◆
>191 御神苗優 >194 シグモンド
 
どのくらい走ったかは分からないが何とか見失うことなく付いていくことに成功する。
そしてたどり着いたのは人気のない広場だった。
そこにロングコートの男が立っている。ちなみに先ほどの学生の姿はない。
淳司は地面に落ちている手ごろな石を3個ほど拾うと上着のポケットに入れ、
男に警戒しながら近づいていった。
 
「また会ったな」
軽く声を掛け、いくばくかの距離を開けて男と対峙する。
「さっき俺のことを化け物とか言ったな。……どこまで知っている?」
男の表情の変化を探りながら上着のポケットの中に手をつっこみ石の感触を確かめた。
206不知火 幻庵 (M):02/04/15 03:12
>202
不知火幻庵(M) VS 乾九郎(M)
 
 
『口走る』九郎―――そう名乗った男は鞘に刀を納める。 
 
『―――次は、仕留める』 
 
怜悧な言葉を以て、殺意が伝わる。 
 
「いいケ・・・じゃが、ヌシの方が、 
死ぃぃぃねえぇぇぇ!!」 
 
大きく爪を振り上げ、幻庵は駈ける。 
『魔道の流』、その奥義、 
男を捕らえ、腹に爪を突き立て、 
身体の捻りのみを以て地に縫い付け、  
そのまま臓腑を掻き乱す。 
”魔道飛込爪”を以て男を屠らんと。 
>203 対燦月の走狗
 
貫手がわずかに肉に刺さった瞬間、化け物は白い渦に変化した。
神速とも言える動きで攻撃から身をかわしたのだと悟った瞬間。
 
メギャア!!
渦と化した異形の、背中からの一撃。
異様な音を立てて、ブラフォードの身体が、「背中から」くの字に折れ曲がる。
本来とは、逆の方向に。
 
さらに渦は黒騎士の肉体を蹂躙する。
肩口を、腹を、胸を、腕を、肋を、腰を。
黒騎士を微塵と化すべき放たれていく連撃。
 
ブラフォードの意識が、遠退きかけていく。
一瞬、かつて忠誠を誓った女性の顔が脳裏を過ぎる――――。
 
突如、ブラフォードはかっと目を見開いた。
拳を握りしめると、自分の腹から突き出した、「背骨」を殴りつけた。
「GYAAAAAA!!」
 
絶叫と共に、ブラフォードの身体は元の姿に戻る。
剣を右手に持ち替えると、滅多やたらに突きまくっていく。
 
「突っ込んで来いィィィィィ!!」
208淫藤宗光/ヒトラー:02/04/15 03:24
ヒトラー「淫藤宗光/ヒトラーvs竜崎天馬(M)&檀隼人(M)のレス番まとめだ」

前スレ
ttp://cocoa.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1017941718/501-600

導入>44 >46 >47 >49 >50 
 

>55 >57 >61 >62 >78 >216 >222 >224 >232 >360 >366 >372 
>402 >406 >411 >416 >457 >466 >470 >474

本スレ

>15 >21 >24 >50 >58 >62 >66 >72 >74 >94 >104 >110 >114 >124 >127

>128 >129 >130 >131 >164 >170 >178 >184 >186 >198

エピローグ >199 >204

宗光「御意見・御感想、ナチス関係のツッコミなどありましたら
   http://jbbs.shitaraba.com/game/bbs/read.cgi?BBS=163&KEY=1013072172

   までお願いします」

209乾九郎(M):02/04/15 03:36
>206
不知火幻庵(M) VS 乾九郎(M)

―――再び、交錯の瞬間が訪れる。


体を不自然な程に屈め―――跳躍。
猫科の猛獣を思わせる動きの中、九郎は刀の柄を咥える。
この鞘の中にあるのは九郎の殺意の具現。
抜き放たれれば、即座に奴に死をもたらすだろう。

口で引き抜かれた刀が、鞘の中を走る。
引き抜かれた刃が、月光の光を受けて闇に煌く。

刀は銀の軌跡を描き―――男の首を薙ぎにいった。
>207 対黒騎士ブラフォード
 
簡単だ。簡単すぎるぜ。
脆いなあ騎士さんよ、さっきまでの威勢はどうした!
 
先程までは優勢だった騎士も、この猛攻には耐えられない。
既に状況は一転し、水中はシャークヴァンプの独壇場と化していた。
 
少しずつ肉を抉り取り、食む。喰らう。
だがそれらの攻撃は全て牽制に過ぎない。隙を作り、
そこへ全力を込めた一撃。小気味いい音と共に騎士の体は折れ曲がる。
 
取った。
たとえ吸血鬼でも、喰らっても平気な攻撃と
受ければもう立ち上がれない攻撃がある。
 
今の攻撃が後者だ。コイツはもう用済みだ。
 
                 破顔一笑。ざまァない。
 
                     だが
                     奴は。
                     騎士は
                     再び
                     腕を
                     振り上げた。
 
「ピギィィィイ!」 我ながら情けない声をあげる。
 
騎士の  剣は水の中において  もそのし  なやかさ素  早さを失わず
さながら一陣  の鎌鼬となりて彼の  全身を貫き突き通し切り刻み。
 
どのような  苦痛の声  も罵  声も怒号も奴に  は届かない。
獣  よりも始末  が悪い。そ  れが吸  血鬼。  そして屍生人。
身を動  かしてい   るのは怨  瑳であり  苦痛であ  り
身を  焼く漆  黒の硫黄  の炎。
 
 ぐ お ぉ ぉ ぉ ぁ あ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
 
久方ぶりの恐怖。それに対する怒り。前が見えない。
ただ、言われたとおり奴へ突っ込むのみ。頭部を半ば抉られた
彼に出来るのはそれくらいだった。再生させるのも嫌になる。悪夢。ワルイユメ。
211不知火 幻庵 (M):02/04/15 03:59
>209
不知火幻庵(M) VS 乾九郎(M)
 
 
剣光一閃、 
 
口に咥えた一刀が鞘走った。 
豪放にも大上段にとった爪はそのまま大きく 
 
空を薙ぎ、地に落ちる。 
 
ざぁざぁと流れる自分の血の音を聞きながら、 
ころり、と転がる首だけになった幻庵の口からは只一言。 
 
「あ・・・・ざ・・・・・・・・・み・・・・・・・・・・・・・・・・」 
 
やがて二つになった幻庵の身体は、 
まるで地面に溶け込んだかの様に薄れて行く。 
 
血の跡すら残らず。 
212乾九郎(M):02/04/15 04:14
>211
不知火幻庵(M) VS 乾九郎(M)
エピローグ

「―――悪い夢だ」

刀から血を振り払い、鞘に納める。
死体も残らなければ、斬った、という実感も残らない。
まるで、悪夢。
そうとしか例えようが無かった。

「やはり―――狂っているのかも知れないな、この街は」

誰に聞かせるでもない呟き。
ただ、刀に拠ってのみ生きる。
そんな街がマトモな街である筈が無い。
自嘲めいた笑いが顔に浮かぶ。

―――マトモであろうが無かろうが、俺には、この生き方しかない。

黒い人影は、闇に消えるように立ち去った。
213不知火 幻庵 (M):02/04/15 04:20
・・・今回のワシらの斬り合いの記録だケ。 
 
>161 >162 >168 >174 >179 >181 >187
>196 >200 >202 >206 >209 >211 >212 
 
魔道に堕ちたければ、 
 
 http://jbbs.shitaraba.com/game/bbs/read.cgi?BBS=163&KEY=1013072172
 
ここに感想を書くがいいケ。 
ケケケケケ・・・・・・  
214ロゼット ◆AMENUx66 :02/04/15 16:37
ロゼット vs フラック
『Carnival Night 〜 Pyroxene 〜』
 
「まいったわね〜・・・・・。」
 
ヨシュアを追いサンフランシスコ支部についたものの、準備の邪魔、
ということで感謝祭にクロノ、アズマリア、サテラの四人と息抜きをしに来たのだが・・・・・。
ゴミ捨てに行き、はぐれたクロノを探すうちに自分が迷子になるという実に間抜けなことをやらかしてしまった。
 
「こ〜も、人ごみが多いとね・・・・・やってらんないわよ・・・・。」
 
ぼやく私の目に、一人のピエロが目に入った。
 
ピエロか・・・。
だが、何故かそのピエロの周りには人がいない。
いや、ピエロそのものが誰にも見えていないように。
 
「?!」
 
一瞬、背筋に寒気が走る。
笑った?私に向けて?
ピエロは、私に背を向けると人ごみにまぎれていく。
―――――追いかけなきゃ―――――!
 
 
―――何故?
 
どうしても。
 
―――クロノはどうするの?
 
あっちのほうが先。
 
 
ピエロの背中を追いかける。
あっちは歩いているだけなのに。こっちは走っているのに。
人ごみが邪魔で距離がまったく詰まらない。
追いつかない。
追いつかない―――追いつかない―――追いつかない――――………。
 
気がつくと、周りには誰もいなくなっていた。
私と、ピエロだけが、広い広場に立っている。
 
 
ピエロが、振り返る。
 
 
ピエロから発せられるのは・・・・悪意。
そこに来てようやく気が付いた。
 
――――はめられた――――!!
 
「あんた―――まさか―――――悪魔?!」
 
ピエロが、にたりと笑いながら優雅に頭を下げる―――――
215フラック ◆FlackiUE :02/04/15 16:40
>214  ロゼット vs フラック
      『Carnival Night 〜 Pyroxene 〜』
 
”左様” 
 
 しわがれた声と張りのある響き、老人と少年のそれが混じった、異様な音がピエロの口から出た。 
 ピエロ――道化師の格好をした小男は、その体に不釣り合いな錫杖を手に言葉を続ける。 
 
”いけませんかな?” 
 
 シャン、錫杖が鳴る。 
 カーニバルの中にあって寂寞の漂う広場に、その音だけが響き渡った。 
 
”ようこそ我が劇場へ、ロゼット・クリストファ!” 
 
 両手を広げ、道化師の小男――――フラックは叫んだ。 
  
”かのロードを倒した貴女が主演ならば、この舞台も盛り上がるというもの!”  
 
 揺れる錫杖、合わせてシャンシャンと音を立てる。 
 
”さぁ、開幕だ!”  
 
 ぱちぱちぱちぱち――――――!  
 
 突然、豪雨のような拍手が広場を包み込んだ。 
 人気の無かった空虚な地が、今や十重二十重の人垣に覆われている。 
 蝋細工のように精気のない顔を微笑みに固め、惜しみない拍手を繰り返す「観客」たちだ。 
 老いも若いも男も女もなく、カーニバルの一幕を楽しむ市民たちの笑顔が辺りを充たす。  
 
”まずは前座だ、とくと御覧あれ!”  
 
 そして――――――笑顔のまま、「観客」たちは動き出した。 
216ロゼット ◆AMENUx66 :02/04/15 17:22
>215
ロゼット vs フラック
『Carnival Night 〜 Pyroxene 〜』
 
いつの間にやら、私の周りに集まっていた『観客(リビングデット)』!
く・・・・退路をふさがれた・・・・・!?
 
”まずは前座だ、とくと御覧あれ!”
 
声とともに三体のリビングデットが襲い掛かる!!
私はホルスターの銃を抜き、奴等に向けてトリガーを引く!
 
『あ゛ぁぁぁぁ!!』
 
リビングデットが、『聖火弾(セイクリッド)』‐聖油を炸薬代わりに詰めた弾丸‐を受け、上半身が砕け散る!
く・・・・弾丸は護身程度にしか持ち合わせていない。
10発の内、今ので3発を使った。
後は・・・・希少銀に極小魔呪を埋め込んだ切り札、『福音弾(ゴスペル)』が1発・・・・・。
 
はは・・・・まずいわね・・・・。
私は、苦笑いをしながらピエロへと向き直る!
 
【残り】
・聖火弾×7
・福音弾×1
217フラック ◆FlackiUE :02/04/15 17:42
>216 
ロゼット vs フラック
『Carnival Night 〜 Pyroxene 〜』
 
 銃弾に「観客」たちが倒れる。青年が、老人が、婦人が。  
 上半身が千切れ、下半身だけになって、「生きている死体」が崩れ落ちる。 
 人の抜け殻を打ち砕いた銃が、今度は主催者に向けられた。 
 
”おや、さすがに役不足でしたか” 
 
 銃口に見据えられても、フラックの笑い顔は崩れない。 
 いや、そもそもこの顔しかないのだ。彼に表情など、元より必要ではない。 
 
”では・・・次は、こういたしましょう” 
 
 再び、錫杖を降る。シャンシャンという音が響くと、「観客」たちは小さな声で笑い始めた。 
 その笑い声に隠れ、下半身たちが一斉にその足を動かす。 
 或いは蹴飛ばし、或いは地を叩き、その意識をかき乱した。 
  
 その、一瞬の不意をついて――人間とは違う窪んだ眼窩が、ロゼットの目前に迫る。 
 
”さて、如何なさいますかな?” 
 
 錫杖が弧を描く。先にあったのはロゼットの足・・・軽く、そこに触れた。 
 命を狂わす魔力が放たれた事に、はたして少女は気付いたのだろうか――――――
218ロゼット ◆AMENUx66 :02/04/15 17:58
>217
ロゼット vs フラック
『Carnival Night 〜 Pyroxene 〜』
 
”では・・・次は、こういたしましょう”
 
奴が、手にしたスタッフを鳴らす。何を?
 
“どんどん!”
「?!」
 
足を踏み鳴らす音。振り返るが、上半身を吹き飛ばされた下半身が転がっているだけ。
次の瞬間!
 
(げしぃ!)
「んあ?!」
 
突然、足元をを何かにすくわれる。たまらず私はその場に仰向けに倒れた。
見れば、下半身が何時の間にか私の足元に忍び寄り蹴りをかましたのだ。
 
「この!」
 
私は、銃を向け、下半身を吹き飛ばす!
 
”さて、如何なさいますかな?”
 
え?!
奴が、倒れこんだ私の足にスタッフで軽く触れる。何を―――?!
 
「――な?!」
 
答えはすぐに出た。足が、触れられた所から『石』と化していく!!
じわじわと右足から石化は進む。まさか―――――遅効性の石化呪文?!
 
「冗談!!」
 
私は慌てて立ち上がり、ピエロに銃口を向けた。
この手の呪いは・・・・術者を倒せば解除されるはず――――!!

 
【残り】
・聖火弾×6
・福音弾×1
219フラック ◆FlackiUE :02/04/15 18:18
>218
ロゼット vs フラック
『Carnival Night 〜 Pyroxene 〜』
 
 硝煙を上げ、銃弾が吐き出された。
 確か・・・聖火弾、と言ったか。 
 フラックはそれを視認することなく、大気にまみれて後ろへ下がった。 
 地を蹴り飛び上がると、そこでゆったりと一回転。音もなく石畳の上に降り立つ。 
 その動きを捉えきれずに、ロゼットの放った銃弾はフラックの背後へと消えた。 
 
”残り少ない銃弾、無駄撃ちはいけませんな” 
 
 フラックの避けた後ろで聖火弾が炎と化し、生きた死体を一体屠る。 
 幼い少女が弾けると、より一層大きな声で「観客」たちは笑い出した。 
 
”さぁ、時間はあまりありませんぞ?” 
 
 小さな体を少しでも大きくしようと、手を広げ足を延ばす。 
 まるで、的だとでも言いたげに。 
 微かな希望を投げ掛けるように、フラックは佇んでいた。 
220ロゼット ◆AMENUx66 :02/04/15 18:40
ロゼット vs フラック
『Carnival Night 〜 Pyroxene 〜』
 
”残り少ない銃弾、無駄撃ちはいけませんな”
 
私の放った一撃をひらりとかわし、やつが嘲笑する。
周りの『観客(リビングデット)』達が大声で笑う。まるで、コメディーショウでも見ているかのように!
 
――――この!!
 
石化は、もう膝下まで進んでいる。・・・・・時間がない!!
余裕のつもりか、奴が手を大きく広げる。当てて見せろ、と言わんばかりに。
どっちにせよ、聖火弾で止めがさせるほど弱い相手じゃない・・・・!
なら!!
 
「こういうのはどうッ?!」
 
私は、重い足を引きずりながら走る。
私は牽制の一発を放ちながら無事な左足で横っ飛びに跳ねる!
 
【残り】
・聖火弾×4
・福音弾×1
221ロゼット ◆AMENUx66 :02/04/15 18:46
>220は>219ね・・・・。
222フラック ◆FlackiUE :02/04/15 18:54
>220 
ロゼット vs フラック
『Carnival Night 〜 Pyroxene 〜』
 
 石と化し重くなる体を引きずりながら、少女は走る。 
 健気にも、たった今避けられたばかりの銃弾を放ちつつ。 
 
”何という意志、何という執着! さすがは王を退けただけはある!” 
 
 だが――――声には嘲りの色がありありと刻まれていた。 
 銃弾を微かに身を降るだけで避けると、フラックは軽く息を吸う。 
 
”ですが、動き回られて「壊れる」のも困りますな” 
 
 浅く、広く、吐く。 
 吸い込めばその力をそぎ落とされ、活力も体力も奪われる猛毒を。 
 色も匂いもなく、重く漂う毒ガスは、広場の一角をたちまち汚染した。 
  
”この程度の彩りで挫けてくださいますな?” 
 
 「観客」たちの歓声は、徐々に大きくなってきていた。 
223ロゼット ◆AMENUx66 :02/04/15 19:23
>222
ロゼット vs フラック
『Carnival Night 〜 Pyroxene 〜』
 
「げほッ・・・・・・?!」
 
あたりに、霞のようにガスが広がる。これは・・・・・毒?!
一瞬、肺に入ったそれが私の体力を奪い去る。
ぐ・・・・・。
 
”この程度の彩りで挫けてくださいますな?”
 
膝をつこうにも、もう右足は完全に石化している。
観客たちのどよめきが聞こえる。さながら、コロシアムの死闘を観戦する聴衆のように。
 
石化は、ついに左足に進み始めた・・・・・・。
足が・・・やられたら・・・・・勝ち目は・・・・!!
 
「・・・・・・こンのぉぉぉぉぉぉ!!」
 
私は、残る体力を振り絞るように駆け出す!
重い。あまりに重い足。それがさらに体力を奪う。
諦めない!今―――出来る最良の行動を取るだけ!
 
【残り】
・聖火弾×4
・福音弾×1
224フラック ◆FlackiUE :02/04/15 19:47
>223 
ロゼット vs フラック
『Carnival Night 〜 Pyroxene 〜』
 
”ふむ” 
 
 小声で呟く。 
 あそこまで追い詰められても、少女はまだ走る。 
 やれやれ――――あれでは折角の足止めが意味をなさない。 
 「壊れた」ら、合わせる顔がないではないか。 
 
 やおら、フラックは駆け出す。 
 数十の距離か瞬時にゼロとなる、弾丸のような速度――――をふるう前に、面白い光景が映った。  
 
 「観客」席へ身を躍らせる、ロゼットの姿が。 
 「生きた死体」の群れに、石となり毒に冒された身で・・・  
  
”ほう、まだ足掻きますか” 
 
 石畳を錫杖で打ち、速度に乗り切った体を跳ね上げて宙で一回転。 
 再び、音もなく地に降り立つ。正面に、銃をふるう少女を見据えて。 
 
”このまま幕を下ろしたくなくば、精一杯舞いなされ!” 
 
 あえて、錫杖を降ろす。「観客」どもの声が急に大人しくなった。 
  
”ロゼット・クリストファ!” 
225ロゼット ◆AMENUx66 :02/04/15 20:09
>224
ロゼット vs フラック
『Carnival Night 〜 Pyroxene 〜』
 
観客席に、飛び込んだ私に『観客(リビングデット)』が押しかかる!
この!!
 
”このまま幕を下ろしたくなくば、精一杯舞いなされ!ロゼット・クリストファ!” 
 
突然響く奴の声に、リビングデットの動きが止まる。
・・・・・なんだか知らないけど、チャンス!!
私はリビングデットの一体の腕を掴む。
 
「ごめんなさいね!!」
 
そしてリビングデットに銃口を突き付けトリガーを引く!
炸裂する聖火弾が、腕と体を引き裂く。
よし!
 
私は、奴へと向き直った!
 
「これでも喰らえッ!!」
 
奴へ切り取ったリビングデットの腕を投げつける!
そして、そのまま聖火弾を全て打ち尽くす!
 
無論、これが当たるとは思っていない。
かわすにせよ、受け止めるにせよ。動きが止まるはず。
その瞬間を、狙う!!
 
【残り】
・聖火弾×0
・福音弾×1
226フラック ◆FlackiUE :02/04/15 21:03
>225 
ロゼット vs フラック
『Carnival Night 〜 Pyroxene 〜』
   
 千切れた腕に被さるような銃弾。なるほど、流石に考えてはいるようだ。  
 どちらを喰らっても致命傷には程遠いが、身で受け止めては興が削げる。 
 
 ――――無理に乗る事もあるまいか―――― 
 
 肺に残った空気を吐き出す。吐息に炎を混ぜ、辺りを紅蓮に染めながら。 
 数百度の業火は瞬く間に広がると、聖火弾を包み込み破裂させた。 
 歪んだ軌道を描いて回る腕も消し炭となり、力無くフラックの肩を叩く。  
 
 炎に炙られ、大気がじりじりと辺りを熱する。  
 一歩として動かず、フラックはその光景をただただ、見つめていた。 
 
”さて――――そろそろ、我が舞台も幕ですかな?” 
 
 硝煙と炎の残り香が漂う中、窪んだ眼窩は空虚な笑いを浮かべていた。 
第20章>271 vsヘルパート 

――――圧倒的。 
 
信じられない。いや、現実は現実だ。 
それを素直に受け取るぐらいの理解度は、持っている。 
だが……この男は、あのヘルパートをあっさりと倒してみせた。 
ドラゴン種族の中でも、最強という名前に相応しい実力者の男をだ。 
 
「……」 
 
コルゴンは、片目の男を油断無く見据える。 
つい先程まで、刃を交えていたものは、先程とは段違いの攻撃を放ち、最強のドラゴンを殲滅してみせた。 

俺と闘ったときの奴は、本気では無かった? 
恐らく、イエスだろう。力が……違いすぎる。 
では、俺では勝てないか? 
それはノーだ。可能性は……ある。 

だが、今はそれを試すときでは無い。 
死都の猛攻は、最深部にまで迫っている。 
『聖域』をこの眼で確認する、またとないチャンスだ。 

なれば、此処は急いだ方が好ましい。 
コルゴンは男に一瞥をくれると、男に背を向け、森の奧へと走り抜けた。
 
――恐らく、もう二度と会うことは無いだろう。 
お互い、この森から生きて出られる方が難しい。そういう状況だ。
 
ふと、そこでレッド・ドラゴンに捕縛されていた、白髪の男を思いだした。 
彼は何者だったのか……コルゴンに知る術は無い。 
228ロゼット ◆AMENUx66 :02/04/15 21:20
>224
ロゼット vs フラック
『Carnival Night 〜 Pyroxene 〜』
 
私の投げ付けた腕、放った銃弾がやつの焔の吐息に掻き消える。
ぐ・・・・・!
だが、炸裂した聖火弾の硝煙、煙る空気が奴の視界をある程度塞いでいる。
今ならッ!!
 
《ちゃきッ!》
 
私は、福音弾のカートリッジをセットする。
石化は、もうすでに腰まで進んでいる。
これを外せば―――――!!
 
「まだ―――ここで立ち止まるわけにはいかないのよッ!!」
 
私は、銃口を奴の胴体に向け―――――
 
”さて――――そろそろ、我が舞台も幕ですかな?”
「そうね――――ッ!!」
 
銃口から光が飛び出す。光が、舞い落ちる羽のように舞う!
 
そして、光が奴の体を包んだ―――――!!
 
【残り】
・聖火弾×0
・福音弾×0
229フラック ◆FlackiUE :02/04/15 21:35
>228 
ロゼット vs フラック
『Carnival Night 〜 Pyroxene 〜』
 
 炎の残光と硝煙を突き破った「福音弾」は、吸い込まれるようにフラックの腹を撃った。 
 
”な――――――?” 
 
 虚を突いた一撃だった。 
 硝煙に隠れた的を、まさか狙うとは。 
 しかも手持ちの銃弾は既に尽きつつあったはず・・・!
 
 ――――人を、人間を甘く見すぎたか!? 
 
 腹を捉えた銃弾が光を放ち――――――体を切り裂く。 
 溢れ出す魔力の閃光は数千の時を生きた妖魔の、不死に近い肉体すらも易々と抉り取った。 
 元々、体躯は小さいのだ。 
 腹に大穴を穿たれては維持する事も適わず、体は二つに分かれた。 
 
 石畳の上、フラックが転がる。 
 千切れた足と、腕を折り重ねるように・・・
230ロゼット ◆AMENUx66 :02/04/15 21:48
>229
ロゼット vs フラック
『Carnival Night 〜 Pyroxene 〜』
 
「やった・・・・・」
 
上下に泣き別れた奴を見て、私は安堵の息を吐く。
周りの『観客(リビングデット)』達も、崩れ地に還る。
勝った・・・・わね。
私は、肩をがっくりと落とす。
後は、石化の呪いが解ければ――――
 
 
―――――――――だが、石化は止まらない。
 
 
 
「う、嘘?!何で?!」
 
石化は腰を超え、腹まで、腹から胸へと進行していく。
 
「ちょ、ちょっと?!」
 
この手の呪いは術者が倒れれば解除されるはず―――――
ぞくりと、背筋が凍るような寒気が走る。
つまり――――それは――――――

【残り】
・聖火弾×0
・福音弾×0
231フラック ◆FlackiUE :02/04/15 22:10
>230 
ロゼット vs フラック
『Carnival Night 〜 Pyroxene 〜』
 
”この身に傷を受けるとは・・・実に数百年ぶりだ” 
 
 亡骸が口を開く。 
 
”いや、実に愉快! これでこその盛り上がり、これでこその我が舞台!” 
 
 腕が動き、地に手を這わせる。 
 
”ロゼット・クリストファ、やはり貴女は最高の役者だ!” 
 
 起きあがる。 
 道化師の張り付くような笑顔はカーニバルの時と、何一つ変わらない。 
 
”名残惜しいがそろそろ幕だ” 
 
 石畳から道化師の上半身が生えたような形で、フラックは錫杖を振る。   
 
”最後は盛大な拍手で主演を称えよう!” 
 
 それは――――――今までの数に倍する、死者の群れ。 
 広場を取り囲む、新たなる観衆。
 それが一斉に拍手を繰り返した。口笛が鳴らされ、絶賛の声が挙がる。 
  
 ――――舞台の幕はゆっくりと、ゆっくりと、閉じていった。 
>210 対燦月の走狗
 
「狗などに、滅ぼされるかァァァァァッ!!」
 
誇りも何もなく、ただ任務に従うだけの化け物。
ブラフォードの持つ、騎士としての鮮烈な生前の記憶は、そんな物に負けることを許さなかった。
俺は滅びん。女王の怨念を晴らすまでは――――――。
 
口から血泡を噴き出し、矢のようにただ一直線突っ込んでくる化け物。
嵐のような意志に突き動かされ、黒騎士も一陣の矢と化す。
ブラフォードは敵の突進に合わせ、突きを繰り出す。
 
黒騎士と狗とが、交錯する。
233ロゼット ◆AMENUx66 :02/04/15 22:40
>229
ロゼット vs フラック
『Carnival Night 〜 Pyroxene 〜』
 
拍手が歓声が、私を包む。
まるで演目を終えカーテンコールに答える役者を讃える様に。
 
「い、いやぁぁ!!」
 
石化は胸を超え、腕を凍りつかせ、首へと上る。
だが、そこにきても石化はとまらない
 
「やめて、お願い止めてぇッ!!助けてッ!!」
 
私は哀れなぐらい悲鳴をあげて懇願する。
無論、それで止まる事などなく。
拍手に包まれ、石化が進む。
 
「あ・・・あぁ・・・・・!!」
 
ついに、石化が首を超えた。
 
「ヨシュア・・・・ご・・・め・・・・ん・・・・・・せっ・・・・かク・・・・ココマ・・・・デキタ・・・・ノ・・・・・」
 
頬を涙が伝う。
不意に。
電球のスイッチを切るように、私の意識はぶつりと途絶えた。
 
 
 
こうして、私の旅は終わった。
酷く。
そう、酷くあっさりと―――――
>232 対黒騎士ブラフォード
 
やれやれだぜ。どうやら・・・・・・・・・・・・・
うちのキメラヴァンプでも手に負えない相手らしい。
この屍生人とやらは。
 
やむを得ないとはいえ『風の騎士達の町』をここまで破壊、
500人程度しかない人口のうちの200人近くを一気に爆殺。
いくらなんでも目立ちすぎる。
それでも何とか上の連中なら揉み消す事は出来るだろうが。
 
さて・・・・・・・・もう一つ本部に悪いニュースをしないとな。
 
シャークヴァンプは殉職だ。残念だがな、あばよ、相棒。
ここまで細切れにされたんじゃマトモに再生が出来るとも思えない。
知性を失い暴走する危険性のほうが大きい。何せ、頭部が半壊している。
やむをえん。
 
じゃあな、あの世に宜しく。相棒。
 
ちょうど水中の相棒が屍生人に
突進したところで、俺は手にしたスイッチを押した。
 
派手な水柱。水飛沫。いや、それはもう殆ど血飛沫の様になっていたが。
 
この爆発じゃどんな不死身でも敵わんだろう。
バラバラと振ってくる黒騎士の破片や、湖の底に溜まった塵屑に
顔を顰めながら、俺はその場を後にする。
 
作戦は失敗。キメラヴァンプ一体の損害。隠蔽工作費用。爆薬武装その他...etc...etc..........
俺もそろそろ退職すべきだな。さすがに堪えるぜ。
 
夜空を呆、と見上げながら、俺は軽く毒づいた。
 
         「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 
――――――もう少し、早ければ。
         もう少し俺の勘が良ければ。
         気づいたかも知れなかった。
         俺に迫る殺意の塊に。
         気づいたときには――――――――遅い。
235シグモンド ◆DGUNdOgI :02/04/15 23:39
◆御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司◆
>205 緑川 
 
寺の片隅の広場に着き、中央へ歩き出した時、
先ほどの男が声をかけてきた。
 
『また会ったな』
 
“ああ、お前は知っているのか?”
と先ほどの問いを返そうとした時、
 
『さっき俺のことを化け物とか言ったな。……どこまで知っている?』
 
いきなりビンゴか…。リストには載っていないかも知れんが、バケモノはバケモノだ。
かつてはいいようにやられていたが、今ではオレにも対抗できる力がある。
懐に手をやる。
 
「ああ、待て、銃じゃない」
そう言いながらリストを出す。
 
「俺が知っていることは三つ。
 ある日、突然このリストが送られてきた事、
 リストに載っているものを殺せば膨大な報酬が送られてくる事、
 そして…リストに載っているものがバケモノだと言う事だ」
 
最後の台詞を言いながら銃を抜き撃ちで男の肩へ発射する。
236エレン ◆Elen1cxc :02/04/15 23:46
>189 アーカードvsファントム
 
 既に、私はライフルの一部になっていた。
 
 サイトは私の目。
 銃身は私の腕。
 弾丸は私の拳。
 
 ”目”の前で、アーカードが手刀を放つ。
 私は咄嗟に”腕”を伸ばす。
 
 タン、と乾いた音と共に肩に衝撃が響く。
 
 それと同時に、私の”拳”はアーカードの掌を叩き落とした。
237アセルス ◆AseLLUSs :02/04/15 23:53
アセルスVSラルヴァ 導入
 
「え・・・血を吸われた、って?」
 
針の城・私の寝所。
来客していたカミーラは、ふと思い出したようにその話をはじめた。
「一体どういうことなの? カミーラ」『ええ、実は・・・』
 
      〜      〜      〜
 
「・・・なるほどね。吸血鬼化を拒み吸血鬼を狩る女、か」
話を聞き終えた私は、その女に興味を持った
 
カミーラを追い詰めるほどの強さの持ち主。
そしてそれゆえに・・・そのカミーラの血に苦しんでいるであろう女―――ラルヴァ。
 
「面白いね。私もそのラルヴァとかいう女にお会いしたくなったよ。
 ・・・そうだな、今度『ご挨拶』でもしてみようか・・・ふふっ」
 
 
      *      *      *
 
 
・・・私は、しもべに命じてラルヴァを見張らせた。
外見についてはカミーラから聞いている。彼女を見つけ、監視するのはたやすかった。
 
だが私は、すぐには手を出さなかった。
どうせ出会うのなら、もっと楽しい状況じゃなくては面白くない。
―――そして、その状況はやってきた。
 
ラルヴァがとある病院に忍び込んだことを知った私は、その病院に転移し、
ただの見舞い客を装い看護婦や女性の患者を魅了させ、輸血用血液が保存された部屋の前に集めた。
―――そう、ラルヴァに血を補給出来なくさせるために。
 
・・・さあ、楽しい夜の始まりだ。
238ラルヴァ ◆LARVAIdY :02/04/15 23:55
アセルスVSラルヴァ ラルヴァ側導入
 
>237
カミーラという名の女吸血鬼と闘って以来、かなりの時間が掛かったが
私は肉体的にも精神的にもようやく安定してきている。
ただし、身体の中の天秤は吸血鬼側に大きく傾いたまま止まってしまったようだ。
 
それでも吸血鬼との闘いを止める事はできない。
いつまで「私」でいられるかどうかの不安を抱えつつ、闘いを続けていた。
 
そんなある日、私はとある病院に忍び込む計画を立てた。
今の私の命綱ともいえる、輸血用血液を盗む為のものだ。
裏ルートでの血液の流れはイノヴェルチ(吸血鬼信奉者)の目が厳しくなって来ている。
これ以上の調達は危険だ。
 
事前に手に入れた病院の見取り図を確認してセンサーを沈黙させ、
辺りの気配を探った後、こじ開けた窓から慎重に進入する。
 
私は音もなく忍び込んだが、その行為を見つめる者がいる事に気付いていなかった。
239アセルス ◆AseLLUSs :02/04/16 00:05
>238 アセルスVSラルヴァ
 
私は、ラルヴァが保存室の近くにやってきたことを悟り、
ひとまず身を隠す。
 
いきなり彼女の前に姿を見せるよりも、彼女がこの状況にどう反応するのか見てみたかった。
私に魅了され、部屋の前でバリケードと化した看護婦や患者達を見て、彼女はどうするのか・・・ククク。
>234 対燦月の走狗

「ゴ・・・・・・ガァァァァ!?」
剣が蒼い化け物の脳を打ち砕いた瞬間、黒騎士の全身に衝撃が走った。
化け物が突如、爆発したのだ。
 
爆発の産む衝撃波にブラフォードの首はもぎ取られ、吹き飛んだ。
水中に残された肉体が、スローモーションのように粉微塵になっていくのを見つめる首。
肉と血が存分に溶け込んだ、水の柱が湖に打ち立てられる。
柱から弾き飛ばされた黒騎士の首が、地面を殴りつけた。
 
薄氷のようにヒビが入った、ブラフォードの首。
しかし、その目は未だ大きく見開かれていた。
視線の向かう先は、立ち去ろうとしている黒服の男。
その目が訴えかけている物はただ1つ。
 
―――――――― 殺す。

その言葉だけが、黒騎士の脳内に浮かぶ。
その言葉だけが、黒騎士を動かす。
その言葉だけが、黒騎士を滅びから現世に留まらせている。
 
夜の風が断末魔の叫びを上げて、漆黒の髪に貫かれる。
その黒き魔髪は、黒服の喉元へと吸い込まれていった。
 
メキャ……メキャ……
 
大木が倒れる時のような音を立てて、黒服の頸骨が砕けていく。
その不愉快なはずの音が、黒騎士の目に歓喜の色を浮かばせる。
 
生けるものの死は、ドス黒い怨念に包まれた屍生人にとっては、天上の音楽にも等しかった。
 
241ラルヴァ ◆LARVAIdY :02/04/16 00:23
アセルスVSラルヴァ
 
>239
誰にも会わずに順調に保存室まで来られたが…
大勢の人の気配を感じ、足を止めた。
 
小さな鏡を取り出し、廊下の角の向こうを見てみる。
 
「…あれは…?」
 
見れば、保存室の前には女性ばかりの人だかりがあった。
棒きれや掃除道具で武装している者すらいる。
 
潜入が気付かれた?
いや、非常ベルなど鳴っていないし、何よりガードマンや警官の姿がない。
それに、女性だけというのは明らかにおかしい。
 
先程からその集団は一言も発していない。…これは…集団催眠のようなモノか?
イノヴェルチの差し金かもしれないが、罠というのも納得がいかない。
私を仕留めたいのなら、もっと屈強な兵士を用意するはずだ。
 
退却も考慮したが、あの人達を見捨てる訳にもいかない。
溜息を一つ着いた後、一気に廊下に躍り出る。
私はまだ見ぬ吸血鬼の影を感じながら、手近な看護婦の延髄に手刀を叩き込んで角材を奪い取った。
242紫雲(M):02/04/16 00:32
>192>193 vs アルクェイド 『企業の論理』 
  
 光と衝撃の嵐が去り、虚無の静寂が羽田に佇んでいた。倒壊したビルも溶解し、大気にまみれて消える。 
 プラズマが踊り狂う舞台だけが綺麗に抉り取られ、灰色の空に取って代わられた。 
 それは圧倒的で、何処までも絶望的な力――――紫雲の目にその姿は映らない。 
 砕けたミラーシェードは、もはや、何も映し出してはくれなかった。 
 
 気付けば、紫雲の体は溶け損ねたコンクリートに囲まれていた。 
 白の奔流からやや離れた所に居たとは言え、到底生きていられる状況ではない。 
 となれば、また精霊の力を借りたと言う事か。都市に住み着き、ビルを廃屋を司る精霊の力を。 
 巨費を投じて呼び寄せた都市精霊――――真祖の姫君捕獲の切り札が、また潰れた。 
 
 いや、そもそも計画自体が無謀だったのだ。 
 
 ミラーシェードの無線は先程からノイズしか聞こえない。支援するはずの後方も消えたか、逃げたか。 
 覆い被さる瓦礫を退けようと手を伸ばして、違和感に気付く――――――手先が、炭化していた。 
 防護から微かに外れ、余波を受けただけで人間の体など消し飛ぶということか・・・ 
  
 ――――噛み殺すような、笑みが生まれた。 
 
 炭化した腕に感覚はなく、肉体も既に壊死を始めている。身近に感じていた死が、より近づく。  
 いや・・・死はその形を克明に浮き出させると、紫雲の体に重なろうとしていた。  
 もう、時間はない。 
 瓦礫を蹴りどかすと、ミラーシェードを引きちぎり、両目でその光景を焼き付ける。 
 白い白い吸血鬼に、貫かれる鎧の騎士に・・・最後の切り札「レイオット・スタインバーグ」が潰えた様を。  
 
 作戦は――――最終段階に移行。 
 
 体に埋め込まれた最後のトリガーを引く。 
 羽田の地・・・いや、この足下に埋められた核に火を入れるために。 
 世界は再び光と、炎に包まれて――――――紫雲の意識も、存在も消えた。 
 
 
 (紫雲:死亡) 
 
 
 0235 羽田の消滅により、アズ・テクノロジー関与の証拠はすべて消失。 
     核使用は市民退避の時同様、核武装したテロリストを原因として処置。 
  
 ――――作戦終了――――     
>242 レイオット&紫雲 vs アルクェイド 『企業の論理』

〜〜 エピローグ 〜〜
  
アズ・テクノロジー日本支社最高機密『特殊生体研究所』消滅原因調査報告。
  
中核施設『特殊生体研究所』及びその関連施設が一晩で壊滅。
研究資料、実験体、及びそのデータの一切が消滅した。
ただし実験の中核メンバーを除く人的な被害は最小、理由は不明。
 
襲撃者の詳細は不明、背後の組織があるのかも不明。
攻撃手段の詳細は不明、ただし超高出力の荷電粒子兵器で在る可能性在り。
襲撃者の情報源は不明、ただし現存組織の可能性は限りなく低いと思われる。

…… 
………
残されたデータから、研究を再構築する事は費用対効果の観点から
不可能に近いと思われる。
  
現状の被害、過去の投資、未来の利益回収の展望を鑑みてこれ以上の
研究は不可能と結論する。
  
以上、アズ・テクノロジージャパンは『真祖』及び『死徒』に関する研究の放棄を決定する。
 
==========================================
 
〜〜 レイオット・スタインバーグ 〜〜
 
「……ねえ、貴方は闘いの中で死ねて満足だったの?」 
   
白い月光の下で、隻腕の白い影は仮面に語りかける。
当然、仮面は答えず、何処にもその答えを知る術は無い……いかに世界と繋がる能力があろうと
その想いは叶わない。
  
人の心は、既に世界から独立した存在だからだ。
  
「……わかる訳―――ないか」
 
自嘲的な微笑を浮かべながら、それは仮面に『力』を込める。
同時に仮面は高い金属音と共に、跡形無く砕け散り消えていく。
 
「代わりにずっと覚えていてあげるから……」 
 
不意に失われていた左腕が当たり前の様に浮かび上がる。
  
「だから貴方にあげた腕を返してね、レイオット・スタインバーグ……」  
 
夜の闇と月の光の中、たった一人で歩き出す…自分自身が闇に消えるその時まで。
ああ、殺されちまったな。
本社へ帰って責任を負うよりも
こっちの方が数倍楽な気もするがな。
そういうことだ。
俺を殺してくれやがった黒騎士に感謝しておこう。
 
シャークヴァンプが強すぎるって突っ込みは無しだ。
本来の能力はこれくらいはあって然るべきだからな。
 
>163>166>169>171>175>180>182>188
>197>201>203>207>210>232>234
245アセルス ◆AseLLUSs :02/04/16 00:48
>241 アセルスVSラルヴァ
 
ラルヴァは、女性達を過度に傷つけることなく次々と気絶させていく。
やはり、あの程度ではそう役に立たないか。
 
私は、彼女の背後の通路から姿を表し、声をかけた。
 
「へえ、なかなかの手際じゃないか」
パチパチと手を叩きつつ、あえて賞賛の言葉を送る。
彼女がこちらを見たのを確認し、言葉を続ける。
 
「だが・・・甘いな。別に手加減する必要はないんだぞ?
 そいつらはただの人間・・・私の寵姫になるほどの美しさも持たないただの人間だ。
 殺して、目的の物を得ればいいじゃないか・・・『吸血鬼』ラルヴァよ」
 
そう。私が魅了した者の中に気に入った者はいなかった。
だから・・・捨て駒として扱える。
 
私の声に気を取られるラルヴァ。
その背後から、数人の女達が彼女を羽交い絞めにしようとしていた・・・
迂闊だったな。レス番訂正だ。
 
>163>166>169>171>175>180>182>188
>197>201>203>207>210>232>234>240

レイオット&紫雲 vs アルクェイド 『企業の論理』
 
20章 
>438 >439 >440 >441 >445 >453 >459 >467
>473 >477 >497

21章
>5 >6 >18 >38 >39 >40 >48 >60 >61 >67 >70 >86 >87
>89 >95 >97 >109 >190 >192 >193 >242 >243

好き勝手にやらせてもらったわ、レイオットと紫雲に感謝ね。
248ラルヴァ ◆LARVAIdY :02/04/16 01:07
アセルスVSラルヴァ
 
>245
 
『へえ、なかなかの手際じゃないか』
突然声を掛けられた事には驚かなかったが、
やはりそちらの方を向いてしまった。
 
少女とも呼べるようなショートカットの女性。
不思議に気品を感じるが、「人を越えたモノ」特有の威圧感もわずかに感じる。
この女が…吸血鬼なのか? 
 
『だが・・・甘いな。別に手加減する必要はないんだぞ?
 そいつらはただの人間・・・私の寵姫になるほどの美しさも持たないただの人間だ』
 
格闘しながらという事もあるが、聞き流す。
吸血鬼というのは選民思想に凝り固まっているばあいが多い。
ただほんの少し、人の身から外れただけだというのに。
 
『殺して、目的の物を得ればいいじゃないか・・・『吸血鬼』ラルヴァよ』
 
!! 違う、私はまだ吸血鬼になんかなっていない!
 
襲いかかる看護婦を振り払う手に力がこもる。
…骨の折れる嫌な音が響いた。気絶させるだけでいいのに、傷つけてしまったのだ。
 
私の手に血が付いている。夜なのに、その色だけはよく分かる。
赤い…とても紅くて綺麗な色…

私の中で、抑え付けていたモノが目覚めようとしていた―――
249エンハウンス:02/04/16 01:37
>195 エンハウンスVS黒川丈【ゴースト】
 
 宙へ跳んだエンハウンスを見て、男も覚悟を決めたようだ。
 保護色で身を隠していた壁を蹴り、こちらへ降ってくる。
 鋭い爪を振り上げ、エンハウンスへ突き刺そうと。
 
 両者の距離が徐々に縮まっていく。
 
 数瞬後、交錯。
 
 魔剣が闇を闇で抉りながら、右下から左上へと振り上げられる。
 爪が闇を月光で切り裂きながら、真上から真下へと振り下ろされる。
 
 刃が、肉を断つ音。
 
 剣圧に押されて、くるくると回る上半身。
 惰性で地面へと落ちていく下半身。
 
 静かに、音もさせずに着地したエンハウンスにダメージはない。
 どさりと音をさせて落ちてきた下半身。
 遅れること数秒、回転しながら地面に跳ねる上半身。
 
 無様に地面に落ちた男、そのダメージは……。
<水魔スミレvsナルバレック>
 
 それは偶然だっただろう。
 私が気紛れでそのBARに入っただけのことだ。
 
 BARの中は白を基調とした感じで円形のテーブルが多数並び、
 天井には幾つもの装飾を施したライトが煌々と灯っていた。 
 
 ……奥のテーブルにポツンと1人、酒を飲む女が見えた。
 そして、その女が人間でないことに私には一目で分かった。
 
 ――容姿、雰囲気、全てが教会の資料にあったソイツに合致する
 
 私は笑みを浮かべて、女―スミレのいるテーブルへと向かった。



 テーブル越しにスミレに話しかける。
 
「珍しいところで会うな。私が誰か分かるか?」
 
 スミレが気だるそうな顔で私を見る。
 
「ふむ、『ナルバレック』と言えば、分かるか?」
 
 スミレの顔が気だるそうな顔から呆然とした顔に変わる。
 ククク、そうだ、その顔が見たかった。
 殺すだけでは味気ないからな。
 
「まあ、私の立場としては死徒27祖の1人を目の前にして、見逃す訳にはいくまいよ」
 
 笑みを浮かべたまま、私は話を続ける。
 
「――という訳だ。死んでくれないか?」
 
 私はそう言い終わると同時に、スミレの方へとテーブルを蹴り上げた。
 同時に金のナイフを抜き、戦闘姿勢を取る。
 
 今、この瞬間にスミレを殺すのは容易い。
 だが、周りに多くのヒトがいる。
 この状況を『利用』しない手はあるまい。
251緑川淳司 ◆CRSxoxJM :02/04/16 02:46
◆御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司◆
>235 シグモンド
 
淳司の体がピクリと動く。男が懐に手をやったからだ。
『ああ、待て、銃じゃない』
微笑みつつ男が懐から紙の薄い束を取り出す。
怪訝に思う淳司を見つつ男は言葉を続けた。
 
『俺が知っていることは三つ。
 ある日、突然このリストが送られてきた事、
 リストに載っているものを殺せば膨大な報酬が送られてくる事、
 そして…リストに載っているものがバケモノだと言う事だ』
 
男が最後の言葉を言うか言わないかの瞬間に銃を引き抜き撃つ。
その銃から放たれた弾丸は何の反応もできなかった淳司の左の肩を掠め、どこか彼方へと飛んでいった。
その後の行動は二人とも早かった。
男は最初の位置を動かずに淳司の足元を狙い発砲を続ける。
一方淳司は撃たれたと分かるや否や近くの茂みに向かって走り出した。
後を追って男の放った弾丸が地面に穴を開けながら淳司に迫るが後一歩届かず。
弾が彼の足に当たる事無く彼は茂みに飛び込むことに成功した。
 
茂みに飛び込んだ淳司は、次に頭を働かせることにする。
(とりあえず彼の言動からしてCRSのことはまったくばれていないと考えていいだろう。
 むしろ、俺から自分の事をばらしてしまったようだな。
 やっぱりあのチンピラとの喧嘩がいけなかったか…。)
そこまで考えて淳司は隣に学生が居る事に気が付いた。
とりあえず声を掛けることにする。
 
「おい、ここは危ないぞ。早くどっかに行ったほうがいい。」
>247
レイオット&紫雲(M)vs アルクェイド 『企業の論理』 

レス番まとめを修正

20章
>438 >439 >440 >441 >445 >453 >459 >467 
>473 >477 >497
 
21章
>4 >5 >18 >38 >39 >40 >48 >60 >61 >67 
>70 >86 >87 >89 >95 >97 >109 >190 >192 >193 >242 >243 
 
こちらに闘争の内容をまとめてある。
ttp://jbbs.shitaraba.com/game/bbs/read.cgi?BBS=163&KEY=1017561724

閲覧には便利なので、よければ利用してくれ。
こちらのレス番まとめは>78にある。
 
ttp://jbbs.shitaraba.com/game/bbs/read.cgi?BBS=163&KEY=1013072172
気が向いたら、こちらで感想のひとつも頼みたい
253御神苗優:02/04/16 04:03
はっきり言って迷惑だ!〜御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司  
>235 シグモンド >251 緑川
 
俺の後ろを追ってきた二人は広場で対峙していた。
俺はそれを茂みの中から覗いていた。
・・・・・・お礼参りじゃないのか?
なんか言い合いしてるな・・・・・・
俺は、とりあえず二人の様子を観察することにした。
 
黒コートの男が懐からなんか紙切れを出してなんか言ってる。
と思った瞬間、抜き撃ちしやがった。
眼鏡の兄ちゃんはすさまじい勢いで弾丸を避けながら走ってくる。
って、おい、こっちに来る?やめれ〜〜!!
来るな〜〜〜!! 
 
俺の心の叫びも通じず、男は俺の潜む茂みに飛び込んできた。
息を潜めて隠れたが、万事休す。 
眼鏡の兄ちゃんに見つかっちまった。
 
『おい、ここは危ないぞ。早くどっかに行ったほうがいい』
 
・・・・・・はい? 
どうやら、この兄ちゃん、なんか勘違いしてるみたいだな・・・・・・
事情も知らずに追いかけてきたのか?
まぁ、それはともかく、勘違いは訂正しなきゃいかんな。
 
「冗談。逃げたって追っかけてくるぜ、あいつ。あいつのターゲットは、俺なんだから。
 兄さんこそ、速く逃げな。巻き添え食いたくはないだろ?」
 
254フラック ◆FlackiUE :02/04/16 13:32
>233 
ロゼット vs フラック
『Carnival Night 〜 Pyroxene 〜』
 
エピローグ『王と道化師と・・・』 
   
 森を拓いて石を切り崩して莫大な労力をかけ建てられた城も、今や打ち捨てられるのみ。 
 湖畔に望むこの城もまた、人の手を離れて久しい。朽ち往く城にしては、妙に整っていたが。 
 蔦の絡まる城壁を抜け、一つの影がその中を行く。 
 その姿を見留めると、物々しい城の門がゆっくりとゆっくりと開かれた。 
  
 長い、長い通路を抜ける。 
 階段を上り、降り、下り、また上る。 
 最後の扉をくぐると、ようやくその謁見室――――つまりは、王の座まで至る。 
  
 バンパイア・ロード。 
 
 そう呼ばれる、唯一にして絶対の王の元へ。  
 フラックは千切れた身のまま、王との謁見を果たしていた。 
 
「――――ロードを退けた娘と聞き、挑みますれば――――――」 
 
 王の前に跪く道化師は、あの時とは違う畏まった声で喋った。 
 嗄れた若々しい声が、この上ないほどの畏怖に染まる。 
 
「――――なれば、貴方の元にお連れするのが最良かと――――」 
 
 軽く錫杖を振る。幾人かの死者が一つの石像を王の前に置いた。 
 苦悶の表情を浮かべ、石と化したロゼット・クリストファの石像を。 
 ・ 
 ・ 
 ・ 
「私に、石像を愛でる趣味など無いのだがな…………」 
 
 ロードはその石像を前に苦笑を浮かべていた。好意は有り難いが、正直、持て余す。 
 
「ロゼット・クリストファ。一度は私を退けた、か」 
  
 かつて、一度はこの娘に滅ぼされたこの身、不滅の命を持つが故に再生したが・・・ 
 ”自分”を乗り越えた者を辱めるのは主義に反する。いや、自らが生きる意義にさえも―――  
   
「…………フラックの手前、ただ開放するわけにもいかんか」 
 
 だが。 
 しがらみは何処にでもあり、彼もまたこの少女をただ手放すのは惜しいと感じていた。 
 石と化した首筋に鈍い光を灯す牙が近づく。真なる言葉、に石化すらも解き放つ快癒の呪を乗せて。 
 
 ――――鋭く白い切っ先が触れた、ただ一瞬だけ、少女は人の姿の戻る事が出来た――――  
   
 その後、ロゼット・クリストファがどのような道を辿ったか、知るものはいない。 
 ただ言える事は――――――彼女にはもう、太陽は眩しすぎるという事だけだ。 
255ロゼット ◆AMENUx66 :02/04/16 13:42
ロゼット vs フラック
『Carnival Night 〜 Pyroxene 〜』
 
レス番まとめよ・・・・・。
DAM!
 
プロローグ
>214>215
 
本編
>216>217>218>219>220>221>222>223>224>225
>226>228>229>230>231>233

エピローグ@『王と道化師と・・・』
>254
256ベルガー&ヘイゼル:02/04/16 16:51
その男と女はその空間に突然現れた。言実詞の意味を知らぬものにはそう見えただろう。
ベルガー「ふむ・・・身体的に違和感はなしか・・・」
ヘイゼル「本気でここに参加する気なのですの?ベルガーさん」
ベルガー「俺が世界で2番目に冗談を言ってるように見えるか?ヘイゼル」
ヘイゼル「だって・・・皆さんお強そうですよ?」
ベルガー「まぁどうにかなるさ・・・やってみないとな・・・。
     それこそ『運命は闘争を選ばず』てな」
出典 :都市シリーズ 機甲都市伯林(第2期) 
名前 :ダウケ・ベルガー&ヘイゼル・ミリルドルフ 
年齢 :ベルガー「29歳だ・・・とりあえずな。」 ヘイゼル「26歳ですっ。」
ベルガー「キミなぁ・・・26にもなってそのしゃべり方はどうかと思うぞ」 
性別 :ベルガー「男じゃなきゃ何に見える?」 ヘイゼル「私も当然女ですからね。」
職業 :ベルガー「今はとりあえず無職。まぁ元反独隊隊員ってとこか・・・。」
へイゼル「異族達の住む村、ボルドーゾンで教師をやりつつ反独隊隊員をしてますわ。」 
趣味 :ベルガー「バカヘイゼルをからかうこと」 へイゼル「・・・ベルガーさんをからかうことですわ」 
恋人の有無 :ベルガー「・・・有りって答えてほしいのか?ヘイゼル。」
ヘイゼル「いいんですのよ、私は別に。ただ『いない』って答えたら
村の皆さんやエリンギウムさんに『将来の約束以上のことされたのに捨てられた』ってえんえん語りますけど。」
ベルガー「・・・この猫娘だ」
好きな異性のタイプ :ベルガー「・・・ノーコメントだ。」
ヘイゼル「えっ?そんな事まで答えないといけないんですか?」
ベルガー「何、キミは顔真っ赤にしつつ俺の方を向くんだ?」
好きな食べ物 :ベルガー「人参以外なら大丈夫だ、この料理ヘタなバカのでもな」
ヘイゼル「エリンギウムさん直伝の料理なのによくそういう事が言えますわね。私は特に好き嫌いはないですわ。」
最近気になること :ベルガー「特にないな・・・ここは田舎だしな」
ヘイゼル「そうですね・・・どーやったらベルガーさんが素直になってくれるかですわね。」
ベルガー「・・・おい」 
一番苦手なもの :ベルガー「ヘイゼル・・・って何故耳をひっぱる!!」
ヘイゼル「あ・た・り・ま・え・です。苦手?私は少し料理が・・・」
 ベルガー「やっぱり苦手なんじゃないか・・・」 
得意な技 :ベルガー「ここ風に言えば俺は強臓式武剣『運命』(ゲレーゲン・ハイド)での
 戦闘になるのか?重騎は使ってはいけないはずだしな。」
ヘイゼル「そうなると私は風水師としてベルガーさんのサポートになりますわね。」
一番の決めゼリフ :ベルガー「そういうのを考えるのは世界で2番目に苦手なんでな、
テキトーにそっちで考えてくれ。」
ヘイゼル「えっ?えーっと『暴竜との決戦時の詞すべて』にしときます。
どれか選べなんて・・・そんな事。」 
将来の夢 :ベルガー「とりあえず、このバカが勝手にしやがった長期ローン800回を
とっとと返すだな。夢か?これ」
ヘイゼル「いいじゃないですか!!あれはベルガーさんのためにと思って・・・
私はうーんとただれた生活できてるから今はおっきな夢はないですね。」
ベルガー「しかもその800回ローンで作った機体も1回でおしゃかだしなぁ」
ここの住人として一言 :ベルガー「訳ありで当分闘争には出れそうにはないが・・・よろしく頼む」
ヘイゼル「がんばって参加しますのでよろしくお願いします。」 
ここの仲間たちに一言 :ベルガー「正直ここのメンバーとどれぐらい対等に渡り合えるか不安だが・・・よろしくな」
ヘイゼル「あの、そのよろしくお願いします。」 
ここの名無しに一言 : ベルガー「DTじゃないがここはあんた達に支えられているのかもしれない
都市シリーズ関係でわからない事があったらじゃんじゃん質問してくれ」
ヘイゼル「よろしくお願いしまーす。」
257ベルガー&ヘイゼル:02/04/16 16:57
ベルガー「しまった、カテゴリーを書き忘れてるぞ!!カテゴリーは2人ともDだ」
ヘイゼル「・・・また初歩的なミスをしましたねぇ、こういうとこ慣れてないからこうなるんですよ」
ベルガー「なんか改行も変だしな。慣れるまでは苦労しそうだ・・・(汗)」


     
258アセルス ◆AseLLUSs :02/04/16 20:52
>248 アセルスVSラルヴァ
 
やはり、『吸血鬼』という言葉に反応した。
動揺し、看護婦を振り払った腕に力がこもりすぎていたらしい。
吹っ飛ばされ、骨を折った看護婦が血を流す。
 
そして、それが引き金となった。
 
ラルヴァの体に異変が生じ始める。徐々に、人間から別のものへと変わっていく。
そうか・・・血に反応したか。吸血鬼の本性を表し始めている・・・
 
 
「ククク・・・ほら、何をやっている? お前は血を求めてここに来たんだろう?
 それとも・・・そんな体になってまでまだ自分は人間だと言い張るか?
 ラルヴァ!」
 
ゆっくりと近づきながら、なおも挑発する。
 
「人間なんかにこだわる必要はない・・・その身に吸血鬼の力を宿し、ましてやカミーラの血を吸ったお前は、
 吸血鬼として生きていくのが唯一にして絶対の道だ。
 ―――そう、この私がそうしたように」
 
ラルヴァの内から力が解放されるのを感じつつも、私は挑発を続けた。
―――来るか?
俺は遠野志貴。既にいる『殺人貴』とは別人だね。
俺の『直死の魔眼』についての説明は不要だと思うけど、簡単に。

『直死の魔眼』っていうのはこの世界に存在する全てのものが
内包している「死」を視てしまう『魔眼』なんだ。
それは『点』と『線』の二つの形で見えて、『線』を切ったりすると
どんなものであっても容易く切れて、『点』を突くと一撃で
「存在そのもの」を殺せてしまう。
冗談みたいな話だけど、これが俺の持つ『魔眼』だ。

今、『直死の魔眼』は『魔眼殺し』の眼鏡で封じているよ。
普段から「モノの死」なんて見続けていたら狂ってしまうからね。
まだ身体に余裕があるということだと思う。
いつ壊れはじめるかわからないけど。

戦い方は近接専門だね。暗殺者の体術を仕込まれている。

立場は『ハンター側(カテゴリーA)/狩人(人間)』だと思う。
ただ俺は普通の高校生だから、自分か知人が巻き込まれない限り戦わない。

でも、「反転」して「七夜志貴」になったらどうなるかわからない。
「七夜志貴」は殺人鬼だから。


こんな俺だけど、大切な人を守って戦っていきたいと思ってる。

出典 : 月姫(歌月十夜)
名前 : 遠野(七夜)志貴
年齢 : 17
性別 : 男
職業 : 高校生
趣味 : 刃物を眺めること
恋人の有無 : 誰なんだろう?
好きな異性のタイプ : 好きになった人
好きな食べ物 : 琥珀さんの作る料理
最近気になること : 俺はこれからどうなるんだろうか?
一番苦手なもの : 知人が傷つくこと
得意な技 : 『死点』突き、『死線』斬り
一番の決めゼリフ : 「――教えてやる。これがモノを殺すっていうことだ」
将来の夢 : やりたいことをまっすぐにやり抜きたい。先生の言った通りに
ここの住人として一言 : 精一杯戦わせてもらうよ
ここの仲間たちに一言 : いろいろと迂闊なところもあるけど、よろしく
ここの名無しに一言 : あんまり期待しないで見守ってほしいな
261田中:02/04/16 21:11
<田中vs浅上藤乃>
 
「ひっ――――!?」
 
 男は悲鳴を上げた。
 目の前の何ももたない少女―浅上藤乃に対して……



 男の下に浅上藤乃が訪ねてきたのは30分前。
 湊啓太の居場所が知りたいとのこと。
 
 男は啓太の居場所なんか知らない。
 だが、浅上藤乃のことは知っていた。
 
 ――体のいい陵辱対象として
 
 下卑た笑みを浮かべて、啓太との所に案内するという口実で、
 男は人気の無い夜の公園に浅上藤乃を連れて来た。
 
 うっすらと公園に霧がかかっているが丁度いい。
 男はそう考えた。
 
 
 ――そして、それが彼の運の尽きだった。
 
「―――!?」
 
 男の手足が凶がって、捻じ切れていく。



 数秒後には男はただの肉塊と化した。
 
 そして、浅上藤乃はその肉塊を前に笑みを浮かべていた。
262田中:02/04/16 21:11
>261
「――今夜は2人か」
 
 私はそうボソリと呟いた。
 私は公園に不定期に霧の結界を張り、迷い込んできた者をその餌食とする。
 霧の結界以外は何のとりえもないただの公園在住の吸血鬼だ。 
 
「では、いくか」
 
 温和そうなサラリーマンの表情を浮かべ、私は獲物の下に向かうことに下。



「どうしたんですか、こんな時間にあなたみたいな女子高生が――!?」
 
 私は獲物にサラリーマンの演技をして、声をかけた。
 しかし、その言葉は最後まで紡がれることはなかった。
 
 少女の側の肉塊を見て、私は言葉を失った。
 私は引きつった笑みを浮かべて、ジリジリと後退する。
 
 ――そんな私に、少女が笑みを浮かべた
263浅上藤乃:02/04/16 22:44
>263
「――こんばんは」

私はそんな風に声をかけてみた。
目の前にはサラリーマン風の男性。見た感じではとても優しそうな男性に見える。
いつもいつも思うのだけれど・・・この時間帯は良く男性が声をかけて来てくれる。
だから、とても探しやすいんです。


           獲物が  /  人が


「今夜はとても静かな夜ですね・・・」

相手の気持ちを―そして自分の高揚を抑えるためにゆっくりとした口調で話す。
そうしなきゃ今にも私の心臓が飛び出してしまいそうで


          とても怖い / とても愉しい


「・・・どうして・・あなたはここへ来てしまったんですか?」


あなたの事―――――殺したくないのに


そして、私は目の前の獲物を視た。

別に私が悪いわけじゃない・・・。
ここへ来たあの人が悪いんだ。

そんな気休めにもならないことを思いながら。
264導入:02/04/16 23:02
鈴鹿御前 対 閑馬永空 『蟲の唄・鬼途』
 
 閑馬永空がその女に逢ったのは、花も散り去って久しい皐月の中頃だった。
 
 寛政三年(1792年)、江戸は十一代将軍家政の御世。
 天蓋で陰鬱な面を隠し、錫杖を手に深川を歩む墨染めの衣。それが今の閑馬の風体である。
 岡場所(私娼街)からの帰途であった。
 朝帰り、と云うには大分遅い。既に昼を回っている。
 五人目の妻を失ってから数十年、側に妻女を置いたことはない閑馬だが、女の肌身の温もりが
恋しくなる時もまれにはある。
 
 初夏めいた温い大気が揺れるのを閑馬は感じた。
 人と空気がかまびすしい。喧騒が湧いている。
 興味は無かったが歩を進めた。行く先は同じ方角なので仕方が無い。
 人の群れが見えて来た。一軒の茶店の前を取り巻いている。
 通り過ぎようとし、ちらと視線だけ向けた閑馬の足は止まった。
 見物人の中心に二人の人物がいた。手槍を構えた男と、若い女。
 女の背後には乱れかけた着物の少女がいる。どうやら手槍の禿頭から庇われている様子だ。
 その禿頭の男は閑馬の顔見知りだった。同じ剣の流派、逸刀流の一員である。
 
 名は何と云うたか。――忘れたな。
 
 下卑た面構えからも判る通り、つまりはその程度の腕前であり、存在でもある。
 だが、閑馬の足を止めさせたのは禿頭ではなかった。
 禿頭と相対した女、いや、年の頃はまだ少女か。
 こざっぱりとした旅姿で、艶やかな黒髪を背に流している。
 清麗極まりない瞳、凛冽たる相貌、だがそれよりも何よりも。
 未だ剣を取らぬに全身から漲る烈気の鋭さ、凄絶さよ。
 
 これは、生半ではない。
265鈴鹿御前 ◆Y4SUZUKA :02/04/16 23:08
鈴鹿御前 対 閑馬永空 『蟲の唄・鬼途』
 
>264
 
久方ぶりに訪れた江戸。
深川辺りで一服しようとした私が厄介事に巻き込まれたのは、その茶店でのことだった。
 
茶と菓子を注文し、腰掛ける。
初夏の昼下がりの、平和な一時。
しかしそんな時が長く続く筈がないのは、世の常というものだろうか。
 
何かが割れる音と共に、女性の悲鳴が上がった。
見ると、下卑た表情を浮かべた禿頭の男が、店の小娘にちょっかいを出そうとしている。
……やれやれだ。放ってはおけまい。
 
「その辺りにしておきなさい」
「あぁ!?ンだテメェは!?」
 
顔も下品なら、声も下品だ。
割って入った私を睨み付けると、男は手槍を取り出し、構えた。
近くにいた客がわっと叫んで遠ざかると同時に、辺りには人だかりがし始める。
 
「さあ、今のうちに」
「ありがとうございます!」
 
娘がそう言って店の中に逃げ去ると同時に、禿頭は槍をしごきつつ突きかかってきた。
この手の手合いに付き物の、意味不明なおめき声も忘れない。
まったく、雑魚の基本に忠実な奴だ。
思わず苦笑を浮かべつつ身を開いて槍を躱し、脇を駆け抜ける禿頭に足払いをかける。
一回転して転倒した男が男が起きあがった時には、手槍は私の手にあった。
 
「どうする、まだ続ける?」
「………ち、畜生、覚えてやがれ〜〜!!」
 
あくまで基本に忠実な捨て台詞を吐きつつ、禿頭は人混みを押しのけて逃げ去っていった。
騒ぎを聞きつけて、同心がやって来るのもすぐだろう。こんな所で手間をとられるのも面倒だ。
私は手槍を放り捨てると、店の主人と小娘の礼を背に、その場を立ち去ることにした。
 
墨染めの衣に天蓋で面を隠した男が、人混みの中からこちらに鋭い視線を向けていたのには気づいている。
あれは人斬りの目だ。それも、只ならぬ人数を斬った、血塗れの剣鬼。
266閑馬永空:02/04/16 23:23
>265 鈴鹿御前 対 閑馬永空 『蟲の唄・鬼途』

 見物人の歓声が上がる中、禿頭を軽くあしらった女は立ち去った。
 その後を、閑馬はつけ始めた。
 今日は向島の逸刀流本山・天邦道場にて幹部連の寄り合いがある。
 閑馬はそこに向かう途中であったのだ。
 天蓋の奥で口の端を歪める。
 
 なれど、こちらの方が余程面白い。
 
 女はつけられているのを承知している様だった。
 人気の無い方へ無い方へと進む。
 閑馬自身、特に身を隠そうとは思っていなかったが。
 木場の辺りに出た。材木置き場を抜けると、そこはもう堀川である。
 川原の道を女が行く。立ち止まった閑馬は、
 
 輪。
 
 と、錫杖を鳴らした。
267田中:02/04/16 23:31
>263
 目の前の少女は何気ない挨拶をかわしてくる。
 少女の側の血だるまとなった肉塊がなければ、何ら違和感のない光景だったはずだ。
 
 私は単純に恐怖した。
 目の前の少女は紛れも無い人間だ。
 
 ――だが、それだけに恐ろしい
 
 ヒトでありながら、魔に落ちたモノは時として化け物より恐ろしいモノになる。
 私はソレをよく知っていた。
 
『・・・どうして・・あなたはここへ来てしまったんですか?』
 
 少女が私に問い掛ける。
 
 ――迷い込んできたのは、お前だ
 
 といいたいのを抑えながら、間合いを取る。
 同時に霧の結界をフルに起動させる。
 辺りが濃い霧が立ち込め始める。
 
 ――今だ
 
 そのまま、私は公園の奥へと走り出した。
 後は眷属たちに始末させる。
 正直、アレと向き合うのはぞっとしない。
268浅上藤乃:02/04/16 23:33
私の周りに濃い霧が立ち込める。


さらに悪いことにあの人はどうやら逃げようとしているみたいだ。
逃げられては困る。
女性の私と男性のあの人・・・体力も足の速さもあちらの方が
上に決まっている。

「逃がさない」

私は目を凝らし、霧の中で人の影を探す。
姿は見えなくともその形、場所さえわかれば
『螺旋』の能力はどんなものでも凶げることができる。
その能力は私の唯一の、そして最大の武器なのだ。

その能力を使っている私が一番良く知っている。


「・・・・見つけた」

高速で動いている影―――

きっとあの人だ。
ここで逃げられてはとても困る。どうしてか知らないけれど私にとっては
とても困る事なのだ。
そして、私はその影の腕に回転軸を合わせ―――捻る。


   
――――凶がれ
269ラルヴァ ◆LARVAIdY :02/04/16 23:34
アセルスVSラルヴァ
 
>258
 
敵が近づいてくるのは分かったが、それどころでは無かった。
目を閉じれば嗅覚が増して、血の臭いに酔いそうになる。
そして呼吸を押さえようとすれば、目の裏に焼き付いた血の色が私を責め立てる。
悪夢のような二律背反。
 
そして、耳からは私を揶揄する少女の声。
 
『吸血鬼として生きていくのが唯一にして絶対の道だ。
 ―――そう、この私がそうしたように』
 
愕然として顔を上げる。この少女も、私と同じ?
彼女は、どんな思いでそれを受け入れたのだろう。
 
「貴女は、それで満足なの? 人間でなくなって…それで平気な顔でいられるの?」
 
ただ純粋に聞きたかった。
私もこの少女の様になるのだろうか。
何もかも受け入れて、人の身を捨ててしまえるのだろうか。
それは「もう一人の私」への問いかけに等しかった。
270鈴鹿御前 ◆Y4SUZUKA :02/04/16 23:37
鈴鹿御前 対 閑馬永空 『蟲の唄・鬼途』

>266

茶店を離れ、歩き始める。
後には、例の鋭い目の男。姿を隠す気もないらしく、堂々とついてくる。
人気のない道を選びながら、木場の方へと出た。
堀川も近い辺りで、ここなら人目に付く恐れもない。

後で、錫杖の音がした。ここで良かろう、という合図だろうか。
振り返った私は、男に問いかけた。答えは分かり切っているのだが。

「何の用?女の後をつけ回すのは、良い趣味とは言えないと思うが?」
271閑馬永空:02/04/16 23:54
>270 鈴鹿御前 対 閑馬永空 『蟲の唄・鬼途』

「先程の輩に縁有る者、と云えば用向きも見当がつくか」
 
 深編み笠を取りながら女に云う。
 
「まこと評すにも価せん愚物、塵芥に等しき屑なれど、情けない仕儀だが幾許かのしがらみが有る。
捨て置く訳にもいかん」
 
 これは嘘だ。密かに逸刀流を掌握せんと野心を抱く閑馬だが、それ程朋輩に拘りはしない。
 単に興趣を引かれたに過ぎない。暇潰しは危険が大きい程面白いものである。
 死ねない身にとっては特に。

 腰間の秋水が鍔鳴りの音を立てる。
 左手で愛刀の鯉口を切り、閑馬は地に染み入る様な声を発した。
 
「逸刀流の名は雪いでおかねばなるまい。同流剣士――閑馬永空参る」

 投げ捨てられた錫杖が、地に転がって再び鳴る。
 閑馬は、地を駆けた。
272田中:02/04/17 00:04
>268
「――がっ!?」
 
 腕が唐突に曲がる。
 いきなり、唐突に――
 訳が分からない。
 
 私の左腕はこれで完全に死んだ。
 この殺し合いの間はすくなくとも、再生は期待できないだろう。
 ……ひるんでいる暇はない。
 ただ、公園の奥へと全速力で走る。



「はあ、はあ、はあ……」
 
 息が苦しい。
 呼吸が荒い。
 吸血鬼にはどうということもないはずだが、これは私が動揺しているせいか……
 
「――――」
 
 公園の中の眷属に命じる。
 あの少女を始末するように……



 霧の中を歩く浅上藤乃。
 霧の中から、野犬たちの遠吠えが聞こえる。
 
 野犬たちの唸り声が次第に藤乃に近くなる。
 
 野犬たちは藤乃を捕捉する。
 その獰猛な牙で藤乃に襲い掛かった。
 本能のままに……
273アセルス ◆AseLLUSs :02/04/17 00:09
>269 アセルスVSラルヴァ
 
『貴女は、それで満足なの? 人間でなくなって…それで平気な顔でいられるの?』
・・・不意にラルヴァが、そんなことを聞いてきた。
 
は―――何を今さら。
 
「無論だ・・・私は今の境遇に不満なんか何一つ無い。
 人間よりも・・・あんな人間どもよりも遥かに強い力を持って永遠を生きていける。
 寵姫たちを愛し、その血を吸って・・・永遠に。
 何を・・・何を、不満に思えというんだ!」
 
今さら、わかりきったことを宣言する・・・ただそれだけのつもりだった。
なのに・・・なぜか、語気が荒くなった。
 
「第一・・・あの頃の私には、他に選択肢などなかった!
 私のいた場所にはもう戻れなかった! “人間”は私を拒絶した!
 ―――妖魔になって人間を見下ろす存在になる・・・私はそうして居場所を得たんだ」
 
怪我をした看護婦が私にすがりついてくる。
厚化粧の・・・醜い人間が。
 
私は妖魔の剣を実体化し、その看護婦を薙ぎ払う。
そして・・・ラルヴァに手を差し伸べた。
 
「さあ・・・お前も一緒に来い。
 永遠を生きる存在になれ・・・」
 
あえて魅了は使わずに、そう言ってやった。
274鈴鹿御前 ◆Y4SUZUKA :02/04/17 00:17
鈴鹿御前 対 閑馬永空 『蟲の唄・鬼途』

>271

逸刀流――その名は聞いたことがある。
昨今隆盛してきた、強引極まりない手法で門弟を増やし続ける剣術流派。
強さのみを追求するその姿勢は、目の前のこの男には正に相応しいものと言えよう。
おそらく、今口にした理由も嘘だ。
強い相手と仕合いたい――何より、その目がそう語っている。

閑馬永空と名乗った男は、刀の鯉口を切りながら間合いを詰めてくる。
それを迎え撃つ私の手には、いつの間にか一振りの刀が握られていた。
愛刀、大通連――何よりも信じられる、身体の一部のようなものだ。

「話し合う気は――ないようね」

地に落ちた錫杖の鳴る音が、合図となった。
刀を腰溜めに構え、身を沈めつつ走る。地を這うような一撃の狙いは脚。
275スミレ ◆SUMIREYo :02/04/17 00:29
水魔スミレvsナルバレック
『Lunatic fringe theater』
>250
 
 それはいつものようにBARに入り浸っていた時の事。
 
「珍しいところで会うな。私が誰か分かるか?」
 
 唐突にかけられた声に顔を上げる。
 目の前には見知らぬ女。
 妙に癇に障る表情を浮かべるその顔に、しかしやはり覚えはない。
 その怪訝が顔に出たのだろう。
 私が聞くより先に、女は自らの名を告げた。
 
「『ナルバレック』と言えば、分かるか?」 
 
 悪寒。認識は後からきた。
 凍り付きそうになる思考をなだめて、私は目の前の女を見据える。
 打ち手を間違えれば、私は一瞬で滅ぶだろう。
 
「まあ、私の立場としては――――」

 ナルバレックの言葉を聞き流しながらタイミングを見計らう。
 この距離で空想具現化は無謀。
 かといって体術が使えるわけでもない。
 なら、仕掛けてくる瞬間に間合いを外すしかない――
 
「――という訳だ。死んでくれないか?」
 
 ナルバレックがテーブルを蹴り上げる。
 私はほぼ反射的に真後ろに跳ぶ。
 テーブルが落ちるまでに記憶を引っ張り出す。
 
 ナルバレック。
 埋葬機関のトップにして無類の殺人狂。
 そして――真祖の姫と相対せるほどの殺戮技能者。
 
「……逃げよ〜っと」
 
 対決に意味はない。
 勝率は限りなく低く、勝ったところで益がない。
 
 3つ離れたテーブルの上に、料理を蹴倒さないように着地。
 そして悟られぬように周囲を確認する。
 
 出口まで3足、窓までなら2足。
 ただし、真っ当に行ければの話だが。
 
 ――そうはいかないでしょうね〜。
 
 茫然としている客たちを無視してナルバレックを見つめる。
 さあ、どうでるか……
276ラルヴァ ◆LARVAIdY :02/04/17 00:32
アセルスVSラルヴァ
 
>258
 
切り裂かれた看護婦の血が、耐えようもない甘い匂いに感じる。
失血していないにも関わらず、吸血鬼化が進んだ私は殲鬼になろうとしていた。
 
だが…それでも…
 
「貴女とは行けないわ」
 
身体の奥からわき上がる力を拘束着が抑え付けている。
いつもの不快な感覚。
こうやって血の衝動を抑えても、今度こそ人に戻れないかもしれない。
でも―――
 
「私に残された家族との絆、生きてきた証はこの身体だけだもの。
 私はそれを取り返そうとして闘ってきたの」
 
ゆっくりとナイフを抜く。そして、自らの頸動脈に当て…一気に引き裂いた。
 
「永遠なんて…停まってるのと同じ事よ」
 
血臭が混ざり合う。私の言葉は戯れ言かもしれない。
私は、こうして吸血鬼に近づきながらでしか、闘えないのだから。
277閑馬永空:02/04/17 00:35
>274 鈴鹿御前 対 閑馬永空 『蟲の唄・鬼途』

 火花が散った。
 鞘込めに引き抜いた愛刀・井上真改蟲殺、こじりを下にして地面に突き刺したそれが、女の一刀を
噛み止めたのだ。
 通常の鞘ではこうはいかない。鉄拵えならではである。
 
 面妖な。手妻を使うか。
 
 何処よりとも知れず出現した相手の一刀に眼を細めたのも一瞬。
 間髪入れずに、逆手で鞘走らせた一閃が女を襲う。
278鈴鹿御前 ◆Y4SUZUKA :02/04/17 00:49
鈴鹿御前 対 閑馬永空 『蟲の唄・鬼途』

>277

甲高い金属音、それに火花。
脚を狙った私の一撃は、閑馬が鞘ごと抜き取って突き立てた刀に止められていた。
鉄拵えか、厄介な。

舌打ちする私を、閑馬の逆手による一閃が襲った。
間一髪、身を開いて躱す。幾筋かの黒髪が、宙に舞った。
そのまま身体を回転させ、勢いを乗せての巻き撃ち。
これなら、鉄拵えの鞘だろうと……!
279アセルス ◆AseLLUSs :02/04/17 00:55
>276 アセルスVSラルヴァ
 
ラルヴァは、私の差し伸べる手を無視し
自らの頚動脈を斬った。
いぶかしむ私の目の前で、彼女の体の変化が加速していく・・・
 
ふむ・・・失血して吸血鬼の力を解放するのか。
だのに吸血鬼化を拒む・・・か。
 
「永遠は停滞・・・か。命限りあるものの台詞だな。
 ―――愚かしい」
 
彼女の甘い血の匂いを感じ取りながら、私は剣を向けた。
 
「私が導いてやろう・・・我らが世界へ」
280閑馬永空:02/04/17 01:09
>278 鈴鹿御前 対 閑馬永空 『蟲の唄・鬼途』

 唸る剣戟を、地より抜き放った鞘が受ける。
 沸き立つ火花は先刻と変わらない。
 だが、より美しい音を伴っていた。
 閑馬の両眼が見開かれる。
   
 両断してのけたか、鉄の鞘を。
 
 後方へ跳ぶ閑馬の脇腹から黒血が噴き零れた。
 鞘を斬らし勢いを殺していなければ、閑馬の胴こそ真っ二つにされていたに違いない。
 半分になった鞘を女に投げ付けながら、閑馬は右八双に構えて突進し返した。
 負傷の色も見せず、狙い定める一剣は女の左肩口へ。 
281ラルヴァ ◆LARVAIdY :02/04/17 01:13
アセルスVSラルヴァ
 
>279
 
「愚かしい? そんな賢さならいらないわ」
 
殲鬼化するとともに、闘いへの喜びがわき上がる。
そして…血への渇きも倍増してしまう。
それでも、戦術まで忘れてしまうわけではない。
 
少女の腕はか細いが、吸血鬼を見た目から判断するのは危険だ。
あの剣を空中から出した事といい、戦力は計り知れない。
 
間合いを計りつつ攻めたい所だが、私に残された時間は少ない。
いつ完全に吸血鬼になってしまうかわからないのだ。
 
「一対一なの?
 それともみんなで一斉にかかってくるの、お嬢さん?」
 
あえて無造作に近づき、あざけるように語りかける。
安い挑発だが、乗ってくれるだろうか。
282シグモンド ◆DGUNdOgI :02/04/17 01:18
◆御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司◆
 
>251御神苗 >253緑川

動くのなら当たる。が、眼鏡は動かなかった。
弾は眼鏡の肩を掠め、何処かへ行った。
眼鏡が動く。
 
―――まず足を封じる。
足を狙って撃った射撃は今一歩のところで相手の速さに追いつけずに居る。
 
チッ…。
 
ヤツはそのまま茂みに飛び込んだ。
弾の補充を済ませると、ギターケースから竜の頭が銃口についた一見、玩具にも見えるライフルを出す。
 
―――これが俺の手に入れた力、だ。借り物だとしてもな…。
 
そのまま、茂みの方へ走る…。
 
見ると、元々の目標である御神苗優と眼鏡、二人がいた。
 
「一挙両得か、虻蜂取らずか、どちらだと思う?」
 
そんな事を言いながら、
バケモノどもに『火竜両儀筒』と呼ばれる銃を発射する。

283アセルス ◆AseLLUSs :02/04/17 01:28
>281 アセルスVSラルヴァ
 
ふん・・・安っぽい挑発だな。一対一に持ち込むつもりか。
それほどまでにここの人間たちを巻き込みたくないのか・・・?
・・・だが、どちらにしても。
 
「ふ・・・こんな人間どもなど、足手まといにしかならん。
 一対一が望みならそうしてやろう。
 ―――もっとも、巻き込まない保証はないがな」
 
薄く笑みを浮かべながら、私は言った。
 
「さあ・・・カミーラを追い詰めたその実力、見せてもらおうか!」
宣言と同時に、いっきに間合いを詰めて斬りかかる。
狙いは・・・腕!
284鈴鹿御前 ◆Y4SUZUKA :02/04/17 01:39
鈴鹿御前 対 閑馬永空 『蟲の唄・鬼途』

>280

再び、我が愛刀を遮らんとする、鉄拵えの鞘。
だが、今度は先程とは勢いが違う。
遠心力を乗せた刃は鞘を両断し、そのまま閑馬の胴を襲う。
手応えはあった。が、浅いか。

どす黒い血の跡を宙に残し、閑馬は飛び退いて距離を取った。
鞘の半分を投げつけ視界を遮りながら、右八双の構えを取って突進してくる。
その動きに、負傷の影響は微塵もない。
迂闊に防げる攻撃でもあるまい。ならば、斬られる前に……!

決断は一瞬。
刀を構え直すと、私は閑馬に向かって突進した。
その速度は、さながら弓より放たれた矢の如し。

閑馬の剣戟が私の肩口を捉える寸前に、私の突きが、彼の胸板を貫いていた。
285ラルヴァ ◆LARVAIdY :02/04/17 01:45
アセルスVSラルヴァ
 
>283
 
他の人達を巻き込むまいとする私の意図は
あっさりと見抜かれたようだが、それでも一対一の形にはなった。
 
? この少女はカミーラの事を知っている?
なるほど、それで私に興味を持ったのか。
呼び捨てにしている所から見て、対等の関係であるようだ。
もっとも戦い方は大分違うようだが。
 
……!! 今、『追い詰めた』と言ったのか? 『滅ぼした』では無く?
かろうじて顔には出なかった筈だが、私は愕然とした。
あの霧散した状態から再生したという意味なのだとは理解できたが、
真の吸血鬼はそれほどの力を持つのだろうか。
 
わずかに動揺する私の腕を目指して、鋭い突きが放たれる。
何とか、拘束着を斬られただけで避けた。
私の心に、今まで感じた事のない暗雲が広がり始めていた。
286緑川淳司 ◆CRSxoxJM :02/04/17 01:57
◆御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司◆
>253 御神苗優 >282 シグモンド
 
『冗談。逃げたって追っかけてくるぜ、あいつ。あいつのターゲットは、俺なんだから。
 兄さんこそ、速く逃げな。巻き添え食いたくはないだろ?』
 
なるほど、と淳司は納得した。
うろ覚えではあるが確かにあの黒コートの男が居た所には必ずあった顔だ。
とりあえずボサボサの頭を掻きながら、返事を返す。
 
「なるほどねぇ…しかしもう遅い。
 とっくに巻き込まれたし、俺もいつの間にか目標のうちの一人になってるんだから。」
 
といってる間に、ロングコートの男がいつの間にか茂みの中に入ってきた。
その手は竜の頭のようなものが銃口についたライフルのような物をこちらに向けている。
 
『一挙両得か、虻蜂取らずか、どちらだと思う?』
 
そんな言葉を口にしつつ男がそのおもちゃのような銃を撃つ。
淳司とその学生はそれぞれ反対の方向に避ける。
その瞬間轟音と共に先ほどまで2人が居た場所には小さなクレータができる。
その威力に驚きつつも逃げながら淳司は軽口を叩く。
 
「二兎を追うもの一兎をも得ず、に一票入れといてやるよ。」
287御神苗優:02/04/17 02:10
はっきり言って迷惑だ!〜御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司  
>282 シグモンド >286 緑川
 
『なるほどねぇ…しかしもう遅い。
 とっくに巻き込まれたし、俺もいつの間にか目標のうちの一人になってるんだから』 
 
・・・・・・この兄さんも、何時の間にか標的に、か。 
ならば敵の敵は味方、ってことだな。
しかし、この風采の上がらない感じの兄さん、
身体能力はすごいもんがある。
戦闘訓練は受けてないみたいだがな、さすがに。 
 
気づくと、黒コートの男はギターケースから竜の顔がついた、
おもちゃみたいなライフルを取り出していた。
・・・・・・なんか嫌な予感がするぞ、おい。
 
なんか呟いた後、ヤツはそのおもちゃみたいな銃をぶっ放した。
とりあえず避けたほうが無難だな。
俺は茂みから立ち上がると横へ跳んで避けた。
 
轟音。・・・・・・なに? 
後ろを振り向くと、もといた場所は綺麗にえぐられていた。
・・・・・・オーバーキルって言葉知ってますか、こいつは? 
 
「手前!!素手の相手になんちゅうモンぶっ放しやがる!!」 
 
俺は手にしていた小石を投げつけながら、ヤツに抗議した。 
・・・・・・しても無駄だろうけどナ。
 
288閑馬永空:02/04/17 02:14
>284 鈴鹿御前 対 閑馬永空 『蟲の唄・鬼途』

 朱色の霧が奔騰した。二人分の。
 女の一刀は確かに閑馬の胸板を貫き徹している。
 だが――閑馬の剣もまた女の肩口に食い込んでいた。
 常人ならよけるなり防ぐなりする相手の剣撃に頓着せず、閑馬は己が斬撃を続行したのである。
 心の臓は抉られても痛いで済む。手足を斬られても繋げば済む。
 要は最後に立っていれば良い。

 いや、立てなくても良いな。四肢を刻まれても戦には勝てる。――この儂ならば。

 これぞ秘術・血仙蟲の再生力を存分に駆使した、不死の剣客・閑馬永空ならではの妖剣。
 
 刃を互いの身体から引き、二人は間合いを後方へ取り直した。
 胸の疵で蠢く蟲どもの音を聞きながら、しかし閑馬は心中驚嘆している。

 この女の剣、これは板敷の道場で学んだ太平の世の剣法ではない。

 泥土を山野を巡り、鉄の味を知りつつ会得した剣であった。
 閑馬には判る。
 何となれば、この男が剣を学んだのも、同じ時かは知らず同じ場所であるからだ。
 すなわち二百有余年前の、乱世の戦場で。 
 
「その剣、いずこで学んだ。主は――何者だ」 
289鈴鹿御前 ◆Y4SUZUKA :02/04/17 02:49
鈴鹿御前 対 閑馬永空 『蟲の唄・鬼途』

>288

―――馬鹿な。

私は驚愕していた。
大通連は、確実に男の胸板を捉えている。致命傷だ、間違いない。
だがそれにも関わらず、閑馬の攻撃は止まらなかった。
その剣は、そのまま私の肩口に食い込み、肉を断つ。
傷口から噴き出した血が、互いの着衣を朱く染める。
そのまま、互いに剣を引き、間合いを取り直した。

私は鬼だ、人ではない。
この程度の傷ならば、数え切れない程この身に受けてきた。
だが、目の前にいるこの男は……?
見れば、胸の傷口で何かが蠢いている。あれは―――蟲か?

そう思った時、閑馬永空は口を開いた。
その剣、いずこで学んだ。主は――何者だ、と。

定命の人間には決して発することの出来ぬ、その重み。
それは、剣を交えながら感じていた違和感――この男の剣術は、太平の世の業ではない――と、不思議に一致していた。
だから、私は有りの儘を話すことにした。

「私の名は鈴鹿。人に徒為す鬼を斬る―――鬼だ」
290シグモンド ◆DGUNdOgI :02/04/17 02:50
◆御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司◆
 
>286緑川 >287御神苗
 
ライフル――火竜両儀筒の威力はいつも使っている時より大きかった…。
“おいおい…”
 
『二兎を追うもの一兎をも得ず、に一票入れといてやるよ』
 
眼鏡の言葉に、
「ああ、では俺は一挙両得の方に一票だな、バケモノ」
 
そう言いながら走って肉薄する。
その時、元々のターゲット、御神苗優が
 
『手前!!素手の相手になんちゅうモンぶっ放しやがる!!』
 
投石をするがギターケース、それもロックに当たったのみだった。 
清水寺で『何か』にぶつけたのと、先ほどの追走劇の際、
緩んでいたギターケースのロックがこれで決定的に壊れ、
中身をあたりにぶちまける。

そして、中身の煙幕弾と予備の拳銃が転がっていった…。

291閑馬永空:02/04/17 03:12
>289 鈴鹿御前 対 閑馬永空 『蟲の唄・鬼途』

 肩に一撃受けてなお動ぜぬ態からして、只人ではないとは思うておったが。

「鬼、とはな」
 
 偽り虚言には聞こえなかった。 
 二百年に余る長生でも、自ら化物と名乗る存在に逢うのは初めての事であったが、その言葉は
不思議と閑馬の腑に落ちていた。
 
 物の怪なれば死なんのであろうか。滅びず、何時までもこの世に在り続けられるのであろうか。
  
「主、儂と来ぬか」

 どうしてそんな言葉が口をついて出たのかは判らない。

「必要なのは最初から儂と同じ人間だけだ。いやさ、鬼だろうが同じ事。
この儂とて既に人を捨てたる身よ。
無限の時を見、無限に在り、無限に君臨しては見ぬか。この儂と」
 
 云いながら、脳裡の片隅を女の面影がよぎる。

 鈴鹿と名乗る眼前の鬼によく似たあれは――誰であろう?
292鈴鹿御前 ◆Y4SUZUKA :02/04/17 04:01
鈴鹿御前 対 閑馬永空 『蟲の唄・鬼途』

>291

私の答えを聞いても、閑馬の顔に驚きの色はない。
それどころか、私に共に来ないか、という。
無限の時を生き、無限に在り、そして無限に君臨してみないか、と。

だが、私の答えは決まっている。
人が有限であるからこそ、生み出すことのできる、なにか。
私は、それに惹かれたのだから。
同族を裏切り、人と夫婦となる程に。

「その誘いには、応えられない」

私の脳裏に浮かぶのは、一人の男。
かつて私の夫だった、あの男。
人として生き、人として死ぬことを選んだ、あの男。

「貴方は最早人の身を捨てたという。人でないならば、それは即ち鬼。
 そして、鬼ならば―――ただ斬るのみ」
293閑馬永空:02/04/17 04:30
>292 鈴鹿御前 対 閑馬永空 『蟲の唄・鬼途』
 
 鬼、か。

「フフ……。まこと、そうかもしれん」 

 苦笑が浮かんだ。女の面影は薄れ、消えた。 
 人を斬る事が愉しくてならないなどと云う存在は、確かに人以下の存在なのかもしれない。
 それをして人は鬼と云うのだろう。

 それでも――。
 
「――それでも、ただ徒に生き、屍を積み上げていく虫よりは増しだ」

 蟲どもはもう引っ込んでいる。胸の疵は癒えていた。  

「良いだろう。主が鬼を斬る鬼なら、見事この儂も斬り伏せてみせるが良い」 

 閑馬は鈴鹿に向かって歩み始めた。
 だらり、と右手の刀は下げたままだ。
 ゆっくり、ゆっくりと、互いに一足一刀の間境に達する。
 転瞬――。
 
 閑馬の全身は、迸る電火の如き突きと化した。
294鈴鹿御前 ◆Y4SUZUKA :02/04/17 05:15
鈴鹿御前 対 閑馬永空 『蟲の唄・鬼途』

>293

無造作に歩みを進める閑馬。胸の傷は、既に癒えている。
無限を選び、虫の如く無心に剣を振るう男。
私の心に棲むあの男と、その姿はあまりに対照的だ。

互いの距離が一刀一足の間合いにまで詰まった瞬間、閑馬が繰り出したは雷速の突き。
通常ならば、躱し切ることは可能だったろう。
だが、先程受けた肩口への傷は、まだ塞がってはいない。
その傷が、反応を一瞬遅らせた。
躱し切れぬ切っ先が、脇腹を抉る。

体勢が崩れる。が、無理に立て直そうとすれば、かえって隙が大きくなる。
そのまま後へと倒れ込み、その勢いを利用して後へと跳ぶ。
堀に面した壁を蹴って閑馬の頭上へ跳び上がると、擦り抜けざまに脳天めがけて刀を振り下ろした。
>275
 スミレは私の蹴り上げたテーブルを後ろに飛んで避けた。
 
 ――窓、出口まで若干、距離がある
 
 これなら、スミレが逃げようとした瞬間に殺せる。
 味気がないのが最大の不満だが……
 
 なら、逃げられない状況を作る。
 その上で楽しめばいい。
 最近、まともな獲物がいなくて、退屈していたところだ。
 
 私はスミレを殺気の篭った視線で牽制する。
 これでスミレの意を外す。
 その間、左手の中に指弾を滑り込ませる。
 そして……
 
――指弾を撃つ
 
 ただし、スミレではなく、天井のいくつかのライトに向けて……
 ライトの破砕音の後、明かりが消え、辺りは闇に……
 そして、客の悲鳴……
 
「――さて、このドサクサに紛れて逃げるか? それとも――」
 
 スミレが逃げるなら事は簡単だ。
 逃げるルートは窓と出口、2つしかない。
 どちらもスミレの気配が動き出した瞬間に飛び込んで、ナイフで斬り付ける。
 その後、嬲り殺す。
 
 動かないなら……
 その時は……
 
「――私を失望させてくれるなよ?」
 
 私は暗闇の中でそう呟いた。
296閑馬永空:02/04/17 21:56
>294 鈴鹿御前 対 閑馬永空 『蟲の唄・鬼途』 
   
 天空より舞い降りる胡蝶。煌く羽は鋭利にして、それ以上に美しい。
 鈴鹿の刀身は、閑馬の頭部を一刀両断する筈であった。
 が――。
 濡れ手ぬぐいをはたく様な音がした。
 閑馬の左肘から先が、紅い飛沫をたなびかせて地に落ちる。
 一剣は確かに、頭上にかざした閑馬の左腕を斬っていた。
 だが、肉と骨を断つ事に力の大半を吸収された斬撃は、その頭蓋を割るに止まったのである。
 
 頭頂より流れる真紅の筋が眼を眩ませる。
 かぁ、と幽かに吼えた。  
 妖光が閃く。右手のみで井上真改蟲殺を薙ぎ返した。
 血染めの視覚の先にいる、麗しき鬼女へ。
 刹那。
 割られ、再生しかけた脳髄が如何なる幻妖な効果を発揮したかは不明だ。
 しかし、閑馬の胸中に先程霞めた女の影が再び出でる。
 驚愕。
 
 憶い出した。
 眼前の角無き鬼にも紛う、あの女は――。
 
 心乱れたその時、火を噴く剣尖もまた揺らいだ。
297緑川淳司:02/04/17 22:05
◆御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司◆
>287 御神苗優 >290 シグモンド
 
『ああ、では俺は一挙両得の方に一票だな、バケモノ』
そう言いつつ男がライフルを構えながら駆け出した淳司の後を追う。
まず始めに、淳司の方を片付けるつもりらしい。
 
と、『手前!!素手の相手になんちゅうモンぶっ放しやがる!!』
という言葉とともに男の後方にいた学生の投げた石が
時速140kmのスピードで空気中を移動し、
見事男のギターケースのロックに命中、破壊した。
ギターケースが開き、盛大に中身をぶちまける。
 
『なにっ!?』
男が壊れたギターケースとぶちまけたその中身に気が向いた瞬間を、
もちろん淳司は見逃さなかった。
進行方向に思い切り飛び、空中で身をひねり男の方に身体を向ける。
そして上着のポケットにいれた石を3つとも取り出すと、男に向かって投げつけた。
 
「イテッ!」
……ここまではカッコ良かったが着地に失敗し、
受身を取れなかった事を付け加えておこう。

298浅上藤乃:02/04/17 22:06
>272
『――がっ!?』


手応えあり――と言った所でしょうか?

あのサラリーマン風の男性の呻き声でそう直感した。

―――そう

私はこの瞬間の為にこうして夜中に校則を無視してまでも
寮にも戻らずにさまよって歩いているのだ。

正直、もう湊啓太のことなんてどうだっていい・・・。
本末転倒だなんてもうとっくの昔に私だって自覚しているのだ。
私が異常者ってことだって・・・もう10年も昔にわかっていた事。

後は―――堕ちる所まで堕ちるだけ


そして、私はゆっくりと歩き出した。

________

霧の中をゆっくり歩き続ける。
そう遠くへは行っていないと思うからそこらへんを探して見る事に
したがなかなか見つからない。
きっとこの濃い霧の所為だろう。

この公園には外出の時に何度か来たことがあるが霧なんて
出るような場所ではないはず・・・?


途端

野犬の唸り声が聞こえた。

私は声のする方を向く。すると目の前には今にも飛びかからん
勢いで重心を低くし、野犬たちが戦闘態勢を取っている。
あきらかに私を敵・・・いや、獲物として見ているようだった。

「そう――あなたも獲物を求めているのね」

そんな野犬たちに自分を照らし合わせて見てみる。
そうだ、私も普通の人間から見ればこの野犬たちと同じ血に餓えた
獣、怪物なんだ。
そんな事を考えてみたらとても悲しくなってきた・・・。

もう、あの学校(いえ)にも戻れないんだ。

どうしてこんな事を考えなくちゃいけないの?
どうして?どうしてなの?
そうだ。この子達よ。この子達がいるからっ!

そして、私は視える物

―全てを凶げた―
299アセルス ◆AseLLUSs :02/04/17 22:22
>285 アセルスVSラルヴァ
 
その一瞬、ほんのわずかだがラルヴァの動きが鈍ったのを感じた。
もっともそれでも、私の剣は彼女の服をかすめるに過ぎなかったが。
 
何かに・・・私の言葉に動揺した?
いままで戦場をくぐって培われてきた私の直感がそう告げる。
 
好機と見て取った私は、そのまま連続で攻撃を続けた。
かわされるのを承知で流れるようにに攻め続ける。
袈裟、逆袈裟、横薙ぎ、斬り上げ、斬りおとし・・・相手の疲弊を誘う為に。
 
・・・そう、殺す気は全くない。
私の狙いは、別のところにあるのだから・・・
300田中:02/04/17 22:27
>298
 
『ギャヒイイイイイイイイイン!』
 
 眼をぎらつかせた野犬たちが悲鳴をあげて、ふたつに割れる。
 肩甲骨からメキメキと割れて、上半身を腰寛骨まで裂け、まるでアジの開きのようになる。
  
 ――この調子で、野犬の群れは瞬く間に肉塊と化した


 ようやく、荒い呼吸が収まり、落ち着いたところで私は木にもたりかかりながら、
 一服入れることにした。 
 
「ちっ―――!」
 
 ライターの火の付きが悪い。
  
 ――かちっ、かちっ、かちっ!
 
 ――ボッ!
 
 ようやく火がついた。
 タバコに火をつけ、口にくわえ、紫煙をふかす。
 
 『JohnPlayerSpecial』、250円という良心的値段で私のお気に入りの一品だ。
 最近、あまり見かけなくなっているのが懸念材料だが……
 
「フゥゥゥッ―――」
 
 落ち着く。
 矢張り、気が動転した時は一服するに――
 
「―――?」
 
 ――その時、咥えていたタバコが不自然に曲がり、捻じ切れ
 
 ――スローモーションのようにタバコが地面に落下
 
 ――朱いタバコの火種が地面に落ちて、自己主張をすると同時に
 
 ――霧の奥から、『アイツ』が姿を現した。
301鈴鹿御前 ◆Y4SUZUKA :02/04/17 22:31
鈴鹿御前 対 閑馬永空 『蟲の唄・鬼途』

>296

壁を蹴り、宙を舞っての斬り払い。
鬼の体術を以て初めて行い得る、人外の剣技。
今まで何体もの鬼を葬ってきた、私の切り札とも言える業だ。

だが、この男はそれにすら反応してみせた。
刀の軌道に左腕を差し入れ、敢えて切断させることによって威力を減らす。
閑馬の頭部を両断する筈だった剣は、それによって頭蓋を僅かに割るに留まった。

着地した私に向かい、閑馬の残った右腕が蟷螂の鎌の如く振るわれた。
無理な体勢からの攻撃による姿勢の崩れ、必殺の一撃を凌がれた驚愕、それらが致命的な隙となる。

―――殺られる!

様々な想いが、脳裏をよぎる。
遠い昔、鬼を率いて人を襲っていた事。
そんな自分を退治すべくやって来たあの男と、剣を交えた事。
その心に触れ、同族を裏切って彼と共に生きる決意をした事。
人間としての生を全うした彼との、永い別れの事。
そして、それから今に至るまでの、遠い旅の事。

―――ああ、これが走馬燈というものか―――

そう思ったその時、閑馬の顔に驚愕の表情が浮かんだ。
胴体を両断するに足る筈だったその剣は、しかし私の腹を切り裂くに留まる。
無論、人ならば致命傷だ。
だが、私は人ではない。鬼を断つ、鬼だ。

彼が私の中に何を見たのかは分からない。
分からないが、そのような事を考える暇もなく、私の体は動いていた。

一閃。刀を握ったままの閑馬の腕が、紅い糸を引いて宙に舞う。
二閃。返す刃が、胴を両断する。
三閃。渾身の突きが心臓を捉え、そのまま背後の老木へと釘付けにする。

その姿は、まるで虫のようで―――私は、知らず涙を流していた。
302閑馬永空:02/04/17 22:58
>301 鈴鹿御前 対 閑馬永空 『蟲の唄・鬼途』

 咳き込んだ。こぼれる血塊が喉元まで垂れる。
 最早肉体の残骸と云っていい姿で磔にされながら、のろのろと想う。
 
 気付かなんだ。この鬼女とやら、あれ程似ておると云うのにな。

 最初に閑馬が妻とした女に。
 同時に、最初に失った女に。
 余りにも多くのものを無くしながら生きる中で、何時しか忘れ果てていたのだろう。
 
 今にして判る。最前儂の足を止めさせたはあの娘の剣気に非ず。
 娘それ自身であったか。

「フ……フ、フ……。鬼にすら……なれん儂は……矢張り虫よな……。
判ってはおったのだ……。判っては、な……。
それでも」

 妻を失い、友を失う血塗れの人生で、自分は何を求めていたのか。
 閑馬にはもう判らない。
 無い筈の両手に、すべらかな感触を感じる。
 前夜に抱いた遊女の腰か、遠い昔に愛でた妻の乳房か。
 白濁しつつある視界に、女の影が映る。
 嘗て共に在った女人か、今斬り合った鬼か。
 閑馬にはもう判別がつかない。
 だが――。
 
 その女に、閑馬は最期の死微笑を向けた。
303浅上藤乃:02/04/17 22:59
「煙草はお体に悪いですよ」


呆然と立ち尽くすその人に一言投げかける。
恐らく、この人はあの野犬たちと私が争っている間に
煙草で一息ついて形勢を立てなおそうと考えていたのだろうけど
そうはいかない。

もっと恐怖を感じてください

もっと痛みを感じてください


そうしなければ―――殺す意味が無い。

そうして私は再び、標的を視る。

そうだ、次は足を凶げてしまおう。

だって、そうすればゆっくり相手の苦しむ顔を見ながら殺せる。
苦しみに歪み、苦しみ、悶える姿が。

ただ殺すだけなら頭を凶げれば済むけれど、それだけじゃつまらないんですよね。

痛いって事は生きているって事なんです。
私も痛みを感じているから他の人にも感じてほしい・・・。

私だけ生きている悦びを感じるのは勿体無いじゃないですか?

だから・・・あなたにもこの苦痛(よろこび)を感じて欲しい。


           凶ガレ


そして―――――私の狩りは佳境に入った。
<遠野志貴vsアルトルージュ&プライミッツマーダ―>
 
 ――極東の地、日本
 
 私はこの地のある街に訪れていた。
 まあ、気紛れに行った日本の旅行の通過点の一つに過ぎなかったのだけど……
 
 ――今、思えば、これがこんな大事になるとは


 人間の街を歩くのはとても楽しい。
 いつも、活気あふれている。
 特に珍しい物はないけれど、面白いと思ったものはとりあえず購入するのが私の日課だ。
  
「―――?」
 
 街中を歩いて途中で妙な視線を感じた。
 振り向く。
 
 変わったことはない。
 気のせいか。
 
 気を取り直して、買い物を続ける。
  
 ある程度、買い物を済ませた後、プライミッツマーダ―の背中に荷物を乗っけて、ホテルへと向かう。


 ホテルの部屋でくつろいでいるとノック。
 何だろうと思って、応対をしにいく。
 
 ドアを開けた。
 
 ――無数の閃光が走った
 
 ――私の身体は17個のパーツに瞬時に分解された
 
 ――痛い、いたい、イタイ
 
 気が狂いそうな程、痛い。
 でも、あまりに痛すぎて狂えない。
 
 そんな私の眼が見たものはナイフを持った蒼い眼をした男だった。
 
 男が機械のような動作でトドメとして私にナイフを突き立てる
 
 ――寸前に、白い影が少年の前に立ちふさがる
 
 プライミッツマーダ―が私を守るべく、部屋の奥から駆けつけたのだ。
 プライミッツマーダ―の金の瞳と男の青い瞳がぶつかりあう。


 永遠(実際には1分足らずだろうけど)と続くかと思われたにらみ合いの後、男は無言で去っていった。
>304
 結局、完全復活には一ヶ月を要した。
 男の攻撃は今まで聞いたことも見たこともないような攻撃で身体を1から再構成しなおす羽目になったのだ。
 しかも、再構成で失った力が大きすぎて、それを取り戻すにもかなりの時間を要した。



 こんな屈辱は初めてだった。
 あの男は必ず引き裂いてやる。
 
 内臓を地面にオブジェとしてばらまき、目玉をくり抜いて、四肢を引きちぎって――
 
 考えるだけでも楽しい。



 男の居場所を捜すのに3日かかった。
 この街の有数の富豪、遠野家とやらの長男らしい。
 
 私は、此処に乗り込んで、雪辱を晴らすことにした。


・ 
 ――満月の夜
 
 私は屋敷の前にたった。
 
 眼を閉じてイメージを練る……
 
 ――イメージは赤
 
 ――創世の時分、全てはこの中から産まれた
 
 ――そして何もかもこの中で終わりを告げることになるだろう
 
 ――『炎』
 
 私の頭上にに半径5メートルはある火球が作り出される。
 
 そして、その火球を屋敷にぶつけた。
 
 たちまちのうちに屋敷が赤いビロードに包まれる。
 
「さあ、でて来なさい。私を愚弄した責任はとってもらうからね?」
 
 私は男が出てくるのを今か今かと待ち構えた。
306遠野志貴 ◆sikiXlKk :02/04/17 23:04
>305 『殺人鬼の贖罪』
<遠野志貴vsアルトルージュ&プライミッツマーダ―>
 
 ――――気がつけば、金色の瞳とにらみ合っていた。

 金色の瞳の持ち主は2メートル強の大きな白い犬。

 わからない――――。
 どうして俺は犬なんかとにらみ合っているんだろう。
 どうして俺は眼鏡を外しているんだろう。

『あ――――』
 すごく間の抜けた、自分の声で我に返った。
 バラバラになった少女の死体を前に自分は立っていて、犬とにらみ合っている。

 眩暈のする頭で必死になって思い出した。
 街で見てしまった少女を追いかけて、ホテルまで来て。
 無理矢理部屋に押し入って、呆気にとられる少女を。


 ――――アルクェイドと同じようにバラバラにした。


 俺がバラバラにした少女は、この犬の主人だったんだろう。
 視線からは敵意を感じる。
 俺はゆっくりと後に下がって、部屋を飛び出した。


 部屋から出た後駆けだして、俺は家を目指した。
 アルクェイドの時と違ったのが、俺は何も吐かなかったことと、帰り着くまでを
覚えていたこと。
 同じだったのが、少女を見て欲情したことと、バラす時は射精しそうなほど
興奮していたこと。

 家に帰って部屋に飛び込み、秋葉も翡翠も琥珀さんも入れずに、俺は部屋で
ふるえ続けた。

307遠野志貴 ◆sikiXlKk :02/04/17 23:06
>306
 
 アルクェイドの時と同じように、次の日の朝にシャワーを浴びて
琥珀さんの朝食を食べると、どうにか行動する気力が出てきた。
自分が「殺してしまった」ことは考えたくもなかったが、ああなるには
必ず理由がある。
 それを突き止める必要があるだろう。

 まず最初にアルクェイドに聞きにいったが、何故か留守だった。
 シエル先輩は電話で捕まえることができた。アルクェイドと同じような
感覚だったので、俺が殺してしまったのはおそらく死徒。大きな犬を連れた
少女のような高位の死徒を知らないかと聞くと、すぐに正体は判明した。

 少女のような死徒はアルトルージュ=ブリュンスタッド。
 二十七祖中第九位の、黒の吸血姫。
 犬はプライミッツマーダーといい、二十七祖中第一位。

 先輩に礼を言い、電話を切る。切る間際に行きますとか言っていたけれど、
来るんだったら俺が敵に回ると釘をさしておいた。
 これはあくまで俺だけの戦いだった。

 まあ、自分でも呆れる。これで二回目だ。
 しかし殺されたアルトルージュ自身はそんなこと関係なく、間違いなく
俺に対して怒っているだろう。殺しに来るんだと思う。
 アルクェイドの時は幸運が重なって生きていられたけど、その幸運を
もう一度期待するのは自分でも愚かしい。
 覚悟を決めるしかないんだろう。


 アルクェイドとは連絡が取れず、シエル先輩には何度も聞かれつつも
拒み続け、だいたい一ヶ月が経った日。

 ――――彼女は、来た。

 屋敷を炎に包むという、これ以上もない派手な事をしながら。
 とりあえず秋葉、翡翠、琥珀さんの三人を裏口から逃がす。
 秋葉は文句を言ったが、どうにか説き伏せた。
 自分でも信じられない嘘をついて――。


 最初は何もせずにアルトルージュの目の前に出ていくつもりだったが、
気が変わった。
 俺以外の人を巻き込んだことが許せない。
 俺は眼鏡を外して西館一階の廊下に向かった。
 いつもの『線』がうっすらと浮かぶ。
 頭痛をあえて無視して走った。
 少ない時間のうちに、手は打っておきたかったから。
308鈴鹿御前 ◆Y4SUZUKA :02/04/17 23:30
鈴鹿御前 対 閑馬永空 『蟲の唄・鬼途』

>302

深川に程近い、小さな寺。
その寺に、私は彼の供養を頼むことにした。
閑馬永空と名乗った、自らを虫と呼んだあの男の。

何故だかは分からない。
全てを失い、ただ剣に生きるのみだった、あの男の境遇に同情したからだろうか。
それとも、彼が最期に浮かべた微笑が、私がかつて愛した男のそれに、不思議と重なって見えたからだろうか。

ただ、これだけは確かに言える。
虫は、散り際に微笑んだりはしない、と。


―――願わくは、その魂の安らかならんことを。
309ラルヴァ ◆LARVAIdY :02/04/17 23:30
アセルスVSラルヴァ
 
>299
 
少女の動きは素早い。
私とて負ける気はないが、ナイフと剣の間合いの差もあるが
かつて体験した事がない程に洗練された剣術だった。
 
どんどん追い詰められていくが、何か違和感を感じる。
吸血鬼がよく行う、獲物を嬲る行為とも微妙に違う、何かの意図がある行動に思える。
 
そんな考え事をしていたせいだろうか?
私はじりじりと追い詰められていく。
 
思い当たる事は一つある。
少女が、カミーラから聞いて私の身体の事を知っているなら、あせる必要はないのだ。
私の渇きが極限まで達し、理性をなくした所で心臓を一突きにすればいいのだから。
 
殲鬼化が解除された瞬間を狙われても、あっさりと仕留められてしまうだろう。
―――その時は人として死ねるのがせめてもの救いか。
 
病院の警備がどういう状況なのかわからない今、銃は使いたくない。
私は一呼吸ごとに削れていく理性の中で、必死に頭脳を巡らせ続けた。
310閑馬永空:02/04/17 23:38
鈴鹿殿と儂の太刀合い、その記録だ。
 
鈴鹿御前 対 閑馬永空 『蟲の唄・鬼途』
 
>264 >265 >266 >270 >271 >274 >277 >278 >280 >284 
>288 >289 >291 >292 >293 >294 >296 >301 >302 >308
 
鈴鹿殿には千の感謝を。
“修行者”グレン(M)vs“殺人貴”遠野志貴〜魔剣vs魔眼〜導入

午前3時――逢魔が時、人と魔が邂逅する時間、
そのさびれ果てた港に、マントを羽織った白皙の美丈夫が寂然とたたずんでいた。

かつて北洋漁業はなやかりしころ、この港は多くの漁船で賑わい、
大漁のときなど港の酒場では朝まで男たちの笑いと女たちの嬌声が響いていた。

――全ては過去だ。

乱獲の末に漁獲高は激減し、今、港につながれているのは潮風に朽ちて
錆びついた船がばかりだ。

他人が見れば、こんな夜、なぜこんな寂れた場所にいるのかと疑問を
抱くだろう。

しかし男の顔を一目見て、その赤い瞳と唇から突き出た乱杭歯をみとめれば、
人は戦慄とともに納得するだろう、ここは夜族にはふさわしい場所だと。
その足元には、すでに一人の少女が首の傷から血を流して倒れている。

そのとき、月光は倉庫の陰から現れた二人の人物を照らし出した。
夜はこの港にあと二人の賓客を用意したのである。

一人は、今降り注ぐ月光に目鼻立ちを与えたかのような玲瓏たる
美貌と、造形の神がその情熱を一心に注ぎ込んだかのような肢体を
持つ純白の美姫。

いま一人は、そのとなりに影のごとくよりそう、澄んだ瞳に深いまなざしを
たたえた、少年と青年の狭間にいるような、見方によってはひどく不安定な
印象を受ける青年。

今まで万を越える化物どもを地獄に送ってきた二人を前に、しかし
男は悠然と名乗りをあげた。

「お初にお目にかかる、白の姫君とその従者よ。
 俺の名はグレン、“修行者”だ。俺が死徒となったのも、ひとえに
 力を追い求めるため。

 その力、お前たちでためさせてもらう」

>307
 屋敷が赤く染まる。
 次第にその原型を失っていく屋敷――
 
 でも、遠野志貴が姿を現さない。
 
「往生際が悪いわね。なら、私から行くわ、覚悟しなさい、遠野志貴」
 
 崩壊を始める屋敷に私は足を踏み入れた。



 そして、遠野志貴はいた。
 ロビーの階段を上がったところに……
 
 金色の眼で遠野志貴を睨みつけながら、挨拶をする。
 
「ようやく会えたね、遠野志貴。この前のお礼に来たんだけど、どう? 気に入ってくれたかな?」
313『殺人貴』 ◆KILLER7E :02/04/18 00:01
>311 『殺人貴』遠野志貴 vs “修行者”グレン(M)〜『魔剣』 vs 『魔眼』〜導入


―――堕ちた真祖の殲滅。
     そして。
     その眷属たる死徒の根絶―――


それが『真祖の姫』たるアルクェイド・ブリュンスタッドの生まれてきた意味。
ならば、その使命を全うすべく片腕となり、或いは『武器』となり常に付き従い
死徒を狩るのは、アルクェイドを『守り抜く』と誓った遠野志貴の全てである。

死徒を発見するのは、容易な事ではない。
ヤツ等は、常に自分の存在を隠そうとする。
―――まあ、偶には自己顕示欲の塊みたいなヤツも、居ないではないが。

大抵は風の噂を聞き、それらしい痕跡を探し、だがその殆んどが無駄足と
なっていた。
だが、二人で居られるならば、そこに何の苦労があろうか………。



その港に来たのも、単なる風聞であった。
特に目新しい事は無い、いつもの噂話―――だと思っていた。


     その場所に、至る迄は。


―――――目の前に居るのは、まごうかたなき『死徒』。
ソイツは臆する風も無く、軽い自己紹介をする。
…だが、アルクェイドも遠野志貴も、そんなコトには頓着はしなかった。
所詮は数刻後には消される存在。
ならば名前なぞ、記憶に止めるまでもない―――

遠野志貴は軽く握っていた七つ夜――小振りの飛び出しナイフの刃を
パチン、と露出させ、戦闘体勢をとる。
だが…。

「いいわ、志貴。この前は志貴がトドメを刺したでしょう 、今回は、私の出番。ね?」

一拍置いてアルクェイドが男――グレンと名乗ったか?――に向けて『飛ぶ』!
そう、滑空したとしか思えない勢い、速度で、グレンへと切迫するアルクェイド。

遠野志貴は、これで終わりか、と思いつつも、体勢だけは保持したままだった。
314アセルス ◆AseLLUSs :02/04/18 00:12
>309 アセルスVSラルヴァ
 
反撃にも出られず、私の剣に追い詰められていくラルヴァ。
そしてとうとう壁際まで追い詰め・・・そこで私は、剣を引いた。
 
「・・・どうした、お前の実力はその程度なのか? カミーラを追い詰めたはずだろう?
 お前が携えている銃はただの飾りか?
 ―――何故、それを使わない」
 
明らかに、ラルヴァは銃を使うのをためらっている。挑発にも乗る気配がない。
流れ弾が人間に当たるのを恐れてるのか?
ふん・・・まだ人間の理性が残ってるというわけか。
―――ならば。
 
私はラルヴァを警戒しつつ、間合いを離していった。
そして・・・
「・・・そこの君、こっちへおいで・・・」
目に付いた少女を呼び寄せる。
潤んだ目をして、その少女が近寄ってくる。
 
クク・・・哀れな娘だ。これからどうなるかも知らずに私にすがり寄ってくる・・・
思わず笑みを浮かべてしまいながら、私は・・・
 
 
その少女の、首をはねた。
 
首は、ラルヴァのほうへ飛んでいく。
朱い朱い血を撒き散らせながら・・・
315御神苗優:02/04/18 00:14
はっきり言って迷惑だ!〜御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司  
>290 シグ >297 緑川
 
俺の投げた石はヤツには当たりはしなかった。
ギターケースに阻まれた。
畜生、球道君よりも速い速球と正確なコントロールには自信あったのに! 
だが、怪我の功名、というやつかな? 
ギターケースのロックが外れ、中身がどかどかと地面に放り出される。
その中に俺は煙幕手榴弾と、俺も愛用してるSAUERが混じっていた。 
 
・・・・・・ヤツは眼鏡の兄さんに気が向いてる・・・・・・
チャーンス!! 
俺は飛ぶようにして間合いを詰めると、
手榴弾と拳銃をつかみ、手榴弾のピンを抜く。
そしてそのままその辺に投げた。
 
一瞬の間の後に、そこら中に煙幕が立ち上る。 
さぁ、今度はこっちが狩り出す番だぜ、黒コートの兄ちゃんよぉ! 
 
316遠野志貴 ◆sikiXlKk :02/04/18 00:26
>312 『殺人鬼の贖罪』
<遠野志貴vsアルトルージュ&プライミッツマーダ―>
 
 西館一階の廊下で「七つ夜」のナイフを使って床の『線』を切る。
 少々手間取ったが、どうにか出来た。

 だんだんと屋敷に中の気温が上がってきているみたいだった。
 つまりタイムリミットが近付いてきているという事。
 焼け死にたくはないな、と思いつつロビーに向かって走った。

 ロビーには火が回り始めていたが、どうにか通れる。
 ただここは吹き抜けで屋根が一枚だから、いつ焼け落ちてきても
おかしくはない。
 二十七祖を前にすると小さくなってしまう恐怖と葛藤しつつ、階段を上る。

 その時アルトルージュとプライミッツマーダーが屋敷に悠然と入ってきた。
 炎など意に介していない。

『ようやく会えたね、遠野志貴。この前のお礼に来たんだけど、どう? 気に入ってくれたかな?』

 ……なんというか。
 全く違うんだけど、アルクェイドを思い出した。
 だから、自然と返答もそういうものになる。

「このばかおんな! 俺だけ狙えばいいものを、こんな事するんじゃない!」

 そう叫んで、炎に包まれつつある西館二階の廊下を目指して走り出した。

 ――上手くプライミッツマーダーを引き離せるだろうか。
317田中:02/04/18 00:28
>303
「ぐう――――!」
 
 少女の呟きとともに、ボキッと私の右足が曲がった。
 激痛に見舞われながら、私はガクリと膝をつく。
 
 何が起こった?
 全く持って理解できない。
 ただ、理解できるのは一つ……
 
 ――このままでは殺されるということ
 
 私は名も無い田中という吸血鬼だが、流石に死にたくは無い。
 
 どうする?
 生き残る為の手を考える。
 
 少女は今すぐ、私を殺す気はないようだ。
 
 ……なら、チャンスはある。
 
「――――」
 
 自由が利く方の手で土をこっそり掬う。
 そして――
 
 少女の顔に向かって、土を投げつけた。
 
 少女がひるんだ隙に左足で霧の向こうに飛ぶ。
 数メートルの跳躍を何度も繰り返して、少女の影は見えなくなった。



 眷属の召還は時間稼ぎにしかならない。
 なら……
 
 適当の枝に私の背広を引っ掛ける。
 この濃霧の中ではヒトと誤解してもおかしくない。
 
 そして、私自身は近くの木に登った。
 片手・片足で必死にせかせかと登る。
 何しろ、命がかかっている。
 自分でも信じられない速度で木の上に登った。
 
 作戦としては単純だ。
 少女が背広を攻撃した隙に木から飛び降りて、一撃を見舞う。
 それだけだ。
 今の機動性のなさを物理法則でカバーする。
 
 私は息を潜めて、時を待った。
>313 『殺人貴』遠野志貴 vs “修行者”グレン(M)〜『魔剣』 vs 『魔眼』〜

グレンの名乗りなど意に介さず、純白の美姫――アルクェイド・ブリュンスタッドは
人間には、否、並の化物にすら視認できぬ猛スピードでグレンに向け突撃する。

美姫は月の女神と美の女神の寵愛のほかに、軍神の寵愛をも受けているのであった。

自らに迫る白き死に、グレンはなすすべなくたたずんでいるかに見えた。
しかし突然、その背後の海から凄まじい水流が噴出し、アルクェイドを直撃した。

いかに白き姫君とて、ミサイルに匹敵する破壊力を持つ高水圧を受けては
無傷ではいられない。

刹那、彼女の体はバラバラに四散した。

呆然とする彼女の従者――殺人貴に、グレンは何事もなかったかのように
声をかけた。

「かつてこの地を支配していた死徒の超兵器――“水大砲”(ウォーター・キャノン)
 だ。
 俺が戦ってみたいのはお前の方でな、邪魔者には一時退場願った」

(アルクェイド・ブリュンスタッド 一時戦闘不能)
 
319浅上藤乃:02/04/18 00:30
>317
そして私は足を凶げた。
これでもうこの人は動けない。


だけど―――気に食わない。

だってこの人・・・恐怖はしているけど絶望していない。
まだ、何かあるの?
だってもう手も足も使い物にならないのに。

ギリ

何処から渇き出てくる悔しさで唇を噛む。
だめだ。もう殺してしまおう。

そうじゃなきゃ――――

『―――』

―――っ!?

そんな事を考えている内に顔に土を掛けられた。
なんだかとても不愉快だ。どうして素直に殺されてくれないの?
人を殺す事くらい私の思った通りにいってくれてもいいのに・・・。
どうして皆、私の邪魔ばかりするの?

いつも・・・私だけが!!

そしてもう痛め付けるのを止め、殺す事に専念する。
その人の体の中心に回転軸を合わせ。
今出せる全ての力をその人の体の中心へ。


凶がって凶がって凶がって凶がって凶がって―――もう凶がってしまえっ!


そして、目の前の邪魔な物は消えた。


―――かに思えた。

しかし、違ったのだ。
この濃い霧の所為で視野が悪い。
どうやら背広を囮に肝心の『中身』はどこかへと逃げてしまった。

――なんで?
どうして?なんでなの?もういやっ!!

どうしてだろう?

私は――――泣き出してしまった。

――自分の愚かさをその身で感じて。
320パイフウ  ◆BAIFU.8. :02/04/18 00:37
(http://cocoa.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1017941718/)
>36訂正
>3セラス・ヴィクトリアvsパイフウ
 
 さすがは吸血鬼。
 自分が飛来し、着地するまでのわずかな感に
 こちらに気づき攻撃―――――それも、その巨大な砲を横凪に払うという方法で。
 
 空中で受けた攻撃を回避する方法はない。
 パイフウはさながら紙のように宙を舞った。壁面に叩き付けられる。
 受け身を取ることが出来たのが唯一の救いだ。
 
 辺境で仕事をしてきた以上、
 ありとあらゆる強化された、もしくは特異体質、もしくはただ鍛え抜かれた
 人間を見てきたが、彼女はその中でも相当手ごわい部類に類するだろう。
 身体能力のみにおいては。
 
 肉体を強化することなら、ただ鍛えるだけではなくサイボーグ化という手段もある。
 身体の一部、場合によっては殆どを機械化することによって人間とは
 比べ物にならないほどの単体戦闘能力を手にすることが出来る。
 或いは、生体強化サイボーグ。遺伝子レベルの強化処置を施し、
 生物的に身体を強化する。戦闘時に物理的限界の生じる機械サイボーグよりも
 それはある意味ではより恐ろしい存在だ。”生物”である以上、身体限界はない。
 本人の強固な意志次第で、いくらでも強くなる可能性を秘めている。
 
 ―――――だが、そのどれもを無条件に殺すことが出来る
        と言う確信をパイフウは持っていた。
 
 どれだけ身体を強化しても、それは恐ろしい敵にはなりえない。
 気功。これの存在を感知しない相手ならば恐れるに足らない。
 もっとも、パイフウに”恐れ”などという感情があるかどうかはわからないが。
 
 たとえどれだけ追い詰められたとしても、その物鬱げな黒瞳は変わらない。
 血と埃混じりの唾を吐き捨て、腹腔に気を溜める。
 パイフウの手からウェポンシステムが落ちた。いや、落とした。
 
 彼女までの距離は十数歩。お互いの身体能力なら一瞬で詰められるだろう。
 
 顎を引き、手指を軽く開いた構え。
 それは、やはりなおも戦闘を、しかも素拳で行うという事を意味していた。
321ラルヴァ ◆LARVAIdY :02/04/18 00:45
アセルスVSラルヴァ
 
>314
 
「そっちに行っては駄目!!」
 
魅了されているその少女には、私の声は届かなかった。
放出されるアドレナリンのせいだろうか? その光景はひどくゆっくりしたものに見えている。
私の目の前に少女の首が転がって来た。
 
虚ろな表情で私を見上げているまだ幼い顔。
悲しい? 可哀想? こんな事をしたあの少女が許せない?
私の心に起きあがる感情はどれも違う。
どんなに否定しても否定しきれない感情。
 
切断面からしたたり落ちる、暖かい血から目が離せない。
ゆっくりと、震える唇を近づけ―――
 
 
……かろうじて、振り払う事ができた。
さっき攻め立てられていた時よりも呼吸が荒い。
 
 
もう理性が保たない。そして、もう戻れないかもしれない。
絶望に陥りそうな心を奮い立たせ、スーパーレッドホーク…愛用のリボルバーを抜く。
時間がない。一気に攻めなくては
狭い廊下に、.454カスール弾が放たれる轟音が響いた。
>316

『このばかおんな! 俺だけ狙えばいいものを、こんな事するんじゃない!』
 
 遠野志貴はそう叫んだ後、階段を駆け上がって、2階の廊下へと消えていった。
 
 そう……
 私を解体した挙句に馬鹿扱いか。
 
「クスクスクス……、アハハハ!」

 ああ、愉快。
 まあ、これくらい常軌を逸してないと、初対面のモノを17分割にはできないか。
 
 プライミッツマーダ―とともに2階の廊下へ駆け上がる。
 
 ――遠野志貴の姿はない。
 
「遠野志貴、聞いてるかな? どうせ、花火を打ち上げるなら派手な方がいいでしょ? それと同じ事よ」
 
 そう大声で叫びつつ、私はプライミッツマーダ―を先導させ、廊下を悠然と歩く。
 
「で、いつまで鬼ごっこを続ける気なのかな? 私、いつでもあなたを殺せるんだけど?」
323『殺人貴』 ◆KILLER7E :02/04/18 00:57
>318 『殺人貴』遠野志貴 vs “修行者”グレン(M)〜『魔剣』 vs 『魔眼』〜

「な―――――」

暫しの忘我。
だって、そうだろう?
アルクェイドが向かった男――グレンと呼ぼうか――は、何もしなかった。
ただ、呆然と立ち竦んでいるだけだったのに。

何らかの抵抗をするとは思っていた。
だからこそ、遠野志貴はその隙を逃すまいと、構えていた筈なのに―――



   アルクェイドが、
           弾けた。



四肢を、散らして。
断面から、朱い血を撒き散らして。

その間、俺は何をしていた?
ただ、見ているだけ―――――なんて、無様。
無様すぎて、今にも自分の死点を突きたくなってくる。

カカシのように立ち竦んでいた俺を倒そうと思えばその時間は十分にあった
筈なのに、グレンはただ遠野志貴に声を掛けるのみ。

『―――俺が戦ってみたいのはお前の方でな、邪魔者には一時退場願った』

―――邪魔者?
今、キサマはアルクェイドを邪魔者、と言ったのか?

ドクン、と心臓が激しく高鳴る。
ビキッ、と身体中の筋肉が緊張する。
ブチブチッ、と何処かの血管の切れる音が鼓膜の奥で響く。

俺の相手がしたいのなら、いつだって付き合ってやるってのに―――
その為にアルクェイドをバラしたのは許せない、許すべきではない、許さずに置くものかっ!
アルクェイドはいずれ復活するだろう。
だが、それを待つまでも無く、この俺がキサマの身体をアルクェイドが分断されたよりも
多くのパーツに斬り別けて、その生命を以って償わせてやる!!


―――そして遠野志貴は、夜闇を吹きぬける風となった。
324田中:02/04/18 00:58
>319
 かかった!
 私は確信した。
 
 ――これで終わりだ。
 
 私は少女へ向けて、ただ落下する。
 
 ――右手の鉤爪を突き出したまま
 
 ――顔に吸血鬼としての獰猛な笑みを浮かべて 
 
 あとは少女の背中をこれで串刺しにして終わる。
 
 少女の姿が次第に大きくなる。
 
 そして――
325浅上藤乃:02/04/18 00:59
>324

―――ドゥン!!


上から人が落下し、そして地面へ叩き付けられる音。
私はドジだから良くわかる。人が高いところから落ちるとこんな音がするのだ。

―――よくよく考えて見ると

私は泣き出してしまった時、ふいに顔を両手で塞ぎ、しゃがみ込んでしまった。
普通ならこうこういった殺し合いの場では命取りになる愚行だけれど
どうやら運がいいみたい。
上からあの人が私を狙って攻撃をして来ていたみたいなのだ。

「ふぅ・・・」

一つため息。

「どうやら―――まだ私は死ねないみたいなんです。」

目の前に倒れている獲物。添え膳食わぬはなんとやら。

もう――逃さない。
私は最後にその目の前の獲物の体を凝視する。

                         

                       ギシギシギシ

筋肉と骨、そして臓器や血管が軋む音。
その体中が苦しみを訴え悲鳴を上げている。
タスケテ、#・シンデシマウ。”モウダメダ@|

どこまでもどこまでも
体が千切れるまでその体を凝視する。


                      ビギビギビギビギ

そうそう―――体がもう限界に近いとこんな悲鳴(おと)がするんだったんだよね。
もう何度も聞いてるからわかってきた。ほとんどの器官が死んでしまい
後は生きている脳が想像を絶する苦痛を味わう。

そうなの―――生きることって


     痛い事なんです。


そして、緊張の糸がプツンと切れたように
その人の体も凶がってしまいました。
326シグモンド ◆yVkoSHq2 :02/04/18 01:07
◆御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司◆
>297緑川 >315御神苗
 
ばら撒かれた中身
一瞬の隙、それをバケモノに付けいれられた。
三つほどの投石をかましてきた。
二つまでは避けた。が、三つ目が右瞼にぶち当たる。
 
反射的にバケモノの方を見る。
そちらを向いたと同時に火竜両儀筒で撃つ体制に入っていたが、
御神苗が跳躍し煙幕弾のピンを抜いた。
 
―――最悪だ。
 
緊張を押し殺しつつ、両儀筒でバケモノを撃つ。
若干ズレ、奴の衣服を焦がす程度だった。
 
そして、あたりは煙幕に包まれた。
 
奴は―――何処だ?
この煙幕では目を開けていても無駄だ。
 
目を閉じつつ、接近してくる気配を感じる。
どっちだ?
どちらでも問題ないが…バケモノの方だと少し厄介だ。
 
そして咄嗟に――――両儀筒を動かした。
 
(トリップ判定 大文字なら御神苗、小文字なら緑川。数字、記号は完全にハズレ)
>320 vsパイフウ 
 
(マッ、マッ、マスター!! ……今まで何やってたんデスかぁ!?)

心と心の会話。 
血の契約で繋がりしものだけに可能な“念話”。
今、その超能力で、わたしは最強の師と意思の疎通を図っていた。

――――ほぅ、この状態で待ちの構えか。結構な闘争者のようだ。 
    だが、人間では無いな。狗の眼だ。婦警、負けてくれるなよ。

(無視デスか……) 
 
心の中で嘆息する。
だが、言葉で放つことは許されない。わたしが言うべきことはただ一つ……。 
 
「 ――――YAH!! 」

ライフルは先の爆発の時に捨ててしまった。 
武装はこの手に握られた巨大な鉄塊……ハルコンネンだた一つ。

だが、この間合いで次弾を装填し、撃つことが間に合うであろうか? 
(無理デスね……)
同時、ハルコンネンを槍投げの要領で投擲。 
しなやかに腕が伸び、振りかぶってから投擲までの流れは、オリンピック選手など目では無い。 
だが、それよりも素晴らしいと感じられるのは……。 
 
猛スピードで飛ぶ“砲”よりも速く疾走する自分。
一直線に飛んでいくそれに追いつき――――追い越す。

侵入者の姿が視界一杯に広がると同時に……神速で左拳を突き出した。 
大きく拳を引き、腰の回転を加えて突き出す。 
それにこの加速もプラスすると、まさにバズーカー砲のような破壊力となるだろう。 
そして、その背後から続く投擲されたハルコンネン。
完璧だ。……そうわたしは確信した。 
 
師と会話ができるようになってから、何かが変わったような気がする。 
心は高ぶり、身体は熱い。酷く興奮している。 
しかし――――その中で、冷静のわたしもいる。そう、氷のように、相手を見据えるわたしも……。
328アセルス ◆AseLLUSs :02/04/18 01:11
>321 アセルスVSラルヴァ
 
吸血衝動を振り払い、ラルヴァは銃を抜き発砲してきた。
聖別こそされてないだろうが、明らかに大口径の銃の撃発音が何発も響き渡る。
 
だが・・・能力そのものは人間のそれより上とはいえ、理性を失いかけている彼女に精密射撃など出来ようはずもない。
楽に・・・とは言わないまでも、その銃撃を避けるのは難しくない。
逆にまわりの人間たちが血の花と化していく。
 
一発ほど腕をかすめ、妖魔特有の蒼い血が流れ出すが・・・許容範囲。
むしろこの状況を愉しむ気持ちが強くて、そんなのは全く気にならない。
 
「ははは! そら、もっと撃て!
 お前が撃てば撃つほど血が流れる・・・お前がいま一番欲しがってる物が!」
 
叫びながら、私は廊下を駆け出した。
もっと・・・人間のいるところへ!
329田中:02/04/18 01:16
>325
 どういう訳か少女はしゃがみこんでいた。
 そしてそれが命運を分けた。
 
 狙いがそれ、私の身体は地面に激突した。
 
 そして、少女が私を凝視する。
 
「ぐあ嗚呼アア……!?」
 
 私の身体がギチギチと悲鳴をあげ、ねじけ飛んだ。
 それで、私、田中は完全に終わった。
 
 ――暗転していく意識の中で
 
 ――あの時、『ピース・インターナショナル』を吸っておけばよかった
 
 ――とふと、思った
330七夜志貴 ◆sikiXlKk :02/04/18 01:27
>322 『殺人鬼の贖罪』
<遠野志貴vsアルトルージュ&プライミッツマーダ―>
 
 二階の廊下に駆け込んで、頭のスウィッチを入れた。
 脳が白熱化して、頭痛が一段と酷くなる。
 うっすらと見えていた『線』だけでなく、今度は『点』まで浮かび上がった。
 その中からある『点』の位置を確認して、その近くの部屋に飛び込む。

 だいぶ炎が回ってきている。
 熱い。
 吸い込む息ですら焼けているようだ。
 体中から汗が流れ出る。
 だけど、まだやることがある。
 確実に仕留めなくてはならない。

 ――――殺してやる。


 だんだんと気配が近付いてくる。二つ。
 息を殺す。
 どちらでもいい。
 分断しなければ勝ち目はない。

 ――あと三歩。

『遠野志貴、聞いてるかな? どうせ、花火を打ち上げるなら派手な方がいいでしょ? それと同じ事よ』

 汗が気持ち悪い。

 ――あと二歩。

『で、いつまで鬼ごっこを続ける気なのかな? 私、いつでもあなたを殺せるんだけど?』

 時間が止まっているかのような。

 ――あと一歩。

 早くはやくハヤク。


 ……来た。


 その瞬間、俺は壁の『線』にナイフを走らせ、大きく切り取った。
 間髪入れずに体当たりをして、壁の向こう側の相手に叩き付ける。
 同時に俺も廊下に躍り出た。


 ――――目の前には呆気にとられるアルトルージュ。


 俺は一瞬だけ笑みを浮かべると、先ほど確認した『点』に突きを入れた。

 この下には俺の仕掛けた――――。
331浅上藤乃:02/04/18 01:33
>329
壊れた玩具がそこに転がっている。

でも、どうして私はここにいるんだろう?
ちょっとそんな疑問が沸いて来た。

「なんだったかしら?」

しばらく考えていると湊啓太を探している事に気が付いた。
でもどうして?

――そうだ。私、復讐をしなきゃいけない。

でもどうしてここへ来たんでしょう?

――啓太さんの知り合いがここに連れてきたから。

じゃあ―――あの人を殺したのは何故?

――それは

   
       私が愉しいから?


そして、私は再びさまよい歩く。
心にも無い復讐のため。心では望んでいる殺戮の為に。


―――コンバンワ 

―――――コンヤハシズカナヨルデスネ
332ラルヴァ ◆LARVAIdY :02/04/18 01:42
アセルスVSラルヴァ
 
>328
 
手元が定まらない。
少女の動きが速い事もあるが、それ以上に私自身の衝動が照準の邪魔をする。
 
また、無関係な人に当ててしまった。
致命傷ではないと思うが、今の女性は一生歩く事ができないだろう。
 
…ダカラナニ? ソンナコトヨリ、エモノヲシトメナイト。
 
―――ああ、そうよね。誰を撃つのだったかしら?
 
熱に浮かされたように、そして酔ったように歩き始める。
血の臭いが心地よい。
だが、ここで血を吸うよりも私を馬鹿にしたあの女を引き裂いて血を吸ってやろう。
カミーラと同じ目に遭わせてやるのもいいかもしれない。
 
私は少女の後を追い掛け始めた。 
獣を追う狩人のように? 否、血に飢えた獣のように。
333田中:02/04/18 01:51
田中vs浅上藤乃のレス番纏めだ。
矢張り、タバコの銘柄が決めてだったか。
田中だからな。

>261>262>263>267>268>272>298>300>303>317
>319>324>325>329>331
>323 殺人貴』遠野志貴 vs “修行者”グレン(M)〜『魔剣』 vs 『魔眼』〜

志貴は魔風のごとき速さでグレンへの間合いを詰めた。
先ほどまでのもろく不安定な印象はもうどこにもない。

すでにその瞳は
極上のサファイア。
果てしない蒼穹。
南海の海。
それらをすべて溶かし込んだような青に輝いている。

「そうだ、その目だ。その魔眼と我が魔剣“ローレライ”――
 どちらが勝つ?」

迫る志貴からジャンプして距離をとりつつ、
グレンはいままでの気だるげな表情とは打って変わった獰猛な笑みを
浮かべた。自らの命をチップとする賭けの魔力にとりつかれた者特有
の笑みだ。

敵の存在が明確でない時、彼らの精神は虚無へと沈む。
しかし、一旦敵を見つければ、彼らは喜び勇んで死地に向かう。

闇はときおり、こんな連中を生む。

迫る志貴の足元に向け、グレンは腰の長剣を鞘込めに投げつけた。
しかし、幼少から暗殺術を叩きこまれた志貴には、この程度の奇計は予想済み。
大きく横に跳んで長剣をかわしたのち、再突撃の姿勢に入る。

長剣を失ったというのに、グレンは慌てもせずゆっくりと短剣を抜いた。

「これでリーチの差はなくなったな、もう一度こい」
>330
「えっ―――!?」
 
 壁が音もなく飛んできて、プライミッツマーダ―に激突。
 
 影が飛び込んで来て、廊下をナイフで一突き。
 
 廊下の床が崩れる。
 
「ちっ――」
 
 私は咄嗟に後ろへと飛ぶ。
 けど、プライミッツマーダ―は壁が激突した分、初動が遅れたようだ。
 そのまま、廊下に出来た穴に落下していった。
 
 10メートルは離れた距離で遠野志貴と睨みあう。
 
「やってくれるじゃない、遠野志貴? だけど、もう、ここまでよ」
 
 流石に私を一度、解体しただけはある。
 だけど、こんな人間に舐められるわけにはいかない。
 
「―――死ね」
 
 そのまま、遠野志貴に向けて空想具現化を開始する。
  
 ――イメージは『刃』
 
 ――有史以来、数多の血を吸ってきたであろう鉄塊
 
 それらが私の周囲に何本も生み出され、遠野志貴へと飛んでいく。
 
「無残に串刺ししてあげる――!」
336パイフウ  ◆BAIFU.8. :02/04/18 01:54
>327セラス・ヴィクトリアvsパイフウ
 
 一瞬の間の後、彼女の気配が変わった。
 明らかに先ほどまでとは違う鬼迫がその動きから伝わってくる。
 次に彼女の取った行動は、パイフウの理解を超えるほどの動きだった。
 
 ――――――――――速い!
 
 条件反射のような自分の反応に頼らざるをえない。
 もし次を考えて行動していたら、間違いなく死んでいた。
 体が勝手に腹腔に溜めた気を全て即座に放射する。
 
 弾ける音無き音。風無き風。 
 迫り来る死の一撃を気を叩きつける事によって受け止める。
 気によって創られた一瞬の壁がパイフウを守った。と、
 そのまま身を反らせる。
 パイフウの身体を掠め、通り抜けてゆくハルコンネンの砲身。
 それをほんの数ミリ単位の差で危うく回避する。
 ブリッジの体勢から、足を跳ね上げ跳躍するようにして間合いを再び取る。
 
 息が荒い。
 これほどまでに自分を疲労させる理由はなんだろうか。
 真っ白な思考にぼんやりと浮かぶ。
 
 そう、彼女は――――――――セラス・ヴィクトリアは強かった。
 
 一瞬にして自らの立場がぐらつく。身が危うくなる。
 だがパイフウは退かない。その瞳が揺れ動く事はない。
 
 髪を右手でかきあげると、いきなりの猛連撃。
 一瞬にして間合いは詰められていた。
 突き。貫手。中段から上段。下段。回し蹴り。
 これだけの攻撃ならば何人を殺すことが出来るだろう。
 
 その連打をことごとく回避する彼女。連打を放ち続けるパイフウ。
 
 パイフウは常に冷やかな眼で周りを見る。
 その内は虚無に近い。
 何かを殺すとき。
 多分――――――――殺されるときもきっと。
337緑川淳司 ◆CRSxoxJM :02/04/18 02:04
◆御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司◆
>315 御神苗優 >326 シグモンド
(>326判定……緑川淳司に命中)
 
突然周囲が煙に包まれる。
しかしロングコートの男は冷静に淳司にライフルを向け、引き金を引く。
その、死を運ぶ弾丸を淳司は地面から跳ね起きつつ何とか避けた。
……上着のGジャンの脇腹のあたりが焦げはしたが。
 
しかし、周りを煙幕に囲まれたこの状況を有利だと思った淳司は
先ほどまで男が居たと思われるところに近づく。
生体エネルギーを吸収し、気絶させるつもりなのだ。
 
……がしかし男が勘で振り回したライフルの銃床が淳司のあごを見事に跳ね上げる。
脳に来る余りの衝撃に意識が朦朧とする。
その中で何とか気力を振り絞り、淳司は男の手首を一瞬つかみエネルギーを吸収する。
それで限界だった。
 
隣の男が体勢を崩すのを感じながら、
淳司の意識も闇に包まれていき彼も地面に倒れ落ちた。
338アセルス ◆AseLLUSs :02/04/18 02:08
>332 アセルスVSラルヴァ
 
ラルヴァが追いかけてくるのを感じ、ちらりと後ろを窺ってみる。
 
―――確かに追いかけてきていた。
愉しそうな、そして獰猛な貌をして。
 
それを見た私のほうも口元が歪む。
全く・・・愉しくて仕方がない。
 
向こうから警備員が駆けて来るのを見て、とっさに私は妖魔の剣を消す。
返り血を浴びた私と、その後ろからやってくるラルヴァを見て一瞬戸惑い、私に声をかけてきた。
 
「ああ、警備員さん! あの、実は・・・」
私は、その警備員に助けを求めるフリをし・・・不意に、ラルヴァに向かって蹴りつけた。
 
「代わりに相手してよ・・・警備員さん。
 ―――血に飢えた彼女の相手をね!」
>336 vsパイフウ
 
なぜか、自然と笑みが浮き出てしまう。
愉しい、とすら思ってしまう。

なんだろう、この熱さは? 血がたぎっている……。
血が、身体中の血という血が、踊り狂う。 
殺せ、コロセ、とわたしに怒鳴る。

          アツイ…… 
 
もはや、それしか感じられない。

侵入者の攻撃を、全てその身で受ける。 
痛い、泣くほどに痛い。――だけど、ドウシテワタシハワラッテイルノ?

腹に突き刺さった貫手が。
内蔵を抉るようにかき乱す拳が。
首の骨を粉砕せんとする蹴りが。
――――わたしの血を熱くさせていく。

師は何も言わない。沈黙をひたすら守っている。
だけど――――わたしを見守るその表情は至極簡単に想像できる。

(さぞ、愉しそうに嗤っているのでしょうネ……)

師が常時居座る狂気の領地。 
わたしも、そこに到達できるような気がした……。 
340『殺人貴』 ◆KILLER7E :02/04/18 02:29
>334 『殺人貴』遠野志貴 vs “修行者”グレン(M)〜『魔剣』 vs 『魔眼』〜

―――熱い。
     あつい。
     アツイ、アツイ―――

脳髄が怒りと『直死』の影響で白熱してゆく。
視るのは、ただグレンの『線』、そして『点』のみ。
頭が加熱するのと反対に四肢は冷めて行く。
敵の如何な動きにも対応できるよう、あくまで柔軟に。

意識せぬ周りの風景がコマ落としのように、全ての動きが止まって見える。
思考はただ。
一刻も早く、ヤツの存在をこの世から消すコト。
その想いに比べて身体の動きは、あまりに遅すぎて―――――

だから。
グレンが後方に跳び退るのも。
その顔を歪めるのも――それは『笑い』と呼ばれる表情なのだろうが、今の
遠野志貴にはそれは邪悪な魂が顔面にへばり付いたようにしか見えない。
そして、その腰に装備していた剣を抜きもせず、鞘のまま俺に投擲するのも―――

そんなモノ。
いくら死徒の斥力で投げ付けたとは言え、流れに逆らわず弾いてしまえば…
その瞬間、先程のアルクェイドが四散したイメージが脳内に閃く。

 あれに何らかの罠が仕込まれているとしたら?

考えが浮かぶと同時に、既に足は地を蹴っていた。
真横に、全力で、躊躇なく。
仮に爆発物であったなら、少しでも距離を稼いでおかなければならないから。



ザザザッ、と着地して一呼吸。
剣は俺の後方遠くで何かに当る、小さな音。
そして―――静寂。

…チィ、小細工か、らしくないじゃないか…

だが、グレンは全く焦る様子もなく、改めて次は短剣を構える。

…何を考えている、吸血鬼。
…俺に合わせたつもりか?
…それとも、単なるヤケクソか?

―――――まあ良い。
俺の方にヤツに遠慮する理由は欠片も無い。
次は、外さん。
そして、今度は撹乱に出ようかと、グレンの側方へと駆け出そうとする―――――
341七夜志貴 ◆sikiXlKk :02/04/18 02:29
>335 『殺人鬼の贖罪』
<遠野志貴vsアルトルージュ&プライミッツマーダ―>
 
 目の前の床が落ちて、プライミッツマーダーが落下していく。
 下は地下室へとそのまま落ちるように一階の廊下も落としておいた。
 しばらくは上がってこれない。

 次は――――。

 後へジャンプしたアルトルージュを追おうと俺も跳ねる体勢をとる。

 目の前に「剣」が現れた。

 全身の筋肉がきしむ。
 自分の身体全てをバネに変え、跳んだ。

 剣は左足の腿と左腕の上腕部に突き刺さる。
 灼熱の棒がねじ込まれるような。
 その痛みを無視して、焼け落ちずに残っている壁めがけて跳ぶ。
 そして生き残っている右足で、壁を蹴った。

 視界が横転する。
 続いて天井を蹴り、アルトルージュの真横に着地。
 着地と同時に左足に激痛が走る。

 これで最後。
 既にアルトルージュに『線』があるのかどうかすらわからない。
 しかしこの一撃のために。

 最後の力を費やして、右腕の筋肉を動かす。
 ナイフがアルトルージュに届こうとした瞬間。


 ――――止まった。
342御神苗優:02/04/18 02:43
はっきり言って迷惑だ!〜御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司  
>326 シグモンド >337 緑川
 
どうやら、煙幕の中、ヤツは盲撃ちをしたみたいだな・・・・・・
下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるというけど、
そうそう上手くいくもんじゃあない。
 
だが、棍棒のように振り回したライフルに、
眼鏡の兄さんは当たったらしい。
地面に崩れ落ちる音が聞こえた。
黒眼鏡の方も、なんでかはしらないが妙に弱弱しくなっちまってる。 
それでも、眼鏡の兄さんに止めを刺そうとライフルを振るおうとしてるんで、
俺は後ろから近づくと素早く腰に手を廻す。
そして力づくで引っこ抜くと・・・・・・バックドロップをかけた。
綺麗な放物線を描き、男の頭は地面へと叩きつけられる。 
ニ、三日、 ここで昏倒してナ、兄さん!

343パイフウ  ◆BAIFU.8. :02/04/18 02:48
>339セラス・ヴィクトリアvsパイフウ
 
 闘争者の愉悦。
 彼女の顔を染めるその色はそれに違いない。
 殺し殺されるその場に在ってのみ生を見出す者。
 相手に殴り飛ばされる瞬間が、
 相手を殴り飛ばす瞬間が至極の喜び。
 
 戦いが、殺しが好きだからこそ闘争者というものは
 いつまでもそれを続けるのだろう。
 だが、パイフウにはそれが無い。
 人も物も同じなのだ。殺すことと壊す事は同じ。
 楽しみにもならない。
 彼女は人形。殺すために作られた道具。人形は感じない。何も無い。
 
 一見無節操に連激を繰り返し続けているように見える。
 だがパイフウはある一定の法則に従って、
 決まった撃ち込み方を続けていた。
 気圏。
 外界から気を取り込み、或いは自らの体から練りこんだ気を
 身の回りに決まった配置をする。
 そしてその気の流れは、東方の化物の形をとり始めていた。
 それは龍。龍の気圏。
 首の根をパイフウに押さえつけられ、
 酷くもがきながら龍はその形をなしてゆく。
 そう思わせるかのような空気の流れが生まれていた。
>343 vsパイフウ

さあ、殺せ!! すぐ殺せ!! 

もはや快感とも感じ取れる打撃を身に受けながら、
わたしが考えることはそれだった。 
       
                  ぐるるる

これはわたしの呻き声? なんて、なんて野蛮な呻きだろうか。
まるで野獣、血に飢えた狼そのものだ。
だけど、喉から湧き出るその呻きは止まりはしない。 
獲物を狩り、その麗しき喉に牙を突き立てるまで、止まらせない。

そう、殺せば止まるんだ。
殺せば、この興奮も、高ぶりも、たぎりも、呻きも――――全部止まる。

          ナラ、コロス。

真紅の瞳で、侵入者――いや、獲物の瞳を睨み据える。
その瞳に写る狂喜の顔はまさに鬼。鬼そのもの。 

やることさえ分かれば、人間相手に苦戦などはしない。 
心臓を抉り取ればそれで終わり。そんなこと、1秒も掛からずにできる―――― 
 
(ニンゲン――――)

「!?」

冷水を浴びせられたよう冷めた。 
心臓の高鳴りも、血のたぎりも、喉の渇きも……全て、全て冷めた。 
真紅の瞳は呆けた表情とは裏腹に見開かれ、動きは完全に止まる。 
 
――――婦警、どうした?

沈黙を守っていた師も、さすがに口を挟んできた。 
だけど、もう遅い。
コンマ1秒が死を決めるこの場で、この隙は致命的。 
>340『殺人貴』遠野志貴 vs “修行者”グレン(M)〜『魔剣』 vs 『魔眼』〜



グレンの側面に回りんで撹乱せんと志貴が足に再び力を込めたその時、
グレンの唇がわずかに尖った。

次の瞬間、夜の港に喩えようもなく甘美な、そして喩えようもなく
哀切な調べが流れた。

このような場合でなければ志貴も聞き惚れるに違いない口笛を
吹きつつ、グレンは短剣を中段に構え、ぴたりと志貴の心臓に
狙いを定めた。

そして――見よ、グレンの側面にまわりこまんとしていた志貴が
まるで鏡写しのごとく、グレンと同じく『七つ夜』をグレンの胸へと
狙い定めたではないか!!

これぞグレンの魔剣“ローレライ”。

かつてドナウ川に棲み、歌声で聞く者を魅了して多くの船を沈没せしめた
という妖精ローレライの名を持つこの魔剣は、グレンの口笛を聞いた
者を高催眠状態におき、指の一本一本にいたるまでグレンの行動の
真似をさせる。

――つまり、グレンの動作をどうしても遅れて再現させられてしまう
ということだ。

どんな技も封じられた相手は、自分の攻撃がグレンに届く寸前、
グレンの剣が自分の体に突き刺さるのを待つしかないのだ。

「かかったな」

志貴が完全にローレライに呪縛されたと見たグレンは、胸の内でつぶやきつつ
猛然と駆け出した。
『七つ夜』が彼の胸を貫くより早く、彼の短剣が志貴の心臓に
突き刺さるだろうと確信して。


346パイフウ  ◆BAIFU.8. :02/04/18 04:01
>344 セラス・ヴィクトリアvsパイフウ
 
 吸血鬼は血を吸う鬼。そんなことが思い浮かぶ。
 別にそんな余裕があるわけではない。
 間違いなく全力だ。全力を出し切って生きて帰れる相手かどうか。
 もっとも、生きて帰ることは任務の中には含まれてはいない。
 実際はどうでも良いのだ、そのことに関しては。
 
 赤い瞳が、黒い瞳が、互いに見つめ合う。
 右も左も解らなくなるほどの速度で互いに殺しあいながら。
 熱い血の潮流に餓える鬼の眼、かたや冷たい夜気を切り裂く虚無の眼。
 
 その瞳の中で焔が躍る。
 彼女の頭の中ではもう何度もパイフウは殺し尽くされているのだろう。
 脊椎を砕かれ顎を千切られ肉を裂かれ。頭を割られ腕をねじられ。
 その整った鼻梁も。たおやかな繊手も全て。残るはその血をいっしんに
 浴びる彼女の姿のみ。
 
 だが、それはあくまで夢想に過ぎない。死ぬ前の儚い命の見る幻影。
 
 ふいに彼女の瞳が凍り付く。動きもまた凍り付く。
 パイフウには解らなかった。ただ、彼女の匂いが出会った
 最初の頃に戻っている事には気づいたが。
 どちらにせよ、躊躇する事は無い。後はこの貫手を彼女の胸に放つのみ。
 それで終わる。龍の気が放たれるきっかけとなる。
 
 少しは楽しめたわね。それじゃ、さようなら。
 
 これまでのどの攻撃よりも早く、その手を繰り出した。
347『殺人貴』 ◆KILLER7E :02/04/18 04:58
>345 『殺人貴』遠野志貴 vs “修行者”グレン(M)〜『魔剣』 vs 『魔眼』〜

―――その、瞬間。
     身体中の力を溜めて。
     解放しようとした、刹那。
     遠野志貴は、全ての動きを止めた。
     …頭に攻撃意志をありありと残したまま―――

何が起こった?
まず思い浮かぶのは、そんな他愛ないコト。
目の前には、アルクェイドを四散させた憎き敵が居るというのに。
我ながら情けなくて吐き気がする程の無知さ加減。

どれほど力を込めようとも、指先一本動かない身体は、まるで彫像と
化してしまったかの様。
このまま動けないまま立ち竦んでいたなら、格好の的だ、とグレンの
方を見やると。

―――やつは、口笛を吹いていた。
こんな時に何の冗談か、と思い掛け視線を凝らす。
四肢が動かない分、それさえも『力』に換えようと凝視―――

爆発的な頭痛と共に『視えた』のは。
それは―――例えるならばマリオネットの糸。
人形師の操る糸のイメージが、やつの口から紡ぎ出されるのが、
極僅かに―――ズキン、ズキン、ズキン!!

どうにも耐えられなくなり、眼を閉じる。
だが、確かに感じた、そのグレンの持つ『力』を。
しかしどうしろというのか、俺の持つ『力』ならば、或いは『視えた』
その『糸』を切れるのかもしれない、それなににビタ1mmも動いて
くれないこの腕では、断ち切る事さえ―――

不意に、俺の『身体』が七つ夜を構える、グレンの胸へと向けて。

―――――!?

薄らと目を開けてみると。
それは相対するグレンと全く同じ構え。
あたかも鏡に映したが如く同じ動きを執っていた。

…なるほど、それがお前の能力か、吸血鬼―――

―――能力が解っていながら、それを断ち切れると思われる力を
持っていながら、何も出来ずに操り人形と化してしまっている自分。
無様すぎて反吐が出そうになる。
その反吐を吐くコトさえ出来ないこの無念。

   ギリギリッ…

強く端を噛み締める。
そして歯軋りくらいはさせてくれるのか、と間抜な思考。
それが余計に自分を苛立たせる。
348『殺人貴』 ◆KILLER7E :02/04/18 04:59
だがグレンは、俺が思考の海に沈む事を許さない。
必死でこの状況から抜け出そうと打開策を考えるが、時既に遅し。
遠野志貴の『身体』がグレンに向かって駆け出し始めた。
ただ一直線に、同時に俺に向かって駆けてくる、その胸を狙って。

   ドクン。

こんなに切羽詰った状況なのに、思考は酷く冷静。

     ドクン。

人形師の操る糸は、常に数瞬遅れている。

 ドクン。

つまりは、どう足掻いても、俺の七つ夜よりもヤツの短剣が
           遠野志貴の胸へと吸い込まれる方が早い、というコトで―――――

      ドクン、ドクン、ドク、ドク、ドクドクドク…………

思考は冷静、だが脳髄は半端じゃないほどに過熱、凝視する
グレンの身体にのたうつ『線』は既に数え切れないほど、『点』
はまるでゴルフボールの様、目を瞑っても『殺せ』そうな位。

   キサマ、などに…

グレンとの距離は狭まる。

   アルクェイドを傷つけたヤツなぞに…

あと数歩で、確実なる俺の『死』。

   あんな無造作に、俺の生きる目的を潰しかけたヤツに…

グレンの短剣が遠野志貴の胸へと―――心臓のど真ん中へと
突き刺さる―――――

   遠野志貴が、
   『真祖の姫の護衛者』が、
   殺られるワケにはいかないッ!!!

その瞬間、今まで屠って来た死徒の、死者の、グールの、
化け者どもの姿が脳内を掠め。
次瞬、今まで共に過ごして来たアルクェイドの姿が。
笑い顔が、拗ねた顔が、怒った顔が、嬉しそうな顔が、
泣き顔が、泣き顔が、泣き顔が、泣き顔が――――――――――

「………キ…サマ……!!」

頭の中がスパークしていた。
何かが全てを弾き飛ばしていた。
残っていたモノは………、ただ、在りし日の誓い、のみ。

そして。
俺の七つ夜は。
グレンの胸の中心の少し下。
その存在の『死』を貫いていた―――――
『殺人貴』遠野志貴 vs “修行者”グレン(M)〜『魔剣』 vs 『魔眼』〜
>347 >348

グレンが満腔の自信をこめて放った突きが志貴の心臓に突き刺さる
より一瞬早く、“ローレライ”の呪縛を打ち破った志貴の『七つ夜』
が、グレンの死点を貫いた。

刹那、グレンの顔に浮かんだ信じられないという驚愕は、次いで
微苦笑となる。

「我、遂に及ばず、か……」

それはあまたの修行者がその道の果てにいつか言う、言ってはならぬ
言葉であった。

その体は徐々に塵となっていく。

「うけとれ、殺人貴よ」

すでに腰まで塵となりながらも、グレンの言葉とともに、グレンの唇が尖り、
さきほどの“ローレライ”に数倍する妙なる調べが奏でられた。

生涯最高の、そして最後の音色を奏でつつ、“修行者”は塵となった。


(“修行者”グレン(M)死亡、エピローグへ)


350『殺人貴』 ◆KILLER7E :02/04/18 06:03
>349 【エピローグ】
『殺人貴』遠野志貴 vs “修行者”グレン(M)〜『魔剣』 vs 『魔眼』〜

僅かな一瞬解かれた縛め。
その、自らを傷つけ無理矢理に切り開いた刹那の時間は、
俺を勝利へと導いてくれた。
その代償は、ガンガンと絶え間なく叩き付ける頭痛と酷使
して殆んど闇に閉ざされた視界。

『死点』を突かれたグレンは、足元、指の先から徐々に
カタチを無くして崩れ去って行く。
…塵は塵に、とは誰の言葉であっただろうか………。

不意に呟きが聞こえる。

『うけとれ、殺人貴よ』

―――それは、口笛。
     先程の身体を束縛し操る音色とは違う、
     酷く複雑な、それでいて音の一つ一つが心に染み込んでくる、
     豊かな調べ。
     …闇に閉ざされかけた眼に光が戻って来るかのような―――――

最後の旋律と思われる余韻を残し、グレンと呼ばれた吸血鬼は
完全に消え去った。
…遺言代わりに、一つの調べを遠野志貴の記憶に残して………。

その場で立ち竦んだまま、先程の旋律を思い起こしてみる。
身体の呪縛は、『死点』を突いた時点で解かれていたようだが、
暫くは視界が利かなかった為だ。

そして、最後に一言、ポツリと。

「…俺は音楽のコトは輪からないけど、辞世の句には最高だったぜ―――」


   ★   ★   ★


アルクェイドの再生は、ほぼ終わっていた。
俺が近付いて行くと、微かに笑みを浮かべる。

「………」

何か言いたげだったが、まだ口が回らないようだ。

「ああ、良いよ、何も言わなくて。全て終わった」

俺はその場に座り込んで、そっとアルクェイドの身体を抱きかかえる。
完全に復活するまで、暫くこうしていよう。
まだ夜明けは遠い。
このままアルクェイドの温もりを感じながら。
一つの調べを、心の中でリフレインさせながら―――――

【END】
『殺人貴』遠野志貴 vs “修行者”グレン(M)〜『魔剣』 vs 『魔眼』〜
のレス番まとめだ。

導入
>311 >313

闘争
>318 >323 >334 >340 >345 >347 >348 >349

エピローグ
>350

一晩中付き合ってくれた殺人貴に大いなる感謝を。
我が修行、遂に及ばず、か……。


352ラルヴァ ◆LARVAIdY :02/04/18 18:09
アセルスVSラルヴァ
 
>338
 
こちらに蹴り飛ばされた警備員は、恐怖の表情を浮かべていた。
銃を見たからではないだろう。私自身に恐怖しているのだ。
そんな臆病者の相手などしたくない。
 
片腕を軽く振るうと、警備員は壁に叩き付けられた。
 
 
   … 壁 には大輪の 紅 い 花 。
 
 
少しもったいない事をしたかとも思うが…まあいいだろう。
あの少女の血に比べれば、食前酒にもならない筈だ。
 
もう逃がさない。
事前に入手して置いた病院の構造を頭に浮かべ、引き金を引いた。
 
轟音と共に、少女の真上の天井に大穴が空く。
そして降り注ぐ「雨」。
私が撃ったスプリンクラーから消化剤混じりの水が漏れだしたのだ。
 
少女の一瞬の隙を逃さず、次の弾丸を撃ち込む。狙いは急所から大きく離れた場所。
 
 
  ―――あの娘の命は、私の手で優しく止めてあげたいから。
 
     ―――そして、流れる暖かい血を飲み干してあげたいから。
353アセルス ◆AseLLUSs :02/04/18 22:23
>352 アセルスVSラルヴァ
 
ラルヴァは、あっさりと警備員を壁に叩きつける。
先ほどまで無関係の人間を傷つけまいとしていたのが嘘のように、いともあっさりと。
・・・もはや彼女は、私以外はどうでもいいらしい。
 
ふふ・・・そろそろ、頃合いか?
そう思った瞬間。
 
―――銃声と同時に、私は“雨”にうたれた。
 
(消火用スプリンクラー!?)
 
思わぬトラップに、私は一瞬足が止まってしまう。
そこへまた銃声。
今度は狙い違わず、私の脇腹を銃弾が貫いた。
激痛とともに、どくどくと血が流れ出す。
 
・・・狙い違わず?
今の彼女なら、心臓や頭を狙うことも出来たはず。
それをあえて外したということは・・・
 
 
・・・ラルヴァは、いっそ優しげとも呼べる微笑みを浮かべて近づいてくる。
 
「・・・ふっ」
 
それに対し、私も優しく微笑み返す。
 
「そんなに・・・私の血が欲しいか? ラルヴァ」
>341 
 私の失策は遠野志貴をあくまで人間と捉えていたことだった。
 私の創り出した剣は遠野志貴を仕留めるに到らなかった。
 
 壁を蹴り、遠野志貴は蜘蛛のような動きで私に肉薄し、ナイフを振るおうとした
 
 ――瞬間に遠野志貴の動きが止まる
 
 ――私と遠野志貴の足場が崩れる



「くっ――」
 
 あたり一面の炎の中、私は立ち上がった。
 そして、遠野志貴は……
 
 ――炎を隔てて数メートル向こうにいた。
 
 見た所、もう満身創痍で体力の限界といったようだ。
 私に気づいてもいないみたいだ。
 このまま、背後から接近して心臓を貫けばそれで終わる。
 
 ――でもそう楽に死ねるとは思わないことね。
 
 ――あなたは黒の吸血姫を陵辱した。
 
 ――その代償は今から、償ってもらうわ。
 
「――――」
 
 炎の中を駆け抜け、遠野志貴の左腕を掴む。
 そして、遠野志貴の左腕をそのまま、引きちぎった。
 
 ――ホースから水が勢いよく流れるように、遠野志貴の左腕のあった所から血が吹き出る
>354 
 でも、これはまだほんの前菜……
 いうなれば、台所でつまみ食いをするといった行為
 
「アハハハ!」
 
 私は笑いながら、遠野志貴の首を掴み、力任せに投げる。
 まるでボールの様に遠野志貴の身体は窓から庭へと豪快に飛び出していった。
 
「――まさか、死んでないでしょうね?」
 
 ――この程度で死なれては困るわ
 
 ――何故なら、まだ私は受けた痛みの10分の1も返していないの
 
 ――まだ、これからなのに
 
 私も窓から庭へと飛び出す。
  
 遠野志貴はあお向けになって、倒れていた。
 身体がまだ動いている。
 死んではいない。
 
 ――良かった
 
 ――さあ、はじめましょう
 
 ――あなたと私で素敵な凶宴を
 
 ――メインデイッシュはあなたの血と臓物
 
 ――素敵でしょう?
 
 私はそう呟きながら、ゆっくりと遠野志貴へと近づいていった。
356遠野志貴 ◆sikiXlKk :02/04/18 23:38
『殺人鬼の贖罪』
<遠野志貴vsアルトルージュ&プライミッツマーダ―>

 ――――目の前に立った途端に黒の姫君に心を奪われ。

 俺の腕は止まった。

 その時、廊下が崩れた。プライミッツマーダーのところだけを『殺した』はずだったのに。
 左足に突き刺さった剣のために着地に失敗し、一階の廊下に転がる。
 床を『切り』落とした穴に落ちず、地下室まで落ちなかったのが救いかもしれない。

 俺はよろよろと立ち上がった。
 その瞬間、左腕が引きちぎられた。

 イタイ。
 イタイとかそういう言葉じゃなくて、イタイ。
 笑い声が聞こえた気がするが、そんなものは聞こえない。

 しかし痛さに絶叫する前に首をつかまれて、人形か何かのように外に放り投げられた。
 窓を突き破り、中庭を転げ回って、仰向けになって止まった。


 この嵐のような激痛の中で、「遠野志貴」を取り戻した。

 右手がしぶとく握っていた「七つ夜」のナイフを手放そうとする。
 でも手が動かなかったので、親指から順番に確かめるようにして手を広げた。
 こぼれ落ちるナイフ。

 もう、俺にはいらない。
 戦うつもりなど無い。体も動かない。

 何より。
 一番したかったことは全く違う。
 だけど、血の赴くままに殺そうとした。
 「衝動」に振り回された。

 ―――――なんて、無様。


 でも、間に合った。

 ゆっくりと近付いてくるアルトルージュに怪我をしている様子はない。
 本当に良かった。

 戦いを挑んだのは、多分ネロ=カオスの時のように無視されないため。
 たった一言を目の前で言って届かせるため。

 アルトルージュが言葉が聞こえるところまで近付いてきた。
 たった一言を俺の口が紡ぐ。

「ごめん」

 本当に言いたかったその言葉は、アルトルージュに届いただろうか?
357遠野志貴 ◆sikiXlKk :02/04/18 23:40
ごめん。>356は>355の続き。
358ラルヴァ ◆LARVAIdY :02/04/18 23:47
アセルスVSラルヴァ
 
>353
 
…いつもとは違う。
こんなに渇いているのにどこか冷静な部分もある。
少女にゆっくりと手を差し伸べていく。
 
少女の血は深い海の色のように青かった。―――だが、それが何だ?
きっと、私に耐えようもない癒しを与えてくれるだろう。
想像しただけで身体が震える。
 
「ええ、貴女の血が欲しいの」
 
サングラスを外し、少女の目を見つめる。
何故こんな邪魔なものを今まで付けていたのだろうか?
今の私にはもう必要ない。
 
「だから…貴女の名前を教えて」
>356
 
 もう後数歩……
 私はそんな距離まで近づいてきて、そこで遠野志貴は言葉を紡いだ。
 それは、命乞いの言葉でも、呪詛でもなく……
 
          『ごめん』
 
 という謝罪の言葉だった。
 
 私はそこで歩みを止めた。
 
 遠野志貴の言葉の意図が分からなかったから……
 
 もし私の不意を討つにしても、私を殺せる凶器は彼の手にない。
 
 私はどうすればいいか、分からなかった。
 
 
 迷っていても、仕方ない。
 私の意思のままに動こう。
 
 つかつかと彼の下に歩いていき、右手で彼の左胸を貫いた。
 
 ――私の右手には彼の生命の鼓動の源<心臓>が握られている。
 
 これを潰せば、彼は終わる。
 その前に……
 
「言いたいことがあるなら、言いなさい。聞いてあげるわ」
 
 私は彼の眼を見つめつつ、そう告げた。
360アセルス ◆AseLLUSs :02/04/19 00:17
>358 アセルスVSラルヴァ
 
『ええ、貴女の血が欲しいの』
サングラスを外し、私に手を差し伸べそう言うラルヴァ。
全く、ためらうことなく。
 
微笑みながら、私はその手を受け取る。
もはや刃を向ける必要はない。
―――目的は、達成されようとしてるのだから。
 
私と同じく人と魔の間で苦しんでいたであろう彼女を、“こちら側”へと招き入れる。
私が妖魔になったように、彼女も吸血鬼に・・・
そう、そのためだけに、私は彼女―――ラルヴァの前に姿を現したのだから。
後は―――
 
 
ラルヴァが、私の名前を問うてくる。
 
「ふふっ・・・アセルス。
 私の名前は、アセルスだよ・・・」
 
答えながら、私は彼女に抱きついた。
彼女の牙を私の首筋に立てさせる為に。
そして・・・彼女の首筋に、牙を立てるために。
 
そうして彼女は、完全な吸血鬼へと成る・・・
361遠野志貴 ◆sikiXlKk :02/04/19 00:27
>359 『殺人鬼の贖罪』
<遠野志貴vsアルトルージュ&プライミッツマーダ―>

 アルトルージュが俺の目の前に立った。

 その姿は、いつか見たロアの記憶のような。


 舞い散るのは、花弁ではなく火の粉で。

 炎に照らし出された――――


 ――――――ただ、美しすぎるその姿を。


 俺は目に焼き付けた。


 アルトルージュの手が俺の胸に突き刺さる。
 心臓をつかまれた。

『言いたいことがあるなら、言いなさい。聞いてあげるわ』

 ……死んでいるけど、死んでない。
 言葉も聞いてくれるらしい。
 うれしさがこみ上げてくる。

「アルトルージュ、殺してごめん。それだけ」

 まあ、後は呟くだけ。
 死ぬときに言って死のうと決めた言葉を。

「ありがとう、アルクェイド――」
>361

『アルトルージュ、殺してごめん。それだけ』
 
 この言葉で分かった。
 彼はどうしようもない馬鹿だ。
 本当に……
 
 そして、彼の次の言葉が私の取るべき行動を決定した。
 
『ありがとう、アルクェイド――』
 
 彼は、真祖の姫であり、私の妹であるアルクェイドの名前を口にした。
 
 
 この瞬間に、私は彼を生かすことに決定した。
 永遠に私を殺した罪を償ってもらう。
 
 彼、遠野志貴が最近、噂に聞くアルクェイドの従者なら……
 死徒となった遠野志貴をアルクェイドはどう思うだろう?
 
 私はアルクェイドが血を吸えない理由を知っている。
 
 真祖はモノに執着する感情を持つとどうしようもなく、吸血衝動が高まってしまう。
 だから、真祖は吸血衝動を力づくで抑えるわけだが……
 それを抑えれなくなった時、全ては崩壊し、その真祖は魔王となる。
 
 本当はアルクェイドだって、この男、遠野志貴の血を吸いたいのだ。
 それが真祖の根源衝動だから……
 
 でも、吸えない。
 吸ったら、全て終わってしまうから……
 アルクェイド自身も遠野志貴という『存在』も……
 
 
 そんなアルクェイドの葛藤を嘲るように、私は彼の首筋に牙を突きたてた。
 彼の血を咀嚼し、代わりに私の血を送り込む。
 
 彼の目が次第に虚ろになっていく。
 そんな彼に先ほど引きずり出した心臓を再度、彼の身体にねじり込む。
 
 そして、彼の耳元でささやく。
 
「遠野志貴、あなたには生きてもらうわ、永遠に……。そして、アルクェイドと一緒に永遠を歩きなさい。
でも、あなたが幾らアルクェイドと過ごすことを望んでも、アルクェイドが望むのは『ヒト』としての遠野志貴。
この覆せない矛盾の中で苦しみ続けるといいわ。その苦しみが私への贖罪になるから」
 
 彼は私の言葉を聞いているだろうか?
 
「でも、あなたが死ぬことは私が許さない。私はあなたを支配しないけど、『死』という一面において支配する。
それだけ、覚えておきなさい」
 
 それだけ言って、私は遠野志貴を突き放した。
 彼は力なく、地面に崩れ落ちた。
 
 次に彼が目が覚めた時は……
 
 私は笑みを浮かべて、中庭から立ち去る。
 丁度、屋敷からプライミッツマーダ―も飛び出してきた……
363ラルヴァ ◆LARVAIdY :02/04/19 01:21
アセルスVSラルヴァ エピローグ(ラルヴァサイド)
 
>360
 
ゆったりとした一日が過ぎて行く。
今日はカミーラの城でゆったりと過ごしていた。
 
この間ハンターが使っていた銃の話をしている間は
アセルスはつまらなそうだったが…後でゆっくり謝る事にしよう。
時間はいくらでもあるのだ。
 
アセルスの寵姫の一人が、飲み物を持ってきてくれた。
深紅に輝く液体が月の光を受けて輝いている。
何故、こんな心が落ち着く暮らしを拒んでいたのかわからない。
 
今夜のメインディッシュが用意されたと聞いて、私達は席を移動した。
 
 
 
―――用意されていたのは、ハンターの少女。
カミーラらしいもてなしだ。
もっとも、アセルスと共に有るようになってからは男の血を口にした事はないが。
 
盟友…いや、愛しい人達と共に夜の宴は進んでいく。
明日は何をしようか?
考える時間も楽しい。それに、焦る事はない。
 
 
                        この時間は永遠なのだから―――
 
                               (Endless)
364遠野志貴 ◆sikiXlKk :02/04/19 01:31
>362 『殺人鬼の贖罪』
<遠野志貴vsアルトルージュ&プライミッツマーダ―>

「ありがとう、アルクェイド――」

 その言葉を呟いた途端、アルトルージュの表情が変わった。
 あ、そういえばアルトルージュはアルクェイドの姉だっけ――。
 シエル先輩から教えてもらった知識が頭をかすめる。

 その時、アルトルージュが俺の首筋に牙を突き立てた。
 死徒に……されるのか?

『遠野志貴、あなたには生きてもらうわ、永遠に……。そして、アルクェイドと一緒に永遠を歩きなさい。
でも、あなたが幾らアルクェイドと過ごすことを望んでも、アルクェイドが望むのは『ヒト』としての遠野志貴。
この覆せない矛盾の中で苦しみ続けるといいわ。その苦しみが私への贖罪になるから』

 呆然としている頭に、アルトルージュのささやきが流れ込んでくる。

『でも、あなたが死ぬことは私が許さない。私はあなたを支配しないけど、『死』という一面において支配する。
それだけ、覚えておきなさい』

 そんなこと言われても。
 ――――アルトルージュに殺されると思っていたのに。

 俺は突き放されて、力無く横たわる。
 状況に頭がついていってない。
 ワカラナイ――――。

 アルトルージュは中庭から立ち去っていく。
 プライミッツマーダーもいつのまにか付き従っている。

 そんな後ろ姿を見て、沸々と怒りがこみ上げてくるのを感じた。

 ひと思いに殺せばいいものを――――。

 しかし、その怒りは長く続かなかった。
 全てが終わって緊張が途切れ、俺の意識は闇にのまれていったから。

 俺、起きたらどうなってるんだろうか?

 そんな不安を抱きつつ、意識は沈み込んでいった。
365黒川丈【ゴースト】:02/04/19 01:51
>249 エンハウンスVS黒川丈【ゴースト】
 
「ガァァアアッ!」 
 
地面に激突し、二つにばらけた影。 
ゴーストの脳から切り離された下半身は変異して、残された本能だけで逃げ出そうと這いずり。 
上半身の切断面からは蛸の足のような触手が生え……だがそれ以上には変異できない。 
 
見る影も無くやせ細ったゴーストはエンハウンスの顔を憎々しげに睨み、肉食獣の牙を軋ませた。 
 
「貴様なんぞに……貴様なんぞに殺されるものかッ!俺は、俺の復讐はまだ終わってないッ!」 
 
言葉と共に、ゴーストの体表面が内側から急激に膨れ出す。 
肉が充実したわけではない。風船のように張り詰め、肉が薄まり――― 
  
 
「……いずれ必ず、貴様を超えてみせる。せいぜい怯えて待っていろ」
 
  
自らの内側に作り出した可燃性の気体に点火した。 
―――爆炎の中に消える直前、ゴーストは確かに、笑っていた。
366アセルス ◆AseLLUSs :02/04/19 01:53
>363 アセルスVSラルヴァ エピローグ
 
あの病院での一夜から、どれくらいたったか・・・
ラルヴァは私の友となった。
―――いや、友以上か。
 
今夜もまた、私とラルヴァ・・・それにカミーラも交えて宴を愉しむ。
 
ラルヴァは今、カミーラの用意してくれたハンターの少女を吸血している。
・・・とても、満ち足りた表情で。
 
そんな彼女を、私は後ろから抱きすくめる。
彼女は少女にうずめていた牙を抜き、血に朱く濡れた唇を重ねてくる・・・
私はそれを受け入れ、甘い甘い口付けを交わす・・・
 
 
宴は、まだ始まったばかり・・・
今度は三人で愉しもう・・・ね? ラルヴァ。
 
 
 
私たちの夜は、これからも、いつまでも終わらない・・・
ふふ、あはははは・・・
 
 
Never end.
367ラルヴァ ◆LARVAIdY :02/04/19 02:01
アセルスVSラルヴァ レス番まとめよ
 
導入(アセルス)>237 (ラルヴァ)>238
 
>239>241>245>248>258>276>279>281>283>285>299
>309>314>321>328>332>338>352>353>358>360
 
エピローグ(ラルヴァ)>363 (アセルス)>366
 
…ふふ。幸せになれたわね、私達…
368 ◆AseLLUSs :02/04/19 03:03
・・・差し出がましいようだけど、気づいてしまったもので。
 
>367のレス番まとめ・修正
 
導入(アセルス)>237 (ラルヴァ)>238
 
>239>241>245>248>258>269>273>276>279>281>283
>285>299>309>314>321>328>332>338>352>353>358>360
 
エピローグ(ラルヴァ)>363 (アセルス)>366
 
ラルヴァごめんね。
人間の証明〜ガロンvsラルフ・グルト
>前々スレ412

「――――――――――――――――――――――――」

朱金の餓狼に飲み込まれ、全身を焼け爛れさせながら
それでも男はニヤリと笑った。

「―――――燃えて、いますな」

赤い照り返しを受け、壮絶な表情で、いまだ魂にくすぶる熾火―――怒りの炎をもって
男は獣人の放ったそれを打ち破る。

「当初の予定とは少々外れましたが・・・始めますかな」

一言呟き、男は手に持っていた長銃を消し去ると、
代わりに何かスイッチのような物を手の中に出現させた。
そして、それを握り込み――――


RUUUUUWWOOOOOOOOOOOOOUUUUUUUOOONNNNNNNNNNNNN!!!!!!!!!!!!!!


足元から天へ向けて絶叫が響き渡る。
 
「苦労しましたぞ? 百を超える魔物の声―――断末魔の叫びを採取するというのは」

非音楽的な合唱を背にして、男は高らかに謳いあげる。

「魔物の怨嗟を篝火に乗せて、天へ向かって解き放つ。彼方の住人達はどう反応するでしょうな?」

ぐらり、と男がよろめいた。
しかし、再び出現させた長銃を杖代わりに踏みとどまり、言葉を続ける。

「丁度、貴方の魂で全てが揃うんです。結果が見届けられないのは残念ですが・・・」

天井が崩れ、獣人の視界から男の姿が消えた。
そして・・・・・・・・


爆発。
370ガロン(M):02/04/19 06:12
人間の証明〜ガロンvsラルフ・グルト
 エピローグ 
>369 
 
全身を焼け爛れさせながらなお、牧師は生きていた。
何事かを呟いている。
しかし、もはや獣人の耳にも、何を言ったのか聞く事は出来なかった。
 
轟音と共に、獣人も燃えていたから。
天井が崩れ、塔は崩れていく。
神への信仰を失い、闇を狩ることで己が信仰を取り戻そうとした牧師と、
闇へ取り込まれる己を保つために闇を狩る獣人の、
墓碑にするには相応しいものであった。 
 
すべてを燃やしつくかのような業火は収まらない。
それは、彼らの心を表すかのように、天高く燃え上がっていた。 
 
 DEAD END
371ガロン(M):02/04/19 06:17
既に前々スレッドは闇に堕ちてしまったようだな・・・・・・ 
こちらに一覧で見れるようにしておいた。
よろしければ見ていただきたい。
http://jbbs.shitaraba.com/game/bbs/read.cgi?BBS=163&KEY=1017561724
 
感想等があれば、こちらに書いていただけるとありがたい。
http://jbbs.shitaraba.com/game/bbs/read.cgi?BBS=163&KEY=1013072172
 
それでは、また会おう、闘争狂どもよ・・・・・・
 
>346 vsパイフウ 
 
――何をしているんだ婦警。殺せ。  (……無理です……)
――何故だ?  (だって……だって……)
――勝てぬ相手では無い。お前なら殺れる。 (そんな……そんな問題じゃ……)
――殺らねば、お前が殺られるのだぞ? 
  
      そ、そんなことは関係ありません!!

――――なんだと? 
      (だって、マスター……あのヒトは……あのヒトは……)

一体、何を躊躇うというのだ。闘え。そして殺せ。とにかく殺せ。殺し尽くせ。
あの狗の心臓を抉りだし、その血を啜れ。
何の感情も持たない哀れな人形に、恐怖という感情を植え付けてやれ。
我が主の命を狙うことが、どんな大罪であることかを。
この私に牙を剥くことで、どんな代償を払うことになるかを――血という血で教えてやれ。       

殺せ。 
殺せ。 
殺せ。

ハリー ハリー ハリー ハリー ハリー ハリー ハリー !!

    だって……だってあのヒトは 『 人 間 』 なんデスよ!!!

生きているんですよ。
そんな、殺せませんよ。 
わたしじゃ無理ですよ。

――お前はまだ、そんなことを言っているのか。    (でっ、でも……) 
――だが、現実は非常だ。              (はぁ……)
――お前の胸に突き刺さったその手はどうするつもりだ?
 
「……あれ?」

現実への帰還。 
喉からこみ上げてくる灼熱の液体。 

瞬間、脳裏に閃く情景。 
近づき過ぎた侵入者……人間の頭蓋を握り砕く光景。
           人間の首を叩き折る光景。
           人間の肌に牙を突き立てる光景。 

だけど、実行しない。実行させない。
そんなことをしらた、死んでしまうから。 
自分が、人殺しになってしまうから。
 
――――婦警……死ぬぞ!!

「はは……死ぬのは……ちょっと……嫌デス……ね……」

次瞬、口から真紅の血が溢れ出す。 
滝のように流れ出た液体が、鮮やかな色をした制服を、冷たい床を赤く染め上げる。

そんな血に染まりながらわたしは……二つの血のように赤い瞳で、
侵入者……人間の漆黒の瞳を見据えていた。
その瞳には……泣きそうな表情を浮かべながら、痛みに耐える哀れ少女が一人……。
373如月蘭(M):02/04/19 14:05
カーラvs如月蘭


夕暮れ、空と大地が混ざり合い、一つになる時間帯。
少女の心に『音』が響いた。
硝子のように綺麗で繊細な、しかし脆く儚い旋律。
それはやがて穏やかで安らげるような暖かなものへと変わってゆく――――


『――――語り掛けを聞くものよ、お前の望み、叶えてやろう――――』

少女の中の不安が消えていった。
恐れる事は、もうない――――――――

笑みを浮かべて倒れる少女を、コートを纏った少年が受け止めた。

「・・・・・・・・・・・・」

無言で少女を抱えながら、一枚の羽根を取り出す少年。
そして・・・・・・
374カーラ:02/04/19 14:13
>373 
如月蘭対カーラ
 
 
次の刹那、少女の身体は透けて……消えてゆく。
そして空間も変質する。
 
一瞬前まで公園だった場所は異界へと変わっていた。
 
何もない空間から人影が現れる。
女だ。
 
漆黒の髪、それに合わせたかのような色のローブとマント。
そして額にて鈍く輝く異形のサークレットが女の異質さを際だたせる。
 
「異界の者よ、此処はお前の在るべき場所ではないぞ」
 
女は眼前の少年に語りかける。
 
「お前はお前の在るべき場所へ帰れ。お前の力はこの世の均衡を崩すモノだ」
375如月蘭(M):02/04/19 14:30
カーラvs如月蘭
>374

「それはお前も同じ事だろう?」

突然現れた女性に、しかし少年は臆する事無く言葉を返した。

「ここは確かに我らの世界ではない。だが決して貴様の世界でもない」

両腕に抱えていた少女を放り捨てる。
そして右腕を正面の女性に向かってゆっくり持ち上げ、

「邪魔をするのか? では、心の声を聞けぬお前はこの一撃を何とする?」

攻撃的な旋律。
突風が、女性へ向けて吹き付けた。
376カーラ:02/04/19 14:51
>375 
如月蘭対カーラ
 
 
女――カーラに向けて突風が疾る。
微動だにせぬカーラの頬に一筋の裂傷が刻まれた。
 
「確かに私にはお前の言うところの声は聞こえぬ……が」
 
カーラが前方に向けて手を上げる。
そして、詠唱。
古代語によって紬だされる言葉、それはあたかも歌声のように響き、
 
『万物の根源、万能なる力……我が前に顕れて見えざる鋼の障壁となれ』
 
直後、カーラの目の前に不可視の障壁が現れた。
障壁がカーラに向かってくる風をことごとく阻む。
 
「涼風では私を阻むことは叶わぬ――――今度は此方から行くぞ」
 
カーラは少年の方へ歩み出す。
同時に詠唱。
 
『……万物の根源たるマナよ、光の矢となりて疾れ!』
 
カーラの周囲に複数の光の矢が顕現する――――そして、それらが同時に少年に飛来する。
 
「おまえの力は均衡を崩しかねぬ物だ。力づくでも帰ってもらうぞ!」
377如月蘭(M):02/04/19 15:08
カーラvs如月蘭
>376

「俺を帰せるだけの力があると言うのならな」

トンッ

後方に一歩飛び退き、少年はそのまま虚空を駈ける。

『風を司りし偉大なる我が剣よ・・・ 安定を現す4を紡ぎ、我が前に壁を築け・・・』

心の音を織り上げ、より強固な形にするために言葉を以って旋律を創り、解き放つ。

「黄昏瞑壁(ウォール・クライン)!!」

少年の眼前に半球状の見えない障壁が築かれ、飛来した光の矢を全て弾き飛ばした。

「貴様の一撃は、この少女の叫びよりはるかに弱い」

少年は表情を変えぬまま、地上の魔女を見下ろし言葉を放つ。

「帰るのは、貴様の方ではないか?」

振り下ろした右腕から一直線に伸びる、巨大な真空の刃とともに。
378カーラ:02/04/19 15:25
>377 
如月蘭対カーラ
 
 
カーラの居た場所に真空の刃が放たれた。
地が爆ぜ、煙が上がる。
真空の刃に伴う衝撃による物だ。
 
煙が晴れ大地が露わとなる。
カーラの姿はない。
 
「私が弱きことなど重々承知。人は心揺れる弱きモノ……
 だからこそお前のような強き異形はこの世に在ってはならぬのだ!」
 
カーラの声が響く。
地上ではない……少年と同じく空中にその姿はあった。
 
『風を裂くものよ。水に染みるものよ。炎の力もて、大地を目指すものよ。
     光の輝きをもて、闇を打ち砕かん。マナよ放て、大いなる霹靂を!』
 
カーラの手から雷撃が放たれる。
雷を束ねた槍の如き光条が少年に向かう。
379如月蘭(M):02/04/19 15:44
カーラvs如月蘭
>378

「どちらにしろ、我らは請われてこの地に訪れている」

閃光が少年の身体を打ち据えた。
しかし、少年は何事もなかったかのように虚空に佇んでいる。
微かに淡い光を放つコートだけが、少年が何かを行っただろうと言う事を示してはいるが・・・

「善意の押し売りをする貴様とは、立場が違う」

両手を胸の前で合わせ、少年は呪文―――奏咒を詠唱。

『風を司りし偉大なる我が剣よ・・・』

合わせた掌から光が零れた。

『偏執を現す9を紡ぎ、我が憂愁の矢を放て・・・』

少しずつ広げながら、右手を上へ、左手を下へと弧を描くように移動させる。

「――――返すぞ?」

両の手がそれぞれの頂点に達した所で、蓄えられた力に方向性を与える。


「躊雷轟撃!!」


大きく開いた両手の間から、無数の雷撃がレーザーのように魔女目掛けて放出された。
380カーラ:02/04/19 16:12
>379 
如月蘭対カーラ
 
 
「くッ!!」
 
カーラが声を漏らす。
少年が放った雷がその身を貫いたのだ。
 
最初に唱えた魔法障壁はまだ生きている。
ダメージは最低限でしかない……が。
 
「全ての者が来ることを望んだ訳ではないだろう……
 いや、たとえ全ての者が望もうとも均衡を崩す者があってはならぬ!」
 
カーラは再び詠唱を始める。
今度は相手を明確に滅ぼすための術だ。
 
『魔狼の咆吼、雪娘の抱擁……』
 
(私は知っている……心揺れ天秤が傾く様を)
 
『始源の巨人の悲しみの心……』
  
(私は知っている……強すぎる力によって全てが崩壊する様を)
 
『万物の根源たるマナよ……』
 
(あの光景を繰り返すことはあってはならぬ……たとえ何があろうとも!!) 
 
『氷雪の嵐となりて吹き荒れよ!!』
 
凄まじい冷気とそれに伴う吹雪が空間を覆う。
視界の全てを覆い隠し全てが氷結していく。
>30 (殺人卿vs死の教師)  
 ネイムが私の突きを紙一重でかわす。
 奴が滑るように私の懐にもぐりこみボディ―ブローを繰り出す。
 
 ちっ、この状態ではいなせんか。
 内心、舌打ちしつつ、後ろに飛ぶ。
 
 それでもボディ―ブローの威力を殺しきれなかったせいか、
 肋骨が1〜2本いったのが感じ取れた。
 
「ふむ、シエルよりは体術技能は上のようだな」
 
 後方に着地すると同時に、間髪入れず、向かってくるネイムに再度、右手の黒鍵で突きを繰り出す。
 
「だが、いかんせんお前も化け物とやりあうレベルではないな」
 
 右手の黒鍵の突きはフェイント。
 今回は前ほど踏み込まない。
 次の攻撃の為に――
 本命は――
 
「――死ね」
 
 私は左手に創り出した黒鍵での奴の心臓を狙って、突きを繰り出す。
382ネイム・オンリー:02/04/19 19:03
>381 (殺人狂vs死の教師)
(強いだとか弱いとかだとか、そんなことは関係ないのです。 
 ただ成すべきことを成す。 
 運命の女神の指し示す道に殉じる事こそ、我が信仰……) 
  
手応えは確かに完璧ではなかったが、 
それでも当てる事が出来たことは事実。 
追撃の一撃を加えるべく、剣の内側に入り込み更に……
 
宙からナルバレックが新たに剣を取り出した!  
 
「ばっ!」 
 
驚愕を声に出してしまった自分を心底呪う。 
その一瞬を無駄にしてしまった為、剣を避ける余地が完全に無くなった。 
 
瞬間の、判断。思考ではなく反射が最適な行動を選択する。
 
 
―――右腕に剣が埋まっている。
篭手が無ければ完全に突き通されていただろう。  
痛みは無いが、痺れたような不快感が右手を覆っている。 

右腕に剣を埋めたまま、参ったをするように動く左腕を上げる。 
それを攻撃の予備動作とみたのか、 
ナルバレックは自由な方の剣で止めを刺すため、間合いを取ろうとした。 
 
だが、それは予備動作ではない。攻撃動作なのだ。 
 
左手に持ち替えていたロープの手応え。 
脇の下から跳ね上がった刃が、ナルバレックの顔面を襲うッ!
>382 (殺人狂vs死の教師)
 ――視界が赤く染まった
  
 舌打ちをしつつ、後方に大きく飛び退く。
 右の頬から、右目にかけてザックリやられたようだ。
 右目は完全につかいものにならない。
 どうせ、義眼なのでいくらでも代わりはあるが―― 
 
「―――ククククク、ハッハッハッ、ハーハッハッハッハッ!」
 
 ああ、愉快だ。
 つまらん任務だと思ったが少しはいい暇つぶしになりそうだ。
 
「――詰めが甘すぎるのが減点対象だが、不意打ちとしてはまあまあだ」
 
 左手のひとさし指を右目にかけながら、話を続ける。
 
「ああ、私の裏をかける奴はそういない。これは誉め言葉だぞ、クククク――」
 
 そして、私は右目を抉り出した。
 激痛―と一般的には言うのだろうが、それが私の全身をかけめぐる。
 と同時に、私の中の『スイッチ』が切り替わる。
 
「――『本気』で戦ってやる。さて、お前は何秒、立っていられるかな?」
 
 黒鍵を捨て、右手首に隠したナイフを右手に持ち、ネイムに肉薄する。
 5〜6メートルある距離が1瞬でゼロになる。
 
 同時に奴の首筋を狙って、ナイフを右から左へと一閃。
 しかし、それだけでは私の殺意は止まらない。
 
 そのまま、刃を逆さに返し、今度は奴のこめかみを狙って刺突を繰り出す
384ネイム・オンリー:02/04/19 19:07
>383 (殺人狂vs死の教師)
ヌカッ、と腕に突き通された剣を抜き捨てる。 
自分にようやく有利な展開になってきた、と僅かに安堵していた。 
相手の視界の半分を奪った、という事実は、
こちらの片手がほぼ使用不可能になったという事実よりも確実に大きかったからだ。 
 
(後は相手の死角に回り込みながら出血を誘えばいい。焦る必要は・……) 
 
響く哄笑。 
ナルバレックが右目を抉り出すその光景に慄然とし、思わず一歩後退する。 
 
(本気?今までが本気で無かったとでも?) 
 
だが事実が、それを証明した。 
あまりにも早いナルバレックの突撃に、
ネイムは視界の外へ移動するより回避に専念させられてしまう。 
 
(く、だがまだ……) 
 
薬物の助けを借りて人間の限界を超える運動能力を弾き出すはずの体を叱咤し、 
必死の思いで振り回されるナイフを回避する。 
 
そして今度こそ死角に回り込もうと地面を蹴った時、 
致命的な違和感が膝を襲い、態勢が大きく崩れた。 
 
限界を超えて体を酷使するということは――つまりそのまま、限界を超えてしまうということだ。 
限界を超えれば壊れる。生命活動は、ただの化学反応なのだから。 
そしてネイムの体は、その最後の一線を超えつつあったのだ。 
 
自らの致命的な隙に愕然としながら、喉元を狙うナイフに自分から動く左手を差し出す。 
最後の握力を反動とし、ひもに括られた短剣の刃が踊った。 
>384 (殺人卿vs死の教師)
 
 奴の体勢が崩れる。
 その瞬間に私のナイフは奴の喉へと……
 
 ――手ごたえあり。
 
 だが、貫いたのは奴の左手だった。
 そして、私の死角から風切り音。
 
「――――馬鹿が」
 
 ナイフから手を離し、大きく身をかがめる。
 一瞬後、私の頭上を奴の死力を尽くした一撃が唸りをあげて通過していった。
 
「――呆気ない幕切れだな」
 
 そのまま、足首に力を込め、全身のバネをいかして、そのまま奴の顎に向かって、右手の掌で突き上げる。
 奴の身体はそのまま無様に宙を舞って、吹き飛んだ。
 
「――立てるか? 立てないなら、これで殺すぞ?」
 
 私は吹き飛んだ奴にそう告げた。
386ネイム・オンリー:02/04/19 19:10
>385 (殺人卿vs死の教師)
崩れかけた壁に寄り掛かり、受けたダメージを確認する。 
打たれた顎は……舌で押すだけで簡単にわかるほど、完膚無きまでに砕けている。 
目は血涙のせいで霞んでいて見えない。
両腕の刺し傷からの出血は止まる気配もない。 
痛めた膝は曲がらず、棒のように意志を跳ね除けている。 
 
もはや立ち上がることすら出来ない体に、ネイム・オンリーは慨嘆した。  
 
(……これじゃあ殺されてしまいますね) 
 
殺される事自体に恐怖はない。死は、人の運命として書き込まれている決定事項なのだから。 
怖いのは任務を……聖都を護れない事。それだけだ。 
 
 
顔面のありとあらゆる穴から出血しながら、ネイム・オンリーは苦労して口を開いた。 
 
「……立てませんが、殺されるのは困りますね。まだ見せたいものがあるんですよ」  
  
握力が失せかけた手で、切り札を握る。 
――甚だ頼りないカードではあるのだが。 
前レス
>514
『ボーイ・ミーツ・ガール?』

「そんな!?」
 
炸裂した『石』が生み出した炎を、ブラックロッドははじき返す!
その先にいるのは・・・・クロノと覗き魔、それにみんな!

まずいッ!!
 
「クロノッ!!」
「!?」
 
私は、懐中時計に手を伸ばし、操作する。
次の瞬間!!
私の中から流れ出していく『何か』。それと本来の姿へと戻るクロノ!
 
ぅぁ・・・・・・・
 
襲いくる眩暈にも似た脱力感。
いつまでたっても・・・・コレだけは慣れないわ・・・・・・。
 
≪おおおおお!!≫
 
クロノが咆哮すると同時に、生まれる壁が炎を弾く。
これで・・・・良し。
私は、くたりとその場にへばりつく。
 
「クロノ・・・・いきなりで悪いけど・・・・・お願い・・・・・・!!」
≪わかった・・・・5分・・・・いや、3分で片をつける!!≫
 
クロノ頼もしい声が響く・・・・・。
388シグモンド ◆GuNDOggU :02/04/19 23:29
◆御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司◆
>337緑川 >342御神苗
バケモノが俺の手首に触れる…。
清水寺でチンピラどもが片付けられた時の事が脳裏をよぎる。
 
―――意識が――消 え る?
フルマラソンを完走したかのように体の内側から力がゴッソリと消える。
だが、バケモノをのさばらせてやる訳にはいかん………。
 
止めを刺そうとバケモノに両儀筒を向けたとき…。
背後から引っこ抜かれるような感覚とともに、脳天に衝撃が走った。
その時、何処かの茂みに手の中の両儀筒が吹っ飛んでいった…。
 
最後の瞬間、
 
「おい、こっちの方から爆音が聞こえなかったか?」
 
と言う声が遠くから聞こえた…ような気がした。
そして意識を手放した…。
ロングファング VS バイロン 『Branded Men's Cursed Night』
導入

 ひょんなことから見つけたそれは、なんとも懐かしい昔馴染みの痕跡だった。

「クク・・・」

 怪訝な顔の情報屋を前に、思わず含み笑いを漏らす。
 蛇の道は蛇。
 この街に入ってくるきなくさいシロモノは、どんなに巧妙に隠匿しても何がしかの匂いを放つ。
 探偵業(ああ、人生幾度目の探偵業だか)なぞをやっていると、その手の情報には自然と詳しくなるものだ。

 仲介と案内を頼んだというその男の容貌を聞いたとき、俺にはこいつの正体も目的も見当がついてしまった。
 やつが再びここを訪れるのは一週間後。一週間後には、ちょいとした行事がこの街で行われる。
 そこに来るのは、お偉い方――それも、ちっとばかりやばい方のお偉い方だ。
 わざわざそんなところにあの男が出向くとなれば、することは一つしかない。

――一週間後だ。
 再会の挨拶は、なるだけ派手な方がいい。
ロングファング VS バイロン 『Branded Men's Cursed Night』
>389

車を運転していた。
何の変哲も無い車。
ありふれた、いたって平凡な大衆車。
それはつまり目立たないと言う事だ。
 
彼は影絵の街を、ゆっくりと車を走らせて行く。
 
彼の名はバイロン。ブルーソルジャーの名で呼ばれることもある。。 
彼は仕事へ向かう途中だった。
VIPの暗殺。
彼の本業からは多少それるが、人を殺めるには変わりないし、まあそれなりの理由もあった。
 
彼は影絵の街を往く。
 
脳内で目標を片付けるまでの手順を確認し、
片付けてからの手順をそれより念入りに確認する。
生きて帰るまでが仕事なのだ。
 
ふとそこまで思い苦笑する。
 
・・・・・・まあ、帰ったとしても待つべき人など存在しないのだが。
 
口元に苦笑を浮かべたまま、彼は目的地に向けて車を走らせる。
391諸井霧江 ◆hXHETARE :02/04/19 23:42
<弓塚さつき(死徒27祖Ver)vsキメラヴァンプetc>
      ―リァノーン代用素体確保計画―
  
 我が燦月製薬は、『リァノーン』を失い、V酵素の供給源を失った。
 故に、代用となる素体の確保は燦月製薬の未来の為に急務である。
  
 現在、日本に存在するリァノーンの代用となれる強力な吸血鬼は1体確認されている。
 素体名称『弓塚さつき』……
 死徒27祖と呼称される最高峰の吸血鬼たちの一員である。
 これを我が燦月製薬は確保する。
  
 各自、検討を祈る。
  
   
          ―緊急報告―
 
 現在、郊外の森で『弓塚さつき』捕獲作戦を実行中である。
 投入戦力は……
 ・キメラヴァンプ5体(うちEXグレード3体)
 ・傭兵多数
 ・指揮車としてBRDM−2装甲車両を一台
  
 なお、本作戦は私、諸井霧江が指揮を取る。
 再度、告げておく。
 本作戦の目的は、『殲滅』でなく『捕獲』である。
 この過剰ともいえる戦力投入も捕獲に万全を期する為のモノであることを各員、肝に銘じておくように……
  
 ――作戦を継続する。各員、死力を以って任務を遂行せよ
  
  
 <森内部某所>
 高機動型キメラヴァンプ『バットヴァンプ』は森の中を駆ける弓塚さつきを捕捉した。
 ニヤリとバットヴァンプは笑みを浮かべる。
 両手のマシンガンの銃口がさつきに合わせられる。
  
 一瞬後、パララララというタイプライターのような乾いた音が森の中に響いた!
ロングファング VS バイロン 『Branded Men's Cursed Night』
>390

 一週間あれば、それなりのものはそろえられる。歓待の準備は整った、あとはゲストを招くだけ。
 ・・・時計を見る。

 仕入れた情報と、やつの力量と思考パターンを考慮すりゃ、だいたいの行動パターンは予想がつく。
 それが覆されるとしたら・・・俺の存在が奴に知れたときだ。が、こちらの痕跡は、十分すぎるほどに用心して消している。
 可能性が無いとは言わんが、そこまで考慮に入れていては何もできない。
 ただ、時が過ぎるのを待つ。

 再び時計を見る。
 日暮れ時である。裏通りの、さびれたビルの三階の窓からは、祭りの準備は良くは見えない。
 せいぜいが、電飾の明かりがうっすらと見える程度だ。
 だがそれでも、祭り独特の喧燥は伝わってくる。
 本格的に祭りがはじまるにはまだ、ちと早い。

 と、裏通りに車両が進入してきた。
 その型式とNo.が下調べどおりのものと確認し、俺は唇を嘗めた。
 知らず、口元が獰猛な笑みを浮かべる。

 俺は、簡素なリモコンのスイッチを無造作に押した。
 祭りの準備で盛り上がる街の各所で、爆発が巻き起こる。
 爆音。怒号と悲鳴。
 それらがないまぜに響くのを遠く聞きながら、俺は携行ロケット砲を担ぎ上げた。

 さあ、不死者の宴の始まりだ。
ロングファング VS バイロン 『Branded Men's Cursed Night』
>392
 
ふと、いやな感触が脳裏をかすめた。
ゆっくりと首を回し、車外の様子を確認する。
その瞬間。見慣れた、だがこの場に相応しくないものが視界の隅に、映った。

ロケットランチャー。
 
脳よりも身体が先に反応した。ドアを開き車から飛び降りる。
そのまま身を深く沈め全力で走ると、
遮蔽物の陰へと転がり込み、爆風と襲撃者の追撃から身を隠す。
地に伏せ、口を開いて耳を塞ぐ。
 
轟音。
 
車が派手な音を立てて爆発する。
大気は震え、衝撃が全身を貫いていく。
破片が飛び散り、辺りは混乱の様を呈し始める。 

(情報がもれたか?)
脳裏をよぎる疑問をよぎる疑問を首を振って振り払う。
腰の後からデザートイーグル50AEを抜き。安全装置を外す。
 
まずは生き残ることが先決だ。
394ガロン ◆GALON/hc :02/04/20 00:17
殲鬼と闘鬼〜ガロンvs不破雷也
 
「・・・・・・お前ではなかったのか?俺の魂に語りかける声は・・・・・・」 
 
目の前に崩れ落ちる鎧武者を見下ろしながら、
獣人は独りごちた。
これで、何人目だろう・・・・・・・夜の眷属(ナイトストーカー)を狩ったのは・・・・・・
 
ある日、突然発症した獣人化現象・・・・・・
その血の呪いを解く為に、今まで狩り続けてきた。
しかし、何時の間にか、俺もその血に体を支配されてしまうのではないか?
自分が自分でなくなる恐怖に苛まれながら、
それでも彼は狩り続けてきた。
 
「戦い続けるのが俺の運命なら・・・・・・せめて勝利に染めてやる・・・・・・」 
 
何時の間にか、ヒトの姿に戻った彼は、脱ぎ捨てた上着を羽織る。
ヒトの生活に、再び戻るために。
しかし・・・・・・運命は再び彼を闘争の渦に巻き戻そうとしていた。
 
彼の眼前には、一人の青年が立っていた。
その体からは、溢れんばかりの闘気が立ち上っている。
 
「・・・・・・何か用かな?出来れば、そこをどいて欲しいのだが・・・・・」
 
彼は、青年に語りかけた。
395御神苗優:02/04/20 00:18
はっきり言って迷惑だ!〜御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司  
 エピローグ
>388 シグモンド
 
煙幕はやがて消え、その場には地面に転がってる二人の男と、
その始末に困ってる俺の姿があった。
このまんまじゃあ、困るよなぁ、やっぱ・・・・・・ 
 
とりあえず、黒コートの男にはまた追いかけられるのも困るので、
木立の中に引きづりこみ、猿轡をかました上で気に結わえ付けた。
念入りにナイフなどを取った上で、ね。 
 
そして、俺は眼鏡の兄さんをかついで、手近な茶店に入る。
店の人に頼んで店先に寝かしつけると、
俺は山本さんに連絡を取った。
こっちは修学旅行中だ、これ以上の妨害が入るのはゴメンだった。
あの男の身柄を引き取ってもらい、
黒幕に圧力をかけてもらおう。
とりあえず、今の俺に出来るのはそれくらいだからな。
電話をかけ終わると、俺はそのまま店を出る。
兄さん、ありがとな。助かったよ。
そして俺は、暗くなりかけた京都の街へと姿を消した。 
 
 闘争終了
 

396不破 雷也 ◆ayRAiYAw :02/04/20 00:30
>394
殲鬼と闘鬼〜ガロンvs不破雷也
 
 おれはブライオーに導かれ、東北の山中に来ていた。
 蓬莱の姫を狙う邪怨衆。ヤツらをこちらから殲滅するための手がかりを探して。
 
 そして、導かれた先には、毀れた鎧と一人の男。
 ……匂う。
 まだブライオーの親となる前、ひたすら求めていた匂い。
 そう、強者の匂いだ。
 
『・・・・・・何か用かな?出来れば、そこをどいて欲しいのだが・・・・・』
 
 そう問われて、返す。
 
「おれの用は、アンタが済ませちまったみたいだ。その代わりと云っちゃあなんだけど……」
 
 にっこりと笑いながら。
 
「おれと決闘しないか?」
ロングファング VS バイロン 『Branded Men's Cursed Night』
>393

 メインストリートから外れているとはいえ、今宵は祭りだ。
 ロケットランチャーの炸裂音に野次馬が増え出している。
 加えて、街のあちこちで起った爆発が、混乱の度を深めつつあった。
 サイレンの音が四方から響くが、それで収拾がつくような事態ではない。

「く、く・・・」
 片頬を釣り上げた、歪んだ笑みを張り付かせたまま、俺はバイロンの方を見やった。
 距離は、まだ遠い。幾重にも間に通行人を挟んで、しかし流れに逆らって立つ。

 人の流れの中にあって異質な二人。
 奴と、目が合う。
 俺は、唇をさらにつりあげて、挑発の笑みを形作った。

「来いよ。歓迎パーティはこっからが本番だ」
 呟くような声。喧燥にまぎれて、やつに届くはずも無い。
 だが、伝わったはずだ。

 俺は、ふらりと暗い裏路地に見を溶け込ませた。
>364 『殺人鬼の贖罪』 <遠野志貴vsアルトルージュ&プライミッツマーダ― エピローグ1>

 炎上する屋敷の門から出る。
 その瞬間、黒い剣が私に向かって飛んできた。
 右腕の一振りで剣を叩き落とす。
 
 剣の飛んできた方向を見ると、黒いカノックを着た女性。
 埋葬機関か。
 
「――私と戦うつもり? いいのかな? 犠牲者が屋敷の庭で転がってるよ。処置しないと手遅れになるかもね」
 
 私はニヤリと笑ってそう女に告げた。
 異端狩りが仕事の連中がこれで退くとは思えない――
  
 と思ったら、女は顔色を変えて、屋敷の方へと駆けていった。
  
 予想外の行動。
 でも、もう、遅いわ。
 私から直に吸血されて、血を送られたんだもの。
 今ごろは――
  
「あははは、アルクェイド、あなた、自分の責務を忘れた罰よ。私にも平穏がないようにあなたにも平穏はない。
 あってもそれは私が許さない」
  
 ――遠野志貴、永遠の生で罪の償いなさい
  
 ――これが『罰』よ
 
 私は月夜に向かってそう嘲笑した後、炎上する遠野邸を後にした……
399御神苗優:02/04/20 00:42
殲鬼と闘鬼〜ガロンvs不破雷也
>396 不破
 
『おれと決闘しないか?』
 
青年は唐突に言い放った。
大方、ここの鎧武者の噂を聞いてやってきた、狩人だろう。
徒手空拳で来るとは・・・・・・自信過剰なのか、
それとも奥の手があるのか・・・・・・
 
しかし、今の彼は血が滾っていた。
(面白い、一つ、この青年に世界の広さを教えるとするか) 
 
「・・・・・・決闘?それは力量が同じ人間がやるものだ、と私は習ったのだが」 
 
彼は静かに構えた。
 
「君に、世界の広さを一つ、レクチャーしてあげよう・・・・・・」 
 
400ガロン ◆GALON/hc :02/04/20 00:47
殲鬼と闘鬼〜ガロンvs不破雷也
>396 不破
 
『おれと決闘しないか?』
 
青年は唐突に言い放った。
大方、ここの鎧武者の噂を聞いてやってきた、狩人だろう。
徒手空拳で来るとは・・・・・・自信過剰なのか、
それとも奥の手があるのか・・・・・・
 
しかし、今の彼は血が滾っていた。
(面白い、一つ、この青年に世界の広さを教えるとするか) 
 
「・・・・・・決闘?それは力量が同じ人間がやるものだ、と私は習ったのだが」 
 
彼は静かに構えた。
 
「君に、世界の広さを一つ、レクチャーしてあげよう・・・・・・」 
 

>399はスルーで・・・・・すまない
401不破 雷也 ◆ayRAiYAw :02/04/20 00:54
>400
殲鬼と闘鬼〜ガロンvs不破雷也
 
「へぇ、レクチャー、ねぇ……」
「ま、いいや。じゃあ始めようか」
 
 言葉と同時に。
 身体を地面と平行に倒し、低い姿勢で男に向かって駆ける。

 まさに疾風迅雷の如き動き。
 
「ジャッ!」
 
 その勢いのままに、男の足を狙って蹴りを放つ。
 無論、単発の蹴りではない。
 蹴りを放ちながら、地面に手を付き、そこを支点としてもう片足で蹴りを放つ。
 狙いは金的。
 二段蹴りだ。
402緑川淳司 ◆CRSxoxJM :02/04/20 01:02
◆御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司◆
>388 シグモンド >395 御神苗優
 
目が覚めた。
淳司はまだくらくらする頭を振ると起き上がり、まわりを見渡す。
どうやらここは茶店らしい。
近くの店員にどうしてここに居るのかと尋ねると、
『学生さんが運んできてうちらにあなたの事を任された。』との事。
ああ、なるほど、っとうなずいた淳司は店の人達にお礼を言いすでに薄暗くなった京都を歩いていった。
レンタルしていた自転車を返し、友人宅に向かうために。
 
……………
 
激動の京都滞在から2週間ほどが過ぎたある日の事。
淳司は北多摩美術館の館長である伯父に頼まれ、アーカム考古学研究所の日本支部に訪れていた。
受付に行き、支部長の部屋の前まで案内してもらう。
 
『失礼します。北多摩美術館の緑川淳司さんが訪ねられました。』
中から『どうぞ』と入室を促す声が聞ける。
「失礼します」
 
そうして部屋に入った淳司の前には、
書類を片付けていたのであろうここの所長である山本という中年の男性と、
……どう見ても学生にしか見えない、どこか見た覚えがある男性がいた。
『……ああっっ〜〜!!』
大声を上げ淳司を指差す学生。それに苦笑しつつ、
「やあ、また会ったな。」
と、片手を挙げて答える。
 
山本は2人を見比べて苦笑しながら言った。
『あ〜、すまないがどういう事か説明してもらえるかな?』
 
………【完】
ロングファング VS バイロン 『Branded Men's Cursed Night』
>397
 
なるほど。
思わず口元に苦笑が浮かぶ。
ロングファング。
まだ滅びていなかったというわけか。
まあいい。数十年ぶりに顔見知りに会うのも悪くは無い。
 
 
例えそれが銃口越しだとしても。
 
 
安全装置をかけ、銃をホルスターに戻す。
そして、見失わない程度の速さでロングファングを追いかけて行く。
正直仕事が失敗した以上、一刻も早くこの場を去るのが最良の手段だ。
だが、何故か、そんな気はわかなかった。
 
どうやら向こうもおれが見失わないように、ゆっくりと移動しているようだ。
・・・まあ、いい。今回はそちらにのってやろう。
 
しばしの後、ロングファングは廃ビルに入っていった。
おれはそれを見届けると銃を抜き、安全装置を外す。
 
さあ、始めるとするか。
 
そうしてバイロンはビルの中へと足を進めた。
404アーカード ◆ARCARDr. :02/04/20 01:03
>183、>236 アーカードVSファントム
 
 拍子抜けするほど軽い銃声、アーカードの体に食い込む貧弱な銃弾。
 銀製でもなく、法儀式も施されていない、ましてや概念武装でもない銃弾。
 
「何だコレは? コレが、こんなモノがおまえの鬼札(ジョーカー)だと?」
 
 銃弾が空けた穴を見つめながら言葉をこぼす。
 何かが起こる様子もなく、もちろんダメージなどありはしない。
 
 呆けたような表情から、一転して不愉快そうな表情へと。
 期待を裏切られた少年の様にも見えるが、そんな表情をする少年はいまい。
 際限なくつり上がっていくのではないかと思わせる口元と片眉。
 
 怒っていた。
 
「なら、死ね」
 
 外すワケがない距離から手刀を振るう。
 もう、少年に手駒は残っていないはずだ。
 この手刀で全てが終わる。
 その意志の強さは失うには少々惜しいとは思うが、だからと言って生かしておくワケにはいかない。
 
 これは殺し合いだと少年は定義したのだから。
 今、まさに少年の命を以て殺し合いは終わる。
 
 ――遠い銃声、近い炸裂音。
 
 だが、少年に埋め込んで命を奪うはずの手刀がアーカードの目の前から消えた。
 否、吹っ飛んでいた、銃弾によって。
 
 失念していた、少年に連れがいた事を。
 少年との戯れに興じるあまり、連れの少女が魔眼の支配に陥っていた事など忘れていたのだ。
 しかし、それが如何ほどの事だというのだ?
 この程度はすぐに再生する、いや、再生を待つ必要すらない。
 もう片方の腕で充分だ。
 
「無駄な事を」
 
 嘲笑を、少年と見えない場所にいる少女へと向ける。
 命が僅か延びただけ、時間稼ぎにすらならない。
 
 はずだった。
405アーカード ◆ARCARDr. :02/04/20 01:03
>404続き
 
 だが、その時間稼ぎは致命的な、そして少年にとっては九死に一生を拾った一瞬であった。
 
(私をなめるな、従僕!!)
「!?」
 
 突如としてアーカードの脳裏に響いたのは――主たるインテグラの声。
 ここにいるはずもなく、ましてや念話などできるはずのない主の声。
 それが、確かに聞こえた……脳内で。
 
「何だ、今のは……? 幻聴……(それならばまだ、どれほど気が楽か)!」
 
 幻聴では、ない。
 だが、音でもありえない。
 そして、その声は次第に密度を増して木霊するかのように合唱しだした。
 
(御大層なたわ言はもう結構だ)(こいつは我々の国教、我々の英国、そしてヘルシングを舐めきっている!)
(さあどうする、アンデルセン!!)(うるさい!! バカ!! 知ったことか!!)
(命令は唯一つ、「見敵必殺」、以上)(お互い大変な部下を持って苦労するな、ええ? 「オス豚」?)
(任務御苦労、我が僕)「何だ……」(私は命令を下したぞ、何も変わらない!)
「何なのだコレは!」(すぐに帰還しろ、報告を正式にしろ)(笑い事か!? 笑い事ではないぞ)
(全ての障害はただ進み、押し潰し粉砕しろ!!)(誰だ、敵か、味方か)「五月蠅い!!」

 思わず主の言葉に叫ぶアーカード。
 いかな絶対たる主の言葉であっても、これではたまらない。
 だが、そんなアーカードの叫びすら無視して響き続ける声。
 
 そして、全ての声がたった一つの命令を唱和する。
 
 
(((((拘束せよ)))))
 
 
 ギチリと、拘束具が軋むような音を聞いた――アーカードだけが。
 主の声が拘束を命じれば、クロムウェルは逆らえない。
 今やクロムウェルが、アーカードを囚われの身にしていた。
 
「グ……ぁ……」
 
 満足に、声を出すことすらできない。
 もはや、この哀れな不死の王は何も出来はしない。
406シグモンド ◆GuNDOggU :02/04/20 01:08
前スレ分の経過纏めだ。 
http://cocoa.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1017941718/515
今スレ分だ。
>27>35>41>56>65>79>83>96>113>143>147
>149>152>160>165>185>191>194>205>235
>251>253>282>286>287>290>297>315>326
>337>342>388>395>402
 
この闘争で思った事をここに書いてくれ。
http://jbbs.shitaraba.com/game/bbs/read.cgi?BBS=163&KEY=1013072172
407遠野志貴 ◆sikiXlKk :02/04/20 01:30
>398 『殺人鬼の贖罪』
<遠野志貴vsアルトルージュ&プライミッツマーダ― エピローグ2>

 目が覚めたら、俺は和風の離れにいた。
 懐かしい天井。
 「遠野志貴」になる前の懐かしい記憶。

 まず一番に文句を言ってきたのはシエル先輩。屋敷が燃えているのを見つけて
駆けつけてきたらしいが、俺は既に死徒化。なんで私が死徒を助けなくちゃいけないんですか、
と酷く叱られた。なんだかんだ言いつつ、陽光の当たらない離れの奥の部屋に
入っていられるのは先輩のおかげだ。
 続いてまるで烈火のごとく怒ったのは秋葉。散々に俺を叱った後に、これ以上兄さんの
顔を見ていると顔が怒りの表情で固まりそうです、とか言って洋風の離れに行ってしまった。
いつも心配をかけてごめん。
 それを追っていったのは琥珀さん。秋葉様はお任せ下さい、志貴さんはお大事に、と言って
洋風の離れに向かった。フォローをしてくれる琥珀さんには感謝だ。
 残ったのは翡翠。俺の世話をしてくれるらしい。俺が吸血鬼になって怖くないか、
と聞いたら

「志貴様は志貴様ですから」

という返事が返ってきた。


 俺は俺。
 そうだよな。


 これからやることは多い。
 まず、死徒になって自分がどう変わったか確かめなきゃいけない。
 コップを握ったら割れた、とかいうことが無いように。
 陽光と流水も克服したい。

 先輩から聞いたことだけど、どうやらアルクェイドは死徒狩りに行っているらしい。
 俺に心配かけたくないから黙って行ったそうだ。
 そのアルクェイドにもちゃんと話さなくちゃいけない。

 そして何より――――。
 アルトルージュに文句を言いに行きたい。
 そのくらいは許されていいだろう。

 短いと思っていた、自分に残された時間。
 それがいきなり途方もなく延びてしまった。
 これから何があるだろうかと考えると、まあ悲喜交々。
 たとえそれが贖罪の道程であっても。


 俺はこれから続いていくであろう思い出を考えた。
 その終わりは途方もなく遠いのだろう。


                         <END>
<弓塚さつき(死徒27祖Ver)vsキメラヴァンプetc>

 深く暗い森の中、叢を駆け抜ける音が辺りに響く。
 視界の中、右の端から左の端まで、途絶えることのない樹木。
 生い茂った自然は、頭上の月までも隠している。

 そう、これはきっと、『弓塚さつき』が、
 追い詰められたという事実そのものだった――――――――――――――


 ―――――分け入っても分け入っても、とは良く言ったもの。
 いくら樹の間を抜けていったとしても、一向に終わりは見えてこない。
 傍から見たら多勢に無勢、さらには追いこまれているというこの状況。
 こちらの圧倒的不利だろう。
 ――――――また、厄介なことになっちゃったね、志貴くん
 しかし、思考はこの状況で、いつもと変わることなしに、一人のヒトを想いつづける。

 パララララララ!
 突如、思考が、中断する。
 半ば反射的に四肢を攀じると、先ほどまで居たところを
 小さい、鋭い速さを持ったものが、通りすぎていくのがわかる。
 わたしは、ぎり…と歯軋りをする。
 攀じったそのままの右足で大地を蹴り、先の弾丸の出所へと、擦違いざまに肘を突き出す。
ロングファング VS バイロン 『Branded Men's Cursed Night』
>403

「よ〜う、良く来たなバイロン」
 元はホテルか何かだったのか、玄関は二階まで吹き抜けになっている。
 二階の廊下の手すりに体を預け、俺は玄関口のバイロンに声をかけた。

 悪い癖といえば悪い癖だ。
 だが、こいつはゲームだ。趣向を凝らさず、なにを楽しむ?

「別にお宅に恨みがある、てなわけでもないんだがな。ま、付き合えや」
 ことさらにゆっくりとエンチャントマグナムを抜き出す。

「お互い生きてる以上、借りは返しとかなくちゃ、な・・・」

 拳銃で撃ち合うには、距離は、やや遠い。
 それを承知で、俺は引き金を引いた。
>408は
>391宛でお願いします。
『殺人鬼の贖罪』 <遠野志貴vsアルトルージュ&プライミッツマーダ―>
……のレス番纏めね。
む〜、私、被害者よ!?
何で、こうも悪者に見えるのよ!?
志貴、結局、絶望してないし……

私って不幸――!
 
>304>305>306>307>312>316>322>330>335>341
>354>355>356>359>361>362>364>398>407
412諸井霧江 ◆hXHETARE :02/04/20 01:59
>408
<弓塚さつき(死徒27祖Ver)vsキメラヴァンプetc>
<バットヴァンプ視点>
 
 弓塚さつきを捉えたはずのマシンガンの火線は空しく空を切り、木々の枝を吹き飛ばす。 

「キィィィッッ――!?」
 
 視界から、弓塚さつきが消えたことにバットヴァンプが驚きの声を上げた。
 直後、弓塚さつきがバットヴァンプの目前に現れ、肘を腹に叩き込む。
 
「ゲヒィィィ――!?」

 苦悶の声を上げるバットヴァンプ。
 ただの肘打ちでも、バットヴァンプの内臓はシェイクされるに十分だった。
 力なくバットヴァンプは翼をはためかせ、後退する。
 しかし、バットヴァンプはそれだけでは終わらなかった。
 
「――コオァァ」
 
 バットヴァンプは顔が裂けるかと思われるほど口の大きく開け、喉の奥の器官を剥き出しにした。
 直後、猛烈な痛みを伴う超音波がさつきを襲った。
 人間ならこれだけで昏倒するところだ。
 
<指揮車>
 
「――捕捉したか!? 総員、E−7ポイントに向かえ!」
 
 諸井霧江は淡々と指示をだす。
ロングファング VS バイロン 『Branded Men's Cursed Night』
>409

呪化旋条によって加速・呪化された弾丸がこめかみを掠めていく。
頭部を揺さぶる心地良い衝撃波を感じながらおれは、
デザートイーグル50AEの銃口をロングファングに向ける。
 
ろくに狙いはつけず、挨拶代わりに引き金を引く。
そして、階段めがけて走り出した。
>412
<弓塚さつき(死徒27祖Ver)vsキメラヴァンプetc>


 目の前にいる悪趣味なものが、赤く巨大なくちを開く。
 恐らく、それは相手の切り札。
 
 だけど―――――――――遅い

 わたしは難なく相手の背後に回ると、『悪趣味』の胸部を突き破る。
 顔に、身体に、全身にはねる返り血。

「……………………これで、ひとつ」
 わたしは頬からクチビルへと垂れ流れてきた、
 予想通りに不味い血を舐めながら呟き、再び走り出した。

ロングファング VS バイロン 『Branded Men's Cursed Night』
>413

 間髪入れず、応射が来る。弾丸は手すりに命中し、破片を撒き散らした。
 乗って来た。さすがは戦争が生きがいといいきるだけのことはある。

 撃ち返す。反動を怪力で殺し、残弾を一斉射。
 6発、全弾撃ちきったところで俺はきびすを返した。

 瞬間、左の肩に命中弾を貰う。派手にはぜる肩の肉。
 だが、まるで頓着せずに背後の廊下に滑り込む。

 エンチャントマグを排莢しながら走る。

(追ってこい、バイロン・・・)
 せっかく用意したんだ、楽しんでもらわなきゃ、詰まらんてものだ。
ロングファング VS バイロン 『Branded Men's Cursed Night』
>415

50口径のミスリルチップが空を裂いて迫ってくる。
命中。 
着弾の衝撃がバイロンの身体を揺らし、
火箸を突きこまれるような痛みが脇腹と左肩に生じる。
 
だが、致命傷には程遠い。痛みはあるが、
再生能力を備えた彼にとってはかすり傷と大差は無い。
 
着弾の衝撃にも足をとめず、一気に階段を駆け上がる。
そして、そのままの勢いでロングファングを追って廊下へと走りこんでいった。
417ガロン ◆GALON/hc :02/04/20 02:58
殲鬼と闘鬼〜ガロンvs不破雷也
>401 不破
 
青年は不適に笑う。
 
『ま、いいや。じゃあ始めようか』 
 
その声と共に、青年は雷のごとく駆け寄ってくる。
神速の蹴り。しかも連続しての金的攻撃。
 
(・・・・・・これは・・・・・・殺人拳か・・・・・・楽しませてくれそうだな)
彼は笑みを浮かべる。
足を狙った蹴りは半歩下がり、金的は身を捻ることで避ける。
 
「これは失礼したね・・・・・・なかなかの腕前のようだ・・・・・」 
 
彼は静かに訂正した。
 
「だが・・・・・・振りがまだ大きすぎるな。大技は動けなくしてから確実に放たねばな」 
 
彼は師範のように声をかけながら、彼を翻弄する。
 
「さぁ、まだ君の力はそんなものではあるまい?本気でかかってきたまえ」 
 
418不破 雷也 ◆ayRAiYAw :02/04/20 03:16
>417
殲鬼と闘鬼〜ガロンvs不破雷也
 
「ふぅん……なかなかに、やるね」
 
 大した感慨もなさげに呟く。
 奇襲を避けられたとはいえ、それは予想の範疇だ。
 
「本気、ねぇ……これで、どう?」

 ニィ、と笑みを浮かべながら、抜き手を顔面に放つ。
 無論、躱されることはわかっている。
 否、躱されることを前提とした誘いの一撃。
 
 顔面の横を吹き抜けた抜き手を、くん、と引き戻し、頭を掴む。
 そして、そのまま、顔面目掛けて膝を叩き込む。
 
 えげつないほどの喧嘩殺法
 これが、姫護闘術。
 これが、不破雷也だ。
419ガロン ◆GALON/hc :02/04/20 03:34
殲鬼と闘鬼〜ガロンvs不破雷也
>418 不破
 
青年は攻撃を避けられたのにも余裕の表情で再び対峙する。 
 
『本気、ねぇ・・・・・・これで、どう?』
 
顔面への抜き手。彼は余裕でそれを避けた。
しかし、それはあくまで誘いの一撃だった。
突き抜けた抜き手を引き戻して頭をつかみ。
顔面めがけての膝。
 
彼は飛ばされた。
鼻は曲がり、血が流れている。
鼻骨を元に戻しながら、彼は立ち上がる。
 
「なるほど・・・・・無形が君のスタイルなわけか・・・・・・面白い」 
 
彼は笑った。 先ほどの鎧武者では不完全燃焼に終わったが、
彼ならばあるいは・・・・・・
 
「此処では俺も力を出し切ん・・・・・・着いて来い・・・・・・」 
 
彼の目が赤い光を放ち始める。
そして、戸外へと跳んだ。
その姿を・・・・・・蒼きオオカミへと変えて。
420吾妻玲二 ◆REIJI2xI :02/04/20 03:45
>189>236>405 アーカードvsファントム

 一瞬…… 確かに死を覚悟した。
 だが吹き飛ぶアーカードの手、それを見ると同時に体が動いている。
 即座に奴の体の下を潜り抜けると一度は捨てたデザートイーグルを拾うや否や
 アーカードの頭に照準…… その時になって俺は奇妙な違和感に気づいた。

 奴の様子が、おかしい……。

 見た目は腕を片方失っているにすぎない。
 しかし 先程まであれほど感じていた奴の殺気……
 集中的に俺に向けられていたそれが、とまどい、苦しみ、行き場所を見失って混乱している。

「何が…… 起きたんだ……?」

 答えが返って来る筈も無い、
 彫像の様に動かないアーカードに狙いをつけたまま、いくらかの時が過ぎ……。
 やがて荒れ狂う殺気の嵐が諦めた様に静まるのを感じ、ようやく俺は深く息をついた。

 気が緩むと同時に、肩と太股に受けた傷の痛みがぶり返してくる。
 左肩の傷は良く見えないが深く、流血はジャケットの肩口をじっとりと濡らしている。
 酷く痛む、骨が見えているかも知れない。
 太股の方は弾丸の破片に当たり、1センチ程度の深さで切り裂かれていた。
 流血も酷くは無い、普通に歩く程度なら問題は無いだろう。

 もう一度動かないアーカードを確認する、その表情からは何も読み取れはしない。
 まるで人形の様に、ただそこに存在していた。
 間違い無い、これが対アーカード専用弾の効果なのだ。

「帰らなきゃ……。」

 そう、エレンに約束した。
 俺を救ってくれた銃撃もエレン以外には考えられない。
 デザートイーグルをホルスターに戻すと、俺は傷と疲労で重い足を引きずりながら
 二人の居る方向へと歩き始めた。

 未だ燃盛る酒場、その横を通り過ぎる、そして目の前に転がるEマグ……。
 そういえばあの時でさえ無意識にエレンと反対の方向へとアーカードを誘導していた。
 感慨に浸りながらEマグを拾い上げる……。
 何分歩いただろうか…… そこに大切な人の存在を感じて目を向ける。
 エレンと目が合い、自然と笑みがこぼれる。

「ただいま… エレン…… 」
421不破 雷也 ◆ayRAiYAw :02/04/20 03:53
>419
殲鬼と闘鬼〜ガロンvs不破雷也
 
「は。やっぱりただ者じゃなかった、か」
 
 今や、蒼い人狼と化した男は、外へ飛び出した。
 確かに、ここは狭すぎる。
 
「ああ、いいだろう、行くぜ」
 
 とん、と床を蹴り、外へ。
 
 
 戸外では、白い雪が舞っていた。
 その雪をも溶かさんとするかの如き、強い闘気を発散する雷也と人狼。
 
「しゃっ!」
 
 先に仕掛けたのは、雷也。
 膝を狙ったローキックを放つ。
422ガロン ◆GALON/hc :02/04/20 04:18
殲鬼と闘鬼〜ガロンvs不破雷也
>421
 
真白き雪降りすさぶ中、二人は対峙する。
闘気満ちた二人には、その雪の冷たさすら心地よい。 
 
『しゃッ!』 
 
動きを封じようというのだろう、膝を狙った蹴り。
それを横っ飛びに避けると、手近な電灯の支柱に手をかける。
そして、それを鉄棒代わりに一回転すると、
彼はその両足を青年に向けて放つ。
獣の脚力、回転力、鉤爪。
その三つが組み合わさった
殺人の蹴りが矢のごとく飛ぶ。
 
「蹴りってのは、こうやるもんだ!!」 
423如月蘭(M):02/04/20 09:48
カーラvs如月蘭
>380

魂を凍てつかせる旋律。
魔女の心の叫びにのって、吹雪が吹き付けてきた。

「それが、お前の望みか?」

全身を白く染め上げた格好で、少年が問い掛ける。

「均衡を守るためなら、可能性を奪っても構わぬ。自らは均衡を破っても構わぬ、と――――」

視界の利かぬ猛吹雪の中、淡々と魔女に向かって語りかける少年。

「力を持つとは、つまりそういう事なのだろう? それとも貴様自身は例外だとでも?」

少年の周りの吹雪が、一瞬収縮した。
そして、爆発。

純白の檻から開放された少年は、自らの周囲に旋風を纏わせながら
魔女目掛けて突進する。

「どちらにしろ、テロリズムで世界の流れを変えようというのは幼稚な話だな」
Broken Doll vs Stupid Zombie ...vs Eccentric Butler『血塗れの遁走曲?』
>吸血大殲18章、465

劇場前。
まだクソガキはいない。
変態もいないようだ。待ち伏せするには丁度良い。

劇場入り口。
何故か開けっ放しになっている。

劇場ロビー。
人気の無さが不気味だ。
外界の喧騒が冗談のように聞こえる。

劇場通路。
嗅ぎ慣れた臭い。これは・・・・・・血臭?
一体何が起こってるんだろう?

そして、運命の扉が開く。
その中は・・・・・・


一面の、赤―――――
425カーラ(M):02/04/20 12:08
>423 
如月蘭対カーラ
 
 
吹雪と冷気を物ともせず
空を駆け少年が一直線にカーラに向かってくる。
 
大気すら切り裂きながらカーラにぶつかっていき――――すり抜けた。
 
カーラの姿が歪み、そして消えてゆく。
 
「幻像だよ。吹雪に紛れて呪文を唱えた」
 
声は少年の背後。
 
「可能性は均衡による秩序があってこそ活きるモノ。方向性のない可能性など混沌でしかない」
 
息が触れるほどの位置でささやかれる言葉。
そして――――呪文。
 
『万物の源たるマナよ、全ての存在を塵に……そして虚無へと帰さん』
 
呪と共にそっと少年の手に触れた。
次の刹那、少年の指先が音もなく崩れ去る。
 
物質を原子の単位まで砕く呪文、その崩壊は徐々に腕全体に浸食しつつあった。
426諸井霧江 ◆hXHETARE :02/04/20 12:19
<弓塚さつき(死徒27祖Ver)vsキメラヴァンプetc>
>414
<バットヴァンプ>

「ブギュルウァァァァッ!」
 
 バッドヴァンプは心臓を貫かれ、ビクリと痙攣した後、灰になって崩れ落ちた。
 
<指揮車>
『バットヴァンプ、目標捕捉後7秒で完全死亡確認』
 
 指揮車のナビゲーターは諸井霧江にそう告げる。
 ギリッと諸井霧江は歯軋りをする。
 いくら、27祖といっても自分の『作品』を紙くずのように屠られては、彼女の矜持に関わる。
  
「ええい、役立たずが――。1番、近いキメラヴァンプと傭兵たちは?」
 
『はい、『スパイダーヴァンプ』と――』
 
<スパイダーヴァンプ>
 
 接近戦特化仕様のキメラヴァンプ『スパイダーヴァンプ』はその視界に弓塚さつきを捉えた。
 同時にスパイダーヴァンプの背後の傭兵部隊が弓塚さつきに銃を構える。
 
 直後、数発の銃声。
 同時にスパイダーヴァンプの3本の刀の鍔鳴りの音がしたかと思うと、スパイダーヴァンプの姿は既に、
 傭兵たちの下になかった。
 
 スパイダーヴァンプは一足飛びに弓塚さつきに接近。
 3本の刀による袈裟掛け、横薙ぎ、唐竹割り……
 立て続けに繰り出された斬撃がさつきに迫る。
427如月蘭(M):02/04/20 13:28
カーラvs如月蘭
>425

「中々、やってくれるようだ」

さらさらと崩れ落ちる左腕を見つめながら、少年は無表情のまま呟いた。
無言で右腕を振って真空刃を発生させると、消滅を続ける左腕を切り落とす。
溢れる血潮が風に溶け、流れていく。

「それを、均衡を貴様が何故決定する必要がある? その時点で均衡が崩れてると、どうやって判断した?」

隻腕となった少年は、残った右腕を振り上げて魔女の方に手を伸ばし、突風を持って相手を吹き飛ばすと
自身の知る最強の奏咒を奏で始める。


轟!


圧倒的な旋律が、『創られた』世界を揺さぶり、震えさせ・・・

少年の背中から伸びる、光り輝く二枚の翼が世界を覆う――――――。
>426
<弓塚さつき(死徒27祖Ver)vsキメラヴァンプetc>


 突如銃声。
 右手後方より、自慢の髪を掠めながら飛んでいく銃弾。
 それだけで、わたしが怒りの感情を抱くには十分なこと。
 
 その鬱憤をわたしの元に高速で近寄ってくる『なにか』にぶつけるべく、
 それに向かって身体を向ける。
 振り向きざまに、迫り来る斬撃が見える。
 今のわたしにとって、それを見ることなど造作もないこと。

 横から身体を両断しようとする刀を左膝で叩き折り、
 真上から振り下ろされる一撃を、右の拳で弾き飛ばす。
 残った足を踏みこんで、残った一閃が当たる寸前に相手の腕を斬り落とし掴み取る。

 振り上げた左足をそのまま伸ばし、相手の身体を蹴り飛ばすと、
 先に掴んでいた腕を刀ごと、その首元へと向かって投げつけた。
429カーラ(M):02/04/20 13:53
>427 
如月蘭対カーラ
 
 
突風が身体を襲う。
それに押されカーラは後方へと下がった。
 
カーラは少年を見る――――そして。
 
「赤い血か……なるほど、道理で賢しいと思った」
 
少年が呪を紡ぎ始める。
先ほどとは比べようもない程の圧力がカーラを襲った。
 
「当事者たる者達は得てして周りが見えぬ物。均衡を保つためには誰かが天秤を扱わねばならない」
 
圧倒的な力。
それに応じるようにカーラも手を上げる。
 
「私であることに意味はない。それが出来るのが私のみだっただけだ」
 
少年の背から光の翼が現れる。
それはあたかも神の御使いの如く。
 
「そもそも前提が間違っている。均衡を崩さないために、崩壊を招かないために私は在るのだ」
 
カーラの身から魔力があふれ出す。
それは陽炎のように揺らめいていた。
430如月蘭(M) ◆.yrQ7HNM :02/04/20 14:01
カーラvs如月蘭
>429

『―――峻厳の御柱、流れ出でる第5の小径よ・・・』

詠唱が始まった。跳ね上がるコート、巻き起こるスパーク・・・
>430 
如月蘭対カーラ
 
『――――われらが世界のはるか頭上に、星界と呼ばれし世界あり』
 
カーラもそれに応じ詠唱を始める。もはや語る言葉は存在しない。
432如月蘭(M) ◆QbpEhM3I :02/04/20 14:17
カーラvs如月蘭
>431 . <L カーラ1-0如月蘭

『我が守護・・・剣の5の力怒りを以って・・・』

翼が大気を攪拌する。閉じられた世界に暴風が吹き荒れた。
>432
如月蘭対カーラ
 
『万物の根源たるマナよ……我が求めに応じ』
 
天に向かい魔力が昇る。まるで宇宙に向かうかのように。
434如月蘭(M) ◆QbpEhM3I :02/04/20 14:30
カーラvs如月蘭
>433 Q> 5 カーラ1-1如月蘭

『破戒の雷鳴を轟かせ!!』

攻撃的な旋律が、世界の壁を破り、光条となって収縮し・・・
435如月蘭(M) ◆kKYPOWEI :02/04/20 14:31
>434
失敗。トリップ判定はこちらで
>434 
如月蘭対カーラ
 
『遙かな世界へと至る回廊を開け……』
 
空が歪み――――天への道が開かれる。
437如月蘭(M) ◆PNEAa9o. :02/04/20 14:42
カーラvs如月蘭
>436 k<K カーラ2-1如月蘭

『ギメル ベド バウ レシュ ヘー・・・』

正面に浮かぶヘブル文字。荒れ狂うスパークに方向性が与えられる。
>437 
如月蘭対カーラ
 
『――――天空に輝ける星々の子よ』
 
天の彼方に微かな光が現れる。1つ、2つと数を増やしていき・・・
439如月蘭(M) ◆E4DvdBg. :02/04/20 14:54
カーラvs如月蘭
>438 P<N カーラ3-1如月蘭

『峻厳雷火(ゲヴラー・メギド)!!!』

漆黒の雷焔が、世界を埋め尽くす――――――――
>439 
如月蘭対カーラ
 
『――――わが召喚に応じ、疾く来たれ!!』
  
最後の詠唱と同時に無数の流星が少年とその周囲に降り注ぐ――――そして…
441諸井霧江 ◆hXHETARE :02/04/20 15:01
<弓塚さつき(死徒27祖Ver)vsキメラヴァンプetc>
>428
<スパイダーヴァンプ>
「キャキキキキィ〜!」
 
 さつきの蹴りで、スパイダーヴァンプは十数メートル向こうの木にまで吹き飛ばされ、
 したたかに背中をうちつけた。
 
 そこに……
 
「ギャヒッ!?」
 
 先ほどの切り取られた自分の腕が飛んできた。
 そして、その手に握られるのは刀。
 
「ヒギャアァァァァッ!」
 
 そのまま、スパイダーヴァンプの喉元に刀が突き刺さった。
 背後の木もろとも、スパイダーヴァンプは貫かれる結果になった。
 
「ギギギギッ……」
 
 スパイダーヴァンプは刀を抜こうとするが、抜くことができない。
 正直には抜くだけの力も残っていなかった。
 
「ギ……」
 
 そのまま、スパイダーヴァンプは動かなくなった……
 
<指揮車>
『スパイダーヴァンプ、接敵後、3秒で殲滅されました』
 
 諸井霧江の表情が憤怒に染まる。
 
「ええいっ、残りはEXグレードのキメラヴァンプだ! ヒケを取るはずがない! 早々に向かわせろ!!」
 
「リーチヴァンプとタートルヴァンプがあと10秒でポイントに到着します」
 
<傭兵部隊>
 
「―――――!?」
 
 傭兵たちは声を失った。
 自分たちを用意に瞬殺できる力を有するキメラヴァンプが目の前であっさりと――
  
「「「うおおおおおおおおおおおおおおっ!!」」」
 
 傭兵たちは顔色を失いつつも、弓塚さつきに向かって銃を乱射した。
 
<リーチヴァンプ&タートルヴァンプ>
 
 森の中を駆ける異形2体……
 ヒルの異形とカメの異形……
  
 それらが今、さつきの下に向かっていた。
>441
<弓塚さつき(死徒27祖Ver)vsキメラヴァンプetc>


「………………これでふたつ、だよ」
 2匹目の化け物の息絶える瞬間を確認して、未だ満足せずに呟く。
 小五月蝿いニンゲンたちがわたしを恐れ、歯向かってくる。

――――――――口直しくらいには、なるかもね

 そう思ったわたしは、弾幕を掻い潜りつつ
 木の影まで大地を一蹴し、そこから更に跳躍する。
 突然わたしの姿が消え、混乱している中。

 わたしは、まるで雑技のように宙を舞いながら、一人の男の後ろに音も無く降り立つ。
 ニンゲンたちに気付かれるより先に、首筋に牙をつきたてる。

―――――――やっぱり口直しにもならない、か

 いつも通り、男の血は不味い、でもその不快さが今はとても心地良い。
 わたしの姿を視認することも出来ずに一人、また一人と、男たちが倒れていく。

 ちょうど、男たちの半分が倒れたときに、最初に血を吸った男が起きあがる。
 当惑するニンゲンたち、希望の色を見せるものも居れば、疑惑の目を向けるもの、銃を向けるものまで居る。

 最初に、その起きあがった男の餌食になったのは、希望の色を見せた者。
 『起きあがった男』の手にある銃が火を吹き、『希望を持った者』の側頭部が消し飛ぶ。
 暗い中でもはっきりとみえて。そこから赤い、赤い液体と、それ以外のなにかが吹き出した。
 ―――この『起きあがった男』の意思は、すでにわたしの手の中にある。
 それは即ち―――――――――わたしの下僕というコト。
 むくり、と二人目、三人目の下僕も起きあがる。

「……ふふ、あははは―――――さあ、仲良くしてね。
 ちょっと前までは、あなたたちと『同じモノ』だったんだから――――――――」
443如月蘭(M):02/04/20 15:24
カーラvs如月蘭
>440 E>t カーラ3-2如月蘭

二つの意思がチカラを以ってぶつかり合い・・・

押し負けた黒雷が弾け飛び、流星が翼を灼き尽くしてゆく・・・・・・

「―――――――――――――――!!」
444諸井霧江 ◆hXHETARE :02/04/20 15:25
<弓塚さつき(死徒27祖Ver)vsキメラヴァンプetc>
>442
<傭兵部隊視点>
「ひっ――」
 
 幾多の戦場を潜り抜けてきた傭兵たちもこんな場面にお目にかかったことはなかった。
 
 黒い影が飛び込んで来たかと思うと、仲間がバタバタと倒れ、虚ろな眼をして、又、立ち上がる。
 そして、その仲間が銃を向けてくるのだ。
 何か悪いユメのようだった。
 
 ――弓塚さつきの嘲りとともに、生者と死者の互いの銃口が火を噴いた
 
 
<リーチヴァンプ&キメラヴァンプ>
 
 黒い2体の影がソコに飛び込んで来た。
 
「―――!?」
 
 同時にその2体は声を失った。
 傭兵たちが互いに銃を撃ちあい自滅する光景は甚だ、予想の外にあったからだ。
 
 そして、その中央に立つのは標的、弓塚さつき。
 紛い物のキメラヴァンプとは違う『本物の吸血鬼』の威圧感がそこにあった。
 
「ギギッ――!」
 
 気おされまいとタートルヴァンプは、弓塚さつきに剛槍をを片手に突進する。
 
「クオオオッ!」
 
 その背後から、リーチヴァンプは突撃銃を弓塚さつきに向かって、斉射する。
 灼熱のシャワーが弓塚さつきに降り注いだ。
445カーラ(M):02/04/20 16:07
>443 
如月蘭対カーラ
 
 
雷鳴と流星がぶつかり合い――――すべてが、爆ぜる。
 
 
黒煙が風に流され消えてゆく。
強大な力のぶつかり合いによって辺りは惨憺たる状況だ。
 
カーラの姿があった。
至近距離での術の炸裂により少なからぬダメージを負っている。
 
カーラは下を見下ろす。
そこには少年の姿があった。
 
「アレを食らってまだ生きているか……酷い有様ではあるがな」
 
少年の傷はそれ程の物であった。
常人なら十度は死んでいるだろう。
それでも生きているのは少年の異形の血のなせる業か。
 
「……殺しはしない。お前には自分の世界に還ってもらう」
 
そして少年の額に手を当てる。
 
「その前に、お前に呪いを遺す。二度とこの世界に舞い戻ることがないようにな」
 
静かに詠唱を始める。
 
『ディー・プラト・エルゴ・マナ・ウラヴ…………汝、この世界に再び降り立つことを禁ずる』
 
「今聞いたとおりだ。お前は再びこの世界に来ることは出来ない。――――さあ、そろそろ帰る時間だ」
 
カーラが腕を振る。
そうすると少年の下の大地に魔法陣が顕れ発光し始めた。
 
少年の身体も発光を始める。
そして、徐々にその姿が薄れ始めた。
 
「もう会うこともないだろう。何か言い残すことは?」
446如月蘭(M):02/04/20 16:21
カーラvs如月蘭
>445

「別に、ないな」

相変わらずの無表情で、少年は魔女に答えを返す。
本当に興味なさそうな表情で。

「―――ああ、そうだな・・・」

ふと思いついたように、少年が魔女に何事かを話す。
少しだけ表情を緩め――――――

少年の姿はその場より消えた。
447カーラ(M):02/04/20 17:09
>446 
如月蘭対カーラ(エピローグ)
 
 
少年は一言だけ言い残し消えていった。
 
カーラはそっと息を吐く。
人たることを捨てたこの魔女にも安堵という感情があるのか。
 
辺りを見る。
いつの間にか夜になっていた。
 
辺りは漆黒の闇、遠くを眺めれば人の作りし人工の光。
 
カーラは少年に襲われかけた少女を見る。
怪我はかすり傷程度。
奇跡と言っても良いだろう。
 
少女を近くのベンチに寝かせる。
放っておけば目が覚めるだろう。
風邪は引くかも知れないがその程度で済むのは幸運と言うべきだ。
 
ふと、少年の言葉を思い出す。

『高野響と言う人間に伝えて欲しい「すまない」と』
  
少年はこう言っていた。
排除した異界の住人の言うことだ。
無視してもいい話しではある……が、
 
「タカノヒビキ……か、探してみるか」
 
カーラは呟く。
自分でも何故こんな事をするのか不思議である。
 
ふと上を見る。
天空の星界には変わらず輝く星達と真円を描く美しい月。
 
「いい月だ――――こんな夜は多少変わったことをしても不思議ではないな」
 
苦笑しつつそう呟くと、カーラの姿は空間に滲み、消えていった。
 
静寂が戻った空間。
 
星と月の光だけがそこを皓々と照らし続けていた。
448カーラ(M):02/04/20 17:15
今回の闘争の纏めだ。
 
>373 >374 >375 >376 >377 >378 >379 >380
>423 >425 >427 >429 >430 >432 >432 >433
>434 >435 >436 >437 >438 >439 >440 >443
>445 >446 >447
 
相手をしてくれた如月蘭、それと見てくれた者達に感謝する。
 
――――すべては世界の均衡のために。
>444
<弓塚さつき(死徒27祖Ver)vsキメラヴァンプetc>


惨劇の只中に、新たな二体の化け物が姿を現した。
ひとつは巨大な亀そのもので、もうひとつはさっきのより、更に悪趣味な…。
この、素晴らしく美麗な光景に、二つの異物が入りこむ。

酷く、気分を、害された―――――――――

突然に、『巨大な亀』が槍を構え、わたしに向かって突撃する。

気分が悪い、気持ちが悪い、吐き気がする。

―――――だったら、このバケモノたちも、この景色と一体化させれば良い

ただ、それだけのコト。

近づいてくる『巨大な亀』に、自分から仕掛ける―――――
と思った矢先に、『亀』の背後から飛礫が放たれた。

さっきから、いちいち考えていることを壊されて、いい加減頭に来る。

上体を低くし、銃弾をやり過ごすと『亀』に向かって体重を乗せた突きを繰り出した。
450諸井霧江 ◆hXHETARE :02/04/20 17:34
<弓塚さつき(死徒27祖Ver)vsキメラヴァンプetc>
>449
<タートルヴァンプ&リーチヴァンプ>
 
「――――」
 
 タートルヴァンプは咄嗟に身を捻り、超硬度の甲羅でさつきの突きを受けた。
 ガンッという音とともにさつきの突きは甲羅に阻まれた。
 
「ブフルルッ!」
 
 そこにさつきの側面に回りこんだリーチヴァンプがAK47を斉射する。
 幾重もの鋼鉄の弾丸の洗礼がさつきを襲った。
 瞬時にさつきの身体にいくつもの深い穴が刻まれる。
 
 そして、よろめいたさつきの隙をタートルヴァンプ見逃さなかった。
 
「クオウッ!」
 
 タートルヴァンプは振り向き様に力任せに豪槍を横薙ぎに一閃!
 さつきの腹部に槍が激突し、さつきの身体はくの字に曲がりながら、数メートル向こうに吹き飛ばされた。
 
「「クゥワカカカカカッ!」」
 
 タートルヴァンプとリーチヴァンプはさつきのその無様な姿を見て、興奮の声をあげ、嘲笑する。
>450
<弓塚さつき(死徒27祖Ver)vsキメラヴァンプetc>

「―――――――――――ッ!」

 息が詰まる、お腹が痛む、身体に空いた穴が熱い。
 あ――――つい、あつい、いたい、いたいよ
 くるしい、アツイ、イタイイタイイタイ――――――――

 なぜ、なんで、どうして、こんな苦しい目にあってるんだろう

 だれが、なにが、わたしを、そうさせたのか

 ………………決まっている、あいつらが、わたしを、こんな目にあわせたんだ


 ずきりと、頭に痛みが走る。
 ツーーー…と、目の脇をなにかが垂れ落ちる感覚。
 思わず、それを、手で拭う。
 アカイ、あかい、真っ赤な血。
 眼前が真っ赤に染まり、わたしの気分が昂揚する。
 それは、わたしが吸血鬼であることの証明、吸血鬼の本能を自覚する瞬間。

 ゆっくりと、身体を起こし、相手を見つめる。
「……随分と、好き勝手にやってくれたよね」
 わたしの瞳が銀色にかわり、呪縛の魔眼を行使する。
 化け物たちの動きが止まる。わたしは彼らにゆっくりと、近づいていく。
『巨大な亀』の甲羅に触れた瞬間、それの顔が歪んだ。
 わたしは彼のその顔に、微笑みで返す、と

 甲羅を、一気に、引き剥がした――――――――――

『巨大な亀』が声にならない声を上げる。
 わたしは甲羅の無くなった哀れな亀を両手で掴み、
 もう一体の化け物に向かって投げつけ、猛然と後を追う。

「じゃあね、ばいばい」

 わたしの右腕が『亀』に突き刺さり、後ろの『悪趣味』にまで達する。
『悪趣味』の体内で五指を思いきり――――――――開く。
 瞬間、相手の肉は爆ぜ、あたり一面に弾けとぶ。
「みっつ、そして――――――」 
 わたしは返す爪で、『哀れな亀』の胴体を、横一文字に切裂いた

「―――――――よっつ、だよ」
452キース・ロイヤル(M):02/04/20 19:45
魔術士オーフェン・無謀編 「誰もお前は呼んでねえ!」番外編、
執事キース・残虐編 「曲・・・?ああ、いけません!いけませんぞ!その言葉を発すると・・・」
 
>424
 
しんと静まり返った劇場裏口。本来ならガードマンの一人も居る筈のこの裏口に、
今、人の気配を感じる事は出来なかった。むしろ、人がいることを拒んでいるようにも感じることが出来る。
いやに不気味な気配を漂わせるその場所で、かたかたと何かが震える音がする――――
 
 
   ばんっ
 
 
 
「いやぁ、近頃の水棲動物は元気ですなぁ、
まさかこの目でダイカイテンキョダイザリガニを見ることが出来るとは」
 
マンホールから現れた銀髪執事だった。
 
「せっかくマンホールに落ちたことですし、
適当に『脅威!地下のあんなとこめぐり』を楽しみましたが・・・
・・・それにしてもここは何処でしょう?なんとなく見覚えのある風景ですが・・・・はっ!!」
 
「ここは二丁目劇場!すると今日はジョミー様の一世一代の立身出世ライブではないですか!!」
 
裏口へと駆け出す執事。関係者でもなんでもないであろう彼の姿を見て、それを咎める者は、今、ここには誰も居ない。
花輪――小道具――様々なものが散乱する楽屋通路を執事は走る。
 
「くっ・・・私としたことが・・・せっかくジョミー様がオチの部分での演出を任せてくださったと言うのに・・・」
 
通路を曲がり、『関係者以外立ち入り禁止』の看板を蹴倒し、観客席側の通路――そして扉の前にたどり着く。
 
  ―――ばぁんっ!!
 
勢いよく扉を開け放つと―――先程の女性が正面の扉側に見えた。
丁度同時に足を踏み入れた―――タイミングとしては丁度そんな所だったようだ。
そして客たちはと言えば―――
 
―――ひたすら、笑い続けていた。その身を爆散させながら。
地獄絵図を前に、執事が身を震わせ、言葉を紡ぎ出そうとする。
 
 
「お・・・・・」
 
 
 
「大ウケ・・・・・!!」
 
 
―――なんでやねん。
誰かがツッコミを入れた気がした。流石である。
ロングファング VS バイロン 『Branded Men's Cursed Night』
>416

 追いかけっこは7階まで続いた。
 階段を駆け登る二人。音の反響しやすい階段で、しかし足音はほとんど響かない。
 二人とも常人ではなく、むやみに音を立てて居場所を曝す愚を心得ていた。

 頃合いだ。

 二つ目のリモコンのスイッチを入れる。
 腹に響く轟音。先のような遠い爆音ではなく、今度の爆発は廃ビルを揺さぶった。
 5階と6階をつなぐ階段にしかけられた爆弾は、階段を粉々に砕いて退路を断ったはずだ。

 7階の廊下に出る。
 階段を出てすぐの廊下には、10メートルにわたってトリップワイヤーが張り巡らしてある。
 実際に罠が仕掛けられているのは1割に満たないが、30センチ刻みに張られたそれは
 十分に足止めの効果を発揮するはずだ。

 ついで、6階でサスペンドさせておいた人造吸血鬼を起動する。
 吸血鬼の気配は見分けにくく、赤いジャケットにサングラスの外見は俺と似通っている。
 一目で見分けるのはちと難儀するだろう。
 挟撃するか撹乱するか決めかねたまま、俺は人造吸血鬼を7階へと駆け上らせた。
ロゼット VS ????
『想い、その胸に』
 
「なんで・・・・こんな事?」
 
私は、目の前の遺跡を見上げながら呟いた。
手には狼をかたどった不思議な彫像。
シスターケイトに与えられた任務。それは――――。
 
「遺跡の調査って・・・・エクソシストの仕事?!」
「しょうがないだろ。仕事は仕事!!とっとと終わらせよう?」
「そうですよ〜・・・」
 
何でも、ネイティブアメリカンの造った遺跡だというが・・・・・。
最近、ここを中心に不思議な現象が数多く起こっているという。
私はクロノ、アズマリアをつれて遺跡の入り口へと向かった。
だが、クロノが遺跡に足を踏み入れたとたん――――
 
《ばす!!》
 
「うわ?!」
「クロノ?!」
 
クロノの体がはじかれる。
 
「結界か・・・・?」
「みたい・・・・ですね。」
「しゃ〜ないわね〜・・・・私達だけで行くわ、クロノはそこで待ってて。」
 
私は、クロノをそこに置いてアズマリアと遺跡の奥へと進んだ・・・・・。
=================================
 
「なによ?!行き止まりじゃない?!」
 
遺跡は、入り口から数十メートル進んだところで行き止まりになっていた。
 
「これだけ・・・・なんでしょうか?」
 
アズマリアも拍子抜けしたようにため息をつく。
私は、がっくりと肩を落とした。
 
「あ〜〜!もう!何なのよ!!」
 
私は壁に手をつこうとして――――――
 
《がこ!!》
 
え?
私が手をついた壁がばかと開き――――そこにスロープが現れる!
 
『ひぃぃぃぃあぁぁぁぁぁぁ――――・・・・・?!』
 
私の体は重力にしたがって滑り落ちていく。
後に、間延びした悲鳴を残して。
ロングファング VS バイロン 『Branded Men's Cursed Night』
>453

階下で爆音が鳴り響いた。
音の感じからして、大体5階と6階の間だろう。
なるほど、追いかけっこはもう終わりか。
 
7階の廊下に出る。
階段を出てすぐの廊下にワイヤートラップが仕掛けてあった。
それも30センチ刻みに10メートルほど。
 
一つ一つ解体している暇は無い。
ワイヤーの位置を頭に叩き込む。
廊下から階段に身を戻すと、廊下に銃を持った腕だけを突き出して連射。
ワイヤーの根元に着いた爆薬に銃撃を浴びせる。

再度爆音が鳴り響いた
廊下を覗くと爆発によりワイヤーは取り除かれている。
無論廊下も滅茶苦茶になっているが、火薬の量が少なかったらしく、
大破という訳ではない。
 
素早くデザートイーグル50AEの弾倉を交換する。
ロングファング VS バイロン 『Branded Men's Cursed Night』
>455

混沌都市系の吸血鬼の最大の特徴は魂が無く気配も無いこと。
気配が無い相手は強敵だ。気配がないということは殺気すらない。
ゆえに五感に頼るしかない。
 
しかし、相手は戦闘訓練を積んだ『吸血鬼』、足音を立てず、それどころか呼吸さえ止められる。
さらに魅了の魔眼があるため、うかつに視覚にも頼れない。

だから最も頼りになるのは嗅覚。反魂の匂い、死せざる死者の匂い、夜の匂い。そして血の香り。
吸血鬼を狩る際にはそれが最も頼りになる。


意識を集中し空気の流れを読む。
火薬の匂いのするかび臭い空気のなかに漂う死者の匂いを探す。
耳をそばだて針一つ落ちる音すら聞き逃さない。
 
ロングファングを捕らえるべく、気配を消して廊下へ向けて歩き出した。
照明が入っておらず、日も暮れてるので辺りは酷く暗い。
暫く進んだ時、研ぎ澄ました聴覚がかすかな音を捉えた。
 
足音。
 
素早く振り返りながらデザートイーグルを構える。
そこにいたのは赤いジャケットにサングラスをかけた男。
ロングファング。
 
バイロンは素早く引き金を引いた。
457???? ◆sX8/KAGE :02/04/20 22:20
>454
ロゼットvs????
『欲望への試練』
 
朽ちた遺跡の祭壇部
一人の少女が天井近くの抜け穴から落下してくる
 
そこには『試練の間』と書かれたプレート
動物の足跡を象った壁画
一つの石碑が置かれている…
 
石碑にはこう書かれている
『欲望を求める者、試練を乗り越えよ』
『力欲する者影狼を掲げよ』と
 
そこで少女の持っている彫像が淡く黒い光を帯び
祭壇の壁画には巨大な狼の影が映しだされている
ロングファング VS バイロン 『Branded Men's Cursed Night』
>456

 俺は人造吸血鬼の視覚を共有してその光景を見ていた。
 バイロン――戦場が具象化したようなあの男の反射速度は、ともすると吸血鬼を上回る。

 最初の銃弾が側頭部に命中、血と脳漿をぶちまける。
 だが、吸血鬼にとっては、浅い。即座に再生が始まる。
 人造吸血鬼はよろめきながらも、手にしたサブマシンガンの弾丸をバイロンめがけてばらまいた。
ロゼット VS ????
『想い、その胸に』
 
「いつつつつ・・・・」
 
私はしたたかに打ちつけたお尻をなでる。
結構深いとこまで落ちてきたみたいね・・・・・。
 
ここは・・・・・祭壇?
 
私は、あたりを見回す。
そこには、ネイティブアメリカンが儀式を行うような祭壇があった。
壁には・・・・・レリーフ。それに石碑。
 
「狼・・・・・・・?この文字は・・・・・?」
 
その時――――
 
≪シレンノトキ―――キタレリ≫
「?!」
 
声が響く。
と同時に、手にした石像から『冥い光』が溢れ出した!!
試練?!

私は、この石像を受け取った時の事を思い出していた―――
=====================================
 
『あの遺跡に行きなさるか。』
「ええ、そうだけど?」
 
遺跡を守るというネイティブアメリカンの村の長に、遺跡の場所を聞きに行ったとき。
 
『なら、これを持っていきなさい。』
「・・・・石像・・・・・?」
『・・・・・ガーディアンの加護を。』
「???」
 
======================================
その時、私は聞いた。
背後でポツリと『かような子が試練を・・・・』という呟きを。
 
冥い光がゆっくりと形をとり始める・・・・・。
460ビリー・龍 ◆lOnGFAng :02/04/20 22:51
(縮地で登場、ファイルを置いて去る)

>46 アルトルージュ vs ロゼット&クロノ&アズマリア 〜『The redoing saints』〜
>71 ヨコシマ vs チャイナ・ブルー 『夕暮れの狂詩曲』
>125 ゴキヴリマン vs ギーラッハ
>141 浅上藤乃 vs シャークヴァンプ
>153 アーカード VS アベル・ナイトロード ・・・へのリンク
>155 空中大殲 「ヤツは空にいる」 横島 & 御神苗優 & スミレ VS 衾
>157 エリvsマッカーチス 『another mission
>176 わくわくソンビ学園〜 遠野志貴 vs 才堂不志人
>208 淫藤宗光/ヒトラー vs 竜崎天馬(M)&檀隼人(M)
>213 不知火幻庵(M) VS 乾九郎(M)
>246 黒騎士ブラフォード VS 本庄 & シャークヴァンプ
>252 レイオット&紫雲 vs アルクェイド 『企業の論理』
>255 ロゼット vs フラック 『Carnival Night 〜 Pyroxene 〜』
>310 鈴鹿御前 対 閑馬永空 『蟲の唄・鬼途』
>333 田中 vs 浅上藤乃
>351 『殺人貴』遠野志貴 vs “修行者”グレン(M)〜『魔剣』 vs 『魔眼』〜
>368 ラルヴァ VS アセルス
>406 御神苗優vsシグモンドvs緑川淳司
>411 『殺人鬼の贖罪』 <遠野志貴vsアルトルージュ&プライミッツマーダ―>
>448 カーラ vs 如月蘭
461石の影狼 ◆sX8/KAGE :02/04/20 22:55
>459
ロゼット VS 石の影狼
『欲望への試練』
 
少女の持つ彫像『石の影狼』が手元から消え
狼の形をした影が実体化していく
 
『我を求める者、我と闘い力を示せ…』
『されば己の力とならん…』
 
少女の前に巨大な黒き狼が姿を現す
 
瞬間少女に対し突進を始める
ロゼット VS ????
『想い、その胸に』
 
『冥い光』が凝り固まり・・・・そに現れたのは巨大な狼!!
いや、このサイズになっても、狼といってよいものか?
 
≪我を求める者、我と闘い力を示せ… されば己の力とならん…≫
 
言葉が頭の中に直接響く。
ぬ・・・・あ?!
 
私が全てを理解するより早く、狼が私に向かってタックルを仕掛ける!!
 
「なんとぉ?!」
 
私は、間一髪でひらりと突撃をかわす!
 
「こンの!!」
 
何がなんだか判らないまま、殺されてたまるか!!
わたしは、銃口を奴へと向け引鉄を引く!!
463ルシエド ◆sX8/KAGE :02/04/20 23:20
>462
ロゼット VS ルシエド
『欲望への試練』
 
タックルをかわされ銃撃がを喰らう
身体から影が飛び散るが全くダメージを気にしていない
 
『我に人間の武器が効く物か…』
『欲望を高めよ…そして我に力を示せ…』
 
影と影を渡りながら鋭い爪が少女を襲う
464ロゼット ◆AMENUx66 :02/04/20 23:30
>463
ロゼット VS ????
『想い、その胸に』
 
ダメージ、受けてない?!
奴は、直撃した弾丸を意に介することもなく向き直る!
 
『我に人間の武器が効く物か…』
『欲望を高めよ…そして我に力を示せ…』
 
影の中を翔けるように、奴が飛び掛る。
鋭い爪が私に迫る―――!!
 
「な・・・・・・!!」
 
私は、バックステップをしながらトリガーを引く!
炸裂する弾丸が、奴の体に十字の閃光を放った。
 
《ざすッ!!》
 
「痛ぅッ!!」
 
だが、完全にかわしきれなかった一撃が私の腕を掠める。
裂けた傷口から飛び散る血。
 
「・・・・やってくれるじゃないの!!」
 
私は、傷口を抑えながら奴を睨み付ける!!
465ルシエド ◆sX8/KAGE :02/04/20 23:42
>464
ロゼット VS ルシエド
『欲望への試練』

爪が少女にかすったと同時に 
十字の閃光が直撃する
 
『クッ…やってくれるな…面白い…』
 
一瞬立ち止まると
空間から闇の物質が現れる
 
【ダークマター】
暗黒物質が少女の周りを取り囲む
466諸井霧江 ◆hXHETARE :02/04/20 23:52
>451
<弓塚さつき(死徒27祖Ver)vsキメラヴァンプetc>

<指揮車>
『タートルヴァンプ、リーチヴァンプ、ともに殲滅されました』
 
「ぐっ、馬鹿な! これほどの戦力でも捕獲できないと言うのかっ!?」
 
 EXグレードのキメラヴァンプ2体をも同時に殲滅する。
 その相手の恐ろしさに諸井霧江は動揺していた。
 
 だが、彼女に退くことは許されない。
 なんとしても、弓塚さつきを捕獲しなければ、此処で彼女の研究者としての道も終わる。
 
「ええい、指揮車周囲に全戦力を集結させろ。それで奴を徹底的に叩いて捕獲する!」


<森の外れ>
 森の外れに停車する指揮車周囲に、残り1体のキメラヴァンプ『スコーピオンヴァンプ』と傭兵たち総勢30名が集結した。
 そして、弓塚さつきを待ち受ける。



 弓塚さつきが森の中から姿を現した。
 傭兵たちは銃を構え、一斉に集中砲火を開始する。
 鋼鉄の暴風がさつきをまさに飲み込もうとしていた!
>466
<弓塚さつき(死徒27祖Ver)vsキメラヴァンプetc>


 あれから少し時も経ち、身体の傷も塞がった。
 やっとの思いで森を抜け出す、が。

「はあ………やっぱり、ね」

 予想通り、ニンゲンたちが待ち構えている。
―――でもね、こっちだって、なにも考えてなかったわけじゃないし

 わたしを目掛けて一斉に放たれる銃弾。
 たんっ、と後方の木の陰へと跳ね、一旦森の中へと姿を隠す。


 それから数分、私は森の外へと姿を現す。
 傭兵たちは森からでる私という人影を見るとすぐに、集中砲火を浴びせ掛ける。
 右足が崩れ、側頭部が消し飛び脳漿が噴き出す。
 私の身体は、見るも無残に―――――――――

 

 

 

 

 

「とか、思ったんだろうね、まともな人なら」

 わたしに背を向けている傭兵の一人の腹部を引き裂きながら、そう呟く。

 種明かしは簡単、先刻の『死人』を囮に使ってわたしは後ろに回りこむだけ。
 一瞬でも他に注意が向いてくれれば、その程度のことはやってみせる。

 数分待たせた事も、一役買っていることだろう。

 後はひたすら遊ぶだけ、中には錯乱して銃を撃ってくるものもいたけど、流石は歴戦の強兵たち。
 どんな状況になっても冷静な思考で動いてくれる。

―――――――やはり、気分の悪さは変わらない

 骨を砕き、肉を潰す。皮を切り裂いて、四肢を引き千切る。
 なかでもお腹を突き刺すときは最悪で、それでいて最高の気分。

 そして最後の傭兵の頭を握りつぶし、遊び相手がいなくなったことに気付く。

「ねえ、まさかまだこんなもので――――――――終わりじゃないよね?」
 
 わたしは全身を鮮血に染めながら、口元に笑みを浮かべて、化け物の気配に語りかけた。
遅くなってすまんな。
次スレだ。
 
http://cocoa.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1019314499/
469不破 雷也 ◆ayRAiYAw :02/04/21 00:00
>422
殲鬼と闘鬼〜ガロンvs不破雷也
 
「くおっ!」
 
 人狼の凄まじい蹴りを、両腕を交差させた十字受けで受ける。
 防御としては鉄壁とも言える十字受けも、人狼の蹴りの前には無力。
 
 真っ赤な血を白い雪に混じらせながら、派手に吹き飛ばされ、後ろにあった納屋に突っ込む。
 
 しかし、その派手な様子とは裏腹に、すぐに起きあがる。
 さほどのダメージもない様子だ。
 
「跳ばなかったら、耐えられなかったよ」
 
 そう、雷也は衝撃に逆らわず、蹴りを喰らうと同時に後ろに跳んだのだ。
 とはいえ、完全にダメージが無いというわけでもない。
 腕には裂傷、額からも出血。
 
 それでも、雷也は笑う。
 
「バケモノには、バケモノ……だね」
 
 笑う。楽しそうに。
 
「――――行こうか、相棒」
 
 額の血を指ですくい取り、左の掌に呪符を描く。
 その掌を前に向け、高らかに呪言を唱える。
 
「九天応元雷声天尊!! 不破雷也の名において命ずる!! 来い!! 隠行より出でよ!! 舞雷翁(ブライオー)!!」
 
 雷也よりも三回りは巨大な影が、その背後より現れる。
 それこそがブライオー。
 
「着鎧!!」
 
 雷也の声に応じ、ブライオーがその身体を開き、雷也と一体化する。
 ――――ここに、姫護最強の存在が降臨した。
470ガロン ◆GALON/hc :02/04/21 00:02
殲鬼vs闘鬼〜ガロンvs不破雷也
 
一時戦闘纏めだ。
 
導入
>394(ガロン側) >396(不破側) 
 
闘争
>400>401>417>418>419>421>422>469
 
それでは、新スレにて闘争再開しよう
471ロゼット ◆AMENUx66 :02/04/21 00:05
>465
ロゼット VS ????
『想い、その胸に』
 
「何よ・・・・コレ?!」
 
私の周りに生まれ出る『漆黒の闇』!
 
しま―――――視界が―――――?!
だが、それだけでは終わらない。
 
「ぐ・・・・ぅ・・・・?!」
 
急に息苦しくなる。
まるで闇が、私の命そのものを『喰らう』かのように。
 
「あ・・・ぐ・・・・・・・・。」
 
思わず、私はがくりと膝をつく。
と同時に、闇が払われる。

そんな私を、つまらなそうに見つめる狼・・・・・!
 
「・・・・・・・ッ・・・・なんなのよ!!」
 
私は、勢いをつけて立ち上がる!
どう・・・したらいい?!
奴にこのまま攻撃し続けても、スタミナでこっちが不利・・・・。
福音弾なら・・・・だが、一発だけで蹴りがつくとは思えない・・・・・・。
私はあたりに目を回す。
そして―――――見つけたッ!!
 
私は、傷口を抑えながら『ソレ』めがけて駆け出した!
472ルシエド ◆sX8/KAGE :02/04/21 00:07
僅かだが
ロゼットvsルシエドのまとめだ

>454>457>459>461>462>463>464>465>471
ロングファング VS バイロン 中間まとめ
 
>389>390>392>393>397>403>409>413>415>416>453>455>456>458
 
474諸井霧江 ◆hXHETARE :02/04/21 00:17
<弓塚さつき(死徒27祖Ver)vsキメラヴァンプetc>
の本章でのレス番まとめだ。
くっ、まだ終わった訳では……
 
>391>408>412>414>426>428>441>442>444>449
>450>451>466>467
 
なお、作戦は……
http://cocoa.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1019314499/5
で継続中だ。
475吾妻玲二 ◆REIJI2xI :02/04/21 00:27
アーカードvsファントム 途中経過だ。

>177>183>189>236>404>405>420

476エンハウンス:02/04/23 01:59
>365 エンハウンスVS黒川丈【ゴースト】
 
 怨嗟とも、復讐宣言とも取れる言葉を残して男は自ら燃え尽きた。
 辺りには、肉が焼け焦げる嫌な匂いが充満している。
 笑い声は、今もエンハウンスの耳に張り付いたままだ。
 
「フン……」
 
 だが、エンハウンスはそんな事に興味はない。
 エンハウンスにとって、既に勝った相手など今の呼吸ほどにも意識が向かない。
 とにかく、此処に死徒はいなかった、事実はそれだけだ。
 なら、もう用はない。
 
 きびすを返して夜の街へと消えていくエンハウンス。
 すぐさま帰国の準備と、その前にこの国での死徒の情報を集めないといけないだろう。
 こんな島国に来ることは滅多にないのだから。
 
 そう、鉄の棺桶に乗って海を越えるなどそうそうやりたい事ではない。
 帰りのことを考えて、少しうんざりするエンハウンスがいた。
 
「そう言えば、この国は殺人貴の生まれ故郷だったか」
 
 なら、案外求めるモノに出会う可能性は高いようにも思える。
 まだ見ぬ死徒を思って、エンハウンスは唇をつり上げて舌なめずりした。
477黒川丈【ゴースト】:02/04/26 01:07
>476 エンハウンスVS黒川丈【ゴースト】 エピローグ
 
静寂が戻った後、戦場から少々離れた場所で動く生き物の姿が在った。 
『それ』の姿は、生命のもつある種の均整といったものからあまりにかけ離れている。 
子猫のそれと同じ程度の大きさの頭から5本の牙を突き出し、昆虫のような節足を持って動く芋虫。 
想像力が豊かな人間が『それ』を見れば、人間の指から肘までを歪に模したようだと思えたかもしれない。 
実際、首輪のような黒い輪は、腕時計なのだ。  
 
―――ガサガサと動く『それ』を踏み潰す、白い背広の男。 
 
「みっともねぇ姿だな、オイ」 
 
男は低く笑ってそう言うと、『それ』ひょいと掴み上げた。 
無論『それ』は暴れて男を傷つけるのだが、男は傷を気にする様子もなく『それ』の頭をもぎ取る。 
 
「テメェでテメェが判らないようなら、人格は残ってねぇな。……誰に殺られたのか教えてもらうぜ?」 
 
そういって、頭を慎重に呑み込む男……ゴースト。 
彼はしばし記憶転写の為に瞑目した後、頭を失っても逃げようとする元・ゴーストの腕を残さず平らげた。  
 
「今の『俺』よりも強い野郎か……また逢うこともあるだろうが、その時は……」 
 
食い残しの……最初の黒川丈の所有物だった腕時計をはめる。 
当然のごとくピタリと合うソレに満足した後、一言、宣言のように意思をこめてゴーストは呟いた。 
 
 
 
「……アザエルは、ゾーンは進化し続ける。貴様への復讐はその時だ、エンハウンス」 
 
【エンハウンスvsゴースト  END】
478以上、自作自演でした。:02/04/26 02:26
age
479以上、自作自演でした。
>478 ( ´D`)σ)Д‘)プニョプニョ