吸血大殲 第13楽章 〜血華の夜想曲〜

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593御神苗優 ◆lR3WjEXI :02/02/22 00:49
>590
御神苗優vsタオ

彼女は空中でなんとか姿勢を制御しようと試みていた。
だが、首を締められていた後遺症だろう、体の動きが散漫だ。

彼女は民家の壁に背中から激しくぶつかった。多少、体がめりこんぢまってる。
その様は、なんだか餓鬼の頃よく見た光景に似ていた。
そうだ、壁にぶつけて張り付いてる蛙に似てるんだ。
そんな訳のわからないことが頭に浮かんだ。

「まだ・・・まだぁっ!」
 
彼女はよろよろと立ち上がった。まだその瞳からは闘志が消えていない。
自分の中の闘気を掻き立てるように、鈴のような声で吼えた。

彼女は力強く大地を蹴ると、一気に俺に向かって跳躍してきた!! 
 
「行くぞっ!」
 
何をしでかしてくるんだ?あまりにも無防備すぎる・・・・・・
とりあえず、俺は彼女の攻撃を避けようとバックステップしながら、
彼女に左ストレートを見舞う!! 
 
【ナチス大殲】
>592
「くくくく・・・ははははは・・・はぁっはっはっはっはっはっはっは!!!」

狂ったかのように哄笑する。

絶望的状況をひっくり返しての勝利!

「ボクがなんのためにここへ誘い込んだと思っている。濃硫酸、そして液体窒素!」
「二段構えの策だったというわけだ!」
 
見下すかのように、アーカード・・・いや今や氷の彫像だ・・・を見やる。
 
「相手が勝ち誇った時、既に自分の勝利は確定している・・・というわけだ」

よろよろとしながらも、氷の彫像に近付く。
 
「結局、不死の王といえども、このボクの! 獣性細胞の王、因果の王たるボクの敵ではなかったッ!」
「最高に、イイ気分だッ! はぁっはっはっは!!」
「安心したまえ。このまま飾ってやってもいいが・・・ボクは慈悲深い」
 
右腕を振り上げる!
 
「今この場で粉々にしてやるよッ!!」
595タオ ◆Lc71B9Dc :02/02/22 00:58
>593
御神苗優vsタオ
(トリップ判定 x-2=z<lで御神苗さんの勝ちぃ!)
(現在ポイント タオ1/御神苗3)

あいつは後ろに身体を引いた。
狙いが定まらなくなって、ボクはそのまま突っ込んだ。
そこに・・・。

あいつの左拳が、飛びこんできた。

避けられずに顔面で受け止めて、ボクの身体が吹っ飛ぶ。
その先にあるのは、また家の壁。

重い一撃だったけど、まだ行ける!
ボクは吹っ飛ばされながら身体を回転させて、壁を蹴った。
そのまま、身体を大砲の弾みたいにして、あいつに突進!
>586>591
マレーネ・エルウェスVSアーノルド・ラスキン
(N<D)

翌日
 


「ご苦労様でした、マレーネさん。目標の確保と、資料の回収。
完璧です」
「当然でしょ。あの紳士さん、なかなか愉しませてくれたわ。
面白い仕事だったわよ」

再びヴァルハラ本社の一室で、リゼル・ジルバとマレーネ・エルウェスは
顔を突き合わせていた。仕事結果の報告の為である。
 
「で、お医者さんから適当にかき集めてきた資料、役に立つの?」
「ええ。なかなか興味深い内容でしたよ。これで我々の<闇の種族>
研究に、一層の発展が望めるでしょうね」
「ふうん。まあ、どうでもいいけど」
「因みに、後処理はスキートさんが問題なく行ってきましたので、
貴方はいつもの通りで大丈夫です」
「やっぱりあのヒクツ男がね。まあ、やりそうな事だわ」

その日、新聞記事の片隅に「医師アーノルド・ラスキン邸、焼失。
原因は不明。亭主ラスキン氏の生存は不明」と言う内容の記事が
載っていた。無論、ヴァルハラの仕業である。

「ラスキン氏の遺体は、こちらで回収させていただきました。
ドクター・イクスは相変わらず何を考えているのか分かりませんが、
何かに利用するつもりなのでしょう」
「あの馬鹿ジジイの事なんてどうでもいいのよ。これで私の報告も終わり。
行っていいでしょ?」
「ええ。お疲れ様です、マレーネさん」

後手を振りながら、マレーネは部屋を後にした。
老紳士の資料のことも、捕らえた<闇の種族>の末路も、
既に彼女の脳内から失せている。
あるのは唯、自らの心を震わせ、高みへと昇らせた死闘の事。
その余韻を、彼女は今だ味わっているのだった。

「ご馳走様♪ って所かしら」

誰に言うでもなく一人呟き、彼女は昼食を取るべく社員食堂へと
その足を向けたのだった。

ーー了ーー
VSG.G.スレイマン【毒を以て毒を制する闘い】
>563
 
「ぎゅおおおおああああああっ!!」
 
 爆裂と同時。苦悶に歪む魔族の口から絶叫があふれ出た。塵屑のように転がっていた人間を踏みつけた右足が、
まるで地雷を踏んだかのように綺麗に吹き飛んでいる。肉体を支えをひとつ失ったことによってバランスを崩した魔
族は、重い音を立てて砕けた地面に転がった。

「いいいいでええええええっ!!」

 同時に。傷口から、人間の体内に仕掛けられていた『死の呪文』が大量に入り込んでくる。体内への異物の侵入を
感知した魔族は、即座に魔法発動。室内に流れる『歌』が強まり、侵入した異物――――『死の呪文』を無効化した。
 
「て――――ええめええええええっ!」
 
 感情のまま、欲望のままに行動する魔族に、「抑える」と言う概念は存在しない。苦痛も憎悪も歓喜も欲望も、ただ思
うままに垂れ流すだけだ。
 
 スレイマンに憎悪を叩き付けるように、魔族はさらに魔法を発動。損失した右足を修復する前に、無数の不可視の刃を
叩き付ける―――!
 
 ……そのときだった。
 憤怒に染まる魔族の耳に、げらげらげら、と言う壊れた笑い。それが引き金となったのかはわからないが、魔族の周囲、
そして体勢を崩した身体の下から、次々にげらげらと笑い声が響いてくる。

 今だ室内から抜け出せないで居た人間達に、時限的に仕掛けられた『屍体爆弾』。それが、一斉に起爆しようとしている。
 
「ほおおおおおおおおおっ!」

 腕だけで体勢を立て直し、同時に撃発音声。『歌』と、魔族自身の叫びが高らかにうねり、未だげらげらと笑いを放つ肉塊
を、一気に消滅させようとする――
 
 が。
 魔法発動の瞬間、魔族の近くにあった一体が、笑い声を上げ続けながら爆裂した。瞬時に赤い煙と共にわき出した『死の
呪文』が、設定された条件の通りに、滑るように魔族の肉体へと叩き込まれる。魔族は瞬時に魔法発動。呪文を無効化。

 しかし――本番は、このすぐ後に待っていた。
 
(ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラ)
 爆音爆音爆音爆音爆音爆音爆音爆音爆音爆音爆音爆音爆音爆音爆音爆音――――!
 
 連鎖的に爆裂する『死の呪文』。部屋中に血煙と肉片をぶちまけながら、次々にその効果を顕現させる。部屋一杯に満ちた
死が、一斉に魔族に向かい殺到。未だ生命を保っていた人間達も、吹き荒れる呪文の余波に、泡を吹きながら野垂れ死んで
いく。その人間の亡骸からも、さらに増殖した呪文が爆裂。

 ねずみ算式に増えていく『死』。それに対し、魔族は――――
 
 ふぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!

 魔法発動。魔力圏がさらに活性化。迫り来る死の呪文を次々に無効化するが、それでも発生する呪文はさらにその数を増し
ている。
 
 苦悶にも近い魔族の絶叫が、室内に轟く。

 次々に襲い来る死の呪文に、魔族の誇る魔力圏は、その処理限界を迎えようとしていた。
>導入 木野薫 VS ロングファング

 妙に幼い印象のある少女だった。
 同時に、どこか突き抜けたものをもった少女だった。聞けば、四年前から長期入院中だという。
 出会いは他愛も無い。たまたま顔見知りの大家のガキが入院し、彼女が同室だったというだけだ。

 少女が何を見つめているか、俺には簡単に見当がついた。
 絶望と、死だ。裏腹の外界への憧れを、心の奥底に押し込めているのも見当がついた。
 手に入らぬものに憧れてしまうのは、つらいだけだからだ。
 危うい緊張と奇妙な無垢さと病人特有の青白い肌が、彼女に17とは思えない艶を与えていた。

 大家のガキを見舞いにいくたび、俺達は一言二言会話をした。
 妙にうれしそうに受け答えしていたのを覚えている。だが、ただ、それだけの関係だった。
 それは、大家のガキが退院し、俺達の接点が無くなろうとしたときだった。

「私を、連れてってください」
 耳元で、か細い声で、しかしはっきり囁かれ、俺は死ぬほど驚いた。
 少女の黒い瞳が、どこへと問い返して誤魔化してしまうことを拒んでいた。
 まったく、女の勘は恐い。


 そんなわけで、俺は深夜の病院に忍び込んでいた。
 毛布にくるんで横抱きに、少女を屋上へといざなう。たまにはこんなドラキュラ役も悪くない。

 遺書は書いたのかと聞くと、書いたと答えた。恐くないかと問えば、恐くないと答えた。
 なんで俺を選んだのかと聞けば、自分でするのは恐いから、と答えた。
 屋上に出ると、少女は最後に街を見たいと言い、俺は悪魔になった気分で告げた。

「契約だ。お宅は明日の朝日を見ることはできない。かまわないな?」
 寝間着の襟に、あごを埋めるように少女はうなずいた。
 うまくいったのはそこまでだった。
599アーノルド・ラスキン ◆NbCETZ02 :02/02/22 01:02
【マレーネ・エルウェスVSアーノルド・ラスキン】
= 剣と拳を以て行われる闘争 =
 
レス番の纏めだ。
・導入
>515 >516 >518
 
・闘争
>519 >521 >522 >523 >525 >528 >535 >557 >574 >586 >591
 
・エピローグ
>596
 
 
しかし…やはり徒手格闘とは相性が宜しくないようだな、やれやれ。
600木野薫(M):02/02/22 01:10
>598
「困りますね…あなた、私の患者をどこへ連れて行こうと言うんです」
屋上の鉄扉を開けて出てきたのは、黒いスタンドカラーのジャケットを着た、彫りの深い
壮年の男だった。
「君のご両親が私に君のオペを依頼したんですよ。…私なら、君を助けられる」

「さあ、彼女を渡したまえ。彼女を救えるのは、私だけなのだから」

――そうだ。彼女を、いや、全ての人間を救うのは、俺なのだ――
<ドラキュラ・ヴラド・ツェペシュVSネロ・カオス>
>589
 
幻想を破るのはそれ以上の幻想のみ、神祖はそれを実行して見せた。 
  
「あれだけの幻想種を瞬殺か・・・面白い」
   
限りなく薄れていた感情が僅かながらに蘇る。
それは歓喜、狩人が獲物を前にした時の感情である
   
無数の凶弾と化したコウモリが私を包み込む様に襲いかかってくる。
   
「面白い芸だ・・・だが所詮は芸だな、本気を出してもらおうか!!」
    
その言葉と共に、神祖に屠られた幻想種達が元の黒い粘液状の『混沌』に戻り
神祖の自由を奪い、全身の骨を砕かんとするほどの力で締め付ける。
  
同時に、ネロ・カオス自身もその身を『混沌』と化し、瞬時に石畳の間に潜り込み
魔弾と化したコウモリを回避する。
     
次の瞬間、黒い闇が神祖の背後に現れ、人の形をつくる。
それは笑っていた。
    
「この芸は気に入ったか、だが私は不満だ」
   
その言葉と共に、神祖の心臓に貫手を叩き込む。
   
「私が求めるのは芸でない、…貴様の本当の力だ」
    
心臓を抉りだし、握りつぶし体内で咀嚼する。
 
「さあ、見せてもらおうか!!」

>594 ナチス大殲
 
 ドンッ。
 
 そんな音をさせて、アドルフの右腕が宙を舞った。
 一瞬、アドルフの表情を空白が支配する。
 次の瞬間、驚愕と共に振り向いたアドルフは、倒れながら腕を振りかざしたウォルターを認めた。
 
「人の事シカトすんなよ……っ」
 
 憎々しげにアドルフを睨み付けている。
 そして、その視線は、等しくアーカードにも注がれていた。
 一つ息を吸い込んで……
 
「さぼってんなぁ、吸血鬼(アーカード)!」
 
 ウォルターの、文字通り血を吐く叫び。
 
 それに呼応したのかは定かではない。
 
 ピシッ。
 
 何かがワレル音。
 
 アドルフが振り向く。
 
 ピシピシッ。
 
 アーカードを覆う氷にヒビが入る。
 
 ピシピシピシピシピシ……ピシピシピシ。
 
 アドルフの表情が驚愕と恐怖に歪む。
 アーカードの表情が、氷の下で笑みに歪んだように見えた。
 
 
 刹那、爆発。
 
 
「犬のエサだ、人間気取りの化物の王よ!」
 
 アーカードの絶叫。
 氷の欠片を身にまといながら、巨大な犬の顎がヨダレをまき散らして総統へと牙を剥いた。
603ロングファング ◆lOnGFAng :02/02/22 01:21
>600 木野薫 VS ロングファング

 眉をひそめる。
 黒衣の男の登場にではない、娘の反応にだ。
 ぴくりと身じろぎした少女の反応――

(あのセンセが一筋の希望、ってやつか・・・)

 おもしろくなってきたと思った。我ながら趣味が悪い。

「あんた、この娘の主治医?」
 くだけた調子で声をかけ、娘を片手に抱き直す。
 サングラスを取り払った。

「夜の散歩を邪魔しないでくれんかね。もう、契約は済んじまったんでな」
 小刻みに震え出した娘の感触を楽しみつつ、赤い瞳でセンセを睨んだ。
 お帰りになってもらうにせよ、演技させるにせよ、支配しちまうのが手っ取り早い。
<ドラキュラ・ヴラド・ツェペシュVSネロ・カオス>
>601
 
ドラキュラの姿が消失し、玉座にその姿を現す。
心臓も既に再生しており、失われた左手も元に戻っていた。
 
「フッ、それほど、我の力を見たいか。ならば、望み通り、見せてやろう!」
 
大広間がぐにゃりと歪み、周りは闇につつまれた。
 
「ネロ・カオスよ。何故、お前はそう力にこだわる? そこまでして、至高の存在になりたいのか?」
 
闇の中、ドラキュラの声が響き渡る。
そして、次第に闇が晴れていく。
そこから、現れたのは……
 
「恐怖せよ。これが神祖の力だ!」
 
玉座に座るドラキュラとその背後の巨大な翼と両腕を持った悪魔であった。
あたりも何時の間か、灼熱の炎が踊り狂う魔の空間と化している。
普通の人間なら、とてもまともに生きていられない空間である。
 
「だが、これも我が力の一端に過ぎぬ。続きを見たいなら、ネロ・カオス、お前がそれ以上の力を見せる必要があるな」
 
ドラキュラがそう告げると同時に悪魔の両腕がネロ・カオスを握りつぶさんと襲い掛かった!
更に、ドラキュラ本人が右手を挙げると同時に、ネロ・カオスの周りに激しい雷が何発も落ちる!!
605木野薫(M):02/02/22 01:29
>603
少女を抱え上げた男の目が赤く光る。吸い込まれそうな眼光だ。
このまま男を見逃すことが最良の選択だ、と誰かが囁きかける。しかし…

―脳裏に浮かんだのはあの冬山だ。俺の右腕がうずく。その痛みが俺の正気を取り戻させた―

「俺はお前には屈しない。俺は――」
「俺は最強の『アギト』だからだ」

俺は男の前に立ちはだかった。
「お前は人間ではない、そして……俺の邪魔者だ」
>605 木野薫 VS ロングファング

 おっと。やれやれ、良く見りゃぁ・・・
 こいつも人の範疇を逸脱した人間か。

「あんた何言ってんだ? 逆だ。お宅が俺の邪魔をしてるんだぜ?」
 右腕に力を込めて娘を抱き寄せ、さり気なく立ち位置を変える。

「あんたの患者のこの娘は、もう俺のもんだ。取り返したけりゃ力づくでやるんだな!」
 挑発と共に、目を付けていたコンクリートブロックを蹴り飛ばす。
・・・ま、死んじまったらそれはそれだ。
607木野薫(M):02/02/22 01:57
>606
「良かろう………変身!」
両手を広げ、そして腰の前で交差する。『賢者の石』が緑の光を放ち、アギトの力が解放
された。俺は戦う姿、アギトへと変貌した。

緑と黒に彩られた、バッタとも髑髏ともつかない異形。その赤い眼が鈍い光を放つと、飛んで
来たコンクリートブロックを事もなく叩き落とす。

「俺は人間を救う者だ。それが分かったなら…邪魔をするな!」
俺は突進し、目の前の男に殴りかかる。
>607 木野薫 VS ロングファング

(ひゅぅ・・・)
 こいつもまた筋金入りの"異形"だ。
 震え続ける少女に囁く。
「俺から離れたら、隅にいってな・・・」
 死んじまったら元も子もないからな、とは言わない。

 ヤツを適当に引き付け、少女をやさしく突き放す。
 邪魔にはならないが、奴からは視界の端に留められるような、微妙な位置だ。
 同時に、拳を流して奴の側方に入り込む。

 左足を軸に、回し蹴りで奴の後頭部を狙った。
>608
男は、少女を解放して俺に挑みかかってきた。
さっさとこの茶番を終わらせて、彼女を病室に戻さねば。
「ふんっ!」
回し蹴りを左肘の鉤爪で受け止め、払いのける。体勢が崩れたところに右のボディアッパーだ。
自動車すら弾き飛ばすアギトの拳の前に、男は無様に宙に舞う。

「言ったはずだ。―俺は最強のアギトだと。お前ごときでは相手にならん」
俺は、威圧するように男に歩み寄った。
>602 ナチス大殲 エピローグ
 
 その時、アドルフの脳裏に浮かんだモノは何だっただろうか?
 おそらく、走馬燈が走る暇すらなかったに違いない。
 犬の牙は、アドルフの胴体を、心臓を真っ二つにして、頭を噛み砕いた。
 一瞬漏れた絶叫も、すぐさま肉を、骨を噛み砕く音にかき消される。
 
 王たろうとした男、アドルフ・ヒトラーはこうして犬のエサとなった。
 
 
 未だ湿った音をさせながら肉をむさぼり続ける犬を置いて、アーカードはウォルターの方へと向かう。
 その足を検分しながら、ウォルターに話しかけた。
 
「これは酷いな、このままでは腐っていってしまうぞ」
 
 液体窒素を被った足は、事態が進行しつつある。
 このままでは、切断せざるを得まい。
 こんな場所では、処置をする施設も道具もない。
 
 いや、正確にはあった。
 此処は吸血鬼化施設なのだから、あるべきだ。
 だが、それは既に大半が破壊されて使い物にならなくなっているはずだ。。
 他ならぬ、アーカードとウォルター自身の手によって。
 
 打つ手無し、そう思わざるを得ない展開。
 だが、ウォルターは自分の足を見つめて、決然とした表情を浮かべていた。
 
「しょうがないなぁ、最後の賭けだ」
 
 そして、一つ頷いて、アーカードの方を見る。
 
「いいかい、アーカード? とにかく急いで僕をヘルシング機関まで連れて帰ってくれ」
 
 アーカードがその言葉の真意を問い質す前に。
 
 ウォルターは、自分の両足を切り落としていた。
 
 一瞬呆然と見やった後、その真意に気付いてニヤリと笑った。
 なるほど、ウォルターは人道を踏破している。
 諦めなど決して受け入れないのだろう。
 
 実にきれいな切断面、そして奇しくも冷凍保存されている切断された足。
 これならば、処置さえ上手く行けばまた足は繋がるかもしれない。
 ウォルターは、まさにそれに賭けたのだった。
 
 すぐさまはウォルターの体と両足を拾い上げて走り出す。
 表に出れば、ジャックする軍用ヘリには事欠かないはずだ。
 
「ははッ、さすがだウォルター。おまえの覚悟、必ず私が生かしてやろう」
 
 その言葉は、確かに果たされたのだった。
>610続き
 
 
 
 
 ――数時間後、血と肉の入れ物となった吸血鬼化施設内
 
 
 

 そこには、意気揚々と研究の続きをする為に帰ってきた博士と、大尉と、そして少佐がいた。
 呆然と立ち尽くし、泣き笑いの様な表情を浮かべている博士。
 相変わらず無言、無表情の大尉。
 そして、少佐は。
 
 この絶望の地獄の中でさえ楽しそうだった。
 
「ハハッ、これは酷いなぁ、地獄だ、いや地獄すら生温い、煉獄だ」
 
 血にぬめる靴底で、肉塊を踏み潰す。
 
「死神と不死の王! たった二人か! たった二人に私の夢は振り出しか!」
 
 地下で、僅かに肉塊として残っていたアドルフ・ヒトラーを発見する。
 
「おいおい、こりゃあたまげた! これでナチスもお終いだなぁ!」
 
 何故か、何処までも愉快そうな少佐。
 
「……アーカード、『死神』ウォルター、そしてヘルシング」
 
 ふと、無表情。
 
「覚えておきたまえ、例え誰もが、諸君らヘルシングでさえ我らを忘れたとしても、
私と、私の夢は必ず忘却の彼方から這い上がってみせよう、必ずだ」
 
 肉皮歪み笑いを浮かべてきびすを返し、施設の外へと歩いていく。
 
「その時まで、長い長い時を待っていたまえ。待つのは慣れっこだろう、アーカード君?」
 
 ジープに、三人が乗って走り出す。
 これが55年前に始まり、今に続くヘルシングとミレニアムの因縁の起点である。
 
TO BE CONTINUED
>609 木野薫 VS ロングファング

 いい感じに吹き飛ばされた。受け身をとる気にもならんぐらいだ。
 血塊を吐き出して立ち上がる。やれやれ。
 一瞬、娘を連れて逃げちまうかとも思ったが、それも癪だ。

(もう少し慎重にいくか・・・)
 とりあえず、腕一本、足一本からだ。

 一部破裂した内臓は治癒済みだ、ダメージは無い。
 ふらついたように、殴り掛かる振りをして攻撃を誘う。
 一発、顔面に食らいながらその腕を掴む。右腕でナイフを抜き出し、突き立てた。
>612
いくら男がこの世ならざる者でも、アギトの一撃を食らえばまともでは済むまい。
事実ふらふらではないか。

「さあ、もう逃げられないぞ」
俺は男に詰め寄り、その頬に拳を叩き込んだ……が。
奴は俺の右腕にナイフを突き立てたのだ。アギトの頑丈な皮膚を突き破り、鉄の刃が滑り込む。

痛む―痛む―俺の腕ではない、雅人の腕が傷ついた――

「よくもやってくれたなぁぁぁっ!!」

俺は男を突き飛ばすように蹴り飛ばした。ふと見ると、屋上には物干し竿とその台があった。
俺は、アルミパイプとコンクリートで出来たそれを掴み上げ、男を殴った。殴った。殴った。
>613 木野薫 VS ロングファング

 どういうわけか相手が激昂した。
 冷静な相手に見えたのだが・・・理由はまあ言い、好都合には変わらん。

 二発食らい(腕の骨が粉砕されたが、すぐに治癒する)、顔面を狙った三発目をスウェーで避けた。
 4発目――大振りすぎる。
 機先を制して間合いに入り込み、爪先蹴りでカウンター。
 ブーツの先がみぞおちに食い込み、出会い頭の勢いで奴が吹き飛ぶ。

「どうした、センセ。患者が怖がるぜ?」

 優位に立ったので、からかってやりたくなった。
 結局さっきの位置から動いていない少女に歩み寄り、手を取って立たせた。
 囁いてやる。

「お宅を連れてくには、あのセンセ、いや化け物か。あれが邪魔だ」
 意地悪く頬を歪める。

「言ってやれ、邪魔だから消えろってな。私は別のところにいくんだからと」
 奴に聞こえるように、俺は声を高めて言った。
>614
「ぐっ…」
いい一発だった。おかげで目が覚めた。突き刺さったナイフを引き抜き、握り潰す。

「俺は…化け物ではない…俺はアギト、人間を救う者だ!」

そうだ。俺にとってすべての患者は雅人なのだ。この腕も、この力も、全部人間を救うために
手に入れた力だ。

「どこへも行かせない!…行かせるものか!――お前の好きにさせるものかぁ!!」
左肩の紋章が輝くと、男めがけて俺は駆け出した。

「君を救うのは――この男じゃない、俺なんだ!!」
>615 木野薫 VS ロングファング

「・・・い、いやっ」
 何に対してイヤなのか。今の異常な状況に対して、てのが一番有りそうだが、さて・・・
 希望を得ることに恐怖し、絶望に逃げた心に、あの医師はそれでもほんの一筋の希望だったに違いない。
 俺は娘の顔を覗き込みたい誘惑に駆られた。その瞳がどっちを見ているのか。
 だが、ちっとばかり余裕が無さ過ぎだ。

 予備の投擲ナイフを後ろ手に取り出す。
 娘の手を引き、盾にするように奴との間に入れ、娘の身体の影からナイフを投擲した。

 ついで、娘の身体を奴の方に突き飛ばし、自身も跳躍。
 娘を飛び越える様にして奴の首に取り付こうとした。
 奴の首を、全体重をかけてへし折る。
>597

VS名も無き魔族【毒を以て毒を制する闘い】
 
げらげらげらと、屍体達が大合唱を奏でる中、
スレイマンは自己の無くなった筈の左手――のあった箇所をじっと見つめていた。
 
体肢を失っても、時として脳髄はまだ、そこに体の一部があるかのように錯覚する。
その感覚を核に、スレイマンは呪力固定し、神経組織の影を投影すると、
そこに、揺らめく霊体で構成された腕が出現した。
 
スレイマンが
「ち」
などと舌打ちをしつつ、その霊体の腕を降るごとに固定は強まり、存在感は増し、より鮮明に視覚化した。
霊気によって構成され、呪術によって駆動する、<栄光の腕>だ。
 
<栄光の腕>の固定が済むと、あれでもない、これでもない、といった風に屍体を選別し始めた。
いらない屍体はぽいぽいと、魔猿に向かってプレゼント。げらげらげら。そして更なる爆裂。
 
―――そして、探し始めて十数秒後
「ク、ク、見つけたぞ」とスレイマンは言うと、
屍体と瓦礫の山の中から一つの人型を掘り出した。
 
それは屍体ではなく、生者だった。
撒き散らされた麻薬に脳髄を漂白され、さらに、眼前の闘争を直視した為、完全に発狂してはいたが
生きていた。最高に運が悪かったと言える。
 
―――幸福量保存の法則? あれは社会全体でバランスをとっている。
哀れな話ではあるが、この可哀想な男には最悪と呼ぶのも躊躇われるほど、滑稽な運命が用意されていた
 
そして――
スレイマンは青白い霊炎をまとう<栄光の腕>を、この名を呼ばれることも無い男の眼窩に突っ込んだ。
「あ゛、あ゛、あ゛、あ゛」と言う形容しがたい叫びとともに、男の体はびくびくと震えた。
 
と、次の瞬間、暗転。スレイマンが<光明>を解除したのだ。
光源が無いでもないが、さっきの強烈な明かりとのギャップがあるため大抵の者はこれを『闇』と呼ぶだろう。
そしてその頃から、ひとつ、またひとつと屍体の笑い声は消えていった。祭りのフィナーレは近い。
>616
男は少女を盾にナイフを投げ、そして飛びかかる。
しかし、もう俺に躊躇はなかった。口を覆うシャッターが開き、牙が剥き出しになる。
左足を引き、右腕を突き出す。足元に力が集まる。飛んできたナイフは右腕で受け、俺は
跳躍した。
「はぁぁぁぁっ!ふぅん!!」
背中の黄色いマフラーがはためき、俺の必殺の蹴りが男を捉えた。40dの衝撃を誇る一
撃は男を吹き飛ばした。屋上から飛び出した男は、夜の闇の中へ落ちていった――

俺は変身を解き、少女に手を差し伸べた。ナイフの二撃を受け、血がしたたる手。しかし、
この手が彼女を守ったのだ。

ずいぶんと傷つけてしまったが、これでいいんだよな、雅人。

「さあ、病室に戻りましょう。夜は明ける、朝は来るんです」
「……」
「私が怖い、ですか?化け物―だからですか」
「……」
「私は人間です。いつか、君にも分かる日が来ます。だから」

少女は、黙って差し出された手を取った。
>617(続き)
 
死の呪文の嵐が一段落し、ようやく魔猿がその体を再構成することが出来るようになったとき、
再び<光明>が展開された。今度は目を射抜くような光ではない。
光の中心の物を照らし出す、スポットライトのような明かりだ。
 
―――照らし出されたのは、スレイマンと、眼窩に<栄光の手>を突っ込まれ、吊り下げられた男。
男は、<栄光の手>から流し込まれる呪力によって、身体施呪をかけられ、一時的に言語能力を回復している。
眼窩から血の涙を流し、口蓋をカクカクと動かしながら、男は言った。
 
「サア、サア、サア、ヨッテラッシャイ見テラッシャイ」
「『イカレル腹話術師』じいじいすれいまんノ、本日ガ初公演ダヨ!!」
「御代ハ見テノ御帰リデ」
 
そこにスレイマンが、
「ク、ハ、もっとも誰一人として、生きて帰す気はさらさら無いがな!!」と、続けた。
 
血涙を流す男の右手には、操棹やいくつの可動部品が剥き出しで付属している長大な機械が握らされていた。
そして、その機械には、武器として作られた道具としての威圧感が確かにあった。
更にそこから伸びる黒い伝道管らしきものが、ぐっさりと男の頭に突き刺さり、
そこからもぽたりぽたりと血が落ちる。
 
そして、男の手は操られるかのように――いや、操られているのだが――魔猿に機械の先を向け、操棹を引く。
更に男の口がすごい勢いでガクガクと動いたかと、思うとなにやら口唇からぶつぶつと呟きが漏れた。
同時に、スレイマンのロッドが灼熱するほどの勢いで高速詠唱を始め、男の呟きに共鳴する。
 
構えた機械の先端に真紅の幾何学模様が出現していた。魔法陣と呼ばれる物だろう。
 
そして、吊り下げられた男は、最後にはっきりとこう言った。
 
「<どらい・きる>」 「いぐじすとぉ!!」
>618 木野薫 VS ロングファング

 奴の跳躍、強烈な蹴り――俺はかろうじて両腕でブロックした。
 両腕が破砕され、胸郭にめり込む。とっさにポイントをずらさなければ、危うく心臓を持っていかれたところだ。

 浮遊感。フェンスを越え、夜の闇へ。
 立ち木を叩き折って落下。受け身をとるが、10メートルほど転がってようやく止まる。

 屋上を見上げる。
 契約は済んだのだ、奴のいないところで、娘を連れて行く――はっきり言おう、食っちまうことにためらう必要は無い。が――

(・・・今回は譲るか)
 そんな気分になった。あの医師が結局救えないなら、そんときは俺に譲ってもらおう。
 それに――あの娘が明るく振る舞えるようになるなら、それはそれで見てみたい。
 3年もたてば美しく成長するだろう、そのときに改めて会いに行くのも――食うかはともかく――悪くない。

 そんなことを思い、俺はもう一度屋上を見上げてにやと笑った。
 きびすを返す。
 夜闇に浮かぶ白い建物を背に、俺はその場を後にした。
>620

エピローグ〜木野薫

3日後・手術室
「メス」
「はい」
「ガーゼ」
「はい」

俺は、少女のオペを執刀していた。病状は予想よりもかなり悪化していた。しかし、俺は
諦めるつもりはなかった。目の前のひとつの命を救えなくて何が人類を救う、だ。
傷ついた右腕も痛むことはなかった。雅人は俺に力を貸してくれている。

「縫合の準備を」
「はい…終わり、ましたね…」
「最後まで気を抜くな、まだ終わっていない」

俺の生涯でも五指に入る困難な手術だった。しかし、8時間にも及ぶ死闘の末、オペは成功
を迎えていた。

手元を照らしていた眩しい照明が消える。
「木野先生、お疲れ様でした」
助手たちの安堵とどよめきが手術室を満たす。

どうだ、見たか。あの名前も知らない吸血鬼め。俺は―勝ったぞ。俺が、救ったのだ。

A     Ω


Ω     A
木野薫(アナザーアギト) VS ロングファング
まとめ。

>598>600>603>605>606>607>608>609
>612>613>614>615>616>618>620>621
夜の病院での闘いだ。



木野医師は執刀お疲れさん。
そのうちにこっそり彼女の顔を見に行ってみることにするか・・・
そろそろこのスレも終わりか。

>533 中間まとめ

>562 ミア&ショウ&ロゼット&クロノ vs ドラキュラ伯爵
>584 『殺人貴 vs 幽祢』 〜傀儡人形は月の夢をみるか?〜
>599 【マレーネ・エルウェス VS アーノルド・ラスキン】 = 剣と拳を以て行われる闘争 =
>622 木野薫(アナザーアギト) VS ロングファング

抜けがあったら言ってくれよ?
途中経過だ。
 
G.G.スレイマンVS名も無き魔族
【毒を以て毒を制する闘い】
 
>318 >319 >327 >343 >349 >367 >377 >382 >392 >414 >426 >438
>458 >486 >497 >513 >563 >597 >617 >619
625V.L.(使役中):02/02/22 06:48
レス番、途中経過です。 
V.L.(使役中) vs フローズンハーフ (vs ナハ(略)×vs ○ジャンボジェット) 

>411 >412 >413 >415 >416 >417 >418 >419 >420 >421 >422
途中経過だ。
リヒター・ベルモンドvsバンパイア・ロード 
 
>469>470>471>472>473>474>476>478>485>490>503>531>532
Bloody carnival and ... Destroy! Destroy! Destroy! 〜久遠美喜(M)vsミア・フォーテー

途中経過だ。

プロローグ >274

>275>276>277>278>279>280>282>366>369>408>409>466>467>534>560―――――


悪夢はまだ、終わらないぞ?
こちらでまた、再開する。


吸血大殲 第14回 鮮血の舞踏場

http://salad.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1014328483/
遅くなったな。
ナチス大殱 レス番纏めだ。
 
導入−ハインツ&バルクホルン VS 死神&不死の王
>311>316>322>329>334>338>340>344
 
本編−因果の王 VS 死神&不死の王
>346>351>353>355>358>427>436>443>446>454>475>493
>496>507>510>517>520>526>570>577>582>592>594>602
 
終幕
>610>611
 
・・・げに恐ろしきはアーカード、だな・・・
vsジャッジ・デスの途中経過や。
 
>371>410>439>456>468>499>512
 
630タオ ◆TAOadAbE :02/02/22 22:21
御神苗優vsタオ
途中経過だよ。
>564>565>566>568>569>572>576>580>581>587>588>590>593>595


<ドラキュラ・ヴラド・ツェペシュVSネロ・カオス>
>604
  
神祖の声と共に、世界が変容する。   
  
「固有結界? いやこれは侵食固有異界か」
  
完全な闇の中、神祖の声が響き渡る。 
それは、存在意義への問いかけ、闘争の場にはそぐわぬ問いである。
だが・・・・・・。
  
「違うな神祖よ、『究極の一』は手段に過ぎぬ、永遠――それが、私の命題だ」
  
聞こえてはいまい、だが答える価値のある問だ、そして私も問い返す。
  
「それ程の力を持ちながら、なぜ貴様は世界の破滅にこだわる? 究極の破壊に意味はあるのか?」
  
答えを期待した訳ではない、だが自然に問いが口に出た。
   
闇が晴れる、そこは魔王の威厳を身に纏い、私を見下す神祖が在った。
その姿は悪夢の産物以外の何者でもない、そして周囲の空間も悪夢そのものと化していた。
  
桁外れの魔力、桁外れの能力、何もかもが規格外のその力、完全に私と超えている、
このまま闘えば敗北は免れまい。
  
『本能』が警告する、この場から退避しろと、『意志』が命令する、前に進めと。 
私その二つ意識の狭間で灼熱の炎に焼かれ、雷に撃たれながら確信する。
この存在の先に『究極の一』が『永遠』が在る事を。
  
「神祖よ私には前進しか有得ない、誰にも邪魔はさせん」
   
その言葉と共に私は胸をかきむしる、そこから無数に生まれ出る悪意の固まり。
牙は有るが口は無い、殺戮衝動は在るが生存本能は無い、それは『混沌』より生まれた殺す為だけの生物
・・・その姿は蟹のような蜘蛛、像の並みの巨体を持つ死を司るのケモノ達。
   
同時に私自身も姿を変える、実体の無い黒い闇の身体に形を与え、自らを最高純度のケモノを化す。
  
「我は『混沌』、不朽の吸血種の中にあってなお不死身と称されし存在だ、滅ぼせると思うなら
やって見るがいい!!」 
   
無数のケモノを共に、全方位から襲いかかる。
小細工は無い、完璧な統制と完全な包囲網をもって神祖に殺到する。
<ドラキュラ・ヴラド・ツェペシュVSネロ・カオス>
>631

「ふむ、そもそも、貴様の構成要素、666の獣の因子、それも混沌の一つの形であろう」
 
ドラキュラは変異したネロ・カオスと生み出された獣たちを見下ろしながら、呟く。
 
「だが、我も又、混沌。ただ、構成要素が無数の獣の因子ではなく、人間の闇の部分の結集であるがな」
 
ドラキュラの周囲の獣の首が伸び、玉座のドラキュラに迫ろうとするネロ・カオスが産みだした獣たちを迎撃していく。
 
「世界の破滅か。人間の闇の部分がそう望むなら、我も奴等の望み通りに破滅させてやるしかなかろう」
 
ドラキュラが迫ってくるネロ・カオスに対して、右手をかざす。
 
「ただ、お前の気持ちは分からんでもない。我も力を求める為に自身を人の邪悪な意思の器としたのだからな」
 
ドラキュラの右手から、禍々しい色をした光弾が連続してネロ・カオスに放たれる。
 
「これが我の答えだ。お前が満足するかどうかは知らぬがな」
 
同時に悪魔の腕がネロ・カオスに振り下ろされた。
<ドラキュラ・ヴラド・ツェペシュVSネロ・カオス>
>632
私の繰り出した、死のケモノ達を神祖は王座から動く事も無く殺し切った。
 
神祖の放った光弾が連続して私を打ち据える 
私自身、神祖に肉薄することすら許されず迎撃された。
   
神祖を打倒する最後の手段、固有結界『創世の土』それを使用する条件は
神祖に肉迫し、その動きを止める事が必要だった。
  
巨大な悪魔の腕が振り下ろされる。
最高純度のケモノを化した肉体がまるで玩具の様に砕け散る。
  
「人の闇が望む破滅、・・・それが貴様の意志か?」
 
もし人が、生存を望めば世界の破滅は諦めると言うのか?

「否、断じて否!! 私は誰にも従わぬ全てを賭けて進むのみ!!」
  
例え、この場で消え去っても悔いは無い。
絶望など『永遠』を目指すと決めた時、捨て去った。
  
全てか? 無か? 
  
我が体内にある事で、千年に渡り世界の秩序回復を免れてきた固有結界『獣王の巣』
六百六十六の存在概念『魂』と六百六十六のケモノの要素『命』が渦まく生命の海。
すなわち、それは私の存在そのもである。
  
あらゆる意味を否定し、カタチを持たず、方向性を捨て、矛盾し合い、
矛盾し合いながらお互いに肯定する、意味があってはならないもの、絶対の秩序否定、
それを神祖が創り出した世界に開放した。
   
「我は『混沌』ネロ・カオス、『神祖』―貴様を連れていく」
  
どちらが残るのかそれは解らない、二つの混沌が混ざり合うのか、否定し合うのか、それも不明だ。
だがこれで決まる。
<ドラキュラ・ヴラド・ツェペシュVSネロ・カオス>
>633
 
「ひとつ、言おう。人の闇はきえることがない。したがって、我の存在意義も永遠に変わらぬ」
 
迫り来る混沌を前にそうつぶやく。
 
「お前の混沌の世界と我、果たして、どちらが上であろうな?」
 
ドラキュラがそう言い放つと同時にドラキュラの姿も巨大な蒼い悪魔に変化する。
周囲も灼熱の異空間から、朱い血のような空をした黒い太陽が輝く荒野へと切り替わる。
そして、その世界を混沌が侵食していた。
 
「……では、いくぞ。これが我の真の力だ」
 
ドラキュラは混沌の存在する空間領域に干渉。
空間が歪む。
……そして、混沌全てを吹き飛ばすべく、大爆発を起こす。
 
混沌が吹き飛ぶのが先か、ドラキュラが混沌に飲まれるの先か……?
>532 (リヒター・ベルモンド vs バンパイア・ロード)
 
光が消えた後、奴は塵一つ残さず、消滅していた。
最後に奴が笑った気がするが、一体……?
 
「奴も又、不滅か……?」
 
いや、考えても仕方があるまい。
 
「まあ、いい。何度も蘇ろうと滅ぼすのみだ」
 
俺は狩人―ヴァンパイアハンターなのだから……
人に仇なす闇の者は狩るのみ……
 
「狩られる者がいる限り、狩る者も又、必要か。因果なことだ」
 
森からの出口の道を歩きつつ、考える。
これからも、俺は奴等との闘争に明け暮れる日々だろう。
だが、それでいい。
 
それが、ベルモンドの血の宿命なのだから……
 
<ドラキュラ・ヴラド・ツェペシュVSネロ・カオス>
エピローグ
>634
   
神祖の創り出した世界の全てを覆い尽し、破壊する混沌の闇。
その闇を根こそぎ消滅せんとする強力な空間干渉。
お互いに食らい合い、消滅し、融合する。
  
その後に残ったのは、闇色の空間、混沌の闇。
  
悪魔城の最上階、瓦礫と化した王座に私だけが立っていた。
  
「……何故、まだ私が在る?」
   
『獣王の巣』の開放、それは限りなく自爆に近い。
何故なら『混沌』などと言う概念を世界の秩序回復による修正が見逃す筈は無い。
その上、『神祖』の世界による修正が・・・・・・
  
「…そうか、そう言う事か――」
  
神祖の異界もまた外部からの世界修正を受けていたか、そして内部から私の混沌の侵食。
それが私の生き残った理由か?
いや理由など必要ない、必要なのは『神祖』を取り込んだという事実のみだ。 
 
  
「新たな『神祖』に新たな忠誠を捧げます、どうかご命令を…」
  
振り向くと神祖の配下が集まり私に跪く。
  
「命が…養分がまるで足りん…」 
 
「直ちに贄を用意いたします、温かい処女の血をいくらでも」
   
確かに人は上質の餌だ、だが命の補充には役不足だ。  
そして、その命の補充に十分な資格を持つ獲物が目の前に頭をたれている。 
   
「我は『混沌』ネロ・カオス、『神祖』に在らず、領土も下僕も必要ない…」
  
我が命題は『永遠』そこに辿りつく資格を持つのは唯一人、協力者など無用である。
  
「恐れるな、これは死ではない『永遠』の始まりに過ぎぬ」
  
その言葉と共に『創世の土』が神祖の配下を飲みこみ始める。
反撃も抵抗も許さない、今の私にはその力がある。
 
崩れ落ちる悪魔城を後に神祖の最後の問いに応える。
  
「ドラキュラよ、如何なる存在も本能的に存続を望むのだ、例え闇を内包するとしても」 
  
同時に自らの存続の為に全てを滅ぼしうるのも確かだ。
  
「貴様と私、どちらが正しいか…それは時が証明しよう」
  
そして『混沌』は流浪の吸血種に戻る、自らを更なる次元に押し上げる為に。


<ドラキュラ・ヴラド・ツェペシュVSネロ・カオス>

レス番の纏めだ。
573>575>579>585>589>601>604>631>632>633>634>636
  
神祖に感謝する。
638以上、自作自演でした。:02/02/25 21:10
age
639以上、自作自演でした。:02/02/25 21:15
こちらはもう終了しているぞ
上がりついでに、おせっかいだがちと修正。
<ドラキュラ・ヴラド・ツェペシュVSネロ・カオス>

レス番の纏めだ。
>573>575>579>585>589>601>604>631>632>633>634>636
今スレのインデックス。

>273 シティ・ウォーズ(市街戦祭り)
>281 幽祢 VS アルトルージュ 〜 夢幻歳華・外伝 
>298 素晴らしきヒィッツカラルド VS ローゼリット・グィノー 〜 香港 風刃狂騒曲
>357 カノンvsアセルス 『薔薇の闘争者(デュエリスト)』
>365 『殺人貴』 vs 緑川淳司
>407 トレス・イクス(M) VS 坂東英二(M)
>465 御神苗優 VS ナルバレック
>484 死神(DEATH) 対 鈴鹿御前
>514 両儀式 VS 美夕
>529 サウジーネ VS 弓塚さつき
>562 ミア&ショウ&ロゼット&クロノ vs ドラキュラ伯爵
>584 『殺人貴 vs 幽祢』 〜傀儡人形は月の夢をみるか?〜
>599 【マレーネ・エルウェス VS アーノルド・ラスキン】 = 剣と拳を以て行われる闘争 =
>622 木野薫(アナザーアギト) VS ロングファング
>628 アーカード & 若ウォルター VS アドルフ・ヒトラー 『ナチス大殱』
>640 ドラキュラ・ヴラド・ツェペシュ VS ネロ・カオス

途中経過は>624付近だな。
一応、次スレ
吸血大殲 14章 鮮血の舞踏場
http://salad.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1014328483/