みなさんこんにちは。
Play By Chat(以下PBC)、なりきりチャットをご存知でしょうか?
CGIチャットを利用して、架空人格になりきり、会話を楽しむ。
「純粋なキャラクタープレイ」です。
このPBCはとても素晴らしいものです。
PBCは成功したストーリー指向遊技です。PBCはマスターが必要ありません。
しかも、しかもですよ。PBCプレイヤーは女性ばかりです!!
FRPGMで提議されたすべての問題をクリアーしています。いやそれ以上!
なぜ今まで話題にならなかったんでしょうね。
高鳴る胸を押さえながらPBCサイトをご覧ください。400超もあります。
なり茶Webring
http://www.bbspink.com/test/read.cgi?bbs=801&key=980506809
「今日は久々にエロ茶だったぜ〜イエー! 」
……さて、と。
甘くない現実を認識したところで、PBCについて紹介したいとおもいます。
ストーリー指向ゲーム考察の材料になればいいな、などと思います。
素材的にPBMに近い要素があるはずです。そちらに詳しい方、フォロー願います。
■最初はTRPGだった
筆者の知る限り、PBCと呼ばれるジャンルは3年前に現れました。当事はまだTRPG
と呼ばれていました。名前の通り、発祥はTRPGでした。
ある女性サークルが『放課後忌憚』をつかってTRPGをしていました。
キャラクターの性別は全員男。ホラー有りアクションあり恋愛ありという(恋愛対
象をのぞけば)ごくまっとうなGAMEでした。サークルメンバーがPC環境を整えたた
め、「ネットで続きできたら楽だよね」ということで内輪向けチャットサイトを作
りました。セッションの流れをついで、男子校ということになりました。
チャットRPGを行いました。しかしGMがいないこともあります。そんなときはキ
ャラだけでお喋りしました。行動宣言する必要がないため、会話はキャラ口調オン
リーです。見知ったメンツに共有した世界なので、キャラだけで話していられます。
公開サイトだったので、サークル外のひとがフラリとチャットに参加することが
ありました。それでもキャラ同士の会話は成立しました。しかも1日何時間お喋り
しても、何日お喋りしても飽きない。GMがいなくても楽しい。
TRPGから始まったチャットは、新しい遊びに発展していきました。
■PBCをプレイ
PBCと普通のチャットやネットゲームはどうちがうのでしょう?
一般的なPBCプレイヤーのプレイを見てみます。
田中(男)を操るプレイヤー氏は行きつけのサイトにいきました。まずはBBSをチェ
ックします。
プレイヤー伝言板には「キャラクター伝言板にプレイヤー発言とみられる書き込
みをしないでください」と注意が書き込まれています。PBCはキャラとプレイヤーの
分離、そしてルール違反に厳格です。
キャラ伝言板に自分のキャラ宛の書き込みがないとわかると、チャットをのぞき
にいきます。知り合いの竹口が一人で「待ち」してるのを発見しました。はいって
いきます。
system>「田中」さんがチャットにログインしました
田中>(居酒屋の扉をあける。親父さんに日本酒とてきとうにつまみを頼むと、知り
合いを見つけて笑顔で手をあげる。今日は面パンに長袖) よー。夕飯?
竹口>ン? 久しぶりー。最近こなかったじゃん。
田中>仕事が忙しくてよ(笑) わりーな。(運ばれてきた牛モツつつきはじめる)
竹口>あ。おいしそ(キラーン)。もーらいっ。
田中>金ないのかよー(笑)(ペチ。迎撃)
竹口>仕事ねェの! //……おごってくれたっていいのにさー(ぶつぶつ)
会話の最中にICQがパッホウ! と呼び出してきました。
「廃ビルみてみ。激修羅場」と、親しいプレイヤーさんからでした。
のぞきにいくと、知人の恋人二人が別れる別れないの口論をしています。居酒屋
のチャットをしながら楽しませてもらうことにします。CGIのチャットはリロードが
長いので、案外ヒマになる時間が多いのです。
居酒屋に知らない佐藤というキャラが現れました。知らない人です。登録者名簿
を見に行きます。
名簿によると身長192cmでボクサーをやっているようです。珍しい職業です。これ
はおもしろい。
system>「佐藤」さんがチャットにログインしました
佐藤>(がらり)ちーっす。
竹口>(二人は居酒屋の奥、隣り合わせで座っている。数本からになったとっくりが
並んでいる)
竹口>うわあ、背の高い人だねえ。
田中>んとだな。//よぉー。>佐藤
佐藤>こんにちは。佐藤っす(に)。
竹口>僕竹口だよ。売れないイラストレーター。よろしくね。>佐藤
田中>(ニコッと人なつっこくわらって) 俺は田中だ。なんか口んとこケガしてる
みたいだけど、どうしたんだ?(自分の口に指さして示して)>佐藤
佐藤>ああ、これはボクサーやってるもんで。名誉の勲章(に)>田中
田中>へえ〜〜。それでその身長なんだな。
身長とはキャラが見えている情報です。
ボクサーはプレイヤー情報ですが、上手くキャラ情報に変換してやれば、話をそ
ちらに誘導することができます。名簿を読むことは雰囲気を崩さないためにも、話
を広げるためにも有用なのです。
ボクサーの話をきっかけに話題はテレビへ、趣味へとうつりました。2時間ほど
話して解散になりました。
密かに待っていた田中の恋人(もちろん男)は来なかったようです。
■PBCの技術
PBCにも巧拙があります。それは文章力や打鍵スピードだけではありません。
キャラクターをどれだけ存在させられるか、というのがPBCでの技術です。
○初心者 − キャラを演じる
プレイヤーの世界をキャラを通じて表現しています。
「それでは、交渉します。『ねえねえ、エルフの村ってドコにあるにょ?』」
というキャラクタープレイに近い状態です。
相手の会話に対し、自分のキャラなりの返答を描写する状態です。ネタがあるか
ぎり、普通のチャットのように楽しめます。
○中級者 − 私の中のキャラ
キャラ自我を持ち始めます。プレイヤーを離れ、勝手に動くようになります。
プレイヤーがネタを考えずとも、会話に脊髄で反応してしまいます。
キャラが自然に立ち、会話も格段に楽しくなります。
このレベルのプレイヤーとチャットをすると、相手キャラの表情が「見え」ます。
○上級者 − キャラが別世界に存在する
キャラが完全に自分と分離します。
キャラは生まれた時からの記憶をもち、生活を営んでいます。キャラに尋ねれば、
初デートの失敗や昨日の献立など語ってくれます
プレイヤーはチャットの流れをコントロールできるようになります。といっても
欲求のままにキャラを動かすのではありません。キャラを支配する運命そのものを
操れるようになります。
このレベルのプレイヤーとチャットをすると、会話だけで周囲の匂いから喧噪ま
で再現されます。
■PBCと戦闘
PBCにも戦闘があります。
PBCの戦闘は勝利のための戦闘ではなく、キャラクターの欲求の解消のためのもの
です。プレイヤーは「世界観」と「キャラクター性」に違反しないように戦わねば
なりません。また、攻撃が成否は常に被攻撃者が決定します。
ある警官と不良少年が感極まって戦闘になりました。警官が圧倒的に有利…では
ありません。簡単に銃をつかうと「世界観違反」として試合に勝って勝負に負けま
す。警官は警棒で不良少年に襲い掛かります。不良少年はバタフライナイフを取り
出して応戦しました。
警官>(ナイフをもった腕を掴み、その切っ先をかわそうとする)
不良少年>(しかし勢いづいた手は簡単にはとまらない)
警官>チッ(腕が裂けた。動脈には届いてない)
警官は「かわそうとする」と判断をゆだねています。
不良少年も警官に判断をゆだねています。警官はダメージを負うことに決めました。
不良少年>ハハッ、痛い?(ナイフをさらに突いていき)
警官>空手三段なめるなよっ!(腕を蹴り上げる)
不良少年>っあ……!(ナイフ飛ぶ)
不良少年PLは「空手三段の蹴りはこいつにはかわせまい」としてナイフを飛ば
すことを決めました。キャラクター性に違反しないためです。
PBCでの戦闘は「深く楽しんだものが勝ち」です。無敵キャラをつくるのが簡単な
ために、逆に自制されています。試合にまけてでも、勝負に勝たねばなりません。
(怪我を負えば、病人を演じるという楽しみもえられますしね)
■PBCの魅力と恋愛
PBCには、ストーリーはありませんがドラマがあります。
ゲームマスターはいません。敵モンスターもプレイヤーキラーもいない。フラグ
やアイテムやパラメーターもない。キャラしかいません。ドラマになる外因は何一
つないはず。
でも、ドラマが生まれる。それはドラマがすべて内因より発するからです。
PBCではキャラクタープレイを阻害する要因が何一つ無いため、キャラクターが十
分に魅力的になります。魅力的な男性キャラというのは女性がもっとも好むものの
ひとつであることはご存じでしょう。彼らに恋愛させたくなってしまうというのも。
この恋愛がPBCを上手くまわしています。
恋愛を始めると、プレイヤーは中級者になります。キャラが我が手を放れ、相手
のキャラとの関係に悩み苦しむようになります。プレイヤーとって、現在進行形の
恋愛小説を読んでいるようなものです。
小説と違い、PBCの恋愛に終わりはありません。告白をして恋人になる過程、恋人
としてすれ違いや価値観の違いに悩む過程、安定したあとの倦怠期などなど、いく
らでも未知や危機が訪れます。
恋愛をすればキャラのいろいろな側面が見えてきます。自分のキャラですら知ら
ない面があり、それは新鮮な驚きを与えてくれます。恋愛はキャラの魅力を一番美
味しく味わう方法であり、キャラの魅力を加速させるものなのです。
また、小説という面では、もう一つの楽しみがあります。
それは他人のログを読むということ。自分の恋愛だけでなく、知り合いのキャラ
の恋愛も断片的に見ることが出来る。知り合いの数だけ楽しみが広がっていきます。
■男女問題
なぜ男女ではいけないのでしょうか?
最初にこの世にPBCを生み出したサイトには、ファンタジーモノとノーマル学園モ
ノチャットもあったのです。ところがプレイしてみたら、その二つは盛り上がらな
かった。
端的にいって、キャラの魅力を楽しめないのが原因です。
ファンタジーは誰かが外因でドラマを与えてやらないと盛り上がりにくい。
ノーマル学園モノは……女性プレイヤーが女の子を見て楽しいでしょうか? ど
うせ見るなら魅力的な男性のほうがいいにきまってます。
では男女プレイヤーとりまえぜてノーマルなりきりチャットを運営ならば?
これはプレイヤー同士の恋愛いざこざで崩壊します。妄想と現実を取り違える男
性プレイヤーが原因です。
男性プレイヤー女性キャラというのはどうでしょう? 上の説明をみれば同じよ
うにたのしめるはずですが……。
うまくいきません。理由は、ま、必要ないですよね。
■TRPG−TRG=PBC
TRPGで謳われた「プレイヤーの数だけストーリーがある」というのはPBCで実現し
ています。
「キャラクターになりきって架空世界で冒険だ!」というのも、そのままです。
上級プレイヤーとあそべば、生半可なライトノベルよりも強力に物語世界へひっぱ
っていってくれます。
ランダム性や外因に頼るネットRPGとも別の魅力を打ち出しています。
最近ではPBCにゲーム性を組み込んだり、BBSを利用するようにしたPBW(Play By
Web)も盛んになっているようです。こちらは詳しくないため紹介を避けさせていた
だきます。こっちは、男性PLが多いみたいですね。
フォーセリアで男性PLのドワーフおやぢと語るのに飽きたかた、ひとつPBCはいか
がでしょうか? 女性プレイヤーの絢爛豪華なドリーム空間が待っています。『風
と木の詩』を右手に、『富士見二丁目交響楽団』を左手に、どうぞご参加を。
興味深く読ませてもらった感想を一口で言うと、 「それって、ゲームじゃないでしょう」
いや、良い悪いの問題ではなく、性質の違いとして。 基本的にRPGには、シナリオやゲームシステム、GMの判定といった形で、「課
題」「成否判定」があるわけです。で、「君はキャラクターXを担当している。
どう動く?よし、その結果はこう判定された」と進行すると。で、うまくいくこ
ともあれば、失敗することもあり、うまく進行させるのに(適切な難易度バラン
スで)四苦八苦するのが楽しいと。 私は最近しばしば、ストリーテリングやドラマが第一、ゲームシステムとかは
邪魔という人に対して、「じゃあいっそのこと、小説や漫画を書いたりすればい
い。発表の場なら、ウェブや同人誌即売会などいくらでもある」「RPGにはRPGの
特性があるんだから、それを無視してまでストリーテリングやドラマにこだわる
のは本末転倒だ」というのを考えています(最近は、『ヴァンパイア・ザ・マス
カレイド』のルールブックを読んで、特にそう思いました)。また、このフォー
ラムで何度か「じゃあいっそのこと、RPGとストーリーテリングを分けたらどう
だい」という話もあるわけで。 そういう点では、本当は「RPGにストーリーテラー的要素がいくらか含まれる」
というのを、「RPG = ストーリーテラー」と勘違いされてきたのが、不幸の大
本なんですなあ、と。 あと、実はこの手のチャット会、私の記憶にある分には7年ぐらい前から、TRPG
とは特に縁のない、アニメ、漫画系ファンの人たちの間で、主にお気に入りの作
品の登場人物を使う形で行われていました。実際には歴史はもっと古いはずです。
それが、あまり話題に上らなかったのはやはり、「それはゲームではないからで
しょう」ということだと思います。 このフォーラムで問題になっているのは、あくまでも「ゲームという枠組みの
上でどうするか」ということで、キャラクタープレイ問題も「あまりに度が過ぎ
るとゲームという枠組みを破壊してしまうから」ということだと思いますが、そ
ちらのとられた方法だと、「RPGに限界を感じたから、小説や漫画を書くように
なりました」というのと同じことだと思います。いや、それが悪いということで
は全然無いのですが、すでに別物になっていると。