NiftyのFRPG

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119NPCさん
みなさんこんにちは。

 Play By Chat(以下PBC)、なりきりチャットをご存知でしょうか?
 CGIチャットを利用して、架空人格になりきり、会話を楽しむ。
「純粋なキャラクタープレイ」です。

 このPBCはとても素晴らしいものです。
 PBCは成功したストーリー指向遊技です。PBCはマスターが必要ありません。
 しかも、しかもですよ。PBCプレイヤーは女性ばかりです!!
 FRPGMで提議されたすべての問題をクリアーしています。いやそれ以上!

 なぜ今まで話題にならなかったんでしょうね。
 高鳴る胸を押さえながらPBCサイトをご覧ください。400超もあります。

 なり茶Webring
 http://www.bbspink.com/test/read.cgi?bbs=801&key=980506809

 
120NPCさん:2001/06/09(土) 08:39
「今日は久々にエロ茶だったぜ〜イエー! 」

 ……さて、と。
 甘くない現実を認識したところで、PBCについて紹介したいとおもいます。
 ストーリー指向ゲーム考察の材料になればいいな、などと思います。
素材的にPBMに近い要素があるはずです。そちらに詳しい方、フォロー願います。

■最初はTRPGだった

 筆者の知る限り、PBCと呼ばれるジャンルは3年前に現れました。当事はまだTRPG
と呼ばれていました。名前の通り、発祥はTRPGでした。

 ある女性サークルが『放課後忌憚』をつかってTRPGをしていました。
 キャラクターの性別は全員男。ホラー有りアクションあり恋愛ありという(恋愛対
象をのぞけば)ごくまっとうなGAMEでした。サークルメンバーがPC環境を整えたた
め、「ネットで続きできたら楽だよね」ということで内輪向けチャットサイトを作
りました。セッションの流れをついで、男子校ということになりました。

 
121NPCさん:2001/06/09(土) 08:40
チャットRPGを行いました。しかしGMがいないこともあります。そんなときはキ
ャラだけでお喋りしました。行動宣言する必要がないため、会話はキャラ口調オン
リーです。見知ったメンツに共有した世界なので、キャラだけで話していられます。
 公開サイトだったので、サークル外のひとがフラリとチャットに参加することが
ありました。それでもキャラ同士の会話は成立しました。しかも1日何時間お喋り
しても、何日お喋りしても飽きない。GMがいなくても楽しい。
 TRPGから始まったチャットは、新しい遊びに発展していきました。

■PBCをプレイ

 PBCと普通のチャットやネットゲームはどうちがうのでしょう?
 一般的なPBCプレイヤーのプレイを見てみます。

 田中(男)を操るプレイヤー氏は行きつけのサイトにいきました。まずはBBSをチェ
ックします。
 プレイヤー伝言板には「キャラクター伝言板にプレイヤー発言とみられる書き込
みをしないでください」と注意が書き込まれています。PBCはキャラとプレイヤーの
分離、そしてルール違反に厳格です。
 キャラ伝言板に自分のキャラ宛の書き込みがないとわかると、チャットをのぞき
にいきます。知り合いの竹口が一人で「待ち」してるのを発見しました。はいって
いきます。

122NPCさん:2001/06/09(土) 08:41
system>「田中」さんがチャットにログインしました
田中>(居酒屋の扉をあける。親父さんに日本酒とてきとうにつまみを頼むと、知り
合いを見つけて笑顔で手をあげる。今日は面パンに長袖) よー。夕飯?
竹口>ン? 久しぶりー。最近こなかったじゃん。
田中>仕事が忙しくてよ(笑) わりーな。(運ばれてきた牛モツつつきはじめる)
竹口>あ。おいしそ(キラーン)。もーらいっ。
田中>金ないのかよー(笑)(ペチ。迎撃)
竹口>仕事ねェの! //……おごってくれたっていいのにさー(ぶつぶつ)

 会話の最中にICQがパッホウ! と呼び出してきました。
「廃ビルみてみ。激修羅場」と、親しいプレイヤーさんからでした。
 のぞきにいくと、知人の恋人二人が別れる別れないの口論をしています。居酒屋
のチャットをしながら楽しませてもらうことにします。CGIのチャットはリロードが
長いので、案外ヒマになる時間が多いのです。

 居酒屋に知らない佐藤というキャラが現れました。知らない人です。登録者名簿
を見に行きます。
 名簿によると身長192cmでボクサーをやっているようです。珍しい職業です。これ
はおもしろい。

123NPCさん:2001/06/09(土) 08:41
system>「佐藤」さんがチャットにログインしました
佐藤>(がらり)ちーっす。
竹口>(二人は居酒屋の奥、隣り合わせで座っている。数本からになったとっくりが
並んでいる)
竹口>うわあ、背の高い人だねえ。
田中>んとだな。//よぉー。>佐藤
佐藤>こんにちは。佐藤っす(に)。
竹口>僕竹口だよ。売れないイラストレーター。よろしくね。>佐藤
田中>(ニコッと人なつっこくわらって) 俺は田中だ。なんか口んとこケガしてる
みたいだけど、どうしたんだ?(自分の口に指さして示して)>佐藤
佐藤>ああ、これはボクサーやってるもんで。名誉の勲章(に)>田中
田中>へえ〜〜。それでその身長なんだな。

 身長とはキャラが見えている情報です。
 ボクサーはプレイヤー情報ですが、上手くキャラ情報に変換してやれば、話をそ
ちらに誘導することができます。名簿を読むことは雰囲気を崩さないためにも、話
を広げるためにも有用なのです。

 ボクサーの話をきっかけに話題はテレビへ、趣味へとうつりました。2時間ほど
話して解散になりました。
 密かに待っていた田中の恋人(もちろん男)は来なかったようです。
124NPCさん:2001/06/09(土) 08:42
■PBCの技術

 PBCにも巧拙があります。それは文章力や打鍵スピードだけではありません。
 キャラクターをどれだけ存在させられるか、というのがPBCでの技術です。

○初心者 − キャラを演じる
 プレイヤーの世界をキャラを通じて表現しています。
 「それでは、交渉します。『ねえねえ、エルフの村ってドコにあるにょ?』」
 というキャラクタープレイに近い状態です。
 相手の会話に対し、自分のキャラなりの返答を描写する状態です。ネタがあるか
ぎり、普通のチャットのように楽しめます。

○中級者 − 私の中のキャラ
 キャラ自我を持ち始めます。プレイヤーを離れ、勝手に動くようになります。
 プレイヤーがネタを考えずとも、会話に脊髄で反応してしまいます。
 キャラが自然に立ち、会話も格段に楽しくなります。
 このレベルのプレイヤーとチャットをすると、相手キャラの表情が「見え」ます。

○上級者 − キャラが別世界に存在する
 キャラが完全に自分と分離します。
 キャラは生まれた時からの記憶をもち、生活を営んでいます。キャラに尋ねれば、
初デートの失敗や昨日の献立など語ってくれます
 プレイヤーはチャットの流れをコントロールできるようになります。といっても
欲求のままにキャラを動かすのではありません。キャラを支配する運命そのものを
操れるようになります。
 このレベルのプレイヤーとチャットをすると、会話だけで周囲の匂いから喧噪ま
で再現されます。
125NPCさん:2001/06/09(土) 08:43
■PBCと戦闘

 PBCにも戦闘があります。
 PBCの戦闘は勝利のための戦闘ではなく、キャラクターの欲求の解消のためのもの
です。プレイヤーは「世界観」と「キャラクター性」に違反しないように戦わねば
なりません。また、攻撃が成否は常に被攻撃者が決定します。

 ある警官と不良少年が感極まって戦闘になりました。警官が圧倒的に有利…では
ありません。簡単に銃をつかうと「世界観違反」として試合に勝って勝負に負けま
す。警官は警棒で不良少年に襲い掛かります。不良少年はバタフライナイフを取り
出して応戦しました。

警官>(ナイフをもった腕を掴み、その切っ先をかわそうとする)
不良少年>(しかし勢いづいた手は簡単にはとまらない)
警官>チッ(腕が裂けた。動脈には届いてない)

 警官は「かわそうとする」と判断をゆだねています。
不良少年も警官に判断をゆだねています。警官はダメージを負うことに決めました。

不良少年>ハハッ、痛い?(ナイフをさらに突いていき)
警官>空手三段なめるなよっ!(腕を蹴り上げる)
不良少年>っあ……!(ナイフ飛ぶ)

 
126NPCさん:2001/06/09(土) 08:44
不良少年PLは「空手三段の蹴りはこいつにはかわせまい」としてナイフを飛ば
すことを決めました。キャラクター性に違反しないためです。

 PBCでの戦闘は「深く楽しんだものが勝ち」です。無敵キャラをつくるのが簡単な
ために、逆に自制されています。試合にまけてでも、勝負に勝たねばなりません。
(怪我を負えば、病人を演じるという楽しみもえられますしね)

■PBCの魅力と恋愛

 PBCには、ストーリーはありませんがドラマがあります。
 ゲームマスターはいません。敵モンスターもプレイヤーキラーもいない。フラグ
やアイテムやパラメーターもない。キャラしかいません。ドラマになる外因は何一
つないはず。
 でも、ドラマが生まれる。それはドラマがすべて内因より発するからです。

 PBCではキャラクタープレイを阻害する要因が何一つ無いため、キャラクターが十
分に魅力的になります。魅力的な男性キャラというのは女性がもっとも好むものの
ひとつであることはご存じでしょう。彼らに恋愛させたくなってしまうというのも。
 この恋愛がPBCを上手くまわしています。
 恋愛を始めると、プレイヤーは中級者になります。キャラが我が手を放れ、相手
のキャラとの関係に悩み苦しむようになります。プレイヤーとって、現在進行形の
恋愛小説を読んでいるようなものです。
 
127NPCさん:2001/06/09(土) 08:45
小説と違い、PBCの恋愛に終わりはありません。告白をして恋人になる過程、恋人
としてすれ違いや価値観の違いに悩む過程、安定したあとの倦怠期などなど、いく
らでも未知や危機が訪れます。
 恋愛をすればキャラのいろいろな側面が見えてきます。自分のキャラですら知ら
ない面があり、それは新鮮な驚きを与えてくれます。恋愛はキャラの魅力を一番美
味しく味わう方法であり、キャラの魅力を加速させるものなのです。

 また、小説という面では、もう一つの楽しみがあります。
 それは他人のログを読むということ。自分の恋愛だけでなく、知り合いのキャラ
の恋愛も断片的に見ることが出来る。知り合いの数だけ楽しみが広がっていきます。

■男女問題

 なぜ男女ではいけないのでしょうか?
 最初にこの世にPBCを生み出したサイトには、ファンタジーモノとノーマル学園モ
ノチャットもあったのです。ところがプレイしてみたら、その二つは盛り上がらな
かった。
 端的にいって、キャラの魅力を楽しめないのが原因です。

 ファンタジーは誰かが外因でドラマを与えてやらないと盛り上がりにくい。
 ノーマル学園モノは……女性プレイヤーが女の子を見て楽しいでしょうか? ど
うせ見るなら魅力的な男性のほうがいいにきまってます。
 では男女プレイヤーとりまえぜてノーマルなりきりチャットを運営ならば?
 これはプレイヤー同士の恋愛いざこざで崩壊します。妄想と現実を取り違える男
性プレイヤーが原因です。
128NPCさん:2001/06/09(土) 08:45
男性プレイヤー女性キャラというのはどうでしょう? 上の説明をみれば同じよ
うにたのしめるはずですが……。
 うまくいきません。理由は、ま、必要ないですよね。

■TRPG−TRG=PBC

 TRPGで謳われた「プレイヤーの数だけストーリーがある」というのはPBCで実現し
ています。
 「キャラクターになりきって架空世界で冒険だ!」というのも、そのままです。
上級プレイヤーとあそべば、生半可なライトノベルよりも強力に物語世界へひっぱ
っていってくれます。
 ランダム性や外因に頼るネットRPGとも別の魅力を打ち出しています。

 最近ではPBCにゲーム性を組み込んだり、BBSを利用するようにしたPBW(Play By
Web)も盛んになっているようです。こちらは詳しくないため紹介を避けさせていた
だきます。こっちは、男性PLが多いみたいですね。

 フォーセリアで男性PLのドワーフおやぢと語るのに飽きたかた、ひとつPBCはいか
がでしょうか? 女性プレイヤーの絢爛豪華なドリーム空間が待っています。『風
と木の詩』を右手に、『富士見二丁目交響楽団』を左手に、どうぞご参加を。
129NPCさん:2001/06/09(土) 08:47
興味深く読ませてもらった感想を一口で言うと、 「それって、ゲームじゃないでしょう」
 いや、良い悪いの問題ではなく、性質の違いとして。 基本的にRPGには、シナリオやゲームシステム、GMの判定といった形で、「課
題」「成否判定」があるわけです。で、「君はキャラクターXを担当している。
どう動く?よし、その結果はこう判定された」と進行すると。で、うまくいくこ
ともあれば、失敗することもあり、うまく進行させるのに(適切な難易度バラン
スで)四苦八苦するのが楽しいと。 私は最近しばしば、ストリーテリングやドラマが第一、ゲームシステムとかは
邪魔という人に対して、「じゃあいっそのこと、小説や漫画を書いたりすればい
い。発表の場なら、ウェブや同人誌即売会などいくらでもある」「RPGにはRPGの
特性があるんだから、それを無視してまでストリーテリングやドラマにこだわる
のは本末転倒だ」というのを考えています(最近は、『ヴァンパイア・ザ・マス
カレイド』のルールブックを読んで、特にそう思いました)。また、このフォー
ラムで何度か「じゃあいっそのこと、RPGとストーリーテリングを分けたらどう
だい」という話もあるわけで。 そういう点では、本当は「RPGにストーリーテラー的要素がいくらか含まれる」
というのを、「RPG = ストーリーテラー」と勘違いされてきたのが、不幸の大
本なんですなあ、と。 あと、実はこの手のチャット会、私の記憶にある分には7年ぐらい前から、TRPG
とは特に縁のない、アニメ、漫画系ファンの人たちの間で、主にお気に入りの作
品の登場人物を使う形で行われていました。実際には歴史はもっと古いはずです。
それが、あまり話題に上らなかったのはやはり、「それはゲームではないからで
しょう」ということだと思います。 このフォーラムで問題になっているのは、あくまでも「ゲームという枠組みの
上でどうするか」ということで、キャラクタープレイ問題も「あまりに度が過ぎ
るとゲームという枠組みを破壊してしまうから」ということだと思いますが、そ
ちらのとられた方法だと、「RPGに限界を感じたから、小説や漫画を書くように
なりました」というのと同じことだと思います。いや、それが悪いということで
は全然無いのですが、すでに別物になっていると。