クロちゃんを称えよ!

このエントリーをはてなブックマークに追加
インターネットの普及に伴って、オンラインゲームなんてのも増えてきたよね。
ボクが若いころはパソコン通信しかなかったからねぇ。技術の発達はすごいね。
ディアブロやウルティマ・オンラインのようなゲームから、
Never Winter Nightsみたいにゲームマスターがシナリオを造れるまさにTRPGみたいなのまである。
一方で、チャットを使ったオンラインセッションもあって、なかなか場所と時間が取れない人には愛用されてるみたいだね。
で、オンラインセッションのときにはダイスロールプログラムを使ってサイコロを振るんだ。
最近ではサイコロを大量に振るゲームは少なくなったけど、時々ノートパソコンを持ち込んでいる人もいるね。
パソコンの中にシナリオと、ダイスロールプログラムを入れてマスターをしているんだ。
ホント、便利な世の中になったねぇ。

さて、今回のお話はまだそんな便利なものがまったくなかった時代のお話だよ。
サイコロを大量に振るゲームと言えば、T&Tというゲームが有名だね。
このゲーム、戦闘はプレイヤー側とモンスター側がサイコロを振り合ってその合計値の低いほうがダメージを受けるんだ。
攻撃力が高ければそれだけサイコロの数も多いから、10個や20個のサイコロを振り合うなんてしょっちゅうだったんだよ。
しかも、「バーサーク」と言うシステムがあって、ゾロ目が出たらその分さらにサイコロを振りなおすことができるんだ。
でも、さらに凶悪なのが、「ハイパーバーサーク」とシロモノで、ゾロ目が出たらそれにサイコロを加えて振れるっていうとんでもないルールなんだ。
いつものようにパーティがダンジョンでボスと戦っていたんだ。
「やばい、またモンスターの方が数字が大きいよ」
「おまえ魔法使えよ!」
「さっき魔法使ったからもうだめだよ。第一、お前がもっといい目を出せば良かったんだよ!」
「ほらほら、ケンカしないの。次のターンだからね。さっさとサイコロ振って(そろそろ救い舟を出そうかな)」
マスターは、ピンチに陥ったパーティを救うNPCをここで出すつもりだったんだけど…
「…マスター、俺バーサークする」
「なにぃ?!」
「(コロコロ)お、すげぇ。さっきのターンの3倍ぐらいの数字だ!」
「よし、俺はハイパーバーサークするぞ!(コロコロ)こっちは5倍以上だ!」
さっきまで互角以上に戦っていたモンスターはわずか1ターンで全滅。
「ああ、爽快爽快!」
「マスターもなかなかのバランス感覚だな。楽しかったよ!」
「…」
倒されるはずのないボスがあっさり倒されてシナリオは崩壊。
でも、マスターは哀れなボスの復讐を誓ったんだ…
「さあ、敵の剣士と部下たちが現れたよ」
「今回もバーサークして倒しちゃおうぜ」
「よーし、俺もやろっと」
「君たちバーサークするのかい?じゃあ、敵の剣士もハイパーバーサークするぞ!」
「にゃにい?!」
「くそっ、悪のマスターめ!こっちも負けずにハイパーバーサークだ!」
「じゃあ、ボクはサイコロの数を増やす呪文を唱えるよ!」
「(コロコロ)よし、ゾロ目だ!もう一回振るぞ!」

その後は、見るも無残なサイコロの振り合い合戦になったんだ。
「えーっと、さっきの出目が10だから合計で…(ぶつぶつ)」
「あ、またゾロ目だ。これでいくつだっけ」
敵も味方も延々サイコロを振るんだけど、いつまでたっても振り終わらない。
だって、「ゾロ目が出る限り」サイコロを振り続けられるんだもの。
しばらく経って、やっとサイコロを振り終わったんだけど…
「君たちの方がちょっと勝ってるね。でも、みんな防具でとまったよ」
「よし、じゃあもう一回だ!」
(コロコロ…コロコロ…コロコロ…)
「えー、今度は君たちが負けてるようだけど…」
「防具でとまるよ」
「じゃあ…もう一回だね…」
(コロコロ…コロコロ…コロコロ…)
「今度は、君たちが勝ってるけど…」
「どうせ防具でとまるんだろ」
「つーか、もうこんな時間だぜ。終わりにしないと」
と言うことで、その日のセッションはサイコロを振り合って終わっちゃったんだ…