深淵　第9夜【黒の海王】

樹木は枯れて、地に帰り草を育てる。
獅子は死んで虫を育てる。
死は決して無駄ではないのだ。

大地こそ我が命。
これこそもっとも確かなものなり。

風は我が子らを運ぶ。
土は我が思いを刻む。

星座は巡る。
これぞ運命の機械からくり。

一人一人が自由を持つ。
それは誰にも縛られない。

一つの種。
それが汝なり。

我をあがめよ。
願望を形にするのだ、
抑えてはならない。

　　受け入れよ。
　　　求めよ。
　汝はすでに私のもの。

嵐に荒れた海も時が過ぎれば
すべてを呑み込み、静かになる。

語り残さん。
これらすべてが夢で終わらぬために。

知恵を見失うな。
生き急ぐことは、
必ず破滅に通じる。

　私はすべて。
　すべては私。
　他に何もない。

風は我が子らを運ぶ。
土は我が想いを刻む。

形なき混沌が現実だ。
これに秩序という形を与えて、
未来を生み出すのが我らの使命なのだ。

伝説こそ語るべし。
なぜなら、皆を導き、
希望を与えるから。

多彩の渦が流れる。
水なき場所にさえ深淵の波音が響き渡る。

汝のなすことはすべて汝に返る。
それを忘れるな。