ゲームブックを語る夕べPart38

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862NPCさん
モテ趣味よりも本当に好きな趣味を-恋愛のゲーム化に醒めた男
近頃「anan」をはじめとする女性雑誌が「いかにしてセックスしたがらない男をその気にさせるか」「どうやって
恋愛したがらない男を振り向かせるか」という、わりと切実な特集記事を組むケースが増えてきている。
晩婚化・非婚化現象はかなり以前から問題になっているが、メディアを見ているかぎりではどうやら最近は
女性のほうが恋愛やセックスに熱心な傾向があり、男性は一部の「モテ系」と、そうではない「非モテ系」に
二極分化しつつあるらしい。80年代後半、バブル経済華やかなりし時代に、恋愛は商品化されていった。
例えば、アベックが映画館で松任谷由美のテーマソングが流れるホイチョイ・プロダクションのトレンディ映画
「私をスキーに連れてって」を観て自分たちもスキーに行きたくなり、西武バスに乗って苗場のスキー場へ
行き、プリンスホテルに宿泊してスキーとセックスを満喫する・・・といったような「恋愛資本主義経済サイクル」
とも言うべき構造が確立されたのが、80年代後半だった。70年代初頭、恋愛とは貧乏で政治や社会に希望を
失った若者が絶望の果てに見出した閉塞的な世界だった。上村一夫の「同棲時代」こそが、当時の若者の
恋愛観を描き出していたといえる。しかし空前のバブル景気によって、恋愛もまた大量消費システムに
り込まれ、消費のための商品になったのだ。このバブル時代には「恋愛マニュアル雑誌」なるものが隆盛を
極めた。男性誌では「ホットドッグプレス」がその代表格だ。若者は、メディアから「女にモテるためには
こういう髪型をしてこういう服を着てこういう話題を身につけて・・・」といった一連の「恋愛のルール」を
刷り込まれ続けたのだ。「ナンパ」という言葉も発明された。恋愛はそれまで男女の偶然の出会いから始まる
「縁」「運命」と考えられていたが、「ナンパ」の勃興は、恋愛が一種の「ゲーム」になったことを意味する。
もともと「ナンパ」の語源は「硬派」に対する「軟派」で、女の尻を追い回す軽薄な男を意味していた。
つまりは侮蔑語だったのだが、80年代に入ると女を追い回す軟派=ナンパこそがスタンダードとなり
、逆に硬派の方が笑われる時代になったわけだ。