Arabesque 運命の風 Fortrna Ventus

このエントリーをはてなブックマークに追加
24NPCさん
では即死前に、俺のプレイ体験でも書いておこうか。システムに関係ないネタばかりになるが。
昔の話なのでうろ覚えなのは勘弁してくれ。
まずはおもむろにキャラ作成に入った。このゲームでは種族、出身都市、職業をダイスで決めるのだが、これを別個に決めているらしくて、種族適性と職業の合わないキャラが続出した。
転職しようかとも考えたが、スキル制のこのゲーム、技能がやたらと細分化されている。
例えば魔法知識をとってみても、普通の魔法知識と儀式の魔法知識は別技能なのだ。
そんな細かい技能が職業を選ばされた時点で大量に手に入る。転職ルールがあったのかはわからないが、これらの技能を一つ一つ自力で取っていくのはあまりに道が遠すぎる。
ちなみにこの大量の初期技能に押されて、作成時にPLが選択できる技能数はほとんどない。
今から思えばROCの明文化というのは素晴らしいルールである。

ここで質問が出た。
PL「このゲームの魔法って、宝石が必要だと聞いたんだが。」
GM「そうですよ。」
PL「魔法使いの初期装備に宝石がないんだけど。」
GM「ありませんね。」
PL「…買う。魔法使うのにどんな宝石が何個必要なんだ?」
GM、マニュアルのページをめくって楽しそうに言う。
GM「街一つを覆う結界を作るのに必要な宝石は…。」
PL「そんな規模の話は聞いてねえっっっ!初期キャラの手に負える魔法の話だっ!」
以後GMの天然振りには、ゲームの間中悩ませられることになる。
その後宝石一個の値段を訊きだした我々は、黙って冒険に旅立ったのであった。
25NPCさん:04/10/31 17:02:12 ID:???
さてゲーム開始。とある出身都市に住んでいるPCの魔法使いは、役人に呼び出される。
役人「依頼を受けてくれないだろうか。実は敵対している都市で貴重な武具が一般に展示されるのだが、そこに潜入して「紅の刀」と言う武具を盗み出して欲しいのだ。」
魔法使い「俺盗賊じゃないんだけどなー。まあいいや。受けます。」
役人「それはありがたい。ついては潜入時に怪しまれないように、その魔法使いセット一式は置いて行くべきだと思う(魔法を使うには宝石以外にも色々道具が必要なのである)。」
魔法使い「ちょっと待て、コレ持ち込まなかったら、俺魔法使えないじゃん(今でも宝石がなくて使えないのだが)。」
役人「でも持ち込むのは危険だ。置いて行くべきだ。」
それでは任務が実行できないと主張する魔法使いに、再三役人(GM)が反対して押し問答。
PL「GM、質問なんだが、この魔法技能しかもっていない作成したての魔法使いが魔法使いセットを持たなかったら、一体キャラとして何ができるんだ?」
GM「何もできませんね。」
魔法使い「断固として、隠して持ち込むことにする。」
…判定なしで持ち込めた。シナリオ上の関門ではなかった模様。あれだけ反対していた役人は一体なんだったんだ。
26NPCさん:04/10/31 17:03:07 ID:???
(依頼主との)すったもんだのすえ都市に潜入した魔法使い。都市では辻斬り騒ぎが起きている。
とりあえず酒場に出向いて他のPCたちを集めてパーティを結成。展示場に向かったが。
PL「公開中止ぃ?」
よりによって紅の刀が盗み出され、展示会は中止の模様。
とりあえずは現場の検分と、夜中に忍び込む一行。その展示室には、刀の台座の他に鎧も飾ってあった。
と、鎧が動き出した。一行は逃げようとするが、進入口に結界が張られて通れない。
鎧「あの刀は呪われた刀だ。持った人間を操って殺戮を繰り返す。わしが力を貸すから刀を止めてくれ。」
あー、辻斬りはそれが原因か。
と、そこでやおら刀を抜く鎧。
鎧「ついてはわしを使うにふさわしいかお前達の力を試す。わしと立ち会え。」
PL「ちょっと待てい!」
PL「なあ鎧の爺さん、ここで俺達が倒されたら、刀を止める奴がいなくなっちまうだろ?この会場は閉鎖されているんだし、次の候補者がいつ来るかわからないぜ?」
PL「大体それが人に物を頼む態度かよ。」
鎧「むう…。」
PL「紅の刀は止めてやるよ。だからその物騒なものをしまいな。」
鎧「わかった。だがその前にわしと立ち会え。」
PL一同「人の話を聞け!」
27NPCさん:04/10/31 17:04:32 ID:???
その間に辻斬り事件は悪化の一途をたどっていた。街一番の戦士が返り討ちにしたのだが、あろうことかそいつが刀に魅了されて、その場で2代目殺人鬼になってしまったらしい。
最強の戦士と妖刀との組み合わせに街中が怯えてしまい、退治しようとするものが現れない。
そんな中パーティは、誰が思いついたのか「武器と鎧を提供してくれるなら退治を請け負ってやってもいい。」と言う提案を街に認めさせることに成功した。
早速マニュアルを見て武装を変更する一同。
と、そこで気づいたがこのゲーム、筋力による武装制限がない(エンカンブランスのルールくらいはあったかもしれない)。
完全スキル制のため、クラスによる武装制限もない。
結果、パーティ全員がハルバードと金属鎧を装備した。全員である(一人はさっき出てきた鎧を装備)。
さてそんな中、件の魔法使いは所属都市の大使館に向かっていた。
向こうもこちらの任務を前から了解しているため、すんなり通される。
魔法使いは刀を手に入れたら、一刻も早く刀を持ってこの街を離れなければならない。
そのために馬を用意してくれるよう、大使館に頼みに来たのだ。
だが大使館員が発した言葉に、彼は耳を疑った。
「逃げるための馬を用意してくれって、なにか悪いことでもするんですかあ?」
訂正、彼らはこの依頼を理解していない。というよりGMが理解してない。
魔法使いPLは、卓の下で拳を握り締めた。
28NPCさん:04/10/31 17:05:21 ID:???
あとは辻斬りと出会うだけである。鎧の話によると紅の刀は満月の晩に最も力が高まるらしい。
満月になる前に戦おうと、一行は夜の街をうろついた。
GM「1日目、敵は姿を現しませんでした。」
PL「満月までに出会わないとまずい。もっとアピールをすべきだな。」
PL「のぼりを立ててねり歩こう『辻斬りよ。俺達と戦え』。」
PL「打楽器も鳴らします。」
GM「2日目、3日目も収穫なし。」
PL「市民に浸透してない。日中もこの格好で歩き回ろう。辻斬りの耳に入るかもしれない。」
PL「なんか俺達チンドン屋みたいだな。」
GM「3日目、4日目も出会いませんでした。そして満月の晩。」
PL一同「ちょっと待てい!」
GM「月明かりの下、道に立っている男は…。」
PL「何で満月の晩まで出歩いたことになってるんだ!どうあっても満月時に戦わせるつもりかよ!」
ここでPLが「満月の晩には出ないことにする。」とごねることは可能だったかもしれない。
だが結局やめることにした。
このGMなら、次の満月の晩までまた辻斬り犯を引っ込めておきかねないからだ。
相手は刀一つで鎧なし。勝てない相手ではない。一同は武器を手に突っ込んだ。
そして件の魔法使いもハルバードを手に突撃した。
武器は提供されたが宝石は高すぎるため貸してもらえなかったのである。
彼の心中はいかばかりであっただろうか。
29NPCさん:04/10/31 17:08:19 ID:???
だが、いざ戦闘が始まってみると思わぬ事態が発生した。
敵のダメージの最大値がパーティの防御点以下だったのである。
そのからくりは戦闘ルールにある。
このゲームはダメージを武器の攻撃力+2D6、防御点は固定である。
そしてこのゲームの特徴として、武器には防御点が存在するのだ。
大きな武器を持っているならば、受け流しもできると言う理屈だろうか。
ハルバードは間合いが長いため、この防御点が実に高い。
記憶が定かではないが、確か15点くらいの攻撃力と防御点を持っており、これと金属鎧の防御点を加えた値が、GMの想定を上回ってしまったのである。
ちなみに歴戦の戦士と言えども、命中と回避こそ高いものの、追加ダメージも追加防御点もないらしい。
さらには攻撃にはクリティカルダメージもない。当然近代的な戦士用の必殺技などありはしない。
戦闘オプションはあったのかもしれないが、操られた状態で使えるはずもない。
逆転はないのである。このゲームにおいて装備の差はかように大きい。
「ナイフを持った英雄は、完全武装の農民に勝てない。」というのがプレイ後の我々の結論だった。
鎧も着ておらず、へちょい刀一つの戦士ならこちらの攻撃は通るが、相手の攻撃は通らない。
そんなわけで攻撃は当たりづらかったが、われわれは粘り強く戦い、ノーダメージで敵を惨殺した。
ちなみに魔法使いはなかなかの確率で攻撃を当て、作成時においては戦士と魔法使いの白兵戦闘力にあまり差はないことが判明した。

これが俺の、最初で最後の「運命の風」プレイの顛末である。
感想としてはさっきも書いたが、キャラ作成時にROCを取り入れ、魔法使いが宝石を持っていない問題を何とかすればそうプレイ困難なゲームではないと思う。
ただ戦闘ルールは手当て不能だ。
ルールを間違えていたのかもしれないが、とりあえず断言する。
「幸運の風」は、クソゲーであったと。

追記:俺はメールゲームのアラベスク経験者でもあるが、メールゲームを再現するわけでもない、普通のゲームだった。
もっとも元のメールゲームにしても、売りにするほどの世界観があったとは思えなかったが。