無限のファンタジア・by TommyWalker Part14
ある意味有名な話かもしれないが、
クッキーの方向音痴ぶりは他と比較にできるようなレベルではない。
帰巣本能がないので、ノソリンよりもタチが悪い。
道に迷うのは日常茶飯事。
冒険者といってもアビリティの使い方が間違いまくっていたり、
気に入った人には後ろから食いついたりするような、
今まで生きていられた事自体が不思議な存在なのだ。
そんなクッキーでも時には働かなければ食ってはいけない。
たまに他から見れば無謀としかいいようなない仕事をして、
クッキーは旅団員の役にたとうとすることがある。
8月初旬のその日も朝からクッキーは、旅団長の父親から幾ばくかの旅費と1通の手紙、
そしてその相手の家の住所の書かれた地図を手渡されて「おつかい」に向かうように頼まれていた。
「道に迷ったら、酒場に行って匂いの覚えている人に食いつくんだよ…」
爽やかな微笑を浮かべながら、極悪な事をほざく親父殿はやはり鬼畜旅団長の父親と言う所か……
そんなアドバイスと共に荷物を受け取ったクッキーは嬉しそうに尻尾を振りながら、
軽い足取りで出掛けて行ったのだった。
そして通常の人間がその場所に向かう時間の百倍以上の時間を経て、
クッキーはようやく渡された地図にある目的の相手の家の戸を叩く事が出来たのであった。
「しょちゅうおみまいもうしあげます♪」
出てきた相手に満面の笑みを見せながら、クッキーは預かってきた手紙を差し出すのであった。
<夜猫子・クッキー(a06505)>