厨房みたいな事書いて下さい@卓ゲ板:ウルトラQ

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573御崎 北南 ◆HONAMI/Hg2
石造りの部屋に熱気が篭っている。
殺風景な部屋の中心で一人の老人がトレーニングをしている。
深く刻まれた皺と深い瞳は、確かに老人の深い知恵を湛えていたが、その分厚く、しなやかな筋肉に
覆われた体に老いは見えない。
身長204cm、体重168sの黄金の肉体を持った老人は、黙々と腕立て伏せをしている。
よどみのない動きで続いたそれは、突然、指立て伏せに切り替わる。そして、30回。その30回ごとに
指は、一本ずつ減っていく。
小指を上げ、指は4本に減る。
薬指を上げ、指は3本に減る。
中指を上げ、指は2本に減る。
最後に親指が上げられ、指は1本に減る。
最後の30回を終えるて、老人は立ち上がると熱い呼気を深く深く吐いた。
そして、百キロはあると見える自然石を持ち上げると、スクワット始めた。

もし神の彫り上げた彫像があるとすれば、まさにその老人の姿だっただろう。
もし彼が今持ち上げているものが、この世界だと言われてもそれを否定しきれる者はいないだろう。
だが、老人は世界を持ち上げることを望まなかった。
老人は、昔、何にでもなれる若者だった。
若者がそう思えば、世界で一番早く走れたかもしれない。
若者がそう思えば、世界で一番重いものを持ち上げられたかもしれない。
若者がそう思えば、世界で一番強くなれたかもしれなかった。
若者がそう思えば、農夫にも魔術師にも王様にも商人にも乞食にも暗殺者にも――望めば、何にでもなれたはずだった。
だが、若者は、それを選ばなかった。

若者は、ただ、ダンジョンマスターになる事を選んだ。

ゲイリー・ガイギャックス――そういう老人だった。