微妙なんだよな。
作品の出来はともかく、
>>1がストレートにエロだか官能だかに入ってれば、
そのネタで他の人間も書ける。
>>1がそこに踏み込んでない以上、未だにネタスレとしてのお題が決まってないのよ。
キャラネタとミーニャーネタ(妄想コテハンネタ?)のSSスレならエロパロスレにあるし、
「卓ゲー青春小説スレ」ってのもネタとして(エロに比べて出来が問題になるので)
他の人間が追随するのは、かなり難しい。
何よりネタスレなのに、興味のない人間にまで無意味に注目されちゃってるのがネック。
そういうのを邪魔に感じる職人も少なくない。
>>1の最大の失敗はスレタイよりもむしろこっち。
1が罰ゲームって言ってるからな。HPでやるのが意味無いとも言ってるし。
削除依頼される理由は十分ある。削除されないと思うけどさ。
だから馴れ合いではあると思うよ
面白いから今のトコは容認するけど
それ言い出すと、削除のガイドライン云々って話になるんだよな。
>>203 いまさらこの板で馴れ合いがどうこう言っても無駄だと思うが:-p)
ここをたたくくらいならもっとたたくべきスレがあるだろ:-p)
世の中で殺人事件が起きているからといって、
窃盗事件が免罪されるわけではないのですよっと。
207 :
せらP:03/05/21 02:01 ID:???
まんまと杉井の術中にはまってるな(w
でさあ、なれ合いはどうでもいいんだけどさ、正直このスレのどこが面白いわけ?
今までの話全部読んだけど(まあ当たり前か)、それとこれからの話の予定もだいたい
知ってるんだけど、どこが面白いのかサパーリわからんのよ。
ネタスレの>1として杉井氏はガンガッてネタを振ったと思う。
杉井氏が飽きてしまったようなので、箸休めとして漏れの拙い文でも
読んでくれ。漏れもすぐに飽きてしまうと思うけどな(w
ある日、お袋が再婚すると言ってきた。何でも中学の同級会で初恋の
人と再会し、焼けぼっくいに火がついたらしい。俺が就職して親父の七回
忌も済み、キリの良いところで新しい人生を始めたいんだそうだ。
俺はもう社会人だから独り立ち出来るし、女手一つで大学まで出して
くれたお袋の苦労はよく分かっている。反対する理由も無いし、素直に
祝ってやることにした。
そんでもって、お袋と一緒に義父となる人の家へご挨拶に行ったわけだ。
「はじめまして、斉賀登久です。こちらが娘の美奈」
「あ、どうも、杉井ヒカル(仮名)です。えーと、母がたびたびお世話になって
いるようで…」
何と言うか、驚いた。丸顔だけど強面の男と、生意気そうな中学生の少女。
サイカトグとミーニャにそっくりだ。おかげで間抜けな挨拶になってしまった。
「ふん! 何が“お世話になってる”よ、つまんないセリフ」
ミーニャは急に機嫌を悪くして、そう言い捨てると部屋を出て行った。そりゃ、
顔を見たとたん間抜け面を作られたんじゃ、気に障って当然だろう。
「あっ、美奈、ちょっと! ……すいませんね、反抗期なんでしょうが、お恥ず
かしい。再婚には反対していなかったはずなんですが」
「いえいえ、それが理由ではないでしょう。実はお嬢さんに見とれてしまいまして、
デレッとした顔が気に入らなかったのだと思います」
「うわははは! 美奈を美人と言ってくれるかね、ありがとう。…まぁ、美奈が
気まぐれなのは今に始まったことではなくてね。そのうち戻ってくるから、いつ
ものように甘いものでも用意しておこうか」
俺の言い訳がツボにはまったのか、義父さんは急に機嫌が良くなり、最悪の
雰囲気になることは避けられた。それはまぁ良かったのだが、彼の口ぶりから
するとミーニャは相当甘やかされているようで、それが何となく気にかかった。
「お、ヒカル(仮名)君、美奈が気になるかね? 親の贔屓目かも知れんが、
確かに美奈はあと数年で美人になる。だがまだ13歳だ、ロリコンはいかんぞ」
「何を言ってるんですか、お義父さん」
親馬鹿につける薬があったら欲しいと思った。
ペースあげれーw
ミーニャがなかなか自室から出てこないので、ケーキと紅茶を手土産にして俺が
ご機嫌取りに伺うことになった。
コンコンコン
「何〜?」
「あの、ヒカル(仮名)だけど、ちょっといいかい? ケーキを持ってきたんだけど」
ドアの向こうで僅かに躊躇う気配があったが、ケーキの魅力に負けたのか、
すぐにトントンッという軽い足音がしてドアが開けられた。ドアの隙間から顔を出し
膨れっ面でこっちを睨んでくるが、迫力が無いのでむしろ微笑ましいくらいだ。
「さっきはごめんね」
「フンだ! 人の顔見ていきなり笑って!」
「本当にごめんね。あれは君を馬鹿にしてたんじゃないんだよ」
「じゃぁ、何さ! アタシに見惚れたとでも言うの?!」
「うん」
突っかかってくる子供にまともに付き合っていられないので、さらっと流す。
ミーニャは自分の予想外の答えに一瞬途惑い、こっちはその隙にドアの隙間に足を
挟み込む。
「ちょっとお邪魔させてもらうよ。紅茶が冷めちゃうからね」
「何だよ! 勝手に部屋に入るなっつーの!」
「まぁまぁ、暴れるとお茶がこぼれちゃうから。ね?」
すると彼女はしぶしぶ引き下がり、ドアを大きく開けてくれた。
「分かったよ、茶ぁ飲んだらすぐ帰れよ!」
そう文句を言いながらもクッションを用意してくれるところが可愛らしい。
「はい、どうぞ」
ケーキと紅茶を差し出すと、ミーニャは黙って食べだした。ツンと澄ました顔を作っ
てはいるが、時折こちらにチラチラと視線を向けるので、たいした効果は無い。
俺は紅茶を軽くすすってから、会話を切り出した。
「ねぇ… お父さんの再婚に、反対してる?」
「そんなことない。家事をやらなくて済むからむしろ賛成」
即答。なんともドライな答えに、苦笑いしか出なかった。
「そっちは?」
「ん? 別に俺も反対する理由は無いんだけどさ。ただなぁ、いきなり再婚と言われ
ても、ピンとこないんだよ。実感湧かなくてさ」
「…アタシも」
お互い共通するものを見つけたからか、ミーニャの刺々しい雰囲気が少し和らぐ。
俺は紅茶で唇を湿らせてから、自分の中のもやもやしたものを口に出した。
「本当は、寂しいのかも知れない」
一度しゃべってしまえば、後は簡単だった。
「親父が死んでさ、お袋、保険金は全部俺の学費に回してくれたんだ。それまで専業
主婦だったけど働きに出て、相当苦労したはずだ。だから初任給が出たら何か美味
いもの食わせてやろうとか、初ボーナスで近場だけど旅行に連れて行こうとか、思っ
てたんだけど。お義父さんにその役取られちゃったな」
自分でやっておいてあれだが、辛気臭くなってしまった。だからまぁ、音を立てて
紅茶をすすったのはわざとだ。
「ちょっと、下品な飲み方しないでよ。それに、マザコン?」
「何ですとー?! 親孝行の気持ちを、マザコンですとー?!」
ミーニャもそれをきっかけに話題を変えてきた。だから少々大げさにそれに付き合って
やり、それから後は二人の会話がぽんぽん弾んだ。
そのままガンガレ!、だけど中々Hに行かなさそう・・・w
続き期待してます、でもageは無しね>>ALL
あう、ミーニャの一人称は「オレ」ですことよ。あと、いちいち(仮名)がつくのは、
なんつーか、その、まあ、まあいいか(笑)。
さっき計ってみたら僕のストライクゾーンの低めは13歳どころじゃなかったことが
判明。頑張ってタイーホされないようにはします。
あ、別に飽きたわけでねくてよ。遅筆なだけでよ。
そんなわけで、続きいくよ。
-------------*-*-*--------------
一学期が終わりに近づいていた。僕は沢村と一言も話せないまま夏休みを迎えようと
していた。
あの日以来、沢村は『セロファン・フラワー』に一度も顔を出していなかった。沢村の
デッキも僕の鞄にしまいっぱなしだ。このままじゃ、話すどころか顔を合わせる機会も
なくなってしまう。
僕は何度も沢村に声をかけようとした。でも、あの大きな背中が肩をいからせているのを
見るたびに、勇気はすぐにしぼんでしまった。おまけに当時の沢村は、前にも増して不良仲間
とつるむようになっていたし、三年生のこわもてと深刻そうに話をしているのも見かけた。
二中の不良たちが大挙してやってきたこともあった。校門前に三十人くらいがたむろして、
「出てこいやォラアァッ」
と連呼するのだ。校庭にまで入ってくることもあった。彼らが口にする名前の中には、
沢村もよく挙がっていた。
夏がふくらむにつれて、僕を取り巻く世界が少しずつ少しずつ歪んでいくのがわかった。
僕は毎日取り憑かれたように『セロファン・フラワー』に通い、高校生や大学生から小銭を
巻き上げ、そのほとんどをカードに換えていた。そのサイクルを続けることで、なにかを
つなぎとめようとしていた。
貴子が僕のクラスを訪れたのは、終業式の二日前のことだった。
「おい、ヒカル。一年女子がおまえのこと呼んでる」
昼休み、カードを机に並べて没頭していた僕に、クラスメイトの一人がそう声をかけた。
僕は顔をあげて、教室の後ろのドアを見た。廊下の壁にもたれて貴子が立っていた。思わず
持っていたカードの束を机にばらまいてしまう。
「おい、だれだよあれ。ちょっとイイぞ。紹介しろ」
「え。ああ、うん、沢村の妹」
僕は上の空で答えながら立ち上がった。
「マジ? あれが? 科学的にありえねえ」
大げさに騒ぐクラスメイトの声を背中に聞きながら、僕は廊下に出た。
貴子とも、あの夜以来会っていなかった。
「ええと。久しぶり」
「邪魔しちゃった? ごめん」
「いや、そんなことないけど……」
まわりの視線を感じた。セーラーの線の本数を確認するまでもなく、二年生の教室近くでは
見慣れない一年生の貴子は注目の的だった。そうでなくても目立つ女の子なのだ。おまけに
男子と喋っているとなれば人目を引いて当然だった。
「あっちで話そうよ」
僕は人気のない家庭科室の前の廊下まで貴子を引っぱっていった。
貴子は最初のうち、僕の胸の辺りを見つめて黙っていた。多分、話したいことがぐちゃ
ぐちゃとありすぎてうまく言葉にできないのだろうと思った。僕もそうだったからだ。
「……ええと。あの日、大丈夫だった?」と、僕は切り出してみた。貴子は顔をあげて、
小さくうなずいた。
「お母さん、帰って来てて。あの人酔いつぶれて寝てたから。ありがと、ヒカル」
「沢村は?」
僕の問いに貴子は言葉をつまらせ、またうつむいた。自分でも、なにを訊いたのかよく
わからなかった。
「ヒカル、お兄ちゃんとけんかしてるの?」
唐突に貴子はそう言った。今度は僕が答えにつまる番だった。
「けんか、してるわけじゃ、ないんだけど」
「ほんとに?」
貴子はまっすぐに僕の目を見つめてきた。僕はたじろいでしまう。息ができなくなるほど
濃密で純粋な視線。沢村の妹なのだ。
「僕は、沢村を怒らせたんだ。たぶん、ものすごく。でも、謝ったら、もっと怒ると思う。
どうすればいいのかわからないんだ」
僕は吐き出すように言った。それから、沢村と同じ色の瞳から顔をそむけた。
「あのね。あたし、よくわからないんだけど」貴子は言って、僕の横に身を寄せて廊下の
窓から裏庭に視線を落とした。
「あのカードゲーム、ヒカルに教えてから、お兄ちゃんすごく楽しそうだった。家でも、
普段あたしとはめったに話さないのに、ヒカルのこと話してくれたり。でもね」
夏服の半袖から伸びた貴子の腕と、僕の腕がそっと触れ合う。
「最近、昔よりずっと不機嫌そうだし。夜帰ってこないし。怪我多いし。あたし思うんだ
けどね。お兄ちゃんて、ヒカルと全然キャラ違うのに、昔から仲良かったでしょ。それってね」
僕は小学生の頃を思い返す。沢村は昔からガタイがよく、僕はもやしっ子だった。中学に
入り、一年生にしてすでに他校に名が通るほどの武闘派となった後でも、相変わらず文系虚弱児
だった僕とよくつるんでいた。いつも僕は不思議に思っていたのだ。
「ヒカルの面倒見るのが、なんか楽しかったんだと思う。ヒカルに頼られるのが好きだったんだ
と思うの。『ヒカルには俺がいないとだめなんだ』って言ってたの、聞いたことがあるもの。
でもね」
僕は耳をふさぎたくなった。貴子の次の言葉が、僕にはほとんど予想できた。
「逆なんだと思う。
お兄ちゃんには、
ヒカルがいないとだめなの。
たぶん。それを、今まで気づいてなかったのに、どうしてか知らないけど、急に」
「だからって」
僕は乱暴に貴子の言葉を遮った。
「だからって、どうすればいいんだよ」
僕の肩のすぐ隣に貴子の顔があった。大粒の瞳が、もう一押しで液化して崩れてしまいそうだ。
「わかんない。でも」
貴子は顔を伏せた。窓枠に置いた僕の手の甲に、手のひらを重ね、爪を立てる。
「そんなのって変だよ。おかしいよ」
だから、僕はどうすればいいの? だれか教えてよ。
「お兄ちゃんに、ちゃんとわからせてあげてよ。ぼこぼこにして、ヒカルの方が強いってこと
見せて。それから、お兄ちゃんが邪魔なら、蹴っ飛ばしちゃって。でないと」
僕は、貴子の震える肩をぼんやりと眺める。
貴子は、おねえさんと同じことを言っている。
そのとき、僕の頭の中で、唐突に思考が音をたてて回り始めた。濃い霧が陽光に切り裂かれて
晴れていくように、その考えは確かな輪郭を形づくり始めた。
それは沢村についてのことではなく、貴子についてのことでもなかった。僕自身に関しての
ことでもなかった。
それはひとつのデッキだった。
だれもいない廊下の窓辺で、貴子と肩を寄せ合いながら、僕の頭はそのときデッキを構築して
いたのだ。隣でなにか涙声が聞こえたような気がした。でもなにを言っているのかはよく
わからなかった。予鈴が鳴ったのにも気づかなかった。
221 :
NPCさん:03/05/23 06:16 ID:6qOQhP5m
「沢村! ちょっと待って」
僕が下駄箱のところで沢村を呼び止めたとき、五時間目が始まる本鈴が鳴った。沢村は
不良仲間二人と一緒に五六時間目をさぼって帰ろうとしているところだった。
振り向いた沢村の眉には不機嫌そうなしわが寄っていた。
「ンだよ」
僕は荒い息と心臓を必死になだめながら、デッキケースを沢村に差し出した。
「いつかの忘れ物。返そうと思って」
「いらねえよ。もうやめたんだよ」
ぶっきらぼうに言って、踵を返そうとする沢村の袖をつかんだ。
「勝てないからやめるなんてかっこ悪いよ――」
ぐあん、と首のあたりに鈍い衝撃があった。僕は襟首をつかまれ、ねじり上げられていた。
足が床から浮いているのがわかる。すぐに目がかすんでくる。それでも僕はなんとか声を
しぼりだす。
「一回、だけでいいから、勝負、しよう。今、二万円持ってる。沢村が負けたら、一個頼みを、
きいてくれるだけで、いいよ」
沢村の額のしわが波打った。僕は床に叩き付けられ、激しくせき込んだ。
「なンだよ。おまえが俺に頼むことなんて、あるのかよ」
「うん」僕はしばらく四つん這いで息を整え、顔をあげ、なるべくなんでもない風を装って
言った。
「七月のトーナメントに出て」
「やだよ。やる気ねえ」
「だから、負けたらでいいんだってば」
「そんなくだらねえ勝負もやる気ねえ」
「僕が負けたら二万円だよ?」
沢村は、玄関の外で待つ二人の方に歩き出しかけた。僕は祈るような気持ちで挑発した。
「わかったよ。ハンデつけなきゃ勝負にならないもんね。僕はライフ半分スタートでいいよ。
なんなら手札も減らそうか」
沢村は顔を真っ赤にして振り向いた。鞄を床に投げ出すと、僕の手からデッキケースを
引ったくる。
「ハンデなんていらねえよ」
僕は、歓声をあげて沢村の首に抱きついてしまいそうな衝動を必死にこらえながら、
自分のデッキを取りだした。
「おい、沢村。なにやってんだよ」
待っていた二人が玄関から声をかける。
「うるせえ! 先行ってろ!」と沢村は顔も向けずに答え、デッキをシャフルし始めた。
僕らは教師に見つからないように、玄関の隅の大きな掃除用具入れのかげでカードを広げ、
勝負を始めた。
ゲームが始まってすぐに、沢村は異変に気づいたようだった。
「おい、ヒカル。てめえ俺のデッキいじったな」
見慣れないカードが入っているのだから、気づかないわけがなかった。
「うん。だって沢村のデッキ弱いし」
軽口を叩きながら、僕は内心びくびくしていた。僕の傲慢な態度に、沢村がいつキレても
おかしくなかった。
実際、沢村のデッキはかなり強化されているはずだった。攻撃力一辺倒だった原型に、僕が
妨害手段や回転をよくする要素を付け加えたのだ。それに気づいてくれることを祈った。それでいて、
沢村のミスを願った。実際、長いブランクによるプレイミスがなければ危ないところだったと思う。
ライフポイント3を残して僕はどうにか持ちこたえると、沢村の軍勢を一掃し、ゆっくりと逆転した。
沢村はむすっとした顔でカードをまとめると、サイドボードのカードを取りだしてデッキのカードと
入れ換え始めた。
「三本勝負とは言ってないんだけど……」
「うるせえ」
もちろん二タテで負かした。
悔しそうに手札を場にばらまく仕草は、まるっきり昔のそれだった。
沢村はカードを片づけもせずに立ち上がった。
「ねえ、約束だよ?」
「知らねえよ」
「来週の土曜日、五時からだからね。遅刻したら、僕が二人分登録しちゃうからね!」
沢村の背中は無言で玄関を出ていき、校門の植え込みの向こうに隠れて見えなくなった。
うずくまってカードを片づける僕の耳に、ようやく蝉の声が聞こえ始めた。
七月の終わりの午後五時。
『セロファン・フラワー』店内の蒸し暑さは最高潮に達していた。百人以上の男たちが
机と机の間にひしめき、空調は悲鳴をあげていた。スプリンクラーが誤作動するんじゃないか
と思えるほどの熱気だった。
時折入口の鉄扉が開き、新たな参加者が入ってきてはカウンターに流れておねえさんから
登録用紙を受け取り、熱気の中に潜り込んでいった。が、時計の針が締め切りの五時半に
近づくにつれて、それも減っていった。
僕は入口にいちばん近い席に座って、だれかが店に入ってくるたびに顔をあげた。そして
そのたびに落胆してデッキに目を落とした。沢村はまだ現れていなかった。
ふと、おねえさんがカウンター奥の扉に姿を消すのが見えた。ややあって、店内のスピーカー
から、シンプルでノスタルジックなピアノとギターの旋律が流れ出した。
"VAN HALEN III"の"NEWORLD"。トーナメントの開始を告げる曲だ。
僕はため息をついて、手元のデッキにまた視線を落とした。沢村に渡すつもりだった
赤黒のデッキ。結局、無駄だったんだろうか。
おねえさんが扉から再び姿を現す。
「じゃあ、始めるよっ。組み合わせ発表するから、みんな壁際に寄って」
僕は肩を落として立ち上がった、そのとき。
店の扉が乱暴に開いた。
自分でも、顔がゆるむのがわかった。泣きそうな顔をもろに見られた。デッキを投げつけて
やろうかと思った。
「おい、店長。まだ間に合うだろ」
おねえさんは沢村の顔を見て、僕の顔に視線を走らせて、それから天井をにらんで、また
沢村の顔に視線を戻した。
「遅刻ばっかりしてるとろくな大人になれないぞ」
「うるせえ。余計なお世話だ」
「五秒で書きなさいね」
おねえさんはボールペンと登録用紙を沢村の顔に投げつけた。僕も調子に乗ってデッキケース
を投げつけた。沢村がボールペンを左手で受け止めるのと、デッキケースがこめかみに
突き刺さるのとはほとんど同時だった。
「ヒカルてめえ! 後でぶっ殺すぞ!」
「いいから早く書きなさい!」
沢村の声とおねえさんの声が同時に店内に響いて、見ていた参加者たちの笑い声に
巻き込まれた。
こうして、『セロファン・フラワー』最後の――そう、最後の――トーナメントが、
始まった。
-------------*-*-*--------------
といったところで、以下次号。いよいよ本戦。
広告拾うまで、全ageしていることに気づかなかった……。
>213
テンポの良い会話がいいね。
>218
「科学的にありえない」に大笑い。
全体的に物語が収束に向かってる感じだな。
こっからのもうひと膨らみに期待。
俺も何か書こうかなぁ。
でもMTGから足を洗ってずいぶんなんだよな。
続きキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!、最終回が近いのか、どんどん盛りあがってるなぁ、
しかも、気が付くとRebeccaたんも書いてるし、豪華2本立てだよー!
2人とも乙
豪華ですねぇ、でも他の奴がレイプとかサワムと3pとかは無しにしてねw^^;
びっくりするほどジュブナイル
どっきりするほどエロチック
いやはや、このような話が拝めるとは、スレタイで回れ右は損ですなあ。
最後がちょっとほろ苦いあの懐かしき日々、という感じになりそうなのがツボであります。
どうか頑張れ、もっと頑張れ。 超頑張れ。
ヒカル熱い!カコイイ!燃え!w
自分はM:tGした事ありませんが、デュエルの熱気を感じます。
∧||∧
( ⌒ ヽ ミーニャーではなくミーニャ。別人だから一人称が違ったり
∪ ノ 父親がサイカだったりしても無問題。
∪∪ …嘘です、ごめんなさい。鬱だSNOW
価値観や日常生活のテリトリーが異なる相手と会話するのは、新鮮なできごとだった。
ミーニャは女の子の例に漏れずおしゃべりが得意で、こっちは相槌とたまに彼女と違う視点
から補足するだけだったが、お互い楽しい時間を過ごせたと思う。
少なくとも、ミーニャが単に生意気なだけの娘ではないと分かったことは収穫だった。
その日は結局、斉賀家で夕食をいただくことになった。お袋が張り切って料理している
間、義父さんは“息子と酒を酌み交わすのが夢だったんだ”と上機嫌だったが、それを
聞いたミーニャがひどく顔をしかめたのが気にかかった。
案の定、ミーニャが何か訴えかけそうな視線を送ってきたので、トイレに行く振りをして
廊下で話を聞いてみた。
「あのね、お父さん… 酒癖悪いの」
「悪いって、どんな風に?」
「人格が替わるというか、暴れる。しかも酔ってるときの記憶が無いらしいから」
「げっ、マジかよ。いつもはどう対処してるんだ?」
「普段は飲まないから…」
しょんぼり俯くミーニャを見れば、言わずともなんとなく分かる。そもそも女子中学生に
酔っ払いの相手なんて出来る方が珍しいし、ここはオレが防波堤になるしかあるまい。
「分かった。お袋にも話をして、3人で協力すれば何とかなるさ。な?」
ポン、と肩をたたいて笑いかけてやる。本当は自信無いけど。
お酒は一合徳利で出し、夕食のおかずを肴として小皿でたくさん並べる。お袋も
折をみては手料理の感想を求める形で食うことを薦めてくれるという。とにかく、
飲ませずに食わせる。そして語らせる。ほろ酔いのまま喋り疲れて眠らせる作戦が、
お袋、ミーニャと相談した結果だった。
会社の飲み会で上司と付き合うこともあるだろう、それの予行演習だと思うことに
した。4時間くらい義父さんの話を聞いていればどうにかかるだろう、と腹をくくる。
しかし。
話の内容が義父さんとお袋の甘酸っぱい青春時代のことになり、義父さんが照れ
隠しのためぐいぐい飲んでしまう。ヤバイ、まじでヤバイ。
「お父さん、ちょっと飲みすぎ」
ミーニャが注意するが、いい気分で飲んでいたところでケチをつけられたため、義父
さんの眉が跳ね上がる。ああ、もう駄目だ。
「美奈! 父さんが悪いってのか?! あぁ?! ゴルァ!」
流石に娘に手を上げるのを黙ってみているわけにもいかない。俺は義父さんに
飛びついた。
「ああん?! やるのか、おい!」
そうだ、スギムーも言ってたじゃないか。殴られるのが分かっていれば痛みに耐え
られる、一発貰って怯んじゃ駄目だって。
「やってやらぁ、コノヤロー!」
俺も酒が入っていたこともあるし、売り言葉に買い言葉でお互いヒートアップして。
その後のことは、ちょっと記憶が飛んでいる。
顔に冷たい感触があり、俺は目を覚ました。しばらく頭が働かなかったが、やがて
ソファーに寝かされて濡れタオルを額に乗せられているのだと気づく。
「あれ…」
口の中を切ったのだろう、喋ると痛む。
「あ、気づいたんだ、良かった」
ミーニャが俺の顔を覗き込んできた。
「怪我とか大丈夫? 救急車呼ばなくてもいい?」
「…大丈夫。義父さんは?」
「部屋で寝てるよ。お義母さんが付き添ってる」
「そうか。世話かけたね」
濡れタオルを取り去ってゆっくりと身体を起こす。ミーニャは俺の隣に腰をおろすと、
ぴったり身を寄せてきた。
「助けてくれてありがとう、お兄ちゃん」
「お兄ちゃん、か…」
ミーニャに兄と認められたことが、嬉しかった。そして、今まで呼ばれたことの無い
表現にちょっと背筋がむず痒くなる。
「何? お兄ちゃま、チェキ! とか言う方が良かった?」
いったいどこでそんなの覚えてきたんだ、ミーニャよ…
例の喧嘩が元で再婚話が流れるかと危惧していたが、そんなことはなかった。
しかしお袋も義父さんの酒癖の悪さは初耳だったようで、抑止力として一緒に住ん
でくれ、と言ってきた。新婚家庭に邪魔するつもりは無かったが、一人暮らしする
よりずっと経済的ということもあり、ミーニャも同居に反対しなかったので、結局は
一家四人で暮らすことになったのであった。
これにて杉井タンとミーニャーの話はおしまい。
プロローグだけです。本編のラブコメ(エロコメ)は気が向いたら書きます(w
感想つけてくれた方、ありがとうございました。
そして投稿してから気づく。
スギムーじゃなくてサワムーだった。
もう駄目、俺の頭ん中、超ヤバイ。もう寝ます。
成る程、本編のラブコメの方も期待してまーす!面白かったよ!
ジジたん視点のノンフィクション風フィクションとかはどうだろうか
>237
お疲れ!
>239
アルシャードを教わりにやってきたいたいけな少年が○○されてしまうショタヤオイですか?
241 :
239:03/05/25 00:39 ID:???
卓上板でTRPGゲーマ性善説に目覚めた純真なジジたんが
アルシャードのサプリメントを貸してくれたおねーさまに
後で返却しようと一人で訪問して……とか。
アルシャードスレでのあたりから書き始めると面白そうだ
この系はあげるなよ・・・
どうも最近のはクォリティが落ちているようなので、ちゃんと推敲してからageるように
します。これからもおつきあいいただきたく。
>241
実はあのスレの経緯はよく知らないので……実にそそるシチュエイションではありますが。
勉強してきます。
244 :
山崎渉:03/05/28 12:04 ID:???
∧_∧
ピュ.ー ( ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
=〔~∪ ̄ ̄〕
= ◎――◎ 山崎渉
応援するぜ、杉井くん。
そのころタカシたちの元に謎仮面からの脅迫状が届いていた。
「3時までに金を用意しろ、さもないとノリコは殺す」
タカシたちは脅迫状の筆跡から謎仮面のアジトを突き止め、
下水道工事のふりをしながら謎仮面のアジトへ通じる
穴を掘っていった。
とうとうアジトへ進入した石崎とマーヤ。
そこへ謎仮面が颯爽と現れた。「フハハハ金は持ってきたんだろうな」
石崎「はい、持ってきました、お確かめください。」
札束をびっしり詰め込んだトランクケースを丁寧に差し出すマーヤ。
しかし札束を差し出されたにもかかわらず表情が憤怒の顔に変わる石仮面。
「馬鹿な・・、わたしはマネーじゃなくてゴールド、
黄金が欲しいという意味で書いたのじゃ。それをこんな紙切れで
誤魔化そうとするとは・・」
持っていたステッキで手当たり次第周囲に当たり散らす謎仮面。
そこへたかしがノレンをくぐりながら入ってきて開口一番、
「やれやれ、ケツの穴が小さい仮面だ。」
その言葉を聞き激怒する謎仮面。
「なにを若造めが、お前に黄金の何が分かる」
「一週間後、俺が指定する店に来てください。」
「ふん、そのかわりくだらない真似をしたらただじゃおかんぞ」
〜 一週間後 〜
「ではこの店に入ってください」
タカシに促されていぶかしみながらノレンをくぐる謎仮面。
「ほう、これは・・」
それまでも「TRPG」という文字列を目にしたことはあった。
友達とたまに遊ぶカードゲームなんかについて雑談してる掲示板には
ソレ関連のスレがたくさんあるらしいということも、悪友の呉羽から
知らされてはいた。
でも、ボクにはぜんぜん関係ない世界の話だと思ってた。
ある日、いつもの本屋の攻略本コーナーでその本を見かけるまでは。
>246>247
続きまだー?
ノレンをくぐった一同が目にした光景。
そこには小汚い居酒屋風の店内で、
カウンターに座り飲んだくれている中年の男の姿があった。
「ゲンさん・・・、ゲンさんじゃないか!?」
タカシは驚嘆と懐かしみを込めた言葉でそう声を掛けた。
「ウィ・・、誰だ?・・、タカシか?いや、まさか
あの子は死んだはずだ・・、面影はあるがタカシの訳ねえ。」
「いや、俺だよ、タカシだよ・・。まさかこんな所でゲンさんに
会えるなんて・・」
「まさか・・、まさか本当にタカシなのか!?
あの爆撃の中、生きて帰ってくるたあな・・、
よし、ブルーインパルス隊再結成だ。
おいマスター、船を出してくれ!」
店の主人らしき男がカウンター裏で何か作業している。
唐突に店の食器棚、カウンター、壁、床、兎に角あらゆる所が
裏返り、それまでの居酒屋然とした店内とは異質な、
金属製の近代的、それどころか未来的なまでの
コンピューター群が表れた。
「さあ、俺たちの新しい門出だ。みんな壮大に祝ってくれ」
タカシたちの冒険は今始まったばかりだ。
ご愛読ありがとうございました。
〜 完 〜
本屋で平積みされてたその本のタイトルは『アルシャード』。
最初はプレステの新作RPGの攻略本かと思ってたけど、どうやら
これが「TRPG」というものらしい。携帯メールで呉羽に聞くと、
『アルシャード』は、その最新作ということだ。
「面白そうだから、おまえ買ってみたら?」
「えー」
「それじゃ、後で金出すから買っといてよ」
「…絶対だぞ」
そんなメールのやりとりをしながら、ボクは財布の中身を確認する。
呉羽は約束は守る方だし、奴を信じて買うことにした…興味もあったし。