そのおねえさんは、勝ったら"やらせてくれる"という噂だった。
店の名前は『セロファン・フラワー』といって、僕の通っていた中学校
のすぐそばのさびれた商店街の隅っこにあった。ひじで突っつくだけで崩れて
しまいそうな、ぼろぼろの四階建て雑居ビルの地下だった。看板は出て
いなかった。薄暗くて壁が落書きだらけで変な匂いのする階段を地下二階まで
下りると、鉄の防火扉がでんと待ちかまえていて、『セロファン・フラワー』と
クレヨンで書かれたボール紙がガムテープで貼ってある。緑と黄色のスポット
ライトがそれを照らしている。
おねえさんは、ひとりでそのカードショップを切り盛りしていた。
年齢は、どんなに背伸びしたって二十代前半より上には見えなかった。肌は
真っ白で、髪の毛と瞳の色は夕暮れの麦畑のような鳶色だった。白人との
ハーフだったのかもしれない。白いYシャツに赤いリボン・タイをしめて、
シャープな腰のラインがくっきり出る紫色のベストと、黒くてつるりとした
ミニスカートを着ていた。
店に出入りしていた男の子たちは、みんなそのシャツやスカートの中身への
妄想をふくらませていた。月に一度、実際にそれを脱がせるチャンスさえ
公平に与えられていた。
それをものにできたのは、僕だけだったのだけれど。
これはもう少し後の話。
最初から話そう。
僕をM:tGの世界に引きずり込んだのは、小学校からの幼なじみの沢村だった。
僕らが中学二年生になったばかりのある日、沢村は学校にでっかい段ボール箱を
持ってきて、僕の机にどんと置いた。箱にはカードがぎっしりと詰まっていた。
「ヒカル。これ、やる」
「なに、これ」
「マジックのカード」
「マジックって? 手品?」
「ちげぇよ。カードゲーム。コモンばっかしだよ。俺の部屋、置くとこなく
なっちまったから、お前にやる。ありがたく受け取れ。おまえもマジック
はじめろよ」
沢村がなにやらカードゲームにはまっているのは、その頃の僕も知っていた。
「いや、でもこれ、カード集めるのにお金かかるんでしょ」
「俺はほとんど金使ってねぇけど」
カツアゲでもしてるんだろう、きっと。
「大丈夫。安い店知ってるから。それより、ルール教えるから今日中に憶えろ」
沢村は他人にものを教えるのが致命的に下手だった。なにしろ僕は、昼休み
いっぱい彼の説明を聞かされながら、M:tGが一対一で遊ぶゲームだということ
さえ理解できなかったのだ。
うんざりした僕は、彼の口を手でおさえて言った。
「わかったよ。ルールブック貸して。家で読んでくるから」
沢村の貸してくれたルールブックを家で熟読した僕は、もらった大量のコモン
カードの中から悩みに悩んでデッキに入れる六十枚を選び、翌日学校に持っていった。
次の日。僕のつくったコモンカードだけのデッキは、沢村の虎の子デッキに
あっさりと勝ってしまった。完封五連勝だ。
五回目に自分のライフポイントがゼロになった瞬間、沢村は机を思い切り
蹴飛ばして教室を出ていってしまった。机の脚はものの見事にへし折れていた。
幼なじみじゃなかったら、折れていたのは僕の腕か脚だったんだろうとその時
思った。
その日の放課後、沢村は僕を『セロファン・フラワー』に連れていってくれた。
人気のない商店街を沢村の後ろについて歩いているときから、嫌な予感がして
いた。おんぼろビルの、照明もない暗い階段をおりる段になっては、ほとんど
逃げだしたくなった。階段の壁はスプレーペイントの落書きで埋め尽くされていた。
やがて緑と黄色のランプに照らされた店の入口にたどりついた。
沢村は分厚い防火扉を開いた。
流れ出してきた空気は、むっと鼻につく煙草の匂い。
教室の1.5倍ほどの大きさの店内には、会議室にあるような長机とパイプ
椅子がぎっしりならんでいて、学生服の背中がその間隙を埋め尽くしていた。
エアダクトがむきだしになった天井には青い煙が踊っている。照明は十本足らず
の蛍光灯だけで、ひどく薄暗い。干からびたスポンジをこすりあわせるような、
男たちの声。暗がりできらめくカードの背。天井隅のスピーカーから流れている
のは、ヴァン・ヘイレンの"Unchained"。
……やっぱり帰ろう。
そう思って後ずさりしかけたとき、
「いらっしゃい、サワムー。あれ、今日は友達も一緒?」
すぐ右手から、女の人の声がした。
さわむー?
店の右手前隅にガラスケースのカウンターがあって、その向こうにおねえさんは
座っていた。手にしていたファイルを置いて沢村に向かって微笑むと、僕にも
同じように笑いかけた。僕の心臓は1ccくらいまで縮み上がった。
おねえさんは肩まである栗色のストレートヘアを左側だけ髪留めでまとめて、
形の良い耳を見せていた。笑うと上品なえくぼができた。豊かなふくらみを真っ白な
Yシャツで包み、紫のベストできりっと引き締めていた。
「おい。行くぞヒカル」
沢村に引きずられて店の奥へと歩きながらも、僕はしばらくおねえさんから目が
離せなかった。そのせいで、だれかの足を踏んづけてしまった。
「おい、てめぇ!」
「あっ、ごめんなさいっ!」
僕は謝りながら、ほとんど反射的に両手で頭を抱えた。
意外なことに、足を踏まれた男はふんと鼻を鳴らしただけで、ゲームに戻って
しまった。僕はもう一度頭を下げた。
「ごめんなさい」
そこで僕はとんでもないことに気づいた。
その男が着ているのは、一中の、明るい青のブレザー。
他にも、二中の、真っ黒なつめえりに光る銀杏の校章。
三中の、ケチャップみたいな色のネクタイとチェックのズボン。
僕は思わず、自分の左襟についた四中の校章に手をやった。
市内にある四つの中学校の生徒たちが、それも――髪型や目つきからして
かなり気合いの入った奴らばかりが、このせまっくるしい店の中で、共存していた。
普通なら顔をつきあわせただけで血を見ずには済まされないような連中が、
けれどみんなカードを手にして、机をはさんで額をつき合わせて、ゲームをしている。
沢村は茫然としている僕の腕をつかんで、空いていた椅子に座らせた。向かい側
には、眼鏡をかけたふとっちょが座って、三白眼で僕をにらんでいた。
「レートは? 10でいいのか?」
そう言って、ふとっちょはプラスティックのクリアケースからカードの束を
取り出して机にどんと置いた。
レート?
僕は背中に立つ沢村を、すがるような目で振り返った。
「こいつ、初心者だからさ。5にしとけや」
それから沢村は僕の頭を小突いて、
「おら、ヒカル。デッキ出せよ」
レートってなに? と僕は訊こうとした。
その時、隣の席に座っていた背の高い丸刈りの二中生が突然立ち上がって、
右手を机に振り下ろした。鋭い金属音がして、銀色に光るコインが二枚、三十
センチほども宙を舞った。
向かい側に座っていたブレザー姿のやつが、その五百円玉をつかむと、無造作に
胸ポケットに入れた。
「もう一回やんの?」ブレザーが言う。
「あたりめえだ」丸刈りが吐き捨てる。
二人は机の上に散らばったカードをかき集め始めた。
僕は、ようやく理解した。
ここは、賭場なのだ。
「ちょ、ちょっと待って……」
立ち上がりかけた僕の肩を、沢村が後ろからむりやりおさえつけた。
「いいから、やれよ。金、持ってんだろ?」
持っていることは、持っているけど。でも。
僕の声にならない言葉は、沢村のでっかくてごっつい手のひらの下で押し
つぶされた。
三十分後、僕は頭痛をこらえて席を立った。沢村は少し笑っていた。ふとっちょ
も、僕から奪った千円札二枚で顔をあおぎながらにやにや笑っていた。
僕は沢村に席を譲った。ふとっちょは、僕との連戦で使っていたデッキをしまって、
別のデッキを取り出した。
沢村とふとっちょが、わけのわからない言葉で会話している。
僕は目を閉じた。
――聞こえてくるのは、ごちゃごちゃにからまった和製英語の波。それから
エディ=ヴァン=ヘイレンの明快なギターリフ。デイヴ=リー=ロスの太い歌声。
どこか遠くの、僕の知らない国の、不思議な言葉たちだった。
ここは――僕の場所じゃないらしい。
帰ろう。
床にしょんぼりとくずおれていた鞄をとりあげて肩にかつぐと、僕は沢村に
気づかれないようにそうっと部屋の壁際を通って出口に向かった。
カウンターの前を通るときに、不意に呼び止められた。
「もう、やっていかないの?」
おねえさんだった。
背筋が痙攣して、足がもつれ、僕はまた転びそうになってしまった。
「いや、あの、その……」
心臓がばくばくいって胸を圧迫するので、言葉がうまく出てこない。僕は
おねえさんから視線をそらして、ひどくわざとらしい深呼吸を二回した。
「――僕、沢村にむりやり連れてこられただけですから。カードもあんまり
持ってないし」
「でも、さっきあそこでゲームやってたじゃない」
「負けました。三秒くらいで。このゲーム、僕には向いてないみたいです」
「もう、やらないの」
「たぶん」
おねえさんの、細筆で丹念に描いた松葉みたいな眉根がきゅうっと寄った。
僕はなんだかひどく申し訳ない気持ちになったのだけれど、しかたがない。
「じゃあ、持ってるカード置いてったら。持っていても邪魔なだけでしょ。うちで
処分してあげる」
確かに。持っていたって、何の役にも立たない。
どうせ沢村にただでもらったカードばっかりだし。
僕は鞄から輪ゴムでまとめたカードの束を取り出して、ガラスケースの上に
置いた。それから、おねえさんの顔を見ていると決心が崩れてしまいそうなので
――なんの決心かは、自分でもよくわからなかったけれど――出口の防火扉に
走った。
「うわぁ、すごぉい」
遅かった。おねえさんの声が聞こえてしまった。おまけに僕は反応して振り
向いてしまった。
「これ、デッキだよね? 君がつくったの?」
おねえさんは僕のデッキをカウンターの上に一枚ずつ広げて、目を輝かせている。
「ねえ、このゲームはじめてからどれくらいなの?」
「ええと。おととい、沢村に教えてもらいました」
「おととい?」
おねえさんがカウンターから身を乗り出した。ベストの襟間から胸がこぼれだし
そうに見える。
「すごいすごい! 君、センスあるよ! ほら、ちょっと来て!」
おねえさんはガラスケースに手をついてぴょんぴょん飛び上がってはしゃいだ。
そのたびに栗色の髪が宙を掃き流れ、金色の光が散らばる。まわりの視線が
集まる。ちょっと恥ずかしい。
「ほら、野生の犬とガズバンのオーガ三枚ずつ入れてる。このカード、みんな
あんまり使わないけど実はすごく強いんだよ」
沢村がくれたカードはあんまり種類が多くなかったのでしかたなく入れたのだ、
とはとても言えなかった。
「でも、負けましたよ。三秒で」
「それはね。……えーと、ちょっとこのデッキ、いじっていい?」
「え。あ、はい。べつにいいですけど」
おねえさんはカウンターの下にかがみこみ、カードがぎっしり詰まったぼろぼろ
のダンボールを抱えて再登場。箱をどんとカウンターの上に置くと、嬉々とした顔で、
僕のデッキを「手術」し始めた。
「できた」
五分たって、おねえさんが施術終了を宣言。
デッキは、僕が見る限り、目もあてられないくらい貧弱になっていた。犬とか
妖精とか鳥とか、そういういかにも弱っちいチビすけばっかりになっていたのだ。
「何か気づいたことは?」と、カウンターの上に広がったデッキを見渡して、
おねえさんが言う。
「ええと。弱そうです」
「正直でよろしい。おーい、そのへんのひまそうな子! 松山君とか三好君とか」
おねえさんが、カウンター近くの壁際に寄りかかって見学に回っていた三人に
手を振った。
「この子の相手してあげてよ」
三人が三人とも、おねえさんの言葉に反応してカウンターまでやってきた。
「いいけど。レートは?」と、真ん中のひとりが訊いてきた。髪にうっすらブリーチを
かけて、鼻と耳にピアスをしているというプログレッシヴなタイプの不良だった。
「あの、僕あんまりお金が」
言いかけた僕をさえぎっておねえさんが、五本の指を広げて、
「あたしが代わりに賭ける。5だ。本当はもっと賭けてあげてもいいんだけど、
それだと松山君がかわいそうだからなあ」
挑発的な口調で言うと、ピアスをした「松山君」が目だけで笑った。
「いいよ。やろうぜ」
親指で、机の端の空いている席をさす。
おねえさんに背中を突き飛ばされて、僕はこわごわ席についた。
「がんばれ。わたしの夕食代がかかってるんだ、負けたらしょーちしないぞ」
耳元で、ささやく声。
それから、肩に置かれた手。
おねえさんの投げた五百円玉が机の上できゃりんと音をたてて、
試合開始を告げた。
試合が始まって一分もたたないうちに、僕は、おねえさんが施した「手術」
の狙いを理解した。
このゲーム、ほとんどすべてのカードに「使うためのコスト」が設定されている。
そして、カードの強さとそのコストの高さは、原則的に比例関係にある。
高いコストを揃えるのには、それに見合った時間がかかる。
術後のデッキに入っていたカードは、みんなコストが1、つまり最低コストの
カードばかりだった。確かに貧弱だ。けれど、いつでもどのカードでも使える。
引いてきたらすぐ使える。
知らない間に、松山君のライフポイントは僕のチビすけ軍団の攻撃によって
あと2点まで削られていた。僕がそれに気づかなかったのは、とにかくカードを
机の上にいっぱい並べられることが楽しくて、夢中になっていたから。
「ちくしょっ間に合うのかあ?」
松山君がテーブルにはたきつけた渾身の――名前はよく知らないけどコストが
すごく高くて強くて陰険なカードは、僕の小動物たちを一発で焼き払ってしまった。
そこからは、みじめな逆転劇。
名前はよく知らないけどコストがすごく高くて強くて陰険な怪物が松山君の
前にずらずらと並べられて、最後の2点の壁を崩せないまま、僕は踏みつぶされた。
松山君の、心底満足そうなガッツポーズを目にして。
おねえさんの視線を背中に感じて。
机の上の五百円玉に伸びた松山君の手を、僕はとっさに払いのけていた。
「おいなんだよてめぇ」
松山君が片眉をつり上げた。
「ちょっと、君……」
背中からおねえさんの、不安げな声。
僕はポケットに手を入れてしわくちゃの千円札をつかみだすと、手のひらと
一緒に机に叩き付けた。
予想をはるかに超えるものすごい音がして、机がたわみ、カードが何枚か勢いを
食って床に滑り落ち、まわりにいた十数人が一斉に僕の方を見た。
いちばん驚いていたのは、実は僕だったりする。でも口だけは勝手に動いた。
「自分で、払うよ。だから、もう一回やろう」
ぽかんとしていた松山君が、やがてふうっと笑って、腰をおろした。
「わかったよ。釣りはめんどくせぇから出さないぞ。どうせ次も俺が勝つし」
「いいよ。どうせ次は僕が勝つから、そうしたらチャラだ」
言い返してやって、得意げに後ろを振り向いた。
僕を見下ろすおねえさんの顔に浮かんでいた笑みは、僕の健闘をねぎらうもの
ではなくて、次の戦いに向けて僕を激励するものでもなくて、ましてや僕の男らしさ
に感心しているものでもなくて。
それはまるで小学生みたいな、いたずらっぽい含み笑いだった。
-------------*-*-*--------------
といったところで、今日はもう寝る。
ていうか200までってなんだよ! そんなに書けるわけないだろ! ネタの才能
ないんだよ! おやみみ!
せっかく見守っててやったのに中断かよ(`Д´)ゴルァ
せめてスレタイに合った内容まではたどり着けってんだ
エロを! 一心不乱のベッドシーンを!!
とりあえず最後まで書いたら、
次は有名コテ職人とかが別のエロ小説を書いてくれるよ。
それを繰り返せば200くらいすぐじゃない?
MTGの官能小説とは面白いなぁ、この板18禁OKなのか?
等、細かい事は気にしないで応援するよ、続きが楽しみだ!
そう言えば友人がMTG始めたのも
ときメモのキャラがMTGしてたSSが原因だったと言っていたし
2年程前に入って来た人は同じくカノンMTGのSSが原因だと言ってた
もしかして衰退を食い止める原動力になるかもしれない
しかも官能小説とは・・・斬新な切込みだ、正直感心したよ・・・
おれも、そのネタに感服した。
ガンガレとしかいいようがない(w
毎日3すれずつかきこめば200なんかすぐだ(W
ベッドシーンなんて場所を限定しませんから
いろんなところでのびのびプレイして欲しいです(w
ネタスレキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
こー、主人公のことを世話焼く幼なじみ(委員長?)とかが出てくるとか。
いろいろあって(そう、色々だ)、彼女は自分を守るために主人公を世話している
(主人公に依存している)ことに気が付いた主人公が関係を一旦清算するとか
すると典型的な成長物語になれるのではないか、とか吼えてみよう。
……とか必死に自分が委員長に弱いのを隠す俺ってクレバー?
追記。
あとはあれだ。その状況に入るまで時間が掛かるというのならば、
読者を飽きさせないために「主人公が夢で見たもの」をごりごりと
描写してしまうという手もあったりするぞ、と。
もちろん、ぎりぎりの所で目が覚めてしまうという展開もアリ。
……なんて中学生の朝を懐かしがってる俺ってクレバー?
つか、22ってデュエルファイt(ry
|ω´)y-~
激しく期待
|ミ サッ
タイトルで興味を引かれて内容見たら予想以上に面白かった。
正直、官能でなくてもいいので頑張ってほしい。
スレタイで期待させておいてあれですが、感動系エロゲーなみにエロシーンまで
時間かかりまくりだと思います。
委員長はこの話では出てきません。
>21
新トリップキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
で、今日のぶん。
-------------*-*-*--------------
時計が六時半を回ったとき、僕の財布の中の五百円玉は二枚も増えていた。三枚あった
千円札は全部なくなっていたけど、それは考えないことにする。いいんだ、楽しければ。
松山君の友達の三好君との第三回戦を終えて、そろそろ帰ろうと思ってカードをまとめて
いたとき。派手な金属音が店内いっぱいに響いて、店じゅうの人間がそっちに注目した。
沢村が、三中生の胸倉をつかんでねじりあげていた。そのまわりには、ミステリー
サークルよろしく円形の無人空間ができあがっている。
相手の三中生の足が、床を離れて十五センチくらいの高さまで浮いた。僕は彼の身体が
叩き付けられて机がまっぷたつに割れるところを想像してしまった。
三中生の、締め上げられた喉から、か細いうめき声が漏れた。
沢村の腕に力がこもるのがわかった。
そのとき、
「サワムー! やめなさい! 暴れたら出入り禁止だよ!」
澄んだ声が、僕の耳に突き刺さった。
みんなの視線が一斉に動いた。
カウンターの向こう。
おねえさんが、沢村をにらんでいた。
五秒ほど、息詰まる沈黙が『セロファン・フラワー』を満たしていた。
沢村は肩をすくめて、獲物をつかんでいた手をはなした。三中生はどさりとしりもち
をついた。「ぐへっ」という声が聞こえた。
沢村は舌打ちして、それから、人垣に隠れていた僕に向かって言った。
「おい、ヒカル。帰ンぞ」
彼が歩き出すと、人垣がさあっと割れて、出口までの道ができた。
と。
出口の防火扉と沢村との間に、栗色と白の影がするりと立ちふさがった。
「サワムー、吉田君に謝りなよ」
おねえさんは言って、倒れている三中生を指差す。僕は肝をつぶした。そして、今度
こそおねえさんはただでは済まないと確信した。沢村が右手の拳を強く握りしめるのが
見えた。
でも、次の瞬間、信じられない光景を僕は目にした。
沢村はきびすを返すと、しりもちをついている「吉田君」に歩み寄り、
「悪かったな。二度と俺に近づくなよ、何するかわかンねえから」
と言ったのだ。
沢村が他人に謝ったのを見たのは、その時がはじめてだった。
それから沢村は、おねえさんをじろりとにらむと、大きく迂回進路をとって扉に向かい、
そのまま店を出ていった。沢村が人を避けて歩くところを見たのも、それがはじめて
かもしれない。
僕も、おねえさんに向かってぺこんと頭をさげると、沢村の後を追った。
まだ夕方だというのに、商店街にはまったく人気がなかった。
コンビニエンスストアのビニル袋が風に巻かれて、僕の脚にからみつく。小さな書店の
シャッターはすでに閉まっていて、そのシャッターには「営業時間 10:30〜21:00」
と大書きされている。喫茶店の店先にはポリバケツが倒れていて、ぶちまけられた生ゴミを
尻尾のないぶち猫があさっている。うどん屋ののれんは半分くらい破れ落ちて、磨りガラスの
向こうの店内は真っ暗だ。
沢村は僕の五メートル先を、黙って歩いていた。歩幅の広い彼にあわせて、僕は小走りに
ついていく。
「ねえ、沢村」
僕の呼びかけに、答えようとしない。
「ねえ、さわむー」
今度は反応があった。
沢村は立ち止まって振り返り、僕につかみかからんばかりの勢いで言った。
「そういうにやけた呼び方で呼ぶんじゃねえ」
「なに怒ってるの……」
「怒ってねえよ」
「そう? じゃあ、ねえ、さわむー」
「呼ぶんじゃねえっつってんだろ!」
沢村は顔を上気させてどなった。僕は首をすくめた。
「ねえ、あの女の人。あそこの店員なの」
「店員じゃねえよ。店長だ」
「店長?」
「一人であの店やってンだよ」
沢村はまた前を向いて歩き出し、僕はあわててその背中を追いかけた。
「ふうん。すごいね」
「べつに」
会話はそこで途切れた。
僕らは五メートルの距離を保ったまま、市街地を抜け、川沿いのゆるやかな坂をのぼり、
小さな橋を渡り、ブルーベリー畑と梨畑にはさまれた十字路にさしかかった。
僕の家はそのまま川沿いにまっすぐ行ったところで、沢村の家は川を背にして数十メートル
ばかり歩いたところにあった。
さよならも言わず自分の家の方に歩きかけた沢村を、僕は呼び止めた。
「なんだよ」
不機嫌そうに沢村は振り向いた。
「今日、学校でさ。僕に、わざと負けたでしょ」
沢村は耳の遠いきりんが孫を捜しているときのような間延びした顔を見せて、それから
小さく首を振った。
「かもな」
「もっと強いカード、ちょうだい」
「自分で買ってそろえろよ」
「じゃあ、売ってよ」
「また明日な」
その日、僕は家に帰ってすぐにブリキ缶の貯金箱をこじ開けて、ありったけの千円札と
五百円玉を持ってもう一度『セロファン・フラワー』に走った。
地下に続く階段の両側で、スプレーペイントの猥褻語が僕を威嚇した。三段下りるごとに
立ち止まってしまった。
扉を開けると、煙草臭い熱気が漏れ出てくる。
夕刻には狭い空間を埋め尽くしていたつめえりやYシャツやニキビ面がほとんど見られず、
かわって陰気な色のトレーナーや暖色の長袖シャツを着た大学生くらいの男たちが店を占拠
していた。
彼らは夕方の中学生たちに比べて驚くほど静かで、何かに憑かれたかのように自分の手札と
場に出たカードの群れをにらんでいた。ほとんど無言で、うなずいたり、首を横に振ったり、
机を指でとんとんと叩いたり、カードを動かすしぐさを見せたりしてゲームを進行させていた。
店内に流れるヴァン・ヘイレンの"When It's Love"が、ひどくくっきりと耳障りに聞こえた。
おねえさんはカウンターの向こうに立っていた。
僕はほっと息をついて、ポケットの中のコインを指で確かめ、カウンターに近づいていった。
「あれ」と、おねえさんが僕に気づいて言った。「サワムーと一緒に来てた子じゃない。
どうしたの。忘れ物?」
「いえっ、あの」
僕はカウンターの一メートルも手前で立ち止まってしまった。すぐ後ろのテーブルの客が、
僕のことをじろりとにらんだのが、なぜだかはっきりとわかった。
「……カードを、買いに来たんです」
小声すぎて、自分でもよく聞こえないくらいの情けない声になってしまった。
おねえさんは首をかしげて、
「カードって、シングル?」と訊いてきた。
「シングル?」
「シングル・カード。ほら、こんなふうに――」
おねえさんは、カウンターの上のブックエンドに並べてあったファイルの一つを取って、
僕に向けて開いてくれた。ファイルのページには、カードのカラーコピーが並んでいた。
「あの、パックとか箱に入ってるやつじゃないんですか……」
僕がシングル・カード販売の意味を知るのは、もう少し後になってからだ。
「ああ、パックね。なににするの?」
「え、なに、って……」
「ああ、そうか、君、始めたばっかりだったね……やみくもに買うと、お金がもったい
ないよ」と、おねえさんは言った。
カウンターの上やおねえさんの後ろの棚をよく見てみると、カードのパックには実に様々な
種類があった。ざっと見ても二十種類はあるだろうか。
「でも、僕、よくわからないから……」
そう言って僕がガラスケースに視線を落とすと、おねえさんが僕の肩をぽんと叩いた。
「じゃあ、わたしが質問するから。答えて。それで、わたしが選んであげる」
「……はぁ」
「ええと、何色が好き?」
「え? あ、その、ええと、」
なぜそんな質問をされているのか、わからなかった。
しどろもどろになった僕の目に、おねえさんの着ている光沢のあるベストが映った。
何というのだろう、ただの紫ではなくて。
「……すみれ色っぽい紫……」
お姉さんの目がきょとんとした。一秒後、その砂糖菓子みたいな顔が爆発した。のけぞって
髪を宙にばらまきながら大笑いし、カウンターに突っ伏して肩を震わせながら笑った。
近くのテーブルにいた奴らが、みんなそろってこっちに何事かと目を向けてくるのが
わかった。
「いや……その『色』じゃなくて……」
笑いをこらえながら、おねえさんが言ったので、僕はようやく理解し、そして真っ赤に
なって縮こまってしまった。
M:tGのカードは、白・青・黒・赤・緑の五色によって大きく分類されていて、カードに
ついての話で「色」と出てきたら、それはカードの「色」のことなのだ。そういうつもりで
質問して、「すみれ色っぽい紫」と返ってきたら、誰だって笑う。
「あ、あのっ、ごめんなさい。その、そうじゃなくて、」
「いや、いいよ……あは、『すみれ色っぽい紫』ね。うん、その方向でいこう。じゃあ、
好きな食べ物は?」
「え?」
「食べ物。好きな食べ物」
今度は僕がきょとんとする番。
「ええと。ネギとか」
「ネギ」おねえさんの眉が、きれいな八の字になった。
「ネギです」
ネギなら、ただ出汁で湯がいてポン酢かけただけで五本は食べられる。そこまで言ったら、
おねえさんはまた爆笑した。
「血液型と星座は?」
「A型の、星座は……よくわかんないです」
「何月何日生まれ?」
「二月二十五日」
「魚座だね。じゃあ、好きなスポーツはなに」
「スポーツですか」
「うん、観るのでも、やるのでも」
「競馬はスポーツにはいるんでしょうか」
「微妙だね……。他には?」
「ええと。……むかし、テレビで観た百人一首の日本選手権が、すごく面白かったです」
「それってスポーツ? まあいいや。じゃあ次。海外旅行いくとしたらどこがいい?」
僕は少し考えて、
「……ベネズエラ」
「どうしてベネズエラ」
「なんとなく。いま、ぽっと浮かんだんです」
「ふむ。――次ね。おっきくなったら何になりたい?」
「さあ。そんなの、まだわからないです。でも、どうしてこんな質問」
「じゃあ次。彼女いる?」
僕はまたまた真っ赤になってしまった。今度は耳まで真っ赤が届いているだろうと
自覚できた。言葉にはならなかった。ただ首を小さく横に動かしただけだ。
「うん。わかった。質問おしまい。ねえ、何パックくらい買う予定?」
「あの、買えるだけ」
「有り金はいくらよ? 全部出してみなさいよ」
おねえさんの口調はちょっと意地悪になっていた。僕はポケットと財布からありったけの
お金を出してカウンターの上にならべた。
「ふうん」
おねえさんは、積み重ねられた五百円玉やくしゃくしゃの千円札をざっと一瞥してから、
カウンターの奥にかがみ込んだ。しばらくがさごそやってから、戻ってくると、僕の前に
カードパックを二十センチくらいの高さまで積み上げた。
「こんなもんでしょ。アポカリプスが六パック。ヴィジョンズが六パック。あとは全部
オデッセイ。全部で四千円」
高い。うかつにも僕はそう思ってしまった。
のちに、他の販売店での定価が『セロファン・フラワー』のおよそ三倍であることを
知って、僕は腰を抜かすことになる。
「いいカードが入ってると、いいね」
パックを袋に詰めながら、おねえさんはそう言って、優しく笑ってくれた。
その時店内に流れていたヴァン・ヘイレンの曲を、僕は今でも思い出すことができる。
それはあざといくらいの選曲だった。"Can't Stop Lovin' You"。
神様はいるのかもしれない。
-------------*-*-*--------------
といったところで今日も中断。
今日の分キター、2ちゃんだーどのデュエルの方向に持っていくのかな?
アポにヴィジにオデか、チョイスが渋いね、
どんなデッキになるんだろうな、楽しみだー!
>24
俺は俺が思ったことを語るのにいつだって必死だよ!
……いや、こーゆー面白いスレには生き残って欲しくてさ!
>25
…そいやそーだな。
>28
了解。つーか、間を繋ぐための戯れ言だと思って
俺のことは基本的には無視の方向でお願いします。
>29-37
トレーディングの重要性を身につけるまでが大変なんだよなー。
痛い目にもあわないと学習できないし。
俺はアルファベットをはじめ、多くのことをマジックで学んだぜ。
……なんて昔語り始めちゃいそうな俺ってクレバー?
って、AP・VS・ODかよっ!
こりゃまたシブい選別だなっ!
☆ チン マチクタビレタ〜
マチクタビレタ〜
☆ チン 〃 ∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ヽ ___\(\・∀・) < 続きまだ〜?
\_/⊂ ⊂_ ) \_____________
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
| 愛媛みかん |/
はあ。今日の分いきます。
ストックはすでに尽きているので、ほんとに連載だな、これは。
-------------*-*-*--------------
五月最後の土曜日が近づくにつれて、沢村の様子がおかしくなった。休み時間のたびに
僕にデッキを貸し付けて対戦し、頭をぼりぼりかきながら入れ替えるカードを検討していた。
廊下で一年生が挨拶なしにそばを通ってもとがめないどころか気づきもしなかったし、
大好きな音楽の授業中でさえ机の上でカードやファイルを広げていた(ふだん、沢村が
そういうことをするのは、国語と英語と数学と社会科と美術の時間に限られていた。注意
する教師は一人もいなかった)。
そして、土曜日の午後五時。
『セロファン・フラワー』には、これまで見たこともないくらいの多様な年齢層の男
たちが、これまで見たこともないくらい大勢集まっていた。
少しずつ色のちがう学ラン、明るいブルーや濃紺やダークグリーンのブレザー。これだけ
入り混じっていると、どれが高校生でどれが中学生かもわからない。沢村なんか、体格的
には大学生だと言ったって通用しそうだから、見た目はあてにならないというのはよく
わかっている。私服も何割か混じっている。センスのない地味な色の長袖シャツやセーター
がほとんどだ。
そして、例外なくみんな腕まくりをしている。
目の色が、いつもとちがっていた。
ゲームをしている人間の方が少ない。ペンで紙に何か書いていたり、デッキを広げて
にらんでいたり、神経質そうに何度もシャフルしたりしているやつばかり目についた。
「何か、あるの?」
入り口で僕は、沢村に訊いてみた。
「トーナメント。月イチで、やってるんだ」
「へえ……」
僕はあらためて店内を見回した。椅子の数が足りないのではないかと心配になるほどの
人数だ。ここにいる全員が参加するトーナメントとなれば、六回戦か七回戦勝ち抜きの、
やたらと大規模なものになる。
「賞金が出るの? それとも、すごーいレアカードが賞品とか」
僕がそう訊いたのは、沢村も含めて、会場の誰もがあぶないくらい真剣な目つきをして
いたから。
「賞金も、賞品も、ねぇよ」
「え?」
「優勝すると、店長とやれるんだ」
沢村があごでしゃくった先、カウンターの向こうで、おねえさんが書類の山を前に
せわしなく動き回っていた。髪が揺れるたびに、小汚い闇の中で光が飛び散っている
みたいだ。
「やれる……?」
意地汚いことに、僕はその単語でストレートにセックスを想像してしまった。沢村も
それを察したようで、笑って付け加えた。
「やれるって、試合だぜ。優勝者と、店長が対戦するんだ」
「ああ、なんだ」
僕は、なぜだかほっとしてしまう。でも、沢村はさらに続けた。
「で、おねえさんとやって勝つと、やらしてくれるらしい」
沢村は、左手の親指と人差し指でつくった輪っかに、右手の人差し指を出し入れする
しぐさをして見せた。
「ええ。嘘でしょ……」
沢村はカウンターに行って、おねえさんからB5くらいの大きさの紙を一枚受け取った。
どうも、参加者はその紙に色々と記入するきまりらしい。
座っていた四中生を蹴散らして強引に自分の椅子を確保し、沢村は用紙に書き込みを
始めた。僕はその背中に駆け寄った。
「ねえ、僕も参加できるかな」
おそるおそる訊くと、
「できねぇよ」
沢村はにべもない。
「どうして」
「デッキがねぇだろ」
「持ってるよ」
「お前のじゃ、だめだ」
「だから、どうして」
「サイドボードがねぇだろ」
「サイドボードってなに?」
「ああもう、めんどくせぇな。そのへんのやつに訊け」
そのへんのやつ、って。
見回すまでもなく、訊けるわけがない。なんでこの店には不良っぽいのしかいない
んだろう?
「サイドボードっていうのはね」
不意に、後ろから声がした。僕は跳び上がって振り向いた。おねえさんだった。
「デッキとは別に十五枚、カードを用意しとくの。正式な試合だと三本勝負の二本先取で
やることが多くてね、その二本目と三本目の前に、デッキのカードを何枚かサイドボード
と交換できるの」
「交換? なんで交換するんですか?」
「ヒカル君ていつもだいたい緑のデッキ使ってるよね」
「え。……あ、は、はい」
そのときの僕は失神寸前だった。
「『緑の防御円』とか『冬眠』とかそういう、緑にだけすごく効くカードあるでしょ。
使われたら困るでしょ? でも、緑じゃない相手だったら全然効かないよね。そういう
のをサイドボードに入れておいて、相手が緑だったら二本目から使って、デッキの相性を
変えたりできるの。ヒカル君も今度サイドボード作ってきたらいいよ」
僕はロボットみたいにうなずきながら、でもおねえさんの話なんてほとんど聞いて
いなかった。
「オッケー。それじゃあ、みんなっ!」
おねえさんのきらきらした声が、店中に響いた。
「一回戦の組み合わせ発表するよー!」
おねえさんが、僕の名前を呼んでくれた。
いつも使っているデッキの色まで憶えていてくれた。
そのことで頭がぼーっとなっていて、
そいつらが店に入ってきたのにも気づかなかった。
第一回戦が始まって、五分くらいたった頃だった。沢村は相手にほとんどなにもさせずに
一本目を勝って、サイドボードのカードを交換し、二本目を始めたところだった。僕も壁に
もたれてその様子を後ろからずっと見ていた。だから、囲まれているのに気づいたのは
声をかけられてからだった。
「おい。四中の沢村だろ」
まわりでゲームをしていたトーナメント参加者が一斉に顔をあげた。ワンテンポ置いて、
沢村がゆっくりとカードから目を離した。
相手は四人。学ランを着ていたので二中生だとすぐにわかった。はだけた胸から下品な
色のTシャツがのぞき、ガムをくちゃくちゃやる音が壁際の僕のところにまで聞こえてくる。
「立てやコラ」
一人が言って、机の脚を蹴った。沢村の山札が崩れる。僕は息を呑んだ。
驚いたことに沢村は、
「今忙しいンだよ。見りゃわかンだろ」
そう答えると、なにごともなかったかのように山札を積み直し、ゲームを続けた。
先に切れたのは二中生の方だった。拳が机に叩きつけられ、カードが宙に舞った。
「寝言いってンじゃねぇよ! ツラ貸せやコラ!」
「ちょっと君たち!」
おねえさんが駆け寄ってきた。それを見て、沢村は舌打ちして立ち上がった。
「今、試合中なんだから! それに、店ではケンカしちゃだめっていつも……」
「あァ? ぅるせンだよ犯すぞ」
二中生のひとりがおねえさんに突っかかろうとすると、
「おいてめぇら! この店でゴタやるんじゃねぇよ!」
「出てけ!」
まわりの学生たちからもブーイングが飛んだ。
続きキタ―――――!
「店長」
沢村は手を挙げてまわりを牽制すると、
「これ、試合途中なんだけど、俺少し抜ける。かわりにヒカルにやらせてもいいか」
「え? ああ……」
おねえさんは沢村と僕の顔を見比べて戸惑った表情を見せた。二中生のうちの二人が
左右から沢村の腕をつかんで、机の列から引きずり出す。
「オラ来いや」
「店長! 代打ちOKなのかよ!?」
引きずられていきながら、首だけ後ろに向けて沢村が怒鳴った。
「あ、ああ、うん」
おねえさんの返事が、四人に連行されて店を出ていく沢村に聞こえたのかどうかは
わからない。
防火扉が閉まった。控えめなざわつきが戻ってきた。
いつの間にか、まわりの視線が僕に集まっていた。
おねえさんが、僕を見てうなずいた。
「お願い。わたし、サワムー見てくるから」
おねえさんは防火扉まで駆けていって、振り向き、
「みんな気にしないで続けてて! すぐ戻ってくるから!」
と言って、扉の向こうに消えた。
ざわめきは少し大きくなった。けれどほとんどの人は聞き分けよくゲームに戻っていった。
「おい」
呼ばれて、僕は机の方に向きなおった。沢村の対戦相手だった一中生が、指で机の上の
カードをとんとんとんと叩いていた。
「よくわかんねぇけど。おまえが代わりにやンだろ。座れよ」
そういうことに、なってしまったらしい。
僕は唾を呑み込み、沢村とおねえさんが消えた扉を振り返り、息をついて肩を落とすと、
椅子に腰を下ろした。
「そっちのターン。ドローしたところだよ」
対戦相手が言った。
僕は、沢村が残していった手札を手に取った。見慣れない赤と黒のカードがずらりと並んで
いた。いつの間にか、汗で指がじっとりと濡れているのがわかった。
-------------*-*-*--------------
以下次号。
たまにはageてみた。僕以外の書き込みもないと、とてもじゃないが200はいかないっぽ。
初心者相手に、良心100%からパックを3種類選ぶとしたら僕はおそらくOD・VI・APだと
思うんだがどうだろう? まあ、あんまり関係ない話ですが。
まだエロはほど遠くてすみません。
>杉井
お主が『タブー』を気にするタイプの人なら、
“やらせてくれるカードショップの女店員”
はまさにそれであることを知っていただきたい。
気にしないならそれもよし。その場合は応援する。
僕以外の書き込みもないと、とてもじゃないが200はいかないっぽ>
おいおい、もう音をあげるのか?情けない事言うなよ、自分でやると決めたんだろ!、
後150話書けば良いじゃないか!それに良い内容なら自然に人が集まるって
後、叩かれる可能性が有るので、エロシーンに入ると色々言う奴が居るので
エロシーンは最後、一気に書き上げた方が良いと思う、
そうすれば誰も止める事は出来ないよ、回り全てを敵に回す覚悟はアンだろ?
まあ、”不審者”で有る内がチャンスだ、”犯人”になったら止められる(消される)
このスレは一応表面ではエロ禁止だしな、そこは分かってるだろうし
アンタの実行力は凄いんだからよ、そこは認める、善悪の話はこの際抜きだ
今までの感想、まあVIはリバーボアがコモン+火炎波、衝動等コモンが強いし
後ODも、炎の稲妻、野生の雑種犬とか問題無いと思う
APは平均値高いのは認める、上手く組み合わせられるかがキモだ
只、TEも悪く無いと思う、モグファナやシャドーが居る、コモンの話だけどね・・・
やらせてくれるかどうかという即物的なものよりも
この場合は思春期の敵愾心と憧れと好奇心と切なさと
恋と
そんなもんが入り混じったもう何がなんだかよくわからないけど
青春という意外にうまくいえないもの、そこにはM:tGがありましたとさ
という前代未聞の作品世界へ失踪して欲しいと願うものがここに一人。
なのだ。
54 :
紺野みつね ◆s1FOX1.obc :03/05/03 21:59 ID:62StBpZz
☆ チン マチクタビレタ〜
マチクタビレタ〜
☆ チン 〃 ∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ヽ ___\(\・∀・) < 続きまだ〜?
\_/⊂ ⊂_ ) \_____________
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
| 愛媛みかん |/
55 :
NPCさん:03/05/03 22:12 ID:yqzDhedf
∧_∧
( ´∀`)< ぬるぽ
____
6 6 .| | | |
(,, 0◇) | | | |
/ つつ=======| | | |= ガッ
\/ | . | | ∧_∧
/_/詫 , 从 从| ( ´∀`)< ぬるぽ
↑
>>55
過疎スレのくせに2回もどんぶりを叩かれてしまった……。
すみません今日の分はおやみみです。また明日。
あれかな! インタラクティヴでない以上はオナーニスレということになるのかな。ミオタン
に言われて色々考えさせられたけど、「連続投稿、他人の割り込む余地なし」ってのは
ネタスレとしては言い訳のしようもなく致命的っつうか。
「だれかが卓ゲ関連のお題(シチュエイション)を出して、それでエロ小説書く」
ってスレに持っていくべきなんだろうか。
まあいいや。とにかく今日は寝ます。おやみみ。
と言うかアレだ。
続きを杉井氏以外が勝手に書いても良いんだよな?
>58
リレー小説系ってグダグダになる危険性が高い諸刃の剣だぞ。
別エピソードとして語るんならアリだろうけど。
なるほど。
それならこの話の気に入ったところとかキャラとかで勝手に別ストーリーですか。
それ面白そうっすね。
おねえさんのエロ画像もキボンヌしておこう。
gangare
|ω´)y-~
>>61 オレモキボンヌ
|ミ サッ
ミーニャータソのエロ画像キボンヌ
>>65 杉井光 ◆h92HIkARU.氏のHPハケーン
どちらかと言うとセクシー系なんだね、ビジュアルにするとこんな感じなんだ・・・
小説の続き楽しみにしてます
自分のページでやればいいのに・・。
自分のHPでやったら罰ゲームにならないし・・・
とりあえずヒカルタソを叩いておこう。
(,,゚Д゚)氏ねやゴルァ!!
まぁ、あれだ、オネーサンでキンパツはいただけないな。
黒髪でショートのおねーさん28歳キボンヌ
|ω´)y-~
描いちゃおうかな…
でも怒られそうだし…
|ミ サッ
てか、ネタスレであろうとなんだろうと、官能小説スレとして機能していない(したらいかんような気もするが)ので、
官能小説書きが書き込めないのがアレだと思う拙者(w)
>72
キボンヌ
>73
キボンヌ
>72
気にせず28歳きぼんぬ
>73
気にせずふたなりきぼんぬ
金髪は需要がなかったのか……。
かんのう くわん― 0 【官能】
--------------------------------------------------------------------------------
(1)耳・鼻・目など、感覚器官の働き。
「―障害」
(2)感覚器官を通して得られる快さ。特に、性的な感覚にいう。
「―の喜び」「―をくすぐる」「―小説」
かんのう-き くわん― 3 【官能基】
--------------------------------------------------------------------------------
〔functional group〕有機化合物の同族列の特性の原因となるような原子団。反応性の高いものが多い。水酸基・カルボキシル基・アミノ基など。機能原子団。機能基。
誰もいないスレにすれば確実に200まで埋まるよ?
ふたなりスレならどこまで伸びる?
ハッタリくんが毎日、いや朝昼晩通うさ、一日3ずつは伸びるね
| \
|Д`) ダレモイナイ……
|⊂
| ツヅキ ウpスルナラ イマノウチ?
-------------*-*-*--------------
二本目は、長引いた上に僕が負けた。ゲーム中に対戦相手が何度も『はあ?』という
顔をし、僕のライフポイントが一桁になる頃にはにやにや笑いに変わっていた。たぶん、
初心者丸出しのミスプレイがいくつもあったんだろう。
一対一。追いつめられてしまった。沢村はまだ戻ってこない。おねえさんも。
僕は十五枚のサイドボード・カードに答えを探した。一本目にあっさり勝ってしまった
ため、沢村はほとんどサイドボード交換をしていなかった。ばか。役立たず。こんな、
はじめて触ったデッキで戦えるはずがないじゃないか。
十五枚のカードを手のひらの中でぐしゃぐしゃ混ぜていると、
「あ」
指が滑った。サイドボード・カードがテーブルの上にぶちまけられてしまった。ほとんどは
裏向きのままだったけれど、一枚だけ表を向いている。
あわててかき集めようとして、僕は気づいた。
その、一枚だけ表返ったカードを見て、対戦相手の唇がかすかに歪むのに。
ひょっとして。
「あの、僕、このデッキ借り物だから。よくわからないんだけど、これってどういうカード?」
「あ?」
対戦相手の顔が失敗作の粘土像みたいに歪んだ。
「おまえ頭大丈夫かよ? なンで俺が教えなきゃいけないんだ」
「じゃあ、これは?」
僕はサイドボードのカードを一枚ずつ開きながら、どういうカードなのかと訊ねた。
そうしながら、相手の表情をじっとうかがった。対戦相手はしまいに怒りだした。
「てめぇ! 時間稼ぎしてんじゃねぇよ!」
僕は首をすくめてサイドボード・カードをかき集めた。もちろん質問にはひとつも
答えてくれなかったけれど、入れるべきカードはわかった。
わかったと思う。
多分。
「おい。サイド入れたら、同じ枚数デッキから抜くんだよ」
「あ、そうなの」
「なンも知らねぇンだな、ったくよ」
ほとんどバクチのサイドボード交換を終えた。僕はデッキをシャフルし、祈りながら
最初の手札を引いた。
「サワムー! 病院いかなきゃだめだって!」
おねえさんの声がしたのは、六ターン目、相手の呪文で僕の軍勢が全滅した瞬間だった。
店にいたほとんど全員が入口の方を向いた。
沢村は血まみれだった。額からの血は何本も筋になって、すでに固まって顔にこびり
ついている。オールバックにセットした髪は乱れ、学ランのひじは破けていた。
「ねえ、サワムー!」
後から店に入ってきたおねえさんが、沢村の腕をつかむ。沢村はそれを無視して、
おねえさんを引きずりながら僕のそばまでやってきた。
「ヒカル。まさか負けてねぇだろな」
ホラー映画から抜けだしてきたような沢村にすごまれて、僕はしばらく声を失う。
まわりの人たちもプレイが止まっている。
「サワムー。君は怪我してるんだから……」
「ぅるせぇな。ほっとけよ」
沢村はおねえさんの手を振り払って、壁際に腰を下ろした。
「ヒカル。ちょいダリぃから、しばらくおまえがやれ」
「もうっ。今救急箱持ってくるから! ごめんねみんな。終わった人は結果シートに書いて
カウンターに出しておいて!」
おねえさんはカウンター奥の扉に駆け込む。
沢村は目を閉じた。
僕はつばを呑み込んで、ゲーム状況と再び対面した。自軍は今し方、神様の怒りに触れて
まっさらになっている。相手には、無限にソルジャーを生み出すカードが出ている上に、
赤と黒しか入っていない沢村のデッキではそれをどうすることもできない。
もう一度沢村をちらと見た。死んでいるみたいに見える。どうしたらいいんだろう沢村?
ぱたぱた、と足音がしたので僕はあわてて前を向いた。
「大丈夫サワムー? ちょっと首持ち上げて。うんそう。だめ動かないで。痛い? 男の子
でしょ?」
おねえさんの声を背中に聞きながら、僕は自分のターンを迎え、カードを引いた。さっき
サイドボードから入れたカードだった。
ああ、なるほど。
僕はそのカードをそっと机の上に出した。
「『仕組まれた疫病』」
対戦相手の顔が歪んだ。
対戦結果シートに結果を記入してカウンターに持っていき、戻ってくると沢村はおねえさん
の手によって包帯まみれになっていた。僕は思わず噴き出していた。
「ゾンビがミイラになった」
「うるせぇ殺すぞ」
言いながら沢村は、壁に手をついて億劫そうに立ち上がる。
「もうサワムー、無茶するんだから」
お姉さんは救急箱を閉めて沢村に手を貸す。
「雑魚四匹、粗大ゴミに出してきただけだろ。おいヒカル、勝ったんだろうな」
僕はうなずいた。「なんとか」
沢村は僕の手からデッキを引ったくった。
「サワムー、今日は棄権して帰って病院行ったら?」
「ざけんな」
おねえさんは僕と顔を見合わせると、肩をすくめた。
沢村は三回戦目で秒殺された。横で見ていた僕には、相手の大学生らしき人が一体
なにをやったのかよくわからなかった。
「なんだったの、あれ……?」
沢村に訊いてみても、答えのかわりに壁を殴りつけただけだった。
勝ち抜き戦だから、一回戦終わるたびに参加者が半分になっていく。でも、負けたからと
いって帰る人はほとんどいなかった。夜が深くなって、さらに人が増えたような気さえする。
「決勝戦やるよーっ!」
おねえさんはカウンターの前に、演壇みたいな高い台を持ち出してきた。紫色のラシャ布が
かけてある。五回戦を勝ち抜いてきた二人が、その台をはさんで向かい合って立った。一人は
よく見かける緑色のブレザーの高校生で、もう一人は三回戦目で沢村に勝ったあの大学生だった。
ギャラリーはカウンターの前につめかけ、机の上に乗ったりして高い人垣を作った。
「これに勝ったらおねえさんと勝負?」
隣の沢村に訊ねる。沢村はうなずいた。
「おねえさんに勝ったら?」
「さあ」
沢村は人垣を強引に押しのけて、僕を連れていちばん前に陣取った。決勝の二人がコイン
トスで先攻後攻を決定する。
おねえさんが試合開始を告げる。
「なにしろ店長にはだれも勝ったことがねぇからな」
緑ブレザーのデッキは、そのころよく見かけた青と黒のものすごく防御的なデッキだった。
相手のカードを直接無効化してしまう打ち消しカードがたくさん入っていて、静かにゆっくりと
場を制圧するタイプの戦術。
大学生のデッキは、結局どんなのだかよくわからなかった。二本とも、ほとんどなにも
せずに負けてしまったからだ。二本目、ライフポイントが20点丸々残っているにもかかわらず
大学生が無言で自分のカードを片づけ始めると、緑ブレザーはガッツポーズした。
歓声があがる。
「なんかあっけないね」
「本番は次だからな」
「おねえさんのデッキはどんなの?」
沢村は、負けた大学生をあごでしゃくった。
拍手と口笛の中、おねえさんは、たった今こてんぱんに負けたそのデッキを、大学生
から受け取っていた。敗者に代わって対戦台の横に立つと、歓声がひときわ大きくなる。
「借り物?」
「いつもな。決勝で負けたデッキでやるんだ」
いつも?
それでだれにも負けてないの?
僕の疑問は、周囲のやかましさに呑まれてしまった。
おねえさんが両手を高くあげて打ち鳴らした。店内は突然静まり返った。
「よろしくお願いします」
おねえさんが言った。緑ブレザーは軽く頭を下げた。
コイントス。
おねえさんが先攻を取った。
一分とたっていなかったかもしれない。緑ブレザーのライフポントはゼロになっていた。
おねえさんはあの大学生とちがって、ひとつひとつのアクションを説明しながらデッキを
動かしてくれた。だから、僕にもよくわかった。
このゲームは、生き物を並べて殴り合うだけのゲームじゃなかった。
たったカード三枚の組み合わせで、人はあまりにもあっけなく死ぬ。
これが、僕と瞬殺デッキとのはじめての出逢いだった。
緑ブレザーは顔を真っ赤にして、サイドボードのカードを大量にデッキに投入した。
まわりから冷やかしの声が飛んだ。
「おい、負けられるデッキじゃねぇだろが」
「せめて一枚は脱がせよー」
一枚? 脱がす?
「はいはいみんな静かにねー、気が散っちゃうから」
おねえさんはそう言って笑いながら、デッキをシャフルしている。
二本目はしじゅう緑ブレザーの優勢で進んだ。先攻と後攻の差はかなり大きい。おねえさんは
重要なカードをことごとく打ち消されて手札を消耗し、変な丸い生き物に撲殺された。
「いいぞ脱がせーっ!」
「てめぇ次勝ったらぶっ殺す!」
それはもうほとんど怒号だった。そして僕はようやく、この熱狂の原因を理解する。
まとめ終わったデッキを置くと、おねえさんがベストを脱いだ。カウンターに投げる。
ふわりと落ちる様はまるで木蓮の花びらみたいだ。それから首の後ろに手を回す。リボン
タイがするりと外れて、これもカウンターに放られる。フリルシャツのボタンを三つ目まで
外すと、上気した肌がのぞく。台にひじをついてかがむと、胸がこぼれ出しそうだ。
「よっし。三本目行くよ」
ざわめきがまだおさまりきらない中、おねえさんは最初の手札を手元に引き寄せた。
トーナメントが終わって、僕と沢村が店を出たのは九時半だった。帰ったら父に大目玉を
食らうだろう。でも、そんなことはどうでもよかった。
商店街にはまともに点く街灯すらなく、疫病が通ったあとみたいに静まり返って、おまけに
五メートル先にはミイラの沢村が歩いていた。でも、僕の足取りは軽かった。
「なにはしゃいでんだおまえ」
駅前の通りに出ると、沢村が訊いてきた。
「え。はしゃいでる?」
「にやにやすんなよ。キモい」
僕は頬をぱんと叩いて、緩んだ表情をしめた。
「おねえさん。強かったね」
「勝てねぇはずはねぇんだけどな。でも、勝てねぇんだよな」
気づくと僕は沢村と並んで歩いていた。横にいた方が、あのスプラッタな顔を見なくて
すむ。
駅前の電器屋がビーチ・ボーイズを流しながらクーラーを安売りしている。コンビニの
店頭にはもう誘蛾灯が出ている。閉店間際の八百屋がスイカをたたき売っている。
もうすぐ夏だ。
「勝てるよ」
僕はぽつりと言った。沢村は黙っていた。
聞こえなかったのかな、と思いながら僕も黙って歩いた。繁華街をはずれ、橋を渡り、
畑と一戸建てが入り混じる暗い住宅地に入る。
「どうやって?」
別れ際に沢村が突然訊いてきた。なんのことかしばらくわからなかった。
「ああ、うん」
僕は言い淀んだ。
「まだ秘密」
沢村は道につばを吐くと、僕に背中を向けて歩き出した。宵闇に制服の色が溶け込んで、
包帯の白だけが浮遊しているみたいに見える。
あの四人の二中生たちのことを訊けばよかったかな、と僕が思ったときには、沢村の姿は
辻を曲がって見えなくなっていた。
-------------*-*-*--------------
時代はふたなりか……。
korekaramogangare kitaishiterube
杉井タンがんがれ。勝手に支援もどきを落としておくから。
-------------*-*-*--------------
その女性店員は、勝ったら"やらせてくれる"という噂だった。
ネットで流れる下世話な噂、店名こそ伏せられていたがそれが『セロファン・フラワー』という
ショップだとはすぐ分かった。念のために言っておくが、単に好奇心が刺激されたからであり、
けっして下心バリバリだったわけではない。(まぁ、ちょっぴりあったというのは否定しない)
狭っ苦しい店内は中高生でいっぱいだった。そして、噂の美人女子店員はカウンター内に
いた。…予想よりも、若く、美人だった。
じろじろ不躾に見るのも悪いので、カウンター横のシングルカードバインダーを手に取り、
時折ちょろりと目を動かす。数度そんなことをするうちに彼女と視線が合った。
「いらっしゃい。初顔さんね?」
後から思えばただの営業スマイルなんだろうけど。不意打ちで笑顔を向けられ、すごく
焦った。しどろもどろの返事をしながら“こんなハズじゃなかったのに”という気持ちが渦巻く。
(面倒なので中略)
初心者っぽい学生の真似をして、財布から五千円札を一枚取り出した。
「あの、昔やってたけど引退してさ、最近復帰したんだ。俺にもパックを選んでくれない?」
女性店員は俺をじっと見つめ、すぐに質問すらせずにパックをいくつか取り出した。
「プロフェシーが4、レギオンが4、あとは6版かな?」
おいおい、さっきの中学生の半分以下のパック数じゃないか。
BGMの『カーマは気まぐれ』がやけに耳についた。
終
支援感謝age。
レベッカタン、……実話か(笑)?
>93
具体的にはだれをふたなりにしますか?
95 :
93:03/05/06 16:29 ID:???
杉井(,,゚Д゚) ガンガレ!
普通に面白いです!!
97 :
NPCさん:03/05/06 19:56 ID:UaBup8KV
あ、普通におもろいや
漏れみたいにスレタイで敬遠してるやつ多いかもなー
98 :
ダガー+およそ4☆:03/05/06 20:45 ID:YzVsR9Ac
オレMtG知らんけど、それでも面白い。
いっそ「キャラ萌え以外の卓ゲネタ官能小説スレ」くらいにしてくれると…
してくれると一体どうだと言うのだ、オレよ(笑)
>94
アレは好きなヤツだからこそネタが輝くと主張。
イヤ、好きならいいんだけどネ。
99 :
NPCさん:03/05/06 20:56 ID:P7yppp4L
どうもスレタイで損をしてるな、このスレ
というわけでage進行を提唱してみるテスト
こういうのはsage進行でヒソーリやるから面白いと思うのだが。
>94
実話だったら悲惨すぎるぜヽ(`Д´)ノ
それはともかく、5/10に参加するつもりなんだが、INのラノワールの脈動
持ってたらトレードキボンヌ
なんだなんだ、スレタイが悪いのか? 男ならこのスレタイをスルーできるはずは
なかろうと思ってのネーミングなんだが。
しかし、やはり卓ゲ板全般のネタスレにするべきだったなあ。失敗。
>95
僕かよ。
>98
キャラ萌えもありでは? ただ、雑居板なので住人共通の萌えキャラがミーニャータンと
にらぽんくらいしかいないのが困りもの。そっちは地下があるしなあ。
ふたなりってこんな感じ? と、ageてみる。
-------------*-*-*--------------
異端審問はわずか六分で終わった。鎖で全身を拘束された少女は、検邪聖省の審問室の
固い石床に這いつくばりながら、女審問官の冷たい判決の声を聞いていた。
「被告・ヒカルを搾刑に処す。連れて行け」
廷吏が三人がかりで鎖を持ち上げ、その少女――ヒカルを引きずって審問室を辞した。
独房の暗闇の中でひざを抱きながら、ヒカルはときおりどこからか聞こえる囚人のうめき
声におびえていた。地下室の空気は不思議と乾燥していて、冷たく、かすかな物音も肌で
感じ取れるほどにはっきりと伝わってきた。
ここは地下どれくらい深くなのだろう。もう二度と日を見ることはないのだろうか。搾刑
とはどのような刑罰なのだろう。
死はすみやかにやってきてくれるだろうか。
ヒカルははっとして顔をあげた。
足音だ。
近づいてきている。――二人だ。
鉄格子を隔てた通路の壁に、かすかに炎の色がうつる。
足音はヒカルの独房の前で止まった。一人はあの女審問官だった。黒い法衣のかわりに
光沢のある革のドレスを着ており、繊細ながら大胆な身体の輪郭が強調されている。胸元は
大きく開いたつくりになっており、ほとんど上半分が露わになった豊かな乳房の間には
ロザリオが蝋燭の光を受けて鈍く光っている。
審問官の後ろには修道女が燭台を手に付き従っていた。暗いので顔はよく見えないが、
背丈からしてまだ少女と思えた。
「鍵を」
審問官が言って差し出した手に、修道女が鍵を握らせた。錠がはずれる音が驚くほど
大きく響き、鉄格子が開いて二人が独房に入ってきた。ヒカルは床にしゃがんだまま
後ずさった。
修道女は壁の燭架に灯りを置くと、審問官の斜め後ろに立って頭巾をとった。栗色の髪が
こぼれ出る。やはり、十四、五の娘だった。
「さて、ヒカル」
審問官が一歩近づいてきた。ヒカルは後ろの壁に背中を押しつけて縮こまった。
「憶えているか? 最初の審問
http://game.2ch.net/test/read.cgi/cgame/1048854880/697の時に 私は言ったな。確信犯でクソスレにしているのであれば、それなりの代償を払ってもらうと」
ヒカルは顔を震わせた。否定とも肯定ともとれない奇妙な音が喉のあたりから漏れた。
審問官は目を細めて唇をなめた。
「そう怯えるな。搾刑は、主のみもとに一時的に昇ることのできる刑罰だ。恐れることはない。
――シスター・ミオ」
背後の少女に振り向き、ヒカルを指差しながら、
「服を脱がせろ」
少女は審問官とヒカルの顔を二三度見比べてから、首を横に振った。
「どうした。告発者であるおまえは刑を執行する権利と義務がある」
少女は審問官に歩み寄ると、そのはだけた素肌の胸に指をあてた。指の先が細かく動く。
文字だ、とヒカルは気づいた。
この少女は口が利けないのだ。
『あのね』
少女はそう書いて、頭一つぶん上にある審問官の顔を見上げ、続けた。
『こんなやつにさわりたくないの』
「命令だ、シスター・ミオ」
審問官はそう言って少女をヒカルの方に突き飛ばした。少女はヒカルの上に倒れ込む。
息が感じられるほどに顔と顔が接近する。ヒカルは身をよじり、少女はあわてて壁に手を
ついて立ち上がろうとした。
審問官が二人の上から覆い被さるように近づいてきて、少女の背中を抱き、片膝と片手で
ヒカルの身体を床に押さえつけた。審問官につかまれた少女の手が、ヒカルの胸に押しつけ
られる。
「ほら、シスター・ミオ」
審問官はささやき、少女の耳朶をちろりとなめた。
「はぎとってしまえ。面白いものが見られるぞ」
少女は震える指を、ヒカルの胸の綿布に食い込ませた。熱い。体温がしみ込んでくる。
少女の息が自分の首筋にかかり、ヒカルは、身体の内側から膨れあがるものを感じた。
布はあっけなく裂けた。ヒカルの生白い小ぶりの乳房が冷たい空気にさらされる。
乳首はすでに固く尖っている。ヒカルは腕と腰に力をこめて逃れようとした。審問官の
手足が、まるでかすがいを打ったように動かない。ヒカルの腰の辺りで審問官の手が
うごめき、腰帯がするりと抜き取られた。
「下もだ、シスター・ミオ」
少女はいまや審問官の手で強制されるわけでもなく、顔を朱に染めて、ヒカルの胸や
脇腹に指を這わせていた。身体に力が入らなくなる。熱い息が喉から漏れる。
「もっと下」
審問官の声がして、少女の指がヒカルの下腹をすべり落ちた。
「ぅはうっ……」
ヒカルは思わず声をあげ、目をつむって顔をそらした。
「ヒカル。ちゃんと見るんだ」
審問官の手がヒカルの髪をつかみ、強引に下半身の方へと向けさせる。腰と脚を覆って
いた布ははぎとられ、谷間が露わになっている。脚の間に少女がひざまづいているので、
脚を閉じることもできない。太ももの内側が粘液でじっとりと濡れ、蝋燭の光を照り
返している。
「ほうら、シスター・ミオ。ただの娘にしては、妙なものがついているだろう?」
審問官の手が少女の肩越しに伸びて、ヒカルの股間、合わせ目の頂点に触れた。
「ぁあぁふぅああッ」
電撃が走ったかのようにヒカルは全身を痙攣させた。熱くたぎった塊が、肉ひだを
押し広げて、へそに届くまでに隆起するのがヒカル自身にもわかった。
-------------*-*-*--------------
飽きた。もういいや。
なんか、脱がせたところで欲望が尽きてしまう。
ふたなりの肉体的構造ってどうなっているんだろう。
106 :
NPCさん:03/05/06 21:58 ID:UaBup8KV
陰核が男性器様に肥大科しており、
一般的に大陰唇の一部が肥大化した陰茎様陰核に癒合していることがおおい
・・・らしいよ。
漏れ的にはエロはいいから早く(今までのやつの)続きを読ませろ
107 :
ドキュソ侍:03/05/06 21:58 ID:dvx+O+gE
>杉井光
>ふたなりの肉体的構造
まあアレだ!具体的に云えばシルエイティみたいなモンだな!つまり!
ところで
>>100、そういう話は本スレでね。
Pulse of Llanowar、1枚しかないけど。コレクタ用だから別にいいのかな。
あ、やっぱりクリトリスが肥大化するのが一般的なのか。
こないだ飲み会でふたなりの話になったときに、「あれって要するにクリトリスでしょ?」
って言ったら、「それはふたなりじゃない」って言われた。
女性器とは完全に別に生えていないとだめなんだってさ。
「なんで?」
「しごきながらいじれないじゃないか」
……なるほど。
奥が深い。
110 :
NPCさん:03/05/06 22:10 ID:UaBup8KV
>>109 陰核も陰唇もあって玉は無いのに射精するってなったら、そりゃやっぱ妄想の産物だべし。
てか俺はいったい何を言っているのやら・・・なんか恥ずかしいぞ
111 :
NPCさん:03/05/06 22:10 ID:UaBup8KV
↑
陰核も陰茎も な
/;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ
/、 /;;;;;;;|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|
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|;;;;;;;;;;;;;;;l、;|'!ヽ,/,、‐,=''|;;;;| };;|
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ヽ;;;;;;ヾ"゙ー' 、 |;;;;;;_|‐/ ̄ヽ _.、‐'"
|;;;;;;'、ヽ ー'゙ /ヾノ /´┴!-、 `!、. ,.-''"
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|j'!;;;;;;;;;;;;/"/'''//::||:ヽ ヾ''''''ー‐、_//~'l/
|ヾ!ヽ;;;}'´ |::::::/ヽ::::::::::| `!| / ノ
`` /\ /!:ノ ``''ヽ! | ./ ./
,.、-" ̄ ̄`ー 、 /'''''''ヾ/ |/ _,.、---‐‐‐-,、|/ ./
/ `'ー、`'フ''ー'| ,.、‐'"-'''二=‐/ヽ_/ ./____,,,,,,,,,,,___
`ヽ、ー、.! /ソ´二フ"、,,,,,,:/ / | ̄
\ーフ''"-、,,/,--、~''/ ! .|
/´ \ノー"!!(,人,)!/ / |
/、 \ |i(| |ヽ、 / .|
/ \ i!l(二~ !/ |
_,、-'´ \ |i!(二 /i!| |
|\ ||(二__ノl| |
.|::::ノ\ (,,,人,,,) /
/ヾ/::::::ノ\ .ノ ,*、\ // ‐'' ̄`'''ー
〈;;;;;;;<:::/´::::_,,,,>-、,,,,_,,,/-‐'´`ー-\、,,,,,,,,,、-‐'";;/
>ドキュソ侍
シルエイティ=ふたなりか。じゃあワンビアにあたるのはなんていうんだろう?
>110
ふたなりが妄想の産物だと! 貴様そこになおれ!
ふたなりは神! もはやそれは宗教!
114 :
ダガー+およそ4☆:03/05/06 22:30 ID:YzVsR9Ac
>102-104
ワラタ(笑)
>113
>ふたなりが妄想の産物だと!
>ふたなりは神!
実は矛盾していないとゆう…
こんなスレでもhtml化されるんだよね、凄い事だよそれは
116 :
NPCさん:03/05/06 23:05 ID:P7yppp4L
某スレでこんな事を言った香具師がいた
テ ィ ム ポ の つ い て な い 美 少 女 は 、 美 少 女 と 呼 ば な い
ふたなり=アダム・カドモン
Futanari is GOD!
このスレッドはふたなりが占拠しますた
フタナリかよ。
市ねハッタリ
>杉井光、本編は〜?、余り他コテハンの所を挑発しなさんなよ
向こうさんも本気で来るかも知れないぞ?先に本編やろうぜ?
何時の間にかハッタリくんが居なくてもフタナリスレに・・・
ハッタリくん=フタナリインカーネーション説を提唱するぞ!
___
(;;;;;;;,,(゚Д゚) フタナリなんていらない
|ω´)y-~ …ナンカ…スゴイコトナッテキタダーヨ…
|ミ サッ
本編はもうちっと待てYO!!
べつに挑発したわけじゃないんだけどな。僕はあの人たちのキャラが大好きだし、
いいネタスレにするためにはどんなんでもネタに使うだけです。むしろ本人たちに
読ませて(;´Д`)ハァハァしたいくらいさ!
ダガーみたいに楽しんでくれるとウレスィ。ソレトモ フタナリキライカ?
まあふたなりだけのスレじゃないので、さっさと戻すけどね。
>>93が要望を出した
から書いただけ。
>杉井光、うい了解!漏れも奴らはオモロイので好きだよ
漏れもその内、コテハンエロでも書いてみるか(文章書くの苦手だが)
125 :
NPCさん:03/05/07 12:59 ID:uWczktmL
>>124 ヌけるのを書けよ!余裕!
・・・ドキュソ氏スマソ
126 :
93:03/05/07 13:00 ID:???
>126
あれでまだ足りねぇのかよ!
ところでヒカルはどうやってあのおねえさんに勝てばいいんでつか? 自分の話ながら
今後の展開がチョト思いつかない……。
とりあえず今日は寝ます。
128 :
NPCさん:03/05/08 00:23 ID:rlJ22k2V
>>127 熱いセリフを吐きながら、トップデッキの連続ですよっ!
>>127 明日出かけた学校の保険医のおねーさんに童貞を喰われて、
童貞のお礼に何かしら強いデッキを貸してもらうとか安易な展開をキボンヌ
130 :
ダガー+およそ4☆:03/05/08 00:45 ID:6wA6kDXB
ハッタリくんマジ天才。ホレ(・∀・)つ⊂パトス⊃
でも更に同世代要素も欲しいかなぁとか馬っ気ブヒヒン
>>130 それならいつも主人公に突っかかってくる真面目な生徒会長(帰国子女)は
実はRevised以来のヘビーユーザーで、「まぁ、構築戦も出来ませんの?
よろしいですわ、まずはあたくしがあなたにドラフトというものを教えてさしあげます」とか言い出して、
夕暮れの教室で淫猥なブースタードラフトを(他の参加メンバーは全員生徒会役員のおにゃのこ)
そこはやっぱり、「決勝戦を丁寧にやる」ではないかな。他の奴等はその先のお姉さんのことが
頭にちらついていて、目の前に「あと2度度戦うデッキ」があることを意識していないとか何とか。
ところで、大勢のギャラリーの前でお姉さんが脱がされていくというシチュは少年のやる気を削いでは
しまいませんか?
>129
保健室で校医さんと(;´Д`)ハァハァ
でも童貞はやはりおねえさんに捧げたいのでつ。話の流れ的に。なのでBまで。
同世代か。そういや女子中学生出してないな。帰国子女の生徒会長(;´Д`)ハァハァ
>132
トーナメントをただ勝ち抜くだけなら、ちょうど6月がジャッジメント発売だったから、
「Worldgorger-Animateを開発したのはヒカルだけだった! 見知らぬ強力コンボに全員即死!」
で済むんだけどね。
あと、おねえさんはべつに負けたら脱ぐとはひとことも言ってないぞ。1デュエル落とすと
ベストとタイをはずして気合いを入れる癖を、股間に青春一杯の少年たちが勘違いしている
だけかもよ(笑)。
まあ、考えつく所では
ヒカルとサワムーの二人が共同戦線を張る。
ってとこが妥当かな?
作戦としては稚拙だけど、
『二人が互いのデッキ内容を教えあい、お互いのデッキ対策を充分立てておく』
『二人がどうにかして決勝に残る』
くらいかなあ。
デッキ内容も同じにしておけば、後は引きとプレイング次第
…って、それじゃ主人公ますます勝てそうにねえな。
物語的にもどうかと思うし。
このいかにもな構図の中でのベタな予想なんすけど、
沢村君とヒカル君での耽美ネタは無いっすかね?
荒れた家庭環境などが、性暴力やゲイ転向のきっかけになることは良くあることっす。
そういった家庭がある種の性問題の舞台になることもままあることっすしね。
或いは…
店主のおねいさんとの睦み具合に逆恨みした少年達や、
サワムーへの報復を考えた不良グループや、
見境の無い大きなお友達なんかが、
ついぞ少年に手を出してしまうなんてシチュエーションは、
その手の本でのノルマ達成ではよく見る展開っすけど…、
やっぱり無いっすかね…そういう展開。
>135
え…?
サワムーはてっきり『そっち系』だとばかり思ってたんだが。
…違うのか?
思いついたら自分で書いてしまえ!
いや、それは流石にいかんっすよ…。
>>135 よし、ならば保健の美青年教師は実は隠れゲイでその上隠れ卓ゲーマーだったという方角で。
これなら童貞をおねーさんに捧げつつ(w)
凄い事になってる・・・
いいかげん裏に行けよ
さすがにふざけんなと言いたくなってくるぜ、おい
この板はコテハンの暴走が激しいな
罰ゲームだかなんだか知らんが、ルールは守れよ
コテ同士の馴れ合いなら、それ用の板もあるんだから
>141-143
程々に。
駄スレを立てる>1晒しage
このスレ、マジックをネタにした青春小説として、ものすごく面白いね。
ルールやカードの描写が適度に省略されてて、行間を読ませながらテンポ良く話が進んでいるので、
マジックの基礎知識を持たない人間が読んでもあまり楽しめないだろうし、卓板の住人が読んでこそ
楽しめる作品だと思う。
構成力や描写力は文句なしで、「マジック知らない人間が読んでもちんぷんかんぷん」という唯一の
欠点が、この板に連載されていることで逆に長所と化している、というか。
だから、できればコテハン同士の馴れ合いは程々にして、卓板に留まれる形で続けてほしいなぁ。
一癖も二癖もある不良少年共が「セロファン・フラワー」店長の人望とマジックを通じてまとまっている
辺りも奇妙なリアリティと魅力があるし、あの店の猥雑な活気が何とも言えず好き。
使われてるカードやブースター購入のくだりで「いつの話だろ?」と首を傾げたけど、作者氏のサイト
を見る限りではネオスタンダード準拠なんだね。懐かしさと新しさが混在してて上手い設定だなぁ。
なんかベタ褒めになっちゃったけど、この先も楽しみにしてます。もっとがんばれ、超がんばれ。
147 :
146:03/05/10 02:55 ID:???
あと書き忘れたけど、
>>92氏のパロディも最高。おねーさん非道いよ……(w
間があきましてすんません。今回分。
-------------*-*-*--------------
「ざけんなクソガキが!」
僕の対戦相手は叫んで立ち上がると、手札をテーブルに叩きつけ、賭けてあった千円札を
僕の顔に投げつけた。
男の声で、『セロファン・フラワー』店内にいた二十何人の客全員が振り向いた。僕は
紙幣をポケットに入れると、手の震えを隠すために手早くカードをかき集めて何度も何度も
シャフルした。
僕をにらみつけていた対戦相手の高校生も、しばらくして座ってカードを片づけ始めた。
上目遣いで見ながら、
「もう一回?」と訊いてみる。
「やらねぇよ! やってられるか! てめぇにいくら持ってかれたと思ってンだ!」
デッキケースを鞄にねじ込むと、対戦相手は席を立った。同じ制服を着た仲間二人と、
わざとらしく大きな足音を立てて出口に向かう。防火扉が叩きつけられるように閉じた後、
外から蹴飛ばしたのか、がん、と金属音がした。
僕は息をつくと、まわりを見回した。いつの間にか、ゲームをやっている人間よりも
僕の試合の観客の方が多くなっていた。
「あの、だれかやりますか?」と、僕は向かいの席を指差す。
だれひとり答えなかった。ギャラリーはそれぞれ顔を見合わせ、卑屈に笑い、そして
散っていった。僕はため息をつくと、デッキをケースにしまって、鞄を担いで立ち上がった。
「ねえ、サワムーは? 最近、あんまり見かけないけど」
カウンターの前を通るとき、おねえさんが訊いてきた。
「今日も誘ったんですけど、なんか機嫌悪くて。おまえひとりで行けって」
「ふうん。……ヒカル君、今日は何連勝?」
「九です」
「惜しいね。あとひとつで十連勝か」
「やってくれる人がいなくなっちゃったんで」
「二ヶ月前、わたしがチューンしてあげたコモンデッキで嬉しそうに負けてたあのヒカル
君とは思えないなあ」
おねえさんはカウンターの上にひじをついて、両手にあごをのせて目を細めた。いつか
見たことのある笑い方だった。
「ちょっとこっち来て」
指でちょいちょいと招かれたので、僕はこっちをちらちらと見ている何人かの目を気に
しながらカウンターに近寄った。
「あのね」
おねえさんは僕の耳をつかんで口元に引き寄せた。自分でも、顔が真っ赤になるのが
わかった。
「ヒカル君、撒き餌って知ってる?」
「え? あ、あの」
「乱獲するだけじゃだめなの。強さだけじゃ生きていけない」
おねえさんは僕の目を至近距離からのぞきこんだ。鼻と鼻の頭がくっついてしまいそう
だった。
「あの、よくわからないです」
「まあ、もう少し大人になればね」
おねえさんは唇をなめた。背筋がぞくりとした。
「よし。身体で教えてあげよう。わたしと一本やるか」
僕の肩を軽く突き飛ばすと、おねえさんはかがみ込んで、カウンターの下からデッキ
ケースを取りだした。
「どう? 十連勝達成できるかもよ」
「あの、賭けるんですか、やっぱり」
「んんん。賭けたらヒカル君がかわいそうだもん」
おねえさんはそう言ってカードをケースから取りだし、シャフルし始めた。
「そうだね。わたしが勝ったら、『プロフェシー』を三パックくらい買ってくれる?
全然売れなくて不良在庫になってるの。それで、ヒカル君が勝ったら……」
おねえさんはデッキをカウンターの上に置くと、す、と手を伸ばして、僕の頬に指を
触れさせた。息ができなくなった。自分の鼓動で、他の音がなにも聞こえなくなった。
おねえさんが微笑んだ。僕にできるのは、うなずくことだけだった。
試合が始まってすぐに、ギャラリーがカウンターのまわりにつめかけてきた。僕は深呼吸
して、最初の手札をめくった。おねえさんがコインを投げた。
ゲームは十分で片が付いた。
もちろん、僕は『プロフェシー』三パックを握りしめて店を出た。
ビルを出て五十メートルほど歩いた時だった。そば屋と書店の間の狭い路地からいきなり
人影が目の前に飛び出してきて、僕を路地に引きずり込んだ。声をあげようとした僕の口に、
拳が叩き込まれた。僕は仰向けに倒れて、生ゴミの袋に頭を突っ込んだ。口の中に鉄の味が
広がった。
「いきがってンじゃねえぞ、中坊」
「おい。寝てンなよコラ」
ネクタイをつかまれ、引っぱり起こされた。相手は三人――というのがわかった瞬間に、
次の一撃が僕の視界を真っ赤に塗りつぶした。僕はまた饐えた臭いの中に埋もれた。さらに
腕を踏みつけられ、脇腹に爪先が食い込んだ。激痛で、残飯の中をのたうち回った。
「は。小僧が店に来ンじゃねえよ。稼いでいい気分かぁおい」
相手がだれだかわかった。さっき僕に負けて出ていったあの高校生たちだった。
「キミが強いせいでボクたち帰りの電車賃もねーのよ。わかる? お金持ちなんだから寄付
してくれよ、なぁ」
一人が言って、後の二人が台本にそう書いてあるみたいに声をたてて笑った。僕はゴミの
中に埋まりながら、目を閉じ、身体の力を抜いた。財布を持って行かれて片が付くのなら、
それで――
うめき声は、三つ同時に聞こえた。
続いて、倒れる音。ビニルのゴミ袋の弾ける音。
それから、静寂。
全身が鈍い痛みに包まれていて、だるかった。甘ったるい腐臭がなぜかひどく懐かしい
気がして、僕はしばらく目を閉じて自分の荒い呼吸を数えていた。
「死んだふりしてンじゃねえ」
手首をつかまれた。僕の身体はゴミ袋の山から引っこ抜かれた。高校生たちがすぐ横の
ゴミ袋に、ほとんど逆立ちみたいなかっこうで突き刺さっていた。ぴくりとも動かない。
「きったねえな、おまえ……」
沢村は顔をしかめながら、僕の髪についたゴミを払い落とした。僕はなにか言おうとした
けれど、むせてしまって言葉にならなかった。
鞄に入っていた数学のプリント二枚を犠牲にして、顔の汚れを落とした。
「あ、ありがと、さわ……」
「礼とか言うンじゃねえよ、キモい」
沢村は吐き捨てるように言った。僕は戸惑ってしまう。最近、いつもそんな感じだった。
僕の言葉にいちいち不機嫌になる。
「沢村、今日はどこ行ってたの? おねえさんが、最近沢村見ないねって言って……」
「うるせえな。関係ねえだろ」
「……。これから店に寄るの?」
店を出るときには、もう八時を回っていたはずだった。
「行かねえよ。俺はおまえとちがって、毎日遊んでるヒマなんてねえ」
僕は首を傾げた。じゃあ、なんでこんな時間にここにいるのか。でもそれを訊くと殴られ
そうだったので、かわりにもう一度、
「ありがとう、沢村」
と言った。沢村は目をむいて、
「礼言うなっつってんだろ! 俺はおまえの用心棒かよ?」
と怒鳴った。人気のない夜の商店街に、沢村の太い声が不気味に反響する。僕はなにも
言えなくなってしまった。沢村は繁華街の方へと大股で歩き出した。
目抜き通りに出たところで、沢村は家とは反対の駅の方へと歩き出した。
「沢村? どこ行くの? 帰るんじゃないの?」
答えはなかった。沢村の姿はネオンに埋もれて見えなくなった。僕の頭の中はぐちゃ
ぐちゃだった。カードを引くおねえさんの細い指や、詰め襟にこびりついた生ゴミの臭いや、
脇腹に残る痛みや、沢村の怒鳴り声や、そういったものがどろどろに混ざって、まっすぐ
歩くこともできなかった。
橋を渡って、ブルーベリー畑の四つ辻を曲がろうとしたとき、
「あ、ヒカル!」
呼ばれ、僕は振り向いた。貴子が向こうの道から駆け寄ってきた。
「ね、ね、お兄ちゃん見なかった?」
「貴子ちゃん、こんな時間になんで……」
貴子はTシャツに短パン、サンダルという、十三歳の女の子が夜八時に出歩くにしては
あまりに迂闊なかっこうをしていた。おまけに髪が濡れている。
「お兄ちゃん探してるの! ねえ、ヒカルのところに行ってない?」
「いや、沢村は……」
と言いかけて、僕は沢村の様子を思い出した。ひどく不機嫌そうだった。さっきまで
一緒にいたことを貴子に教えてもいいのだろうか。
「ヒカル、今帰ってきたところ?」
僕はうなずいた。
「そう。……ヒカルのところかと思ったんだけど」
「とりあえず家に戻りなよ。そんなかっこうじゃ風邪引くよ」
「やだ。絶対だめ。戻りたくない」
貴子はそう言って、首をぶんぶん振った。
僕はようやく思い当たった。
「――また、お父さんと沢村、ケンカしたの?」
貴子はうなずいた。
「あたしがお風呂入ってたら、あの人いきなり帰ってきたの。酔っぱらってたみたい。
今日、お母さん遅番だから、お兄ちゃんと大喧嘩して。それでお兄ちゃん飛び出してっちゃったの」
途中から貴子の声に、鼻をぐずる音が混じる。
「あっ、あたしも、怖く、なって、逃げてきたの。やだ。家戻るの、やだ。戻りたくない」
貴子は僕の腕に顔を押しつけて泣いた。僕は夜道の真ん中で途方に暮れてしまった。なんて
長い一日だろう。早く家に帰りたかった。傷の血とゴミの臭いを風呂で洗い流して、ベッド
で毛布にくるまって、おねえさんの指の感触を思い出しながらぐっすり眠りたかった。
しばらく泣いて、貴子の肩の震えがおさまった。
落ち着いたようだった。貴子は顔をあげた。目も鼻も真っ赤になっている。
「ねえ、ヒカル」
「なに」
「ヒカル、くさいよ」
「あっ、ごめん」
僕は貴子を引きはがした。
「さ、さっき、転んでゴミ箱に突っ込んじゃったから」
貴子は僕の学ランの袖を握りしめて、離そうとしなかった。どうしよう。ほっておくわけ
にもいかないし、貴子を連れてまた沢村を捜し行くわけにもいかない。それでなくても最近、
僕の帰りが遅いので親がうるさいのだ。
しかたない。僕はため息をついた。
「とりあえず、僕の部屋に来る?」
貴子は濡れた目で僕を見上げると、小さくうなずいた。
ブラボー。貴子の描写Plz。
-------------*-*-*--------------
以下次号。
>135以下、801な方々
あくまであれは『友情と愛情を積極的に勘違いする』ことに意義があるので、本編で
まんまヤッちゃっても受けないのですよ。サイドでそのうちやるかもですが。とかいいつつ
ちょっとそれっぽいシーン入れて下準備に抜かりなし。
でも、なんか気づくとげす案に近づいていっているような……。
>146
楽しんでいただけたら幸いです。
でも個人的にいちばん気に入っているのは
>>102-104だったり。
その仕事っぷり。しかと見届けたぜ。これからも期待してるぜ。頑張ってくれだぜ。
続きキター!、後50スレも行かずに200達成出来そうだな!
,.、 ,r 、
,! ヽ ,:' ゙;
. ! ゙, | }
゙; i_i ,/
,r' `ヽ、
,i" ゙; 削除依頼が出されたようだな
!. ・ ・ ,! 今のとこは通らないと見たが
(ゝ_ x _,r'' エロ描写とかはやめとけ?
ヽ,:`''''''''''''''"ヽ.
| r';
゙';:r--;--:、‐'
゙---'゙'--゙'
(・∀・)チンポーマンコー
>161
エロ描写キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!!!!
好きだよ、このスレ。カードとかぜんぜんわからんけど。
ヤバそうなら他板のNOVAスレとかに移転した方がいいかもな。
寸止めでどれくらい書けるかをめざしてみるのも一興かと思いまして。
166 :
紺野みつね ◆s1FOX1.obc :03/05/13 00:39 ID:WB8VJx4B
>>165 あと35か・・・(w
☆ チン マチクタビレタ〜
マチクタビレタ〜
☆ チン 〃 ∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ヽ ___\(\・∀・) < 続きまだ〜?
\_/⊂ ⊂_ ) \_____________
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
| 愛媛みかん |/
続いて欲しいなら、下手にageない方がよいと思われ。
ageたら続きが早く出るのか? ageたら削除依頼が取り消されるのか?
その辺のルールはご存じありませんが、まあ馬鹿馬鹿しいこってすなあ。
面白いとは思うんだけど、早く書いてほしいって事と
詳しいエロ描写は辞めてほしいっていう
女性からの意見。
というよりHPがあるなら、そちらで書いてもらう方がいいな
エロ描写がなければ、「スレタイがヘンなだけ」って話になるな。
「コテ占有」なんて理由は、まだコテしかネタ出してないんだから、
現時点では当然なのであって。
まぁ、ストレートなのは「板違い」だろうな。
なんにせよ、今更エロ描写をしなかったところで、
削除されるか否かに大して変わりはないんじゃない?
削除人がエロ描写出るまで待つとも思えないし。
削除人の判断次第だから、何とも言えないけどさ。
ともあれ、応援してまつ。
まだ、エロシーンが出てないから(チンポーマンコー)は除く
大丈夫だと思うが、ちょびちょび出しつつ、書き溜めて一気に発射するしか無いよなぁ
まあ、月並みな言い方だが頑張れ!同じデュエリスト&大会主催として応援しておく
ここでエロは反感がすごいと思われる。
少なくとも女性達からは、完全反発は免れないだろうな。
女性が来てるのかはよく解らないが、2chダード辺りにも影響しそうだが。
いや、自分のサイトでやっても意味ないんで……。あるていどきりのいいところまで
進んだらサイトにまとめるかもですが。
で、今日ちょっと出かけるんで、続きは待ってください……。
(女性も見てたのか、恥ずかスィな)
>175
ありゃエロお題に対するネタや周辺事情のスレ
対してこのスレは扱ってる内容そのものがエロ
いいつつエロはまだ扱われていない。これはアレか? 某グラップラー漫画のように、
エロシーンの時だけ掲載誌を変えるのか?
それだ!
180 :
NPCさん:03/05/14 18:59 ID:CJ8NMswo
なんにしても無闇に上げずにマターリとしてるほうがいいだろ。
あ、200以降も続き期待してます。
期待ag…
いや、sage。
週一ペースになっちゃってルーヨ。今週号ageます。
-------------*-*-*--------------
僕が麦茶とクッキーを一袋持って自分の部屋に戻ったとき、ちょうど貴子が庭の樹を
のぼって窓から入ってきたところだった。
「靴、どうしよう」
貴子の靴はビニル袋に入れてベッドの下に隠した。親が突然入ってくるとまずいので、
部屋の入口の鍵をかけようとして、はたと思いとどまる。
部屋に、貴子と、二人。
鍵をかけるのはもっとまずくないだろうか。
「ねえ、ヒカル。おじさん、さっきすごい声で怒鳴ってたけど」
「え? あ、ああ、うん」
僕は振り向いてとりつくろった。
「最近、僕が帰るの遅いから。父さんキレちゃって」
「ねえ、あたしがいるのがバレたらもっと怒られるんじゃないの? やっぱり帰るよ。
そんなに迷惑かけらんないし」
「気にしなくてもいいよ。階段のぼってくる音でわかるから、そしたら、んーと、押し入れ
にでも隠れて」
「でも。でも」
「いいから。クッキー食べる?」
貴子はうなずいた。お腹が減っていたのか、僕が持ってきたクッキーを一袋全部食べて
しまった。
「貴子ちゃん、お母さんが帰ってくるの何時頃?」
「たぶん一時とか」
「じゃあ、そのころまたこっそり抜け出そう」
僕はベッドに腰を下ろした。ふと、胸ポケットから紙幣がはみ出ているのに気づく。
あわてて財布にしまう。危なかった。これを見られたりしたら、父になにを言われるか
わからない。
ふと気づくと、貴子が僕をじっと見ていた。
「なに?」
「ヒカルも、賭けゲームやってるんだ」
財布を落っことしてしまった。なんで知ってるんだ?
「夜遅いのもそれでしょ? お兄ちゃんに誘われたんだよね。もう。そういう危ないこと、
ひとりで勝手にやればいいのに」
「ちがうよ」
僕は言って、それから自分でも語調が強すぎたように思い、貴子から目をそらした。
「最初は、誘われたからだったけど。今は、自分がやりたいから」
「お金賭けてるんでしょ」
「うん」
「それに、不良もいっぱいいるんでしょ? 危ないよ、そんなの」
僕はベッドからおりて、貴子の真正面に座った。
「なんで貴子ちゃん、そのこと知ってるの」
「だってクラスの男子が噂してたもん。あの変なカードゲーム、流行ってるし。ヒカルのこと
もみんな知ってたよ」
「え。なんで」
「なんか強いって」
僕は照れくさくなって、ベッドの上の毛布をかき回した。
「そんなにお金がほしいの?」
「お金のためじゃなくてさ」と言って、そこで僕は言葉を呑み込んだ。
どうして僕はM:tGをやっているのか。
そこで、おねえさんの顔が浮かんだ。でも、それを貴子にうまく説明できないような
気がした。
「あんまり、そういうの。よくないよ。ヒカルのキャラじゃない」
「うるさいな。関係ないだろ」
貴子の目にじわっと涙がにじんだ。僕は焦った。ちょっと言葉が強すぎたかもしれない。
「ばか。ヒカルなんて、不良にぼこぼこにされちゃえ」
「ごめん」
貴子は心配してくれているのだ。それに、その心配は決して杞憂じゃなかった。だって、
今し方僕はまさにぼこぼこにされてきたところなのだ。顔に残るような傷じゃなくてよかった、
と心底思う。
「柄の悪い店なのはわかってるよ。でも、やめない」
「なんでっ」
貴子が涙声で訊いてくる。
「勝ちたい人がいるんだ」
「たかがゲームじゃん。ヒカル、そんな漫画みたいなせりふ、全然似合わないよっ」
たかがゲーム。
その通りかもしれなかった。でも、『セロファン・フラワー』の煙草臭い熱狂に一度
さらされてしまった後では、そんな言葉は一ミリも僕に届かなかった。
僕は勉強机の上に散乱していたカードの中から五枚を取ると、ぐずついている貴子の手に
握らせた。
「……? なにこれ」
「面白いもの、見せてあげるから。それ、てきとうに混ぜて、広げて。僕に見せないようにね」
貴子は唇をへの字に曲げて訝りながらも、五枚のカードをぐしゃぐしゃと混ぜて、顔の前に
広げた。
「五枚とも、色が違うでしょ?」
「うん」
僕は貴子の瞳をじっと見つめた。貴子の頬がじわっと朱に染まる。泣き腫らしたあととは
別の色に。
「な、なに?」
「貴子ちゃんから見て、右から、赤、白、青、黒、緑」
貴子の目がまん丸になった。僕の顔とカードを何度も何度も見比べ、それからカードを
ひっくり返して裏の絵柄を確認する。
「裏に印がついてるわけじゃないよ」
「も、もういっぺんやって?」
貴子はまたカードを混ぜて僕に突きつけた。もう一度当ててみせると、今度はカードを持った手を
背中に回して混ぜてから出してくる。それもぴたりと当てると、興奮して座布団の上でぴょんぴょん
飛び跳ねた。
色ならわかるようになった。
僕はおねえさんとのゲームを思い出す。あの人の強さは、なにより、相手の手札がすべて透けて
見えているんじゃないかと思えるほどの洞察力だった。
そして、それはおそらく、本当に透けて見えているのだ。
でも、これじゃまだ、追いつけない。
その時、突然、ドアの外で声がした。
「ヒカル? もう寝てるの?」
母だ。足音に全然注意していなかった。僕と貴子ははっとして顔を見合わせた。
押し入れ――は、間に合わない。貴子は僕のベッドに飛び込んで頭から布団をかぶった。
僕もそれに続いた。
「あら。あんたまた散らかしたまま寝て」
半分開けた戸から母は顔を出して、散らかりっぱなしの部屋の床を見て顔をしかめた。
「コップと麦茶、下に持ってくわよ?」
「うん」
布団の中で身体をこわばらせながら、僕はうなずいた。母が部屋に入ってくる。背中に
貴子の体温がぴったりはりついていた。息でシャツが湿るのがわかる。
「あんた、ちゃんとパジャマに着替えなさいよ。制服しわになっちゃうじゃない」
コップと麦茶の紙パックをお盆に載せて、母は出ていった。僕は顔を毛布の中に突っ込んで、
深く息を吐く。
「おばさん、もう行っちゃった?」
肩の後ろで、貴子のくぐもった声がする。
「うん。もう大丈夫」
貴子の感触がくすぐったくて、僕はすぐに布団を出ようとした。でも、ベルトをつかまれて
引っぱり戻された。
「……貴子ちゃん?」
「もうちょっと」
「なに?」
「ん。あったかいから」
貴子は僕の腰に両腕を回して、背中に顔を押しつけてきた。僕は動けなくなった。
色んな意味で。
時計の針は十時半を指していた。
翌日、沢村がめずらしく一時間目から学校に来ていた。全身が殺気立っていて、すれ違った
一年生の尻になんの脈絡もなくひざ蹴りを入れたり、教室に入るなり掃除用具入れの戸を
へこませたりしていたので、まともに目も合わせられなかった。
貴子がちゃんと家に帰ったのかどうか確認もしたかったのだけれど、話しかけられなかった。
授業中はずっとM:tGのカードをいじくっていた。教師が三メートルくらいまで近づいただけで
にらみつけた。猛犬みたいだった。
「おい。ヒカル」
昼休み、沢村の方から声をかけてきた。僕はびっくりして、
「ごっ、ごめん、沢村」反射的に頭を下げていた。
「なにがだよ」
「えっ。いや、その。怒ってると思って」
「俺はおまえのそういうヘコヘコしたところがムカつくんだよ」
「……ごめ……」
「謝るなっつってんだろ」
沢村は僕に鞄を持たせると、下駄箱まで引きずっていった。
「あの、どうするの、沢村?」
「午後フケるぞ。おまえもつきあえ」
いやだと言ったらなにをされるかわからなかったので、僕はうなずいて、外履きにはき
かえた。それに、沢村の方から話しかけてくれたのは少し気が楽だった。
昼下がりの『セロファン・フラワー』には三人しか客がいなかった。大学生くらいの男たちで、
みんな僕のことを知っているようだった。
「お。四中のヒカルじゃん」
「一本やろうぜ。なかなかデカい勝負できるやついなくてさ」
沢村が大学生たちを追い払った。
「後にしろよ」
「ああっ、ちょっと君たち! なんでこんな時間にいるの!」
僕は振り向いた。カウンター奥の扉から、おねえさんが出てきたところだった。
「サワムーまた学校さぼったでしょっ。しかもヒカル君までっ」
「黙ってろ。ヒカル。デッキ出せ」
沢村は僕を椅子に叩きつけるように座らせると、向かいの席に腰を下ろして鞄からデッキ
ケースを取りだした。
「なんかあったの、沢村?」
「デッキ出せっつってんだ」
「中学のうちから授業さぼってると、かけ算もできなくなっちゃうよ」僕のすぐ隣に来た
おねえさんが言った。
「うるせぇな」
僕はしかたなく、鞄からデッキを取りだした。
一本勝つごとに、沢村は無口になり、カードを扱う手つきが荒っぽくなっていった。
僕のデッキは相手の攻撃手段を静かにひとつずつ無効化していくタイプの遅いデッキだった
ので、手のひらは汗でびっしょりになった。観戦しているおねえさんも、三人の大学生も、
沢村の殺気に押されたのか一言も口をきかなかった。
四回やって、沢村は一本も勝てなかった。五回目も僕が場を制圧しつつあった。店に入って
きてから、どれくらい時間がたったのかわからなかった。沢村は手の中のカードを凝視していて、
僕の顔をまったく見ようとしなかった。
沢村が少ない手勢で総攻撃をかけた。僕は無言で肯いて、その攻撃を受けた。ライフポイント
が一桁に落ち込む。
次のターン、僕はなにもせずに沢村に手番を渡した。沢村が眉をひそめた。
沢村の二度目の総攻撃で、僕のライフはゼロになった。僕は手早くカードを片づけ、上目遣い
で沢村の顔をうかがった。沢村は立ち上がると、自分のデッキを床に叩き付けた。大学生たちが
おびえて飛び退く。
そのまま鞄も持たずに沢村は店を出ていった。僕は後を追った。
暗い階段の踊り場で、僕は沢村に追いついた。
「さ……」
声をかけるなり、殴られた。視界に火花が散り、僕は床に這いつくばった。
「なめてんじゃねぇよ! 勝手にひとりで強くなりやがってよ、いい気分か? おいコラ!」
頬が熱く、耳鳴りがしていた。その中で、足音が階段を上って遠ざかっていった。自分の
息づかいしか聞こえなくなってしまったあとでも、沢村の言葉が頭の中でぐるぐる回っていた。
――二十四歳になった現在の僕になら、このときの沢村の憤りが理解できる。プライドと、
コンプレックス。いつも後ろを歩いていた僕の、背中を見なければいけない屈辱。でも、
十四歳だったそのときの僕には、もちろんわからなかった。ただ痛みだけが残り、涙が
疑問を呑み込んだ。
店の中に戻ると、おねえさんが床に散らばった沢村のデッキを片づけていた。大学生たちは
隅っこの方でカードファイルを広げていて、僕が入ってくるとちらっと目を向けて、気まずそう
に視線をそらし、会話に戻った。
おねえさんは沢村のデッキと鞄を僕の手に押しつけた。
「君が悪い」
僕は涙をこすり落として、おねえさんの顔を見上げた。
「なにがあってもね、ヒカル君。わざと負けるなんてことをしちゃだめだよ。それは、
サワムーも、このゲームも、馬鹿にしたことになる。それから、ヒカル君自身も」
僕は、沢村のデッキに視線を落とした。何枚かのカードは汚れて曲がってしまっている。
沢村が昔から使い続けてきた赤黒のデッキ。
「君はサワムーをぼこぼこにしてやればよかったの。わたしの言ってることわかる?」
僕はうなずいた。
「うん。仲直りの方法は自分で考えなよ。それから、あんまり学校さぼっちゃだめだよ」
おねえさんは僕の髪の毛に手を突っ込むと、くしゃくしゃにかき回した。
また涙が出てきそうだったので、僕はじっと下を向いてこらえた。
-------------*-*-*--------------
以下次号。
>178
ソレダ!!
192 :
178:03/05/16 18:14 ID:???
ぐっじょぶ。今後も期待しているぜ。
御疲れ様、後一息で200か、取り合えず最初の目標には達するな
勿論、其処はゴールじゃなく始まりだがね、続き楽しみにしてるよ
194 :
記憶屋:03/05/17 03:27 ID:???
ああ、なんというか染み入る話だ……
どうか、少年少女の大事な日々を残してあげてください。
ていうか今やっているこの話は前振りなんだが、200まで書いても終わりそうに
ないな。原稿用紙でいうと、今85枚くらい。
ガンガルヨー
>>195 ぜんぜん気にしないよ(w
むしろ999まで突っ走ってくれてもOK
いや、むしろ最終回で1000ゲト−、期待してるよ−!
コテハンの馴れ合い場と言われてもしょうがないですね。
第三者が楽しめないスレだとは思わないけどなぁ。
HP取得してやれよ、と言われれるだろフツー。
スレタイ違いだし、他のヤツが話書かないし。
微妙なんだよな。
作品の出来はともかく、
>>1がストレートにエロだか官能だかに入ってれば、
そのネタで他の人間も書ける。
>>1がそこに踏み込んでない以上、未だにネタスレとしてのお題が決まってないのよ。
キャラネタとミーニャーネタ(妄想コテハンネタ?)のSSスレならエロパロスレにあるし、
「卓ゲー青春小説スレ」ってのもネタとして(エロに比べて出来が問題になるので)
他の人間が追随するのは、かなり難しい。
何よりネタスレなのに、興味のない人間にまで無意味に注目されちゃってるのがネック。
そういうのを邪魔に感じる職人も少なくない。
>>1の最大の失敗はスレタイよりもむしろこっち。
1が罰ゲームって言ってるからな。HPでやるのが意味無いとも言ってるし。
削除依頼される理由は十分ある。削除されないと思うけどさ。
だから馴れ合いではあると思うよ
面白いから今のトコは容認するけど
それ言い出すと、削除のガイドライン云々って話になるんだよな。
>>203 いまさらこの板で馴れ合いがどうこう言っても無駄だと思うが:-p)
ここをたたくくらいならもっとたたくべきスレがあるだろ:-p)
世の中で殺人事件が起きているからといって、
窃盗事件が免罪されるわけではないのですよっと。
207 :
せらP:03/05/21 02:01 ID:???
まんまと杉井の術中にはまってるな(w
でさあ、なれ合いはどうでもいいんだけどさ、正直このスレのどこが面白いわけ?
今までの話全部読んだけど(まあ当たり前か)、それとこれからの話の予定もだいたい
知ってるんだけど、どこが面白いのかサパーリわからんのよ。
ネタスレの>1として杉井氏はガンガッてネタを振ったと思う。
杉井氏が飽きてしまったようなので、箸休めとして漏れの拙い文でも
読んでくれ。漏れもすぐに飽きてしまうと思うけどな(w
ある日、お袋が再婚すると言ってきた。何でも中学の同級会で初恋の
人と再会し、焼けぼっくいに火がついたらしい。俺が就職して親父の七回
忌も済み、キリの良いところで新しい人生を始めたいんだそうだ。
俺はもう社会人だから独り立ち出来るし、女手一つで大学まで出して
くれたお袋の苦労はよく分かっている。反対する理由も無いし、素直に
祝ってやることにした。
そんでもって、お袋と一緒に義父となる人の家へご挨拶に行ったわけだ。
「はじめまして、斉賀登久です。こちらが娘の美奈」
「あ、どうも、杉井ヒカル(仮名)です。えーと、母がたびたびお世話になって
いるようで…」
何と言うか、驚いた。丸顔だけど強面の男と、生意気そうな中学生の少女。
サイカトグとミーニャにそっくりだ。おかげで間抜けな挨拶になってしまった。
「ふん! 何が“お世話になってる”よ、つまんないセリフ」
ミーニャは急に機嫌を悪くして、そう言い捨てると部屋を出て行った。そりゃ、
顔を見たとたん間抜け面を作られたんじゃ、気に障って当然だろう。
「あっ、美奈、ちょっと! ……すいませんね、反抗期なんでしょうが、お恥ず
かしい。再婚には反対していなかったはずなんですが」
「いえいえ、それが理由ではないでしょう。実はお嬢さんに見とれてしまいまして、
デレッとした顔が気に入らなかったのだと思います」
「うわははは! 美奈を美人と言ってくれるかね、ありがとう。…まぁ、美奈が
気まぐれなのは今に始まったことではなくてね。そのうち戻ってくるから、いつ
ものように甘いものでも用意しておこうか」
俺の言い訳がツボにはまったのか、義父さんは急に機嫌が良くなり、最悪の
雰囲気になることは避けられた。それはまぁ良かったのだが、彼の口ぶりから
するとミーニャは相当甘やかされているようで、それが何となく気にかかった。
「お、ヒカル(仮名)君、美奈が気になるかね? 親の贔屓目かも知れんが、
確かに美奈はあと数年で美人になる。だがまだ13歳だ、ロリコンはいかんぞ」
「何を言ってるんですか、お義父さん」
親馬鹿につける薬があったら欲しいと思った。
ペースあげれーw
ミーニャがなかなか自室から出てこないので、ケーキと紅茶を手土産にして俺が
ご機嫌取りに伺うことになった。
コンコンコン
「何〜?」
「あの、ヒカル(仮名)だけど、ちょっといいかい? ケーキを持ってきたんだけど」
ドアの向こうで僅かに躊躇う気配があったが、ケーキの魅力に負けたのか、
すぐにトントンッという軽い足音がしてドアが開けられた。ドアの隙間から顔を出し
膨れっ面でこっちを睨んでくるが、迫力が無いのでむしろ微笑ましいくらいだ。
「さっきはごめんね」
「フンだ! 人の顔見ていきなり笑って!」
「本当にごめんね。あれは君を馬鹿にしてたんじゃないんだよ」
「じゃぁ、何さ! アタシに見惚れたとでも言うの?!」
「うん」
突っかかってくる子供にまともに付き合っていられないので、さらっと流す。
ミーニャは自分の予想外の答えに一瞬途惑い、こっちはその隙にドアの隙間に足を
挟み込む。
「ちょっとお邪魔させてもらうよ。紅茶が冷めちゃうからね」
「何だよ! 勝手に部屋に入るなっつーの!」
「まぁまぁ、暴れるとお茶がこぼれちゃうから。ね?」
すると彼女はしぶしぶ引き下がり、ドアを大きく開けてくれた。
「分かったよ、茶ぁ飲んだらすぐ帰れよ!」
そう文句を言いながらもクッションを用意してくれるところが可愛らしい。
「はい、どうぞ」
ケーキと紅茶を差し出すと、ミーニャは黙って食べだした。ツンと澄ました顔を作っ
てはいるが、時折こちらにチラチラと視線を向けるので、たいした効果は無い。
俺は紅茶を軽くすすってから、会話を切り出した。
「ねぇ… お父さんの再婚に、反対してる?」
「そんなことない。家事をやらなくて済むからむしろ賛成」
即答。なんともドライな答えに、苦笑いしか出なかった。
「そっちは?」
「ん? 別に俺も反対する理由は無いんだけどさ。ただなぁ、いきなり再婚と言われ
ても、ピンとこないんだよ。実感湧かなくてさ」
「…アタシも」
お互い共通するものを見つけたからか、ミーニャの刺々しい雰囲気が少し和らぐ。
俺は紅茶で唇を湿らせてから、自分の中のもやもやしたものを口に出した。
「本当は、寂しいのかも知れない」
一度しゃべってしまえば、後は簡単だった。
「親父が死んでさ、お袋、保険金は全部俺の学費に回してくれたんだ。それまで専業
主婦だったけど働きに出て、相当苦労したはずだ。だから初任給が出たら何か美味
いもの食わせてやろうとか、初ボーナスで近場だけど旅行に連れて行こうとか、思っ
てたんだけど。お義父さんにその役取られちゃったな」
自分でやっておいてあれだが、辛気臭くなってしまった。だからまぁ、音を立てて
紅茶をすすったのはわざとだ。
「ちょっと、下品な飲み方しないでよ。それに、マザコン?」
「何ですとー?! 親孝行の気持ちを、マザコンですとー?!」
ミーニャもそれをきっかけに話題を変えてきた。だから少々大げさにそれに付き合って
やり、それから後は二人の会話がぽんぽん弾んだ。
そのままガンガレ!、だけど中々Hに行かなさそう・・・w
続き期待してます、でもageは無しね>>ALL
あう、ミーニャの一人称は「オレ」ですことよ。あと、いちいち(仮名)がつくのは、
なんつーか、その、まあ、まあいいか(笑)。
さっき計ってみたら僕のストライクゾーンの低めは13歳どころじゃなかったことが
判明。頑張ってタイーホされないようにはします。
あ、別に飽きたわけでねくてよ。遅筆なだけでよ。
そんなわけで、続きいくよ。
-------------*-*-*--------------
一学期が終わりに近づいていた。僕は沢村と一言も話せないまま夏休みを迎えようと
していた。
あの日以来、沢村は『セロファン・フラワー』に一度も顔を出していなかった。沢村の
デッキも僕の鞄にしまいっぱなしだ。このままじゃ、話すどころか顔を合わせる機会も
なくなってしまう。
僕は何度も沢村に声をかけようとした。でも、あの大きな背中が肩をいからせているのを
見るたびに、勇気はすぐにしぼんでしまった。おまけに当時の沢村は、前にも増して不良仲間
とつるむようになっていたし、三年生のこわもてと深刻そうに話をしているのも見かけた。
二中の不良たちが大挙してやってきたこともあった。校門前に三十人くらいがたむろして、
「出てこいやォラアァッ」
と連呼するのだ。校庭にまで入ってくることもあった。彼らが口にする名前の中には、
沢村もよく挙がっていた。
夏がふくらむにつれて、僕を取り巻く世界が少しずつ少しずつ歪んでいくのがわかった。
僕は毎日取り憑かれたように『セロファン・フラワー』に通い、高校生や大学生から小銭を
巻き上げ、そのほとんどをカードに換えていた。そのサイクルを続けることで、なにかを
つなぎとめようとしていた。
貴子が僕のクラスを訪れたのは、終業式の二日前のことだった。
「おい、ヒカル。一年女子がおまえのこと呼んでる」
昼休み、カードを机に並べて没頭していた僕に、クラスメイトの一人がそう声をかけた。
僕は顔をあげて、教室の後ろのドアを見た。廊下の壁にもたれて貴子が立っていた。思わず
持っていたカードの束を机にばらまいてしまう。
「おい、だれだよあれ。ちょっとイイぞ。紹介しろ」
「え。ああ、うん、沢村の妹」
僕は上の空で答えながら立ち上がった。
「マジ? あれが? 科学的にありえねえ」
大げさに騒ぐクラスメイトの声を背中に聞きながら、僕は廊下に出た。
貴子とも、あの夜以来会っていなかった。
「ええと。久しぶり」
「邪魔しちゃった? ごめん」
「いや、そんなことないけど……」
まわりの視線を感じた。セーラーの線の本数を確認するまでもなく、二年生の教室近くでは
見慣れない一年生の貴子は注目の的だった。そうでなくても目立つ女の子なのだ。おまけに
男子と喋っているとなれば人目を引いて当然だった。
「あっちで話そうよ」
僕は人気のない家庭科室の前の廊下まで貴子を引っぱっていった。
貴子は最初のうち、僕の胸の辺りを見つめて黙っていた。多分、話したいことがぐちゃ
ぐちゃとありすぎてうまく言葉にできないのだろうと思った。僕もそうだったからだ。
「……ええと。あの日、大丈夫だった?」と、僕は切り出してみた。貴子は顔をあげて、
小さくうなずいた。
「お母さん、帰って来てて。あの人酔いつぶれて寝てたから。ありがと、ヒカル」
「沢村は?」
僕の問いに貴子は言葉をつまらせ、またうつむいた。自分でも、なにを訊いたのかよく
わからなかった。
「ヒカル、お兄ちゃんとけんかしてるの?」
唐突に貴子はそう言った。今度は僕が答えにつまる番だった。
「けんか、してるわけじゃ、ないんだけど」
「ほんとに?」
貴子はまっすぐに僕の目を見つめてきた。僕はたじろいでしまう。息ができなくなるほど
濃密で純粋な視線。沢村の妹なのだ。
「僕は、沢村を怒らせたんだ。たぶん、ものすごく。でも、謝ったら、もっと怒ると思う。
どうすればいいのかわからないんだ」
僕は吐き出すように言った。それから、沢村と同じ色の瞳から顔をそむけた。
「あのね。あたし、よくわからないんだけど」貴子は言って、僕の横に身を寄せて廊下の
窓から裏庭に視線を落とした。
「あのカードゲーム、ヒカルに教えてから、お兄ちゃんすごく楽しそうだった。家でも、
普段あたしとはめったに話さないのに、ヒカルのこと話してくれたり。でもね」
夏服の半袖から伸びた貴子の腕と、僕の腕がそっと触れ合う。
「最近、昔よりずっと不機嫌そうだし。夜帰ってこないし。怪我多いし。あたし思うんだ
けどね。お兄ちゃんて、ヒカルと全然キャラ違うのに、昔から仲良かったでしょ。それってね」
僕は小学生の頃を思い返す。沢村は昔からガタイがよく、僕はもやしっ子だった。中学に
入り、一年生にしてすでに他校に名が通るほどの武闘派となった後でも、相変わらず文系虚弱児
だった僕とよくつるんでいた。いつも僕は不思議に思っていたのだ。
「ヒカルの面倒見るのが、なんか楽しかったんだと思う。ヒカルに頼られるのが好きだったんだ
と思うの。『ヒカルには俺がいないとだめなんだ』って言ってたの、聞いたことがあるもの。
でもね」
僕は耳をふさぎたくなった。貴子の次の言葉が、僕にはほとんど予想できた。
「逆なんだと思う。
お兄ちゃんには、
ヒカルがいないとだめなの。
たぶん。それを、今まで気づいてなかったのに、どうしてか知らないけど、急に」
「だからって」
僕は乱暴に貴子の言葉を遮った。
「だからって、どうすればいいんだよ」
僕の肩のすぐ隣に貴子の顔があった。大粒の瞳が、もう一押しで液化して崩れてしまいそうだ。
「わかんない。でも」
貴子は顔を伏せた。窓枠に置いた僕の手の甲に、手のひらを重ね、爪を立てる。
「そんなのって変だよ。おかしいよ」
だから、僕はどうすればいいの? だれか教えてよ。
「お兄ちゃんに、ちゃんとわからせてあげてよ。ぼこぼこにして、ヒカルの方が強いってこと
見せて。それから、お兄ちゃんが邪魔なら、蹴っ飛ばしちゃって。でないと」
僕は、貴子の震える肩をぼんやりと眺める。
貴子は、おねえさんと同じことを言っている。
そのとき、僕の頭の中で、唐突に思考が音をたてて回り始めた。濃い霧が陽光に切り裂かれて
晴れていくように、その考えは確かな輪郭を形づくり始めた。
それは沢村についてのことではなく、貴子についてのことでもなかった。僕自身に関しての
ことでもなかった。
それはひとつのデッキだった。
だれもいない廊下の窓辺で、貴子と肩を寄せ合いながら、僕の頭はそのときデッキを構築して
いたのだ。隣でなにか涙声が聞こえたような気がした。でもなにを言っているのかはよく
わからなかった。予鈴が鳴ったのにも気づかなかった。
221 :
NPCさん:03/05/23 06:16 ID:6qOQhP5m
「沢村! ちょっと待って」
僕が下駄箱のところで沢村を呼び止めたとき、五時間目が始まる本鈴が鳴った。沢村は
不良仲間二人と一緒に五六時間目をさぼって帰ろうとしているところだった。
振り向いた沢村の眉には不機嫌そうなしわが寄っていた。
「ンだよ」
僕は荒い息と心臓を必死になだめながら、デッキケースを沢村に差し出した。
「いつかの忘れ物。返そうと思って」
「いらねえよ。もうやめたんだよ」
ぶっきらぼうに言って、踵を返そうとする沢村の袖をつかんだ。
「勝てないからやめるなんてかっこ悪いよ――」
ぐあん、と首のあたりに鈍い衝撃があった。僕は襟首をつかまれ、ねじり上げられていた。
足が床から浮いているのがわかる。すぐに目がかすんでくる。それでも僕はなんとか声を
しぼりだす。
「一回、だけでいいから、勝負、しよう。今、二万円持ってる。沢村が負けたら、一個頼みを、
きいてくれるだけで、いいよ」
沢村の額のしわが波打った。僕は床に叩き付けられ、激しくせき込んだ。
「なンだよ。おまえが俺に頼むことなんて、あるのかよ」
「うん」僕はしばらく四つん這いで息を整え、顔をあげ、なるべくなんでもない風を装って
言った。
「七月のトーナメントに出て」
「やだよ。やる気ねえ」
「だから、負けたらでいいんだってば」
「そんなくだらねえ勝負もやる気ねえ」
「僕が負けたら二万円だよ?」
沢村は、玄関の外で待つ二人の方に歩き出しかけた。僕は祈るような気持ちで挑発した。
「わかったよ。ハンデつけなきゃ勝負にならないもんね。僕はライフ半分スタートでいいよ。
なんなら手札も減らそうか」
沢村は顔を真っ赤にして振り向いた。鞄を床に投げ出すと、僕の手からデッキケースを
引ったくる。
「ハンデなんていらねえよ」
僕は、歓声をあげて沢村の首に抱きついてしまいそうな衝動を必死にこらえながら、
自分のデッキを取りだした。
「おい、沢村。なにやってんだよ」
待っていた二人が玄関から声をかける。
「うるせえ! 先行ってろ!」と沢村は顔も向けずに答え、デッキをシャフルし始めた。
僕らは教師に見つからないように、玄関の隅の大きな掃除用具入れのかげでカードを広げ、
勝負を始めた。
ゲームが始まってすぐに、沢村は異変に気づいたようだった。
「おい、ヒカル。てめえ俺のデッキいじったな」
見慣れないカードが入っているのだから、気づかないわけがなかった。
「うん。だって沢村のデッキ弱いし」
軽口を叩きながら、僕は内心びくびくしていた。僕の傲慢な態度に、沢村がいつキレても
おかしくなかった。
実際、沢村のデッキはかなり強化されているはずだった。攻撃力一辺倒だった原型に、僕が
妨害手段や回転をよくする要素を付け加えたのだ。それに気づいてくれることを祈った。それでいて、
沢村のミスを願った。実際、長いブランクによるプレイミスがなければ危ないところだったと思う。
ライフポイント3を残して僕はどうにか持ちこたえると、沢村の軍勢を一掃し、ゆっくりと逆転した。
沢村はむすっとした顔でカードをまとめると、サイドボードのカードを取りだしてデッキのカードと
入れ換え始めた。
「三本勝負とは言ってないんだけど……」
「うるせえ」
もちろん二タテで負かした。
悔しそうに手札を場にばらまく仕草は、まるっきり昔のそれだった。
沢村はカードを片づけもせずに立ち上がった。
「ねえ、約束だよ?」
「知らねえよ」
「来週の土曜日、五時からだからね。遅刻したら、僕が二人分登録しちゃうからね!」
沢村の背中は無言で玄関を出ていき、校門の植え込みの向こうに隠れて見えなくなった。
うずくまってカードを片づける僕の耳に、ようやく蝉の声が聞こえ始めた。
七月の終わりの午後五時。
『セロファン・フラワー』店内の蒸し暑さは最高潮に達していた。百人以上の男たちが
机と机の間にひしめき、空調は悲鳴をあげていた。スプリンクラーが誤作動するんじゃないか
と思えるほどの熱気だった。
時折入口の鉄扉が開き、新たな参加者が入ってきてはカウンターに流れておねえさんから
登録用紙を受け取り、熱気の中に潜り込んでいった。が、時計の針が締め切りの五時半に
近づくにつれて、それも減っていった。
僕は入口にいちばん近い席に座って、だれかが店に入ってくるたびに顔をあげた。そして
そのたびに落胆してデッキに目を落とした。沢村はまだ現れていなかった。
ふと、おねえさんがカウンター奥の扉に姿を消すのが見えた。ややあって、店内のスピーカー
から、シンプルでノスタルジックなピアノとギターの旋律が流れ出した。
"VAN HALEN III"の"NEWORLD"。トーナメントの開始を告げる曲だ。
僕はため息をついて、手元のデッキにまた視線を落とした。沢村に渡すつもりだった
赤黒のデッキ。結局、無駄だったんだろうか。
おねえさんが扉から再び姿を現す。
「じゃあ、始めるよっ。組み合わせ発表するから、みんな壁際に寄って」
僕は肩を落として立ち上がった、そのとき。
店の扉が乱暴に開いた。
自分でも、顔がゆるむのがわかった。泣きそうな顔をもろに見られた。デッキを投げつけて
やろうかと思った。
「おい、店長。まだ間に合うだろ」
おねえさんは沢村の顔を見て、僕の顔に視線を走らせて、それから天井をにらんで、また
沢村の顔に視線を戻した。
「遅刻ばっかりしてるとろくな大人になれないぞ」
「うるせえ。余計なお世話だ」
「五秒で書きなさいね」
おねえさんはボールペンと登録用紙を沢村の顔に投げつけた。僕も調子に乗ってデッキケース
を投げつけた。沢村がボールペンを左手で受け止めるのと、デッキケースがこめかみに
突き刺さるのとはほとんど同時だった。
「ヒカルてめえ! 後でぶっ殺すぞ!」
「いいから早く書きなさい!」
沢村の声とおねえさんの声が同時に店内に響いて、見ていた参加者たちの笑い声に
巻き込まれた。
こうして、『セロファン・フラワー』最後の――そう、最後の――トーナメントが、
始まった。
-------------*-*-*--------------
といったところで、以下次号。いよいよ本戦。
広告拾うまで、全ageしていることに気づかなかった……。
>213
テンポの良い会話がいいね。
>218
「科学的にありえない」に大笑い。
全体的に物語が収束に向かってる感じだな。
こっからのもうひと膨らみに期待。
俺も何か書こうかなぁ。
でもMTGから足を洗ってずいぶんなんだよな。
続きキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!、最終回が近いのか、どんどん盛りあがってるなぁ、
しかも、気が付くとRebeccaたんも書いてるし、豪華2本立てだよー!
2人とも乙
豪華ですねぇ、でも他の奴がレイプとかサワムと3pとかは無しにしてねw^^;
びっくりするほどジュブナイル
どっきりするほどエロチック
いやはや、このような話が拝めるとは、スレタイで回れ右は損ですなあ。
最後がちょっとほろ苦いあの懐かしき日々、という感じになりそうなのがツボであります。
どうか頑張れ、もっと頑張れ。 超頑張れ。
ヒカル熱い!カコイイ!燃え!w
自分はM:tGした事ありませんが、デュエルの熱気を感じます。
∧||∧
( ⌒ ヽ ミーニャーではなくミーニャ。別人だから一人称が違ったり
∪ ノ 父親がサイカだったりしても無問題。
∪∪ …嘘です、ごめんなさい。鬱だSNOW
価値観や日常生活のテリトリーが異なる相手と会話するのは、新鮮なできごとだった。
ミーニャは女の子の例に漏れずおしゃべりが得意で、こっちは相槌とたまに彼女と違う視点
から補足するだけだったが、お互い楽しい時間を過ごせたと思う。
少なくとも、ミーニャが単に生意気なだけの娘ではないと分かったことは収穫だった。
その日は結局、斉賀家で夕食をいただくことになった。お袋が張り切って料理している
間、義父さんは“息子と酒を酌み交わすのが夢だったんだ”と上機嫌だったが、それを
聞いたミーニャがひどく顔をしかめたのが気にかかった。
案の定、ミーニャが何か訴えかけそうな視線を送ってきたので、トイレに行く振りをして
廊下で話を聞いてみた。
「あのね、お父さん… 酒癖悪いの」
「悪いって、どんな風に?」
「人格が替わるというか、暴れる。しかも酔ってるときの記憶が無いらしいから」
「げっ、マジかよ。いつもはどう対処してるんだ?」
「普段は飲まないから…」
しょんぼり俯くミーニャを見れば、言わずともなんとなく分かる。そもそも女子中学生に
酔っ払いの相手なんて出来る方が珍しいし、ここはオレが防波堤になるしかあるまい。
「分かった。お袋にも話をして、3人で協力すれば何とかなるさ。な?」
ポン、と肩をたたいて笑いかけてやる。本当は自信無いけど。
お酒は一合徳利で出し、夕食のおかずを肴として小皿でたくさん並べる。お袋も
折をみては手料理の感想を求める形で食うことを薦めてくれるという。とにかく、
飲ませずに食わせる。そして語らせる。ほろ酔いのまま喋り疲れて眠らせる作戦が、
お袋、ミーニャと相談した結果だった。
会社の飲み会で上司と付き合うこともあるだろう、それの予行演習だと思うことに
した。4時間くらい義父さんの話を聞いていればどうにかかるだろう、と腹をくくる。
しかし。
話の内容が義父さんとお袋の甘酸っぱい青春時代のことになり、義父さんが照れ
隠しのためぐいぐい飲んでしまう。ヤバイ、まじでヤバイ。
「お父さん、ちょっと飲みすぎ」
ミーニャが注意するが、いい気分で飲んでいたところでケチをつけられたため、義父
さんの眉が跳ね上がる。ああ、もう駄目だ。
「美奈! 父さんが悪いってのか?! あぁ?! ゴルァ!」
流石に娘に手を上げるのを黙ってみているわけにもいかない。俺は義父さんに
飛びついた。
「ああん?! やるのか、おい!」
そうだ、スギムーも言ってたじゃないか。殴られるのが分かっていれば痛みに耐え
られる、一発貰って怯んじゃ駄目だって。
「やってやらぁ、コノヤロー!」
俺も酒が入っていたこともあるし、売り言葉に買い言葉でお互いヒートアップして。
その後のことは、ちょっと記憶が飛んでいる。
顔に冷たい感触があり、俺は目を覚ました。しばらく頭が働かなかったが、やがて
ソファーに寝かされて濡れタオルを額に乗せられているのだと気づく。
「あれ…」
口の中を切ったのだろう、喋ると痛む。
「あ、気づいたんだ、良かった」
ミーニャが俺の顔を覗き込んできた。
「怪我とか大丈夫? 救急車呼ばなくてもいい?」
「…大丈夫。義父さんは?」
「部屋で寝てるよ。お義母さんが付き添ってる」
「そうか。世話かけたね」
濡れタオルを取り去ってゆっくりと身体を起こす。ミーニャは俺の隣に腰をおろすと、
ぴったり身を寄せてきた。
「助けてくれてありがとう、お兄ちゃん」
「お兄ちゃん、か…」
ミーニャに兄と認められたことが、嬉しかった。そして、今まで呼ばれたことの無い
表現にちょっと背筋がむず痒くなる。
「何? お兄ちゃま、チェキ! とか言う方が良かった?」
いったいどこでそんなの覚えてきたんだ、ミーニャよ…
例の喧嘩が元で再婚話が流れるかと危惧していたが、そんなことはなかった。
しかしお袋も義父さんの酒癖の悪さは初耳だったようで、抑止力として一緒に住ん
でくれ、と言ってきた。新婚家庭に邪魔するつもりは無かったが、一人暮らしする
よりずっと経済的ということもあり、ミーニャも同居に反対しなかったので、結局は
一家四人で暮らすことになったのであった。
これにて杉井タンとミーニャーの話はおしまい。
プロローグだけです。本編のラブコメ(エロコメ)は気が向いたら書きます(w
感想つけてくれた方、ありがとうございました。
そして投稿してから気づく。
スギムーじゃなくてサワムーだった。
もう駄目、俺の頭ん中、超ヤバイ。もう寝ます。
成る程、本編のラブコメの方も期待してまーす!面白かったよ!
ジジたん視点のノンフィクション風フィクションとかはどうだろうか
>237
お疲れ!
>239
アルシャードを教わりにやってきたいたいけな少年が○○されてしまうショタヤオイですか?
241 :
239:03/05/25 00:39 ID:???
卓上板でTRPGゲーマ性善説に目覚めた純真なジジたんが
アルシャードのサプリメントを貸してくれたおねーさまに
後で返却しようと一人で訪問して……とか。
アルシャードスレでのあたりから書き始めると面白そうだ
この系はあげるなよ・・・
どうも最近のはクォリティが落ちているようなので、ちゃんと推敲してからageるように
します。これからもおつきあいいただきたく。
>241
実はあのスレの経緯はよく知らないので……実にそそるシチュエイションではありますが。
勉強してきます。
244 :
山崎渉:03/05/28 12:04 ID:???
∧_∧
ピュ.ー ( ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
=〔~∪ ̄ ̄〕
= ◎――◎ 山崎渉
応援するぜ、杉井くん。
そのころタカシたちの元に謎仮面からの脅迫状が届いていた。
「3時までに金を用意しろ、さもないとノリコは殺す」
タカシたちは脅迫状の筆跡から謎仮面のアジトを突き止め、
下水道工事のふりをしながら謎仮面のアジトへ通じる
穴を掘っていった。
とうとうアジトへ進入した石崎とマーヤ。
そこへ謎仮面が颯爽と現れた。「フハハハ金は持ってきたんだろうな」
石崎「はい、持ってきました、お確かめください。」
札束をびっしり詰め込んだトランクケースを丁寧に差し出すマーヤ。
しかし札束を差し出されたにもかかわらず表情が憤怒の顔に変わる石仮面。
「馬鹿な・・、わたしはマネーじゃなくてゴールド、
黄金が欲しいという意味で書いたのじゃ。それをこんな紙切れで
誤魔化そうとするとは・・」
持っていたステッキで手当たり次第周囲に当たり散らす謎仮面。
そこへたかしがノレンをくぐりながら入ってきて開口一番、
「やれやれ、ケツの穴が小さい仮面だ。」
その言葉を聞き激怒する謎仮面。
「なにを若造めが、お前に黄金の何が分かる」
「一週間後、俺が指定する店に来てください。」
「ふん、そのかわりくだらない真似をしたらただじゃおかんぞ」
〜 一週間後 〜
「ではこの店に入ってください」
タカシに促されていぶかしみながらノレンをくぐる謎仮面。
「ほう、これは・・」
それまでも「TRPG」という文字列を目にしたことはあった。
友達とたまに遊ぶカードゲームなんかについて雑談してる掲示板には
ソレ関連のスレがたくさんあるらしいということも、悪友の呉羽から
知らされてはいた。
でも、ボクにはぜんぜん関係ない世界の話だと思ってた。
ある日、いつもの本屋の攻略本コーナーでその本を見かけるまでは。
>246>247
続きまだー?
ノレンをくぐった一同が目にした光景。
そこには小汚い居酒屋風の店内で、
カウンターに座り飲んだくれている中年の男の姿があった。
「ゲンさん・・・、ゲンさんじゃないか!?」
タカシは驚嘆と懐かしみを込めた言葉でそう声を掛けた。
「ウィ・・、誰だ?・・、タカシか?いや、まさか
あの子は死んだはずだ・・、面影はあるがタカシの訳ねえ。」
「いや、俺だよ、タカシだよ・・。まさかこんな所でゲンさんに
会えるなんて・・」
「まさか・・、まさか本当にタカシなのか!?
あの爆撃の中、生きて帰ってくるたあな・・、
よし、ブルーインパルス隊再結成だ。
おいマスター、船を出してくれ!」
店の主人らしき男がカウンター裏で何か作業している。
唐突に店の食器棚、カウンター、壁、床、兎に角あらゆる所が
裏返り、それまでの居酒屋然とした店内とは異質な、
金属製の近代的、それどころか未来的なまでの
コンピューター群が表れた。
「さあ、俺たちの新しい門出だ。みんな壮大に祝ってくれ」
タカシたちの冒険は今始まったばかりだ。
ご愛読ありがとうございました。
〜 完 〜
本屋で平積みされてたその本のタイトルは『アルシャード』。
最初はプレステの新作RPGの攻略本かと思ってたけど、どうやら
これが「TRPG」というものらしい。携帯メールで呉羽に聞くと、
『アルシャード』は、その最新作ということだ。
「面白そうだから、おまえ買ってみたら?」
「えー」
「それじゃ、後で金出すから買っといてよ」
「…絶対だぞ」
そんなメールのやりとりをしながら、ボクは財布の中身を確認する。
呉羽は約束は守る方だし、奴を信じて買うことにした…興味もあったし。