▼ アクエリアンエイジ萌え隔離スレSage2

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411IoS@美鈴支援
ヤベ……ペース的にまにあわんぞコレ。
ってわけで、前半だけ先に上げます。
「っっ!!」
控え室の一つ。“弓削 遙”の部屋から、くぐもった声が漏れる。
声は、陰陽頭“土御門 紗綾”の発するものだった。彼女の両手、両足は鎖によって大きく開かれた状態で壁にほぼ固定され、全身には黒い霧の様な、靄の様な物――禍魂――が這い回っていた。
裸ではなかったが、大事な部分には全て禍魂が取り付き、妖しく蠢き彼女を蹂躙していた。
口にまで進入されているせいでくぐもった声しか上げる事の出来ない彼女を、椅子に腰掛け、つまらなそうに眺めている弓削 遙。その足下では、サトリ“神山 琴音”が足を丁寧に舐め上げていた。
彼女らは、遙の玩具(おもちゃ)の一部である。この大会で手に入れた琴音には奉仕をさせ、無様な敗退を見せた紗綾には仕置きを行っている所だった。
禍魂のおぞましい感触に身を捩らせる光景に、いつもならばさらなる嗜虐を加え、遙に興奮をもたらす物であるはずだったが、今日の彼女はそんな気分にはならなかった。
不遜、不敵な筈の彼女であろうとも、次の戦いに対しては虚心でいられようはずもなかった。理想だけを説くあの女、“厳島 美鈴”――一回戦、第十試合。死闘の果てに勝利した夜羽子・アシュレイの許に駆けつけた美鈴は、まだ与しやすい存在であるように見えた。だが……
(一体、どういうことだ。)
二日前、二回戦の選手紹介の時に見た美鈴は、それまでとは違っていた。威風堂々としたその姿は、嘗めてかかれないどころか、むしろ圧倒される感じを――
屈辱であった。完全に見下していた相手に気圧されたのだ。それも、ただそこにいただけの存在に。
カーン…カーン…
鐘が鳴る。戦いが迫っている事を示す鐘が。
足に舌を這わせていた琴音が、身を離す。直後、遙は立ち上がり得物を手に取ると、紗綾の躰を這い回っていた禍魂が遙の手にする七支刀に吸い寄せられる。黒い靄が全て刀に消えると、遙は扉の方を向いた。扉は、琴音が既に開けていた。
「遙さま。いかが……いたしましょう?」
琴音の問いは、禍魂に解放され、ぐったりとしている紗綾の処遇についてのことであった。
心の読めるこの少女は、声に出す必要も、身振りや目配せすら必要とせずに、遙の意志通りに動く。そこが気に入った遙は短期間に従順な奴隷として仕立て上げた。
もちろん、今のような苛つきを読まれてしまっては困るので、そこには徹底的な調教を施し、今や彼女は遙の「御主人様としての意志」のみしか感じる事が出来なくなってしまっている。――図らずも、彼女が望んでいた「人の悪意や欲望を感じずに済む体」になっていたのである。
「あの様な失態を晒した者など構わぬ。壊れるまで犯した後、ナマグサ坊主共に与えてやれ!」
その琴音に、あえて声に出して答えた理由は、後ろの紗綾にも聞かせる為である。この声を聞いた紗綾は顔を上げて、出せるだけの声で懇願を始める。
「ゆ…許して下さい!お許しを……お情けを!」
声を無視し、廊下へと出る遙。琴音が扉を閉じ始める。
「遙様っ!お願いします!……イヤぁ…いやぁぁぁっ!」
扉が閉まり、遙に届く絶叫はその音量を下げる。数秒、そこに立ち止まった後、遙は歩き出した。
控え室の中央で、“厳島 美鈴”は一人佇んでいた。椅子に腰掛け、目を閉じ、無心に、ただ時が来るのを待っていた。
弓削 遙は気づいていなかったが、美鈴は一回戦の時の結巫女の姿ではなく、祓巫女の姿だった。だが、その身が発する気は以前を凌駕していた。見る者が見れば、以前まで見られた迷いが消え去っているのが判るであろう瞳を開いて、美鈴は静かに立ち上がる。
美鈴は、内に宿る力を感じていた。彼女が背負った、想いの力。それは、一通の書簡によってもたらされた、温かな力。
トーナメント予選に於いて、彼女の「理想」に賛同してくれた人達は全て戦いの場を去った。最も頼りにしていた、阿羅耶識最強の拳士“各務 柊子”でさえも。
この事は迷いとなって美鈴の気に翳りを落としていた。自分は間違っていたのではないか――。第二戦に遙と戦うとあって、その思いはますます強くなっていた。同じ阿羅耶識同士ですら争って……一体何を為そうというのだろう。
ひとり、自問を繰り返す美鈴の心の壁を取り去ったのが、その差出人不明の書簡――。差出人の記述などはどうでも良い事だった。そこに込められた想いが、彼女を信じ、彼女を支え、彼女と共にある想いが。彼女を迷いから解き放った。
カーン…カーン…
鐘が鳴る。戦いが迫っている事を示す鐘が。
祓串を手に、控え室を発つ。視線の向こうにあるものを見据え、決意を胸に、美鈴は歩き出した。
廊下を歩み、戦いの舞台、その入り口へと向かう遙。と、そこに待ち受ける人影が2つ。
符術師“呉 瑛礼”、仙女“瑪瑙”。共に阿羅耶識の幹部のひとりである。特に、呉 瑛礼は阿羅耶識の全軍の指揮を執る大役を担っていた。
尤も、遙に言わせれば「古くさい戦略戦術を戦わせるだけの頭でっかち」に過ぎないわけだが。阿羅耶識上層部に於いて、格段に戦闘能力の低い彼女らと違い、現場を転々とすることの多い遙の愚痴ではあるが、見下している部分があるのは事実だった。
「弓削 遙……よもやとは思うが、裏切り者の美鈴如きに負けるなよ。」
そんな呉 瑛礼の言葉に、鋭く切り返す。
「言われなくとも判っておるわ。それより、己の身を心配したらどうだ?SAIMOE...私が優勝したおりには、予選すら突破出来なかった貴様等は……」
「貴様っ。」
瑛礼の視線と遙の視線が激しく交差する。と、瑪瑙が間に割って入る。
「まあまあ、二人とも。こんな所で気を散らしている場合では無いでしょう?」
それでも、少しの間だけ睨み合いが続いたが、遙が瑪瑙の方に向く事で無益な争いを終わらせた。瑪瑙はごそごそと懐からなにやら取り出すと、
「いくら貴方といえども、厳島 美鈴の前では虚心には居られない様ですね。心を落ち着けなさい。そうでなければ、勝てる者も勝てなくなってしまいます。……これを。」
そう言って、遙に差し出した。差し出された勾玉を認めると、訊ねた。
「ご忠告痛み入る。……これは?」
「饒速日命より伝わる、十種の神宝のひとつだそうです。病を防ぎ、傷を癒す呪力がこめられており、生玉と呼ばれています。」
手にした勾玉の説明をする瑪瑙。瑛礼は、渡す物を渡してさっさと行くぞ。と不機嫌な声で瑪瑙を急かした。一,二秒生玉に目をやっていた遙だが、入場口の方に向き直り、瑪瑙達に背を向けると
「そのような物は要らぬ。私にはこの太刀と――この右手があれば十分だ。」
と言って歩き始めた。
「なっ、…っ、もういい行くぞ瑪瑙。」
その背中を睨み、舌打ちすると瑪瑙を促して瑛礼もここを立ち去ろうとした。瑪瑙は、遙の右手に宿る物を見抜こうとしていたが、もう一度瑛礼に促され、この場を後にした。
その右手を強く握り、遙は一言こう呟いた。
「美鈴……容赦はせんぞ。」
廊下を歩み、戦いの舞台、その入り口へと向かう美鈴。と、そこに待ち受ける1つの人影。
「持ってきたよ。美鈴ちゃん。」
差し出されたそれを受け取り、恭しく飲みほすと、そのひとの方に向き直った。
「ありがとう、夜羽子ちゃん。」
ヴァンピレス“夜羽子・アシュレイ”。二回戦進出を果たしている彼女も、一回戦の時のヴァンパイア・ロードの姿ではない。
癒しの力で彼女を苦しめたクララ・クロオーネとの血飛沫舞う激しい死闘の果て、力を出し切った彼女が美鈴の介抱によって意識を取り戻した時、彼女は力を失っていた。
優しく微笑む美鈴に、夜羽子は訊ねた。
「美鈴ちゃん……大丈夫?」
「え?」
「今日の戦い、以前は、悩んでたみたいだったから。」
心配そうな顔で美鈴を見つめる夜羽子。美鈴は入り口の方を見て、答えた。
「もう、吹っ切れたから。夜羽子ちゃん、みんな……私を応援してくれてるのに、私が悩んでたら、しょうがないものね。」
真っ直ぐに、決意を宿した瞳。だが、「みんな」と言った時、ほんの微量だが、その瞳に翳りが映ったのを夜羽子は見逃さなかった。ほんの微量。だが、戦いにおいてはどんな些細な事でも致命となりかねない。
「もう、行かないと…」
体ごと入場口へ向き直り、歩を進めようとする。その姿はいつもの美鈴に比べ、幾分急いているように夜羽子には見えた。
一,二歩進んだ美鈴の背に、ふわっ、と体重がかかる。後ろから美鈴を抱きしめた夜羽子は、額を背に押し当て、震える声で訴えた。
「無理は、しないでね…。私にちからをくれて、無茶はできないんだから……。美鈴ちゃんが死んじゃったら、元も子もないんだからね……。」
背中に感じる体温を感じ、張り詰めた美鈴の気は、柔らかな、いつものそれへと変わった。温かい夜羽子の手に、手を重ねる。
そのまま数分を過ごし、夜羽子の手を離して向き直り、夜羽子の顔を上げ、目尻に浮かぶ涙を拭いて、顔を近づけ、唇を重ねた。
ふれあう唇を離し、互いに頷くと、
「それじゃ、今度こそ、行かないと。」
「うん。いってらっしゃい……続き、待ってるから」
最高に優しい笑顔を見せる。振り返ると、曇りのない決意を宿らせた瞳で戦いの舞台を見据え、確かな歩調で歩き始めた。
試合開始時刻……[舞台]

「青龍の方角、祓巫女“厳島 美鈴”!」
「白虎の方角、凶巫女“弓削 遙”!」
両者が舞台に姿を見せると、大きな歓声が上がる。
互いに視線を交差させ、舞台の中央へ歩を進める。
「制限時間は138分、対戦相手を降伏、または死亡させるか……」
お決まりのレフェリーの台詞を聞き流し、遙が口を開く。
「その姿…まさか全力でない貴様と戦う事になるとはな。嘗められた物だ。」
「それは…貴女とて同じ事でしょう?」
ふん、遙は鼻で嗤った。これはハンデだ。と。
「一対一の戦いでは、貴様の全力など八割で十分だからな。だが…今の貴様であれば、もう少しくれてやっても良かったかな?」
「始めなければ、わからないものですよ。」
揺らぎのない瞳が、遙を見つめる。口ではこう言っていたが、油断のない瞳で、美鈴を見据える遙。
「……及び場外の相手に対する攻撃、りせっとちゃんの使用は認められて……」
レフェリーが禁止事項を詠み上げる間、二人の視線は互いの眼に向けられ、微動だにしない。既に、戦いは始まっているのだ。
「……両者よろしいですね?では、所定の位置へ……。それでは只今より!theSuperiorAnybodyInMostOftheEstablishment,S.A.I.M.O.E.トーナメント二回戦、第三試合、厳島 美鈴”VS“弓削 遙”……」
祓串を、七支刀を構える。美鈴は、ただ祓串を前に向けた形を。遙は、開始と同時に駆け出す為の形を。静まりかえる会場に、レフェリーの声が響いた。
「試合……開始ぃぃぃぃぃっっっっっ!!!!!」
途中で規制ひっかかっちまったい。
そしていきなり脱字発見。鬱。
オレ設定がかなり混じってるんでわかりにくいかもしれませんが、
とりあえず水上キャラ、各務、ティンカーベル辺りが美鈴シンパって設定です。
夜羽子は、没った(間に合わなかった)夜羽子支援以降美鈴シンパなんです……。ってことで勘弁してください。

(間に合えば)後半は真っ当な戦闘シーンです。
美鈴さんでエロは書けない病気にかかってるもんで…(苦笑