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,r─-、 ,. ' / ,/ } ち
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署 ヽ. V-─- 、 , ',_ヽ / ,' ょ
ヽ ヾ、 ',ニ、 ヽ_/ rュ、 ゙、 /
ま \ l トこ,! {`-'} Y っ
ヽj 'ー'' ⊆) '⌒` !
で , 、 l ヘ‐--‐ケ } と
ヽ ヽ. _ .ヽ. ゙<‐y′ /
来 } >'´.-!、 ゝ、_ ~ ___,ノ
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い ノ ,二!\ \___/ /`丶、
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彼の家にはパソコンが2台ある。
仕事がなければ家にこもってパソコンをやってる。
早熟な方で、つきあう友達がみんな、かなり年上だ。
ときどき話が合わないと、それがいやで出てこなくなる。
ますます家に閉じこもっていたがるようになるんだ。
――陳昇
この間ずっと、金城武の恋愛については、彼のイメージと同様謎に包まれてきた。
マスコミは、宮沢りえやチャーリー・ヤンや林葉亭、
ヤオ・イージュンなどとの噂を流すけれど、どれも何でもなく終わってしまった。
彼が唯一公開したは、学校時代の初恋だけである。
そのとき、彼は17歳だった。
1歳年上の女の子に心惹かれたが、投じはまだ年若かったので、
遊びたい気持ちの方が強く、女の子の気持ちに気を配ることも知らず、
その後、その子は外国の学校に行き、自然と分かれることになった。
「その後も、ぼくたちはいい友達で、よく電話で話もする。
彼女は外国で新しい恋人ができ、ぼくに教えてくれた。
彼と別れたときは、電話してきて泣くんだ。
ぼくたちの今のこういう友達関係は、前よりかえって親密なものになってる。
ぼくは、感情をあまりうまく処理できないし、愛情至上主義でもない。
愛というものは、いつでも喜びと悲しみが半々だ。
僕の中では、友達の方が比重が大きい。
今は女性より動物の方が好きなくらいさ。
だって、動物は人間よりシンプルだから、
何を考えているんだろうと気を遣わなくてもいいからね。
よくしてやれば、返してくれる。女性はそんなに簡単じゃない。
恋愛はとっても面倒なことだよ」
かれはまた自分は決して感情人間ではないと認める。
「感情にすぐどっぷりつかってしまうけれど、抜け出るのも簡単だ」
同時に、心惹かれる女性は少なくともきれいで、自然でわざとらしくない人、
だけど心が通じ合えることが一番重要、と率直に言いもする。
結婚したら、きっといい夫で父親になるとは自分自身思えるけれども、
今の金城武にとって、結婚は決して差し迫ったものではない。
「今とは全然違った男になると思う。家族の世話をして、
おいしい料理を作れて、家事をせっせとやり、子どもの面倒を見る」
これは、彼が幼い頃、母親が1人で大変苦労をして
3人の息子を育てるのを見ながら立てた誓いなのだ。
「でも、今現在は、自由な生活のほうがいい。
もっとこの地球を見て見たい。行ったことのないところがたくさんある」
彼はよく1人で旅行をする。砂漠へ、北極へ。
だが、年を取るほど、どこにも帰属感がなくなってくるとも言う。
「ときどき思うんだ。世界はこんなに大きいじゃないか、
だけどどこもぼくの家じゃないって。
台湾では日本人と言われるし、香港に行けば台湾人だと言う。
日本ではこんどは香港人と言われる。
自分でも、一体自分が何人だかよくわからないよ」
戸惑いの子ども時代を送った若者は、今や成長して
肩も、女性がすがりつきたいと夢見るような広くがっしりしたものになった。
世界はますます広がり、どこでも行くことが出来る。
だが、帰属感はなく、寂しいままだ。
だから、彼はエネルギーをパソコンやゲームやデジタルビデオに投じて、
自分でいろいろなものを作り出す。
パソコンでマンガを描き、デジタルビデオで実験映画を撮り、
編集ソフトで作品を完成させる。
寂しさに慣れ始めてもいる。
ゲームの中の生活を楽しみ、虚構の世界である映画の中で、
平凡なサラリーマンに変身し、小さな部屋をローンで買い、
恋愛をし、長期休暇を取り……
ひょっとすると、自分が考え出した、未来世界でしか、
金城武は落ち着いた安全感を得られないのかもしれない。
内気さは開いていくことができるし、重たい気持ちも捨てることができる。
幾千万の賞賛も、なんということない家庭と比べ物にならないのだ。
親密な温かさは、平凡だが、彼が踏み迷う森の中の灯火なのである。