>>106 Qには昔、彼女?と呼べるかどうかはわからないが、親しい女性がいたのさ。
ちょっと長くなるが、まぁヨメや。
音楽CDを焼いて渡すことから始まった交際らしきものも、日がたつに従って変容し、
彼女の要求は、どんどんエスカレートしていった。Qは自作PCやオーディオにつぎ込む
金を削り、貢ぎ物への予算を捻出せざるをえなくなった。
ある日、Qは記録型DVD各種ドライブを我慢して、プラダのバックを購入した。
彼女のお気に入りのバックということは、いつものおねだりから明白だった。
「これさえあれば・・・・これで彼女と・・・。」
Qはこれを最後の切り札にしようと心に誓って、彼女と会うことにした。
そして、数時間後にその願いは叶えられた。
所詮、彼の容姿・肩書き・財力では彼女を飼い続けることなど、はなっから無理だった。
お布施の間隔が広がってきたのを感じて、彼女は既に別のコマを用意していた。
「利用され、捨てられた。」
Qの心は、しばらくの間、絶望のみに支配されることになった。焼き品質やプロテクト、
彼女に熱く語った楽しい思い出も、今となっては何の価値も無くなってしまった。
現実を振り返る度に、失われたものと自分の惨めさを知り、唇を噛み締めるQ。
「ちくしょう!ちくしょおおおおう!!!」
怒りが芽生えた。しかし、彼女と連絡が取れない今となっては、怒りをぶつけることもできない。
もう彼にとって当たり散らすのは何でも良かった。身を翻してPCのスイッチを入れる。
以前から記録型DVDドライブに興味を持って、頻繁にチェックしていた巨大掲示板群のCD-R.DVD板。
うつろな目をしながら書き込みを確認する。ふと、ある書き込みに目が止まる。
『松下電器産業株式会社から、DVD-RAMと、DVD-R/RW、CD-R/RWの記録に対応した
DVDマルチライトドライブ2機種が発売された。』
「松下電器・・、松下・・、◎下さ○み・・・、そうだあいつさえいなければ!!!」
「すべて松下がいけないんだ!そうに決まってる!」
彼の思考は、すでにショックから常軌を逸していた。もう暴走は誰にも止められない。