【カイジ】堕天録の社長・村岡隆に萌えるスレ6【福本伸行】

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461名無しかわいいよ名無し
「おはよう」
「あ・・・お、おはよう・・・」

土曜のお昼前。駅ビルはいつも人が多い。
それでも零くんは私をすぐに見つけてくれて声をかけてくれた。
「ごめん。もしかして待った?」
約束の時間より10分前に来たんだけど、すでに零くんがいて焦ってしまう。

「ううん。大丈夫だよ。俺もさっき着いたばっかりだから」
「そう、良かった」
「人が多いね」
「そうだね。土曜日だもんね」
「どれだけ人が多くてもすぐに見つけられるよ」

にこっと笑う零くんに私は素直に感心した。

「すごい。目がいいんだね」
「まあね。でも、それだけじゃないかも」

どういう意味だろう。それはそうと・・・・
「他の人は?まだなの?」
今日は文化祭の買出しで集まる予定だったんだけど、
私たち以外、誰も見当たらない。
きょろきょろする私に零くんがちょっと困った風に笑う。

「みんな用事が入ったんだって」
「えっ?」

そ、それじゃあ・・・今日は・・・・
「二人じゃ嫌?」
私はぶんぶんと首を振る。嫌なわけない!
「良かった。じゃあ、行こう。ご飯まだだろ?先食べよう」

こ、これって・・・デート・・・?!いや、違うよね!単なる買出しだし・・・!
変に意識してぎこちない動きの私の横で、零くんが機嫌良さそうに歩いてる。
あぁ、緊張する・・・。
462名無しかわいいよ名無し:2009/10/02(金) 23:16:43 ID:Nau5DC/O0
ぎこちないく歩く私は、人ごみに飲まれそうになってしまう。
それに、やっぱり男の子だな。ちょっと歩くの速い・・・。
そう思っていると、いきなり零くんが振り向いた。

「ごめん。俺、速かった?人多いし、はぐれちゃうね」

そう言いながら、彼は左手を差し出す。
こ、これって・・・・

「えっ?あの・・・・」
「ちょっと照れるけど、はぐれるよりいいよね?」
「で、でも携帯があるから・・・」

はぐれても大丈夫。と言おうとした私を遮るように、
彼はさっさと私の右手を掴んでしまった。

「今日ね、何かのイベントがあるらしいよ。だからいつもより人が多いんだ。
 そうだ。ちょっと見に行ってみる?」

イ・・・イベントとか・・・どうでもいい・・・。それより、今、この手・・・
ちょっと心臓がばくばくいってるんだけど・・・・。
心音が右手に伝わって、届いてしまいそうで・・・・困る・・・・。
屋外に設置されたイベントブースは、人気アーティストと企業のコラボイベント。
当然ながらすごい人で、本当に手を繋いでいないと、
すぐに人波に流されてしまいそうだった。
463名無しかわいいよ名無し:2009/10/02(金) 23:17:39 ID:Nau5DC/O0
「あれ・・・あいつ・・・用事ってこのイベントだったんだ」

そういう彼の視線の先には、今日来るはずだったクラスメートがいた。
その男の子も私たちに気が付き、驚いたようにこっちに走ってきた。

「ちょっと、お前ら、何で・・・・?」
「何でって、今日が買出しの日だろ?」

戸惑うクラスメートに零くんが当然とした顔で言い返す。

「違うだろ!来週じゃん!変更になっただろ!」
「そう・・・・だった?・・・聞いてた?」

私も聞いてないので、首を振った。聞いてたらここに居るはずがない。
まず今回のメンバーってあんまり仲良くない人が多いから、
メアドを知ってるのも零くんだけだけなんだ。
だから、いつも連絡とかは零くんから来るんだけど・・・。

「ごめんね。俺が勘違いしてたみたい。じゃあ、来週にみんなで買いに行こう。それでいい?」

前半は私に、後半は憮然とするクラスメートに、零くんが爽やかに微笑んだ。

「仕方ねぇ・・・・?!おい!何で手繋いでるんだよ?!!」

急に出された怒鳴り声に、私は赤くなって手を離そうとしたが、
彼は逆にぎゅっと力を込めて離してくれない。

「あ、あの・・・」
な、何で怒ってるんだろ?!
わたわたする私の横で、零くんはにこりと笑って怒っている彼に顔を寄せた。

「牽制にきまってんだろ」
「お、お前!!」

何?今、何て言ったの?!
よく聞こえなかったんだけど、何か更に怒り出したよぉ?!
「またな。じゃ、行こう」
何か言おうとしたクラスメートより早く、零くんが私の手を引っ張って走り出した。
「あ、ちょっと!ぜ、零くん?!」
怒ってるの放っておいていいの??!
「待てよ!宇海!!」
後ろで怒鳴る声を無視して、何がおかしいのか、彼は笑いながら走る足を止めない。
464名無しかわいいよ名無し:2009/10/02(金) 23:18:54 ID:Nau5DC/O0
人ごみに紛れ、後ろからの声が聞こえなくなると、彼はようやく足を止めてくれた。

「はあはあ」
「ごめんね。疲れた?」
「そ、それより・・・・さっきの・・・・」
「知ってたよ。あいつがあのアーティストの熱狂的ファンだって」
「?」
「だから、この日を先に指定したんだ。絶対に流れるだろうからね」
「??」
「やっぱり、来てたよ。あいつ」

また一人で面白そうにくすくす笑ってる彼に、私の疑問符が飛び交う。
えっと・・・確か勘違いとかって・・・あれ?・・・何か変かも・・・?
「どうしたの?」
笑って首をかしげる零くんに何も聞けなくて、私は「ううん」と首を振った。
まあいいか。こうして一緒に居られるんだし・・・。

「腹減ったな。昼飯行こうか。何がいい?」
まだ笑いが残る顔で私にそう聞いてくれた。
けど、その前に・・・なんていうか・・・・やっぱり照れるっ・・・!
「・・・もう人もそんなに多くないし・・・」
「・・・・・・心ってさ、縛れないじゃん?」

そっと手を見て言うと、彼は繋いだ手を離さずに、いきなり違う事を言い出した。

「やっぱり不安になるね。特にライバルがいると」
「ライバル?」

さっきのクラスメートのこと?
何のライバルなのかな?部活一緒だったっけ?

「もし、縛れるなら・・・・がんじがらめに縛りてぇ・・・」

少し下を向いた彼の呟きが聞こえない。
「何て?よく聞こえなかったけど・・・・」
私が恐る恐るそう言うと、彼はいつもの笑顔で顔を上げた。

「聞こえない方がいいよ」

そう言いながら、また私の手を引っ張って歩いていく。
今日の零くんはちょっと変だ。
よくわからないけど、今日一日。
手を繋いだままなのは決定事項となった。