【Rozen Maiden】雛苺萌えスレ12.1【ローゼンメイデン】

このエントリーをはてなブックマークに追加
221名無しかわいいよ名無し
運よくこの馬鹿げた連鎖反応に巻き込まれなかった糞苺が一匹いた。顔面蒼白でこちらに走ってくる。

「何をやってる?他の奴をみんな焼き殺さないと、ゲームは終わらないぞ。こっちに来たら突き倒してあいつみたいに火達磨にしてやる。」

と竹ざおを持ち出して突く真似をすると「ヤーノ、ヤーノ!」と逃げていったが、やはりもう戦う気はなくなったようで、フェンスによじ登って逃げようとする。
しかし手首が動かないので、どうにも登りようがない。それでは、と松明を外そうとするが、結束バンドがある限りあと一歩のところで外れない。
ついには、松明の炎がドレスの袖に引火した。

「ビャアアアアア!アヅイ!イダイ!アヅイ!アヅイ!イダイ!ウンビャーーーーッ!!」

馬鹿な奴だ。だが、怪我の功名というか天佑というか、袖から焼けたおかげで一番少ない被害で結束バンドを焼き切ることに成功した。
痛む腕で松明を投げ捨て、袖の火を叩いて消し、フェンスをよじ登る。ここまで行くとは想定の範囲外だった。
だが、運命というのはそうそう甘いものではないらしい。

「オマエズルイノー!ヒナモニゲルノヨー!!」

別の糞苺が、同じ位置からフェンスを登ろうと走ってきたのである。松明をつけたままで。
当然先にフェンスを登っていた方は尻を炙られ、ついにはドレスの裾と尻から出火。

「チャアアァァァッ!」

たまらずフェンスから転げ落ちて火達磨2号に成り果てる。
見れば火達磨1号はすでに力尽きて、イモムシかミミズのようにのたくっている。

「クルシイノ・・・ヒナワルクナイノ・・・タスケテ・・・ナノ・・・ チャンマァァァ・・・!」

いまだに謝罪の言葉を吐かない糞苺を見ていると、その腹を蹴り上げてやりたくなるが、ここを離れた隙に別の糞苺が校舎に逃げ込めば、火事になりかねない。
じっと我慢して火達磨2号と別の3匹の様子を見守る。
2号は下のほうから火がついた分、全身が一気に火に包まれて威勢よく走り回っている。
残り3匹は恐怖心からか、小便を漏らし、下痢便を漏らし、びいびい泣いて鼻水を垂らしながら、2号に狙われないように、きれいに3方に分かれて走って逃げる。チームワーク、というよりは呉越同舟という奴か。
しかし同属を哀れむ気持ちなどは皆無のようで

「コッチクルナナノー!」「サッサトシネナノー!」「オマエノブンマデウニュータベテヤルノー!」

と罵声を浴びせつつ泣いている。

しばらくの間この均衡は保たれ、このまま2号が力尽きて仕切りなおしか・・・と思われたとき、ちょっとしたハプニングが起こった。
3匹の中の1匹が、校庭の隅にあったジャングルジムの下を通り抜けようとして、横棒に松明を引っ掛けて仰向けにこけたのだ。
運よく松明の火は消えたものの、角材が邪魔になって起き上がれないようだ。

「ダレカオコシテナノ!オコシテクレタラウニューヤルノ!ヒナイイコダカラタスケテナノ!」

もちろん糞苺が他人を助けるなどということをするはずはないし、いくら知能の低い糞苺でも、持ってもいない苺大福に釣られるほどの馬鹿でもない。
それにしても苺大福を「やる」という、既に自分がそれを得るに決まっているかのような口ぶりがずうずうしい奴だ。そもそも俺が俺の金で買ってきた苺大福だっていうのに。
222名無しかわいいよ名無し:2008/11/11(火) 19:09:10 ID:0Mg2RU0s0
だが、この声を聞きつけたのが火達磨2号。
体中丸焼けで足腰は立たなくなり、髪は焼け落ち、目が片方つぶれたようだ。しかし最後の執念を見せて、身をよじり、ひねり、くねらせてこけた糞苺に向かっていく。

「オマエハクルナナノ!ソコデシネナノ!アンマ、アンマー!」

静かに、しかし着実に迫ってくる2号に怯えた糞苺が騒ぎ立て、じたばたと暴れるが、何の役にも立たない。

「う゛ー・・・う゛ー・・・・・・!!」

焼けて真っ赤に膨れた顔、その顔よりも赤く目を血走らせて、ついに2号はジャングルジムにたどり着き、糞苺に覆いかぶさって力尽きた。

下になった方の糞苺は最後まで「ビャー!ビャーーーー!」と喚いていたが、火が燃え移ると訳の分からないことを叫びだし、そのうち気絶して丸焼けになって事切れた。
これでゲームは一対一、いよいよ大詰めである。しかし一方の糞苺が

「モウコンナコトヤメルノ・・・ハンブンコシテイッショニウニュータベルノ・・・!」と停戦を申し出た。

既に3匹の糞苺がグロテスクに死ぬところを見ている糞苺である。
自分が焦熱地獄で狂死するリスクと苺大福半分このリスクとを天秤にかければ、いくら糞苺でも後者を取って不思議はない。
提案を持ち掛けられた方も大人しくそれに従い、先に立ってこちらに歩いてきた。
が、そのとき。後ろに回った糞苺が落ちていた釘を拾うと、先を行く方を蹴り倒し、太ももに釘を突き立てると松明を奪って投げつけた。
謀られた方の糞苺は、一気に燃え上がり、熱と痛みに一際大きな声で泣き喚く。

「ウビャー!ウビャアァァアァーー!イイイイイダイノオ゙オ゙オ゙オ゙オ゙!!」
223名無しかわいいよ名無し:2008/11/11(火) 19:09:49 ID:0Mg2RU0s0
一方謀った方は喜色満面、俺の元にやってきて

「ヒナカッタノ!ヒナユーショーナノ!ウニューハヤクヨコスノ!チャンマ、チャンマ!!」

「流石だよ。ここまでお前が薄汚い下衆な根性を持っているとは、俺も思わなかった。」

「ウニューハヤクヨコスノ!キコエナイノ?オマエノロマナノ!」

「だが、頭の中身は、俺の方がちょっとばかり勝ってるようなんだな。」

「アタマ?ドーデモイイノ!クレナイナラジブンデウニュートリニイクノ!!」

「まあ待てよ。お前の背中の松明、針金でタオルを押さえてあるんだが、タオルがだいぶ燃えてるだろ?すると針金が緩くなって・・・」

「チャ?」




「襟に落ちてくる。」

その言葉と同時に、火のついたタオルは糞苺の背筋に断罪の一撃を叩き込んだ。

「それ、お前も走り回って来い!」
「ギャアァァーーーーッ!アヅイノ!アヅ、アヅ、ウンビャアアアアアアア!!」

ついに全ての糞苺が炎に包まれた。先ほど謀られた方は恨みに目を血走らせ、一息に釘を引き抜くと歯をがちがちと鳴らしつつ怨敵に向かって走ってきた。手には角材を携えている。
「優勝者」の儚き夢に踊らされた方は必死で逃げる。
二つの火達磨があちらこちら走り回って、実に馬鹿らしい。

「オマエウラギッタノ!ゼッタイ、ゼッタイユルサナイノ!」よったよった、へっほへっほ。
「ダマサレルホウガワルイノ!カッタノハヒナナノ!ヒナ、ヒナ、ヒナーー!」よったよった、へっほへっほ。

おそらく心の汚い亡者たちが落ちる地獄というのは、こんな感じの不毛な争いが永久に続いている所なのだろう。
2匹の糞苺はしばらく走り続けていたが、同時に崩れ落ちるように倒れ、腿に傷を受けた方はそのまま事切れた。
だが、最後まで残った方はまだしぶとくも生きている。
224名無しかわいいよ名無し:2008/11/11(火) 19:10:21 ID:0Mg2RU0s0
「ユルサナイ・・・ヒナ、オマエヲゼッタイニユルサナイノ・・・・・・!」

「許してもらおうとも思わない、というより、こっちが被害者なんだ。むしろお前に謝って欲しいくらいだな。」

「ヒナワルクナイノ・・・オマエクソッタレナノ・・・ユルサナイノ・・・・・・」

「許さない、か。じゃあどうするって言うんだ?」

「オマエ・・・ノロイコロスノ・・・ヒナガシンデモオマエヲノロイツヅケルノ・・・」

「そいつは面白いな。お前みたいなチビで無力な生き物に呪われたって痛くも痒くもない。もしお前が、本当に人を呪い殺すほどの力を持っているって言うなら、一つ試してみようか。」

そう言うと俺は竹ざおの先に糸で苺大福を吊るして持ってくる。そして竹ざおを掲げ、糞苺の真上、180cmくらいの位置に大福がぶら下がるようにした。

「どうだ、お前の力を見せてみろ、この苺大福に食らいつけるか?そんな焼け焦げて肉だか炭だか分からなくなった手足でさ。」

「ヴウ・・・ヴウウ・・・・・・・・・!!」

糞苺はしばらく燃えるような瞳でこちらを睨み付け、次いで真上にぶら下がる苺大福に視線を合わせて全身をふるふると震わせた。
225名無しかわいいよ名無し:2008/11/11(火) 19:11:36 ID:0Mg2RU0s0
そして目をかっと見開くと



「ま゛ああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」



馬がいなないたかと思うような野太い声を上げて、手足を突っ張り大きく飛び上がると、竹ざおごと苺大福に食いつき、さおの先端を食いちぎって頭から地面に落ちた。
その瞳にもはや精気はなく、手袋越しに触れると、脈もなくなっていた。




俺は糞苺どもの死体を穴に埋め、片づけをして山を下りた。あれ以来俺の家に糞苺が出ることはなくなった。
ちなみに糞苺の呪いは今のところない。奴が死の瞬間考えていたのは「俺を呪い殺すこと」ではなく「苺大福に食いつくこと」だった。
そして、そのために全身全霊の力を使い切ってしまった。おかげで「大福に食いつくこと」は達成され、奴はそのまま成仏したのだろう。

・・・いや、奴が「仏に成る」ことができるかは微妙だし、正直なところ成って欲しくないが。

あの学校は近く取り壊され、産廃置き場になるという。存在自体が産廃の糞苺どもにとっては、お似合いの墓標になるだろう。


〜完〜