トムは、さっさとジェリーを食っちまえ!!

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6名無しかわいいよ名無し
トムとジェリーの最終回


ジェリーが大人になった頃トムはもうこの世にいませんでした
トムは自分の命の終わりがすぐ傍まで来ているのを知ったとき
こっそりジェリーの前から姿を消しました
ジェリーの前で弱って涙もろくなった自分を見せたくなかったのです
トムはジェリーの心の中ではずっと喧嘩相手として生き続けたかったのです

トムがいなくなったのに気づいたときジェリーは悲しみはしませんでしたが退屈になるなと思いました
トムとの喧嘩は最高にスリルのあるゲームでしたから
胸の奥が不思議にチクチクはするのですがそれが何なのか
ジェリーにはよくはわかりませんでした

トムの願い通りジェリーの心の中でトムはいつまでも仲の悪い喧嘩相手でした
そんなある日ジェリーの前に一匹の猫が現れました
トムよりのろまで体も小さい猫です
喧嘩相手のトムがいなくなって寂しかったジェリーは
今度はこの猫を喧嘩相手にしようと考えましたそこでジェリーは
穴のあいた三角チーズが仕掛けられたネズミ取りを利用して
その猫に罠をかけることにしました
いつもトムにしていたように

ジェリーは物陰に隠れてネズミを求めて猫がネズミ取りの近くに来るのを待っていました
そして思惑通り猫が罠に向かって近づいてきます
ジェリーはしめしめと思いました
いつものように自分がネズミ取りにひっかかるふりをして
逆に猫をネズミ取りにかけてやるんだ
うふふ

手か尻尾を挟んだ猫の飛び上がる姿が頭に浮かび愉快です
でもその猫はトムではありません
猫はチーズの近くまで来たときジェリーがでてくるより早く
美味しそうなネズミの匂いに気づき
目にもとまらぬ速さでジェリーに襲いかかってきました

ジェリーはいつもトムから逃げていたように逃げましたが
トムよりのろまなはずの猫にすぐに追いつかれてしまい
体をガブリと噛まれました
ジェリーも噛みつき返しましたがトムより体が小さいはずの猫は平気です

血まみれのジェリーは薄れ行く意識の中で
本当はネズミが猫と喧嘩して勝てるわけがないことと
いつもトムはジェリーにしてやられたふりをして
わざとジェリーを捕まえないでいたことをそのとき初めてしったのです

トムの大きな優しさと友情に気づいたのです
そしてトムがいなくなったときの胸のチクチクの正体にも気づきました
かけがえのない友を無くした悲しみでした
ジェリーの魂が体を抜けたとき空の上には優しく微笑みジェリーを待っている
トムがいました

また喧嘩ができるね

のぞむところさ今度は捕まえてやるぞ