1 :
名無しかわいいよ名無し:2007/01/30(火) 14:20:31 ID:eqBgPdas
●関連スレ
GUNSLINGER GIRL ガンスリンガー・ガール 46挺目(アニメ2板)
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anime2/1166930055/ 【薬物】GUNSLINGER GIRLスレ 7挺目【人体改造】(半角二次元板)
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1146930153/ ガンスリンガーガール 3人目の義体(エロパロ板)
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1115286133/ GUNSLINGER GIRL XI(キャラネタ板)
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1168377689/ 【義体】ガンスリンガーガールPart.5【少女】(家庭用ゲーム板)
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/famicom/1137577070/ BITTERSWEET FOOLS(エロゲー作品別板)
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/hgame2/1133205002/ _ ∧_ ∧
.;'´ `ヽ, 荒す人は許せませんっ! (゚∀゚.l!|)
!,, ノ从从ノ パァァァァンッ ( ) ビ゙シッ
,‐、_'リ| ゚ -f二0_____,,,.,:;:'""';:;,., | ,・:;:.,|:.,'
⊂( (/_(_iつ;,=0,―A' ̄ ̄ '' ' '':''' (__.(__):.,
ガンスリンガー・ガール達に(;´Д`)ハァハァするスレです。
(;´Д`)ハァハァと言いながら実質のSSスレだったのですが。
→アニメの方は一旦、収束したので漫画サロンに移転、
その後、漫画キャラに移転させられました。
→ライトエロはOKですが18歳未満禁止っぽいのは・・・
●ガンスリンガーガール 3人目の義体(エロパロ板)
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1115286133/ ●サロン&試し書きの場
GunslingerGirl ガンスリンガー・ガールSS書きの控え室 2
ttp://www.moebbs.com/test/read.cgi/gunslingergirl/1095225218/ ●昼鳥テンプレ
_ V ∩___∩
∧昼∧ ,ヘ.´ `ヽヘ | ノ ヽ
( ´_ゝ`) !〈(ハヽ)ヾl | / ● ● | (⌒―⌒)
/ \ | l、゚- ゚ ノ ! | ,、_,、 | ( _●_) ミ 〇_〇 (゚ (エ)゚*)
/ / ̄ ̄ ̄ ̄/.lY|,) | | l゚(・)゚ l ,、_,、 彡、 |∪| 、`\∩_∩ (⌒-‐-⌒) ( ´・(ェ)・) ⊂)夲!つ
__(__ニつ/ FMV /<ノj|j,〉 リi lづ"/) l゚(・)゚ l (゚(Å)゚)っ (´(Å)`;;) (;・(エ)・) ( ・(,ェ)・) ( つ旦O く/_|j〉
\/____/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
5 :
参〇九:2007/01/30(火) 14:30:38 ID:eqBgPdas
再建の直後に落ちの悲劇防止のために過去作品の加筆・改訂版を上げます。
---------------------------------------------------------------------
□□□GunslingerGirl 〜ガンスリンガーガール〜 哀の小劇場 ■■■
−−「ソルティ・ミルクチョコレート」−−
"いいかマルコー、今日は「愛の記念日」なんだぞ。 "
なるほど・・・確かに"愛の記念日"だな。しかし・・・不気味な微笑みで
ニラメっことは・・・あいつら、何をやっているんだ?
さっき本部棟と義体棟を結ぶ廊下でみたヒルシャーとトリエラを
思い出しながらマルコーは病室へと足を進めていた。
***
「おいビアンキ!! このあと『義体でも感情のコントロールができるぞ』
なんて抜かしてみろ!!お前の頭は5秒で風通しが良くなるぞ!!」
「ああ・・・新鮮な空気を通して、お前を親友だと思っていた日々を後悔
させてもらうよ・・・もしお前が本当に出来るのならばな」
マルコーの後ろではオリガさんが青い顔をしながらも、今にも飛び
かかって関節を決める覚悟をしていた。
「・・・判ったよビアンキ。オーリャ・・・俺はそこまでバカじゃない・・・」
「オリガ・・・ちょっと席を外してくれないか・・・"親友"の話がしたい」
「い・・・いいんですか?ビアンキさん・・・」
「アンジェ達よりマルコーは遙かに年上なんだ・・・過ごし重ねた人生で
得て来た理性というものは既にあるだろう・・・そうだな?マルコー」
「ああ・・・そうだと自分自身を信じたいよ・・・」
6 :
参〇九:2007/01/30(火) 14:32:27 ID:eqBgPdas
"同じあたるにしても義体技師やオレ達に皮肉を言って発散する
くらいの狡猾さを持つ年にはなっているんだぞ。
少なくともアンジェにあたるな。
これは開発医師としての意見じゃない。親友としての進言だ"
判ってるよビアンキ・・・でも、そうしたところでアンジェの命が
延びる訳でもない・・・更に空しくなるだけだ・・・貴様は親友だと言い
ながら、そんな俺の気持ちすら理解してくれないのか・・・
心の中の呟きは2月の冬景色もあって更にじわじわと痛む。
痛みを抱え込むように苦しそうな眼差しをしたマルコーは、まるで
心を決めるように深い溜息をすると、とある病室のドアをノックした。
「アンジェリカ・・・俺だ・・・入るぞ。」
最近は入院の間隔が頻繁になってきた・・・調整、稼働、その結果の
調整・・・動く度に何処かが不具合になる。
決して言いたくない"結論"を表す言葉が過ぎる。
・・・ちくしょう!!とマルコーは心の中で叫んだ。
「どうぞ、マルコーさん。お待ちしていました・・・」
7 :
参〇九:2007/01/30(火) 14:37:52 ID:eqBgPdas
マルコーは目を伏せて部屋に入る・・・痛いのだ・・・病室を訪れる自分を
見るアンジェの眼が・・・何も疑わず、何も下心を持たず、手放しに喜ぶ
あの眼が激しく痛い・・・マルコーには太い釘でも打たれるような気がした。
「調子はどうだ・・・少しは楽になったか?」
「はい!!暫くしたら、足手まといにならない位には・・・」
「ふん・・・まだ気が早・・・・・・」
目を上げたマルコーの眼には真っ赤なパジャマと大きなリボンを
付けたアンジェリカが映っていた。
「・・・・・・アンジェ、何だその格好は? クリスマスは既に過ぎたぞ。」
「マルコーさん・・・これ・・・私の・・・」
まだ筋肉の制御不能の後遺症か・・・それとも・・・・・?
震える両手で差し出された、リボンの掛かった赤い包み紙の箱。
「ハッピー・・・バレンタイン・・・」
「・・・ああ、ハッピーバレンタイン、アンジェ・・・しかし、こんな
浮かれた事ばかり覚えている・・・」
"マルコー・・・お前は大人だ・・・訓練無しでも制御できる歳だぞ・・・"
うるせぇ!!判ったよ!!親友だったら少しは信用しろ・・・。
心の中に現れたビアンキに返す心の中のマルコーがいる。
8 :
参〇九:2007/01/30(火) 14:39:08 ID:eqBgPdas
「・・・いや、ありがとうアンジェ・・・嬉しいよ。」
「ごめんなさいマルコーさん・・・少しでも覚えていることは・・・
やってみたい気がして・・・」
「いや・・・俺も口が過ぎた・・・いつもゴメンな。しかしアンジェ
からは久々のバレンタインの贈り物だな・・・」
「え???あの・・・去年は・・・」
やはり忘れている・・・苦々しい間が喉の奥を這いずり回る。
「去年は・・・空振りだった仕事の最中だったな・・・」
「・・・・・そう・・・そうでしたね。ど忘れしていました」
その間はアンジェが覚えていないことを問われたときに顕著な反応
だった・・・目標は現れず、仕事は空振りだった・・・しかし、仕事中に
禁断症状が発生して・・・去年のバレンタインは、マルコーの行った
緊急注射だけがアンジェへのプレゼントだった。
失った記憶を必死で探そうと狼狽するアンジェの眼が辛かった。
そうだ・・・アンジェもまた苦しんでいるんだ・・・マルコーは何度も
心の中で自分に言い聞かせていた。
***
9 :
参〇九:2007/01/30(火) 14:41:22 ID:eqBgPdas
「ふうん・・・やはりトリエラか」
「そうなんです・・・チョコのお使いを頼んだら、"せっかくの愛の記念日
なんだよっ!!"って、チョコの他にこんな真っ赤っかのを・・・私、何だか
とても恥ずかしかったんですけど・・・でもって・・・」
「いや・・・よく似合っている・・・可愛いぞ」
「・・・・・・・・・嬉しいです」
「だが、そういう浮かれたのも入院中ぐらいだな。実戦に出たら他人の
記憶に残るような派手な衣装は御法度だ。」
「はい・・・・・・・・」
今のうちに楽しむんだな・・・と言おうとする自分を、心の中のビアンキが
また睨み付ける。そうだな・・・俺にもリハビリが必要か・・・マルコーは思う。
「まあ入院中やプライベートでは出来るだけオシャレをした方がいいと
ビアンキ先生も言っていた。メリハリを付けるのも訓練だ」
「はい!!ありがとうございます!!」
そう言って笑うアンジェの笑顔は、未だ自分にとっては苦痛だ。
アンジェはいつまで・・・俺を俺と認知して・・・笑ってくれるのか・・・。
***
オフィスに戻ると、あのヒルシャーが普段は絶対しないようなニヤニヤと
不気味な雰囲気すら感じる笑顔を浮かべて書類を纏めていた。
側には真っ赤なハート形の包みが・・・なるほどなるほど。
"あのぉ・・・出来るだけ早く開けて・・・食べてください・・・"
マルコーはそう言っていたアンジェリカの顔を思い浮かべていた。
破るには愛の隠りすぎている包装だった・・・丁寧にテープをペーパー
ナイフを使って剥いでいく。
まるで、いつぞやにジョゼから聞いたヘンリエッタのようだな・・・。
そう思いながら包装を取ると四角いモカブラウンの箱が現れた。
10 :
参〇九:2007/01/30(火) 14:44:07 ID:eqBgPdas
蓋状になっている箱を開くと、そこには小さな正方体に切り分けられた
ココアパウダーを塗してある板状のチョコレートがあり、その真ん中には
ハートの飾りを付けた楊枝が添えられていた。
ココアパウダーの香ばしい香りに負けない、チョコレートの新鮮さを
証明するような湿気のある甘い香りがマルコーの鼻腔を擽る。
口上書きを見る・・・なるほど、生チョコレート・・・それもミルクタイプか。
これは早く食べてやらないとな・・・マルコーは早速、赤い楊枝を摘んだ。
一口含む・・・リキュールを含まない純粋のチョコレートと新鮮なミルクの
味が口いっぱいに広がった・・・普段は余り菓子の類を口にしないマルコーに
とっても、十分に陶酔できる"簡素にて真の"チョコらしいチョコだった。
ふぅん・・・あの子にしては上出来な選択じゃないか・・・実に美味しい。
そう思いながら二口めを含んだときだった・・・・・。
暫くの時間を置いてマルコーの喉がゴクリ・・・と鳴った。
それはチョコレートを飲み込む音ではなかった。
資料室から戻ったプリシッラが、マルコーを見つけて慌てて自分の
机に向かうと、ピンクのハート形をした紙包みを持って駆け寄った。
「マルコ〜さ〜ん ハイ!!これは堕天使の愛でぇ〜す!!・・・・・?????
マルコーさん?どしたんですか?」
マルコーは楊枝を持ったまま、少し俯き、言葉を失っていた。
「ほ〜らみろ・・・マルコーさんもカラ手形乱発の愛ならイラねぇぞって!!」
アマデオが机に向かって報告書を作成するキーボードを叩きながら、
視線も上げずにチャチャを入れた。まるでソッポでも向くように。
「んもぉ!!じゃアマデオ、さっきの返してっ!!」
そう言ったか言わないかの間を突くように、包装紙をクシャクシャと
丸めて包んだチョコレートの箱を持ってマルコーは部屋を出た。
「・・・・・え?マルコーさん、どうしたんですか?ちょっとマルコーさん!!」
顔はしかめっ面・・・そして小走り・・・彼は、たまたま開いていた取調室の
中に飛び込むと、後ろ手に鍵を掛けた。
机の上にチョコの箱を置き、両手を机に支えて下を向く彼の顔から
数滴の透明な液体がポロポロとこぼれ落ちた。
11 :
参〇九:2007/01/30(火) 14:45:35 ID:eqBgPdas
***
・・・・・それは幸せな日々だった。
「マルコーさん!!はい!!ハッピーバレンタイン!!」
あの日もアンジェは赤い箱を差し出した。
「ありがとうアンジェ!!どれ、早速頂こうかな」
「マルコーさ〜ん!!この幸せ者ぉ〜!!ね、俺にも一つ!!」
「マルコーさん!!私にもアンジェの愛を一つちょうだいな!!」
「こらっ!!アマデオもプリシッラも手を出すなっ!!い〜か!!これは俺だけへの
アンジェの心なんだぞ!!羨ましいだろう〜?どれどれ早速頂くかな?」
満点の笑顔を見せるアンジェリカとマルコーがそこにいた。
「アマデオとプリシッラちゃんにも後であげるね〜」
「うわぁ〜い!!楽しみ楽しみ〜♪」
「・・・・・おいおい女同士でオマエら危ない関係か?」
「え?アマデオ・・・女の子にあげたらダメなの?」
「いいんだよ〜♪だって愛しあってんだもぉ〜ん!!ね〜アンジェ〜♪」
騒ぎをよそに早速、マルコーは包みを開いて一粒を口にしていた。
「・・・・・う・・・・・・ううぅん・・・ん〜・・・」
額に皺を寄せるマルコーをアンジェが驚いて見上げる。
「ま、マルコーさん・・・美味しくなかった?嫌いなもの入ってたの?」
「・・・ごめんなアンジェ、その〜・・・なんていうか・・・実は俺・・・リキュールの
キツイのとかドライフルーツの酸っぱいのが入ってるのがダメなんだ・・・」
「ご・・・ごめんなさい!!」
「おいおい!!謝ることはない!!嬉しいよアンジェ・・・ほら、お返しだ」
「あ・・・・・マルコーさん・・・マルコーさん・・・」
マルコーはアンジェを片手で抱き寄せ、額に優しく口付けた。
「マルコーさん顔に似合わずヤルねぇ・・・」
「"顔に似合わない"は余計だっアマデオっ!!な〜アンジェ?」
「アンジェよかったね〜!!オデコにだけどファーストキッスだよ〜」
「でもアンジェ、このチョコはいけそうだな・・・」
12 :
参〇九:2007/01/30(火) 14:48:07 ID:eqBgPdas
マルコーは箱の中の一つのチョコを取り出し、半分を食べると、その
歯形の浮かんだ半分をアンジェに見せた。
「うむうむ・・・やはりそうだ、ほら断面を見てごらん。こういうタイプの
ミルクチョコは好きなんだ・・・何だか子供っぽいんだがな」
「うん!!判ったよ、じゃマルコーさんの好きなのを・・・味見!!ぱくっ!!」
そういうとアンジェはマルコーの指にある食べかけのチョコを指ごと
口に含んだ。
「うわ・・・・・・ア、アンジェ・・・もう・・・指まで食うなよ〜」
そう言ってマルコーは驚きながらも頬を赤く染めた。
「あ・・・間接キッス!!」
「うひょ〜、アンジェもやるねぇ〜!!」
囃すプリシッラと頭を掻くアマデオにアンジェリカは満面の笑顔で
Vサインをした。
「来年のバレンタインはマルコーさんの大好きなのをあげるねっ・・・」
***
13 :
参〇九:2007/01/30(火) 14:49:54 ID:eqBgPdas
***
マルコーは続けて5個を素手で摘むと口に詰め込んだ。
口に溢れる甘さは、意図しなかった塩味で更に強調されて甘かった。
覚えていたんだ・・・少なくともこの味は・・・2年以上経ってるのに。
多分・・・二度と取り返せない時間を含んだ・・・懐かしい甘さだった。
おい!!愛の神様とやら!!あの時間を・・・あの時間を返してくれ!!
それは"運命"だのと抜かすなら、お前こそ残酷非道な悪魔だぞ!!
アンジェと俺の笑顔を・・・返せ・・・それだけでいいんだ・・・それだけで。
マルコーは顔を両手で覆った・・・指の隙間から涙がしみ出た。
日の当たらない取調室に、男の嗚咽がいつまでも響いた。
***
"・・・以上の担当官の証言から、味覚については記憶の固定が著しく、
この脳機能の解析により、薬害的健忘の防止を発見する足掛かりが
見つかるのではないかと思量される。"
MDビアンキはアンジェリカのカルテにそう記すと、窓の外に広がる
未だ春遠い2月の空を見上げた。
春の来ない冬は無いと信じたかった。
それが余りに絶望的なものであっても。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
14 :
参〇九:2007/01/30(火) 14:54:32 ID:eqBgPdas
本家(相田先生の漫画)がペドラ噺中心なんで「隙間産業」のオイラ達には
絶好の機会なんですが、そう言うときに限って噺作りに苦労すんのねw
得意の鳥蛭噺で、ピーノ撃破後のネタは有るんですが、本家のペドラ編で
「あ〜、事実を積み重ねられちゃった〜」という話が有ったのでジョイントの
作り直しで苦戦中ですな。
本業も忙しい最中だし困ったのもです。
うおおおお、新スレ&(ほぼ)新作、Great Good Job!
SS投下します!
キッチンドリンカー
その夜はなかなか眠くなりませんでした。
電気を消してすぐリコの寝息が聞こえてきて、それからもうずいぶんたっています。
こんなに遅い時間ならもう誰も起きていないはず。そう思って、
前から気になっていた、ある物を見るためキッチンに行ってみる事にしました。
リコを起こさないように静かにベッドを降りて、部屋から廊下に出ます。
月あかりが廊下に窓の形を白く浮き上がらせています。
キッチンに入って、そこの戸棚の昼間見たのと同じ場所にお目当ての物はありました。
その丸みをおびたガラスのボトルには、こはく色の液体が入っていて、ラベルを
調べると私が思ったとおりです。
「少しだけならいいかな」
普通のコップでは大き過ぎるので、ちょうど良い大きさのを探すと、ワイングラスと
同じ棚に5センチぐらいの高さの小さなグラスがあったので、それにしました。
窓際のテーブルにボトルとグラスを置いて、ボトルの口を開けると良い香りがします。
グラスに半分ぐらい注いでからキャップを元に戻して、少しだけ口に含んで味わうと
ふわりと香りが広がります。
カーテンの間から月の光がもれていたので、カーテンを開けてみました。
ちょっとだけ欠けた月が高く登っていて、薄い白く見える雲が少しあります。
そしてテーブルの上では、月の光がボトルのガラスの曲面やカットの入ったグラスに
反射してキラキラと輝いています 。
腕を重ねて、その上にほほをのせて横からきれいなこはく色の液体が入ったグラスを
ながめます。
「ジョゼさん」
私の担当官のジョゼさんは遠くへ出張であさってにならないと帰って来ません。
今日は会えなかったし、明日も会えないのです。
声に出して名前を呼ぶと、さびしい気持がふくらむようです。
そしてもう一口。
近頃は訓練にジョゼさんが立ち会わない時もあって、今日もトリエラが私達の
指導役でした。それでもジョゼさんが公社にいれば演習場から公社に着くころには
迎えに来てくれて、義体棟の入口までお話ししながら歩きます。
少しの時間ですが、それでも声を聞いたり、あの時々見せる少しだけ微笑んだ
顔が丸一日見られないのは、とても物足りない感じがします。
ジョゼさんはみんなに笑わない人だと思われているみたいですが、こんな時のような
笑顔を見たことがないのでしょうか。
もしかして私といる時だけなのかな、なんてとても希望的なことを思ったりも
しますが、もしそうなら、それはそれでどうなのかなという気もします。
でも、他の女の人にジョゼさんが微笑むのを想像するのはあまりいい気がしません。
そうでなくてもジョゼさんは素敵だから、ジョゼさんのことを好きになる女の人は
きっといるはずです。
そしてジョゼさんから見れば、私のような子どもより大人の女の人の方が良いに
決まってます。まして私は普通の女の子でさえないのです。
少し月の光がかげりました。月に雲がかかって、雲が白く輝いて見えます。
この一口で最後かな。
でも、あさってになればジョゼさんに会えます。おみやげも期待していいよね。
この次ジョゼさんとお出かけするのはいつかな。
グラスが空になりました。
メープルシロップのボトルは元の棚に戻して、グラスも洗って元の所に置きました。
おやすみなさい。
18 :
名無しかわいいよ名無し:
3人目の義体で「メイドイン公社」再開!