【舞-HiME】でぼちんかわいいよでぼちん第2部【舞-乙HiME】
暇なんでSS投下します
珠洲城遥の憤慨
「こんなこと断じて許せません!!!」
ここは風華大学
今年創設された大学であり、風華学園の付属にもなっているようである。
今、悲鳴を上げるこのオデコが特徴の美少女の名前は風華大学成績上位者の中のトップ2である珠洲城遥である。
遥は大学に来て、その秩序のなさに脱帽した
タバコを吸う生徒や、大声で騒ぎ立てる生徒、ゴミをゴミ箱に捨てず、ポイ捨てするもの、しかも、それを取り締まろうとするものもおらず・・学校側はなんの対処もしない
こんな無秩序な状況!断固として見逃せない!!
この珠洲城遥はそういう人なのである
「ちょっと!ぶぶ漬け!!これは一体どういうことなの!?」
そういいながら詰め寄る遥
詰め寄られた藤乃静留は笑顔で遥を見る
藤乃静留
風華大学一回生で、成績トップで合格。現在もその成績トップは維持されている
同級生の男女ともに人気がある
「そないなこといってもなぁ・・。遥さん?大学いうんは、基本的にそういうとこどすぇ?」
静留は相変らず、落ち着いた表情で遥を見る
「いいえ!!大学と言っても学校に変わりはないんです!ですから、こんな無秩序で放置されたような状況には我慢なりません!」
遥は机に手をたたきつける
その音は大学の大教室に響き渡り、学生が一斉に遥のほうをみる
よっぽど怒っているようだ
周りの静留の友達もあきれた表情で遥を見ている
「まぁ、ゴミをポイ捨てするいうんは・・よくない思いますけどな」
あくまで落ち着き払った笑顔の静留に遥は頭が来る
「〜〜〜!!!」
遥は何も言わず振り返る
「?」
静留があっさりと引き下がる遥を不思議に思う
遥は静留に背中を見せたまま立ち止まる
「あんたに頼った私がバカだったわ。私一人で、この大学の秩序をつくってやるわ!」
そういうと、遥は大教室から出て行く
「な・・なんだ、あいつ?」
「確か、珠洲城とかいってたよな・・」
「変な奴」
そんな声が大教室のあちこちから聞こえてくる
静留は黙って、遥が出て行った扉を見つめていた
翌日
「こらぁ!あなた!!ゴミはきちんとゴミ箱に捨てなさい!!」
遥は一人、大学の校門やら食堂やらで、様々な生徒に注意をしている
その遥の勢いに負け、注意を受けた生徒は仕方なく、ゴミをきちんとゴミ箱に捨てる
遥は清々しい表情で、ゴミ一つ落ちていない道や校舎を見て満足気である
「気張ってますな?遥さん?」
静留はそのゴミ一つ落ちていない道を歩き、遥を見る
遥は勝ち誇った表情で静留を見て
「ふん!この私、珠洲城遥にかかれば、こんなの夕飯前よ!」
静留は笑みを浮かべる
「そうやね。せやけど、あんまり気張りすぎたらあきまへんぇ?」
「あんたなんかに心配されたくないわ!」
相変らずの遥
「そう・・」
静留はそのまま、大学の教室にへと向かっていく
「なによ、あいつ・・」
「ヒーロー気取り?」
「調子のっちゃって・・むかつくよね?」
校舎の壁に隠れるように、そんなことをつぶやいている学生がいる
(やっぱり・・)
静留の心配事はやはりあたっていた
遥の正義は他の生徒にはまぶしすぎるのである
今まで、風華学園執行部だったときは菊川雪之が遥の暴走を抑えていたから、ちょうどよく学園の治安をおこなえていたのだが・・
静留は振り返り遥のほうを見つめる
(ほんま・・かわりまへんな。遥さん・・。)
とりあえず、今日はここまでで・・
その日の夜
「お邪魔します」
珠洲城邸に来た菊川雪之
二人は、一緒に豪華な夕食をとり、遥の部屋にいる
今日はここで一泊することになっている
久しぶりのお泊まりに、雪之はとても嬉しそうである
遥は風華大学の現状と、自分がここ最近改善にあたっていることを雪之に聞かせた
「え?遥ちゃん・・一人で?」
驚いた表情の雪之
「そうよ!あんのぶぶ漬け女に言っても、なんの役にもたたないんだから!ま、もとから頼りになんかしてないけど・・」
なんだかんだ言いながら遥は静留を意識している
雪之はそれが嬉しくもあり、心が少し・・痛むところでもある
「で、でも・・実際、大学って勉強する場所だから、治安とか秩序とかそういったものはあまり重視されないよ?」
「雪之まで、そんなこというの!?」
遥は雪之をジロリとにらむ
こうなってしまったらもう雪之はなにもいえない
遥は必死に雪之に対して自分の主義を説明する
雪之は遥のいい間違えを訂正しながら話を聞いていく
「私、手伝うよ」
雪之は遥の力になりたかった
きっと遥だけじゃ大変だろうし・・・反発する人も現れるであろう
そんなとき、遥を守れるように・・・
「駄目よ」
「え?」
「雪之、あなたは駄目」
遥は雪之を見つめる
その表情は真剣そのものである
雪之は自分が嫌われたのかとおもい、涙がうかぶ
「雪之。あなたは、風華学園執行部の仕事がある。私から引き継いだ大事な仕事。あなたには、それをしっかりとやってもらわないと」
「で、でも・・」
雪之の肩に手をのせる遥
「安心なさい!雪之。私一人でも、大学に痴女をつくってみせるわ!なんたって、私は珠洲城遥ですもの!!」
「遥ちゃん・・それをいうなら秩序だよ・・」
雪之は苦笑しながら、そんな凛々しい遥を見つめている
翌日
また遥は同じように学生を注意している
心配でたまらない雪之は、学校を休んで遥を観察している
(ごめんね。遥ちゃん。でも・・私、遥ちゃんの力になりたいの)
登校・・昼休み・・時間は過ぎていく
雪之は双眼鏡を片手に、遥の様子を見ている
(どうやら、今日はなにもなさそ・・!!)
雪之は双眼鏡を見て、目をこらす
遥が数人の学生に囲まれている
そして、そのまま校舎の裏にへと連れて行かれる
「遥ちゃん!」
雪之が遥のもとに向かおうとしたとき、一台のバイクが彼女の前を横切る
「あ、あれって・・」
そのバイク、いつも学園でみている。確かあれは・・
「雪之さん?」
その声に振り返る雪之
校舎の裏・・夕日は建物に遮られ、薄暗い
「この私に、一体なんの用ですの!?」
遥は一歩も引かずに叫ぶ
数人の男女の学生が遥の前には立っている
「あんたさ?むかつくんだよね」
「調子のっちゃってさ?点数稼ぎ?」
前に立つ二人の女子学生は片手にタバコを持っている
「私は、あなた達のようなクズみたいなのを学校から追い出すために、やってるんです!邪魔しないでくださる!」
遥には少しの恐れも迷いもない
「なんだと!?今の状況、わかって言ってんのか!?」
「こいつ・・やっぱり、少しお仕置きが必要なようね?」
女子の学生は後ろにいた男子を呼ぶ
その男子は、あきらかに不良であり、ガタイがよさそうな二人である
「いいのかよ?こいつ、好きにしちゃって?」
「いいよ。やっちゃいな」
男達が遥に迫る
遥は一歩も引き下がらない
「来るならきなさい!私は、間違ったことなんて言っていないんですから!」
「こいつ!」
男達の目つきが変わる
「!!」
そこに突然現れる、一台のバイク
バイクに乗っている人物はヘルメットとバイクスーツを着込んでおり誰かはわからない
「な、なんだ!?てめぇ!!」
男は、驚いて動きが鈍る
そこをすかさず、バイクスーツの人物がアゴに蹴りをいれ、もう一人の男の急所も蹴り上げる。二人の男はそのまま倒れて気を失う
「きゃ、きゃぁ!!」
慌てて逃げ出す二人の女子学生
遥はポカーンとした表情でそのバイクスーツの人物を見る
「あ・・あなた!バイクでの学校登校はいけません!」
遥は思い出したように叫ぶ
バイクスーツの人物は慌ててそのままバイクに乗り込み、元来た道を戻っていく
「こらぁ!!待ちなさい!!」
遥の声が大学中に響き渡る
大学の大教室
「はぁ・・はぁ・・」
「な、なんだったのよ。あれ・・」
逃げ出してきた二人の女子学生は息を切らしている
「・・・いい加減にしなはれ」
「「!!」」
二人の女子学生は後ろを振り返る
そこに立っているのは静留
「確かに、遥さんがやり過ぎなところはあるかもしれまへん。でも、あないなやり方は少し卑怯やとおもいますけど?」
何もいえない二人
「次、あないなことしたら・・うちも黙ってまへんぇ?」
そういう静留の表情を見た二人の女子学生は涙を流し、怯えて震えている