低脳奇乳オバサン■BLEACH松本乱菊アンチスレ3■発狂キモ('A`)ノ〜*
2だ!
キモい…
ん?確か前スレでスレタイはシンプルにするって決めてた気がするんだが?
しかも低能の漢字を間違ってる……。
6 :
名無しかわいいよ名無し:2006/04/11(火) 00:15:02 ID:vK2L75CI
ダルはね、神がかりになったとき親に鎧をねだったのだが、あんまり裕福ではなかったので、
安物の鉛を大量に含んでいる甲冑を買い与えた。白っぽい色をしていたので、後々まで白銀の鎧と見間違えられる。
しかもその鎧をめったにはずそうとせず、着けたまま寝るもんだから
>>146みたいな伝説を生んでしまう。
おかげでダルの顔は垢と鉛毒で皮膚病を起こし、二目と見られないものになってしまった。
人前では鎧をはずさないからいいものの、シャルルを救出したときは、さすがにはずすしかなかった。不敬だからね。
ダルの顔を見て、あまりの醜さにシャルル七世は腰を抜かしてしまう。その顔は、小山のような吹き出物に覆われ、
いたる所にレンコンの穴のような血膿のクレーターができている、というリアル蓮写真といった有り様・・・
ま、別に顔が醜くても有能な指揮官として扱えばいいのだが、教皇が聖少女を国王と結婚させればフランスも安泰、
なんて口をすべらせるものだから、国民の間ではダルを皇后にしようという機運が持ち上がっていた。
けっこん! けっこん! (AA略
たまらないのは国王シャルルで、人のことだと思って、と歯噛みして悔しがる。
ここにおいて、ついにダルをイギリス側に売り渡す決意にいたったと言うわけだ。
イギリス側に捕らえられたダルは、戦利品として貴族(その次は兵士ども)に輪姦される運命にあったのだが、
彼女の鎧がはぎとられた瞬間一同絶句、さすがの屈強な兵士のものも一瞬で萎えてしまった。
みんなは病気の感染を恐れたのである。性質の悪い風土病だと思ったのだ。
おかげで、皮肉なことに「聖処女」という肩書きは守られることになったのだが、
このことが処刑の当日に騒動を巻き起こすことになった。
聖少女ジャンヌの名前はイギリス中にも広く知れ渡っていたため、処刑広場は見物人で超満員だったのだが。
そこへ引き立てられてきたダルを見て、見物人たちも絶句するとともに、しばらくして騒ぎ始める。
当時、貴族は美人の死刑囚がいると自分の屋敷に囲って身代わりを立てることはよくあった、というか
それが貴族の特権と考えられていたのだが、そのとき見物人たちの脳裏をよぎったのもそのことだった。
「身代わりを立てるにしても、誰が 男 を 焼 け っといった? 自分たちだけいい思いしやがって」
処刑人が必死になって「ジャンヌ本人です」って弁明するけど、誰も聞く耳を持たなかった。
見物人たちの騒動が暴動に発展しそうになったので、処刑人はいったん火刑台の火を消させて、
ダルが正真正銘の女であることを証明しようとする。
生焼けになって半死半生のダルの股を広げさせたのだ。
だが武人として戦場を駆け回っていたダルは女らしい処理をしておらず、
その股間はたくましい雑草のような陰毛で覆われていたため、性器を判断することはできなかった。
見物人たちがふたたび騒ぎ出したので、処刑人は後始末用の竹箒を持ってこさせ、
その柄をダルの股間に突き刺した。
この有り様を見て、やっと見物人たちは納得して、騒動が収まることとなった。
そしてダルは股間に竹箒を突き刺したまま火に包まれたのである。
ちなみにジャンヌ・ダルクは魔女として火あぶりにされたのだが、魔女が竹箒に乗るという伝承は
この処刑のときから始まったものである・・・合掌
この説明で分かればいいんだけど、アメリカ坂のほうの入り口から
入ると坂で、上がりきるとトイレがあるとこになるでしょ、でそこから
下りきったところに整備される前からあるそんなに高くはない(4Mぐらいかな)
木があるところの裏(向かって右横裏)だよ。 そこに以前煙突の跡の後20センチ
先から7mぐらいのレンガ壁が下に向かってあったところ。 その頃はすぐ脇
にボロイ階段があり、下に降りれたんだけど、今はどうなってるんだろう?
降りると100坪ぐらいの空き地で、その焼き場のレンガ壁の入り口がふさがれ
てたと記憶してる。もしかしたら923のいう場所と同じかもしれない。
確かにその辺はよくチカンが出没してて、自分も犬の散歩中に後ろから抱き抱えられて
揉まれたことがある。 エルボーして逃げたけど... その後そいつが結構近所に住んでる
ことが分かり、結構引いた。 補足だけどそいつも犬連れだった....
話がそれたけど、一昔前の歴史の一部を見に行くのには明るい時に行くのがいいかも。
前は電灯とかなかったからすぐに真っ暗で結構薄気味悪かったけど、今はどうだろう?
焼き場の壁の一部ぐらい残ってそうだけど。 夜遅くに行くんだったら何人かで行く方が
いろんな意味で安全と思います。 関係ないけど、発生伝はある箇所辺りは首釣り場だから本当に
行かないほうがいいよ。
今日久々に山頂公園見にいったんだけど、全然以前と違っててびっくりした。
跡形もないんじゃこのスレでは意味なかったかもしれない。 ごめんね。
この辺のネタで他だと市民公園の間門小側の端辺りの崖なんだけど、あそこは
よく人が飛び降り自殺してるんだよ。 実際に俺の友達が小学生のときにザリガニ
を採りにいって、崖側でかなり痛んだ死体(たぶんおじさんといっていた)を
発見してしまったらしい。 しかも友達が警察呼んでくる間その場でずっと待っ
てたらしく、 かなり怖かったとのこと。 間門の森から崖上に、大昔に見
に入ったことあるけど、かなり怖い。 それと、古い着物を着た女性
を夜中にウオーキングしてる人が見かけたっていうのは何年か前に聞いた事あるけど。
更にもう一つ思い出したんだけど、 相当前に良く夏にマンモスプールに夜忍び込んで
泳いだりしてて、遠いから市民をチャレンジしようって事で入ったんだけど、
あまりに薄気味悪く、重苦しかったからすぐに出てきた。 どうやらその辺の崖も
飛び降りがあったらしいよ。 で、よくよく考えてみると飛び込んで死ねそうな
高さのとこって、間門側と発生伝のとこなんだよね。 やっぱり八つの聖人が祭ってある場所だけに
救いを求めてしまうのかもしれない。 くれぐれもプールの侵入はしないでね。
最近は遊びや冗談ではすまなそう(若年層もすぐに逮捕の時代)だから。 長々とごめん。
11 :
名無しかわいいよ名無し:2006/04/11(火) 00:24:56 ID:3TvALmBa
私は、本牧白い家に行ったことはありませんが、あの近くまでは来たこと
ありますよ!昔すかいらーく近辺をうろついたことありますので・・・もしか
すると本牧白い家の前通ってるかもしれませんが、多分通ってないと思いま
すが・・・・ずいぶん昔の話ですので正確には覚えてません。
ただあの辺、ウォーキングでうろついて、【あの辺高級住宅街で住みごごち
よさそうだな】と思っていましたが、ある方角に変な気配を感じておりました。
本牧の白い家がある方角だったと思います。
私、多少の霊感があるので、【この方角にそういう場所がある】というの分か
るみたいです。
友達の車に乗って、偶然打○橋とおったときでも、曲がりカーブで橋がまだ見えて
ないのに、300m手前から前方に嫌な気配を感じ、頭痛とこめかみと首筋に電気的な
シビレを感じ、橋に近づくたびにそのシビレと頭痛が強くなりました。橋の真下に
来たら、上から人が降りてきた気配を感じ後部座席に5〜6人の人の気配を感じました。
姿見えなくても振り向くとよくないので無視していましたが、橋から数百メートル離れて
ようやく彼等の気配は消えました。
そのとき、友達が車を運転し、私が助手席に乗っていまして、後部座席に誰一人座ってい
ませんでした。
【友達と一緒にある場所に行ったときも一箇所強い霊気を感じここら辺にいるかも?】と
思っておりました。そしたら、その場所にいることが後で判明しました。
元々肌で見えないものの気配を感じ取れる能力はあるみたいです。この頃徐々に霊視能力
開花してるらしく多少見えるみたいですが、あんまり見たくないので無視しております。
よく予知夢を見たりしてるので霊能力はあるみたいです。昔はよく幽体離脱していたみたい
ですし・・・
廃病院や廃校などの廃墟系は探検(wすると凄くドキドキして
楽しいけど、結局不法侵入になるからダメなんだよね。
県内にはスポットと呼ばれる所は沢山あるけど
おまわりさんを気にしないで、かつ心霊スポットらしい気配、ヤバサが
漂う所って中々無いよね。
俺が一番と思うトコは、スレ違いだけど夜の樹海。
ここは不法侵入にならないし、なにより危険な気配がかなりあって
ワクワクしつつガクガクブルブル出来る。ホントにお経も聞こえたし。
神奈川だと観音崎が好きだな〜。モチロン夜ね。
どっかに、不法侵入にならなくて
警察を気にしなくて良くて
ヤバイ雰囲気がバシバシ漂っていて、かつ探検し甲斐の有る
スポット無いかな?
あの場所を通り過ぎるときは、あまりチャンネル合わせないしてるというか、注視しないようにしてるんだけど、この前は凄かった・・・。
林道に入る橋の辺りから、もの凄い障気がぶわ〜っと一帯を包んでいて、いきなり強い吐き気に見舞われましたわな。
事故の現場に差し掛かったら、高速移動する影のようなものが横切るし、エンジンの異音がするし。
帰りは帰りで、ハンドルをぐいっと強く引っ張られましたわな、川の方に・・・
いつも通り過ぎるたびに、なんらかの異変はあったけど、今までの中で一番に雰囲気が最恐、最悪だった。
印象としてはなんつうか、昇天してないというか、かなり強い迷いがありそうというか。
で、やっぱ気のせいじゃなくて、バキバキに現役なんですね
物理現象はやめてほすぃ((( ;゚Д゚))
∧,, ∧
(`・ω・´) 只今ぬるぽのラッキータイムです
U θU
/ ̄ ̄・ ̄ ̄\
|二二二二二二二|
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パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ
パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ
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( )】 ( )】 ( )】 【( ) 【( ) 【( )
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ノ ̄ゝ ノ ̄ゝ ノ ̄ゝ ノ ̄ゝ ノ ̄ゝ ノ ̄ゝ
弘明寺万村は昨年、日本テレビだかが取り上げて真実を放送して
昨夏は迷惑な肝試しがぐっと減ったんだよ。
確か、違法建築か何かが発覚して建設途中で中止。けれど、地主には
撤去費用が出せない。野ざらしにしていたらホームレスが入り込んで焚
き火でボヤというのが真実。ガス爆発というのは近くで実際にあった事故
がこの万村とゴッチャになった噂。
大体、元女子大寮だか万村だか知らないがそこでガス爆発で死んだとしたら
何故、誰が見ても建築途中の状態なんだ?近くの墓が死んだ人のものだとい
うが、どう見てもかなり昔の墓なんだが・・。結局、近く取り壊しするらしいよ。
え、じゃあもしかして風呂桶で腐ってるとか?
腹が破けてウ○コまみれで醗酵?
もしかしてそうかも・・・臭いがきつくなってきたような希ガス。
不在通知表は相変わらずドアに挟まってて、
大家さんが荷物預かってるから早く取りに来いってメモを貼っていて・・
去年の年末からだからもう三週間くらいこの状態なんだよねえ。
元相武病院は今は入れないようになってますよ。 夜間は電気ついてるし。 私も昔行ったことがあるのですがまじで怖い・・・ つーか素で幽霊っぽいのを見て、一緒に行った友達はぐあい悪くなってました。
もし行くのであれば止めないけど地元住人に注意してください。 通報されます。
行き方はまずサマーランドから八王子インター方面に行くと山を越えます。坂を下った信号を右の細い道に入って左側を見てればわかりと思います。
去年の夏一人で旧旧吹上いった時、うしろから女の人の声が聞こえた
すごい寒気がした
「ねぇ」って言われたはっきりと聞こえた
うわっでたっとビビリ過ぎて走ってトンネル引き返して
さらに走った
そして立ち止まって振り替えると 超巨大なスズメバチが。。
5センチぐらいあった
動かなければ大丈夫と思って立ち止まってたら・・・
顔の前で止まった
あまりの迫力と異常な恐怖でひたすら走った 走った コケタ ずさー
水溜まりに直撃
泥だらけになってハンベソで帰りましたとさ
ある意味あれは呪いだったのだと今でも信じてる( ̄□ ̄;)!!
首なし地蔵…道了堂跡地に行ったことがあるんだが。
俺は最近まで勘違いしてたんだ…。
行ったことある人なら分かると思うけど、
あそこは一言で言うと"山"になっていて、
住宅地から階段を上り、林道を2〜300m歩くと又階段ある。
それを上ると、今まで鬱蒼と茂っていた木々がポッカリ無くなり、頂上、道了堂跡地となる。
そこだけ月明かりに照らされて不気味だったのを覚えてる。
で、首なし地蔵なんだけど、堂跡のすぐそばに在った。
一見普通の地蔵さんなんだが、よく見ると頭の部分があきらかに分離してて、乗っかってる状態だった。
それを見てガクブルっときたので、目的の首なし地蔵見れたし、逃げるように帰った。
…それで、何が勘違いだったかと言うと、どうやら俺が見たのは本当の首なし地蔵ではなかったらしい。
写真付きの心霊スポット紹介HPでも、俺が見た地蔵さんの写真が
首なし地蔵とされてうPされてたんで、結構知らない人は多いかもしれない。
首なし地蔵についてなんですが、
自分は山道の下にある住宅地に住んでいました。
まぁあそこは、正直言って霊感的に大したことないです。
山道の遊歩道が真っ暗なので、変質者や小動物がたまにいます。
また、道を誤ると変電施設に入ってしまいます。(私有地です。注意して下さい)
それよりも、昨日、おいらん淵の上流に行ってきました。
久々に、かなりやばかったです。
デイリー読売に載ってたけど、世田谷一家殺人事件の犯人が着てたシャツは、聖蹟桜ヶ丘のOPAと京王八王子のデパート
で売られてたモノである可能性が高いらしい
サイズがでかいから、それぞれ数枚しか売れてないようだ
ってことで、警察も再度その周辺を捜査してるようだ
犯行当時は住んでのかもな
一体、何者なんだろうなぁ・
うん、聖蹟の駅前交番前で犯人のコスプレした警官がビラ配ってたよ。
すげー大がかりでビクーリ。
まちB聖蹟スレでは永山のマンホール殺人事件(未解決)
との関連性まで指摘してる人がいた。
八高線の多摩川を渡る橋の下。
昭和45年に列車の落下事故があって多数の死者がでた。
遺体は近くの小学校に安置されたが、そのまま川に残っている死体もあったそうだ。
で、昔多摩川で泳いで遊んでいた際、
子供達がよく足を引っ張られて川に引きこまれたりした。(友達経験あり)
今となっては、よくそこで遊んでたと思う。
よくカップルが夜間その近くの駐車場でHしてて、ユーレイを見てびっくりしたとか。
(現在夜間車両通行止め)
今も、犬の散歩で近くを通るが、川原までは行けない。
この間の3月28日に猫が家の前にいた。
触っても逃げなかったので
とりあえず家に入れてみた。
猫を家においたまま
自分は猫餌を買いに行った。
帰って来て
すぐに猫缶を与えてやった。
猫缶を食べ終わると
猫は家でくつろぎ始めた。
自分はしばらく放って置いた。
4,5時間たった時
猫が窓の所で鳴き始めた。
行くのか・・・。
1人暮らしで寂しいオレは
窓を開けながら言った。
『いつでも来て良いからな・・・』
猫はスッっと窓から出た。
急に猫は後ろを振り返った。
『猫缶用意しとけよ』
そう言って走り去った。
嘘みたいだが本当の話。
猫は未だに現れない。
私はマンションで一人暮らしをしているのですが、ドアチェーンをかける習慣がありません。
ある日、何となく「今日はチェーンをかけておこう」と思いチェーンをかけて寝ました。
次の朝、携帯に、
「なぜ昨日はチェーンをかけていたんだ?」
と知らないアドレスからメールが…
来ていたら怖いなぁと思いました。
携帯からスマソ。この間山にある学校の施設に勉強合宿に行った時の話。
やっぱ勉強合宿っていっても皆一緒だとどーしてもふざける人がいるんですょ。注意してもしばらくしたらまた話始めるの繰り返しでちょいキレて机強く叩いて他の空いてる部屋行って一人で勉強してた。
最初は怒りでわからなかったんだけどソコなんか気持ち悪い雰囲気で…でも今更戻れないw
2時間位勉強してたらかな?カチャカチャ音が鳴り始めた。けど勉強に集中してたから特に気にならなくてスルーしてた。
そしたら音が段々でかくなったのよ
バキッ!ダンダンダンッッみたいな
その時調度東大の数学の問題がもう少しで解けるっ!って時だったからマジでムカついて音に対してブチ切れて「ゴルァァァ!うっせーんだよ糞がッッ人が勉強してる時にマジふざけやがって!!」とか言ってたw
そしたら音が止んだ。
私スゲーと思って勉強再開しようとしたら棚にあった箱がいきなり落ちてきて、中に入っていた画鋲が辺り一面に散乱した。この部屋には私だけだから片付けないとやばいと思い渋々片付けてたら…
背中をボンッて何かに押された。
それまでなにも気にしてなかったんだけどさすがにビビって早く皆の所に戻ろうと思って速攻片付けた。んで部屋でようとしたらドアが開かない。
鍵なんてない。しかもただの横にスライドさせるドア。勿論なにも挟まってない。なにがなんだかわからなくてとにかくドアを開けようと踏ん張ってた。もう半泣き。
そしたら背後に気配が…なんかブツブツいってる…絶対振り向いちゃいけないって感じ。
マジやばいって思って恐くてもうドア叩きまくって叫んで皆を呼んだ。それで皆気付いて来てくれたんだけどそしたらドアがガラッと普通に開いた。
皆、どうしたの?って感じで、安心して大泣きしてしまいました。それでとにかく部屋戻ろうってなって行くときにチラッとあの部屋みたら、いました…
変な女が。
しかも笑ってる。
てか私目が悪くて裸眼だと1m以内じゃないとはっきり見えないのに10mは離れていた女がはっきりとみえました。
今日の朝の話
ベッドから起きたら畳一面が天道虫のサンバだった
まあ、文章にしてみると怖くないが、想像してみて貰えれば俺の恐怖を僅かながら体験してもらえるかもしれない
今思い出しても身震いする体験です。確実に夢だとは思うんですが。
学生時代に一人暮らししてました。金なんて全然無かったから
1Kの古いアパートだったんですが、そこは玄関入って直ぐ右手に
狭いキッチン、左手にユニットバス、それで奥が6畳の部屋に
なってたんですね。
で、ある日結構遅い時間(午前1時過ぎぐらい)に自宅に戻って、
風呂入るの面倒だなーとか思いつつしばらくテレビ見てたんですが、
やっぱり疲れてたらしくてそのまま横になって眠っちゃったんですよ。
何時間ぐらい経ったのか解らないけど、ふっと目が覚めた。
部屋の中は真っ暗。しばらく状況わかんなかったんだけど、
「あーそうかテレビ見たまま寝ちゃったんだな」って段々飲み込めてきて。
ベッドで寝よかなあ、でも面倒だしなあ、ってボーっと考えてる内に、
(それにしてもさっきから聞こえてるこの音は何だろう)と考えた。
部屋のどこからか変な音がするんです。
コウモリみたいな小動物がキーキー鳴いてる感じの。それも今にも
死にそうなぐらい弱々しい。
(何だこの声)とか思ってる内に段々目が冴えてきて、その内にちょっと変な事に気づいた。
(あれ?そういえばいつの間にテレビ消したっけ?確かテレビつけたまま寝たのに。)
変だなと思ったんですが、その内にもっと変だと思った。
そういや部屋の電気も消えてる。消した記憶は無いのに。
(おかしいな?)って思って取り合えず起き上がったんですが、その間も何かキーキー聞こえてくるんです。
何の音か気になって何気なく玄関の方を振り返った。
そしたら、そこに見えたのが。
玄関ドアには下の方に郵便受けがついてるんです。
そこから細い手首の先が覗いてました。片方だけの手首が爪を立ててドアを上下に引っかいてたんです。
硬直している自分の目の前で、「キー・・・キー・・・」と2,3回ゆっくり縦に引っかいた後、手首は
郵便受けの外にスッと引っ込みました。
色の濃いマニキュアをしていたのははっきり覚えています。女の手でした。
もうこっちはその間全く動けませんでした。訳が解らなくて。
その後我に返って慌てて外に出てみたんですが、もう誰もいません。
ドアを閉めて郵便受けの下を見ると、確かに爪で引っかいたみたいな筋が残ってました。
めちゃくちゃ気持悪くて、もうその後はすぐに引っ越しました。
これは俺が先生のグループに入って体験した事で、一番厄介な件。そして俺が霊感モドキを手に入れた時の事。
ある日、トモヤ(俺が先生と知り合うきっかけになった奴)が、集い場(心霊スポットの事。俺たちはこう言ってた)
を見付けてきた。夏だし、皆で行ってみようかーって話になって、ワゴン持ってる先輩、ハタさんに連絡して
やっぱりいつものメンバーで行くことになった。
夜になっても暑くて、俺はトップスはタンクトップだけで行くことにしたんだけど、後々後悔することになる。
夜中になり、十二時を過ぎた頃にハタさんの車が来た。
メンバーは先生、俺、ハタさん、トモヤ、ユウ(女の先輩)さんのいつもの五人。
今回の集い場は山の中にある廃ホテル。ちょっと前までは結構有名だったらしい。
それを聞いて先生は、
「怖そうだね〜」
っていつも通りふにゃふにゃ〜っと笑ってた。
そしてホテルに付いた。結構大きめ?の洋館みたいな感じ。それを見てハタさんが先生に聞いた。
「居る?」
「居るね〜。結構凄いよ。【隠れる人】が窓に何人か。あ、【潜む人】が居るかもしれないから変なの触らないでね〜」
と言ってまたふにゃふにゃ〜。
でも先生の口ぶりからすると、それなりヤバイっぽい。少し緊張しながら中に入っていった。
三階建てで、横に広い変なホテルだった。少し探し回ったけど、何も無い。
ハタさんが何もねーじゃんかーなんて言ってトモヤを懐中電灯でこづいたりしてた。
一階、二階を歩き終わって、三階歩いてる途中、先生が言った。
「この部屋……」
ホテルの一部屋。先生がその部屋の扉を見て言った。
「何か居るみたいだけどどうする〜?」
入る事にした。
何分か待ったけど、何も起きない。皆で休む事にした。
ハタさんは煙草を吸って、先生は煙い〜ってふにゃふにゃして、トモヤとユウさんが何かを喋ってる。
俺は窓から外を見ていた。
そしたら、
肩が急に重くなった。【掴まれ】た!そう感じた途端に、部屋の中からがりがりがりがりと音が響き出した。
がりがりがりがりがりがりがりがり……がり
音が止む。
次の瞬間。腕、右拳がはねあがった。
窓ガラスを破った。意識に霧がかかる。音は聞こえない。
次には肘がはねあがる。割れた窓ガラスの枠に残ったガラスにぶち当たり、砕いた。
意識はまだ鈍い。立っていれない。
倒れこむ。途端、感覚が戻ってきた。
皆がよって来る。
どうした!おい!大丈夫!?
声がかけられて
右腕がはねあがった。右手と肘か熱い。血が跳ねた。
右腕はびちびち動き、何かを掴もうとして、手を広げ、閉じて指がぐにゃぐにゃと動く。
ハタさんが右腕を押さえようとした。
けど無駄だった。右腕はハタさんをはねのけた。
瞬間、ごきりと体の中で音がした。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
絶叫した。親指がどうにかなった。それでも指はうしゃうしゃとうごめく。
もう駄目だ。痛すぎて意識が飛びそうになった瞬間、先生が走ってきた。
先生は小さい刀、ナイフくらいの刀を右手に持ち、俺の右腕を斬りつけた。
瞬間、右腕が動きを停めた。そして意識が飛んだ。
起きたのは、椅子の上だった。ぎっちりギブスで右腕を固められて、長椅子の上に寝そべっていた。先生に膝枕されて。
「あ、大丈夫〜?」
先生はふにゃふにゃ笑った。それを見て、生きてるんだな、と実感した。
「俺、どうなったんすか?」
「右手の親指を脱臼、手の甲と肘をばっさり斬って、掌も少し切ったみたい。合計18針縫ったらしいよ〜」
「……俺、どうしたんすか?」
「【掴む人】に【掴まれ】て右腕を【握られた】んだよ」
「……【掴む人】はどうしたんすか?」
「斬ったよ。バサ〜って」
その後、皆が来て心配してくれた。その後でハタさんに家に送って貰い、眠りについた。
一週間、ずっと家に居た。先生やトモヤ、ユウさんハタさんが交代で泊まりに来て、世話をしてくれた。
その時、先生に色々具体的に聞いた。
右腕がなくて、指を口にくわえた【掴む人】だったらしい。その【掴む人】は、左腕を俺の右手に入れて
(その左腕が俺の右腕の中にずぶずぶ入ってたらしい)俺の右腕を【握った】。それを見て、落とせる人
じゃないと感じた先生は【意付け】された小刀(刃は削ってあって、実際は斬れないヤツ)で【掴む人】を斬り殺した。(意付けとかの言葉は、後で説明したい)
俺は完治するまで2ヶ月の怪我(中指の健が切れてた)をして、さらに三ヶ月のリハビリをする事になった。
この件があってから、何かヤバイものが近くに居ると、右腕がビクッとなるようになった。
怪我をして、霊感モドキを手に入れたワケです。得したんだか損したんだか。
>>1 決め事も守れん豚は屠殺場行って氏ね!
このクソ豚が!
ここハ桜の木の下デス
君はスグそコにイマす
口を合ワせるにモ口がアリマセン
抱きしめるにモ包丁ガ邪魔です
口は僕ノヲあげましょう
包丁は僕ガ持ちマシょう
真っ赤ッカ真ッ赤ッカ
僕はまっかになル
綺麗にキレイにきれいになる
赤くてアカクテあかくて赤クテ
何だかスごい涙がデる
体中から赤イ涙ダ
君モきれいな涙ヲ流す
どうシテ君は笑ッている
どウシて君ハ笑っていル
僕ハこんなに泣いテいるノに
桜はマッカに染め上ゲる
桜ガ真っ赤ニ染め上げる
中1の時、学校から帰宅してるとボロい家の前を通った。
玄関の戸が開いてたので何気なく見ると
首の無いおばさんが立って手招きしてた。
近寄ると「あがっていけ」とゆうように
俺の手をつかんで引っ張り、居間に連れてかれた。
座ってると首の無いおばさんはお菓子と牛乳を持ってきた。
お菓子は少しカビてて、牛乳はぬるかったけど
我慢して食べた。
食べ終わると、首の無いおばさんはまた俺の手をつかんで、
今度は風呂場に連れてこられた。
風呂場はものすごく汚くて入りたくなかったが、
渋々入り、体を洗ってると首の無いおばさんも
服を脱いで入ってきた。
俺は怖くなって、風呂場から出て、おばさんを
風呂場に閉じ込め、急いで服を着てると
「ドンドンドン!」と扉をおばさんは叩いた。
靴が隠されてたので、裸足で家まで逃げ帰った。
ー1−
幽霊の話しでは無いのですが、7〜8年ぐらい前のこと、
SEの仕事で小さな旅行会社に派遣されました。
社長は女性で経理と内勤の女性、営業の男性二人の会社でした。
女社長は40過ぎぶらいでしたが、背が高く、かなりの美人で
面倒見が良く、出張に行ったぐらいでも社員全員にお土産を買って来たリ、
高級料理店などに良く連れて行ってくれるような人でした。
私の仕事は新しく入れ替えるパソコンの設置と使い方指導で契約は3カ月。
旅行業務に関してはノータッチでした。
仕事について、一週間ほどした頃、不思議さを感じ始めました。
電話は日に数えるほどしか無く、営業が出てしまうと私以外は暇で
女性だけでお茶を飲み、雑談しているサロンのようなんです。
社員の話しでは、女社長の旦那さんが急死し、奥さんが社長を引き継いだとのこと。
その時、会社で掛けていたものと、個人で掛けていたものとで
女社長は億単位の保険金を手にして、会社は道楽でやっているようなものと。
旅行のお客なんて、週に1件あるか無いかです。
ー2−
1カ月ほど過ぎたころ、ツアーで行ったお客さんが旅行先で亡くなりました。
死因はもともと持っていた持病が悪化してとのことで、
旅行会社に責任は一切ありませんでした。
しかし、もしものことのために旅行会社では旅行に行く人に保険を掛けているんです。
保険金が下りたことで、遺族にお見舞金として、旅費全てを返しましたが
それでも会社が儲かるほどです。
そんなことが、1カ月間の間に3件も起こりました。
全て旅行会社の責任では無く、病気がちなのに家族が反対しても無理して行ったとか
自由行動で現地の屋台で食べたものに当たって食中毒で死亡とか。
その度に会社は潤います。
女社長も自ら見舞金を持って行くぐらい、人柄の良い人でした。
ー3−
一番恐かったのは2カ月目に入ろうとした時です。
出張でケニアに行った40代後半の営業マンが脳梗塞で倒れ、
現地の医療では間に合わず帰らぬ人となってしまいました。
取締役をしていた方だから会社としてかなりの保険金が掛けられていて
会社としてはウホ状態。
保険金殺人を疑いましたが、パソコン管理は全て私がやっていて、
そのような現地とのやり取りも一切無いし、出来ることも無い。
社員たちも恐がってしまい、辞めようとする人たちも出て来ました。
お客さんが現地で死亡も相変わらずあるんですから。
以前の旦那さんの時代にはこんなことは一切起こらず
奥さんが女社長になってから連続しているそうです。
私も恐くなり、派遣会社と相談して3カ月の契約でしたが
2カ月で辞めました。
優しい顔をして、知らず知らず人の生き血を吸っている人は
本当に存在するんだなと実感した恐怖体験です。
二年前の9月くらいになると思うけど、その時期異様に性欲が溜まっていた。だけど彼女居ないし一人で抜く以外方法が無かった。
いつもの様に携帯でエロサイトを探していた。そのうちに画像付き日記を見つけた。
顔が好みでかなりエロい格好をしたりしてて、しばらく世話になろうかなと思いお気に入りに入れて早速全体を見てた。
はっきりとした画像ばかりでかなり抜けた。んで、抜いた後は普通に日記見るようにしてたんだけど、その内日記の方が気になるようになって半年間見続けた。
やがて内容がローテンションな物になってきた。感情移入してた俺としては何かあったのかな?と気になってた。
そして翌年4月、毎日続いていた日記と裸の画像が途切れた。HPが無くて問い合わせようが無かったが、最後の日付の日記を見たら
「私は追われているらしい。昨日も誰かが私の部屋に入っていた。こんな事やってるから誰か私に気付いたのだと思う。明日警察に行きます。」
と書いてあった。正直綺麗だしストーカーが張り付くのもおかしくなかったが、何故日記の読者に限定してるのかが気になった。
それから1ヶ月更新が無かったがある日画像だけが更新された。
写っていたのは確実に目玉。この板見てたんでグロ画像には耐性があったが、何故いきなりなんだろうって不思議だった。次の日には胸、次は耳という感じで鼻、両腕、性器、両足、爪、、そして髪。
だんだん怖くなってきたがどうなるか気になったので続きを見た。最後には日記が画像付きで書いてあった。
「お前等の好きな恵美(仮名)はこの通りだ。俺はコイツを誰にも渡さない。安易にも誕生日がパスワードだったからすぐに晒すことが出来て嬉しいぜ。」
最後の画像はバラバラ死体を前に笑むマスクを被った男。
ちょっと待て…通報しなきゃ駄目だろ、と思いすぐに通報しようとしたが、日記に〜では信じてもらえないと思い、警察署に直で行く決心し、そのまま向かった。
そして警察に着き事情を話してURLを教えた。すると、自分が見た最後に写っていた男とバラバラ死体の画像が変わっていた。
男の生首画像に…。
その後すぐに対応して貰え、住所まで割り出せた様で事情を聞いてみた。すると男性と女性の遺体が見つかったらしい。
俺には謎が2つあった。何故男性が死んだのだろうか…という事とその日記が削除されていない事。
まだ謎は解けてないけど全て実話ですんで。
「眠り稲」
祖父が未だ子供の頃の話。
その頃の祖父は毎年夏休みになると、祖父の兄と祖父の祖父母が暮らす田園豊かな山麓の村に両親と行っていたのだという。
その年も祖父は農村へ行き、遊びを良く知っている当時小学校高学年の兄と毎日毎日、朝から日が暮れるまで遊んでいた。
ある日、田んぼ沿いの道を兄と虫網を持ちながら歩いていた。
幼かった祖父は眼前に広がる見事な青々とした稲達に感動して、思わず「すげえ、これ、全部が米になるんか」と声に出してしまったのだ、すると「そうじゃ、この村の皆が一年間食べる分じゃ」と言いながら祖父の麦わら帽子に手を置いた。
しばらく二人でその景観を見ていると、不意に兄が口を開いた。
「なあ、健次(祖父の名前)『眠り稲を起こすな』って知っとるか?」
突然の質問に祖父は戸惑いながらも首を左右に振った。
「『眠り稲』はこの村に伝わる合言葉みたいな物でな、『稲が眠ったみたく穂を垂れても、病気じゃないから変に心配はせんでいい』っちゅう意味らしいんじゃ」
へえ、と祖父は驚きと納得が混ざった様な返事をする、この稲が全部眠る事があるのかと思うと、なんとも言えぬ不思議な気分になったという。
その夜、晩飯を食い終わり、祖父が縁側で心地よい満腹感を感じていた時、不意に兄から声がかかった。
「健次、花火せんか?」
振り向くと大きなビニール袋を掲げた兄が立っている。
祖父はすぐに「うん」と返事をした、この年の子供達は家の中では常に退屈している様な物である。
二人は履物をつっ掛け、「ぼちぼち暗なってきたから、気ぃ付けえや」の声を背に外へ出て行った。
田んぼ沿いの道を、花火を持ちながら歩く。
赤や黄の火花に見とれながら、度々着火の為に止まる。
そのまま一帯を散歩しようかとなっていた時だった。
祖父が特別大きい花火を喜んで振り回していたら、近くの民家の窓が開き、祖父さんが怒鳴った。
「くらあ!餓鬼共!そないな物振り回して、稲が燃えて駄目になりでもしたらどないしてくれる!」
いきなり知らない大人に怒鳴られて、祖父は勿論、兄もびっくりし、涙目になって逃げだしたという。
祖父は今でも、家に帰り着いてから兄が
「糞親父、今に見とき」と呟いたのを覚えているという。
――深夜、祖父は自分を呼ぶ声で目を覚ます。
目を開けると、徐々に輪郭を持ち始める闇の中に兄の顔が見えたという。
「なあ、面白い事考えたんじゃ」
一体何をこんな夜中に思い付いたのだろう。
「今からあの糞親父の田んぼ行って、案山子を引っこ抜いたるんじゃ、健次も来るか?」
祖父は余りに驚き、必死で首を振って拒否した。
「そうか、行かんか。それでもええんじゃ、けだし、大人達には俺じゃって事、ばらしてくれるなよ?」
祖父は頷いた。
兄は一人で行って来るのだろうか?
兄が部屋を出て行く気配を感じたのを最後に、また祖父は深い眠りに落ちて行った。
――翌朝。
何か悪い夢を見た気がする。
祖父は目を擦りながら家族が待つであろう一階へ降りた。
異様に静かだ。
というより、誰もいない。
祖父は嫌な予感がした。
兄が取っ捕まったのじゃないだろうか?
寝間着のまま急いでわらじを履いて外へ駆け出した。
田んぼ沿いの道を、走る。
やがて例の農家が近付くと、異様な人だかりが見えた。
嫌な予感はますます強まり、人だかりを必死でかき分けて祖父は田んぼを見たという。
――そこには、案山子があった。
いや、それは兄だった。
両足を田んぼの泥に突っ込み、両手をバランスでも取る様に水平にしている。
口からは涎が垂れ、目の焦点はあってない。
「兄やん……?」祖父はそう言うのがやっとだった。
家族は兄を家に引きずる様にして連れ帰り、深刻な顔で話始めた。
「眠り稲を起こしよったな…」
「あれは気が触れてしまってるのう…」
幼い祖父にはなんの事か分からない、結局祖父には何も分からないまま、その年は早く地元へ帰り、もう毎年兄の住む農村に帰る事はなくなったという。
「眠り稲を起こすな」
この言葉の真意を、祖父が知ったのは、兄の葬儀の為に最後に農村へ帰った時。
これが意味するのは、決して稲が穂を垂れても〜という事じゃない。
『草木も眠る丑三つ時、田んぼに行ってはならない』という村の暗黙の了解の様な物だったのだ。
丑三つ時の田んぼに行った兄、タブーを犯してしまった兄にあの夜何が起こったのかは分からない、もしかすると化け物に襲われたのかもしれない。
とにかく、人間には想像すらできない様な正体を持つ伝承は、日本のあちこちにひっそりと息を潜めているのだという(完)
去年就活で東京行ったときに、渋谷駅の何口か忘れたけど
出て携帯で地図を見てたのね。
そしたらすぐ近くによくいる派手な占い師風のおばさんと2人のおばさんが
3人でなんか話し込んでるのね。立ったままで。
普通占いって座ってやるもんだし立ったままでなんか異様だなーと思ったんだけど、
気になったから携帯見てる振りして近づいてチラチラ横目で見ながら
その人たちの会話を盗み聞きしてたのね。
でも近づくのには限界があったし昼間の渋谷駅前の人ごみの中じゃ
ざわざわ周りの騒音がうるさくてほとんど聞き取れなかったんだけど。<続く>
でも、どうやら私に一番近くてこちらに背を向けてるおばさんが
向かい合ってる占い師(風)のおばさんになんか相談してるらしいことはわかった。
やがて、占い師(風)のおばさんが言った言葉が断片的に聞こえた。
はっきりとは覚えてないけど、「あなた、自分でも気づいてるんでしょう?」
とか、そんな感じだったと思う。
なんとなく、占いのアドバイスとしてはヘンな言い方だなーと思ったけど、
あまりブラブラしてる時間もなかったしその辺で諦めてその場を離れた。<続く>
そのあと、家に帰ってから昼間の渋谷でのできごとを思い出したとき、
あの占い師風のおばさんの台詞も含めて、なんだか異様な、ひっかかる感じがしていた。
それって、どうやらあの3人目のおばさんのことなんだ。
占い師風のおばさんと相談してるおばさんのほかに、もう一人あの場にいたおばさん。
ものすごく背が高くて、顔はいわゆる「不幸顔」とでもいうか…。
この世の不幸を全部背負ってるかのようなものすごく暗い顔だった。
だから、最初あの3人を見たとき、
「うわー、いかにもこんな怪しい占いにひっかかりそうな感じの人だな〜」って
思って、何も考えずにその印象だけで相談してるおばさんの連れだと思い込んでた。
<続く>
でも、よく考えてみたらその不幸顔のおばさんはあの場で一言もしゃべってないわけ。
一言もしゃべらずに、ただじーっと、相談してるおばさんの方を見ている。
ん?
相談してるおばさんの連れで、占い師のアドバイスを一緒に聞いてるなら、
占い師の方を見るはずだよな…。なんで、おそらく自分の連れの、
相談してる側のおばさんの顔を見てたんだろ…?
しかも、もうひとつおかしいことに、あの占い師のおばさんも、相談してるおばさんも、
どっちも、あの3人目のおばさんのことを全然見てなかった。
まるで、目に見えない存在であるかのように…。 <続く>
で、思ったんだけど…
あの3人目のおばさんって、実は人間じゃなかったんじゃないかって。
そして、占い師のおばさんも占い師ではなくて霊能者だったのかも。
あの「あなた、自分でも気づいてるんでしょう?」という謎の台詞は、
「あなた、自分に憑いてるモノに気づいてるんでしょう?」
という意味だったんじゃないか?
もしその想像が当たってるなら、あの3人目のおばさんは一体なんだったのか。
異様な背の高さと、見たこともないような暗い顔をしたあのおばさんは、
幽霊っていう感じではなかった。幽霊って少なくとも姿は人間でしょ?
あのおばさんの異様な背の高さと暗い顔は、人間っぽくはなかった。
たぶん、いわゆる「貧乏神」とかそんな類のやつだったんじゃないかとなんとなく思う。
なんか書いてみたら全くの想像というか妄想にすぎないな。
しかも怖くなくてごめん。
でも、あのおばさんのものすごく暗い顔は、今でも異常に脳裏に焼きついてるんだ。
まだ俺が高校生だった頃
部活合宿の帰りで駅に向かい、電車を待っていたんだがなぜか時間を大幅にずれ越しても電車が来ない
何事か?と思っていると「ただ今人身事故が発生した為、電車がストップしております」の放送が
その後の放送では運行再開まで最低でも30分は掛かる、との事だったが
駅周辺に暇を潰せそうな所も無く、仕方なく俺と部活仲間は駅構内で運行再開を待つ事にした
それから何分か経った時、皆喉が乾いたんで俺が代表で自販機に飲み物を買いに行く事に
そして自販機のある入り口付近に行った時
駅の入り口から凄く鮮やかな紫の着物を着た女性が多少息を切らせて入ってきた
着物とは珍しい、と思いつつもあまり視線を向けるのも失礼と思って目を逸らし
ジュースを買っているとまた繰り返しの「ただ今人身事故が〜」のアナウンスが
いいかげん何度も流れていたアナウンスだったので聞き流していたんだが
そのアナウンスに紛れて聞きなれない、というかその場にあからさまにそぐわない言葉が耳に入った
「ハハ、上手くいった」
その声が女性の物だった事もあり、つい先ほどの着物の女性に視線を向けると
その女性は着物の袖口で口を覆う様にしながら、駅構内から出ていく所だった
俺は情けない事に呆気に取られるばかりで、女性を追う事もその言葉について問う事も出来なかった
あの時の「上手くいった」がなにを意味するかは正確には判らないが、あの侮蔑交じりの声だけは今でも耳に残ってる
大正4年みぞれが降り始めた11月のなかば過ぎ、池田宅へ夜明けとともに巨漢のヒグマが現れ、
つるされたトウキビを食いあさった、馬が暴れだしたため熊はトン走。
ただちに二人の鉄砲撃ちを頼んで待機させていると11月末夜8時、またもやヒグマが現れたので発砲する、
急所ははずれたが、したたる血痕を確認した。
これが事件の発端。
このあたりは北海道の中でも最も開拓が遅れていた地域だったため、狸、狐、熊などの出没は日常茶飯事。
それより河へ氷橋(すがばし)を架けて、収穫物をそりへ載せて町へ運ぶ大切な時期だった。
したがって日中は家に居るのは老人、婦女、子供しか残っていない。
12月9日午前10時半頃、太田家の軒先に吊るしてあったトウキビを食おうと巨漢のヒグマが近づく、勢い余って壁を破りぬっと顔を出した。
昼飯の準備をしようとしていた女一人と子供一人が驚いて絶叫。
それに逆上した熊は中へなだれ込んだ。子供は爪で叩かれ喉の肉がそぎ落とされ、右頭部に親指台の穴がぽっかり開くほど齧られて即死。
女は燃えた薪を振り回し、あるいは投げつけ必死に抵抗しつつ隣の寝間へと逃げた。
追う熊はそこで一撃のもと女を叩きのめした。
飛散した血は周りの家具へべっとり張り付く。
それでも女は逃げようと草囲いの壁を必死破って逃げようとするが熊の力にかなうわけが無く、
森へずるずるとと引きずられていった
翌12月10日未明、30人の捜索隊を結成して女の遺体を収容しに林内へ入った。
150m進んだところで急に巨熊が飛び出した。
驚いた一行のうち5人の鉄砲撃ちが一斉に引き金を引く。
ところが3丁が不発。まともに玉が飛んだのは1丁のみ。
熊は怒って反撃を開始。一行クモの子散らすように逃げ惑う。
逃げ遅れた鉄砲撃ち2人、危うく熊の一撃を食らうすんでのところで1人が長柄の鎌を振り回す、
一人は不発の鉄砲を構える。
ところが意外なことに熊はヒョイと向きを変えて、逃げ去ったのだった。
被害者マユの遺体はそこにあった、
血だらけの雪の中に頭部の一部と足はひざから下だけしか残っていなかった。
まさに昨夜から朝まで食い続けていたのであった。
一行は遺体を回収して引き上げた。
同日夜、犠牲者2人の通夜になんと獲物を取り返しに熊が現れる。
そして、もっとすざましい惨劇となるのである。
どうも熊がマユの遺体をとど松の根元へ埋め小枝と雪で隠していたところへ捜索隊と出食わしたらしい。
それで背を向けて逃げたのだった。
羆は獲物があるうちは立ち去らない習性があることを知っていた部落民は鉄砲や武器になる物を持って、
被害宅太田家の通夜へ集まった。
しかし殆どの人は恐ろしさのあまり姿を見せず親戚だけで通夜をしていた。
酒が充分いきわたった夜8時半頃、大音響とともにぬっと立ちはだかった黒い塊、
ランプは消え、遺骸がばらばらと床に散らばった。
「熊だぁ」の叫びに闇の中で悲鳴をあげながら右往左往。
男一人が外へ逃れ石油缶を叩きながら大声を発する。
我に返った中の男一人が鉄砲をぶっ放すとヒグマは森へ逃げ出した。
逃げ遅れた者達は狭い便所、小屋裏の梁にぶら下がっていた者いろいろ。
中には自分の妻を踏みつけて梁にぶら下がったものだから夫婦喧嘩の原因となり、
この珍事以降旦那は一生妻に頭が上がらなかったという。
危うく救援隊に射殺されそうになったものもいる、
腰を抜かした男が真っ暗な部屋で立ち上がろうと自分の座っていたむしろを持ち上げたものだから、
熊と間違えられたのだ。
いち早く救援隊が来たのは隣家(300mの距離)で50人の救援隊が食事をしていたからだ。
騒ぎははっきりと聞こえていたので、「すわ、一大事」とばかり、
一斉に飛び出しこの太田家をぐるりと取り囲んだ。
しかしそのときは、すでにヒグマが去った後だった。
ともかく全員無事に一同ほっとする。
しかし、ヒグマは逃げてはいなかった、
900m離れた明景(ミヨケ)宅へ向かっていたのを、このとき誰も気が付いていない。
明景(ミヨケ)宅は川下へ900m離れ、
比較的安全と思われていたので、女、子供の非難場所にしていた。
川上で起こった太田家の異様な騒動を聞きつつも
「薪を燃やせ!火が有ればどんなヒグマも逃げてしまう!」
と誤った言い伝えを信じながら、
総勢10人は全神経を尖らせ夜の明けるのを待ち焦がれていた。
一方、太田家通夜の参列者は救援隊に救われ、一行とともに川下へ向かった。その途中誰しもがヒグマの気配を感じ始めた。
と、その矢先、進行方向から突然けたたましいしい叫びと悲鳴が沸き起こった。
日本史上最大の野生動物による惨劇が明景(ミヨケ)宅で起こったのであった。
実はこの夜、救援隊20人が明景宅に分宿、警護するはずだった。
方々から集まった隊員たちは200m川上の中川家へ食事に出かけ、
そして50人全員が太田家での騒ぎを聞きつけて飛び出しので、明景家が無防備となっていた。
何これオバ厨か?そこまで必死になるなよ
妻ヤヨが隊員のために夜食のカボチャを囲炉裏の大釜へかけ、
土間へ戻ったところ居間で物音と地響きがした。
ヤヨは「誰が何したぁ」と叫ぶが返答はない。
と同時に熊が窓を激しく打ち破り、囲炉裏を乗り越えた。
この乱入で大鍋がひっくり返り焚き火は消えランプも消え、真っ暗闇になった。
驚いて屋外へ逃げようとするヤヨに幼い次男勇次郎がとっさに片足へ絡みつく、
背中に四男梅吉を背負っていたから重心を失いヨロヨロとつんのめった。
熊はこれを逃がさじと背中の梅吉の足腰に噛み付き居間へ引き戻し、
前足の間へ3人を抱え込む、勇次郎はちょうど胸元にすっぽりはまった状態になった。
熊は馬乗りになって2,3度ヤヨの頭を齧る。
これにたまげた男オドは必死に逃げようと戸口へ、
これを見た熊は母子から手を離す、ヤヨは深手負いながら気丈にも勇次郎の手を引いて逃れた。
出口を熊にふさがれたオドは上半身を物陰へ隠す。
これに猛然と襲いかかり、右腰あたりの肉をえぐってしまう。
オドの絶叫に手を離した熊は、
恐怖のあまり泣き叫んでいた女、子供へ攻撃の矛先を向けた。
怯える男児2名を一撃の元即死させ、1名へ瀕死の重症を負わせる。
その時、野菜置き場でムシロをかぶって隠れていた臨月の妊婦タケがわが子の断末魔の叫びに思わず顔を上げてしまう。
すでに女人の肉の味を知っていた熊はこれを逃すはずが無く、ゆっくりとタケへ近づいた。
「のど食って殺してくれ!」
「腹を破らんでくれ(胎児を助けてくれ)」と何度も何度も熊に懇願し続ける。
絶叫中にも熊は噛み付き、肉を引きちぎる、ついにタケは気を失った。
巨熊は腹から胎児を引き出し、タケの上半身から食い始めた。
熊はこれに飽き足らず、すでに撲殺した子供達までむさぼり食った。
この夜早くに床についた長女ヒサノと少年力蔵は恐怖のあまり身動き出来なかったことが幸いして、
奇跡的に助かったのであった。
救援隊が踏み込んだとき、血だらけの胎児は動いていたと言う。
タケの願いが熊に通じたのか不思議にも胎児を食わなかったのだ。
後に顔面と頭部に30針を縫うほどの重症を負ったヤヨは子供二人とともに中川家へたどり着く、
その時はすでに救援隊は明景(ミヨケ)宅を包囲していた。
残したわが子を思うあまり人の制止も聞かず、我が家へ引き返して半狂乱にわめきたて、中へ入ろうとする。
それを静止した救援隊とて誰一人として踏み込む勇気のある者はいなかった。
救いを求めて泣き叫ぶ女、子供達、次々に起こる陰惨なうめき声、そして細く長く続く断末魔の叫び。
それが済んだら、骨を噛み砕く音、総てが人々の胸をえぐるようであった。
隊員から「もうみんな助からねぇ、小屋に火をつけろ」とか
「小屋に向かって一斉射撃をするべぇ」の声が上がったが、
ヤヨはもしわが子が生きていたらと必死になって、それを止めていた。
熊の足音だけが聞こえるだけの静けさになると、
鉄砲撃ち10名近くを入り口近くに待機させ、一人が空に2発放つ、予想どおり熊は猛然と出てきた。
近くにいた1人に襲い掛かろうとする、発砲、いやまたしても不発に終わった。
すると熊はするっと方向を変えて、軒下を歩き出す。
一斉射撃をしたくともこれではもし生存者がいれば危険。
そのうち夜陰に乗じて姿を消してしまった。
白樺の皮(ガンビ)に火をつけて中へ入ると、
血の海、隊員の中には吐くもの男泣きするもの。
むごたらしさに外へ飛び出し2度と入ろうとはしなかった。
唯一日露戦争経験者が重傷者を運び出したのであった。
結局この夜は4人が殺され、3人が重症を負い、ヤヨの願いを天がかなえたのか、2人が無傷で救出された。が、胎児と後年後遺症で死亡した2人を加えると死亡者計6人になる。
事件の北に位置する手塩に名のある鉄砲撃ちがいた。
年齢58歳、名前を山本兵吉と言った。
いつも軍帽をかぶり日露戦争での戦利品の銃を自慢していた。
大酒飲みのため酒代ほしさに鉄砲を質に入れていたが、
9日の三毛別での事件を知り「俺がいれば!」と鉄砲を確保してすぐさま出発していた。
12月12日早朝、討伐隊が組織された。
熊狩り本部は農家大川与三吉宅。
動員数の最高時で延べ270人鉄砲60丁に及んだ。
事態は急を要するために明景宅の遺体をおとりにする案が出され、
遺体を居間中央に集め、天井裏には頑強な梁を補強し決死隊を組織した。
中央に座したのは腕と度胸の山本兵吉、左右を1人ずつ固め梁の上に数人の布陣を引いた。
2日間半、死臭漂う中食事も小便も小屋内で済ませ対峙していた。
かの巨熊が何度か獲物を奪還しに来るが、
この罠を見破りどうしても小屋内部へ入ってこない。
12月13日、獲物を奪還できなかった熊は、
家族全員が避難して空き家になった10軒の家屋を次々と襲い、
鰊漬、穀類、鶏など手当たり次第に食い荒らした。
衣類を外まで引っ張り出し噛み裂く狼藉ぶり。
特に婦女の枕には執拗なまでの攻撃を加えた。
湯たんぽ代わりに暖めて使っていた或る婦人の石を噛み砕き、
自分の牙を折ってしまうほど女性の匂いに執着していた。
これには討伐隊の一同も「熊は最初に食べたものを生涯食す」
との言い伝えを目の当たりにし、唖然としたのだった。
兵吉老の話ではかって手塩で飯場の婦人を食い殺していたと言う。
この夜午後8時、
本部大川宅に近い三毛別川本流近くの対岸でわずかに動く黒い影を警戒中の本部隊員数人が発見。
この辺は切り株が多いので数えてみる。何度やっても1個多い。
もしかして帰ってきた鉄砲撃ちではないかと万全を期し「人か熊かぁ」
これを3度繰り返して叫ぶ。
何の反応もない。すでに構えていた鉄砲10丁、一斉に火を放つ。
この瞬間、黒い影は雪原に消えてしまった。
夜が更けていたこともあってその夜の追跡を断念する。
12月14日未明、隊員数人が対岸で巨熊の足跡と血痕を発見し、
逃走経路を本部へ報告、一同色めき立つ。行動が鈍くなり追跡しやすくなったのだ。
午前10時、腕利き鉄砲撃ち10数人で、
遠巻きにしてその後方に射手、勢子、アイヌ犬が続いた。
先陣の中にはあの山本兵吉がいた。
なにせ飛んでいるエゾライチョウ落とすほどの鉄砲の達人で、
またサバサキ(小刀)で熊を刺し殺したこともあるので
「宗谷のサバサキの兄い」と呼ばれていた。
いち早く山頂へ到達した兵吉は200m先に熊を発見。20mまでにじり寄り、
ハルニレの巨木に身を隠した。
負傷した熊はナラの木に掴まって山すその討伐隊を見据えていて兵吉には気がついていない。
時は来たれり、怒りの初弾を打ち込むとものの見事に命中。
これを見た隊員一同ヤンヤヤンヤの歓喜。
そのとき巨熊はすくっと立ち上がり、すごい唸り声とともに兵吉を睨んだ。
それっと後続の隊員たちが一斉に鉄砲を構える、
が、それより早く兵吉の2弾目の玉が発射されていたのだった。
一発づつの玉込め銃でなんと言う早業であったか。
指の間に次の弾丸を挟めていたのだった。見事に巨体を打ち抜いていた。
かくして魔のヒグマはばったりと倒れて、絶命した。
初弾は心臓近くに、2弾目は頭部をそれぞれ貫通していた。
見事な腕前だった。
人々はおそるおそる口からべろっと舌を出したヒグマへ近づき、
一人が棒で叩き始める、すると皆寄ってたかって蹴飛ばすやら、
上へ乗っかり踏みつけるやら中には肛門へ棒を突っ込むものさえ現れる。
恨みが爆発した瞬間だった。
今はその近くに立派な橋が架かっている、その名を「射止め橋」と呼ぶ。
そしてこの事件を忘却の彼方へ葬らぬよう、
古丹別町から現場までの道をベア、ロード名づけている。
射止め橋のすぐ側に住んでいた農家大川与三吉宅は当時比較的大きかったので、
我が家を討伐隊本部として提供した。
事件当時に7歳だった長男春義氏は無くなった開拓民たちの無念を晴らすために
犠牲者一人につき十頭の羆に復讐すると誓った。
長い年月を掛けてその後102頭のヒグマを射殺した。
事件のあらましは古丹別営林局経営課長であった木村盛武氏が
昭和36年から4年の歳月を掛けて関係者を訪ねてまとめた。
これがNHKの取材を受けることになり、
高齢となった大川春義翁が講演会の席上で
「えー」といった瞬間に倒れこみ息絶えた。
私が足を悪くして入院している
時に起きた話。
夜中に寝苦しさを覚えて、ふ
と目が覚めたのです。辺りはま
だ真っ暗で、他の患者さんは皆
寝息をたてて眠っている。私は
寝直そうと思い目を閉じたので
すが、急に足に違和感を感じて
目を開けてしまいました。思え
ば、閉じたまま眠ってしまった
方が良かったのかもしれません
布団がおかしいのかと思い、
上半身だけ少し起こして足元を
見ると、思わず顔が強張ってし
まいました。
爪先の辺りに見慣れない手が二
本ある…。
正確にはベッドの下から出て
来ている感じでした。最初は
第一関節だけ見えていたのが
次第に第二関節も見え始め、
まるで上に攀じ登って来てい
る様です。その手は何だか青
白く、爪はカナヅチか何かで
叩き潰されたようにグシャっ
と潰れていたのを鮮明に覚え
ています。
私は初めて、血の気が引く様
をリアルに感じました。怖く
て仕方なかったのですが、身
体が動かない訳でもないのに
食い入るように見入っていま
した。
ところが、攀じ登って来よう
とした二本の手は、手の甲ま
で見せた後動きを止め、その
まま微動だにしません。暫く
そのまま放心状態に近い形で
見つめていたのですが、ふと
我に返り異様な気配に気付い
て天井を見上げると、周りを
区切っているカーテンを吊し
てある金具の上に、先程まで
見ていた両手と、目から上だ
けを見せた何者かがコチラを
ジィっと覗いていました。
これはヤバすぎる!!
今になってやっと後悔したの
ですが、既に後の祭。このま
まだと呪われてしまうかもし
れない…等と考えていると、
カーテン上の何者かは一言…
『…ください…』
と、か細い声で呟いたのです
それを聞いた瞬間、私はめま
いを覚え、そのまま気を失っ
てしまいました。次に目を覚
ました時はもう朝で、同室の
患者さん達もいつも通り朝の
挨拶を交わしていました。
気になったのは、足元に黒く
長い髪の毛が数本落ちていた
事と、予定の退院日が延期さ
れてしまった事です。
その後暫く、私には何の変化
もありません。
稀に隣部屋から叫び声が聞こ
えますが、きっと気のせいで
しょう。
僕が彼に出会ったのは、高校1年生の時のことです。
一応政令指定都市ですが、都心ではありません。家から歩いて3分以内に何軒かコンビニはありますが、全部ローソンです。
小洒落た雑誌に載っている服を買おうと思うならば、30分電車に乗って遠出しなければなりません。
僕が育ち、彼と出会ったのはそんな街です。
彼は全くもってごく普通の少年に見えました。彼は黒田硫黄のファンなので、黒田くんと呼んでおきます。
高校1年生にしては背が高く、色が白くて肌が綺麗な、ちょっと優男風の見た目で、高校生らしく浮かれ騒ぎが好きで
ノリとテンションで生きているようなところがあり、よく喋るごく普通の同級生でした。
今お話しようとしている事件?を境目に、僕と時々話すようになるまではそれほど気になるというほどの存在ではありませんでした。
それは、体育祭の直後だった記憶があるので一学期の終わりのことだったと思います。
クラスの奴らの顔と名前もほぼ一致して、中学時代の友人たちとだけ、親しく話をする時期も終わった頃でした。
初夏の夜ももう更け、高校生が出歩くにはやや遅い時間、僕はその一帯では一番の繁華街を歩いていました。
理由は何だったかもう覚えていませんが、ちょっと何かを買いに出かけたのが存外に遅くなってしまった
といった程度の用事だったのだと思います。
片側二車線の道路の脇にしつらえられた歩道の横には、びっしりと灯りをいっぱいに点した店舗が並んでいます。
交差点と歩行者用横断歩道の周囲で途切れたところ、横断歩道を渡りきってすぐのガードレールに
腰を凭れさせるようにして、アコースティックギターを肩から提げて鳴らしている男がいるのを
僕は信号待ちをしながら眺めていました。
別段珍しいことではありません。その日も、そこへ差し掛かるまでに何度となく見た光景ですが、彼は声を張り上げて
歌を歌うでもなく、中腰になって全力でギターをかき鳴らすわけでもありません。
ただ、ガードレールに腰掛けて「ギターを鳴らしている」だけなのです。
どことなく、何かを待っているような感じだなあと思いつつ、横断歩道を渡りきったところでギター男の顔を見てみると
それはくだんの黒田くんでした。
彼は確かにクラスでもやかましい方ではあるのですが、熱心に音楽を語ったり、バンドをしている風の見た目でも
雰囲気でもないので、僕が面食らったような顔をしていると、あちらも僕と同じような顔をしています。
「バンドなんかやってるんだ?」と僕が言うと、黒田くんはちょっと照れたように笑って
「そうでもないんだけど、夜フラフラしてギターを弾くのが好きなんだよ」といったようなことを言っていました。
僕が持ち前の図々しさで何か弾いてみてくれ、とねだると、黒田くんはやっぱり少し照れたように笑ってから
カーペンターズの「sing」を弾いてくれました。
「ギターを弾くことはかっこいいと思っているけど、自分には到底無理だと思っている」平均的な高校生だった僕に
「おおー」「超うめー」と心から言わせるに充分な演奏を披露した後、黒田くんは「恥ずかしいから秘密にしといてくれ」と
やっぱり照れたように言って、僕はそれを承諾しました。
お喋りな僕にしては珍しく、黒田くんのギターのことを誰にも喋らないまま、夏休みに入ってすぐのことでした。
その頃仲の良かった友人から、肝試しに行かないかと誘われたのです。
オカルティックなものにさして興味のなかった僕がついていこうと決めたのは、当時好きだった女の子が
メンバーにいると聞いたからでした。
肝試しといっても、繁華街の真ん中の交差点で数ヶ月前に死亡事故があり、以来その下に亡くなった親子が立っているといった
「よくある」と言ってしまうにもありがちな噂を確かめにいこう、といった可愛らしいものでした。
少なくとも、その当時の僕たちには「可愛らしくて」「胸踊る冒険」だったことは確かです。
週末の夜、時間は11時を少し回った頃だったと思います。僕らは連れ立って件の場所へと向かいました。
繁華街の真ん中、交差点の脇、少しネオンが途切れたところ。
向かうにつれて、僕はそれが「黒田くんがギターを弾いていた場所」だったことを思い出しました。
高揚していた気分が見る間に萎えていきました。
本当に「出る」としたら、あんな場所で黒田くんがギターを弾き続けているというのもおかしな話です。
彼の性格ならば、もし何か見たとしたら次の日にはクラス中に話が広まっているはずです。しかも、尾鰭背鰭がたっぷりついて。
すっかり「肝試し方面」への興味が失せてしまった僕は、好きだった女の子の後姿でも鑑賞していようと視線を上げました。
彼女の髪の向こうに見えたのは、くだんの交差点でした。黒田くんのひょろっとしたシルエットが見えます。
やっぱり、何も出るはずないじゃないか。バカらしいな。
他のメンバーにとっては思いもかけずそこにいた黒田くんと、黒田君のギターにすっかり注目が集まってしまったのを尻目に
僕は完全に白けてしまいました。
「ここ、幽霊出るんでしょ?怖くない?」
「え、俺何も見ないよ。肝試しみたいな感じの奴ら、他にもちょくちょくここ通るけど皆白けて帰ってくもん」
幽霊なんて出ないよ、と笑う黒田くんにつられて皆が笑うわけですが、今度は逆に僕のほうが怖くなっていました。
「え」と言ってから「俺何も見ないよ」と続ける間に、彼は僕のほうを伺うようにちらっと見たのです。
黒田くんがここでギターを弾いているのを、それも恐らくは毎晩のようにここにいるのを知っているのは
その時点では僕だけだったのでしょう。
その僕を警戒するように見てから、「何も出ないよ」と彼が言った理由は分かりません。
それでも、僕は直感的に思ったのです。黒田くんは何かを知っていることを。
死んだ人っていうのは、自分が死んでること分かってなかったりするんだ。
分かる暇もなく死んじゃったりすると、呆然としてずっとそこに残っちゃったりする。
ただ、すごく大事なものだったり、すごく大事なことだったり、そういうのがあったことは覚えてる奴が多いんだ。
あそこにいたのは、小さい女の子の親父さんだ。女の子はいない。
親父さんは、「死ぬ」って認識する前に「大事な可愛い小さな娘が血を流してる」ことを心に刻んじゃった。
小さな娘の一大事の前じゃ、自分が死んでるなんてことは些細すぎるのかな。
娘を助けなきゃ助けなきゃとは思うけど、どこに助けを呼んでいいのか分からない。
自分たちの目の前をたくさん人が通っていくのは見えるみたいで、ずっと必死に助けを呼んでる。
でも、誰も振り向いてくれないんだ。たまに振り向いてくれる人がいても、皆怖がって逃げちゃうんだ。
それって、どんな気持ちなのかな。
あの親父さんは、この世で一番大事な命が自分の腕の中でゆっくり息絶えていくのを、ずっと感じてるんだ。
それって、どんな気持ちなのかな…?
俺があそこで何をしてたかって?いや、だからさ。親父さんとずっと話してたんだ。
たすけてくださいたすけてください、わたしのむすめをたすけてください、ってあの人泣きながらずっと言ってるんだ。
だから俺は、もうすぐ救急車が来ますよ、娘さんは助かりますよ……って。
何時間かそうしてたら、親父さんやっとありがとうございますありがとうございますって泣くのやめるんだけど
次の日行くと、やっぱり俺の顔見てたすけてくださいいいいいぃい!!って叫ぶんだ。
だから、毎日あそこにいる……。
気休めでしかなくても、いつかあの親父さんが娘さんはもう、「助かって」るんだって分かって傍に行くまで
出来たら一緒にいて、救急車呼びましたよって言いたいんだけどなあ?
そう言って、彼は電話の向こうでやっぱり困ったように照れたように笑いました。
別段目立つこともなく、本当にごく普通にクラスに溶け込んでいた黒田くんは、「目立つこともなく、ごく普通に」
することに対して、ものすごく骨を砕いていたように思います。
真夏の道端に何時間も「普通に立っている」ために、面白半分で来る僕らみたいな奴に「俺はずっとここにいたけど」と
ごく普通に言うために中学生の時に始めたのだというギターは、相当うまいと僕は思っています。
小学校の時、学校に夕方に忘れ物を取りに行った。
先生に教室の鍵を借りて、一人で向かった。
その教室は2階の一番端だったんだけど、忘れ物を取って鍵を掛けて、
ふと外を見ると、窓に黒い人影が半身だけへばりついていた。
「名探偵コナンの、犯人が分かってない時の犯人の描写」と説明して分かるかな?
とにかく真っ黒の人影に目だけバッチリ開いたやつ・・・
逃げるよりも先に固まってしまった。それから10秒ぐらい?
いきなり非常ベルが鳴った。ビクッとして、
後ろを一瞬振り返って、もう一度窓の方を見ると、
黒い影が全身を見せるかのように、横にスライドし始めた。
その瞬間危機感を感じて、 ベルが鳴り響く校内を、必死に走って職員室に向かった。
金属音が後ろでしたような気がしたが、気にしている余裕は無かった。
息を切らせて飛び込んだ職員室、先生が「どうしたの?」と声をかけてくれた。
そして教室の鍵をあの場所に落としてきた事に気がついた・・・
状況を説明すると、じゃ先生も一緒に行ってあげるから、と言われ、
嫌々教室へ戻った。非常ベルはもう鳴っていなかった。
もちろん黒い影などどこにも居ない。
ただ、あれがへばりついていた窓を開けて下を見たら、
真っ黒い液体が溜まっていた。
先生は首をかしげ、今日は家まで送ってあげるといってくれた。
あれから特に何も起こっていないけど、気持ち悪い体験だった。
これはウチの親父の体験談なんですが…親父はダンプの運ちゃんをやっていて、
日本各地に行脚して土砂やらスクラップを運んでるんですよ。
これは配車の都合でたまたま友人のダンプの助手席に乗っていた時の話なんですが。
ある国道の山道のトンネルを通っていた時、
半分うたた寝をしていた親父は友人の呼び掛けに起こされ目を覚ましたそうです。
「〇〇、見てみろ!」と尋常ではない様子で呼び掛けたので、
なんだ?と促されるまま身を乗り出して運転席側のサイドミラーを覗いてみると…ダンプの側面の、
荷台に登るためのハシゴの少し後ろあたりに白い服の女が張り付いていたそうです…
トンネルの中は車の走行の時に生じる強風が吹いているはずなのですが、
まったくその女の髪の毛は乱れてはおらず、
重力が働いていないように平行に張り付いていたそうです。
二人いっぺんに確認したらしいので幻覚ではないみたいなのですが…
高校の頃、学校行事で2ヶ月間マグロ漁をしながらハワイまで行く乗船実習をやったんだが、
ある日夜中にタバコが吸いたくなりダチと船の一番上のデッキに登り
スパスパしてたその時に妙な音が聞こえてきた。
最初は風の音かと思ったが何か違う。
周りを見渡すといつの間にか数十メートル先に船がいた。
が、様子がおかしい。
照明が一つも無く、人影も見えない。
妙な音はその船から流れてきてるらしいのはわかったが徐々に
『ヴアァァァ』と人間のうめき声に変わってきて怖くなって逃げたよ。
一応機関員のオッサンに報告したら船のレーダーには
そんな近くに船の反応は無かったと言われてさらに死ぬかと思った。
居間でテレビを見ているとチャイムが鳴った。今のご時世、何があるか分か
らないのでインターホン越しに話すため、受話器を取った。
訪問客「あ、富田さんのお宅ですか?」
うちは○谷と似ても似つかぬ名字。門にも表札はあるし、玄関フードの中
にも表札はしっかりと付けているし、ちゃんと見ろよとムカッとしながら
「違いますよ」
と返すと、「すみません」と言い残し去った。
ちなみに居間の窓からは門⇔玄関の通路がバッチリ見え、私は電話の子機
で応対に応じていた。その通路がしっかり見える場所で。
母がすぐ近くにいたので、事を簡単に話すと
「近所に富田さんっていないはずだけど…。表札見れば分かるのにね」
と話しながら『次はどこのお宅に行くんだろ』と気になっていたので、
窓からその人の行動を見張っていた。しかし、なかなか現れない。
玄関から門までなんてものの8mだし、そんな10分もかかる大豪邸じゃ
ない。なんで現れないんだ?と不思議に思い、2分程経過してから玄関
に出てみた。しかし居ない。
両隣は高めの塀があるし、構造的に何事もなく越えるのは困難。後ろの家
には犬が2匹庭で飼われていて、その家の敷地内を抜けて行くのでも、よ
く吠える犬の真ん前を通って行くため、まず吠えられるだろう。起きてい
たし。
となると、その訪問者が出入りするのは門である一方しか無くなる。しか
しずっと見張っていたため、それも無し。こういうのも何だけど、その訪
問者が異界の者だとしたら話が早くなってしまう。
翌日、隣の竹田さん(70歳ぐらい)と話す機会があって、昨日変な人が来な
かった?と聞いてみると「昨日は誰も来なかったよ」と。内容を話すため、
「富田さん」という名字を出すと竹田さんが反応した。
竹田「あぁ〜。富田さんね。○○ちゃんの家は中古だけど、前の前に住んで
いた人が富田さんって言ったかな。挨拶も無く、まるで夜逃げのようにどこ
かへ引っ越して行ったなあ。その後空き家になって、入った家族が居たけど
すぐに引っ越したよ。でも富田さんがいたのも10年近く前だし変だね」
いくらセールスだといっても、何故10年も前の情報なのか不思議。ちなみに
某大手ピザ屋でバイトをしているため、半径500mの地図をバイトが終わった
後に見たけど、富田さんという家は無かった。
念のために町名違いで条・丁目が同じ、或いは1つ違いも調べたけど該当無
し。
姿が見えない、表札があるのに聞く、周辺に富田さんはいない、10年前に住ん
でいた人の名字。こう重なると訳が分からなく怖い。
あまり幽霊とか信じないたちだけど、さすがに信じたくなった一件。
うち15階建てのマンションに住んでて12階に住んでるのね
んで、エレベーターで一階から十二階に行ってたんだ
自分の中の常識だが、一階以外から乗って
例えば6階から乗って、10階とかに行くのは
殆んど居ない、居ても清掃の人位だと思ってた
そう思って乗ってると、8階で止まったのね
イタズラかな?と思っていると
おっさんが乗ってきた
漫画のバトルロワイヤルの担任?が少し痩せた感じで不気味だった
その人がボタンを押さないから同じ12階なんだろうと思ってた
そうこうしてる内に12階に着いたのよ
そしたら、その人全然降りようとしないの
だから俺が降りた、その瞬間に
後ろから「おいっ!」
って低い声で呼ばれたの
何だ?と思った瞬間後ろから
物凄い力で殴られた
息が詰まってその場でうずくまってたんだよ
そしたら後ろから「馬ー鹿」って
物凄い低いトーンで言われた
振り向いたら扉がしまって
中には誰も居なくなって下に降りて行った
これが自分の中で一番怖かった体験
以前真冬の夜に、ベランダでおもいっきり
チムポを冷やしてちぢこまらせ、薬のビンに押し込んだことがある。
達成感を味わい、すこし得意になったところで、ムクムクとおっきしてきた。
ビンが破裂するんじゃないかとあせったが、真空になってて抜けない orz
もう二度としませんと神様に誓い、やっととれた。
洒落にならない恐怖だった。
霊とは関係ないが
俺が大学生時代、測量設計のアルバイトをしたことがある。
親の知り合いに測量設計事務所をしてる人がいて、まあ、バイト頼んだわけ。
まあ、そのバイト中、色々測量の手伝いをしていたんだが、
その中で、ある住宅造成地へ行ったんだ。まあ、そこは小さな山を
切り崩して住宅地を作ってるところでさ、山の半分削って土手作ってあって
ショベルカーだのが轍を作って置いてあったりした。工事のおじさん連中も
結構いて、設計の人とそこで測量してたんだが、ちょうど休憩時間にその
土手の辺りをちょっと散策してんたんだよ。で、そこで1冊の雑誌を見つけた。
林の中とかじゃなくて轍の中というか土手の真ん中に落ちててさ。
「お!エロ雑誌か!?」と直感したねw まあこんなとこに落ちてるんだから
エロだと思ったわけ。で、ちょうどその時、手に測量に使うばかでかい物差し
みたいの持ってたんだ(鉄というかアルミ製?伸ばすと2〜3mにはなるやつ)
それでちょっとその本の表紙をめくってみたんだよ。そしたら、なんかさ、
そこのページ全体が黄色なんだよ。全部黄色。俺、「???」状態。
で、「なんだこれ?黄色いページなのか?」って思ってそこに顔を近づけて見たら・・・
それ全部「ウジ」だった・・・orz 黄色いウジが細かく動いてそこに張り付いてた・・・
一面びっしりと・・・
俺はすぐそこから逃げたよw マジびびった。素手で本開かなくて良かったよ。
あー、それにしても表紙というか見た目はなんともなかったのになんでウジ虫が・・・?
エサになるような物でもあったのかな?本食べてた?それにしてもほんと怖かった。
今でもあれが何だったのかわからない。
俺が高2のときの話。あるサークルの仲間20人くらいでN県の山にキャンプに行った。
二日目の夜にキャンプファイアーをして、そのままそこで飲めや歌えで大騒ぎしてた。
日付も変わったころ、酒も食い物も底をつき、しかしまだ飲み足りないということで
買出し班が結成されることになった。
買出しに行くのは車で来ていて酒を飲んでいなかったAがまず決まったが、
Aが一人で行くのはいやだと言い出したのでほかに三人、じゃんけんで決めた。
ここではAのほかに俺、B,Cとする。ちなみに全員男。
キャンプ場を出ると、俺たちはAのボロいブルーバードで山を大きく迂回するように
下に降りていった。下山は特に何もなく順調で、山のふもとにあるマイナーなコンビニで
酒と菓子類を買い込み、再び山へと戻っていった。
しばらく走っていると、助手席で地図を見ていたBが「近道がある」と言い出した。
その近道って言うのは、大きく回りながら走っている道じゃなく、山の真ん中を
ショートカットする道だった。
みんなで地図を見て、確かに近道だと確信したので、俺たちはその道に入っていった。
その道をしばらく行くと、左手に神社か寺かの白い壁が見えてきた。下は砂利道。
こんなとこに寺社があるのかと見ていると、その壁沿いの数十メートル先に人影が見えた
(最初に見つけたのはAだった)。
ゆっくり近づいてみると、とんでもないものが見えた。
男が三人、女が一人いる。二人の男が女の足を一本ずつ持ち、ひきづっている。
もう一人の男はその二人の前に立って、先導するように歩いていた。
女は両足を引きづられているので頭が砂利道にがんがんあたっている。
俺たちはびっくりして声も出なかった。
そのときは、それが霊とかそんなもんじゃなく、なにかやばい事件を目撃した
としか思ってなかった。
するとCが「降りる」と言い出した。俺は内心絶対いやだったが、そのCっていうのが
柔道の県大会で3位になるほどの有段者で、人数もこっちのほうが多かったし
負けることはないかなと思っていた。
車を止めて懐中電灯を持って後ろからついていった。
前の三人(と一人)は壁沿いにずっと歩いている。女をひきづっているので
歩くスピードはかなり遅かった。
5分くらい(もっと短い時間だったかもしれないが)歩いていると、
左手の白い壁が終わる地点が見えてきた。
前の三人が白い壁を壁沿いに直角に曲がるのが見えた。
俺たちもすぐその角にきて曲がった。
しかしいない。何も見えない。どこかに消えたとしか思えなかった。
俺たちは持ってる懐中電灯であたりを照らし出した。
近くにはとりあえず何もなかったので、奥を照らした。
するとそこには、懐中電灯の光で白く照らし出された無数の墓石が並んでいた。
それを見た瞬間、俺たちは弾けるようにして逃げ出した。みんな泣きながら走った。
車に戻って、思いっきり飛ばしてなんとかキャンプ場までたどり着いた。
残ってたみんなにその話をしたのだが、当然のことながら信じてもらえない。
「車の中で作ってきた話だろ」としか言われない。
しかしあんまり泣き叫ぶので、テントに一人ずつ別々に入れられて事情聴取された。
細かいとこまで聞かれたが当然全員の話は一致している。
俺らが見たのはそれだけで、翌日以降なにもおかしなことはなかった。
今でもあれが何だったのかわからない。
しかし、あそこにいた4人は全員確かに同じものを見ていた。
これは僕が高校を卒業して半年位、フリーターでやっていた頃の話です。
その頃、僕はある肉加工工場の夜勤パートをしていました。某県での話です。
別スレにて体験談を投稿しましたがそれ以上に怖かった話。
僕は自転車で一時間かけて隣の市である職場に通勤していました。
夜勤、確か23時半からの勤務だった為通勤は苦ではありませんでした。
朝からだったら出来なかったと思います。
そして…その日は真冬で月の綺麗な晩でした。
いつもの様に22時頃家を出て、坂を上って大きな道路を通り。
途中道路脇に慰霊碑みたいな物があって花がそえられている場所と
そことは別に、交通事故があったのかやっぱり花がそえられている場所がありました。
夜中で車の通りもあまり無く不気味といえば不気味でしたがそこでは何もありませんでした。
さて職場迄後少しと云う所。そこからは住宅街の離れの狭い通りに入って、途中ラブホテルがあるんです。
その前を通った先が職場。恐ろしい事はラブホテルの前に差し掛かった時に起こりました。
ラブホテルの敷地内から何か、黒い影が出てきたのです。
それは小さく、まあ小さいと云っても中型犬くらいはありました。
僕は(なんだ?)と思い停止しました。黒い影も停止しています。
暫くの間夜闇の静寂の中、僕と黒い影との間には緊張とよりいっそうの静寂の時が流れました。
僕がそう感じただけかも知れません。
互いに相手の出方を窺い、これから起こる恐怖、嵐の前の静けさとでも例えられましょうか。
(こんな事してたら遅刻する)
僕は黒い影の動きに注意しながら、ゆっくりと動き出しました。
すると、黒い影がこちらに移動してきます。
(げ!何よ!こっちくんな!)
「ワフッ」
黒い影が吠えました。そして僕は全てを悟りました。その黒い影は、野良犬だったのです。
ちなみに僕は小さい時から追い掛けられたり、吠えられたり、犬…特に野良犬には余り良い思い出がありません。
嫌な予感がしました。
そして予感は的中。犬が走ってきます。
戦慄が走り、(やばい!)ペダルを漕ぐ足に力を入れ一気にスピードを上げました。
「ワンワンワンワン!」
偉い勢いで追って来ました。後方からガルッとかガフッとか聞こえてきます。
ふと気付いた事、僕はウィンナー工場で働いている。作業着と靴にはおいしそうな肉の汁、かほりが染み付いている。
(俺、もしや餌?)
その時、ふと違和感を覚え後ろを振り返る。
すると驚愕の真事実。
「さ、さ!!!!!」
僕は思わずそう、悲鳴を上げる様な声でそう叫んだ事を覚えています。
追っ手は三匹いました。これはとてもリアルハンティングだと思いました。捕まったら食われると思いました。
だって三匹の、まさに「飢えた獣」と云った感じのワンワンワンとかガフッとかガルッと三重奏が流れてきます。
更にスピードを上げた時気付いた事がありました。僕は長めのコートをはおっていたんです。確かダッフル。
職場用に。それが誤りだったのかも知れません。
スピードを上げれば上げるほど裾が後方になびき、三匹の飢えた狼の親戚の牙にかかりそうなんです。
「うおああああああ!」
と悲鳴を上げながら逃げます、そりゃ逃げます。
絶望を加速させるケルベロスの三重奏、コートの長さと云う誤り、誰も助けてくれない夜闇の孤独。
そして更なる絶望が待っていました。
目の前に右への直角カーブが現れたのです。道幅は車の通れない、車が軽ならばその半分位。
(この最大スピードで曲がれるのか!?
転んだりぶつかったら死が待っているぞ…いや!)
(絶対に曲がらなければならない!)
火事場の馬鹿力とでも良いましょうか、
人間本当に死の危機が迫った瞬間って覚醒するんですかね。
カーブの瞬間、僕の傾いた角度は多分45度以下。
狭い道、出しうる最高速度、
購入時から何のメンテもしていない自転車の擦り減りまくっているであろう二年物タイヤ。
今考えるとよくもまあ悪条件が重なっている上で、もう二度と出来ないであろう
あんな素晴らしいカーブを繰り出す事が出来たなんてほんとミラクル。
そして今度は左直角カーブ。成功。
自転車置き場迄走らせ飛び下り自転車は鍵も掛けず、入り口迄ダッシュ。
いや、ふと気付いたら犬はもう追って来ていなかったんですけれど。
何回か遠くから吠える声が聞こえました。
野生の恐怖と人間の底力を知った夜でした。
ちなみに次の日もう怖くてあの辺りに近付きたくなかったので辞めました。
ある夏の夜のこと。
僕は夏休みを満喫していた。
宿題も半分以上終わり、リビングでテレビを見てくつろいでいた。
ふと、時計を見ると7時。
「はらへったな。早く帰ってこないかな。」と思ったとき、丁度親が帰ってきた。
母は荷物をテーブルの上におろし、それと同時に一体のこけしを置いた。
僕「何?このこけし。」
母「あぁこれ?お父さんが友達からもらってきたのよ。」
僕「ふーん。」
それから何秒、いや何分、そのこけしを見ていただろう。何故かこけしをずっと見ていたのだ。
するとしばらくするうちに、そのこけしの表情が悲しんでるように見えた。
僕「うわっ!」
父「どうした?」
僕「い、いや、何でもない・・・」
その時ご飯ができた。しかし食欲が湧かない。さっきまで腹がへっていたはずなのに。
「このこけしのせいか?」と思いながら食事を早めに終わらせた。
そして父に言った。
僕「なんで、こんな気持ち悪いこけしもらってきたの?」
父「しかたないだろぅ。小学校時代からの友人の土産なんだから。」
・・・気持ち悪い・・・そう言ったのがまずかったのか。
二階にある自分の部屋へ戻ろうとしたとき、こけしが視界に入った。
そのこけしが怒っているように見えた。
怖くなり急いで部屋に戻った。
そしてベットにもぐり込み、布団をかぶり、ふるえながら、
僕「怒っているように見えただけだ!見えただけだ!」
そう自分に言い聞かせた。
しばらくして冷静になり、だんだん暑くなってきた。
僕「なぜ、真夏の夜なのにあんなに寒かったんだ?」
なんでだろう?と思いながら、窓を開けた。僕の部屋にはクーラーはない。
横になりいろいろ考えてるといつのまにか寝てた。
夜中、ふと、目を覚ました。時計を見ると2時・・・
僕「嫌な時間に起きてしまったな。」
部屋の中は電気が点いたままだった。もう一度寝よう、と思っても眠たくない。
とりあえずトイレに行こうと思い、1階に下りた。トイレをしているとき、こけしの事を思い出した。
僕「あ・・・・」
思い出したくない事を思い出してしまった。
「だけどあれから時間がたってるんだ。テーブルにおいたままな筈はない。」そう思っていた。
喉が渇いていたから何か飲みたかった。しかし飲み物は冷蔵庫に。冷蔵庫に行くにはテーブルを通らないといけない。
おいてないと声にだしていても、内心は置いてあるんじゃないか、と思っていた。
おそるおそるリビングの明かりをつける。
テーブルが見える。しかし、こけしは置いてなかった。安心して、冷蔵庫からお茶を取り、そして飲んだ。
こけしがなかったと言っても深夜は、怖いので急いで部屋に戻った。
明かりが消えていた。
僕はアレッ?と思いながらも電気をつけた。
部屋の床に一体のこけしが置いてあった。しかもこっちをみている。
顔もはっきりと怒っている。
僕「っっっっ!!」
僕は急いでそのこけしをとり、窓から投げ捨てた。
僕「はぁはぁ。なんなんだ!?」
すると、何かの音がする。
「コツッ コツッ」
寒気がする。
「コツッ コツッ」
もしかして・・・
「コツッ コツッ コツッ。」
部屋の前で止まった。
「コンコン」 ノックだ。
僕「お母さん?それともお父さん?」
返事がない。僕もそんなはずないとわかっていた。しかし、そう、思いたかった。
「コンコン」 まただ。
確かめよう、そう決心した。
ドアを開けた。
・・・・誰もいない。
ドアを閉めようとした。何かが挟まった。
上を見た。・・・・・何もない。
下を見た。・・・・・一体のこけしが挟まっていた。
絶句した。思わずこけしを蹴った。すると小さな声で
「ひどい」
と聞こえた。
部屋の鍵を閉め、ベットでガクガクふるえながら恐怖で泣いていた。
そこで気づいた。
窓があいている。
閉めようと思ったとき、丸い何かがとんできた。
びっくりしたが、気にせず窓を閉めた。
僕「よし、これで・・・っっ!」
丸い物に目を寄せるとそれはこけしの顔だった。
僕は動けなかった。こけしの顔はこっちを見て、
「許さない!許さない!許さない!!!」
そして気づくと病院にいた。どうやら精神病院らしい。
僕はあれから半狂乱になり、親が駆けつけ止めてくれたみたいだ。
父「気がついたか!びっくりしたぞ。部屋の中で叫んでるんだから!
とりあえずここで3日間ゆっくりしとけ。夏休みだしな。」
僕は急にここで過ごせって言われびっくりしたが、正直一人で部屋に居れる気がない。
こけしはどうなったんだろう?と思い父に尋ねた。
僕「父さん、こけしどうしたの?」
父「あぁ、あれは捨てたよ。お前も不気味がってたし。」
僕「よかったぁ。」
しかし僕は忘れていた。あのとき投げ捨てたのに戻ってきたのを・・・
そして、親は帰り、病院の先生の話を適当に聞き、すっかり安心していた。
ポケットがふくらんでいる。
なんだ?と思った。服は昨日のとは違う服だ。
つかんでみる。丸い。
ものすごい寒気がおそった。
おそるおそるだして見る。
あのこけしの頭だった。
恐怖もあったがなぜ?という気持ちもあった。
戸惑っている僕の顔を見てこけしは不気味に笑いこういった。
「にがさないよ」
この間、つい1週間ぐらい前。地下鉄を使って出かけなきゃいけない用事があったんだけど。
帰りが10時くらいでした。地下鉄の駅から自分の家まで歩いて15分か20分くらい。結構田舎に住んでるんで、帰り道が結構暗い。
街頭とかあんまりなくて、住宅街だから明るい建物とかもないんです。
一人で帰り道とぼとぼ歩いてたら、前に赤い服来た女のひと(俺は目が悪いんだけど女だと思った)が犬の散歩してました。
太い長い道が途中にあってそこのちょっと先を歩いてて、俺の家の方向にどんどん歩いていきました。
暗い道とかで、偶然かもしれないんだけどなんかそういうの怖くないですか?
自分と同じ方向に知らない人が向かってるっていう。。。
向こうからしたら向こうも怖いんでしょうけど。
それでT字路に出て俺は左に曲がると家で、その人は右に曲がりました。
なんてことなかった〜って思ってたんです。自分ビビリだなとか思って。
その次の日も同じくらいの時間に帰ってきて、同じ道を歩いていきました。
途中お墓の横通るんですが、昨日の赤い服着た女が犬連れてなんかそこでやってるのを見た。
昨日もいたのかもしれないですけど、急に怖くなった、状況的に。
でまた俺と同じ方向に歩き始めたんです。犬の散歩なら同じ時間にやるかもしれないけどまた赤い服着てるよ?
なんでもないことのようだけど、やっぱり怖い。
今日は違う道から帰ろうと思って太いまっすぐな道を通らないように行きました。
そっちだと遠回りなんですけど。それでまたT字路のところまで出たら、女がいた。。。
左に曲がった。やば。。。
怖いと思いつつ、左に自分も曲がったらそこに女が立ってるんですよ。
ついに追いついてしまったんです。で、自分を落ち着けるためにその女の顔を覗き込んだんです。
どうせ俺の思い込みだろうなってね。霊とか信じないたちだし。
30くらいだと思う、普通の人だった。よかったー、と思いました。
それで、向こうが俺にびびったらしく引きつった顔してたんで俺が「怪しいもんじゃないですよ、いやほんとに。」
見たいなこと言っちゃって完全に怪しい人でしたね笑
まぁあんまり絡むのもと思ってさーって自分ちへ向かいました。
家についてふと思ったんですが、さっきあの女は犬連れてたっけなぁ?
昨日は右に行ったのに何で今日は左にいたんだろう?
とか考えたらなんか気になって、そのお墓に次の日いったんです。(その日も駅にむかわなきゃいけなかったので。)
一気に青くなりました。冷や汗ってこういうのを言うんだと思った。。。
墓地の塀に板切れで作った小さな十字が立ててあって犬の足が一本だけ落ちてました。
血が塀に飛んでて。
その日の帰り道は友人に迎えに来てもらった。
昔のメル友の実話。
彼はちょいメンへラ気味の彼女と同棲をしていた。
猛暑の厳しい中、いつもの様に出張から戻るとドアの前から猛烈な匂い。
開けて入ると彼女がベッドの上で腐っていた。
皮膚の色もドス黒く変化していて、グズグズになってた。
警察をすぐに呼び、司法解剖。死後三日。出張直後に睡眠薬自殺、のち停電でクーラーが切れたまま腐っていったそうだ。
今もトラウマだそうだ。
幽霊より気違いの方が怖いよな。
小さい頃幼なじみが、インフルエンザ脳障だっけ?なんか熱で脳をやられたか、薬の後遺症かなんかだった。
それから、そいつは気違いになって、施設に入れられて学校こなくなった。
大人になって、今地元にいるけど、よく街で鎌をふりまわしてる。
街といっても田舎だから捕まったりしないんだけど…
で、今部屋の外で、「起きろ〜」とか意味不明な事叫びながら、窓をガンガン叩いてる。
去年の夏、からかって以来、月に二、三回あるよ。
親が知り合いだから警察に通報しないよう頼まれてるけど、
俺いつかこいつに殺されるかも…
昔、ギミアブレイクでたしか東北のほうの村で、怪しげな土着信仰のようなものが
あるって噂を検証しにいくっていう特集を見た人いないかな?
結局、変なおっさんが邪魔して、途中で撮影終了になってしまったんだけど、
なにが怖かったって、持ち帰ったVTR見たら、駅出てから、そのおっさんが
常に画面のどこかに映ってるんだ、不気味な笑顔で・・・
派遣社員です。
年度末決算のため、自宅から自転車で40分ほどの会社へと通っておりました。
健康のためにもいいし、派遣は交通費でないですしね。
毎朝の通勤のため、車やトラックが余り通らないような道を選び、
朝の空気が気持ちいいなーと思いながらゆっくりチャリで通っていた道に
小さな中学校がありました。
どこにでもある、普通の中学校でしたが、なんか活気がないんですよね
静か過ぎるというか、地味(?)というか。
教室に電気はついてないし、生徒も騒いだりせず静かに席についてて
都会の学校は落ち着いてるなーとか思ってました。
まぁ朝だし、私自身遅刻との戦いだったので気にはなってなかったんです
でも、3ヶ月目も終わるころ、凄く違和感を持ち始めました
朝の8時台って登校のど真ん中ですよね?
でも通ってる生徒を見かけたことが一度もない
教室にいる生徒も、黒板のほうを見たまま動かないし…。
やっぱり活気がないなぁって思いました。
そして無事に勤めも終わり、最終日に自転車で会社へ向かうとき
突然頭んなかに疑問が浮かんできたんです
「校庭に、いつも誰も居なかった」
朝礼や朝練習もないなんて有り得るのか?
私が歯医者へよって11時に通勤したときも、
たまたま15時には仕事を早引けして帰宅したときも、
誰も居ない校庭、そして生徒は常に前を向いてる…。
ちょっとゾクっとしました。
でも朝の8時になに考えてるんだーとか思いつつ、
中学校へ差し掛かったので、校舎を見上げてみると…
「ね、おいでよ」
とてもはっきりした声で呼ばれました。
女性だったと思います。
一瞬止まろうとしてた自転車を、必死でこぎつづけました…。
結局あれから近寄ってもないので、何がどうなってるかわかりません。
でも、今でも時々、静かな朝の校舎を思い出すのです。
98年12月初旬に年度末での辞職を上司に申し出、暮れになり久々に実家に帰った時の話です。
入社時の保証人だったので、一応両親には会社を辞める事を言わなきゃなと思いまして嫌々帰省したんです。
実家を出て10年、何度か実家には帰省した事はあったんですが両親とは余り仲がよろしくない
のと自分の部屋も無くなっていましたので、なんとなく居心地の悪さをいつも感じてました。
両親は2階で就寝し、自分は1階の居間に布団を敷いて就寝というのもあり自分の居場所が無い
ような感じで…。
さて、両親との辞職についての話は置いておきまして、、、
その年の大晦日は親戚が集まりまして盛り上がり、悪ガキ達の相手もしながらアルコールも
普段より多く飲みまして、親戚たちと1階居間で雑魚寝状態となり明けて1999年正月は二日酔い
のまま昼過ぎに初詣へ。
夕方親戚たちも帰り、又両親と居心地の悪い時間を過ごしました。
その正月の深夜(正確には2日)に自分が体験した話です。
父はその日も夕方から飲み始めたので9時過ぎには2階へ上がっていきました。
1階の居間では自分と母が、会話も無くTVを見ていました。
母はコタツで、自分はコタツの横に布団を敷き、横になってTVを見ていました。
深夜にエロぃ映画をやるようで見たかったんですがw「早く2階に上がらねぇかな」
と思いながらも、しかたなくバラエティー番組なんぞ見てました。
時間は1時前だったと思います、2階から「おかぁ〜〜さ〜〜ん」という男の子の声がしました。
自分は「?」と思い階段の方を見たんですが、母は何も聞こえなかったようでTVを見ています。
数秒後、もう一度「おかぁ〜〜さ〜〜ん」と声が!2階のTVの音ではなく階段の上から呼んでる
感じでした。
自分は母に対し「なんかな?」だったか「なんやあれ?」だったか忘れましたが話しかけました。
すると母は「ハイハイ」とか返事をして確認しに2階に上がって行ったのでした。
しかし、なかなか降りてない。もう寝たのかなと思いましてエロ映画にチャンネルを変えようと
思いリモコンを手に取った時でした。
『ドンドンドン!』というかなり大きな足音を立てて誰かが階段を下りてきたのでした。
やべぇ!母か?
居間の廊下へ通じる襖は空けっ放しでした、『ドンドンドン!』と音のする階段の方を見ていると
3歳くらいの男の子が降りてきて、そのまま居間に入ってきたんです。
両隣の家にも他県ナンバーの車が止まってましたので、
自分はその子がイタズラで2階のベランダ越しに侵入してきて降りてきたんだなと思ってました。
その子は、コタツをはさんで向こう側につまずいたかなにかでうつ伏せに倒れてしまったんです。
怒ってやらなきゃなと思い、布団から出てコタツを廻りその子の所へ。
その子はコタツ布団の上で、うつ伏せ状態でもがいてましたw
「しょーがねぇなぁ」と思い、その子の脇を持って立たせ、こちらに向かせて叱ろうかと思った
瞬間でした。
髪の毛の有った後頭部が顔になっちゃったんですよ!
オカルト映画とかでよくある、首が180度回転してこちらを向くっていうのではなく、瞬間的に
後頭部だった所が顔になったんです。
つまり、体は向こうを向いているのに顔は自分を見てるんです。
自分の体制はウンコ座り。頭だけこっち向きの男の子との目線と自分の目線は正対状態。
正直、おしっこチビりました。。。
それまでは、その子の体温だとか肉感とか有ったんですけど、
人間だとばかり思っていた男の子が実はそうではなかったと理解した瞬間、
その子の体温も感じなくなり、冷たい丸太を両手で持っている様な感覚になりました。
手を離そうと思っても体が動かない…。
すると男の子が「6歳…」って言うんですよ。
なにか訴えるような顔つきでした。体はもちろん向こうを向いたままです。
どうみても2、3歳の子なんですけど、「6歳」って。
自分は声も出なくなってて、「うんうん、そうかそうか」と言うつもりが「ぅぅ、ぅぅ」
としか言えず。
すると又その子が「6歳…」って言うんですよ。
そして自分は「ぅぅ、ぅぅ」
この時は全身に鳥肌が立ってました。
(母ちゃん、はよう降りてきてわしを助けてくれ!)
そう思っても誰も降りてはきませんでした。
男の子から手を離そうとするんですけど、体が動かない…。
助けを呼ぼうとしても声が出ないし…。
次に男の子は悲しい顔になり「ボクね、、ボクね、、、、」と言い始めました。
その子は涙を流し始めたんですけど、それが黄色いんですよね。
その子の肌の色も段々青白く変化していきました。
自分も何故だか悲しくなって「ぅぅ、ぅぅ」と言いながら泣いてしまいました。
涙を拭こうと思っても体が動かない…。
(なんで、わし泣いとるんじゃ?怖いよぅ誰か助けて〜)とばかり思っていたんです。
すると、庭に面した障子から人が現れました!
『プレデター2』の最後、霧の中からプレデターが現れる、そんな感じで。
霧状のモヤモヤってしてたのが段々人の形になりながら、こっちにやってくる、、。
自分は涙目だったんですけど、不思議とはっきりと見えたのでした。
近くに来ました。老人でした。
もうすでに恐怖の最高潮に達していたのか、その老人に対しては恐怖は感じませんでした。
老人は、青と白の格子柄の浴衣を着ていて丹前を羽織っていました。
その老人は無表情だったんですけど、ゆっくりと自分に頭を下げたんです。
すると自分の手から男のが消え、老人の手に移ったんですよ。
その子は寝てる様でした。
そして、もう一度老人が頭を下げ、反転して障子を突き抜け出ていきました。
助かった…。
金縛りが解けたんですね、体は動く様になりました。
ボーーっとしたまま布団に入り、(こりゃぁ寝れんよ)(今のは夢じゃないよな?)
(しょんべんチビったもんな)(もぅほんま勘弁してくれ)とか鳥肌だらけの体で思っていたら
いつの間にか寝てました。
次の日母に起こされ、TV・照明点けっ放しで寝ていたと怒られまして、、。
「いや実は、、」と昨夜の話をし、なんで2階に声の主の確認をして降りてこなかったのか
訊いたんですよ、ちょっとキレ気味に。
そしたら母は、『あんたが、「もう上がれや」言うけぇ上がったんよ」と、こう言うんですよ。
確かにエロ映画を見たいが為(早く上がらないかな)とは思ってましたけど、実際に言ったのは
(その言葉を覚えていないんだけど)声の正体が「なんかな?」的なものだったはずなんです。
もう面倒臭いのもあって、それ以上はこの話はしませんでしたけどね。
自分に起きた心霊的な現象は、この一件だけです。
もうチビりたくありません、こりごりですわ。
この話は、母にしか話していません。
3年前に住んでいたマンションでのプチ不思議な話です。
初めての一人暮らしで、両親と共に部屋を探しに色々見て回っていました。
電車が近くに通っていて、薄暗くて、マンションの入り口(エントランスというほど立派なものではない)
とマンションの間に殺風景な庭(井戸付)があったりするところを見ていたので、
最後に見たマンションは、1階の角部屋で、入り口に一番近い部屋しか空いていなかったのですが、
きれいだったし、セキュリティもしっかりしている感じだったのでそこに決めました。
ただ、その部屋のドアの上にお札が張ってあったことが一番気がかりでした。
ある夜、友人とそこに付いていた固定電話で電話をしていました。
すると、友人が急に黙り込みました。
どうしたのかと聞くと、
「猫飼ってるんや」と言い出しました。
「飼ってる訳ないやん、一人暮らしで」と言うと、
「○○の方から猫の声すんねん」と言い出すので、
私も黙ってみましたが、外からは猫の声すら聞こえません。
「□□の方やないの?」と聞きましたが、猫の声は受話器からしか聞こえないようでした。
その現象はその友人のみにしか起こらなかったし、
わたしも1年でそのマンションの3階の広い部屋に移ったので(そこにはお札はありませんでした)
不動産関係の友人から聞いた物件。青山の駅から、徒歩十分圏内。1LDKのマンションは
激安。だが、現在は一般には貸し出してない。何故ならば……。
ホ モ の 幽 霊 が 出 る か ら だ !
女性が入居すると、ポルターガイスト等のイヤガラセ。
男性が入居すると、耳元でハァハァ。夜中に気がつくと、隣に見知らぬオッサン……
でも、幽霊だからガッチュンはなし。(これさえガマンすれば、キミもステキな青山ライフ!)
現在この物件は、関係者(男)にのみ、貸されている。
霊が出るとされてる物件の中にはテレクラの会社が機械だけ置いてたり、
会社の倉庫にしてる物件があるらしい。
ただ、それでもその物件と縁ができてしまって全くの無害ではないらしい。
友人の話。
彼女の実家は山奥深い村だ。
今は廃村となってしまったが、そこで奇妙な物を幾度となく見たという。
祖父と山中の墓所へ出かけた帰り道。
峠の開けた場所で、不思議な物を見かけた。
白くて長い、ヒラヒラとしたリボンが二本。
風もないのに、彼女の頭の上をゆったり漂っている。
何だろうと見ていると、後ろから来た祖父が「触るんじゃないぞ」と注意する。
「あれはニホンノボリと言ってな、常に二つ一組で現れる。
放っておけば何もないが、突付いてしまうと天気が激しく崩れるんだ。
山の嵐は酷いぞ。巻き込まれたくはなかろう?」
そんな不思議な物があるんだ。そう感心して、彼女はリボンを見やった。
二本のリボンは絡まりあいながら流されていき、やがて見えなくなった。
それからもう一度、彼女はニホンノボリを目撃したという。
やはりその時も、何もせずに見送ったのだそうだ。
友人の話。
学生時代、部活でキャンプしていた時のことだ。
宿営地より少し離れた場所に、ジュースの自動販売機があった。
就寝時間が近い頃、コーラでも買おうと一人出かけたという。
お金を入れて商品のボタンを押す。
ボトッと潰れた重い音がした。硬い缶の立てる音ではない。
何が落ちた?
取り出し口を開けると、黒く小さな物がわさわさ動いていた。
思わず手を引っ込める。
しなびた人間の手首が、外に出ようと爪を立ててもがいていた。
テントまで素っ飛んで帰り、仲間を連れてすぐに戻る。
彼が見た手首など影も形もない。
ただ空になったコーラの缶が薄暗い外灯の下、カラカラと転がっていた。
彼は高校生の頃、帰宅途中に不気味な物を見たという。
田圃に挟まれた狭い路の上で、何か真っ赤な物がゆらゆらと踊っていた。
猿のようにも見えるが、顔がない。
どうやら頭の天辺から足の先まで、赤っぽい毛で覆われているようだ。
近よれずにいると、それは踊りながら田を横切り、じきに見えなくなった。
家に帰って家人に話してみると、お祖父さんの顔が険しくなった。
「アガザルが出おったか。こりゃ注意せんといけん」
アガザルとは赤猿が訛った言葉らしい。
その正体はわからないが、時折山から下りてくる化生の物なのだそうだ。
直接は人に悪さをしないが、そいつが出るとまず火事が起こるのだと。
確かにその数日後、村のある家屋が不審火で焼け落ちたという。
「俺が見た奴が本当に、火に関係あるのかどうかわからないけどな」
彼はそう言って、話を締めくくった。
先輩の話。
山行中に雨に降られ、大きな木の下で雨宿りすることにした。
先客が一人居り、身体を拭きながら四方山話をしていたのだという。
と、背後よりいきなり声がかけられた。
「儂も雨宿りさせてくれんかの」
どうぞと振り向いた彼の前に、とんでもなく大きな顔が突き出された。
彼の背丈よりまだ大きい、皺だらけの老婆の顔。
それだけが暗い雨の中、でんと地面の上にそびえている。
うひゃぁ!と奇声を上げたると、大顔は驚いたような表情をして消えた。
「今の見た?何アレ!?」と先客に問いかけたのだが。
「・・・君、今誰と話してた?」そう逆に問い返された。
思いっ切り訝しげな表情をしている。
その後の会話は、まったく弾まなかったそうだ。
知り合いの話。
山道を歩いていると、行く手の道上にちょこんとした小さな影一つ。
近よってみると、妙に古臭い服を着た子供だった。多分、男の子。
こんな山奥に小さな子が一人というのが気になって、声をかけてみた。
返答はない。子供は相変わらず、無表情なままだ。
どうしたものかと頭を悩ましていると。
ぞろりと、小さな口から黒い百足のような物が這い出した。
飛びのいた彼を尻目に、小さな手はグッと黒百足を口中に押し込む。
小さく「グェッ!」と悲鳴が聞こえた。
そのまま踵を返して、子供は森の中へ消えて行った。
関節の動く向きがおかしく、奇妙にギクシャクした動きだったという。
・・・何かが子供の皮を被っていたのかも。
なぜかふと、そう考えてしまったそうだ。
1/2
友人から聞いた、20年程前の話
近畿地方に住んでいた友人は、子供の頃お父さんに連れられて
よくあちこちの山に連れて行ってもらっていたそうだ。
その日はN県の山奥にある大きなダムへドライブに出掛けたという。
車を駐車場に止め、展望台へ向かうと、そこにはひとりだけ、先客がいた。
よく晴れた日で、遠くからでもどんなひとか、よく確認出来た。
クリーム色のセーターにフレアスカート、ロングヘア・・・若い女性だった。
季節外れの山中の観光地には場違いな感じがして、何だかとても気になったそうだ。
彼女は手摺に凭れ掛かって友人達を一瞥したそうだが
いきなり、やった。手摺を乗り越えて身投げしたのだ。
お父さんと友人は慌てて駆け寄って見下ろしてみた。
50mほど下のコンクリートに女性は血を流して倒れている。即死だろう。
携帯電話も普及してない時代の事、
お父さんは友人を車に乗せ、ふもとの町まで事故を知らせに行く事にした。
曲がりくねった山道を車を走らせながら、お父さんは
「決して後ろを振り返ってはいけない。バックミラーも覗いてはいけない」
と言ったそうだ。
2/2
だが、とても気になる。
友人も、小さな頃から霊感が強く、背後に何だか禍々しいものを感じていた。
・・・耐えられなくなって友人はバックミラーを見た。
さっき身投げしたはずの女が、頭から血を流してついて来てる。
一瞬だがはっきり見た。口を真一文字に結んで黙々と歩いてついて来るという。
車は全速で山道を下り降りているのに・・・
友人は泣き出してしまい、町まで助手席に突っ伏したまま動けなくなってしまった。
町に着き、警察に駆け込んだ時には、女は消えていたと云う。
お父さんも実はかなりの霊感の持ち主で、狐憑きの除霊なんかもした人らしいが
何故、女がついて来たのかは判らない、と言っていたそうだ。
里帰りした時のこと。
裏山を散策していた彼の行く手に、小さな子供の後ろ姿が現れた。
のろのろとゆっくり歩いている。
追い抜いた時、何気なく振り向いて見た。
目も鼻も口もない。小さな模様が、ぎゅっと詰め込まれたような顔をしていた。
彼が硬直するや否や、子供の身体はグズッと崩れる。
耳障りな羽音を立てて飛散したのは、黒いトノサマバッタの大群だった。
彼の身体にも何匹か衝突してきたので、手で顔を覆い身を低くして避けた。
静寂が戻ってきた頃、恐る恐る顔を上げる。
道の上には小さなチャンチャンコが一枚、ポツンと残されているだけだった。
僕の体験した出来事です。
場所は航空自衛隊・K牧基地の学生隊舎。
時はC華航空機事故のあった年です。
僕の居住区は3階の一番東側、体育館のすぐそばでした。
隊舎には陸・海・空の航空関係の職種の学生がいて、
夜ともなるとみなで酒盛りなどで盛り上がり当直の仕官に叱られることもよくありました。
その日もかなりの盛り上がりようで、皆楽しくとりとめのないことで激論を戦わせていました。
でも僕は昼間の訓練の疲れのせいか眠気がしてきたので、
自分の部屋ではなく通路を隔てた向かいの部屋で眠る事にしました。
ベッドに入り数秒で意識はなくなったのですが、
ふと、ある違和感のせいで目が覚めてしまいました。
突然の覚醒に何が違和感なのか一瞬わからなかったのですが、
かなり酔っていた意識も冷水をかけられたようにはっきりしたのです。
それは、僕の足に上に乗っている男の生首でした。
顎を足にかけているのではなく、首だけが僕の足の上に乗っているのです。
僕は心の中で「どっかいけ、どっかいけっ!」と無我夢中で念じました。
どれくらい時がたったのか定かではないですが、
気が付くと足の上の首の重さは無くなっていて外もかなり明るくなっていました。
というようなことがあったなあ、とその後職場の先輩に話すと、
「俺もその部屋で天井に張り付いてこっちをにらむジジイをみたことあるなあ」と
話していました。(まだあの隊舎あるのかしら?)
ちなみに向かいの体育館に中K航空事故の遺体が収容され、
1週間ほど肉の焼ける嫌な臭いがしていました。
昨年の秋口、暇だったので札幌の某川上流にある小さなダムに釣りに行った時のこと。
住宅地からさほど離れていない場所にあるので、休日には親子連れなんかも来るのんびりしたとこなんだけど、その日は平日だったのでいたのは俺一人。
天気も良く、ニコニコしながら折り畳み椅子とか展開してたら、淵の方から魚の跳ねる音。
今日は元気いいな〜釣れるかな〜とか思って準備続けてたんだけど、何回か聞いてると、どうも音が変。
普通魚なら「バシャン」とか「チャポン」とか水面叩く音がするものだけど、聞こえてくるのは「トプン、トプン」と何かが規則的に浮き沈みしてるような音。
なんだべか?ブイでも浮いてるのか?と思って音の方に目をやると
…頭!? (;´Д`)?
なんか黒い髪がべったり貼りついた頭が、淵の中でゆっくり浮き沈みしてるんですよ。
昼間っから。
こう、クラゲみたいに水面に長い髪が広がってて。
これはとにかくまずい!と思って、急いで荷物抱えて逃げようとしたら、背後から
トプントプントプントプントプントプントプントプントプントプントプントプン
思わず振り返って見てしまったのは
あの、泥温泉(?)ってあるでしょ。
火山灰かなんかで泥濘地になってるところに温泉が出て、泥の中を大きな泡が浮かんでは消えるってやつ。
アレにそっくり。
水面に浮いては沈む、無数の 頭 頭 頭 頭
半分腰抜かして国道まで逃げて、止めてた車のとこまで来たんだけど、閉鎖空間に入るのが怖くて、車の周りを小一時間ほどぐるぐる回ってました。
別に因縁話とかない(と思う)場所だったので、かなりショックだった。
真昼間だったのもかなりショックで、しばらく一人で行動するのがいやだった。
その後特に祟られたりはしてないけれど、もう一度確認に行く気も全く無い。
俺が一人暮らしを始めて間もない頃、
俺の住んでるアパートの前には結構な大きさの公園があった。
昼間には子供達が元気よく遊びまわり、
主婦達の井戸端会議の場にもなっていた。
その日、俺は翌日が仕事が休みということもあり、
久しぶりにDVD三昧の夜を過ごそうと、
徒歩3分位の場所にあるビデオ屋へDVDを借りに出かけた。
そのビデオ屋はAM3:00まで営業しているビデオ屋で
俺が借りに出かけたのはもう24:00過ぎだった。
ところが週末ということもあり、面白そうなタイトルは全然空いてない。
仕方なしに適当なタイトルを手にして俺は店を後にした。
タバコを咥えながらアパートのすぐ傍まで来たときに、
タバコの買い置きがないことを思い出し、
近くのコンビニまで行く事にした。
目当てのコンビニはアパート前の公園を横切っていけば、
スグに見えるほどの距離なので、
俺は借りてきたDVDを片手に公園へと足を踏み入れた。
街灯が4つ程しか点灯していない、
夜の公園は思いのほか不気味な雰囲気を醸し出してはいたものの、
俺はさして気にすることもなく歩いていた。
そのときだ・・・
公園の隅のほうにあるブランコ(1人乗りのヤツではなく4人位乗れるBOX型のヤツ)
から子供の話し声が聞こえた気がした。
「へ?!いくらなんでもこんな時間だぜ?」と思いながら、
暗闇の中のブランコに目を凝らすも、人影はない・・・
なんとなく気持ち悪いなとは思ったものの、
この時間に公園で子供の声を聞いてしまったら、放っておけるほど無関心人間でもないので、
ブランコへと近づいて行った。
行かなければよかった・・・
向かい合わせで座るブランコの右側の座席には、
花束の山・・・
そして子供の描いた絵やメッセージ・・・
ヤバイ!!と思った俺の目の前でブランコが
「キィ・・・キィ・・・」動き出しやがった。
逃げようと思いつつも、足が動かない・・・
ブランコの耳障りな金属音とともに聞こえる子供の声・・・
小さく呟くような声で何を言っているのかは全く聞き取れない。
必死の思いで足を動かし、
俺はブランコを見つめたまま後ずさりを始めた。
そんな俺を嘲笑うかのようにブランコは揺れ続ける・・・
なんとかアパートに辿り着き、
震える手で部屋の鍵をあけた俺の目に飛び込んできたのは・・・
壁中についた泥だらけの小さな手形・・・
床中に残された数百にも及ぶ小さな靴の跡・・・
その日からしばらく実家に帰り、そのまま2週間後にアパートを引き払いました。
その時、いろいろと話と過ちについて考えていたので
周りの風景など気にも留めていませんでした。
普通に信号が赤だからとまっていただけです。
深夜二時のこのあたりは閑散としており、人通りは都心ですが全く無い。
全体的に暗い重い雰囲気があります。
ボーっと、音楽を聴きながら考え事をしていると
左から右に中学生高校生くらいの集団が横断して来ました。
そのときは深夜二時とは思っていませんでした。
「なんだ?こいつら、夜にどこいくねん」くらいは思っていましたが
ボーっと考えていました。
おかしなことが起こりました。
生徒の集団が止まらないのです。
よく覚えています。
蒼のジャージをみな着ていて、縦縞があるのです。
ライトに光っていてよく覚えています。
そのジャージを着た生徒が、次々とわたっていくのです。
本当に、くらす2組分は居たと思います。
80〜100人規模で人が通り過ぎて生きました。
ここでおかしいことにきずきました。
いくらなんでもこんな場所に学生がこんなにいるわけないと。
しかも二時。
この集団が夕方とかなら、修学旅行でホテルに帰る途中とか
想像は容易にできますが、こんな時間に集団移動するなんてあるでしょうか?
「いつまで、続くんだ?おいおい・・・これはやばい」と思いました。
対向車線にも車は無く、止まっているのはオレの車だけ。
周りは異様な生徒とオレだけです。
信号が点滅して横断が終わりそうになったとき、
生徒の波も切れました。
最後の生徒が歩いていく姿を見ていました。
すると目黒川の下のほうにいったのがわかりました。
集団の波が見えなくなっていきます。
川に降りたように私には見えました。
信号は青に変わり、オレは発車させました。
特に怖いとか、この場をはやく去りたいとは思いませんでした。
なんだ??という奇妙な思いはありましたが、
自分はその時、違う悩みを持っていたため、ごちゃまぜになり、
複雑な心境でその場は立ち去りました。
あまり霊体験が無い自分にとって、これが霊であるとはいえませんが、
今から思えば、本当に不思議な体験だったと思います。
去年友だちと何人かで飲んでて知り合った女がいて、(可愛くはない)
「学校卒業して家引き払ったんだけど漫画家に成りたいから漫画描いて
持ち込みする迄泊めて欲しい」と言って家に押し掛けられ、
友人の知り合いの手前なので家賃半分だすって事で渋々了解した。
まあ、特定の彼女も居ないし卒業して進路決めるって大事な事だし、
休み位しか家に居ないから力になってあげよう。って思った。
(ダメならダメで諦めて実家に返るだろうな。。。)
それから家に来て(荷物は紙袋2つ)しばらく漫画?らしき物
を書いているらしく仕事から返ってくるとカリカリ頑張ってる様なので
飯を作ってやったりして応援してあげた。何日かたって、
「漫画出来たの?見せてよ。」って言っても「まだネームだから」
といって中々見せてくれない。
その女Sはだんだん昼間寝て夜カリカリ漫画を描くように成って
(冷蔵庫の牛乳が1日1本減って行く!)僕の机が日に日にインクで真っ黒くなっていく。
その女も日に日に手とかインクで汚れて来てて何度も風呂に入れって言っても、
分かったって言うのだが全然入らない(風呂嫌いなのか?)
又何日かたち3日振りに朝家に帰ってみると、
Sが『出来たー!』といって部屋から出て来て吃驚した。
手とか顔がインクで真っ黒に成り、頭もぼさぼさで僕の部屋に来て、
目玉をむき出しながら、『見てよ!』『見てよ!』
ってニコニコしながら言って来る。真っ黒に汚れた茶封筒の中から原稿をのぞいてみると、
なぜか黒い紙がぎっしり詰まってる。思いきって出してみると原稿は黒のインクでぎっしり
意味の解らない言葉や名前でうめ尽くされていて絵らしき物は一枚も描かれて無い。
sは俺の顔を覗き込んで
「どう?」『どう?』
ってニコニコしながらしきりに聞いてきた。本当に泣きそうだった。
なんていって良いのかとりあえず「いいよ。面白いんじゃ無い?」
って言うと「一生懸命描いたんだ!今から持って行くんだ!」
といってsはそのまま戻って来ませんでした。
友人に聞いたら親から捜索願いが出されてて、他の友人の家に例の物を見せに行ったところで、
家に連絡。実家に送還されて今も通院してるそうです。
これも実家に住んでいたときの話なんだけど(もちろん最初に霊体験したあとね)
その日家の人間は俺以外、福島県にある父親の実家に遊びに行ってて
仕事の都合でどうしても行けない俺が一人で留守番してた。
会社から帰ってきた俺は、メシ食った後コタツに入ってゴロゴロしてた
暇だしゲームもあきたし、なんとなくTVつけてぼーーーっと眺めてた。
そのとき、ふとブラウン管に何かが映り込んだ気がしたのよ。
半分眠ってた俺は「ん?」とは思ったものの、大して気にもしなかった。
いよいよ本格的に眠くなってきたので、風呂でも入ろうかと思ったが
明日は会社も午後からだし、「起きてからシャワー浴びればいいやっ」
って感じで、コタツで寝ちまう事にした。
たぶん1時間くらい寝てたんだと思う、
ふと部屋から発生する雑音で 目が覚めた。
TVがついてた「おかしいなぁ、消したよなぁ」なんてブツブツいいながら
「ま・・・体でリモコン下敷きにでもしてスイッチ入ったのかな?」
くらいにしか考えずに、今度はTV本体のメインスイッチを押して消した。
「さーて寝るか」
ブンッッ!!!起動音とともに突然TVのスイッチが入る・・・
この段階まで来ると俺の中で「こりゃヤバイな・・・」って確信があった。
とにかくTV消してリビングから脱出しようと、立ち上がった。
1階には居たくなかったので、
2階へと逃げるべく階段の1段目に足を掛けた俺は凍りついた・・・
いるいる・・・
階段の中ごろに座り込んでる男がやけに鮮明に見えた。
俯いた男の頭頂部はめちゃくちゃに潰れてる。
正直、俺には、そこにいるのが男であることが意外だった。
しかし、階段で男と睨み合って1晩過ごすわけにもいかないので、
俺はリビングへと引き返すことにした。
リビングの様子はある程度予想した通りだった。
TVがついて少し古めの洋画が写っている。
そしてそのTVの光の中に浮かび上がる男の姿・・・
予想外だったのは男が座り込んでも、俯いてもなく
こちらを睨みつけていることだった。
目があった瞬間体が完全に凍りついた。
「やばい!!」
男は俺から視線を外すこともなく、なにやらブツブツ呟いている。
洋画の音が五月蝿くてなかなか聞き取れない・・・
「・・・しぃ・・・く・・・し・・・ぃ」
「苦しい苦しい」或いは「悔しい悔しい」と繰り返し呟いているようだが、
もちろん俺にはどうすることも出来ない。
そのとき俺は気付いた・・・TVの洋画から聞こえてくる音声が変化したことを。
「く・・・し・・・ぃ・・・し・・・ぃ」
頭にガンガン響くような声でひたすら繰り返される言葉を聴きながら俺は意識を失った。
翌朝、目覚めた俺の目に映ったものは付けっ放しのTVと少し乱れたコタツ・・・
こりゃ・・・夢だったのかと思った俺は1つの事に気付いた。
TVから音が出てない・・・リモコンでボリュームをあげるも
いっこうに音が出る様子がない・・・
そしてTVの画面の右上のほうに画面焼けが・・・
帰ってきた親にしこたま怒られながら、俺はTVは修理に出さずに俺が新品で弁償すると申し出た。
親には言えなかったが、あの画面焼けはどうみても昨夜現れた男の顔・・・
あれは俺が10歳の頃だっただろうか・・・
お盆で 凄く暑かった 福井って雪国のイメージがあるが
夏は半端じゃなく暑い
おじさんが奥さんと一緒に遊びに来てて・・・
暑いからってんで川に泳ぎに行こうってなって ハタオリって淵に泳ぎにいった
昼でも薄ぐらーい所で(まあ 淵ってのはそういう場所の事を指してるから当たり前なんだけども)
夏でも水温は驚くほど冷たい でもまたそれが気持ちいい
水の色(川の色って言ったほうがいいのかも)なんかも深―い緑で・・・
昔の人は 淵には主が住むっていって そんな感じ・・・
何かが潜んでいそうな雰囲気・・
その淵には言い伝えがあって・・・(おじいちゃんからきいたんだけど)
昔 機(ハタ)を織る事を生業としていた娘がいて、とても綺麗な娘で評判だった
それでお殿様がめかけにしようとしたんだけど・・・その娘そんなの嫌だって言って
お殿様怒ってその娘に無実の罪をきせて生きたまま川の底に沈めて
その上から大きな岩を乗っけて殺してしまった・・・
それからというもの夜な夜なその岩の下からハタを織る音と共に女の声が
ヒヒヒ・・・とか ギャアァァァ・・・とか
さぞかし無念だったんだろう・・・
その娘が機織りを生業にしてたから、だからハタオリって地名になったんだって
深い淵の真中辺りに大きな岩が顔を出してる
その下でまだ機を織り続けているんだって
もちろん言い伝えだから、そんな話信じちゃいなかった・・・
俺と、おじさんと、奥さんと兄ちゃんの4人でいったんだけど
河原で西瓜割したり 釣りしたり
いわくつきの岩の上から川にダイブしたりして・・
楽しい時間ってのは本当にすぐ過ぎちゃうもんで
夕方になってヒグラシが カナカナカナ・・・って鳴き始めてきた
この頃になるともう水の中は寒くて・・・
楽しかったね、もう帰ろうかって事になった
おじさんと兄ちゃんはちょっとした荷物を崖の上に止めてある車に手分けして運びにいった
俺と奥さんはゴミを落としてないかチェックしてた・・・
崖といってもほんの5メートル位の高さだから
おじさんと兄ちゃんが往復して帰ってくるまで5分位のもんだったか・・・
その間に起こった
あの出来事・・・・・・・・・
ゴミ拾いしてた俺はもう大体終わりかなと思って
奥さんに声かけようとして奥さんにめをやったんだけど
顔が真っ青なんだ、ぶるぶる震えてる・・・んで、ある一箇所をじっと見てる
あの岩の方・・・なんだろうって俺もそっちを見たんだ
薄暗い川から何か出てる黒いペッタリした物・・・人間の頭!?
髪の長い女が水で濡れた髪の毛をペターってさせて
頭半分だけ水面にだして向こうをむ見てる!!
その下にあるはずの体は・・・無い・・・おいおいなんだよこれ〜
やばい、やばい、やばい見つかったらやばい!!
俺はそーっと奥さんの近くにいくと手で「静かに逃げよう」と合図をしようと思い肩をポンと叩いた
「キャッ!!」
極度の緊張状態にあった奥さんは俺の不用意な行動で思わず声をあげてしまった
しまった!! と思った瞬間、
ぐりんっ!!って頭がこっちをむいた
思
い出すだけで吐き気がして頭痛がしてくるあの顔・・・
どす黒い肌、ぱんぱんに膨れあがっている・・・皮膚が所々めくれている・・・
目だけが真っ赤に充血して、カッと見開いてる、
その目がギョロっと動いてオイラ達の方を向いた・・・
ニターっとその女は笑うとスーっと生首が宙に浮いた・・・
所々はげた頭 長い髪の毛はちりちりで水に濡れて垂れ下がっている
「みつけた・・・うらの代わりんなっとぉけの(私の代わりになってよぉ)・・・」
そう言った 恨めしそうなしゃがれた低い声・・
「ぎゃあぁぁぁ・・・」奥さんが悲鳴をあげる
「うわあぁぁぁん・・・」オイラは泣き叫ぶ
女の生首は ヒヒヒヒヒと笑いながらゆっくり近づいてくる・・
奥さんの近くまで来ると物凄い形相になりカーっと口をひらいたお歯黒とどす黒い血で真っ黒な口・・・
「にげてー!!」俺がそう叫ぶと
奥さんはハッとして踵を返した・・・が・・・
ブリッ!と音を立てて生首は奥さんの腕にかぶりついた
「あああぁぁぁ!!ぎゃああぁぁぁ!!うおうおうおーーー!!」
奥さんはあらん限りの悲鳴を上げている
生首はニタニタ笑いながら腕に喰らいついて離れない
俺はフーっと意識が遠ざかっていく
遠のいていく意識の片隅でおじさんと兄ちゃんの叫び声を聞いた・・・
俺が気づいた時は家の座敷で布団に寝かされていた・・・
おじさんは奥さんを連れて病院に行っていた
兄ちゃんは青白い顔で震えていた・・・
あの後どうなったか聞いたけど教えてくれなかった
奥さんは即入院。
数日後見舞いに行ったけど左手に包帯を巻き
「来ないで・・・」とか「何みてるのよ・・・」とか呟いていた
精神に異常をきたした奥さんは 数年後首吊り自殺してしまった
遺書とかは無かった・・・
一度4人で霊感の強いという方(親父の知り合い)にみてもらったのだが
あまりこの事は他人に喋らない方が良いと言われた
でももう辛いから誰かに喋りたかった
もう嫌だ疲れた・・・
あの女が今でも時々見てる・・・なに笑ってるんだよ・・・
誰でもいい、誰かのところに行ってしまって欲しい
この話はわりと最近の話なんだけど、
既に引っ越して、だいぶ距離を稼いでいるので書き込んでみます。
その頃、俺が住んでいたのは東京と神奈川の県境にある町で、
駅周辺は賑やかなものの、
すこし駅を離れるといきなり寂しくなるっていう場所だった。
俺の住んでいたマンションは小さな山(丘かな)を造成して作った住宅街にあり、
通勤時は、鬼のような坂を上り下りしなければならなかった。
その日、俺は仕事の仲間と遅くまで飲み歩き、
マンションへと続く坂道を登り始めたのは、AM3:00近かったと思う。
ヘロヘロに酔ってる俺にはいつもの坂もかなりキツく、
少し休憩しようと思い途中で少し立ち止まってタバコに火を点けた。
なにげなく進行方向である坂の上に目をやると、女性の姿が目に入った。
出歩くにはかなり深い時間ではあるが、まぁ俺も人の事は言えねぇし
さして気にも留めなかったのだが、
相手はいつまでもこちらを向いたままの姿勢で、
まったく動き出す気配がない。
青っぽいワンピースで髪の長い女性であることは、
確認できるが、蛍光灯の光を上から浴びているせいか
髪の下にある表情までは見えない。
あんまりジッと見てるのもなんなので、俺は女性から目をそらして
眼下に見える町並みを眺めながら2本目のタバコに火を点けた。
タバコを吸い終える頃には息切れもだいぶ収まったので、
俺は再び坂を上り始めようと、上を見上げた。
おいおい冗談だろ・・・まだいるよ・・・」
女性は相変わらずこちらを向いたまま佇んでいる。
「やばいな・・・」毎度の事ながら俺の警報装置はいつも発動が遅い・・・
取敢えず足は動くし、ここは駅のほうへと引き返すしか手はないと思い、
俺は後ろを振り向いた。
総毛立った・・・
今まで坂の上に佇んでこちらを向いていた女性が、
俺の目の前にいる・・・
俺のほうが上にいる為か、上目遣いでこちらを睨み付けていた。
俺は声も出せないまま、再び振り向き懸命に坂を駆け登った。
幸いにして、部屋に転がり込むまで女性の姿も声もなかった。
恐怖に震えながら風呂にも入らず、
近所から苦情が来そうなほどTVのボリュームを上げて夜明けまでの時間を過ごした。
それ以上何事もないまま日が昇り、俺はホッと安堵しながらシャワーを浴び
寝不足の目を擦りながら仕事の支度を始めた。
そのとき気付いた・・・・・・
俺のスーツのポケットにごっそりと女性の長い髪が入っていた・・・
3年ほど前の事です。
当時、私は倉庫会社の配送担当をしていました。
その日は、仕事が終わってから仲間と一緒に飲みに行き、
その後2軒3軒と飲み歩くうちに、気が付くと終電は無くなっていました。
翌日は早朝から積み込みと配送があったので、
私は会社に泊まることにしました。
倉庫の横にある事務所の2階に休憩室があり、
早番や遅番のドライバーは、そこで仮眠を取ることが良くありました。
ただ、深夜には「出る」という噂があって、
そこで夜を明かす人はほとんどいませんでした。
その噂のことは知っていたのですが、生まれてこの方、怪異などとは縁がなく、
全くの心霊音痴だった私は、酔っていたせいもあって、深く考えることもなく、
休憩室の畳の上で横になるとすぐに眠ってしまいました。
どれぐらい眠っていたのか、私は電話の音で目が覚めました。
ピリリリリッピリリリリッ
事務所の電話が鳴っています。
(こんな夜中に誰だろう?)
そう思いながらも、起きるのが面倒臭かったので放っておきました。
しかし、電話は執拗に鳴り続けました。
ピリリリリッピリリリリッ
ボリュームが最大に設定してあるせいか、物凄くうるさい。
いい加減うんざりして、身を起こそうとした時
ドンドンドンッ!
1階にある事務所の入り口のドアが叩かれる音がしました。
不審に思って動作を止め、耳を澄ますと、
今度はドアを引っ掻くような音がします。
ガリ・・ガリ・ガリ・・・ガリ・・・
何だか怖くなって、私は畳の上に半身を起こしたまま息を潜めていました。
ピリ・・・・・
鳴り続けていた電話の呼び出し音が止みました。
同時に、ドアの物音もしなくなりました。
すると今度は、ぼそぼそと人の声がします。
ドアの外で誰かが喋っているようですが、話の内容はわかりません。
何が起きているのか全くわかりませんでしたが、ひどく嫌な予感がしたので、
私は耳だけに神経を集中して、物音を立てないようにジッとしていました。
話し声は断続的に、ぼそり、ぼそり、と聞こえてきます。
複数の男の声のように思えました。やがて、女の声が聞こえてきました。
それを最後に声は止み、周囲には静けさが戻ってきました。
何が何だか良くわからないまま、しばらくは様子を伺っていましたが、
そのうち、張りつめていた気が緩んだのか、いつしか私は眠ってしまいました。
次の日、私は早朝に目を覚まし、倉庫側のドアから倉庫に入り、
一人で積み込み作業をしていました。
すると、事務所の入り口の辺りに人が集まっているのが見えました。
作業の手を止めて行ってみると、
昨日物音がしていたドアに引っ掻いたような傷が残っています。
「空き巣狙いなんじゃないのか?」
私の話を聞いた部長がそう言って、一応警察に連絡することになりました。
夕方、配送を終えて事務所へ戻ると、
私の顔を見た部長が、警察へ行ってくれ、と言い出しました。
「今日、近所で倉庫荒らしが捕まったらしいんだが、
その関連で昨日の話が聞きたいそうだ。」
私は部長の車で警察に行くことになりました。
警察署では、簡単な事情聴取を受け、捕まった倉庫荒らしの話を聞きました。
警察によると、犯人は中国人の窃盗団だということでした。
彼らは、狙いを付けた倉庫会社に電話を入れて不在確認をし、
そのうえで、電話が鳴りっぱなしであれば、多少の物音を立てても
気にすることなく、工具でドアをこじ開けて中に侵入し、
金品を奪ってトンズラする、という手口で倉庫を荒らしていたそうです。
「万が一の時に備えて、奴ら拳銃も持っていたんですよ。」
取り調べの警官がそう言うのを聞いて、
昨夜、侵入してきた窃盗団に見つかっていたら、と思うとゾッとしました。
続けて、警官が気になることを聞いてきました。
「昨夜、あなたは電話には出なかったとおっしゃいましたが、本当ですか?」
私が、はい、と答えると、警官はしばらく考え込むような素振りを見せてから、
こう語り始めました。
「・・あいつら、あなたの会社へかけた電話に誰かが出たと、そう言ってるんですよ。
だから、ドアをこじ開けるのを止めて、様子を伺っていたらしいんですが・・・
何でそこで諦めたのか、誰も話そうとしないんです。」
警官は、ちょっと困ったような顔で言いました。
「捕まった時には、あいつら、あなたの会社の近くに止めた車の中でブルブル
震えていたんですよ。大の男が4人揃って。何か、おかしいでしょう。」
「男が4人・・・ですか。」
「ええ、一網打尽って訳でして。
それについては、私らもホッとしておるんですがね・・・」
それで、私は昨日の事を思い出しました。
電話が切れた後、ドアの外にいたのは、凶器を持った中国人の男達だった。
するとあの時、彼らの声がふっつりと止む直前に聞こえた女の声。
あれは誰の声だったんでしょう?
私の実家は、戦後まもなく祖父が人から買ったもので、随分と古い家だった。
普段は箪笥などが置いてある6畳間には広い押し入れがあり、
ストーブや扇風機、客用の布団や衣装ケースなどが納められていた。
幼い頃、悪さした時などは良くそこへ閉じ込められたものだった。
最初の頃は、暗闇の恐怖と孤独感からか、私も本気で泣叫んでいたが、
成長するにつれ暗闇にも慣れてくると、あらかじめ隠しておいたキャラメルや
ミルキーなどの菓子を食べながら、布団にもたれて寝てしまい、
心配した母親が戸を開けるまで、眠りこけていることもしばしばだった。
月日がたち、私や妹が進学のために家を出て、
祖父祖母が老いてくると、古い家屋というものは何かと不便になってきた。
そこで大規模な改築をすることになったのだが、
その際に奇妙な事があった、と両親が言っていた。
件の押し入れを大工が見てみると、奥の板壁と、その裏側に位置する廊下との間に、
かなりの隙間があることが判った。
早速、板壁を剥がしてみると、中から小さな空間が現れた。
縦横200×30センチ位の広さ。
四方は、どこにも出入り口はおろか、板の隙間すら殆ど無い。
外界から完全に閉ざされたその部屋の床は、
奇妙な事にピッタリと細長い畳が敷かれていた。
恐らくは数十年の月日を経て、完全に変色した畳の上には、
ミルキーの包装紙が散らばっていた。
異常な人間って、怖いですよね。
自分はその異常な人間によって、危うく死ぬ所でした。
2年前、自分がまだ高校生の時、友達に芦田って奴ができたんです。
しかし、そいつは結構周りから嫌われてたんです。
けど自分は芦田とは仲が良くなってって、その頃は、何でみんな嫌ってるんだろう?
とか疑問に思ってたりもしてたんです。
けど、そのうちに、だんだん芦田の異常さを思い知らされる事になったんです。
ある日、自分は暇だから芦田と遊ぶ事にして、芦田の家に行ったんです。
部屋は確かに軍ヲタみたいな感じの部屋で、銃のプラモ?みたいなのがたくさん並べられていました。
そして、物騒な事に、本物らしきコンバットナイフ?みたいな鋭い刃物が刃を剥き出しにして飾ってあったんです。
自分はちょっと引きましたが、話題が無かった為にそのコンバットナイフを
手に取り、「これかっこいいよなー」とか言って、話を合わせたんです。
すると芦田は一瞬目が凄く大きくなって、優しそうな顔が一瞬にして鬼のような形相に変わり、
「さわるなあああ!」と叫び、自分が持ってるコンバットナイフを取り上げようと、襲ってきたんです。
自分はかなりビビッたが、芦田と争うつもりは全く無いので、 怯えながらも
「ゴメン、触っちゃマズかった・・・?」とか言って宥めながらそのナイフを返したんです。
しかし芦田の表情は戻りません。
何か物凄く重い空気が漂ってたんで、自分は軽く「ゴメンってばー」とか言って流そうとしたんです。
しかし、それが間違いでした。
何と芦田は、自分の手の甲にそのナイフを思いっきり刺したんです。
自分は、苦痛に耐えれず、叫び声をあげてもがき苦しみました。
その時の芦田の表情は、もう人間の表情とは言えませんでした。
その事件で芦田は、その後精神病院に送られました。
今も多分居るのでは無いでしょうか。自分は、3週間程入院しました。
しかし、退院してからも芦田には今もずっと苦しめられています。
あれからパソコンを打つときや、時計を見る時など、いちいち
手の甲を見る度にあの芦田の鬼のような形相が思い浮かぶのです。
この前あった不思議な出来事です
その日は1人で残業をし、結局会社を後にしたのは深夜2時くらいでした。
期日が迫っていたので、ここ10日ほど毎日こんな感じでした。
ようやく一段落したので会社の戸締りをし、
車に乗り込み、ギアをRに入れて道までバックし、ギアをDに入れそのまま坂道を下っていきました。
そこはかなり急勾配な坂道で距離は800Mほどあります。
田舎なので道には街頭もなく真っ暗、
もちろんそんな時間なので、対向車も来ませんでした。
ちなみに家は真っ暗な山道を3キロほど走り、市街地を少し走ったところにあります。
音楽を聴きながら70キロほどで走っていると、あることに気付きました。
ハンドルがロックされていてまったく動かない。
それに気付いた瞬間、慌ててブレーキを踏みましたがそれも全くききません。
焦ってどうしようかとパニック状態になりましたが、
とにかく車を止めなければと思い、エンジンブレーキを使おうとギアをセカンドに入れ、
速度を落とし、サイドブレーキを引いて100Mほど進み、ようやく平坦な道で止まりました。
会社からはちょうど1キロくらい走った所だったと思います。
何が起こったのか冷静に判断するまで時間がかかりましたが、
ようやく事態を把握し、まずエンジンがかかるかどうか確かめました。
しかし何度やってもかかりません。
ボンネットのカバーを上げて、確認してみたけど、
素人なのでどこが悪いのかも分からず、結局JAFを呼ぶしかないかな、
と思い携帯電話を取り出しましたが、山に囲まれているため圏外になっていました。
まわりは民家もないところなので会社まで歩いて戻り、そこで電話をかけるしかないな、
と判断し、車のロックし、会社まで歩いて戻りました。
街灯もひと気も全くないところなので、かなり怖かったのですが、
なんとか15分ほどで会社まで戻ることができました。
さっそく鍵をさして会社に入り、電気をつけてJAFに連絡しました。
向こうには「会社から1キロ下った道にセダンが停まってます。
足がないのでとにかく会社まで来てください、」と伝えました。
1時間後、ようやくJAFのトラックが会社に到着しました。
会社の戸締りをして、トラックに 駆け寄って、
ロードサービスの人に話しかけました。
するとその人は不思議そうな顔をして
「ここに来る途中、確認したけどさ、
おにーさんが言っていた車なんて停まってなかったよ・・・」と言いました。
「え?なんで?何を言ってるの?」と思いました。
あの車は10年前くらいの中古車だし、
通勤用なので貴重品なんて積んでなかったから誰も盗ることはないだろうと思っていたからです。
それに山地で人の少ないところなので尚更です。
とにかく現場に行って確認するしかないと思い、その人と一緒に坂道を1キロ下りました。
50メートルくらい手前まで来て目を凝らすように前を見ていましたが、
自分が停めていたところに車はありません。
現場についてもあちこち見回りましたが、結局発見できず、
仕方なくJAFの人に家まで送ってもらいました。
家に帰っても、あたまがぼんやりしていたのと、
疲れがたまっていたのもあって、そのままソファーで倒れこむように寝てしまいました。
4時間くらい寝ていたのでしょうか、母が起こしてくれました。
朝食を食べながら、昨夜の出来事を母に話すと
「あんた、何言ってるの?
昨日は車を車検に出すから、私が会社まで送って行ったじゃない。
寝ぼけてるの?」と言いました。
ガレージを見てみると、車検から帰ってきた僕の車がありました。
エンジンもかかるし、ハンドルもブレーキもきちんとききました。
疲れていたのかもしれませんが、
確かにあの時、会社から車であの坂道を下りました。
今でもあの出来事はなんだったのだろう?とずっと不思議に思います。
うちの近所に古い家がありまして、老夫婦が住んでいました。
お婆さんは去年までご存命でしたが、
お爺さんは15年ほど前、僕が小学校を卒業する前に亡くなりました。
偏屈のカミナリ親父として有名な人で、
すぐ目の前の空き地で野球やサッカーをしてボールが敷地に入ってしまったときなんて、
ほんとに漫画のように「コラー!」って良く思い切り怒号が飛んできたりしました。
僕が4年生くらいのことだったと思います。
賞を貰ったとかでお爺さんがとても大切にしていた盆栽を
サッカーボールで木っ端微塵にしてしまったことがあります。
お爺さんはあまりのショックで怒鳴るどころか寝込んでしまい、
さすがの両親も驚いて菓子折りを持って謝りに行きました。
僕も一緒に謝りに行かさせられたんですが、
そのときのお爺さんはいつものカミナリ親父とはまるで別人のように
生気が抜けてしょんぼりしてしまっていて、
僕も子供ながらに罪悪感でいっぱいになってしまいました。
お爺さんはそれからしばらく寝たきりになりました。
僕ら悪ガキたちはその空き地ではボール遊びをしなくなりましたが、
盆栽のことでずっと負い目を感じていて、
許してもらえないとすごく気持ちが悪かったので、
何かお爺さんの満足することをして許してもらおうと、
自分たちの小遣いを集めて盆栽を買い、お爺さんにプレゼントすることにしました。
当時の小学生のお小遣いといったらたかが知れていて、
頑張っても結局5人で2万円程度しか集まりませんでした。
でも、盆栽一つなら賞を貰う程でなくてもまぁまぁ良い物を買うことは出来ます。
もちろん僕らには解らない世界ですから、近くの盆栽園でおじさんに選んでもらって購入。
みんなで届けに行きましたが、お爺さんはまだ起き上がることが出来ず、
代わりにお婆さんに受け取ってもらいました。
お爺さんが受け取ってくれたかどうか心配で、数日後、物陰から庭を覗いてみたら
他の盆栽と一緒に僕らの盆栽も並んでいて、
回復したお爺さんが丁寧にそれに水遣りしているのが見えて、
僕ら全員、ホッと胸を撫で下ろしたものです。
それからしばらく僕ら全員その家には近寄らなかったのですが、
6年の夏休みの頃、お爺さんが肺炎で亡くなったという知らせを受け、
僕らは日を見てから再び庭を覗きに行くことにしました。
今度はきちんとお婆さんに許可をもらって庭を見させてもらいました。
お爺さんが亡くなってすでに二ヶ月ほど経っていましたし、
腰の悪いお婆さんは庭仕事ができない為、盆栽はどれも少し荒れてしまっていました。
僕らのあげた盆栽がどこか少し探して回りましたが、
そのうちに一人が「あ!」と素っ頓狂な声を上げました。
駆け寄ってみると大きな盆栽の影に隠れるように
僕らの盆栽が置いてありました。
それを見た僕らはその場で凍りついたように呆然としてしまいました。
そのときのショックは今でも忘れることが出来ません。
盆栽の幹に僕ら全員の苗字が乱雑に彫られ、
数十本の釘が深々と打ち込まれていたのです。
姉が高校生の頃友達とキャンプに行ったときの話です。
そのキャンプ場はダムの近くにありました。
まだ、携帯が普及していない時代だったので
電話をするにはそのダムのそばにある公衆電話まで
キャンプ場から下りて行かなければいけません。
姉が彼氏に電話をするために、公衆電話に行こうとすると
友達のT君も彼女に電話するからと一緒に公衆電話に行くことになりました。
二人とも電話を済ませた後、ダムのそばに座り
お互いの彼氏彼女について話しをしていると、ふと姉の視界に女の人が映りました。
その女の人は腰まで水に浸かり、顔は暗くてはっきり見えませんが、
髪型はセミロングくらいの長さに
ゆるくパーマがかかっているように見えたらしいです。
T君『○○ちゃん(姉)あの女の人見えてる?』
姉『うん、見えるよ。暗いからはっきりとは見えないけど…
でもなんかやばくない?』
T君『そう、どんな感じに見える?』
姉『顔はよく解らないけど髪は…』
T君『肩くらいでちょっとパーマがかかってる』
姉『…うん』
T君『大丈夫だよ』
姉はT君の言っている意味が解らず、ちょっとやばいなと思いながらも
T君ともとの会話を続けました。しばらくすると
T君『ごめん、話の途中だけど、向こうが俺達が見えてるのに
気付いたみたいだからそろそろ行こうか』
つづく
そお言われて姉もやっとその女の人が
生きてる人ではないことに気付いたらしいです。
その後キャンプ場までの帰り道、
T君『ごめんね。怖がらせたくないんだけど、いい、
合図したら一気にキャンプ場まで走って、絶対に振り返らないで
彼女ついてきてるから。』
そお言われた瞬間、姉の恐怖はピークに達し
T君の合図も待たずに全力で走りだしました。
無事キャンプ場まで帰りつきましたが、
その晩姉は怖くて一睡もできず、
朝半泣きで帰ってきたのを私も憶えています。
最後に姉がぼそっと
『ダムなんだからたてるわけないんよね。』
と言ってました。あとT君はもともと霊感が強いらしくて
T君と一緒にいると周りの人も見えやすくなってしまうらしいです。
姉の友達の間ではそう珍しい話でもなかったみたいです。
姉は二度とT君と二人きりになるのはごめんだと言っていました。
きのう池袋線練馬駅で見た光景。
漏れが電車から出てホーム歩いてると、若い女がうつぶせに倒れていて、周りで人が心配そうに見てるわけ。
なんか、ハイヒールだったし、多分電車から出ようとしてコケて額からホームの石畳に激突したとかそんなんか?
で、10秒ぐらい倒れていて、その人はやっとヨロヨロと立ち上がって、
友達?に 支えられながら5,6歩進んだら、また倒れて石畳にゴツン、と大きい音だして頭が激突。
普通倒れても、手でかばったり、膝を先について頭蓋骨を守ろうとするじゃない?
そういうのが全くない、一番重い部分が重力で加速して真っ逆さまに落ちるみたいな倒れ方。
漏れは駅員さんに見たことを伝えて帰ったけど、
正直、あの女性の 頭蓋骨に大ヒビが入ってたり、これから機能障害残ったり、
果ては死んだりしてても驚かないな。
今も頭がコンクリに叩きつけられる音が耳に残ってる。
家に帰って、妹と姉に、下手にハイヒール穿くのはヤメレ、と言った。
編集プロダクションという会社(仕事)は
大手出版社から依頼を請ければ、なんでもやる。
本、雑誌、企画物のページ。内容に至ってはファッションからプロレス、グルメなど幅広くやる。
で、ある月刊誌から「これから暑くなるし、そろそろ」ということで
心霊スポットの企画8ページが回ってきた。
私もそのうちの2ページをうけもった。
雑誌を作る側に居た分、このテの話の大部分が「やらせ」だということも知っていたし、
自分なりには「テキト−にウソでも書いとけばいいか」程度の気持ちだった。
幸い実家が横浜だったので心霊スポットには事欠かない。
有名なところだとKトンネルとか、廃墟病院とか昔よく行った。
ただ、出尽くしている。
そこで、自分が卒業した中学の裏に、お化け屋敷があったのを思い出した。
「じゃあ、あれにするか」と、 取材を兼ねて実家へと帰ることにした。
このお化け屋敷、当時雑誌でも何回か取り上げられたことがあり、学校周辺ではちょっと有名だった。
住んでいた一家が惨殺され、 その後、庭で女性の首吊り死体が発見されるなど、
取材対象としてはなかなかの代物だ。
私の通ったH中学校のグラウンドから50メートル位登ったところにあり、
体育の時間に「鎌を持った人が見ていた」とか、下校時に廃屋を覗いたら
「白い着物の女が正座していた」とか話題に事欠かない。
ただ、首吊りは知っていたが、一家惨殺は本当かどうか定かではなかった。
で、私は幽霊を全く信じていないが、中学高校と同じ学校に行った同級生のYは自称霊感があるらしく、
昔、肝試しに行ったときここで幽霊を見た。
「あそこに何かいるよな、いるよな」と廃屋の2階の窓を指差し同意を求められたが、私には何も見えなかった。
Yはその後グラウンドまで降りてきてうずくまった。
彼曰く「ねじれた白い人影が、窓から出たり入ったりしていると」
真っ青になって震えていた。
そこでYには悪いが、協力してもらい、彼のインタビューを交えたお手軽記事を書くことにした。
自宅からYに電話をすると、予想に反して簡単に承諾を得られた。
夜9時にファミレスで待合わせをし、小一時間昔話をした。
「卒業してから10年、こんな形でH中学校を訪れるとは思わなかった」
と苦笑いのY、以外とサバサバしていた。
今考えるとこの辺りから変になりだしたのだが、 車に乗り込むとYは妙なことを言い出した
「今日行くのやめないか」 「何で」と私は聞き返した。
「いや、なんとなく・・・。それにもう あそこ何にもないよ」
「はぁ?早く言ってよ」「だって、何にもないから俺行くんじゃねーか」
私がやっていた雑誌取材は比較的こういうことが多かった。
「しょうがないとりあえず行って、有る事無い事書くしかないか」
H中の校舎脇に車を横付けすると、懐中電灯と小さい一眼レフを持って廃屋に向かった。
移動中Yは無言だった。廃屋はYの言う通り跡形も無く、その周辺は深く掘り返えされて大きな穴が空いていた。
その深さは10メートル位あり、工事用の吊り橋が掛かっていた。
Yは私より少し下がった場所から黙ってその橋を見ていた。
Yの様子が気になったが、仕事だけ済まそうと三脚を用意した。
周辺でシャッターを切りながら、Yに声をかけた。
「具合でも 悪くなったか?」「あのさ・・・」「なに」Yは話し出した
「さっきここに乗ってきた車、誰の」「会社のだけど、なんで」
「いや、後で話す。それからあの橋には、近づかないでな・・・」とYは言った。
その顔は真っ青だった。
Yは突然座り込んで、震えだした。
そして「吊り橋の方で誰か呼んでないか」とつぶやいた。
「やめろよ」とちょっと怖くなり、辺りを見回した。橋の上には誰もいない。
さすがに気味が悪いので、わたろうとは思わなかったが、
写真を撮っておこうと近づいた。やっぱり誰もいない。
ところが、撮影位置を考えていたら、なぜか橋に一歩踏み入ってしまった。
後悔した。その瞬間、急に空気が冷たくなり、にもかかわらず汗が吹きだし始めた。
なぜか解らないが、とにかく橋の下だけは見ないで置こうと思った。
が、私の目の前、ちょうど吊り橋の真中くらいに、
なにか得体の知れないものが座っているのに気が付いた。
「女がいる・・・」。
女はこっちをジーッとみていた。
体の自由は効くのだが、吊り橋の上で動けなくなってしまった。
そのとき「戻って行い」とYが大声を出した。
私はこの声で我に還り、Yの方を振り向き愕然とした。
座り込んでいるYの背後に女がいる。
女は白い着物をきていて、Yの顔を見下ろすようににして立っていた。
Yはそれに気付いていない様子で、私は恐怖で全身の毛がさかだった。
とにかく逃げることを考え、吊り橋から地面へとピョンと飛び移った。
その瞬間吊り橋のワイヤーがビーンという音とともに切れた。
もし、あのまま橋の上にいたら、おそらく転落していただろう。
私はもう恐怖で分けが解らなくなり、ただひたすら車まで走った。
Yには悪かったが見捨てて走ってきてしまった。
後ろから「うわああああ」と雄叫びをあげながらYが追いかけて来た。
その声でまた恐怖がこみ上げてきて、ひたすら走った。
私はYと汗だくで車に乗り込むと、直ぐに車を発進させた。
そして学校から道路に出たところで2トントラックと正面衝突した。
幸い二人ともケガは無かったが、会社から借りてきた車は全損だった。
翌日会社には出勤したが、さすがに原稿は書く気になれず、他の人に書いてもらった。
二日後に車を全損させたせいで、社長にクビを通告された。
しばらく東京で仕事を探したが 貯金も底をつき、実家に帰ることにした。
これと前後して不思議なことがあった。
当時携帯が出始めた頃で、充電が切れているにも関わらず、呼び出しが鳴った。
直感的にYじゃないかと思い、コンビニからY宅に電話を入れた。
Yの母親が出て、おとといから連絡がつかないとのこと。
その後、これに関係してか否かわからないが、四ヶ月後に、彼の田舎、山梨で無事見つかる。
翌日幡ヶ谷のアパートを引き払い、実家に帰るとデスクから連絡が入った。
「お前のフィルムに変なものが写っているのだが」とのこと。
内容は確認しなかったが
「写真はそっちで始末してください」
そそくさと電話を切った。
車で一泊二日の家族旅行に出かけて、帰ってきたのは夜の10時ごろ・・・
後30分ぐらいで家に着く、そんな時の話です。
私の家の近くは田んぼや畑がまだ多く、遠くまで見渡せるようになっていて、
昼間の線路近くは電車と景色とのコントラストがなんとも良い感じの場所でした。
車の中には母、兄、姉、そして私が旅行の疲れで半分、眠っていて、
運転手の父だけが家路を急いでいました。
ちょうど線路近くに差し掛かったときに、私たちの乗る車は踏み切りで引っかかり、
貨物列車が通るまでの少し長い時間を父はサイドブレーキを引いて待っていました。
まだ列車のライトが遠くにいて、父はタバコを吸い始うために窓を開けたそうです。
その時、父は「なにしてんだ・・・?」とつぶやきました。
父の声によって、家族全員で
ちょうど列車が来る方と反対側の線路に人影を見ました。
助手席に居た心配性な性格の母はいち早く異常に気が付き「自殺!?」と叫びました。
「んなことはない」と後部座席にいた私たち三人は、気にしない態度を取っていましたが
しかし、母があまりにも騒ぐので、そっちを見てみると、
確かに線路上に人影が見えたんです。
「やばいかな?」と思っているうちに轟音を立てて貨物列車が通りすぎていきました。
結局、窓が開いていて、列車はブレーキ音も立ててないし、轢かれたような音もしていない。
気のせいだ・・・と楽天的な私たちは、そう結論付けて帰宅しました。
家には小さな庭があって、居間のレースのかかった大きな窓から
庭の様子が覗えるようになっています。
場所は少し離れますが、日の光があれば、さっきの線路も家から見えます。
旅行から帰って、しばらく居間で私たち家族はTVを見てなごんでいました。
すると庭でかすかに音がするんです。
(猫かなんかか・・・?)
TVを見ていたのでそんなに気をとられなかったんですが
チラっと家族の顔を見るとTVとは違う方向に視線を集中させています。
レースのカーテンの奥には白い大きな人影が歩いていました。
しかも、その白い人影は上半身と思われる体を前後に大きくふっています。
首から上がなくてバランスが悪く、足を左右にふんばりながら歩いているのでした。
恐怖に対して、体中の毛が逆立ち、手が震えていました。
自然と家族は寄り添うような感じで集まり、
庭を通り過ぎて、視界から消えるまでの時間を過ごしました。
後日、近所の人に聞いたんですが、
私たちが旅行に行っている間に
あの踏み切り近くで自殺があったことが分かりました。
その人は線路で横たわって列車に首をはねられ即死したそうです。
現在では居間の大きな窓には厚手のカーテンをかけて、
外が見えないようになっています。
Aという男がいた。世間からの評判の良い彼だったが、他人に言えない秘密があった。
それはネットを渡り歩いては、グロ映像等の猟奇系のHPを覗き見るという趣味だった。
より過激な内容のHPを求めて、Aはより奥深くネット世界をすすんだ。そしてあるHPへたどり着いた。
それは、ただ真っ白な画面に『むこうがわ』とだけ書かれたそっけないHPだった。
閲覧しようとすると『こっちへ きたいのか』とメッセージが表示された。
Aは深く考えず、"yes"と答え『むこうがわ』へ足を踏み入れた。
そこはAがかつて見たこともない、過激な映像が幾つものページに分かれて表示されていた。
常人ならば一目で目を背け、悪夢にうなされるようなおぞましいもので溢れていた。
Aは『むこうがわ』の虜となった。彼を熱中させる要素の一つにランダムに現れる
『もっと こっちへきたいのか』というメッセージの存在があった。
"yes"と答えると、それまで現れなかったさらに過激なページが表示された。
唯一同じ趣味を持つ悪友Bに『むこうがわ』のことを教えると、Bもまた虜となった。
彼等は、さらに奥へと『むこうがわ』へ進んでいった。
そうして『むこうがわ』の深淵へと進んだAは、『もどき』と題されたページにたどり着いた。
内容は何処かの一室を音声付リアルタイムで中継しており、そこにはある”モノ”が居た。
その姿は胎児が胎内での、爬虫類から補乳類への進化の過程中に生み出され
そのまま成長したかのような「ヒトもどき」がそこに居た。
「もどき」はそこに監禁されており時々覆面の男が現れて食事を与え、
掃除し、気まぐれに暴力をふるい、犯していった。
Aはその禁断の映像に釘付けとなり、繰り返し『もどき』を覗き見た。
ある時Aは、覆面が時折漏らす言葉が日本語で、
Aがよく知る地方の方言だと気づく。
そのことは彼を現実へと引き戻した。
”これは今、日本で実際に行われている現実の出来事だ”
Aは急に恐ろしくなり、『むこうがわ』へのアクセスを止め、『むこうがわ』のURLと内容を書いた
匿名のメールを警察へと送った。ふと、気になってBへ電話してみると
彼はA以上に『むこうがわ』に没頭しており、止める気配はない。
そのせいかBの話には支離滅裂な部分が目立つようになり、
薄気味悪くなったAはBとの連絡を絶った。
数ヶ月後、一通のメールがAに届いた。
差出人は政府公安の研究部からだった。
それによると、その部署は昨今急増する異常者による犯罪を未然に発見、
防止を目的とし その為の研究と実験に取り組んでいて、
その一環としと作成したのが『むこうがわ』だった。
あれは異常者を見つけ出すための”エサ”で、アクセスした者はIDを洗われ監視される
更に『むこうがわ』への進度、
閲覧したページの内容等により"10"から"0"までのランク付けがされる
そのランクに応じて対象者への処置が行われるという。
Aはそれまでの経過に加えてアクセスを止めたこと、
警察へ通報したこと等により"5"という評価だった。
メールには、今回のことはあくまで実験であり、実生活への影響が無いことと
実験への協力への感謝の言葉で締められていた。
監視されていたことに驚愕するA。
だが、何より気になったのはランク評価に対する処置に関する記述だった。
"4"以下には特に処置無しだが、"3"より要注意人物とされ、"2"では監視が付くようになり
"1"で強制入院となる。
そしてその上の"0"については一切記述されていなかった。
胸騒ぎのしたAはBと連絡を取ろうとした。
しかし、如何なる記録を検索しても、
連絡先はおろか、Bという人間は存在すらしていないこととなっていた。
Bのランクは果たして何番だったのだろうか・・
昔ある町の商店街を歩いていたら、前に母親と父親と5歳くらいの男の子の
三人家族が歩いていた。結構近くを歩いていたので会話が聞こえてきた。
男の子「ねぇねぇ、うちって4人家族だよねぇ?」
母親「何言ってるの!うちは昔から3人家族でしょ?」
何気ないけどよく考えるとちょっと恐い...。
俺が高校3年生のとき。
1人の友達の親が茨城の海沿いの地にコテージを買ったというので、
その夏、友達6人とそこに遊びに行くことになった。
常磐線からローカル私鉄に乗り継ぎ、駅に降り立つと、
駅前の小さなスーパーで5日分の食料を買い込んだ。
そして、タクシーで30分ほど走ってようやくコテージまでたどり着いた。
当時、その周辺には商店1軒もないようなところであった。
コテージは10坪にも満たない大きさであったが、
俺たちは開放感に包まれ皆がはしゃいでいた。
到着したのが昼をかなり過ぎていた時間にもかかわらず、早速海に出向いて楽しい時間を過ごした。
2日目も朝から海に行き、夕方クタクタになって戻ってきた。
コテージには電話はなかったが、
電気は通っており、テレビをつけて皆でぼんやりとテレビを眺めていた。
そのとき飛び込んできたのが、日航機123便が御巣鷹山に墜落したニュースであった。
ただ、これは記憶に強く残っていたものの、この話とは関係な いのでこれ以上は割愛する。
興味深くニュースを見ていた俺たちも疲れからいつしか寝てしまい、3日目 の朝がきた。
その日は朝からだるく、海に出向いたのは昼過ぎであった。
そして早めに 切り上げてコテージへと帰った。
日が暮れると花火をしたり、近くの森に忍び込んだりして遊んでいたが、
じきに飽きてしまい、明日は朝から海に行こうということで、早寝をすることになった。
適当に布団に寝転がり、取り留めのない話をして眠りを誘っていると、
一人(Hとしよう)が「なんか音がしないか?」とつぶやいた。
「音なんかしてねえよ」
「ああ、聞こえねえな」
と2,3人が否定したが、Hは聞こえるといって譲らない。
そのうちもう一人(Gとしよう)が
「聞こえる。外で音がする」と言い出した。
「草の上を滑るような音だ」
「おい、脅かすなよ」と言いながら、その他の者は耳を澄ませた。
辺りを静けさが包む。
「聞こえるな・・・確かに」
誰かがポツリと呟いた。この時点では俺には何も聞こえていない。
ただ、かすかな風が草木を揺らす音が聞こえているだけだった。
「まだ、聞こえるのか?」俺は誰とも無く聞いてみた。
「聞こえる」
そのときドアかその辺りで叩くような鈍い音が聞こえた。
全員がびくりとして上半身を起こしたのだから、皆が聞こえたのであろう。
「おい、鍵、締まってるだろうな!」
慌ててドアの近くに寝ていたやつが確認する。
「締まってる」どことなく安堵のため息が漏れた。
泥棒なのか、という疑問があった。当然誰も似たようなことを思っていた
だろう。コテージの持ち主であるやつ(Kとしよう)がどこからか、棒切れを
出してきた。
ドアを叩くような鈍い音はそれっきりしない。しかし誰にも緊張が走る。
「絶対、なんかが草の上這ってるぞ」Hが言う。
誰かが灯りをつけた。
幾らかほっとした空気が流れる。
「おい、誰か見て来いよ」Kが言う。
誰も反応しない。
「テレビつけようぜ」テレビの画面が明るくなり、音声が聞こえ始める。
時刻は0時を回っていた。このまま寝ようという意見に皆が否応無く賛成し、
煌々とした部屋で布団に転がった。
当時は終夜放送はほとんど行われていなかったが、
この夜は前日の飛行機事故の情報を流していて、砂嵐画面は回避できた。
音に関することは、このあと誰も口にせず、いつしか眠りについていた。
朝になり外に出てみると、コテージの周りの草が、
幅1メートル位に渡って広範囲に倒れていた。
しかも倒れた草は白っぽく変色している。
いや、変色しているというより、色が抜けたというほうが正しいかと思う。
予定を繰り上げて帰ろうかという気持ちもあったが、
迎えのタクシーは明日の昼に来る予定なので、実質最後の日ということもあり、
結局泳ぎに行くことになった。
前述のとおり電話はなく、当時は携帯もなかったので、
連絡を取るためには、1時間近くも歩いた商店に行くしかなかったのである。
しかし、そのとき素直に帰っていれば、
その後の恐怖は回避できたのかも知れない。
その日は生憎、雲が多めだったが、
海に行くと、昨晩のことなどすっかり忘れ、
夕方の5時になるまで海水浴や時折顔を覗かせる太陽で日光浴を楽しんだ。
コテージに戻って、明日の朝食分を除いた食糧を綺麗に片付けた。
そのうち日も暮れ、残っていた花火で遊んだりしていたが、
皆、相当疲れており、その日はかなり早めであるが、
そろそろ休もうということになった。
順番に風呂に入いり、布団を敷いてごろ寝をした。
もちろん、電灯は点けたまま、
テレビもさして興味有るような番組もやっていなかったがつけたままにしておいた。
取り留めの無い話をしているうち、そろそろ眠りに落ちようかというとき、
突然、電灯が消えた。
コテージの照明は蛍光灯でなく白熱灯だったので球が切れてもおかしくはないが、
間隔をおいて2つある電球が同時に切れたのだ。
「あ!」同時に声があがった。
しかし、テレビは消えていないのでそれほど不安は感じられなかった。
スイッチを入れ直してみたが電灯は点かない。
「代わりの電球ないのか?」
「ない。買っておけばよかったな」後の祭りであった。
暗い部屋の中でテレビだけが煌々と光っていた。
何故か皆が無口であった。
Hが呟いた。「また聞こえる」
耳を澄ますと、今度は確かに聞こえた。
草の上を何かが滑っているような、転がっているような音が断続的に聞こえていた。
「
おい、テレビのボリューム上げろ」
テレビの音声は大きくなったが、音は何故かはっきりと聞こえていた。
人間ではない。誰もがそう思っているに違いなかった。
さらに運が悪いことに、テレビの放送時間が終ってしまった。
今と違って終夜放送はやっていなかったのだ。
テレビの画面が砂嵐となり、ザーという単一的な音に変わる。
その音は余計に不気味さを感じさせ、結局、無音にすることになった。
外からの不可解な音は止むことなく続いていた。
またしても突然、鈍い音が鳴った。
それも床の下から。
しかも今度は1度だけではなく、不定期な間隔をもって音が鳴った。
突然Hが立ち上がり、無言のままドアを開けて外に飛び出した。
「おい!」「どこへ行くんだ」「やめたほうがいい」
口々に叫んだが、Hは振り返りもせずに外へ出て行ってしまった。
扉が閉まる音だけが虚しく響いた。
刻々と時間は過ぎていった。Hは戻って来ない。
「様子見に行ったほうがいいんじゃないか?」
そのとき音は鳴り止んでいた。
かすかに風の音が聞こえるのみ。
懐中電灯を持って、残った5人で外へ出た。
ドアから10メートルくらい離れたところにHは座り込んでいた。
近づいてみると、彼は何故だか座り込んだまま頭を左右に小刻みに揺らしていた。
2人で両脇を抱え込み、無理やり立たせてコテージに連れ戻したが、
彼は何も言わず、ただ頭を揺らし続けていた。
「何があったんだ!?」
「どうしたんだよ」
何を聞いても、ただ頭を揺らし続けるだけだった。
気がつけば、外ではまたあの音が聞こえていた。
言い知れぬ恐怖が皆を襲った
「ふざけんな!」Kは吐き捨てるように言うと、棒切れと懐中電灯を持って外に出て行った。
Gと他2人が後を追った。俺ともうひとりはHの側についてやることになった。
外でKの叫び声があがった。
何事か!と思い、俺はもう一人にHの介抱を任せて外に出ようとした。
ドアを開けたとき、Gが戻ってきた。顔色は無かった。
「どうしたんだ!?」
Gは答えることもなく、その場にがっくりと座り込んでしまった。
俺は、たまらず外へと飛び出した。
数メートルいったとき、俺は思わず声をあげた。
小さな人間が、2、30センチの小人数人がが山車のようなものを曳いている。
草の上を小人たちが何かを曳いていた。
黒いもの・・・ 異様な光景。
小人が何か黒いものを無言で曳き、
それに押しつぶされる草が不気味な音を立てていたのだ。
その黒いものが、無数の虫の死骸と分かったとき、俺の意識は遠のいた。
翌朝、俺はコテージの外壁に寄りかかって座った状態で目がさめた。
コテージの玄関の側にはGがいた。
すぐ側の草むらの中にKがいた。
Kの側に、Kを追って出た2人が座り込んでいた。
最後までHを介抱していた1人はコテージの中にいた。
しかし、Hがいなかった。
なんとか気を持ち直した5人はHを探そうと、コテージの周りの捜索を始めた。
30分は探したであろう。
しかしHは見つからなかった。
仕方が無いから警察に届けようと、2人をコテージに残し、
俺を含めた3人で電話のあるところまで歩き始めた。
森の側を通ったとき、なにやらガサゴソとした音が聞こえた。
もしや!と思い入ってみると果たしてHがいた。
Hは一心不乱に石を積んでいた。
でも、とにかく俺たちは帰ることができた。
後でHに話を聞いてみると、森に入って遊んだとき、
石が積んであるのを面白半分に蹴って崩してしまったそうだ。
俺たちに声をかけられるまでHは正気ではなかったという。
気がついたら崩した石を積んでいた、と話した。
それ以上Hの口からは何も聞くことができなかった。
Hは今も生きてはいるが、人付き合いはほとんどしていないらしい。
以前のHとは正反対の性格になってしまっている。
Hは森の封印を解いてしまったのか?
自分が高校の頃の話です。
自分は美術部に入っていて、自分で言うのもなんですが、
その部の中では1番絵が上手いみたいな感じで、
絵が仕上がる度に結構みんなからチヤホヤされてたんです。
しかも、美術部に男は少なく、ほとんどが女子だったので、
数人の男子からは「絵が上手いとモテモテでいいよなー」とか
羨ましがられてました。自分は、少し複雑だったのですが。
しかし、自分と同じぐらい、いや、むしろ自分より上手い人が部の中にいたんです。
髪の長い、女の人。
しかし、その人は何か陰湿な感じで、その人がどんな上手い絵を書いても、誰も見てくれはしませんでした。
先生も、自分の方をえこひいきして、自分はその人が可哀想に見えてなりませんでした。
そして、ある日自分はその人に声をかけたんです。
「○○さん、絵かなり上手いよね?絶対俺よりも上手いし!」
自分はその時、心の中でセリフが決まっていたもんだから、
その人が書いてる絵に目をやっていませんでした。
するとその女の人は、今までの陰湿なイメージを吹き飛ばすような微笑みを見せました。
何だ、この人、実は明るいんじゃん!
自分は、その人との話題を作るために、その人が書いてる絵に目をやりました。
鮮やかな赤い絵の具が光る、綺麗な色彩画。
と思いきや、俺の死体。
みんながこの人に近付かない理由がよく分かりました。
ちなみに、後の友達の話によると、
その女の人は、好きな人の死体を書くのが趣味らしい。
異常ですよね。
学生時代の友人を訊ねて部屋に泊まらせてもらった時の話。
俺は霊感とか全然無くて、霊とかそういうの何も見えないんだけど、
そいつは霊感ある奴で霊も結構見えるって言ってた。
俺はオカルト話自体は好きだから、一緒の大学に行ってた頃は
そいつの色んな体験が聞けて楽しかった。
そいつのいきつけの店で酒を呑んだ帰り、
そいつが、なんだかつけられてる気がする、とか言い出した。
カサカサいう音はしたけど、風が吹いていたし、
俺は枯葉かなんかが立てる音だろうと思って気にしなかった。
そんときは霊が見える奴だってことは忘れてたから。
なんとなく気持ち悪いから、迂回して車通りのある大きい道を通る。
そんなに遠まわりでもなかったから、すぐに友人が住んでるビルに着いた。
そいつの部屋があるのは6階なんで、エレベーターに乗る。
ドアが閉まった後、なんか聞こえたような気がして友人を見た。
そいつもなにか気になる様子で、聞き耳を立てていた。
ウィィィィィンってエレベーターの駆動音に混じって、
かすかに
カリカリ、カリカリ……
って、なんか引っかくような音がしてたんだよ。
季節が夏なら、虫でも紛れ込んだのかと思ってしまうような
音だったけど、見渡してみてもそんな虫はいない。
その音は、どうも俺達が乗っているエレベーターの上から
聞こえてくるみたいだった。その時ふと思ったのが、
(まるでエレベーターの上に誰かがいて、指で引っかいてるような)
まだその時は、
『馬鹿だな俺。嫌な想像しちまったなぁ』くらいの
気持ちでいたんだけど、そのまま二人ともなんとなく黙ってしまった。
引っかくような、その音だけがやけに耳について……
『早く着かないかな』って、階数表示を見ながら思ってた。
きっと俺の友人も同じ事を考えていたと思う。
6階の表示が点いて、
ゥゥゥンって響きと軽い逆Gを感じたときは正直ほっとしたよ。
でも扉が開いたと思った、その時
ガンガンガンガンガンッ!
いきなり上の方で、鉄板を思いっきりぶったたく様な音がした。
友人も上を見て『ギョッとした』様子だった。
俺達はもういてもたってもいられなくなって、
先を争うようにエレベーターの外に飛び出して、友人の部屋までダッシュ。
あいつも慌ててたんだろうけど、ガチャガチャ言わせるだけで、なかなか鍵が開かない。
俺はそいつがドア開けるのを待つ間、もどかしくてしょうがなかったよ。
俺はそいつの手元とドア、それにエレベーターのある方を順番に見ながらビクビクしてた。
で、扉が開くと中に駆け込んですぐに鍵を掛け直した。
慌てて靴を脱いで、そいつの部屋の中まで直行。
「なぁ、なんだったんだアレ?」って聞くと、
「さぁな」ってつれない返事をしやがる。
でも俺は気になるからそのまま話しつづけた。
「まさか誰かエレベーターの点検員とかが居たんじゃ?」
「何言ってんだよ、こんな夜中に居るわけないだろ」
「助けを呼んでたのかも」
そしたらそいつ、突然
「んなわけねーよッ!!」って怒鳴ったんだ。
俺がびっくりして返事できないでいると、
なんかブツブツ言った後、
「……声かけてこなかったじゃないか。 おかしいだろ!?」
「え? あ、そか。 普通なら助けてくれとか言うよな……」
俺はそいつの迫力にしどろもどろになっちまって、
そのままなんとなく話が途切れてしまった。
しばらく二人でぼーっとしてた。なんか放心状態。
そしたら、そいつがいきなり話し出した。
「いきなり怒鳴って悪かった」
「え、イヤ、良いって。 気にすんな」
驚いた事は確かだけど、別に俺は腹を立てたりはしてなかった。
さっきの、そいつの様子があんまりマジっぽかったから……
「……オマエ見えないんだもんな」
「え?」って、ワケがワカラン様子の俺にそいつが
ボソリとつぶやいたんだ。
「天井から血まみれの脚がぶら下がってたんだ」
親が珍しい風呂にはまった。
牛乳をドパドパ入れてみたり、パセリを入れてみたり、ろくな風呂が無かった。
結局臭かったりなんだりで、桧の切れ端を入れる桧風呂に落ち着いたらしく、
近所で切ってた桧の端切れをもらい、みかん網に入れて裏庭に干し、
風呂釜に入れるのが家の標準風呂になった。
ある日、普通の風呂だなと思いつつ風呂に入っていたら、
親が洗面所から桧の入ったみかん網を投げてきた。
そういうことか、と思い風呂釜に入れた瞬間・・・。
ビチビチビチ!!
大量のムカデがプカプカと浮かび上がり、もがきながら陸地を求めて生肌に這い上がって来た。
振り払っても振り払ってもムカデ。ムカデも必死。
振り落とされてはしがみ付き振り落とされてはしがみ付き、
アゴまで来た奴もいて、半狂乱になった。
どうやら裏庭で干している時に、
ムカデ御一行が桧のチップの隙間に入り込んだらしい。
思わず熱湯を頭からかぶりそうになった所で救出。
しこたま殺虫剤をかけられ、肌荒れ。
噛まれた箇所10ヶ所。
総勢13匹のムカデが風呂釜に浮いていた。
殆ど体長1.5センチ程度のちびムカデだから良かったものの、
1匹10センチのムカデが風呂釜の底でユラユラ揺れていて、
洒落にならない程恐かった。
極度の虫嫌いはショック死すると思われる体験でした。
ある学校で年配の先生が あまり使われていないコピー室で大量のプリントのコピーをしていた。
あまりに量が多く、その先生は学校に最後まで 残ってしまった。
そんなとき、先生は持病の心臓発作で意識を失いコピー機にたおれこんでしまった。
冬の寒い日で 次の日の朝 たまたま掃除用具を探しにきた生徒に発見され
すぐ救急車が呼ばれたが、なくなってしまっていた。
そのコピー室自体、あまり使われない旧校舎にありしばらく閉鎖状態になっていたが、
生徒会の書類を作成するため、ひとりの生徒がそのコピー機を使った。
電源をいれ、印刷の原本の準備をし始めたときスタートボタンを押してしまった。
するとその先生が指定した枚数だけ先生の死に顔が印刷され始めたのだった。
子供の頃、ばあちゃんの家に遊びに行った時のことです。
同じくらいの年のいとこ2人と姉とかくれんぼをはじめました。
鬼になったのは一つ下のいとこでした。
ばあちゃんの家に行く度にかくれんぼばかりしていたので
ばれにくい所(タンスの上のダンボールの中や玄関の下駄箱の下など)は
過去にもう隠れたことがあり、隠れる場所が殆ど無かったのですが、
私は隠れるのがなかなか上手く、一番最後まで見つからないとも多かったので、
その日も気合を入れて隠れる場所を探し始めました。
ふと目に付いたのが仏間の押入れ。
上の段に上り、何気なく上を見ると板がほんの数ミリくらいずれていました。
押してみたら持ち上がったのでそこに這い上がり、
板を元に戻して、外から漏れる光を頼りにあたりを見回すと、
屋根裏というよりトンネルみたいな、長い通路のようになっていました。
ばあちゃんの家は細長い平屋だったんですが、
どうやら端から端までありそうなくらいの通路です。
高さは大人がハイハイしてやっとくらい。
押入れの近くにいるとバレると思った私はとりあえずその通路を移動することにしました。
古い家なので隙間も多く、真っ暗でもなかったのであまり恐怖も感じず、
四つん這いになってどんどん進んでもうすぐ家の端まで着くぞ、という時に
突然天井と言うか、這ってた屋根裏の板が途切れてて、
私はそのまま頭から落ちてしまいました。
落ちた先には古くてかび臭い布団が沢山置いてあったので幸い怪我も無かったんですが、どうもおかしいんです。
ばあちゃんの家にそんな部屋はない。
上を見上げると自分が落ちてきた場所が見えたんですが、
結構高く、どう見ても平屋の一階と言うよりは地下。
周りは土と石でした。
なんとか上ろうと思って手で回りを探ると、何かスイッチのようなものがあったので押してみると、上からぶら下がったコードに付いていた
裸電球が点きました。
明るくなったことで回りの状態を見ることができました。
壁にぽっかり空いた横穴。。。
とりあえず這い上がるのは無理そうだし、この穴を通ればどこかに出られると思い、
四つん這いになってその横穴を進み始めました。
地面にはさっきあったような布団が敷いてあるようです。
ジメジメしてて気持ち悪かったけど、だんだん怖くなってきたので
どんどんどんどん進んでいき、もう電気の明かりも届きません。
なんだか微妙に登り坂になっていて、ちょっと疲れたけど
それでもどんどんどんどん進んで行くと、いきなり何かにぶち当たりました。
薄いベニヤ板みたいなものが立てかけてあったらしく、
板が倒れて穴からようやく脱出。。。
したのはいいんですけど、見た事もない部屋。
木の檻っていうか格子がはまってて
出口らしき所には大きな鍵がついていて出られません。
恐さがピークに達した私は大声で泣き喚きました。
すると檻?の外の更に外から女の人の声が。
「誰かいるの?」
「わかんないけどここに来ました!助けてください!」
「ちょっと待ってて!」
ガチャガチャと音がして檻の外の扉が開きました。
どこか蔵の中の小部屋のようなところにいるようです。
「ここの鍵ないんだよね。ちょっと待っててね。」
少ししておっさんが現れました。不思議そうな顔をしながらも
鍵をガチャガチャやったり引っ張ったりして開けようとしてましたが開かず、
結局斧で叩き壊して救出してくれました。
名前とどこからきたのか聞かれ、ばあちゃんの家から穴を通って
何故かここに出たことを説明すると、おっさんがばあちゃんの家まで
おんぶして連れて行ってくれました。
家で遊んでたはずがおっさんにおんぶされて帰ってきた私に
じいちゃんもばあちゃんも驚いていました。
私が「この人に助けてもらった」と説明すると、
不可解ながらもにこにことお礼を言ってました。
しかし、「この子がどこからか穴を通ってうちの蔵に入った」という話をおじさんがした途端、
二人は突然 「出て行け!」と怒鳴りだし、おじさんを追い帰してしまいました。
なんかすまないことをしたなぁ、と思った私はじいちゃんに
「仏壇の部屋の押入れから行ったんだよ。
穴があのおじさんのうちのほうまで繋がってて
勝手に蔵に入っちゃったんだからおじさんは悪くないよ。」と
説明しました。
するとじいちゃんは「そんな所からあんな遠くまで繋がってるわけが無い!」
と怒鳴り、仏間に行くと天井を沢山の板と釘でめちゃくちゃに打ち付け、
塞いでしまいました。
その後は恐くてあのトンネルのことは口にできませんでした。
だからあれが何なのかはさっぱりわかりません。
蔵のあった家にはその数ヶ月前までは
人付き合いを殆どしないおばあさんが一人で住んでいたんですが亡くなり、
其の後 私を助けてくれた夫婦が住んだものらしく、
蔵のことはよく知らなかったようです。
じいちゃんはとっくに亡くなり、ばあちゃんも数年前に亡くなり、
今はあの家は人手に渡っています。
最近両親に聞いてみましたが、そんなもの知らないと言ってました。
あれはなんだったんでしょう?大量の布団。電気。トンネル。
考えるとなんか恐いのであまり考えないようにしています。
今から二年ほど前のことです。
とあるアパートに彼女と同棲していました。
その日はバイトが早めに終わり、一人でテレビを見ながら彼女の帰りを待っていると、
「だ〜れだ?」という声とともに目隠しされました。
当然彼女だと思っていた俺は、
「○美だろ〜。お帰り・・・」と、彼女の手をどけながら後ろを振り向きました。
しかしそこには誰もいなかったんです。
一瞬呆然となった後、俺の心臓は鼓動が聞こえるほど早まっていました。
おかしい・・さっきの声は?・・・きっと幻聴だ・・・ドアが開く音しなかったじゃないか・・・
必死にそう思いこもうとする一方で意地悪な考えが頭に響いていました。
手はどう説明する?・・・目隠しもされた・・・その手を掴んでどけた・・・感触もまだ残ってる・・・
俺はもう恐怖で発狂寸前でした。
(とにかくここを出なきゃ・・・)勇気を振り絞り、
立ち上がろうとしたその時金縛りに会い、体が全く動かなくなってしまいました。
心臓が張り裂けそうで、恐怖でパンクしそうでした。
突然部屋中に若い男女と思われる笑い声が響き渡り、
ふっと笑い声が止むと耳をつんざくような恐ろしい叫び声が上がりました。
俺の意識があったのはそこまでで、気が付いたときは彼女に介抱されていました。
俺は彼女にそのことを話し、急いでその部屋を出て、その日は友達の家に泊めて貰いました。
翌日、大家にこの事を問いつめると、
以前この部屋にはシャブ中のカップルが住んでいて、
男が女を殺し、自分も自殺したと教えてくれました。
2年ほど前、俺はあるアパートの6階に一人で暮らしていたんだけど、そこで衝撃的な思いをした。
ある日のことだ。朝飯をたいらげてテレビを見てるとピンポーン、と呼び鈴が鳴った。
こんな早朝に何の用だよ・・・出てみると隣のオッサンだった。
「はいよ、回覧板。」
そう言ってオッサンは俺に回覧板を手渡し、すぐに去っていった。
俺は少しの間玄関で立ち止まったままでいた。
何か・・・おかしくないか?
そう、回覧板だった。
ふつう、回覧板は必ず下の階から上の階へと回っていくはずなのだが、
その日は何故か隣から回ってきたのだ。
俺は家を出て、すぐさま隣のオッサンの家の呼び鈴を鳴らした。
オッサンは不機嫌そうな顔つきで現れた。
「すみませんが、今日はなんでお宅がうちに回覧板を・・・?」
俺はそう訊いてみた。オッサンは少し顔をしかめた。
「ああ、すまんよ。上に回してくれんか」そう問い掛けてきたので俺は「は?」と答えた。
するとオッサンは「じゃあ、いい。とにかく上に回しておいてくれ」
一方的にそう言い放ち、バタン、とぶっきらぼうにドアを閉じてしまった。
なんだそりゃ。
仕方ないので、とりあえずその場で回覧板を開いてみた。
回覧板の中には、いつものどうでもいい書類と、住民がサインをする用紙はなく、
代わりに水色の色紙が一枚だけ挟まっていて、
その裏には何か書いてあるようだった。
俺はそれを見て驚愕した。
色紙の裏には何とも気味の悪い絵が一面に書き詰められていたのだ。
大蛇がぐるぐると巻きついた十字架、
刃物でメッタ刺しになっているリンゴ、
眼球が飛び出した犬、四肢が全て切り離された人間、
首だけで笑っている人の頭・・・・
かなりの種類だった。
しかも、どの絵も全くと言っていいほど統一性がなく、
それぞれ違う人間が書いたようなものに見えた。
幼稚園児レベルの画力の、まさに落書きと呼ぶに相応しいような絵もあれば、
美術館などで展示されていても おかしくないような、驚くほど精巧でリアルな絵もあった。
とにかく、どれも恐ろしくグロテスクな絵だった。
一般人が見たら 間違いなく狂った人間の仕業と思うだろう。
俺もそうだった。
なんて真似しやがる・・・
どこの糞野郎か知らないが、悪質な悪戯だと思った。
それにしてもオッサンはこの絵を見て何も思わなかったのだろうか?
それとも単に気付かなかったのか?
俺は再びオッサンの家の呼び鈴を鳴らした。
すると何故か、さっきはすぐに出てきたくせに今度は全然出てこない。
何度も呼び鈴を鳴らしたが、一向に出てくる気配はなかった。
ひどく気味が悪くなってきたので出来るだけ早く回覧板を手放したくなった。
階段を上がって上の階へ行き、呼び鈴を鳴らした。
しかし誰も出てこなかった。
仕方ないので下の階に行き、何度も呼び鈴を鳴らしたが、やはり誰も出なかった。
俺は諦めて回覧板を持って家に戻ることにした。
何でこんなものが俺に回ってくるんだよ・・・すっかり嫌になった俺は、
回覧板の色紙を取り外してクシャクシャに丸めてゴミ箱に捨てた。
それで少しだけ気分が晴れたような気がしたので、その日は早いうちに寝た。
夜中になって、俺は目を覚ました。時計を見ると午前3時だった。
何でこんな時間に目が覚めるんだ・・・俺はふと、あの回覧板のことを思い出して
急に怖くなった。何故かあの色紙の存在がとても気になった。
恐る恐るゴミ箱の中を覗いてみると・・・色紙はクシャクシャに丸まって、
さっきのまま捨ててあった。取り出して見てみると、例の気持ち悪い絵が目に飛び込んできた。
「ん・・・?」
よく見ると、絵の中に混ざって平仮名が書いてあるのに気付いた。
『 し に た い 』
次の日、隣のオッサンは首吊り自殺をしていた。
あまりに怖くて、悲しくて、泣いた。
2年前の夏、大学からの帰りでの話。
駅からチャリで自宅に向かっている途中、遠くで黒い煙が
立っているのが見えた。
「火事かな?ちょっと行ってみるか。」
と、野次馬根性まるだしで現場に行くと、かなり火が燃え上がっていた。
まだ消防車は到着していないようで、その家人らしき夫婦と近所の人、
それから通行人らしき人たちが呆然とその様子を眺めていた。
ふと2階に目をやると、窓際に少女がいる。
何か叫んでいるように見えるが、声は聞こえない。
恐怖で声が出ないんだろう。
「取り残されてる!やばい!」と思い、夫婦に声をかけた。
「何やってるんだ!早く助けないと!」
しかし、夫婦はただ呆然と少女を見つめていた。
普段、別段正義感が高いわけではないが、
この時は「俺が助けないと」と思い、
周りの人間に「バケツに水汲んでください!それから濡らした手拭も!」
と叫ぶと、近所の人らしき親父が「何をする気だ!?」と言った。
「何するって、助けに行くに決まってるだろ!あんたら、なんで見てるだけで
何もしないんだ!」と俺が言うと、その親父が何ともいえない表情で言った。
「違うんだ…違うんだよ…。」
火事のためか、かなり混乱しているようだった。
「違うって何だよ!!」と俺が言おうとした時、その親父が続けて言った。
「…そのご夫婦に、子供なんていないんだよ…。」
「…え?」
何を言ってるのか、最初はまったく理解できなかった。
先ほどは焦っていてまったく気づかなかったが、改めて少女を見ると、違和感に気づいた。
少女はまったく怖がっていない。あつがっている様子もない。
まったくの無表情で、大きく口をパクパクさせている。
数秒間、少女を見ていると何を言っているのかようやくわかった。
同じ言葉をずっと繰り返していたのだ。
「燃えろ、燃えろ、燃えろ、燃えろ、燃えろ、燃えろ…」
消防車が到着するまでの間、俺は夫婦や近所の人、それから他の通行人と同じように
ただ呆然と眺めているしかなかった。
この火事での死傷者はゼロ。
出火もとの家は全焼し、両隣の家は半焼だった。
去年の夏にあった話です。
俺は通学のため朝の八時頃電車に揺られていました。
朝のラッシュ時で、電車はギュウギュウに混む日と、
そこそこ混む日と混み具合にむらがあったのですが、
その日はそれほど空いてなく俺はつり革を掴みながら窓の外の流れる風景を眺めてました。
ふと横を見ると、窓の外に車両の連結部分から手が出ているのに気が付きました。
びっくりしましたが周りの目を気にする性格の俺は声も出さず成り行きを見守ることにしました。
大都会のことですから、可笑しなことをする人はよくいるもんだと達観したつもりでいたのですが
やがてその手は、ゆっくり移動し始めやがて体全体が、
そして顔まで見えるようになりました。
多分二十代前くらいの女性です。
まるでレンジャー部隊のように車両の側面を移動しているのです。
その女性は俺の立っている方向に移動してきます。
そして嬉しそうな顔で乗客の顔を眺めているのです。
そのうちに俺と目が合いました。
こんな可笑しな状況になっているのに他の乗客は平然としているのです。
少しおかしなことに気が付きました。
その女性、両手が窓に張り付いていたのです。
てっきり今まで、ロッククライミングのように
車両の出っ張りに手をかけて移動しているものだと思っていたのに、違うようです。
そしてその女性は俺の前まできました。
窓ごしに俺のことをずっと見ているのです。
まずいことに気が付きました。俺は彼女と目が合ってたのです。
少し立つとまた移動を始めました。
今度はドアのところに張り付いてずっとこっちを見ています。
もうその時点で、彼女が何者なのか想像はついてました。
そしてドアが開くのを待っているのです。
次
の駅に到着のアナウンスが流れ、おれは慌てて隣の車両に移り、
駅に着くとダッシュで駅を降り逃げました。
後ろは振り返れませんでした。
夢の中で俺は葬式の招待の手紙を受け取った。
それが誰の葬式か分からないが、行ってみることにした。
その家に行ってみると、俺と同じく招待された人が家の前に1列に並んでいる。
何故こんなに並んでいるのかと先頭を見ると、なんと家の前に改札口があるではないか。
皆一様にその改札口に招待の手紙を入れて通過し、家の中へと入っていく。
改札口の隣には、その家の者と思われる黒い服を着た長い髪の女の人が立っており、
改札口を通過する人達に向かっておじぎの姿勢で「ありがとうございます」を繰り返している。
いよいよ俺の番が来て、皆と同じように改札口に招待の手紙を入れた。
「ピンポーン」
いきなり改札口が閉まりあせる俺。
すると隣に居た女の人が俺の腕をガシッと掴んできて俺を睨みつけた。
その女の人の目は人間の目ではく、まるっきりヘビの目をしていた。
ひるむ俺にその女は凄い形相で口を開いた。
「やっと見つけた」
ここで俺は飛び起きたが、心臓はもうバクバク状態だった。
話はここで終わりだが、幽霊をよく見るというBにこの話を俺の部屋で聞かせた時、
「そんで起きたとき、ふと隣を見るとその女が立ってたんだよ」
と怖がらせようと冗談を言ってみた。
するとBが真剣な表情で部屋の隅を指差し
「分かってるよ。今もそいつ、あそこでお前のこと見てるもん」
つい先日の事です。
今だに恐くて手が震えていますが、皆さんに聞いて欲しいので書き込みます。
仕事に行くために駅のホームで電車を待っていました。
なんて事はない毎日通う駅の風景です。
ですが、その日は違いました。
電車を待つ私の隣に若い女性が同じ様に電車を待っていました。
ふと気がつくと、その女性は私に視線を向けていました。
なんだよこいつ、じろじろ見んなよとか思っていると、
その女性はおもむろに口を開きました。
『あなた、何乗せてるの?』
すぐには理解出来ませんでしたが、ハッとして私は後を振り返りました。
しかし、後を振り返っても何もない。
また女性の方を見ると、すでに姿はなくなっており、
電車に乗り込んだのかと思い(ちょうど電車がきたので)
その日はあまり気にせずに仕事をこなしました。
家に帰宅してから、ふと朝の事が気になりました。
あの女性は一体なんだったんだろう、何を言いたかったんだろう。
思い出せばあまり気分がよい事ではありませんでした。
いつもより早く床につき、眠りました。
そして今朝また、あの女はあらわれたのです。
今日は昨日とは違いました。
隣に並び、じっと見つめてきたのですが何も話しません。
私は恐くなって、足早に電車に乗り込みました。
何事もなく仕事をこなし、帰路につきました。
そして帰宅途中、道でまたあの女に会いました。
じっと見つめてはいましたが、何も話そうとはせず気味が悪いなとは思いましたが無視して、通り過ぎました。
そして自宅への角を曲がるとまたその女がいました。
通り過ぎようとすると、その女が『気を付けて…』と、ぼそっとつぶやきました。
さすがに気分が悪くなり駆け足で自宅に帰りました。
自宅についてから、やっと女の話した意味がわかりました。
部屋の中に誰か白い女がいる!
その瞬間、恐くて体が固まってしまいました。
走って無我夢中に逃げました。
後を振り替えると女は地面から数十センチ浮きながら滑るように追い掛けてきます。
自宅には入れずそのまま、友人に電話をかけ部屋にかくまってもらいました。
すでに友人宅につく頃にはいなくなっていました。
そして今、友人宅から書き込みさせてもらっています。
駅で会った女性の言っていた意味がようやく、理解できました。
私は明日からどうすればよいのでしょうか。
自分の友人の話です。
彼女が前に、彼氏と同棲していた時のこと。
南麻布の某マンションに住んでいたのね。
彼も彼女も夜の仕事の人で、当時OLだった私は休みの前の日になど、
六本木の彼女たちの店に行き、店が終わるまでただ飯と酒を飲んでたりして、
そのまま彼らのマンションに泊まりに行ったりしてました。
朝まで3人(時には4、5人にもなったけど)
泊まっていくのは私だけの事が多かったかなあ。
ある日、彼女から珍しく朝っぱらから会社に電話があって、
「ちょっと見てもらいたいものがあるから、帰りに店に来てよ!」と言うのです。
その日は平日だったし、「行ってもいいけど、ご飯食べて帰るよ〜」と言うと、
「それでもいいから、来て!!」と言うので、会社帰りに寄ってみました。
まあ、美味しいただご飯が食べれるから位の気持ちで。
その時に、つい先日に撮った写真を見せてもらったんです。
店で撮ったものや、何枚かは彼らのマンションの前で撮ったものなど。
その中の1枚。
彼女が彼にもらった大きなぬいぐるみを抱えた一枚に、
女の人が写っているのです。
彼女の頭の上に、大きなツバのついた女性が浮かんでいる。
「なにこれ?心霊写真じゃん!」とちょっと面白半分でしたが。
この写真を撮ってから、彼があまり家に帰ってこないので、
怖いから今日は 泊まりに来てよ!と言われ、仕方がないので店がはねるまで待っていました。
マンションに着いて、しばらくビールなんか飲んでくつろいでたら、
突然、
「うおぉぉぉーーー」という感じの声が響きました。
「ひゃあ!」とビックリしたのに、
彼女は何にも聞こえなかったと言います。
写真は封筒に入れて窓の所において置いたんですけど、
なにか、その写真から 聞こえてきたような気がして。
「ねえ、もう一度あの写真、見てみよう」と言うと、彼女も躊躇しながら、封筒から出してきました。
すると、その女性がさっき見たときよりも鮮明に浮き出ているのですよ。
もう、帽子のツバに花のような飾りも見えて、
顔も 目がより開いてきて、口も開いているし。
その日は結局泊まる事になって、二人で抱き合うように寝ました。
そんで、次の日にまた見ちゃったんですよ、写真。
すると、今度は今まで何にもなかった後の壁から、
彼女が抱っこしてるぬいぐるみの胴体にも、どくろ?
のような顔がたくさん浮き出るように写っているんです。
そして、着物をきたおばあさんのようなものまで。
昨日までは確かにそんなのは、なかったはずなのに!
そして、その女性はまるでカラー写真のように、真っ赤な口紅を塗って、
口を大きく開き、目も化粧ばっちりで大きく見開いている。
もう彼女の写真なのか、その女性の写真なのか分からないくらい。
どっちがお化けなの?くらいに、はっきりと。
5年くらい前につき合ってた女の話。
その子の名前は、まあエミ子ってことにしとく。
エミ子は水商売をしてて、俺とは中学の同級生だった。
店で偶然そのことがわかって、TEL番交換して、あとは省略。
ま、とにかく2〜3日中には男女の仲になった。
エミ子は性格はきついしワガママなとこもあったけど、Hは最高で抜群に相性が良かった。
店が終わってから一緒にメシ喰ったり飲みに行ったり、その後はだいたいセックス。
終わった頃には夜が明けてるってパターンが多かった。
俺は普通に昼の仕事してたから体も財布も正直キツかったけど、
のめり込んでたせいだろうな、たいして苦にはならなかった。
いい女なんてそんなモンだろ?そう思ってた。
とは言っても、先立つモンが無ければホテルにも行けない。
あ、先立つモンって金だよ。
セーリョクはあっても金が無かったんだ、若い頃の俺には。
家だってボロっちいアパート。
壁は紙みたいに薄くてオナニーの音まで聞こえそうだ。
だから、エミ子が住んでた2LDKのマンションでしようぜって話は俺が持ちかけた。
エミ子の返事はかるーくOK。
1秒だって躊躇わなかったハズだ。
マンションは4階建てで、エミ子の部屋は3階だった。
先立つモンを抑えて階段を昇る。
玄関入って磨りガラスのドアを開けるとすぐにキッチン。
その奥がエミ子の部屋だった。
和室にベット。クッションやぬいぐるみは適量。
壁際には派手めの服がズラっと掛かってた。
コーヒーを飲む。無駄話をする。タバコを吸う。
文明人としての儀式を一通り済ませて、
後はセーックス!セェ〜〜ックス!!
1ラウンド終えて休憩中、
ベッドの反対側にある襖が気になってエミ子に聞いた。
「あそこのさ、襖の向こうって部屋?」
「うん。妹の。」
妹?一緒に住んでるのか。何となく一人暮らしだと思ってた。
「今日は居ないのか?」
「大丈夫だって・・」
そして、キス→セックス。
この日は2回で終了したが、やっぱり明け方になった。
それからしばらくはエミ子の部屋に通った。
休みの前の日なんかは泊まったりもしたさ。
妹の姿は見たことなかったけど、ま、そんなことはどーでも良かったんだよ。
若い頃の俺は、タダHが出来りゃ大抵のことには無頓着だった。
その日、珍しく俺とエミ子の休みが重なったんで、昼間っからデートしてメシ喰った後、
いつもより早い時間にエミ子の部屋へ行った。
パワー50%増しの俺は、獣のようなセックスの後、日頃の疲れもあって眠ってしまった。
目が覚めるとすっかり夜中で、隣ではエミ子が寝ていた。
ノドがカラカラに渇いていたので、ベッドを抜け出して隣のキッチンの冷蔵庫を開け、
麦茶のペットから直飲みした。もちろんフルチンでだ。
ふと、玄関とキッチンとを仕切る磨りガラスのドアの方に目がいった。
向こうに誰か居た。
白っぽい服を着た人影がこっちを向いている。
とっさに(妹か?)と思った。次の瞬間、俺の頭をよぎったのは、
1)冷蔵庫の明かりよって
2)腰に手を当てペット麦茶を飲む男の全裸イメージが
3)向こう側に投影されてしまっているのではないか?
などという、今から考えると本当にどーでもイイ実に間の抜けた懸念だった。
しかし、5年前の俺は今よりもずっとウブでシャイだった。
だから、初対面のレディ(想像)に失礼のないよう冷蔵庫の扉を閉めた。
・・・ガチャンッ 思いの外大きな音がして驚いた。
こっち側が暗くなったせいで、磨りガラスの向こうの人影が少しハッキリ見えるようになった。
小太りで背が高い。ジーンズを履いているようだ。
(男?)背格好からはそう思えた。だけど、誰だ?
別のオトコか?二股?いや美人局?ヤクザ?それとも・・まさか父親?・・・・・
秒単位で加速する俺の妄想。
それをよそに、人影は磨りガラスの向こうでジッと動かずにこっちを伺っている。
(おいおい、ちょっとヤバくないか、これって・・・・)
すっかりチキンに成り下がった俺が抜き足差し足でベッドに戻ると、エミ子はまだ眠っていた。
「・・オイ、起きろ、起きろってば・・」
「・・ンン・・何?」エミ子が寝返りを打ってこっちを向いた。
機嫌が悪そうだ。ヤヴァ・・
イヤ、今はそれどころじゃない。
勇気を振り絞って、さっきの男について聞いてみた。
「白い服?デブ?」顔をしかめてエミ子が聞き返してきた。
「そうだよ。誰なんだ?お前の知り合いか?」
「・・たぶん弟よ。」
「弟も一緒に住んでるのかよ?」
「違うわよ。私に弟なんていないもの・・・」
「なに言ってんだ、お前。」
「だから・・弟になるはずだったヤツ。死産よ。シ・ザ・ン。」
「ま、マジかよ・・」
「時々来るのよ。気持ち悪い。すげえオタクっぽいんだから。メガネかけたデブでさ・・」
「それって・・お前、見たのか?」
「・・うん、半年くらい前かな・・あそこのドア開けて入って来たのよ・・」
磨りガラスのドアの方を指さしてエミ子は言った。
「・・帰れって言ったら居なくなったんだけどね・・・」
エミ子は面倒臭そうに続けた。
「でも、それっきり妹が部屋から出てこなくなっちゃった。」
そのあとセックスして、エミ子とは別れた。それから一度も会ってない。
携帯電話にまつわる話。
確か2時か3時くらいだったと思う。いきなり携帯が鳴ったのよ。
まぁ大学生だしそれ自体は珍しくないんだけど、
時間が時間だし、自慢じゃないが俺はカナリ寝ぼける方で、
その日もグッスリ寝てたし着音で起きる事にもまだ慣れてなかったから
半分パニクりながら慌てて電話をとった。
「も、もしもし」
『ザー…ザー…』
「もしもし?」
『ザー…ザー…』
「だれ〜?」
俺も寝ぼけてて、実際半分寝てたから向こうが無言なのも気にかけず、
そんな一人会話を続けながらザーザー雨の強い音が聞こえるなー、
さむそーなんて考えてた。
どれくらいたったころか、
イキナリ30歳位かな?中年のオバサンの声で返事があったんだ。
「もしもーし?」
『あたしの携帯知らない!?』
「は?携帯?」
『そう、携帯!私携帯なくしちゃったの!』
「ハァ…。大変ですねぇ…」
『今山の中に居るの!今から直ぐそっち行くから!』
「へ?山?何?」
ブツ!ツーツーツー
俺が事態が全然つかめないまま唐突に電話は切れた。
切れてから暫くは寝ぼけたままでボーっとしてたんだけど、
あることに気が付いて稲妻に打たれたように一気に眠気が覚めた。
さっきの着歴番号が090ではじまってるってことに。
そして、相手が全然知らない奴だったってことに。
その二つに気が付いたら一気にさっきの電話のおかしな点に気がついて、
雨の山の中?何でそんなとこから電話が?携帯で?携帯無くしたんだろ?
一緒にいた奴のか?ていうか、山の中ってどうやっていったんだよ?
車?でも雨の音メッチャ聞こえてたし外でてたの?へ?は?何?
軽いパニックに陥った俺は、相手の最後の言葉を思い出してゾッとした。
こっち来るって…?
慌てて同じアパートに住んでる友達の家に転がり込んで、一晩ソイツと電気つけっぱで起きてました。
で、一番怖かったのは次の朝。
流石に一晩中起きてて眠くなってさ。
自分の部屋に帰るときだった。
アパートの入り口に泥だらけの靴跡がブワァ…って…
着歴にあった先ほどの番号を迷惑電話指定にして友達の部屋で寝ました。
コレでおしまいです。
その携帯は結局壊れちゃってデータの引継ぎが出来ないまま変えちゃったんですが、
結局何の電話だったのか全然今でも分かんないっす。
幽霊にしてもサイコさんにしてもとても恐ろしい体験でした。
自分が小学校4年の時、何かとれるかも、と思い、寝ている間
音をカセットテープに録音しました。
翌日、学校から帰ってきて、早速そのテープを再生してみました。
カチカチカチカチカチカチカチカチ。
カチカチカチカチカチカチカチカチ。
カチカチカチカチカチカチカチカチ。
時計の音だけがする。
早送りをして、また再生。
カチカチカチカチカチカチカチカチ。
時計の音以外は何もとれていない。
何度か早送り、再生を繰り返したが、何も聞けなかったので、
なぁんだ、と思ってテープを机の中に入れて、しばらく放置してしまいました。
そのテープには、もう何もとれてなかった、という事で、音楽等をそれに録音しました。
それから二年が経ち、小学校6年。
音楽を聴きながら宿題をしている時、CDではものたりなくなったので、
色んなとこからカセットテープを集めてきました。
計3つ。
その中には音楽や、昔、録音したものも残っていました。
音楽を聴いていると、急に場面が変わりました。
カチカチカチカチという音・・・。
その音を聞いたとき、すぐに「ああ、あれか」と思い出し、
そのまま聞いていました。
と、その時・・・。
「ガタン!!!!!!」
ヘッドホンをつけていた自分は、ビクンとしました。
それと共に、一気に寒気もしました。
またも「ガタン!!!」という物音。
なんだこれ・・・。
更に・・・。
何か小さな音が聞こえました。
すごく小さな音なので、聞き取れなく、音量を最大まで上げました。
すると、『声』だという事がわかりました。
声だという事はわかりましたが、何をいっているかは聞き取れなく、
ヘッドホンを耳に抑えつけました。
すると、一回だけ高く、ハッキリとした発音の声が混じってました。
巻き戻しをして、再生。
「・・がり・・・」
よく聞き取れない。
もう一回巻き戻して、再生。
「・・・怖がり・・・」
表現しにくい声なんですが、なんというか・・・。
よくTVとかで出る、人形の甲高い声、というのが一番近いと思います。
そして、数十秒物音と、その声がして、また静寂が訪れました。
その後、家族のみんなにも聞いてもらいましたが、
確かに「怖がり」と聞こえる、と言われました。
従姉妹の家で起きた話です。
従姉妹(仮に桂子さんとします)の家では、タビーという名前の犬を飼っていました。
わたしも何度か撫でてやった事があります。
秋田犬っぽい雑種で、人懐こく愛想のいい可愛い犬でした。
全身薄茶色なのですが、なぜか後ろ足2本だけ、
靴下を履いたように足先だけが白かったのも可愛く思えました。
桂子さんが5歳の時にお母さん(わたしから見て伯母)が近所で、
産まれてようやく目が開いたばかりの仔犬をもらってきたのですが、
一番人懐こくて寄って来る仔犬の足が白いのを見て、
「この犬、靴下履いてるみたいねえ」
と抱き上げると、なぜか飼い主は申し訳なさげに、
「そうなの。白足袋履いて産まれてきちゃって・・・・」
と言いました。なんでも、足先の白い犬や猫は不吉らしいのです。
「でもイギリスでは確か、ホワイトソックスって呼んでて幸福をもたらすって言われてんだけどね」
それを聞いた伯母は、占いや縁起物は良い事を言っているものしか信じない人だったので、
その犬をもらったそうです。
そして最初は立派な名前(スバルとかシリウスとかそんなのだった)を付けていたのですが、
伯母はいつも「シロタビちゃん」と呼んでしまい、
結果ご飯をくれる伯母の呼び名に反応するので、
『シロタビ』から変化して『タビー』になったそうです。
タビーはいつも、はにかんだ様なニコニコした顔をしてすぐに懐くので、
通りすがりの人からも可愛がられ、郵便や宅配の人にも甘えるので、
「おまえは防犯にはならんなあ」
と苦笑されていました。
そして家族の一員として長年愛されていたのですが、
桂子さんが大学受験の為、京都に泊まっていた時期に突然いなくなってしまったそうです。
伯母は、受験に差し障りがないよう桂子さんには内緒にしてあちこち探し回り、
他の区の保健所も見に行ったりしたのですが、結局見つかりませんでした。
戻った後にそれを聞かされた桂子さんも、
手書きで尋ね犬のチラシを作って電柱等に貼りましたが、
タビーは戻ってきませんでした。
一家全員が悲しみました。
かなり老犬になっていたので、事故にでもあったんじゃないか・・・・
いや、人懐こいから誰かに可愛がってもらっているかも・・・
あまりにショックでその後ペットは飼いませんでした。
それから7年経ちました。
桂子さんは大学を卒業し、OLになり、めでたく結婚が決まりました。
女子大生の頃から一人暮らししていたのですが、
結婚式まであと1ヶ月になった時期には準備などの為アパートを引き払い、
実家へ戻って親と同居していました。
桂子さんはその日、結婚相手と挙式予定のホテルに行き、打ち合わせをして帰りました。
門を開けた途端、突然凄まじい勢いで犬に吠えられました。
驚いて立ちすくんでいると、伯母が玄関から飛び出してきて、
「桂子、ほら!タビー戻ってきたよ!」
と嬉しそうに叫びました。
よだれを垂らしながら怒り狂って吠え立てる犬。
それは確かにタビーでした。
姿かたち。
ボロボロに擦り切れているけれどタビーがしていた緑の首輪。
そしてなにより、白足袋。
タビーそのものなのですが、吠える姿は別の犬としか思えません。
「タビー?」
恐る恐る桂子さんが呼びかけると、『タビー』は吠えるのをやめ、
桂子さんの顔を見つめると、ゆっくり尻尾を振りました。
伯母は大喜びで、
「買い物から帰ってきたら、庭の真ん中に座ってたのよ!
最初は吠えたんだけど、タビーって呼んだら寄ってきて手を舐めたの!
タビーよく帰ってきたねえ」
と『タビー』の背中を撫でました。
桂子さんも一緒に撫でてやりましたが、
この犬は違う・・・・と感じていました。
物理的に、もしタビーだとすると20歳。
残念だけどもう死んでいるはずです。
それに今は落ち着いて撫でられているけど、さっきの吠え方・・・・・
「似てるよねーほんとびっくりした・・・・・ほんとタビーそっくり・・・・・」
桂子さんが呟くと、伯母はたしなめるように、
「タビーよ?」
と言いました。
しかしやはりそれはタビーとは思えませんでした。
目つきが凶暴で、普通に座っていても絶えず神経を尖らせているようで、
誰かが傍を通ると狂ったように吠え立てました。
念のため、獣医さんに狂犬病の検査や予防接種をしてもらいました。
歯の具合から見て、犬の年齢は12、3歳だろうと言われたそうです。
わたしと母も『タビー』を見ました。
桂子さんの結婚式に出席するため、前日から桂子さんの実家に泊まったのですが、
門を通った途端、激しく吠えられました。
その剥き出した歯や、こっちへ飛びかかろうと上げた前足、
ビーンと引っ張った鎖がとても恐ろしかった。
母はもともと犬が苦手だったので手の震えが止まらないほど怯えて、
「あの犬はタビーじゃないねえ」
とわたしに言い、わたしもそう思いました。
むしろ、あんなに可愛かったタビーの思い出が、
この凶暴な犬で汚されてしまったような悲しい気持ちでした。
桂子さんは結婚し、隣の市で暮らし始めました。
伯母はみんなから「そっくりだけどタビーじゃない」と言われながらも、その犬をタビーとして可愛がっていました。
ところが桂子さんの結婚式から2ヶ月ほど経った頃。
伯母が『タビー』を散歩させていると、向かい側からベビーカーを押したお祖母さんが歩いてきました。
ベビーカーの中で寝ている小さな赤ちゃん。
突然、『タビー』は凄まじく吠えながら、赤ちゃんへ跳びかかりました。
激しい勢いで伯母は綱を離してしまい、はずみで転倒しました。
お祖母さんが悲鳴をあげました。
「ほのちゃん!!」
ベビーカーに飛びついた『タビー』から赤ちゃんを庇おうと、
お祖母さんは赤ちゃんに覆いかぶさり、
そのお祖母さんの肩に『タビー』は乗りかかり・・・・・
伯母が我にかえって『タビー』の綱を引き戻した時には、
既に救急車のサイレンが近づき、肩が血だらけになってうずくまるお祖母さんと、
声を枯らして泣き叫ぶ赤ちゃんを呆然と見ることしか出来なかったそうです。
幸い赤ちゃんは擦り傷で済みましたが、お祖母さんは7針縫う怪我。
その上入院中に体が弱ったのか肺炎を併発し、退院後も何度もお見舞いに行ったのですが、
体調が悪いまま半年後、まだ60歳なのに亡くなってしまいました。
その上、そのお祖母さんのお葬式に出たその日、
鎖に繋いでいたはずの『タビー』が首輪を抜け出て、逃げ出したそうです。
人を襲った犬をのうのうと飼っていた上、逃がしてどこへ行ったかわからない、
と近所から非難を受け、嫌がらせもされたそうです。
そしてお葬式から3ヶ月ほどして、今度は伯母が行方不明になりました。
桂子さんは現在妊娠中で、孫の顔を見てほしい、
この子が産まれるまでに戻ってきてほしいと心配しています。
そんな桂子さんにとっては、失礼だとは思うんですが・・・・・
伯母さんが戻ってきた時、姿かたちは伯母さんのままでも、まさか・・・・・
わたしはそんなふうに考えてしまいます。
もしかして、・・・・
桂子さん自身もそう考えてしまっているんじゃないか、
とつい思ってしまうのです。
これは小さい頃、秋田にある祖母の実家に帰省した時の事である。
年に一度のお盆にしか訪れる事のない祖母の家に着いた僕は、
早速大はしゃぎで兄と外に遊びに行った。都会とは違い、空気が断然うまい。
僕は、爽やかな風を浴びながら、兄と田んぼの周りを駆け回った。
そして、日が登りきり、真昼に差し掛かった頃、ピタリと風か止んだ。
と思ったら、気持ち悪いぐらいの生緩い風が吹いてきた。
僕は、『ただでさえ暑いのに、何でこんな暖かい風が吹いてくるんだよ!』と、
さっきの爽快感を奪われた事で少し機嫌悪そうに言い放った。
すると、兄は、さっきから別な方向を見ている。
その方向には案山子(かかし)がある。
『あの案山子がどうしたの?』と兄に聞くと、
兄は『いや、その向こうだ』と言って、ますます目を凝らして見ている。
僕も気になり、田んぼのずっと向こうをジーッと見た。
すると、確かに見える。
何だ…あれは。
遠くからだからよく分からないが、人ぐらいの大きさの白い物体が、
くねくねと動いている。
しかも周りには田んぼがあるだけ。
近くに人がいるわけでもない。
僕は一瞬奇妙に感じたが、ひとまずこう解釈した。
『あれ、新種の案山子(かかし)じゃない?きっと!
今まで動く案山子なんか無かったから、農家の人か誰かが考えたんだ!
多分さっきから吹いてる風で動いてるんだよ!』
兄は、僕のズバリ的確な解釈に納得した表情だったが、
その表情は一瞬で消えた。
風がピタリと止んだのだ。
しかし例の白い物体は相変わらずくねくねと動いている。
兄は 『おい…まだ動いてるぞ…あれは一体何なんだ?』
と驚いた口調で言い、気になってしょうがなかったのか、
兄は家に戻り、双眼鏡を持って再び現場にきた。
兄は、少々ワクワクした様子で、
『最初俺が見てみるから、お前は少し待ってろよー!』と言い、
はりきって双眼鏡を覗いた。
すると、急に兄の顔に変化が生じた。
みるみる真っ青になっていき、冷や汗をだくだく流して、ついには持ってる双眼鏡を落とした。
僕は、兄の変貌ぶりを恐れながらも、兄に聞いてみた。
『何だったの?』
兄はゆっくり答えた。
『わカらナいホうガいイ……』
すでに兄の声では無かった。
兄はそのままヒタヒタと家に戻っていった。
僕は、すぐさま兄を真っ青にしたあの白い物体を見てやろうと、
落ちてる双眼鏡を 取ろうとしたが、兄の言葉を聞いたせいか、見る勇気が無い。
しかし気になる。
遠くから見たら、ただ白い物体が奇妙にくねくねと動いているだけだ。
少し奇妙だが、 それ以上の恐怖感は起こらない。
しかし、兄は…。
よし、見るしかない。
どんな物が兄に恐怖を与えたのか、自分の目で確かめてやる!
僕は、落ちてる双眼鏡を取って覗こうとした。
その時、祖父がすごいあせった様子でこっちに走ってきた。
僕が『どうしたの?』と尋ねる前に、 すごい勢いで祖父が、
『あの白い物体を見てはならん!見たのか!お前、その双眼鏡で見たのか!』と迫ってきた。
僕は『いや…まだ…』と少しキョドった感じで答えたら、
祖父は『よかった…』と言い、安心した様子でその場に泣き崩れた。
僕は、わけの分からないまま、家に戻された。
帰ると、みんな泣いている。
僕の事で?いや、違う。
よく見ると、兄だけ狂ったように笑いながら、
まるであの白い物体のようにくねくね、くねくねと乱舞している。
僕は、その兄の姿に、あの白い物体よりもすごい恐怖感を覚えた。
そして家に帰る日、祖母がこう言った。
『兄はここに置いといた方が暮らしやすいだろう。
あっちだと、狭いし、世間の事を考えたら数日も持たん…
うちに置いといて、何年か経ってから、
田んぼに放してやるのが一番だ…。』
僕はその言葉を聞き、大声で泣き叫んだ。
以前の兄の姿は、もう、無い。
また来年実家に行った時に会ったとしても、それはもう兄ではない。
何でこんな事に…ついこの前まで仲良く遊んでたのに、何で…。
僕は、必死に涙を拭い、車に乗って、実家を離れた。
祖父たちが手を振ってる中で、
変わり果てた兄が、一瞬、僕に手を振ったように見えた。
僕は、遠ざかってゆく中、兄の表情を見ようと、双眼鏡で覗いたら、
兄は、確かに泣いていた。
表情は笑っていたが、今まで兄が一度も見せなかったような、
最初で最後の悲しい笑顔だった。
そして、すぐ曲がり角を曲がったときにもう兄の姿は見えなくなったが、
僕は涙を流しながらずっと双眼鏡を覗き続けた。
『いつか…元に戻るよね…』そう思って、
兄の元の姿を懐かしみながら、緑が一面に広がる田んぼを見晴らしていた。
そして、兄との思い出を回想しながら、ただ双眼鏡を覗いていた。
…その時だった。
見てはいけないと分かっている物を、
間近で見てしまったのだ。
真夜中に電話で友人がしやがった話。
そいつの友達のAは映画研究のサークルか何かに入ってるらしいんだけど、
ある時ホラー映画を撮影することになったそうだ。
で、美人で有名なCさんという女性を幽霊役に起用した。
撮影はまず、Cさんの自宅をロケ地として行われた。
長い髪を垂らして、白装束(まるでリングの貞子のような格好)を着たCさんを玄関に立たせ、
幽霊が家に入ってくるというシーンの撮影から始めた。
玄関に面した廊下に監督のAとカメラのD、演出のMが位置し、
Cさんと向き合う状態で撮影は行われた。
撮影中、突然Mが「誰かに見られてるような気がする」と言い出した。
廊下はリビングに繋がっていて、リビングの入り口は簾が掛かっているのだが、
Mは「誰かいませんか?」とひたすら言い続けていたそうだ。
Aが振り向いて後ろを向くと、本当に簾から誰かが覗いていた。
長い髪を振り乱して、服は真っ白の装束のようで…
そう、顔は見えないがまるでCさんにそっくりの格好をした人物がそこに立っていた。
当然AはCさんかと思い、声をかけた。
だが、玄関からリビングへ繋がっているのはAたちのいる廊下しかなく、
Cさんは玄関を離れていないため、まずそんなことはありえない。
Aが声をかけたのでCさんは何かと思い
「どうしたん?何かあった?」
と、もちろん玄関からAに向かって言う。
Aは何がなんだか分からず、リビングの方を向いたがやはり、
Cさんと同じ格好をした誰かがじっと覗いている。
Mは気分が悪いと言い出し、その場は大パニックになって撮影は中断された。
Cさんにそのことを言った時には、
もうその「誰か」は消えていたらしいけれど、
家の中には誰もいなかったそうだ。
映画はまだ撮影途中らしい。
それ以来その「誰か」は出現していないそうだが、
撮影中、急にカメラの調子が悪くなったり、
ライトが消えたりいろんなことが起きているそうだ。
だがCさん本人は到って何もないそうだ・・・。
さっきイヤなモン見てきちまった・・・
会社帰りに同僚と飲んできたんだが、
道端で若い男女が言い争いをしてた。
「痴話ゲンカかよ・・・ 幸せな奴らだなぁ」
とか思いつつそのまま通り過ぎようとしたら、
なんか女のほうの後ろに黒い何かがあるのが見えた。
なんだ?とちょっと立ち止まって目を凝らしてみたら、
黒い影というかモヤみたいなモノがいる。
「???」
微妙に人の形をしてる。
「おい、何そんなもん見物してんだよ」
と同僚に急かされたついでに、
「アレ、何だ?」
と聞いてみたが、同僚は「何が?」って顔。
多少酒もまわってたし、自分でも「酔っ払ってんのかな?」
と思ってもう一度見てみたが、やっぱり何かいる。
周りの人はそれに気づきもしない様子で無視して通り過ぎていってる。
どうやらアレが普通のモノじゃない事に、そこで気がついた。
よく見ると、黒いモヤはやっぱり人っぽい形をしてて、
さらによく見ると、なんかモゾモゾと動いてる。
どうも女の動きを真似てるように見えた。最初はそう思った。
けどすぐに違うことに気づいた。
モヤのほうが一瞬早い。
どちらかというと、女のほうがモヤの動きを真似てる。
といっても女は後ろの事なんかこれっぽっちも気づいちゃいないんだが。
話してる内容は普通の痴話ゲンカ。別れるの別れないの、
落ち着け落ち着かないの、正直どうでもいい話なんだが、
女のほうが普通じゃなかった。
少なくとも、目を血走らせて、
口から泡ふきながら大声で叫んでるような女は普通じゃないと思う。
多分、後ろのモヤが原因なんだろうと思った。
ずっと見ていたら気持ちが悪くなってきたからそこで立ち去って同僚と飲みなおしたが、
あのモヤは女のほうを操ってたように見えて、
思い出すとまた気持ち悪くなって、久しぶりに吐いた。
今の気分は最悪。
アレがきっと取り憑くってやつなんだろうな・・・
数年前に亡くなった私の祖母は孫の私からみても「怖い」人でした。
私が小学生の時に祖母が自分の姉について語ったことは、
子供心にも、とても嫌な記憶として残っています。
祖母の姉は15〜16歳の時に、
自ら井戸に身を投げて死んでしまったそうです。
私は「なんで?」と祖母に聞きました。
すると祖母は、
「あいつは馬鹿で、ちょっといじめたら井戸に飛び込んで死んでしまった」
と、こともなげに言い放ったのです。
悲しんでる様子もなければ、悔やんでる様子もありませんでした。
私は何だか怖くなり、その日から祖母とほとんど話さなくなりました。
そして数年前に祖母が亡くなったとき、私の姉から聞いた話は・・
「ひいおじいちゃん(祖父の父。祖母にとっては舅)って、海で
入水自殺したらしいよ。おばあちゃんにひどくいびられてたんだって」
私はゾっとしました。祖母は生前、いったい何人の人間を追い込んで
いったのだろうと思うと本当にゾっとしました。
この世に呪いや祟りというものが実際にあるのかどうかはわかりませんが、
祖母が生んだ5人の子供(全員男)のうち、末っ子だった私の父以外の
4人は10歳になるかならないかでみんな死んでしまったそうです。
たった一人生き残った父は、人並みに結婚もして5人の子供もできました。
でも、5人とも全員女でした。
それぞれ嫁に行ったので、跡を継ぐものはいません。
こういうのって、因果応報っていうんでしょうかね。
俺が高校2年生のとき、クラスメートのM子が他界した。
原因は白血病と言われていた。
彼女の家は千葉の市川であり、電車で1時間以上もかけて葬式に出向いた。
俺はM子とは、大して仲が良くなかったこともあり、
焼香を済ませると早々と家路についたが、
仲が良かった生徒たちの何人かはしばらく残っていたようであった。
クラスは深い悲しみに包まれたが、
次第に元の明るさを取り戻し、一女生徒の死はいつの間にか忘れ去られていった。
そして今振り返えれば、瞬く間の3年間は過ぎ、俺は高校を卒業した。
最早、俺の頭からは、若くして一生を終えた女性のことはすっかり無くなっていた。
俺はその後、大学生活を経て就職し、
それなりに忙しい日々を送っていたが、
あるとき、高校時代のクラスメートと偶然再開した。
彼女の方から声をかけてきたのであるが、
彼女は高校時代からのぽっちゃりした顔からは、
想像もできないほど痩せており、声をかけられなければ、たぶん分からなかっただろう。
いや、痩せたというより、やつれたというのが正直な感想であった。
懐かしいね、と軽い挨拶を済ませたあと、
せっかくだから少し話そうということになり、近くの喫茶店へ入った。
現在の状況など、お約束の話を一通り済ませると、
「ねえ、M子のこと覚えている?」と彼女は訊いてきた。
「M子?ああ、白血病で亡くなったM子ね」
「そうそう」
同時に彼女がM子と仲が良かった生徒であることも思い出した。
「かわいそうだったよね」
「うん、実はね・・・」
彼女は顔を深刻そうにしかめた。
「実は、彼女は白血病じゃなかったのよ」
「へー、違う病気だったの?」
俺は、彼女の話に特に興味を示さなかった。
正直に本当の死因を知られたくないようなことは、ままあるからだ。
しかし、俺の気持ちとは裏腹に彼女は顔をよりいっそう深刻そう にして言った。
「ちょっと聞いて欲しいのよ」
「うん、別にかまわないよ」今日は既に仕事は終っている。
俺は彼女の只ならぬ雰囲気を感じ取った。
彼女の話した内容は、およそ次の通りであった。
一昨年の暮れ、突然M子の母親から連絡があって、M子の七回忌に来て欲しいと言われた。
是非にというので、仲も良かったことだし法事へ参加した。
この法事はM子の七回忌だけでなく、M子の父親の一回忌でもあった。
法事が一段落すると、M子の母親に折り入って話があると言われ、
2人だけで家の一室に入った。そこは、かつてM子の部屋であった。
少しばかりM子の思い出を語ったあと、母親が意外なことを言い出した。
曰く、M子の死の真相を聞いて欲しいと。
そして、母親は話し始めたが、二言三言話したとき、
緊急の電話が入ったと親族から呼ばれ、母親は話を中断せざるを得なかった。
再び部屋に戻ってきた母親は、詫びを言ってから話を始めようとしたが、
親族の子供が突然ひきつけを起こしてしまい、またもや続きを話すことができなくなった。
結局、その日は時間切れで、話は後日改めてということになった。
彼女はここまで話すと、フッと息をついた。
「時間は大丈夫?」
俺には、いつの間にかM子について興味が湧き上がっていた。
「大丈夫だよ」
それから暫くはM子のお母さんから連絡がなかったの。
「こっちから連絡するのも何か気が引けて」
「うん」俺は相槌を打つのみであった。
「私もそのことは忘れていたんだけど、去年、連絡が来たの。
1年ぶりくらいにね。それで、またM子の家に行こうとしたのよ」
「それで」
その後、彼女は次のようなことを話した。
約束した日に彼女は急用が入り、M子の家に行けなくなってしまった。
彼女は電話で話せないかと聞いてみたが、どうしても会って話したいという。
日を改めて彼女はM子の家に向かった。
そしてM子の母親は、まずこの話から聞いてくれと、口を開いた。
実はM子の死は、予想外のことで母親は看取ることができなかったという。
亡くなった旦那さんがM子を看取ったのだが、
しばらくして、旦那さんからM子の死因を知って欲しいと言われた。
しかし旦那さんがそれを話そうとすると、ことごとく邪魔が入り、中々聞くことが出来なかった。
ついに死因を聞いたのは、旦那さんがそれをしゃべろうとしてから実に半年以上も経ったあとだという。
旦那さんはその翌日に急死した。
そして、いよいよ本題に移ろうかというとき、来客があった。
無視できない人らしく、母親は暫く応対して、彼女の元に戻ってきた。
このときには彼女も「何かある」と思い始めていた。
母親は彼女の前に座ると、どこまで話ましたっけ?と聞いた。
旦那さんがお亡くなりになったところまでです、と答えると、
母親は、あら、そんなところまでお話しましたかしら、と意外な顔をしたのである。
「もう、気味が悪くなっちゃってね・・・」
「それで、話は聞けたの」
彼女は首を振った。「あの後、何故かM子の思い出話になっちゃったのよ。
自分でも訳が分からない。気がついたら夜になっていて、家に帰ったわ」
「結局、聞けず終い?」
彼女はしばらく沈黙した。
俺は、すっかり冷めたコーヒーを飲み干すと、
「場所変えたほうがいいかな。時間が経ってるし」と言った。
彼女も賛成し、腹も減ったのでファーストフード店に行くこととなった。
席を立ち会計を済ませ、店を出る。
移動中に俺の携帯が鳴った。
友達が事故に巻き込まれたので至急来て欲しいという連絡であった。
彼女の話には後ろ髪を引かれたが、現場へと向かうしかない。
彼女は絶対連絡すると言ってくれ、その場を後にした。
友達の事故は大したことはなかった。
2日後、家に彼女から連絡がきた。
「実はね、あのときは言い出せなかったけど、
M子のお母さん、あの日の数日前に亡くなったのよ」
「えっ、俺と話したあの日の?」
「そう、そして亡くなる前の日に、私、M子の死因を聞いたの。ついに」
「・・・」
「で、その話、やっぱり聞きたいよね?」
俺は少しばかり躊躇したが、
「確かに聞きたい気持ちはある。でも話すな」と、きっぱり言った。
「いいか、誰にも話すんじゃない。忘れるんだ」
「ありがとう」彼女の声は少し安堵したようであった。
「でも、M子の弟には話さなくてはいけないと思う」
「やめておけ、忘れろ」
「でも、たった一人残ったM子の家族よ」
「知らないほうがいいこともある。今度ばかりはそのほうがいい」
「うん・・・」
彼女との会話はそれで終った。
俺は一抹の不安を隠せなかった。
M子の弟は既に成人であるし、家族の死について疑問を抱いていてもおかしくない。
俺は彼女に電話をしてみた。
彼女はM子の弟に会ってはいるが、その話はいていないと言った。
俺はくどいほど念を押して電話を切った。
その後も彼女と連絡を取ろうとしたが、携帯を持っていなかった彼女とは連絡が取れなかった。
それから、1ヶ月ほどしてからのことである。
彼女の死の知らせが来た。
彼女がM子の弟に何を伝えたのかは分からない。
その日、Nくんは遅めの食事を高速道路上で取っていた。
工事中、保安の関係で警備員は一斉に食事休憩を取ることはない。
その晩Nくんはローテーションの最後の順番で休憩に入った時は3時近くになっていた。
食事休憩と言っても高速道路の上である。
勝手に下に降りるわけにもいかないし、当然、ゆっくりと休める場所は無く、
Nくんは長く伸びた工事帯のはずれで1人食事を取っていた。
道路の上に腰を降ろし、工事前に買ってきたパンをほおばろうとしたときだった。
「おっ? 今頃食事かぃ? 遅いじゃないか…。」
と、声をかけられた。
見ると、顔見知りのトラックの運転手が彼を後ろからのぞき込んでいる。
「そうなんですよ、おなかが減っちゃって…。
運転手さんはもう食べたんですか?」 Nくんは運転手にそう返した。
「いやぁ、俺らもまだなんだわ。 それにしてもおいしそうだなぁ。ちょっとくれよ!」
運転手は冗談半分にパンに手を伸ばした。
「またまたぁ…ダメですよ!」
Nくんは運転手からパンをさっと隠すと笑った。
運転手も、その様子を見て笑った。
「邪魔したな。じゃ、また!」
そういうと、運転手は工事帯の奥の方にある自分のトラックの方へと歩いていった。
4つ程のパンを食べ終え、最後の1つをビニール袋から取り出そうとしたとき、
Nくんは背後から再び声をかけられたような気がした。
ちょっと、目線を送ると彼の後ろから誰かがのぞき込んでいる。
「はは〜ん、運転手さんだな…」
彼は顔の方に首を向けた。
しかし、その顔は運転手では無く、知らない中年の男の顔だった。
暗い高速道路上でその顔は、いやに白く光って見えた。
さらに、目線を上げるとのぞき込んでいるのはその顔ひとつでは無かった…。
その白い顔の上から、もうひとり中年の男がNくんをじっとのぞき込んでいる。
「なんだろう? 俺なんかしたかな?」
そう思った彼は、男達の顔を見るべくパンを道路に置き、
ゆっくりと体をひねった。
「い、いっ!?」
Nくんをのぞき込んでいたのは2人では無かった。
その2つの顔の上で、さらに3人の男が彼をのぞき込んでいた。
しかも、どの顔にも首から下は無い…。
胴体のない白い顔だけが真っ直ぐ上に5つ並んで彼をのぞき込んでいたのだ…。
「あっ!……トーテムポール……」
Nくんは次の日から仕事を休んだ…。
もう10年以上前、俺が横浜に住んでいた頃の話。
その頃バンドを組んでいた(バンドブームってやつ)俺は練習を終えて自宅に帰ろうと、横浜駅を出た。
季節は夏の終わり頃、時刻は23:30を廻っていただろうか。
いつもはバスで10分ほど揺られて家に帰るのだが、その日は時間も遅くバスはもう終っていた。
まあ歩いても20分もかからない距離だし、
いつもの事なのでぶらぶらタバコ吸いながら歩き出した訳だ。
おれの家は三ツ沢公園の近くにあり、帰るには第三京浜の三ツ沢入り口
に通じる急な登り坂を登っていかなくてはならない。
道を挟んで自動車学校があるあたりに差し掛かった時、
ふとあるものが目にとまった。
金網に隔てられた道の外側は急な斜面になっていて、
かなり下の方に家が建っている。
その家の間々から奥の路地が見える。
街灯と近所の家から漏れる灯りで明るくなっている路地に
女が立っている。
ちょっと長めの髪で赤いべっ甲風の髪留めをつけている。
あれっと思ったのはその服装だ。下半身はスリップ
(シミーズ?薄いスカート状の奴)一枚のみ、
上半身は何も着ていないように見える。
「おいおいまじかよ、どっかのおばちゃんが涼んでるのかぁ?」
と思い、スケベ心全開で金網に近づき、目を凝らした。
かなり遠くてよくわからないが、若い女らしい。
「うおーっ、なんかいいもの見えるかも?」
と立ち止まりさらに凝視。その間10秒位だろうか、
女が顔をこちらに向けたような気がした。
俺は「あっ!やべえ!」と思いあわてて歩き出した。
歩きながら横目でチラッとその女を見ると、こちらをジーッと見てる感じ。
まあ離れているし暗いし、こっちがどんな奴かわかるまいと思ってそのまま歩いていた。
少し歩くと上から女の人が歩いてくる。
ぼんやり見上げると、7〜8mくらい前に
いる女はベージュと黒のチェック柄の、ウールっぽいスーツを着込んだOL風の人だ。
俺は再び目を前の道に落とす、その瞬間、女の肩口が目に入ってきた。
女が目の前にいた。
ハッとして目を上げると、女は俺の横を通り過ぎながら
「な に み て る の よ」
とささやいた。一瞬髪の毛の間からこちらを見ている、
悪意に満ちた眼差しと目があったような気がした。
そしてすれ違う一瞬、髪の毛の赤い髪留めが視界に入ってきた。
思わず棒立ちになる俺。俺は軽いパニック状態で
「やべー俺が下の女を見ていたのを咎められたのか、
でもそんな事あのOLにはわからないだろ?
っていうかあのOL、下の女と同じ髪留めしていたぞ
あのOLが下の女だったのか?
でもそれじゃ位置と時間関係めちゃくちゃじゃんか、
あのOLの服装は今の時期には暑くて普通は着ないだろ?
それにどうにも古臭いデザインだ
あれじゃ昔の「無責任シリーズ」か何かに出てくるOLのスタイルだ」
ふと気づくとすれ違ったOLの足音が消えている。
振り返りたい衝動に駆られたが、あのOLが少し離れた所で立ち止まり、
こちらを睨み付けているイメージが頭の中に浮かんできた。
そして実際その気配がビンビン伝わってくる。
もういけません。
俺は頭のなか真っ白になりながら歩き出した。
走りたいけど走れない。
今思えばあれが腰が抜けた状態と言うのだろう。
とにかく後ろを振り返るな!と自分に言い聞かせ、
へろへろになりながら家路を急いだ。
俺の体験談は以上です。
その後夜にあの道は絶対歩かなかった。
バンドで遅くなる時は星川(ローカルですまん)のバンド仲間の家に泊めてもらうようにした。
この出来事が何だったのか今でもわからない、
記憶違いとして片付けてしまいたいが女を覗き込んだ映像もはっきり覚えてるし、
OLとすれ違った時に、Tシャツ着てて剥き出しだった俺の腕にこすれたウールのスーツの感触も覚えてるんだよね。
その事務所は、渋谷の道玄坂にある鰻の寝床のように細長い9階建てのビルの6階あった。
坂の途中にある事務所6階の窓からは、円山町のホテル街、
向かいにはキャバクラ、背後は有名なヌード劇場とそれは素晴らしい眺めであったと、
今でも覚えている。
以前からこのビルにおいては様々な怪異現象が起きており、
霊感のある部下『N』に言わせれば 『霊道』なる幽霊の通り道が
この事務所の部屋を横断しており、怪異現象の原因はすべてこれがが関係しているらしい。
吸っていた煙草が突然灰皿から消える。
事務所内に誰もいないのに机や椅子がバンバン叩かれる音がする。
揚げ句のはては6階の窓ガラスが突然うなり声をあげ、
外から誰かがこじ開ける様にバタバタ震える…。
また、こういった話を事務所でしていると、
部下の言う「霊道」の中に座って仕事をしている同僚が影響を受け、
突然頭痛を起こし倒れるというようなハプニングが起きたりした。
様々な怪異の中で一番頻繁にあったのが仕事中に突然、
耳もとで女性のささやき声がする、と言ったものであった。
それは、注意していないと何と言っているのか分からないような声なのだが、
テレビもラジオもついていない窓を締め切った室内で聞こえるのだ。
外から聞こえる街頭のアナウンスの声などとははっきり違うのは、
耳元でささやくその息づかいまでもが肩越しに聞こえる事であった。
さすがに、これには大半の社員がまいった。
普段、霊魂などとは無縁の者もこの声を耳を理由に事務所への待機を拒否しはじめた。
しかし、悲しいかなここは警備会社という特殊な職業のため、
各事務所は『24時間体制』が義務付けられており、
昼間はもちろん、夜間の宿直者も毎晩置かなければならなかった。
セクションの違う私は、夜間宿直のローテーションには含まれておらず安心していたのだが、
8月中旬のある夜にどうしても当番の都合が着かず、運命の当番が私にまわってきてしまった…。
当日、初めのうちは昼間勤務の同僚などが残業で何人も残っており、
何事もなく通常の夜間勤務をおこなっていた。
しかし、10時を過ぎる頃から一人、二人と同僚が帰宅し、
ふと気付くと事務所には私ひとりが残されていた。
加えて、省エネの為なのか室内は頭上の蛍光灯2灯のみを残し消されている。
本来怖がりの私は、暗がりの中にある蛍光灯のスイッチを入れに行く勇気もなく、
「あーあ。とうとう一人か…。取り敢えず軽く仮眠を取っておこうか。」
などと、自分に都合の良い理屈を言うと打ちかけのワープロの電源切り、
そのまま机に突っ伏し仮眠にはいった…。
リーン・リーン・リーン・リーン
現場からの定時連絡の電話に起こされた。
時計を見ると、針は2時を差している。
寝ぼけたままトイレへ駆け込み用事を済ませ、再び席に座り直したその時…。
バン・バン・ババン・バン・バン・ババン・バン・バン・ババン!
突然、窓ガラスを素手で叩く様な音が起こった。
「あーっ。まただよ…。」
私は慌てて頭から備付けの毛布をかぶり、机の上で両耳を塞ぎ早く眠てしまおうとした…。
窓を叩く音が始まって、4〜5分程たった頃だろうか…、
バンッ!ババンッ!バン!!
今度は私周りの机が激しく、まるでドラムを叩く様に早く激しく鳴り始めた。
「こりゃ、やばい…!。」
私は危険を感じ、毛布を払い周りを見回した。
しかし、もちろん事務所の中には私以外の誰もおらず、
今の今まで鳴っていた音もピタリと止んでいた。
恐怖が頭の中も全身をも支配していた。
私には、机を離れ室内を調べる勇気もなく再び机に突っ伏し、頭から毛布をかぶった。
コツ・コツ・コツ……
間髪いれず、今度は何者かの足音が私の机の周りをぐるぐると周り始めた。
さすがに耐えられなくなった私は、大宮支社に助けを求めた。
この日、大宮支社は霊的体験のある(自称、霊的修羅場経験者)というO氏が泊まり番だった。
O氏が電話に出た。
彼は、すぐ様電話から異変を感じ取ったらしく、ゆっくりと私に聞いた。
「どうしたんだ!?」
私は今までのいきさつと現状を、電話の向こうのO氏に説明した。
「分かった…………。いいか、よく聞けよ…。」
パシィーーーーーーーン!!
突如背後で何かがはじける音がした。
振り向くと、額縁のガラスが割れていた。
しかも、額は壁に掛かったままガラスだけがまるで何かに叩き割られたようにこなごなに飛び散っている。
「Oさん! ガラスが…ガラスが…。」
私は、錯乱していた。
「落ち着け!事務所に塩はないか? 塩…。
それを水に溶かして部屋の中に撒け!
入口の所には塩を盛れ! いいか、ただの食塩じゃねぇぞ。
あら塩だ、あら塩!」
「えっ…、そんな塩、事務所にないですよ…。」
「だったら急いで買ってこい!!」
「買いに行けったって、それじゃあこっちの事務所、誰もいなくなっちゃいますよ!?」
「何もお前が出ていく必要はねえじゃねぇかよ。」
「えっ?」
「さっきから、電話口で笑っている女に買いに行かせりゃいいだろ!
第一、こんな夜中に事務所へ女を引き摺り込んで、何やってたんだ?お前はっ!。」
「…………………………!!」
私は絶句した…。
彼には女性が私とO氏の会話に笑いながら相づちをうっているのが聞こえていた。
私はパニックになりながらも、電話の大宮支社への転送切り替えを行い、
塩を買いに近くのコンビニまで飛び出していった。
そして、戻るなり尋常とは思えない程の食塩水を作り、
床が水浸しになる程撒いたのだった。
驚く事にその直後からピタリと怪異現象は治まり、
何事も無く朝を迎えた。
しかし私は、とうとう朝まで寝ることも出来ず、
夏の暑い日だというのにガタガタ震えながら、翌朝代りの者に引き継いだのだった。
後日、当夜の夜間電話の録音テープは、処分された。
理由は、職場に無用の混乱を招く恐れがあるためとの事であり、
表向きは、「機械の故障による録音不備のため消去」となった・・・・・。
そして、その後も幾度となく宿直当番に恐怖はふりかかった。
しかし、幸いな事にそれから程なく、リストラによる統合のため事務所移転となった。
従業員は、皆もろ手を上げてリストラを歓迎した。
その後事務所は借手を二転三転したが、長期の入居者も無く、
現在は次の借手が来るのを待っている…。
私は親の都合で生まれてから中学に上がるまでは伯父に育てられ、
実家に行くのは初めてでした。
最初の頃は初めて会う弟と両親に緊張していたのを覚えてます。
弟は二つ下で友達のように遊びました。
家は日本家屋で、庭には桜の木が植えてあり、
子供ながらに綺麗なものだと思っていました。
しかし毛虫が嫌いで木に近づかなかったのです。
夏、蚊帳の中で弟とこそこそとじゃれ合いながら眠らずにゴロゴロしてると
遊んで興奮してきたのか暑くなり、襖をあけることにしました。
当時家に飛び込んできた身だったので立場の低い僕が行くことになり、
ふすまを開けました。
すると桜の木が咲いていました。
当時植物の事などまったく知らない僕は
「夜になると桜が咲くんだな」と勝手に納得してました。
桜の周りには子供達が居てかごめかごめをしています。
「かぁーごーめーかーごーめー、かーごのなーかのとーりぃは」
その子供達が楽しそうに桜の周りを回っているのを見て
僕も居れて欲しいと考えたのですが、
弟が後ろで呼んでいるので蚊帳の中に戻りました。
そのまま眠ると次の日恐る恐る母親に聞きました。
当時知らない人だった母親が
暗い日本家屋で料理している姿が非常に恐ろしく見えたのです。
「その話は弟には言っちゃいけないよ」
しかし子供の僕はそんな約束守れるわけも無く、
その日の夜、弟に話しました。
その日は襖が閉めてあり、それほど暑くなく蚊帳の中でグッスリと眠りました。
次の日、桜の木の下で弟が冷たくなっていたのを父が見つけ
、母が僕に怒鳴り散らしました。
「言うなと言っただろ!なんのためにあんたを義兄さんに預けたかわかんないじゃないか!」
次の日、半年振りくらいで会う伯父の家に帰りました。
僕は何故か怖くなり伯父夫婦に何も言えませんでした。
それ以来父と母には会っていません。
先日行われた伯母の葬儀にも二人は現れませんでした。
怖くて伯父に聞けないのですが、あれは何だったんでしょうか?
T君に聞いた怖い話
T君は電気工事関係の仕事をしています。
ある日、別の課のN村君が高所作業中の事故で亡くなりました。
T君は同期入社ということもあり面識もあったので葬式に参列しました。
それから1週間ほどしたある日、また隣の課のN村課長が亡くなりました。
病死ということでしたが急死だったということでした。
T君は面識がなかったのと礼服がクリーニングに出したままだったので、
葬式には参列しなかったそうです。
仲間内では、「N村ばっかり立て続けだし近日もう一人ぐらいN村が死ぬん
じゃないか」という話をしたそうですが、近くにもうN村はいませんでした。
それから数日後、また葬式があったそうです。
同じ課の事務の女の人で交通事故でした。
でもU田といいN村ではありませんでした。
同じ課ということもありT君も葬式に参列したそうです。
そこで葬儀会場でT君は驚きました。
N村家となっていたからです。
その女の人は結婚してU田という姓になって働いていましたが、
離婚してN村に戻したのですが、
会社では便宜上U田のままにしておいたそうです。
そしてT君は同じく参列していた近所と思われる人たちの会話を聞いて驚きます。
その人は、「..最近葬式多くてねー。それが変でまたN村さんなのよ...」
T君はこの時期いったい何人のN村が死んでるんだ..?と思ったそうです。
T君がN村さん連続死亡の話を私にした時、T君はすごい状態だった。
右半身が擦り傷だらけでスネには
私がこれまで見たこともない大きなカサブタがあった。
通勤帰宅途中でバイクでこけたらしい。
私はT君の話した怪談よりこちらの話の方が怖かった。
バイクに乗っていた彼の話はこう。
「..ほんで、この話をお前(私)にどない話したろかて思てたんや、
ほんで、ちょっと考えてて、われに返ったら、えらいのろのろ走ってる
気がしてな..景色がゆっくり流れてて..、あ、いかんいかんつい上の空で
運転してた...と思ってアクセル空けたんや。
ほんでなにげなしにメーター見たんや...そんだら120(Km/h)でてるやん!
と思った瞬間ぶわっ!て景色が流れてな、あせってしもた。パニックや!
信号待ちしてる車のケツも近づいてくるし、なんとか止まろうとして、
ブレーキかけたらロックしてザザザーッといってもうた...」
私はなんとなく「呪い」かと思って怖かった。
バックミラーに写るとかじゃなくてこういう形の呪いがあるのかなと思いました。
あれは、僕が幼い頃(5〜6歳だったと思う)の体験で
僕の家には和室があるのですが、その部屋には京人形らしきものがあります。その人形の話なんですが、毎晩動くんですよ・・・。
僕は幼い頃はいつも10時ごろに寝ていました。
そして僕はかなりのおばぁちゃんっ子だったので、その部屋で一緒に寝ていたんです。
そして僕は毎晩のように、3時になると目が覚めて横をみると廊下の奥からその人形がこちらにむかって歩いてくるんですよ!
怖くなって僕は
「おばぁちゃん!人形が・・・。!!」と言って起こすと、
おばぁちゃんは、廊下に向かって行きその人形を押し返すような仕草をするんです。
すると人形はまた廊下の奥の方へ消えていくんですよ!
朝になってその人形をみるといつものように、ショーケースに収まっているのです。
それが、毎晩のように続いたんですよ。
あれから10年以上過ぎたある日おばぁちゃんと家族で怪談というほどのものでもないですが
そういった話をしているときに、そう言えば僕は、幼い頃に人形が来る夢をよく見ていたよ。
と家族全員にいうと、おばぁちゃんが
「そういや〜アンタは小さい頃、人形がくる!人形がくる!っていうからおばぁちゃん毎晩3時ごろおこされて、
見えもせぇ〜へんもんを押し返しとったわ!」って言ったんです。
僕は凍りつきました。
「アレは夢じゃないんだ・・・。」
というような体験です。
私は東北は岩手県に住んでおります。
それも岩手といってもほぼ青森県との県境の田舎町に居ます。
その日は地元のお客さんの奥さんの実家へ商品の納品があり青森県のとある場所への配達でした。
配達ルートを見た時点で私は「あちゃーここはあそこを通らなきゃならないな〜」とちょっといやな予感がしたのです。
そうその場所とは青森では割と有名な(心霊スポット紹介雑誌、数誌に掲載)場所でして
簡単に説明すると、その場所は青森県の南部にある小さなトンネルです。
数年前の夏に暴走族同志の抗争があり、
あるチームの少女が敵対するチームの数名に拉致され暴行を受け置き去りにされたのであります。
心身ともにボロボロになった少女は現場の近くにあった神社の鳥居に近くにあった白っぽい縄で首を吊り翌日、
神社へ来た神主さんに遺体を発見されるという事件がありました。
その後、その場所や付近を通ると昼夜関係なく、
茶髪でワンピースを着た白い紐を首から下げる、
または手に持った少女を見かけるとか、
カーステレオのラジオから突然雑音がしたり雑音に混じって
「お前も仲間だろ」「絶対にゆるさない」「殺してやる」
など恨みのこもった声が聞こえたりすると噂がたちました。
興味本位で現場に行った若い連中などは急にエンストしたり、
ライトのバルブが切れたり、エンジン停止中でカーステもオフの状態でスピーカーから声がした。
また、車2台で出かけた連中は前の車は急にエンスト、
停車後ろの車はブレーキが効かなくなり追突事故を起こすこともあったそうで、
どうしても行くなら車は1台で行った方が・・・などのつまらない噂もたちました。
話は戻りますが、配達相手の都合で夕方に納品して欲しいと連絡があり、
しぶしぶ出かけました。
いよいよ現場に近づく頃、
出来るだけ仕事に集中しようと心がけていると急に
「きーん」と耳鳴りがやばいかなと思いながらも無事トンネルを抜け
しばらくすると耳鳴りも治まっていました。
配達先で商談も有った為に家路につく頃は午後8時過ぎ、
夜とはいっても深夜では無いの事と、机仕事が残っている為
例の場所を迂回することはあきらめ、来た道を戻ることにしました。
都内に居る方は想像できないと思いますが、
田舎の道路には外灯などは国道、県道、
大きな町道以外はほとんど無く夜はほんと寂しいものです。
例の場所へ近づく頃、またあの「きーん」と耳鳴りが、
それも来た時よりもひどく頭に響くような不快感で。
しばらく行けば治まることを信じながらも、
そのような感じから少し怯えてしまい多分錯覚と思えるのですが
後ろに誰かが居るような気配も(軽トラックなので後部座席は無いはずなのですがそう感じました)
しかしここで「バックミラーを見たらいけない!」と思いとにかく運転に集中をしました。
しばらくして耳鳴りが解ける頃、ほっとしてバックミラーを見てしまいました。
月明かりしか無い筈なのにぼんやりと立っている人の姿、
頭をうなだれた姿勢…
そう首を吊られた時の姿勢でさらに視線をずらした時、
バックミラーに映る私の顔半分の目の脇にもう1つ目が、目だけが映ってました。
人の姿よりもむしろその目に驚き、車を停車。
頭の中で「御先祖様、助けてください」と祈りながらも
再度恐る恐るバックミラーを見るともうなにも見えませんでした。
何とか気を落ち着かせようと努力しながら安全運転を心がけ無事地元へ、
自宅へ帰る途中、地元の神社へよってお参り
(地元の安心感か夜の神社でも怖さはなく、むしろ安堵感が)して帰宅しました。
──先輩(以後Tさん)がまだ幼い頃。
夜、ぐっすり寝ていたTさんが急にうなされはじめました。
一緒に寝ていた母親が起きて様子を見ると、Tさんはうなされながら「腕が痛い腕が痛い」と言っています。
母親は「ここが痛むのかい?」と腕を揉んであげますが、今度は「足が痛い足が痛い」と訴えます。
言われるがままに腕や足を揉んでいた母親ですが、Tさんは一向に落ち着く様子もなく、
更に「お腹が痛い」「背中が痛い」とエスカレートしていきます。
さすがに様子が変だと思った母親が灯りをつけてみると…、
仰天した母親ですが、すぐさま仏壇の前にTさんを運び、
「ここはあなたの来るような所ではありません 行くべき処お帰りください」
というような事を必死に訴え、祈り続けました。
その甲斐あって、Tさんも次第に落ち着きをとり戻し、元に戻っていきました。
翌日知った事ですが、前の晩、近くの交差点で交通事故があり中年の男性が一人亡くなっていたそうです。
時刻はTさんがおかしくなった時とほぼ同じ。
──この出来事はTさん本人も覚えていなかったのですが、
高校生になって初めて母親から直に聞かされたそうです。
Tさんは「自分の顔が変わってたなんてシャレんなんねーよ…」とガクブルしていました。
母が働いていて、どこかの家に訪問しにいくときに起こった出来事です。
母は、普段通る道を普通に通っていました。
会社から、その家に行くのにいつもならだいたい20分ぐらいです。
10分ぐらい自転車で走って、とある池に差し掛かった時、
不思議なことに気づき、首をかしげました。
汚いその池は深く、藻だらけで、周りにフェンスがありました。
なのに、池の真ん中に人の頭らしきものがあります。
あるというより、浮いているようでした。
目が悪かった母は、めがねを掛けてそちらに目をやると・・
そこには女の子のようなおかっぱ頭に目と口。
人間のように見えるけれど人間ではない。
母は逃げるようにそこを離れました。
仕事に行く家の方へ、全速力でペダルを漕いで。
ですが、ふと気が付くと、そこは墓地。
怖くなりながらも時間を気にして、時計に目をやると、もうあれから10分も経っています。
いそいで訪問先にいき、どうにか間に合いました。
帰り道は、違う道を通って帰りました。
その日の夜、
母は疲れていたのですぐ寝付くことができました。
ですが、夢でうなされています。
俺は、「うるさい!!」と言うと、気にせず寝ました。
ですが母は、とても怖い夢を見ていたのです。
昼間の池が目の前にあり、そこからあの[人の頭]らしきものがだんだん上がってきて、
全身でたと思うと、いきなり醜い妖怪のような姿になり、首をはねるというもの。
母は、寝るのが怖くなり目を開けていると、枕元のフスマがスーっと開くのがわかりました。
怖くなり目を閉じるとあの妖怪らしきものが襲ってくるのが見えます。
怖くなり目をあけるとフスマがどんどん開きます。
とうとう母は、父を起こしあの話をしました。
その日はお守りを持って寝たそうです。
次の日、母と父はその池に行き、手をあわせ、花を供えました。
その晩、妖怪に化ける前のおかっぱあたまの人(?)がお礼に来たそうです。
その言葉は
「花を供えてくれてありがとう、次の人見つけたからそっちにいくね」
だったそうです。
小学6年生の頃。
近所の公民館の裏手に古い民家があった。
朽ち果てて建物自体は不気味なんだけど周りが民家で
人通りも少なく無かったし怖さより好奇心が湧いた。
で、学校で10人くらい友達集めて「探検しよう!」ってなったの。
実行時間は土曜の真昼間。
公民館も人が沢山いて怖い雰囲気ゼロ。
よって勇気100倍×10。
家はあちこち板で打ちつけられていて、侵入場所を探しウロウロ。
家の裏手に台所の窓が見えたので中を覗くと入れそうだった。
んで、友達集めて探検装備のエアガンに弾を込める。
「よーし、入ろうぜ!」
とリーダー格の奴の合図と同時に10人が独りづつ中へ侵入する。
中は流石に真っ暗だった。
公民館の裏とはいえ丘の上に建っているせいか物音聞こえない。
しかもこの家周りは木で覆われており、窓からの光も頼りない。
「懐中電灯持って来てよかったな。さあ、探検しよう。」
とリーダーについてぞろぞろと歩いていく。
10分くらい探検した後、地下室っぽい所に続く階段を見つけ、降りる。
そこにも部屋があるようだが懐中電灯で照らすとどうやら和室らしい。
皆、先頭のリーダーが照らす灯りの先を凝視する。
心臓が止まるかと思った。
ライトで照らされた先には
日本人形がこっち向いて立っていた。
しかも和室のど真ん中で。
みんな驚いて一斉に逃げ出す。
が、逃げた先頭の奴が急に止まってこっちを向く。
「何か聞こえる・・・!!」
全員静まりかえると・・・・・・。
ドン・・・ドン・・・ドン・・・ドン!!
先ほどの和室から音が段々近づいてくる・・・!!
もうパニックになって我先にと台所の窓を目指した。
逃げる途中、俺はかなり後方だったので
「ひょっとして最後尾!?」と思い泣きそうになっていた。
だが何とか辿り着き、急いで台所の流しを駆け上る!!
もうみんな外へ非難していた。
俺は外へ出たと同時に窓を勢いよく閉め、振りかえる!!
・・・もう独り友達が俺の後ろにいたらしく窓を閉められたショックからか泣いていた。
でも何とかそいつも脱出でき、皆、疲れと興奮を味わいながらも家路につく。
しかし、その晩俺は高熱を出し3日寝こんだ。
何とか回復して学校へも通えるようになり、
楽しい小学校生活を終えて中学・高校・大学へと進学。
で、大学3回生の時、たまたま当時の友人と会って
あの時の話題で盛り上がった。
しかし話しによると
「あの家、最近老女の白骨死体が見つかったらしいぜ。
しかも場所はあの時俺達が見た人形の部屋だったって・・・。」
取り壊しの際に発見されたらしい。
「じゃあ・・・あの音は・・・?」
「わかんねえけど・・・・・・何かのメッセージとか・・・?」
「・・・・・・・・。」
実話です。
尚、異変は今のところありません。
小学5年生の頃の話。
社会科の宿題で郷土の歴史を調べようと言うのがあった。
そこで友人たちと協力して、
地元に昔あったと言う豪族の建てた城について調べることにした。
とある秋のどんより曇った雨の降りそうな日の午後、
友人5人と豊臣秀吉に滅ぼされた地元豪族(歴代城主)の墓所に行くことにした。
その場所は通称「薬師さん」と呼んでいるところで崩れかけた土塁のそばにあり、
土塁の上の木々は全く手入れもされておらず鬱蒼と茂り、
昼でも暗いところであった。
墓所の周辺には地元の名士や軍人の墓があり、
薬師堂とお祭用の広場があり、そこに自転車を止め墓所へ向かった。
墓所とはいえ400年以上前の地方豪族の墓なので
一番奥の小さな一角に小さな五輪塔が0基ばかり並んでいるだけであった。
一番奥には戦時中に立てられた記念碑らしきものが立っているが、
なぜか"犯"と言う字が書いてあったのが気にかかった。
その日は冒頭にも書いたようにどんより曇った日で薄暗い墓所の周りはよりいっそう暗く
周辺の木々の実をついばみに烏がたくさん集まっていた。
一通り墓碑銘などを調べ別の場所に移ろうした時、一羽の烏が一番奥の碑にとまった。
カーカーと鳴きながら、碑の上に糞を垂れた。
それで私は烏を追い払おうと石を投げたのだが、
烏に逃げられ碑に「カチーン」と音をたててぶつけてしまった。
慌ててみんなで「ごめんなさい、ごめんなさい。」と謝り、墓所を出て行ったのだが、
その帰りに墓場の通路の縁石がゴロンと転がり落ちてきて友人の足に落ちてきた。
その拍子に転んだ友人は膝を打ち怪我をしてしまった。
怖くなった私たちは怪我をした友人を抱えて急いで広場へ引き返した。
広場には揺り籠(今は少なくなったが、
4人くらいが座って乗るブランコのような遊具)があり、
怪我をした友人ともう一人をそこに座らせ、
残った3人で広場の反対側にあるお堂を見に行った。
お堂の中には第2次大戦の戦死者の遺族が納めた色を塗った地蔵さんや
写真が所狭しと置いてあり、あまり気持ちのいい場所ではなかった。
ほどなくして揺り籠まで戻ってくるとゆらゆらと揺れる揺り籠に二人が待っていた。
揺り籠はゆっくり揺れていたがだんだん揺れが大きくなり、
周りを支えている支柱を飛び出さんばかりに揺れ始めた。
「飛び降りろ!」と叫ぶと足を怪我した友人はすぐに飛び降りたが
付き添っていた友人はなかなか飛び降りられずそのまま振り飛ばされた。
振り飛ばされ倒れた友人の上を誰も乗っていない揺り籠が
私たちが近づくのを拒むかのように狂ったように揺れ
なかなか這い出せずにいた。
残った数人で意を決し匍匐全身で近づき
揺り籠の下から友人を何とか引きずりだした。
揺り籠は友人を引きずり出した後もまだ狂ったように揺れている。
怖くなった私たちは慌てて止めておいた自転車に向かって走り出した瞬間、
「わっ!」と言う友人の悲鳴とともに5人とも突き飛ばされるように転がった。
その転がったのとほぼ同時に離れて止めてあった自転車がバタバタバタッと将棋倒しになり倒れた。
皆これは祟りかも知らん、早く逃げよう。
神社にお参りしてお祓いをしようと言って自転車を起こして、大慌てで逃げ出した。
墓所からかなり離れてから、倒れた時に一番後ろにいた友人が
「今日、新品のヤッケを着てきたのに汚れたな。」
と言って腹側の土ぼこリを払っていたのでそいつのヤッケを見ると
背中に大きな白い手形が着いていた。
皆、それを見て大慌てで神社に駆け込みお参りをして帰った。
皆さんも墓場ではふざけないほうがいいですよ。
私の母親が体験した話です。
私の両親は今から20年位前に離婚をし、
母は単身東京の親戚をたより、大阪の地を離れました。
上京してしばらくしたころ、母の姪が五反田に引越しをしたので
遊びに来ないかとの誘いを受け、2・3日泊まるつもりの身支度を整え、
教えてもらったマンションへと向かいました。
駅から程なく歩いた所にマンションが見え、いざエレベーターに乗りこもうと中へ入ったところ、
なんとも言えない空気の重さと寒気を感じたと言っていました。
気を取り直し、電話で教えてもらった3階の30×号室のインターホンを押すと
聞きなれた声の返事・・・
「お姉ちゃん、よく来てくれたね」
待ちわびていたと言わんばかりの応答に招かれて中へ入る母。
玄関入って直ぐ、奥にベランダの見える六畳ほどのダイニング、
ど真ん中を陣取るようにして椅子四脚がすっぽりはまる程の
四角いテーブルが置かれておりました。
その中でも一番日当たりの良い椅子に座るように招かれ腰掛けようとしたとき、
「嫌!!」
即座に立ち上がる母。
その反応にビックリしながらも、またかと困惑の表情をうかべる姪・・・
以前からそのてのたぐいを感じやすい人だったので、
借りたばかりの部屋にまたケチがつくと必死で話題を変えようとする姪。
それでもやはり気になるので、恐る恐る何があるのか聞いてみると
「今、私の周りに3人立ってる・・・
一人は髪の長い二十代くらいの女性、
もう一人はショートカットの四十代くらいの女の人、
最後に頭のはげた五十代くらいの男性」
「もうお姉ちゃん悪い冗談は止めてよ。」
「冗談で引っ越したばっかりの家にケチつける程意地悪や無いよ。」
泣きそうになる姪。
「悪い事言わんから、明日にでも不動産屋行って何があったか調べといた方がいいよ。」
既に寒気と頭痛が激しくなってきた母は小一時間ほどで逃げる様に帰りました。
そして次の日の明け方4時過ぎ、電話の音で目の醒めた母が受話器を取ると
悲痛にも似た声で「お姉ちゃん、出た!」
よくよく話を聞いてみると、
水の流れる音で目が醒めた姪が
ベッドの足側にあるシャワールームに目線をやると
灯りがついていました。
(おかしいなあ・・・消し忘れたのかなあ・・・?)
しばらく冴えない頭で考えていた時、
シャワールームの開いた扉15cmほどの隙間から3人が出てきたのです。
一瞬何が起こっているのかわからない上、
度肝を抜かれて動くことの出来ない姪のもとにその3人はやってきたのです。
そしてベッドを取り囲み、3人が一同に顔を覗きこんできたのです。
どれぐらい時間が経ったのかわからないらしいですが、悲鳴の第一声を挙げた時には
既に3人の姿は無かったそうです。
日が昇ったと同時くらいに慌てて不動産屋に問い合わせたところ
そのマンションは元々病院で、内装だけをリフォームしたモノだったらしく
現にその部屋で3人亡くなっていたそうです。
いつもの通勤時間、俺は中央線のラッシュにもまれていた。
たぶん中央線でもっとも自殺が多いといわれているあの場所にさしかかった。
俺の乗っている車両は5両目くらい。
ちょうど真ん中くらいだったろうか?
つり革につかまってぼーっと外を眺めていると前触れもなく急ブレーキ。
人の波が激しく打ち寄せ、将棋倒しのような状態になった。
なんだ?嫌な予感がしていたがその場から起き上がり放送に耳を傾ける。
「ただいま先頭車両がなにかと接触したようです。
調査しますのでしばらく停止します」とのことだった。
なにかって…
長くかかりそうだったのでカバンから本を取り出し読もうとしたそのとき
俺の右側のほうでOL風の女が外を指差して叫んでる。
マジで?一気に身体は硬直して冷や汗みたいなものが流れるのを感じた。
次々と乗客が叫び声をあげる。
話の種でも見たくなかったが誘われるようにドア付近へ移動して下を覗き込んだ。
見なきゃよかった
…死ぬほど後悔した…
首しかない女と目が合ってしまった…
何か言ってるけど聞こえないフリをした。
もうパニック状態だった。
急いで車両の真ん中に戻ったけど顔が焼きついて離れない。
ただ何を言いたかったのかが妙に気になってもう一度見に行こうと思ってしまった。
行かなければいいのになぜか足は止まらない。
首は少し移動していた…どうやって移動したんだろう?
血だまりから30cmほど線路から離れるように。
首はうつむいていたので表情は見えなかった。
しばらくして再び放送が入り、人身事故の死体回収作業のためしばらく停止するらしい。
バケツとビニール、トイレに置いてあるようなはさむ道具?を持った人達があわただしく動き回っている。
その中の1人が首に気がつき回収にきた。
挟むには首は大きすぎて持ち上げることになりました。
嫌そうに持ち上げたとき
首は口を開けて笑っていました…今でもその時のことは忘れられません。
古い寺の跡がある山に登った時の話。
山道歩いてて、道端に仔猫のきれいな死骸を見つけたんだけど、
夕暮れに下山するときにはもう内臓とかグチャグチャになってた。
鳥や獣に食い荒らされたんだなぁと思い、
手を合わせた途端に山上の寺の鐘がいきなりガンガンガンガンガンと
ありえない速さで連打されて鳴り響いた。
僕は無性に恐ろしくなって逃げるように下山した。
多分どこかの馬鹿がいたずらで鳴らしたんだろうけど、タイミング悪すぎ。
駅に着く頃にはもう日が落ちていて、
電車のシートに座ってやっと安心できた。
で、動き始めた電車の窓から山の方角を見て思い出した。
確かに寺の跡はあったけど、もう廃墟になっていて、
鐘は取り外されていたのだ。
今、フラッシュバックのように急に思い出した体験談を書きます。
あれは僕が小学生だったころの、暑い夏の夜でした。
夏休みということで、いとこが家に泊まりに来ていて、
その日は墓場に肝試しをしに行こうという話になりました。
もちろん親も同伴でした。
墓場に到着し、親はこう提案してきました。
「一番最初に墓地の一番奥の墓石にお線香をあげてきた子に500円あげる。」と。
当時の僕らにとっては500円はとても大金で、他の子はしり込みしているのにもかかわらず
欲深かった僕は率先して墓地へ一人で入っていきました。
墓場はそれほど大きくはなく、
街中なのでまぁ明るい場所でした。
すぐに最奥の墓石が見え、一瞬安心した後、
心臓が縮み上がる感覚に襲われました。
墓石の背後の竹林からこちらを見つめる一つの目。
そこだけ妙に暗がりがひろがっていて、
相手がこちらを見ていること以外の情報は窺えませんでした。
僕は当時から無謀な性格だったようで、
得体の知れない存在と500円を天秤にかけたところ、
500円の方が重かったのでした。
じりじりと墓石に近づき、竹林に目をやらないように線香をあげ終え、
ふと…竹林を見てしまったのです。
そこには、先ほどとかわらず誰かがいる。
近づいた分相手の姿がはっきりと見えてしまいました。
竹から1/3ほど顔を出し、こちらを覗いている男。
恐怖よりも違和感を先に感じました。
竹で隠れている部分の面積が、明らかに不自然だったのです。
隠れている顔の方が、竹よりも幅があるはずなのに、
見えているのは1/3だけ……
その事実に気付いた瞬間から、記憶がありません。
ただ、後で母親に聞いてみたら、僕は別にかわった様子もなく
墓地の奥から歩いてきて、「線香あげてきたよ」と一言告げたそうです。
Aは神奈川県内の高校を卒業後、N県にある大学に進学し、
2年次までは寮で暮らしていたのだが、
3年次からはもう一人暮らしを始めようと思った。
とはいえあまり親にお金をかけては申し訳ないからということで、
格安の物件を探し、築ウン十年もたった古い木造アパートで暮らし始めた。
ただ気になったのは部屋の柱一ヶ所にお札が張ってあったこと。
しかし心霊や迷信など気にしてなかったAはそんなお札なんて剥がしてしまった。
彼は理工学部の大学生で研究が忙しく、ほとんどアパートで過ごす時間はなかった。
あるとき部屋の隅に女の人の長い髪の毛が落ちているのを見て、
あれっ、こないだ掃除したばかりなのにおかしいなぁ、と思いつつもゴミ箱に捨てた。
またある日、部屋の隅に長い髪の毛が落ちているので、
どっか部屋の隙間でもあってそこから入ってきてるのかなぁ、
とおもいつつもゴミ箱に捨てた。
またあるときちょうど夕方西日が窓に当たる頃、
ゴロンと床に横になったときに何気なく窓を見ると、
ガラスに自分のより小さい手型がついているのをみつけ、
何でこんな所にこんな手形があるんだ?
ここは2階だから誰かが外からつけたんじゃないだろうけど、
と思いつつも気にせずそのまま寝付いてしまった。
そしてAは寝起きて、目覚めたのだが、もう辺りは暗く、
そして金縛りにあっているのか自分の体を動かす事が出来ない。
そして自分の足元の方から、スーッ、スーッ、スーッ、という音がする。
その音はやがて自分の顔に近づき、見ると、
白装束で髪が長く不精に垂れ流してて顔の見えない女が床を這っている!!
その女が自分の顔を通過する。
女の目だけが見えた。
凝視して今にも飛び出しそうな目!!
女は通過し、部屋の隅を這っている様子。
やがて自分の体に力が入り、ワアーァ、っと声上げ電気をつけ、
一目散にドアを開け、近所に住む友人の元に駆けていった。
友人のところで一晩明けて、すぐに不動産屋に問い詰めたところ、
幽霊の類の話は聞いたことがないという(実際自分たちが知っている話を隠していたのだろうか?)。
そこで近所の人に話を聞いてみたところ、
3,4年前にあそこの部屋で女性が恋愛のもつれからか首吊り自殺を図ったらしい。
当然Aはそのアパートを解約、別のところに引越し、
いまは某電気メーカーで働いている。。
大学生時代、学校の近くのアパートに一人暮らししてる友人(仮にSする)は、俗に言う「霊感の強い奴」だった。
元々俺は幽霊話・怪談話は好きだったが、あまり「霊を見る」事は無かったと思う。
所がSと付き合い始めてから、そいつの影響か、よく「霊体験」をする様になった。
俺はその頃Sと本当に仲が良く、家に帰らずにSの家に何日も泊りっぱなしという事も珍しくなかった。
あれは確か、7月の半ば位だったか。
俺の所属するクラスの殆どの皆が課題を期限内に完成させる事が出来なかったので、
他の科の奴等は夏休みに入っているにも関わらず、登校して作品制作に精を出していた。(美大だった為)
その日も帰りが遅くなった事もあり、家に帰るのがかったるくなってしまったので、
Sの部屋に泊めてもらう事にした。
工房内にエアコン等ある訳も無いので体中汗臭く、またFRPを使っている為に
作業服を脱いでも体のあちこちにガラス繊維が付いているので、チクチクして仕方がない。
俺はシャワーを浴びさせてもらう事にした。
先にシャワーを浴び終えたSは、
「ちょっと用があるから出掛けてくる。シャワー浴びてて良いよ。」
と言って出て行ってしまった。
人の家にも関わらず、着ていた服を適当に脱ぎ捨て風呂場に入った。
こういう時のシャワー程気持ちの良い物は無い。
昇天するかの様な気持ちの良さを満喫しながら、髪を洗い始めた。
その風呂場には小さい椅子が置いてあって、
それに座り、下を向く感じで髪を洗っていたのだが、
なんとなく違和感を感じた。
・・・人の気配?
視界には自分の膝、そして爪先・・・と入って来るのだが、
その先にもう一つ(いや、1セットと言うべきか)ある。
俺が入った時は、(当たり前だが)先客は中にいなかった。
小さい。男の足では無い。女か?
しかも薄〜い土色というか、生気の無い色をしている。作り物の様だ。
・・・で、爪先はこちらを向いている。
一瞬パニくりそうになったが、Sが言っていた事を思い出した。
「向こうに、こっちが(向こうの存在に)気付いてる事を悟られては駄目だ。」
その場が風呂場とは思えない程全身を寒気が包み、泣きそうになるのを堪え、
目を閉じ、必死で気付かないフリをして髪を洗い続けた。
不意に、その「足」の方から声が聞こえてきた。
こもっていると言うか、丁度隣の部屋のテレビの音が聞こえる様な感じで。
何を言っているかは聞き取れない。
会話の様に聞こえたと思う。
時間の感覚は既に無い。その「物体」は永遠と俺の前で会
話らしき物を続け、俺は髪を洗い続けている。
その時だ。
ふと「会話」が止んだかと思うと、
その「物体」は『バタン!!』
と物凄い勢いで風呂場の扉を開け、
『ドン!ドン!ドン!』とアパート中に響き渡る程の大きな足音を立てて走り、
『ガラララ、バン!!』とまたも物凄い勢いでベランダのドアを開けて出ていった。
俺はもうその場にいる事が出来ず、シャンプーも流さずにズボンだけ履いて外へ逃げ出て、
Sが帰ってくるまでアパートの門で震えながら座り込んでいた。
私の弟が大学時代に体験した話しです。
長くなりますので長文苦手な方はスルーして下さい。
弟が大学2年の夏休み前、友人のKがウマ〜なバイトを見つけて来たそうです。
バイト内容は崖の上から眺める海が美しいことで有名な観光名所で
自殺が多いことから監視員をするというものです。
8月からの1カ月間で住込3食着で人数は何人でも良く50万円。
ただし、仕事期間を全て終了しなければ報酬は支払われない条件だったそうです。
Kと弟は25万ずつ山分けしようと2人で引き受けることにしました。
初日、観光協会の方に連れられ仕事の詳しい説明がありました。
崖の上には展望台とちょっとした広場があり、広場には平屋の管理事務所がありました。
管理事務所に入ると床に跳ね上げ式ドアと言うのでしょうか?
床にドアがあり、ドアを開けると階段があり階段を下りると8畳ほどの休憩室がありました。
ここで寝止まりするそうです。
畳の部屋でテレビ、冷蔵庫、電気コンロなど生活用品は揃っていましたが、
電話だけは観光協会に通じる内線だけだったそうです。
管理事務所にある電話はゼロ発信で外線も使えました。
部屋にはドアがあり、2畳ほどの廊下に続いていて
廊下のドアを開けると階段があり階段の下は海でした。
つまり、崖の下は海水が流れ込む洞窟になっていて
その上から崖をくり抜いた形で建物がある状態です。
午前9時から午後5時までは観光協会の方が管理事務所に居るので
その間は睡眠を取るなり出かけたりと自由な時間でそれ以外の時間が勤務時間だそうです。
勤務時間と言ってもほとんど部屋で待機している状態で
歩いて10分程度のところに観光協会事務所があり、
シーズン中の観光協会事務所は24時間体制でした。
旅館、ホテルから観光協会の方へ匂わす宿泊客が居る。
夜になっても戻って来ない人が居るなどの連絡があった時は
内線で連絡があり管理事務所で監視体制に入るそうですが無い場合はほとんど部屋でやりたい放題。
観光協会の方もビールや海産物の差入れを持って来てくれたり、
退屈だろうとビデオを設置してくれて、
交替の時には新しいエロビデオを置いて行ってくれる。
雰囲気バツグンなところを除けばこんなにウマ〜な仕事は無いと
Kと二人でお祭りだったそうです。
3日ほど過ぎた頃、初の内線電話があり
20代後半ぐらいの女性が行ってる可能性があるとのこと。
Kと二人で見回ると展望台にあるベンチに
それらしき女性が座っていて説得して事務所に連れて行き
観光協会に連絡すると車の迎えが来て女性は連れて行かれました。
Kと弟は初仕事で人の命を救ったと部屋で盛りあがっていると
ドアの外からゴツーン、ゴツーンという音がして来ました。
音はずっと続いていましたが、流木かゴミが流れ着いて
階段にぶつかっているのだろうと気にもせず、翌日の交替になりました。
報告で音がしていたことを告げると観光協会の方が
「今年もシーズンが来たか・・・」
そう言うと二人を連れて階段を下りて行ったのです。
ゴツーン、ゴツーンという音が階段に響いています。
何か黒い塊のようなものが波に揺られて階段にぶつかりその音となっています。
水死体でした。
すぐに警察が来て引き上げられた死体は魚に食い荒らされてほとんど白骨状態で
頭蓋骨部分が階段に当り、不気味な音を立てていたのです。
8月に入ると潮の流れが変わり、洞窟内に死体が流れ着くそうです。
潮の流れが変わっているシーズン中に飛び込めばすぐに洞窟に流れ着くそうですが、
シーズン以外に飛び込むと死体は沖に流され潮の流れが変わるまで死体は戻って来ません。
流れが変わると危険なので洞窟内からの死体撤収作業が出来ないため上から行う。
つまりこの作業のために崖をくり抜いて
洞窟に続くような形で建物があったわけです。
観光客が多いシーズンでもあり、死体が上がったとなると
大変な騒ぎにもなるため、秘密の作業所、霊安室でもあったのです。
休憩室と階段の間にある2畳ほどの廊下に死体を引き上げ安置し、
観光客がいなくなる時間になると死体を運び出すそうです。
自殺志願者を監視する仕事はタテマエでした。
本当の仕事は流れ着いた死体を監視することだったのです。
死体はほとんど、夜中に流れ着きます。
発見したらすぐに観光協会に連絡し、警察が来て夜中の内に引き上げられるようにする。
二人は死体引き上げ作業や運び出す作業には関わらないものの
観光客が来る時間帯に発見されれば
二人が寝止まりする隣に死体が安置されるわけです。
1カ月で50万なんてウマすぎると思った。
給料は無しになるけれど、まだ始めて3日だし今なら帰って地元で別のバイトを探せる。
そう思ったものの、恐さより50万の方が魅力的だった二人は自由時間は近づかない、
出来るだけ上の管理事務所で過ごす。
それで乗り切ろうとしたのが間違いでした。
交替時間になり、二人は休憩室へ行かず管理事務所で過ごしていましたが、
2時間置きに流着していないか見に行かなくてはなりません。
死体が流れ着くことも無く平穏に3日ほど過ぎたときです。
その夜も休憩室へは行かず管理事務所で過ごしていました。
Kが、「あの女、自殺志願者じゃないか?」
展望台のライトの下にTシャツとジーンズという服装の
若い女性が立っていました。
Kと共に懐中電灯を持って事務所を出ると
女性は海を背にして帰って行く姿が見えたので
管理事務所に引き帰しました。
戻るといきなり下の休憩室に続く跳ね上げ式ドアから
ドンドンと叩くような音が聞こえたそうです。
驚いて腰が抜けそうになったそうですが
休憩室のドアが開いていて風が吹き込んでいる風圧じゃないか?
Kの言うことに一理あると二人で行ってみたそうです。
やはりKの言う通り、ドアが開いていてそこから風が吹き込んでいました。
ドアを閉めようとドアから階下を覗くと白っぽいものが流れ着いていました。
「来たよ・・・」
すぐに連絡すると10分もしないうちに警察が来て死体を引き上げました。
Tシャツにジーンズ・・・服装からして先ほどの女性だと直感しました。
けれども髪の長さから多分女性だと判別するものの
衣服の中身はぶくぶくに膨れ上がり原型を留めていなかったそうです。
Kが我に帰って言ったそうです。
「俺、確かにドアを閉めてかんぬきも掛けたんだよ。」
恐怖はそれだけでは治まりませんでした。
二人は次の日から交代に入ったと同時に階下へ行き、
ドアをしっかりと閉めかんぬきを掛けて一目散に管理事務所に戻る。
これが日課になりました。
エロビデオで酒盛りだったのが恐怖の時間に変わったのです。
ドンドンと跳ね上げ式ドアから音がする。
ドアが開いて、死体が流れ着いている。
音がしない日はドアも閉まっていて死体は流れ着かない。
ドンドンと音がする日は女性の死体。
ガツーン、ガツーンと音がする日は男性の死体。
二人は食欲も無くなり不眠症にもなり勤務時間以外は
ほとんどボ〜っとして街中にある公園で過ごすようになり、
2週間も過ぎると限界が来てついに辞める決心をしました。
「もうあの管理事務所には行けない。」
二人で観光協会に泣きつくと
100万にするから続けられないかと説得されたそうですが
この時は100万より恐怖の方が勝ったようでガンとして断ったそうです。
本当は無報酬なのですが、交通費と10万ずつ頂いたそうです。
ゲッソリ痩せて青ざめた顔をして帰って来た弟を見た時、
ビックリして何があったのか問い詰めましたが、ずっと沈黙を守ったままでした。
それから社会人になった今でもKとは親友同士で
Kは良く我家へ遊びに来ます。
3年ほど前、Kが我家の鍋パーティーに来た時、
弟と共に思い口を割り話してくれた話です。
Kによると何かの恐い話し系の本に同じような話しが掲載されていたそうです。
大学受験のために東京に出て来た時、
既に東京の大学に通っていて一人暮しをしている
従姉妹の部屋へ泊めてもらうことにしました。
部屋は交通量の激しい道路に面したマンションの3階で
ちょうど窓の下あたりになる場所で道路工事をしていて
交通量が少なくなる夜になると工事が始まっていたそうです。
従姉妹はバリバリの女子大生を満喫しており、帰って来るのは夜中。
友だちは先にベッドに入っていました。
うとうとしかけた頃、人の気配を感じて目を開けると
部屋の隅に交通整理の光る棒を持って黄色いヘルメットを被った警備員男性が立っていたそうです。
驚いて起き上がると男性と目が合ってしまい、
それに気づいた男性は光る棒を振回しながら無表情で友だちに近づいて来たそうです。
クルクル回る赤い光が目の前に来た時、必死の思いで布団を頭から被りチビリそうになっていると
従姉妹が帰って来てドアを開けたと同時に
「今、エライもん見ちゃったよ。下で工事やってるじゃない?
片側通行で交通整理している警備員さんがランプ振り回して
止めようとしたのに暴走車が突っ込んで来て警備員さんを跳ねたんだって。
ちょうど救急車に乗せられているところを見ちゃった。」
興奮して話していたそうです。
跳ねられた警備員さんの生死は分からなかったそうですが、
亡くなった瞬間に魂が抜けて亡くなったことに気づかず
最後の仕事を続けていたのか
生きてはいるものの、事故の瞬間のショックで
強い念みたいなものが発生し、残像となって現われたのか
いずれにしても現われた警備員さんは
肉体を持った「人」では無かったようです。
幼い日、何てことなく通り過ぎた出来事。その記憶。
後になって当時の印象とはまた違う別の意味に気付き、ぞっとする。
そんなことがしばしばある。
例えば。
小学生の頃、通学に使っていた道は一面田圃の田舎道だった。
途中に寂れたマネキン工場があり、あとはそのずっと先に駄菓子屋が一軒。
人家は田圃の向こうに点在するのが見えるだけ。
マネキン工場は既に廃工場だったらしく、人が働いている姿を見た記憶が無い。
封鎖された敷地の隅にはバラバラになったマネキンの残骸が積んであり、
それが金網越しに見える。その様は面白くもあり、不気味でもあった。
工場の敷地を幅が広い側溝が取り囲んでいて、酷い悪臭を放っている。
濁り、ヘドロ状になった水。
無造作に捨てられた大量のゴミ。
ある日寄り道をして、いつもは行かない工場の裏手に回ってみた。
側溝の惨い有様は道路側をはるかに上回っている。
そこで、ゴミに混じって半身を浮かせた女性のマネキンを見つけた。
白く整ったその顔立ちは掃き溜めに鶴といった風情。
引き上げて友達連中が集まる溜まり場に持って行けばヒーローになれる、
とは思ったが、水が余りに汚いし場所も遠いので諦めた。
他の奴がヒーローになったら嫌なので、この発見は誰にも教えずじまい。
それからしばらくは、その人形の様子を確認しに行くのが日課となった。
けれど、哀しいことに彼女が日に日に朽ちて行くのが分かる。
数日も経つと白い肌は薄汚れて変色し、見る影も無くなって来た。
やがて、豊かな頭髪は抜け落ちてまばらに。
艶を失った肌は黒くぼこぼこ。鼠に齧られたらしき痕すら見える。
諸行無常。最早すっかり興味を失った。
最後に見た時には、水面を覆い尽くすゴミに埋もれて、
透明度ゼロの汚水に大部分が沈んでしまっていた。
かろうじて水面に覗いた部分も、水を吸って醜く膨らんでいる。
それはもう、ただのゴミだった。
けっこう日が過ぎてからもう一度見に行った。
けれど、もう、彼女の姿はそこには無かった。
やがて小学校を卒業すると、その道を通ることすら無くなった。
高校3年の夏休み。気まぐれに思い出の場所を自転車で回った。
あの場所にも行った。景色は一変している。
田は潰されて住宅が立ち並び、工場跡は駐車場になっている。
マネキンのことを思いだし、感慨に耽る。
ふと気付いた。
怖い考え。
プラスチックがあんな朽ち方をするだろうか?
既にグロ画像を多数目にしている自分。
そこで得た知識ゆえに嫌な考えを振り払えなくなった。
あれは人が腐敗して行く過程そのものだったのでは・・・?
本当の事はもう分からない。
ただ、懐かしい思い出だったものは、
今では見知った人には話せない忌まわしい記憶になっている。
最近引っ越してから我が家に小さな子供の声で間違い電話が頻繁にかかる。
「お父さんボクいまからそっちに行くから待っててね」と何度も言う。
俺はお父さんじゃないよ、間違ってるよと言ってもわからないふう。
あんまり何度もかかるのでお母さんは側にいないの?って聞いたら
「お母さん死んじゃったの。ボクだけ帰ってきたの」
なんかゾーっとしてすぐ電話切った。電話番号も変更することにした。
姉が高校生だったときの話です。
クラブ中にランニング?が入り、仲のいい友達と三人でタラタラ走ってた
そうです。コースは毎回同じで3キロほど先にある空き地を折り返して帰ってくるというものでした。
夏の夕方って涼しい風が吹きますよね?丁度その日も空き地に着いた時に
気持ちいい風が吹いてきたので休憩しよう!ってことになり、
荒れ放題の空き地にあった岩に腰掛けて休んでたそうです。
しばらくは三人でオシャベリしてたらしいんですが、
突然一人が 「ねえ、なんか聞こえたよね?」と言ったそうです。
「え、なに??」と姉が聞くと
「どいて・・・って聞こえたんだけど、気のせい?」と。
「気のせいなんじゃない〜?三人しか いないしさ〜」
もう一人の友達がそう言った途端、
「ごるぁ!」
という怒鳴り声と共にものすごい勢いで三人は背後から
「蹴られた」ような衝撃を受けて前へ転んだそうです。
三人が同時に前へ転んだので皆ビックリして振り返ったらしいんですが
後ろには誰もいない。姉が何気なしに座っていた岩を見て硬直したと言ってました。
・・・無縁仏の墓石だったそうです。
何故そんなものが あの空き地にあったのか判りませんが、
それは今でも その場所に横たわっています。
終電間近の地下鉄の駅でのこと。
大学生のAさんは飲み会の帰りで、ほろ酔い加減で電車を待っていた。
あたりには人影はまばらだ。
と、そのときに目の前にいたサラリーマン風の50代くらいの男性がいきなりホームに落ちた。
あがってこようとしているようなのだが、彼もまた酔っているのかなかなかあがれない。
心配したAさんがのぞきこんだところ、そのサラリーマンと一瞬目が合った。
なにか釈然としないものを感じながら、Aさんは手をさしのべて彼を引き上げようとした。
サラリーマンは上目遣いで照れくさいのかニヤニヤしながらAさんの手をつかんだ。
そのときに電車の到着を告げるアナウンスの声が。
慌てたAさんはひきあげようとするが、まるでふざけているかのように
サラリーマンはあがってこようとしない。
このままだとAさんまでもが巻き込まれてしまう。
身の危険を感じたAさんは思わず手を振りほどこうとしたのだが、
手は一層強くつかまれてしまし、むこうは離してくれようともしない。
そのときAさんは気がついたのだ。
こいつはオレを道連れに死のうとしているのか?
その時。
「危ない!」という声とともに誰かに肩をつかまれて、ホームの上に引き戻された。
ほぼ同時にホームに電車が入ってきて、Aさんは難を逃れることができた。
「危ないところでした。もう少しで落ちるところでしたよ、酔っ払っていたんですか?」
Aさんを助けてくれたのは一人の駅員だった。
まだ驚きで口の利けないAさんにむかって、駅員は更に続けた。
「ここ、柱の影になっていて危ないんですよね・・・
先月も今くらいの時間に、50歳くらいの
サラリーマンが酔って転落しちゃったんですけれども、誰も気がつかなくってそのまま・・・」
やがて電車が止まり、ドアが開いた。最終電車だった。
Aさんはそれに乗り込んだが体の振るえがまだとまらなかった。
窓からぼんやり眺めていると、いつのまにか先ほどのサラリーマンがホームに立っており
憎憎しそうにこちらを睨んでいる姿が小さくなっていくのが見えた。
友達が男二人でドライブしてた 別の友達の自作自演のテープを聞きながら
(ネタにして笑ってた)いつも使う抜け道を通った
そこは墓地 通り慣れた道だったが‥
急にテープの音が飛んだ‥‥嫌な沈黙‥
すぐにテープは聞き慣れた声の歌が鳴り始めた
しかし確かに声はいつものそれだったが、歌は全く別物だった
「ヒドイヨヒドイヨ‥あんなに信じてたのに‥裏切られた‥ヒドイヨ」
というような歌詞
あまりに気味悪く、焦りまくり、カーデッキをいじくったが、
オートリバースも巻き戻しも、何をしてもその歌の続きが流れる
しかもいくら走っても抜けられない
震える手でギアを変えて、彼はバックで来た道に戻る事が出来た
全身汗だく、しばらく声も出なかった
その後いくら探してもその曲はなかった
何度も聞いていたのだからない事はわかっていた
そのテープからは「その時と同じ歌声」でポップなラブソングが流れてくるだけだった
叔父に聞いた話。
今はどうか知らないが、昔は当り屋という商売があった。
自分で車にぶつかっておいて運転手に因縁をつけ、
慰謝料や口止め料をふんだくるという、ヤクザな生業だ。
叔父が小学生のころ、自転車ごと車にはねられたことがあった。
幸いたいした怪我もなかったのだが、運転手が車から降りてくると
突然見知らぬオッサンが横から現れて
「おい、俺のガキになんてことしてくれたんや」
と運転手に迫った。
叔父が怖さと痛さで泣いていると、オッサンは金銭を要求しだした。
もめた末、オッサンが運転手をどつくと運転手は
悲鳴をあげて車に乗り込んであっという間に逃げてしまった。
オッサンは「済まんかったな坊主」といって慰めてくれた。
叔父はなんとなくこの人は当り屋だと分かったという。
それを聞いてみると、
「俺はな、むかし無茶しすぎていま体ボロボロや。
首は何度もやったし、肋骨も一本ないんやで」
そう言って胸を触らせてくれた。
その時異様な胸の冷たさに叔父はぞっとしたという。
「それにな、心臓もないんや」
無理やり触らされると、そこも冷たくて確かに鼓動はなかった。
「じゃあ、俺あの運転手追いかけるわ」
そういうとオッサンは叔父を残して去っていった。
あれはこの世のものではなかった、と口癖のように言う。
昔、上級班長から聞いた話。
その上級班長の通っていた小学校は3のつく日に
体育館のピアノが夜中に鳴ると言うウワサがあった。
その体育館自体が戦後すぐにできた古いもので建て替えの話もあったが、なかなか
進まずそのまま使われつづけていた。
上級班長とその友人数人は学校と話をしてウワサを確かめることにした。
学校側もしぶしぶ承知し、3のつく日体育の先生と同行で、
体育館の2階にある部屋に泊まることとなった。
はじめのうちはワーワーと騒いだり、怪談話をしたりと普通にしていたが、
夜もふけて来るとウワサ通りピアノがピロ〜ン、ポロ〜ンと鳴り始めた。
声をひそめてピアノの音を聞いていたが、正体を見ようと言うことになり
上級班長と体育の先生が恐る恐る部屋の戸を開け、一階を見下ろしたのだった。
一階を見た二人はすぐに戸を閉め、
青ざめた顔で「見るな!」と言ったそうです。
一階の床には無数の兵隊さんの顔が
青白く光りながらうめいていたそうです。
その体育館はすぐに建て替えと言うことになり、取り壊されました。
そして新たに体育館を建てるための工事で地面を掘り返すと
そこから人骨や水筒、銃などがゴロゴロと出てきたそうです。
この話は新聞にも載り、調査が行われ、その小学校の敷地は戦時中練兵場で、
3のつく日(具体的な日付は忘れました)に空襲に遭い多くの人が無くなった場所だったと分かったそうです。
これは自分が実際に体験したことなのですが
小学校六年生の夏休み
クーラーなんて便利なものはなかったので
窓を全開にして、ベッドで寝ていると
「なおー、なおー」という声が聞こえました
猫かな?窓を閉めた方がいいのかな?と思い
目を開け上半身を起こすとその全開にした窓から、
窓枠に足をかけ今まさに部屋に入ろうとしている見知らぬ男の姿がありました
その男の自分の体に近い方の窓枠にかかっている手、
つまり男の左手なんですが
そこには包丁らしきものが・・・
たぶん、今からすると怖くて声も出なかったんだと思いますが
2、3秒その男の顔をじっと見ていると、その男は外へと飛び出し逃げていきました
あの時目を開けなかったら、自分は殺されていたんだろうと思うと非常に怖いものがあります
たぶん「なおー」という猫の鳴き声のようなものは自分を呼ぶ声だったんでしょう
わたしは「なおゆき」という名前ですから
家の整理してたら、小学校当時の夏休みの宿題だった絵日記が出てきたので
懐かしくなって読んでたら思い出した話です。
8月4日の日記を読んだとき、こんな文章に出くわしました。
「今日、わるいことをして、しょうぼうの人におこられました。」
この日の日記はこの一文しかないのですが、それ見て思い出したのです。
忘れていた不可解な体験を。
掛け値なしの実体験です(実体験のはず。
自分でも実はなんだかわからない部分があるのですが)・・・・・
私の家の近くに○○池と呼ばれるところがあります。
池といっても人工の溜め池で、近くの田んぼに水を送るのに使われているものです。
そこは「○○池はスリバチ状になっていて一度はまると出られません。絶対近づかないように」と、
一学期の終業式の日に必ず担任から言われるような場所で、
実際何度か児童(つまり私の先輩にあたる人たち)も池で亡くなっています。
この池をプールがわりに使って事故にあったということがあったため、
小学校のプールが夏休み中も使えるようにしたという話も聞かされました。
また、別の子供は魚を捕まえようとして落ちたんだ、とも聞きました。
今でこそ柵が張り巡らされていますが、当時はそんなことがあったにも関わらず、
池の周りには柵もなにもなく、実際簡単に池に近づける場所でした。
そこで・・・・・・8月4日の昼、私行ったんです、この池に。
買ったばかりの釣り竿持って。
しかもひとりで。
ひとに言えば怒られる、それは友人とて同じだと思ったのです。
でも新品の釣り竿がどうしても使いたくて、○○池にいっちゃったんです。
池は小さな小さな山の中腹にあるので、
そこへ行くには細い一本道をだらだら登って行かないといけません。
思えばその道を登り始めた時からおかしなことになってたんです。
誰かが先に登っていったような跡。
はっきりした靴跡じゃないんですが、
道の湿ったところなんかになにかが踏んだようなけっこう新しい跡が見られたんです。
農家の人が行ったりすることがあるのは知ってたし
(池より上の方では椎茸栽培とかやってた)、
この時は大人に見つかったらやばいかな、なんて程度にしか思わなかったのですが。
池につくとだれもまわりにはおらずシーンとしていました。
半径20メートルほどの小さい溜め池ですから見渡せばすぐわかります。
あたりを見まわしてひとがいないことを確かめてからおもむろに釣り竿を……・
新品の竿を使えるうれしさで一杯でした。
鯉や鮒がけっこういるんです。
最初の鮒が釣れたときなどひとりでガッツポーズしてました。
しばらく釣ってたら、急にまったく当たりがこないようになってしまいました。
ぼーっとなにひとつ動かない水面をながめて魚を待つ時間が続いたのですが、
急に池に妙な音がしたのです。
魚がはねたときのようなものと違って
ばちゃばちゃと水をかき回したり叩いた時に出るような音です。
魚でないのは音が続いていることでもわかりました。
音がするのは私が釣り竿をたらしている場所から
およそ10mほど離れた池の縁あたりからしていました。
そのあたりに波が立っていたのです。
次の瞬間、私はもうどうしていいのかわからなくなってしまいました。
その波しぶきの中から手が出てきたんです。
髪の毛だけですが頭も見え隠れしています。
陸にあがろうと土をひっかいているんです。
「誰かが溺れてる!」私はそう思いました。
魚釣りに気を取られて誰かが池にはいるのに気がつかなかったんだ、と。
でも自分ひとりでひきあげるのは無理だ、大人を呼ぼうと急いで山道を下りました。
そしてこれこれこういうことで大変だからと近所の家から救急車を呼んでもらい、
その家の大人と一緒にもう一度池に戻ったのです。
しかし、戻ってみると池は静かなまま。
人が溺れてる気配なんかないんです。
まさか力尽きて沈んでしまったのか…・・
そんなことを考えながら池を覗きこんでいるところへ救急隊が到着しました。
しかし、なにも見つけることができませんでした。
「水にはいったんなら着てた服がどこかにあるだろう?」とも言われたのですが、
それもなかったのです。
結局私が嘘をついたという結論になり、救急隊の人にも近所の大人にもひどく怒られました。
親からも行ってはいけない場所に内緒で行った上に嘘をつくとはなにごとだ、とげんこで何度も殴られました。
でも見たんです。
ほんとうに池の中から手が出てきたんです。
それに、これがその跡だ、言っても信じてもらえなかったんですが、
溺れてたあたりの土にも爪でかいたような跡も残ってたんです。
たしかに自然にできたものだと言われれば、
そうだったのかもしれないともいえるようなものでしたが、
あれは絶対ひっかいた跡だとおもっています。
最後に「だれかが登ったような跡」についてです。
この一件のあと聞いたんですが、「プールがわりに使って溺れた」子供、
家が池のそばということで、家から海水パンツ一丁の姿で登っていったそうなのです。
あのときの跡、子供のはだしの足跡のように思えてならないんです。
それにこの子供なら着てた服も見当たりませんよね……・
兄夫婦には小学生の長男がいるんだが
その子がまだ赤ん坊の頃、兄夫婦は都下のM市に住んでいた。
そこからうちの実家は、歩いて10分程度の距離だったので
よく運動がてら義姉が赤ん坊連れて遊びに来ていた。
その頃に起きた不思議な話。
ある日もいつものように甥をおぶって義姉が訪ねてきた。
赤ん坊がぐずっているので、母が手伝い、背中からおろして寝かせようとした時、
おんぶひもが千切れかかっているのに気づいた。
母が、「あら?これどうしたの?危ないねぇ。」というと、
義姉の顔色が変わり急に座り込んで泣き出したという。
その日も家の中の用事を済ませて義姉は家を出た。
いつも線路沿いの同じ道を通るのだが、ある地点にさしかかった時
線路上のはるか遠くの方に、こっちに向かって歩いて来る人影が見えた。
何となく変な気がしたが、整備の人だろうと思った義姉は
そのまま赤ん坊をあやしながら歩き続けた。
何気なく見ると、さっき遠くの方に見えた人影が
いつの間にかすぐ目の前の線路に立っている。
義姉は一目見てとても変だと思った。
「それ」はきちんと茶色っぽい背広を着てネクタイもしているのだが、
妙なのは首のかわりに、鯉のぼりの吹き流しのような細長い赤い布が何本もついていて
それがひらひらと風になびいている。
義姉は「それ」が自分達をじっと見ていると感じたそうだ。
すると突然、おぶってた赤ん坊が火のついたように泣き出した。
義姉が我に返るともう「それ」はいなかった。
ビックリしたが、霊とかそういう感じがしなかったので
見間違いだろうと自分に言い聞かせたそうだ。
そのまま家に訪ねて来たのだが、千切れかけたおんぶひもを見たとたん、
怖くなって泣いてしまったんだという。
そのおんぶひもはまだ新しくて、かなり丈夫な素材で出来ていたし、
安全性のためかなりの負荷にも耐えられる作りなので、
何かの拍子に千切れるような物ではなかった。
家を出るときには間違いなく、そんな風になっていなかったそうだ。
まるで、もの凄い力で引き千切ろうとでもしたかのように繊維が延びてほどけ、
もう少し力を加えればブッツリ逝きそうだったという。
この話は母と義姉両方から聞いたんだが、
甥も全然元気で、それ以降は別に何も起こっていない。
でも話を聞いて以来その道を通るの気味悪い。
人身事故も多い沿線でつ。
ある日、私は夏休み中の高校に忘れ物を取りに行きました。
机の中とロッカーを探したのですが、目的の物はありません。
あてもなく人気のない校舎内をウロウロするうちに視聴覚室の前まで来ました。
視聴覚室は廊下側に窓が無く、スライド式のドアに縦長の小窓が付いていました。
そこにモニターの光が青っぽく映り込んでチラチラと揺らいでいます。
中から数人が話しをしているような音がしていました。
耳を澄ますと、小さく笑い合うような声も聞こえてきます。
中でテレビでも見ているんだな。そう思いました。
なら少し脅かしてやろう・・・
「オラッ!」
大声でそう叫ぶと声がフッと止みました。
光は変わらずゆらゆらと揺れています。
私は足音を忍ばせてドアの前を離れました。
その時、後ろでドアが開く音がしました。
振り向くと、誰かが廊下に頭だけを突きだしてこっちを見ています。
坊主頭の女の子。
眉毛も剃っているのかツルリとした印象の顔でした。
ガラス玉のような目に大きな口。
見るほどに気味が悪いくらい無表情です。
「見た?」
「何を?」
「中を覗いた?」
私が首を横に振りました。
「動かないでね、死ぬから。」
頭が一旦引っ込みました。
1分ほどそのまま待たされて、また女の子が顔を出しました。
「帰っていいって。よかったね。」
そう言って、口元だけで笑いました。
結局、忘れ物は見つからず、その日から私は入院させられました。
私がまだ小学生の頃。正月に広島にある祖父の家に行きました。
そこで私は熱を出して寝込んでしまったのです。
和室の真ん中に布団を敷いてもらって、うつらうつら。
目が覚めると、夕方でした。
隣の部屋に通じる襖に、冬の淡い日差しが薄赤く映えています。
と、その襖がするすると開きはじめ、二十センチ程の隙間に女の子の顔が現れました。
髪を坊主にした女の子。
私をじっと見下ろしています。
襖の向こうは真っ暗で、そこに浮かび上がる白い顔は能面のようでした。
「まひるが呼んでるよ。」
その子が口を開きました。
まひるというのは僕より二つ年下の従兄弟で、確か東京に住んでいました。
(まひるちゃん来ているんだ……)
発熱で朦朧とした頭でそんなことを考え、女の子に聞き返しました。
「どこで?」
「井戸の中。」
(井戸?)
確かに祖父の家には井戸がありました。でも、そんなところで…
「そんなところで何してるの?」
「知らない。もうだめかもね。」
その子が表情一つ替えずにそんなことを言いました。
その後眠りに落ちたのでしょうか、私の記憶はここで途切れています。
一月ほど経ったある日、母親からまひるちゃんが死んだと聞かされました。
冬休み中に用水路に落ちて水死したそうです。
友達Aに聞いた話。
Aはド田舎の病院で雑用をしているんだが、
ある日病院に見知らぬおばさんがやって来たそうだ。
田舎なんで、顔見知りでない患者さんが来ることなんてまずないらしい。
で、医者が診察しようとすると、とにかく言動がおかしい。
あなたは娘の目玉を取っただろうとか、
あなたの足は濡れています、とか、
支離滅裂な事を言う。
で、何が言いたいかよく分からないんだが、
どうやらその医者に文句を言いたいらしい。
それで、もてあました医者がAに相手をするように押し付けたそうだ。
まあ、追い出しても良かったんだが、あやしい事に首を突っ込むのが好きなAは、
とりあえずおばさんの話を聞くことにした。
Aは別室に案内しお茶を出したそうだが、
おばさんは腰を曲げて湯のみまで鼻を近づけ、
くんくんと臭いをかぐとプイとそっぽを向いて顔をしかめた。
そしてやたらと両手で鼻のあたりを拭うような仕草をする。
それきり口をつけようともしない。
もうそのあたりで物好きなAのツボにはまったらしい。
で、話を聞き始めたんだが、もう本当に何を言っているのかさっぱり分からない。
5秒もせずに話題が次々に変わる。
どうも自分の娘が医者のせいで被害を受けた、
と言いたいのだろうかということだけかろうじて伝わったそうだ。
しかし、この前河原を通ったらフナが落ちていたとか、
さっきの看護婦は犬の臭いがするとか、ほとんどは意味不明の話だった。
Aは段々おかしくなってきて、つい吹き出して笑ってしまった。
すると、おばさんはキッとAを睨み付け、
ひじをちょっと曲げたまま両手を前に突き出し、
空中を引っ掻くような 素振りを見せ、そのまま走って帰っていった。
Aはしばらく笑い転げていたらしい。
さて、その日の仕事を終え、家へと帰る道を車を運転して通っていると、
竹やぶの中を通る道に差し掛かった。
すると右手のやぶの奥で、チラチラ光るものが見える。
Aは火でも燃えているのかと心配になって、車を道に止め、やぶに分け入った。
山火事になると大変だからだ。
まだわずかに日が残っていたため、薄っすらとだが足元は見える。
しばらく光の方へ進むと、どうも火が燃えているのではないようだと分かったが、
今度は光が何なのかが純粋に気になった。
ふと気がつくと、あたりはもう真っ暗。
目指していた光もどこへ消えたか、全然見当たらなくなっていた。
田舎の夜は暗い。
その日は月も出ていなかったのでなおさらだ。
身動きもとれない状態になって、しばらくの間、途方にくれていた。
すると、少しづつだが暗闇に目が慣れてきた。
よかった、道まで引き返そうと足を踏み出した瞬間、
自分の正面、数十センチも離れぬ位置に
人が突っ立っているのに気付き、 ギョッとした。
腰が抜けた状態になってしまったそうだ。
ライターを持っていることを思い
出し火をつけると、背筋が凍った。
20代半ばの女が立っているのだが、
両目とも白く白濁していて、口をパクパクさせている。
そして、何故か着ている服がAと全く同じなのだ。
上は茶色のジャンパーで下はアディダスの3本ラインの入ったジャージ。
服からは獣臭さがプンと臭った。
そこでいったんAの記憶は途切れる。
気がつくと病院へと向かう道を車を運転していた。
あたりは明るい。
わけも分からずそのまま病院へ着くと、医者が朝食をとっているところだった。
今日は早いなー、と言われ、Aはしばらくぽかーんとしていた。
どうも気付かないうちに一晩たっていたらしい。
しょうがないので、そのまま働き始めた。
すると、物を持つ時に両手が引き攣ったように痛む。
何故だろうと、手を見て吃驚した。
両手とも、指と指の股の部分の肉がサイコロひとつ分ほどづつ
えぐられて、なくなっているのだ。
それを見たとたん、物凄い痛みに襲われて、たまらず医者のところへ駆け込んだ。
治療してもらおうとすると、おまえ唇どうしたんだ、と医者が驚いた様に言う。
鏡で見ると上下の唇の肉がくちゃくちゃに噛み潰されたような酷い有様になっている。
よく顔を見ると耳たぶも、やわらかい部分の肉がほとんどえぐられて無くなっていた。
こちらも気付くと同時に凄まじく痛み始めたそうだ。
なんか尻切れトンボだが、話はここまで。
今のところ、特に後日談もない。
おばさんにも竹やぶであった女にも、その日以来一度も会わなかったそうだ。
このあいだ久しぶりにAと会ったが、唇の傷はまだちょっと残っていた。
耳たぶはなくなったままだ。
Aは、狐に化かされたなどと時代錯誤なことを言っている。
何か唐突に思い出したので書く。
俺の実家のあたりは、ある有名な戦が行われた場所だった。
中学生の時の放課後、クラブ活動をしていたのだが、
フェンシングの模擬試合中だというのに相手が突然背を向けた。
フェンシングのフェイスガードは、後頭部を守るように出来ていないので、
非常に危険な行為である。
なぜそんな危険で非常識な真似をしたのか、俺にもすぐ分かった。
壁を抜けて突然、音もなく騎馬兵の群が現れた。
すごい勢いで何もかもすり抜けていく十数騎。
ほんの数秒後、残ったのは呆然とした部員全員だけだった。
みんな口々に、「あそこまでスゴいのは初めて見た」とか
「柔道部も同じのを見たらしい」とか言い合っていたが、
俺はそんな物見るのは初めてだった。
死ぬかと思った。
ていうか、ジャパニーズサムライども、西洋剣術なんか無視ですか。
相手されても困るけど。
携帯でメールをしながら歩いていると、右膝に何か当たった。
と思った次の瞬間、右側の地下通路への階段を子供が転げ落ちていくのが見えた。
スタントマンのように横向きに回転しながら、
だんだんと加速して転がっていく、2歳くらいの男の子。
転落していくその間もずっとおれの顔を泣き顔で見続けている。
おれは妙に現実感がなく、それを観察していた。
一番下まで落ちた子供は2,3度回転してうつ伏せで止まった。
そのままぴくりとも動かない。
やっとヤバイと気付いたおれは、
他に人の目がないのを確認すると急いでその場を離れた。
そして3日経った。
試験休みで昼まで寝ていて、飯を食うために降りていくと、
母親が喪服にアイロンを当てていた。
「今日お母さん、遠藤さん家のお通夜出ていろいろ手伝いするから。
おでん作ったから夜はお父さんとそれ食べて」
「うん・・・」
おれがまだ眠くてボーっとしていると、母は
「かわいそうに、拓海くんまだ2歳になって間もないのに・・・」
と喪服を広げながら言った
近所の子供だった。
知りたくなくても情報は次々入ってきた。
遠藤さん夫婦の、結婚して6年目に待ち望んでやっと授かった一人息子だったこと。
夫婦はどちらも一人っ子で、どちらの両親にとっても初孫で、みんなが溺愛していたこと。
1ヶ月前に2歳の誕生日を向かえ、まだ乗れない三輪車をプレゼントにもらったこと。
その三輪車がお棺の横に置かれ、
遺影も誕生日のケーキを前にしての写真だったこと。
意識不明のまま入院していたその子が死ぬ間際に
「まま、こわい」と言ったこと。・・・・・
聞けば聞くほど鬱になったが、おれは自分のせいではないと自分に言い聞かせた。
おれにぶつからなくても転げ落ちていたかもしれないじゃないか。
ちょろちょろしてるガキが悪い。
目を離した親が悪い。
おれは悪くない。おれのせいじゃない。
休みが終わり、学校へ行った。
階段を下りるとき、何かが膝の裏を押してガクッとなった。
よろめいたが特になにもない。うしろにも誰もいない。
何も思わず、少しだけ慎重に階段を下りた。
そして帰り道の駅の階段を下りる時。
また何かがおれの脚を押した。
後ろを見てもなにもない。・・・・だが何かの感触があったのは確かだった。
1mにも満たない大きさの何かが、おれに体当たりしたような感触だ。
体中の血が冷えた。
動悸がして、おれは焦って早足で駅を出た。
早く帰ろう。
駅からつながっている歩道橋を降りて自転車に乗って、5分もすればもう家だ。
歩道橋を歩き出したおれは、前から歩いてきた女の人と目があった。
30歳前後のショートカットの女性。
なぜか目を見開いて立ちすくんで俺を凝視している。
その時。
『まま!!このひと!!!』
真後ろから大音響で子供の甲高い声が響き渡った。
おれは度肝を抜かれ、ここに居た全員が今のを聞いてしまった!
と思いあわててその場から逃げ出そうと、階段へ走った。
足がもつれる。
そこへまた何かが脚にぶつかってきた。
おれは階段から転落した。
気がついたら病院だった。
死なずにすんだ・・・・
医者から説明を受け、母にむいてもらったりんごを食い、
一人になって横になろうとした時、
入り口のドアのすりガラスに小さい人影が映っているのが見えた。
ぼんやりと見える男の子の影。
ぺたっと手のひらがガラスに押し付けられた。
おれは頭を抱えて目をつぶった。しばらくして目を開けると消えていた。
・・・・・遠藤 拓海くんだ。おれを許さないつもりだ。
あれから下りの階段に近づくたび、
後ろから精一杯の幼い力でおれを押している感触がある。
だからおれは出来るだけ階段は使わない。
だんだんと、押す力が強くなっている。
もし長い階段を下りなくてはいけなくなったら、
今度こそ命がないかもしれない。
ある日友人数人と私の家の周りで遊んでいた所、
隠れんぼをしようということになり、N君が鬼になりました。
私はとっておきの隠れ場所を知っていて、そこに隠れる事にしました。
そのとっておきの場所とは、
田んぼの土手にあった、古い防空壕です。
そこは土を掘って、組み木で補強しただけの単純な作りで、
親からも入っちゃいけないと言われていたのですが
私はその中に蝋燭や漫画本等を持ち込んで、
秘密基地のようなものをつくっていました。
古いもののせいか、入り口付近は崩れかかっていて、
子供の私がしゃがみこまなければ入れないほどでした。
入り口から2メートルほど進んだあたりに畳二畳分ほどの
小部屋があり、そこに蝋燭や漫画を持ち込んでありました。
なんとか中に入った私は、蝋燭に火をつけると、漫画をパラパラ読んでいました。
防空壕の中は土が踏み固められており、夏でも涼しく
ひんやりとした土の感触が心地よかった記憶があります。
しばらくすると、遠くでN君の声がしました。
「おーいもう降参だからでておいでー」
私は(勝った)と思い、蝋燭を吹き消し防空壕から出ようとしました。
その時いきなりドサドサドサッという音がして、
背中に思いものがのし掛かってくるような感覚に襲われました。
一瞬なにが起こったか分からずパニックになりました。
入り口から1メートルほどのあたりでしょうか。
私の体は土砂に埋まり、完全に身動きが取れなくなっていました。
これはヤバイ。
そう思った私は力の限り声を出しました。
「助けてくれーー助けてくれーー助けてーーー」
恐怖で、もう言葉とも悲鳴ともつかぬ声で
狂ったように叫んでいました。
しかしいくら叫んでも、聞こえるのは私の声だけで、
防空壕の中はシーンと静まりかえっていました。
いくら叫んでも外へ聞こえている様子が無いので、
友人が近くの大人を呼んできてくれる事に期待して、静かに待つことにしました。
暗闇と土砂の重圧の恐怖は不思議と感じなくなっていました。
それよりも息が苦しくなってきていて、
子供心に「しんじゃうのかなぁ」とか思っていました。
どのくらい時間が経ったでしょうか。
私はふと、あることに気づきました。
それまでは私の微かな吐息と、体を動かそうとして
土砂が崩れるパラパラという音しか聞こえていなかったのですが、
明らかにそれらの音とは違う音が聞こえているのです。
耳を澄ましてみると、子供の声のようでした。
「もういいかーい? もういいかーい? もういいかーい?」
確かにそう言っていました。それも、一人の声ではなく、
たくさんの子供たちが一斉に言っているようでした。
「もういいかーい? もういいかーい?」
声はしばらく続いていたのですが、ある瞬間にピタっと止まりました
私が頭の中で「もういいよー」と呟いた時です。
すると今度は私の足を誰かが触っています。
いえ、足だけではありません。
体、腕、顔・・
私の全身を、ひんやりとした手のようなものが、
手探りするように私の体をぺたぺたと触っているのです。
しかもその手の数はどんどん増えていくようでした。
さすがにもの凄い恐怖を覚え、めちゃくちゃに悲鳴をあげていたと思います。
わたしが叫び続けている間にも手の数はどんどん増えて、
しかも私を防空壕の中のほうへひきずろうとしているようでした。
その手は私を土砂の中からズボっと引き抜くと、私の体から離れていったようでした。
そして私の耳元で、こう囁いたのです。
「みぃつけた!」
私はそこで気を失ってしまったようでした。
気がつくと私は自分の家の居間にいました。
周りには両親と祖父母が心配そうに私の顔をのぞき込んでいました。
あの防空壕の中で、体中に真っ赤な手形がついた私が倒れていたそうです。
いくら待っても私が見つからないので、友人が親に知らせてくれたようでした。
私はこっぴどく怒られたのですが、一つ不可解な点がありました。
入り口が崩れて出られなくなっていた事を両親に説明したのですが、
両親は崩れてなどいなかったと言うのです。
確かにあの防空壕の入り口が崩れて、私は生き埋めになったはずでした。
次の日、それを確認しに防空壕に行ったのですが、
両親の言葉どうり入り口はちゃんと開いており、
まるで私を誘い込んでいるかのようでした。
それから二度とその防空壕には近づきませんでした。
後になって聞いたのですが、
私が防空壕だと思っていた穴は、
戦時中、軍の搾取で食料が無くなっていた時、
口減らしのために子供をあの穴にいれて閉じこめ、餓死させていたそうです。
数人の子供をあの穴へ入れ、一ヶ月ほど放置して死体を運び出し、
また子供を入れて・・・そんな事が繰り返されていたそうです。
私の事故があったからなのかは分かりませんが、
今では完全にあの穴はふさがれているそうです。
俺がむかし住んでいた場所はド田舎で、町という名前は付いていたが山間の村落みたいなところだった。
家の裏手の方に山道があり、そこに「かなめさま」のお堂があった。
もともとは道祖神だったらしいが、隣町への道路が整備されてから
その山道自体が使われなくなり、通る人も絶えて寂れてしまった。
かわりにというか、いつ頃からか
「かなめさま」に身をしのんで人に言えないような悩みを打ち明け、願をかける慣習ができた。
そんな成り立ちも今にして思うだけで、俺がガキの頃はとにかく
「かなめさま」はタブーで、昼間でもそのあたりは近寄りがたかった。
見ても見られてもいけない。
牛の刻参りのようなものだ。
俺が5,6歳のころに化膿で膝が腫れて、
かなり危なかった時祖母が「かなめさま」に行って
「かわりに病気を被ってくだされ」と願をかけたらしい。
おかげかすっかり膝は治ったが、あとでそのことを聞いてから
ますます俺の中でかなめさまは恐ろしい存在になった。
それが中学に上がったばかりの時、夏祭りの盆踊りが終わったあと、
悪友たちと肝試しをしようということになった。
祭りという晴れを経たせいかみんな妙に躁状態で、
普段なら絶対ありえないことを言い出した。
「二郎さんて青年団の人おるやろ」一番年かさのAが言った。
「あの人が昔、かなめさまのお堂に入ったんやと。
中にな、 石ころがあったらしい」
俺は猛烈に嫌な予感がしたが、あっという間にかなめさまの
中身拝見ツアーに決まってしまった。
山道の入り口に陣取って一人ずつお堂に行き、中を見てから戻ってくる。
それで最後に、見たものを一斉に言って確かめ合うということになった。
入り口は広いがすぐに道は曲がり狭くなる。
両側からは木の黒い影が迫って、じっとりとした湿気を感じた。
俺は負けると思ったジャンケンで勝って一番最後になった。
しかし肝試しのセオリーではこれは失敗だった。
一人目の言い出しっぺでもあるAが帰って来るまで思ったより時間がかかった。
何度か昼間に行ったことがあったが、こんなに遠かっただろうか。
「おい、どうだった」と聞いたがAは「へへへ」と変な笑いをして答えなかった。
二人目、三人目と終了して四人目のKが青い顔をして戻ってきた。
「覚悟したほうがええぞ」
なあ、と うわずった声でKが言うと先の三人も意味ありげに頷いた。
残るは俺だけだったのでやつらは怖がらせる立場になったわけだ。
怖気づいているとツボにはまりそうだったので、俺は思いきって山道に飛び込んだ。
夏のせいか下生えが生い茂り、所々足元がよく見えないという恐怖があった。
山に入ると今更のように蝉の鳴き声に気が付いた。
何時くらいだったのだろうか。
蝉がこんなに遅い時間まで鳴いているのは妙な気がした。
心臓がドキドキしてきた。小さなペンライトが一つあるきりで、あたりは完全な暗闇なのだ。
ひときわ蝉の声が大きくなり、少し広い所に出た。
そっと右手の方を照らすとそこに「かなめさま」がいた。
「あった」と思わなかった自分が一瞬怖くなったが、
もう中を見るだけなので勇気を奮い起こしてお堂に近づいた。
人ひとりが入れるくらいの小さなお堂だった。
木製の観音開きの扉はスクリュウ螺子で床にとめられていた。
「わざわざ締めやがって」と最後のKに悪態をつくと何となく気が軽くなってすんなり開け放つことができた。
中には噂通りひと抱えほどの石が一つあるだけだった。
鉢巻のようにしめ縄が巻かれている様子はどことなくコミカルなものだったが、
それを見た瞬間に息が止った。
その石に異様な圧迫感を感じて思わずむせてしまった。
背筋を嫌なものが這いあがる感じ。
ゴホゴホと咳きをして俯く。
その時信じられないものが見えた。
視界の左端に白い服がすぅっ、と入ったのだ。
奥にのびる道のむこうから誰かがやってこようとしていた。
頭がパニックになり、とにかく「あれ」に会ってはいけないと思って、
目の前に口をあけるお堂の中に飛び込むように隠れた。
扉を内側からしめると中は真っ暗だった。
心臓がバクバクしている。
人影を見た瞬間に無意識にペンライトを消していたのだ。
暗闇の恐怖よりも光が外に漏れることの方が怖かった。
あれは誰だろう。
かなめさまに何の用だろう。
決まっている。
<病気を不幸を、恐怖を被ってくれ>
やめてくれ、と心の中で叫んだ。
中にいるのは俺なんだ。俺なんだ。
蝉の鳴き声が鼓膜を破りそうだ。
足音も何も聞こえない。
ただ気配だけが扉の前にやってきた。
胸がむかついて吐きそうだった。
古びた木のお堂に異様な匂いが充満しているようだった。
饐えた匂いなんてもんじゃない。
まがまがしい空気。
瘴気とはこういうものを言うのだとぼんやり思った。
俺はひたすら脱力して腰が抜けた。
「あれ」は行ってしまっただろうか。何も感じなくなった。
頭の芯のあたりが痺れていた。
石は?
石はどこだろう。
手で探ればぶつかるだろうが、ふと奇妙な予感があった。
かなめさまはこの「家」の中では石という形ではないのではないかと。
俺は咳きが喉の奥からせり上がって来るのをただただ止めようとしていた。
どれくらいたっただろうか。
陶酔にも似た疲労が体を覆い始めた時、急にとんでもないことが起きた。
お堂の前に気配が近づき、扉を開けようとしていた。
俺は心臓が止りそうになりながら必死で内側から扉を引っ張った。
しかし狭いために中腰が精一杯で力が入らない。
気が狂いそうになった時、外から聞きなれた声がした。
「おい、Yか? Yやろ」
Aの声だった。
扉が開かれてペンライトの明かりが闇を切り裂いた。
友人たち四人が覗き込んでいた。
俺は嵐のようにやってきた安堵感で口がきけなかった。
「おい、出ろや。いくぞ」
四人は青白い顔をして急かすように俺を引っぱり出した。
そしてお堂の扉をバアンと締めるとあとも見ずに早足でもと来た道を引き返しはじめた。
俺も置いて行かれまいと慌てて後を追った。
誰も無言だった。
俺が遅いので心配して迎えに来てくれたのだろうか。
しかし俺をバカにする軽口もなく、入り口にたどり着くとろくに会話も交わさずに解散になった。
皆一様に硬い表情で、それが一層俺の不安感を煽った。
俺はあの白い人影がどこへ行ったのか気になったが、それを聞くことを拒む雰囲気だった。
かなめさまの山道を振りかえると、蝉の声が止んでいた。
二十年も前の話だ。
俺は色々あってその町を飛び出してきて、もう帰るつもりもない。
しかしあの夜のことは忘れられない。
結局Aたちとの間であの出来事は語らないという不問律が出来ていた。
それきりかなめさまの話もしなくなった。
しかし今振り返ると、それなりに思うところがある。
お
堂の扉を開けたあの時、ペンライトもかざさずに何故道の先の人影の白い服が見えたのだろうと。
道祖神は障(さえ)の神とも言い、道にあって道中の安全を司るとともに、
人里への招かれざるものをさえぎる役目を負っていた。
しかしあの町で、本来疫病や鬼の侵入を防ぐ役割を持っていた「かなめさま」は
人間の一方的な怨念で穢れていたわけだ。
道祖神は病んでいたが、道は残っていた。
そして山道の入り口で待っていたAたちも「あれ」を見たのではないだろうか。
盂蘭盆に廃れた道を帰ってきた招かれざる者。
あの町にはそれを止める神がいなかったのだ。
看護学生3年生の時に1週間実習で精神科病院に行きました。
初日に病院内を婦長さんに案内してもらいました。
拘束室(隔離部屋)も見せてもらいました。
暴れてどうしようもない患者、他の患者を傷つける恐れのある患者を入れておく部屋です。
古い旧館の奥に映画に出てくるような重い鉄の扉があり、
そこを開けると短い廊下。
そして、廊下に沿って同じような鉄の扉が2つありました。
そのうちの1つの扉を開けて部屋の中に入るよう婦長さんが私達に言いました。
部屋の広さは普通の個室の病棟と同じくらいだったと思います。
入ったすぐ脇にベッドが1つあるだけ。
そして部屋の奥には鉄格子がかかった窓、
その横に仕切りで区切ってトイレ(ドアはありませんでした。)
と殺風景な部屋でした。
でも、壁には無数の落書きを消した後が残っていました。
赤い時で大きく壁一面に書かれた「天皇陛下万歳」「我が大日本帝国ハ…(以下略)」、
ベッドが置いてある側には黒い細かな文字でびっしりと
「南妙法蓮華経 南妙法蓮華経 南妙法蓮華経…」。
奥のトイレを覗くとそこも大量の落書きを消した後。
筆圧が高かったためにくっきり残っている小さい文字で「○○○○(フルネーム)死ね…」
と100回 くらい書いた後に
「殺したけど、もう1回死ね」。
私達は「マジヤバイ!洒落にならない」と言いながらトイレを出ようとした時に、
トイレの仕切りの所に薄っすらと
残っている落書きを見つけました。そこにはこう書いてありました。
「おいしい肉 それは人間」
泣きそうになりました…
最近になって変な夢を見るようになった。
変なというか、昔住んでた祖父母の家の夢なんだけど。
こういう経験がありますか?
すっかり忘れていた小学校時代の友達が夢に出てきて、
「ああそんなやつもいたなあ」
と急に鮮明に思い出すなんてこと。
僕はわりにそういうことがあって、特に夏休みとか単調な生活をしてるとやたらに昔の思い出が夢に出てくる。
中学卒業して春休みに入ったとたんに、
小学校のクラスメートが夢に出てきて、忘れていた顔や名前を思い出したりとか。
それで今年大学卒業して今は実家で公務員試験浪人してるんだけど
このところ寝て起きて勉強という生活パターンをしているせいか
昔の夢をよく見る。
そのなかでも特に小学2年まで住んでいた祖父母の家が舞台の夢が多かった。
広い玄関、上がりかまち。
2階へは家の外の階段をつかって上ったこと。
やたら広いベランダの軒にスズメバチが巣を作ったことや、
1階の一部を酒屋さんに賃貸ししていたこと。
夢自体は荒唐無稽なものだったけど懐かしくて
目が覚めてから思い出せたことが妙に嬉しかった。
その家はもう、最後に残った祖母が死んで取り壊されてしまった。
それで、ある日祖父のお通夜の夢を見た。
一階の狭い一室に沢山の人が集まっていた。
僕ははじめて見た走馬灯がくるくるくるくる回っているのが
何故か怖くて、その時始めて祖父が死んだことを実感した。
そんなことを思い出しながら目覚めると、
僕はこの夢を弟に話したくなって夕飯時に切り出してみた。
「なあ、おじいちゃんの家ってこれこれこういう間取りだったよな」
弟はちょっと考え込んだが、すぐに「そうそう」と相槌をうった。
「それで一階のおじいちゃんのお通夜やった部屋がこうこうで・・」
僕がそういうと弟はんん? という顔をして思い出せん」と言った。
僕は何か魚の骨が喉につっかえたような感じで、
夢で見た間取りが本当に正しいのか確認したくてたまらなくなった。
弟は僕より2コ下なので記憶になくても仕方ないかと思い、
こんどは母に話してみた。
「こうでこうで」
すると母は両手を打って、「そうそう!」
とおばさんくさい相槌を打った。
「よく覚えちゅうねえ」
それから一週間くらいしてまたその家の夢を見た。
家の前のジャリ道でケンケンパをしたことや
2軒隣に精肉屋があり、そこでよくチキンを買って食べたことなどを思い出した。
それから家の2階の詳しい間取りも、夢の中で走りまわったのですっかり思い出した。
それでまた母に話してみた。
「・・・・それで2階の廊下の奥に部屋があって」
懐かしそうに聞いていた母だがそこで怪訝な顔をした。
「廊下の奥に部屋なんてあった?」
僕があったあった、居間の台所の裏側のあたり、と説明しても母は思い出さなかった。
母は父と結婚してから、父の実家であるその家にやって来たが
新婚時代など別に部屋を借りていたこともあり
正味僕と同じ期間だけしかその家には住んでいなかったわけだ。
しかし子供の僕が覚えていることを大の大人が忘れていることは納得できなかったので、
しつこく聞いたがどうしても思い出してくれなかった。
気になっていたせいかまた3日後くらいにその部屋の夢を見た。
ちょっとした悪夢で、殺人鬼かなにかに追いかけられていて
その部屋に逃げ込むと埃だらけなのにびっくりした。
追い詰められそうになったが、ソファーでバリケードをつくってから、
窓をあけて飛び降りて逃げた。
そんな夢だった。
目が覚めて、ふと思い出したことがあった。
窓。
そうだ、家の正面のジャリ道から見上げた2階には窓が一つだけあった。
2階の向って左端。
しかしその窓は雨戸かなにか、とにかく木の板で完全に殺されていた。
だからいつも見上げた2階はのっぺりとした殺風景な印象だった。
あの窓は多分廊下の奥の部屋だ。
僕はどうしてもあの部屋のことが気になって、
普段は会話がない父に思いきって話してみた。
父は驚いた顔をした。
「そんなはずはない」というのだ。
いや、確かにあった。
僕は廊下の途中にある物置部屋、
つまり問題の部屋の隣にある部屋によく閉じ込められたことも思い出した。
イタズラしたあとの折檻だ。
その物置部屋には窓がなかったのですごく怖かった。
そこには仏壇があり、よく祖母がお題目を唱えていた。
なむみょうほうれんげきょう
なむみょうほうれんげきょう
その時には分らなかったが、祖母は後家、
つまり祖父の先妻が亡くなったあとに家に入った後妻だった。
本家と宗派が違った祖母は自分用の仏壇をそんな物置にしか置くことを許されなかったのだ。
ちなみに祖母が死んだとき創○学会から「ウチで葬式出したい」と
言ってきたので、丁重にお断りした。
とにかく僕のなかでその物置部屋は
なむみょうほうれんげきょう
の部屋であり、窓もない恐怖の部屋だった。
そんなわけで、外から見たあの窓は問題の部屋 、
つまり廊下の奥の部屋の窓のはずだった。
というよりも僕はあの部屋に入った記憶もあり、中の様子も所々覚えていた。
そんなことを話すと、しかし父はこわばった顔をして黙り込んだ。
そして伯父、つまり父の兄に電話してくる、と言って席を立った。
戻ってくると神妙な面持ちでぽつぽつとこんな話をし始めたのだ。
あの部屋は30年も前に亡くなった先妻の部屋であったこと。
先妻の最後の子供が父だったこと。
ただしこれは知っていた。
僕がおばあちゃんと呼んでいた人とは血が繋がっていなかったことは。
そ
して驚いたことに、病気がちだった先妻がひっそりと死んだその部屋は
忌まわしいということで完全に封印されていたというのだ。
その時僕は思い出した。
廊下の奥には使わなくなった箪笥や戸棚、廃材などで埋め尽されていたことを。
あの奥に部屋があることを母は知らなかった。
確かに僕にも電球のない廊下の、暗い行き止まりの記憶がある。
しかし昼間でも暗いけれど、そうした粗大物もない廊下の奥に扉があり、
それを開け放った記憶もあった。
僕は混乱した。
父曰く、
「俺の知っている限りあの部屋は何十年も使われていなかった。
お前が生まれるずっと前だ。兄貴に聞いたが、やはり間違いない。
ドアも打ちつけてあって入れなくなっていた。
だからお前があの部屋を覚えているというのであれば
『そんなはずはない』 」
しかし父はこうも言った。
「あの部屋でお袋はいつもソファーに掛けていた。
体に障るからベットに寝てろといったが、
俺たち兄弟が部屋に来た時はいつもあのソファーで
ニコニコ笑っていた 」
僕はそのソファーを覚えていた。
僕はそれでこのことをこのスレに書こうかと思っていたが
中途ハンパな感じがして迷っていた。
僕のあの部屋の記憶はなんなのか。
結局わからずじまいだった。
それが昨日、たまたま友人と会いに街に出掛けた時に
その祖父母の家の近くを通りがかった。
10年近く前に取り壊されたきり、一度も行っていない。
妙に気に掛かることもあり、自転車をこいで行ってみた。
するとあたりの風景がすっかり変わっていた。
家の前の道路が広くなり、商店がたくさん進出していた。
そして家のあったところに着くと、僕は髪の毛が総毛立つ思いがした。
跡地には大きなパチンコ屋が立っていた。
それを見ていると急に胸が締めつけられた。
僕は全部思い出した。
祖母は初孫を心待ちにしていたという。
伯父は訳があって結婚しなかったので、
父の子供が早く生まれることを誰よりも願っていた。
自分の病気のことをよくわかっていたからだろう。
しかし父は晩婚だったので結局祖母は初孫である僕を見ることなく他界してしまった。
そのことは子供ながらに祖父が話していたことを覚えている。
悔しかっただろうと。
そして僕は思い出した。
そして理解した。
祖母があの部屋で僕で抱くことを切に願っていたこと。
その思いは多分あの部屋に残っていた。
そして祖母は招いたのだ。僕を。
僕は思い出した。
昔夜中によく寝ぼけて「おばあちゃんは?」と言っては
義理の祖母に「はいはいここにいますよ」とあやされたことを。
僕はあの部屋には一度も入っていない。
僕は子供のころ、あの部屋に入る夢を見たのだ。
祖母は僕を夢の中であの部屋に招いたのだった。
僕は目の前の騒々しい町並みを見ながらガタガタと震えた。
たぶん、祖母はまだあそこにいる。
家はなくなり家族はみんな去っても、たぶん祖母はあの部屋から出られないのだ。
この頃の夢はきっとそのためだ。
パチンコ屋め!!パチンコ屋め!!パチンコ屋め!!!!!!!!
どうしようもない自分に腹がたった。
せめて近いうちに墓参りをしようと思う。
僕が小さかった時、両親と何処かへ出掛けて帰る時の事でした。
何故か、その時何処へ行って来た帰りなのか覚えておらず、
今は父が他界し母は元気ですが、僕は一人暮しをして居る事から、
その事を聞く機会を逸してしまいました。
本題に戻りますが、その日は丁度ゴールデンウィークの終りで、
帰宅の途に着く車で家へと急く心とは裏腹に、車は遅々として進みませんでした。
父が苛立たしげに「ちっ」と舌打ちした事と、
その時フロントガラスにぽたぽたと雨が一滴二滴当たった事だけは、
18年経った今でもその光景だけが、
切り取られた断片であるかのように、はっきりと鮮明に脳裏に焼き付いています。
どういうやり取りがあったのか分かりませんが、
どうやら混雑している国道を避け、未舗装の裏道を通る事になったようでした。
僕は
疲れてうとうととして来たときに、がたん、がたんと揺れる振動と
がしゅ、がしゅという定期的な音を立て続けるワイパーの音で目覚めた時は既に、
真っ暗な山道のようなところを走っていて、眠る前には前後に沢山あった車
が一台も見当たらない事に、子供心ながら不思議な気持ちと共に…心細かった事も覚えています。
その道を走り続け、どのくらい経ったかは分かりません。
ただ、後ろから覗き見た母と父の表情が少々強張っていた事と、
車内のぴりぴりとした雰囲気を僕は察し、母に「眠い」と言いました。
母はただ一言。
「目を瞑っていなさい」
とだけ言いました。
何時もは明るく朗らかな母の声が微かに震え、
父は睨み付けるような表情で雨の帳の向うを凝視していました。
此処で、両親と色々なやり取りがあったと思うのですが、
残念ながら良く覚えていません。
眠かったのと、ぴりぴりした雰囲気が嫌で、僕は結局後部座席に身を投げだし、
ぎゅっと目を瞑りましたが眠れません。
雨の音に混じり、「やばいな」「どうしよう○○さん(父の名です。)、
どうしよう」「南無阿弥陀仏」等々の両親の話が耳に入りました。
目を開けようとすると、どうして分かったのか父が「寝なさい!」と強い口調で僕に言い、
僕は仕方が無いので目を瞑り眠った振りをしていました。
何だか、凄く時間が経った気がしたのですが、
同じ道を延々と走り続けているような気がして、
両親にばれないように、薄目を開け、
フロントガラスの先のヘッドライトに照らされている木々に目を向けた時。
そこに髪の毛が長い、女性が立っていました。
虫の知らせでしょうか。
その女性の事を幽霊というか、言ってはいけないものと直感していたのが今でも不思議です。
真っ青になり、震える手でハンドルを握りながらも、父は只管に道を走り続けました。
数分くらい走った時、前方に白いものが見えました。
それは、数分前に見た女性、その同じ人が同じように雨に濡れ、
こちらの車を瞬きもせぬまま、見つめていました。
そして、行けども行けども、その女性は車の先を越すかのように、
何度も何度も同じ姿で立ち尽くしています。
僕は我慢出来なくなり、目を開けて母に抱き付きました。
確か、酷く泣いた覚えがあります。
僕が泣き付いたのと期を一にして、前方に立つ女性がとても優しい笑みを浮かべました。
父がその時、何を思ったのかは今はしる由もありません。
ただ、突然急ブレーキをかけた事、
そして車の先にぽっかりと奈落のような崖が黒々としたその口を開けていました。
「橋梁工事中」確か、大意はこんなような標識が立っていたのと、
その奈落の下から河のように水が流れる音が聞こえていました。
これだけですが、後は何も覚えていません。
その女性はふっと消える瞬間、
父を何故か指差して責めるような表情を浮かべている光景が、
覚えている最後の光景です。
父はその後、3年経って交通事故で他界しました。
数年前の正月あけて間もない頃のことです。
その日は昼過ぎまでに上げなければならない資料があって前日から徹夜で仕事をしていました。
やっと資料が完成したのが12時30分頃、
そのあといったん食事にでて会社に戻ろうとしたのが
13時30分前でした。
徹夜あけで食後、しょぼしょぼする目をこすりながら
フラフラと会社の前の通りを歩いていたのですが、
いつもは多少の人通りがあるのにその日は何故か誰も歩いておらず、
妙に静かだったのを覚えています。
会社のオフィスはさほど広くもない7階建て雑居ビルの6階にあって、
入り口正面にエレベーター、右手が階段です。
私はいつものように、ビルの入り口にある自動販売機で缶コーヒーを買おうとしました。
ここのコーヒーはあまり見ないマイナーなメーカーのためか、100円なのです。
しかし、何度お金を入れても戻ってきてしまいます。
その頃偽造硬貨が流行っていたのでチェックを厳しくしたのかなと思いましたが、
こちらも意地になっています。
7−8回目にやっとお金が入りました。
コーヒーを取りだし、上にあがろうとして何気なく6階のオフィスを見上げると、
窓を開けて皆が下を覗き込んでいるのに気付きました。
道路を隔てた向かい側がスポーツクラブで、その4階がプールになっています。
一階あたりの高さが違うのでちょうど斜め上か覗ける位置にあります。
スタイルのいい娘がいると、時々若い社員が覗いていることがあるので、
この時も単に相変わらず好きだな〜、と思っていました。
ところが、エレベーターで6階に昇り、踊り場の右手にあるオフィスのドアを開けると、
窓際に社員の殆んどが集まって下を見ていました。
「あれ? わざわざ下まで行ってみてきたの?」
「え? いや、飯食って帰ってきた所だよ」と、私は答えました。
「えー? 度胸あるなぁ」
「なにが?」
私は訳がわからず聞くと、同僚は窓の下を指差しました。
つられて私が覗くと・・・
今しがた、私がコーヒーを買った自動販売機の前に女性が横たわっていました。
上半身には青いビニールシートがかけてあります。
シートの下から出ている足で女性と分かりました。
すでに周りを警察官が行ったり来たりしていました。
「この上の階から?」思わず私は同僚に聞きました。
「何言ってんだよ、この階。入り口に靴があっただろう?」
私がオフィスのドアを開けると、目の前の踊り場には確かに赤い靴がきちんと揃えてありました。
「え? なんで?」
今、帰ってきた時は確かに誰もいなかったし、勿論、自動販売機の前にも何もありませんでした。
私がエレベーターの中で居眠りでもしていて、その間に飛降りがあったのだろうか? とも考えました。
しかし、時計は1時半過ぎを指していました。
昼休みが終わって、20分程の間に、飛降り自殺があったそうです。
1階の店の人が気付いてすぐ通報したそうですが、今しがた見た様子ではもう事切れているようでした。
私が聞いてみると、下を覗いていた社員は、誰も私が下を歩いていたことに気付かなかったそうです。
同僚は、単に私が横を通ってきただけだと思っていたようでした。
でも、確かにあの時は誰もおらず、何もなかったはずなのに。
「だってほら」
私は今しがた買ってきた熱い缶コーヒーを同僚にさしだしました。
あれは小学校六年のころ、夏のさかりだった。
僕は母方の田舎に一人で泊まりに来ていた。
田舎のせいか夜することがなくて、晩飯を食ったあとはとっとと寝るのがパターンになっていた。
特に寝苦しかったある熱帯夜に蚊帳の中でゴロゴロしていると
ふいに ウウウウウウウウウ
と犬が唸るような声がどこからともなく聞こえてきた。
聞き耳を立てていると シッシッシッシという水を切るような足音が家の前を通り過ぎて行ったみたいだった。
僕は起きだして縁側に出てみると暫くしたら家のブッロク壁の向こうを
犬の気配が戻ってきて、そしてまた通り過ぎて行った。
野犬かなあと思いながら佇んでいると祖母もやってきて
「犬じゃろうか。ちょいと見てくる」
と言って、玄関のほうへ行ってしまった。
僕は壁のすぐ向こうが幅広のドブだったことを思い出して、
「ドブんなかを走ってんのか〜」
と納得したが、祖母は大丈夫だろうかと心配になった。
それから少しして祖母が帰ってきた。
「どうやった?」
と聞いたが何故か答えてくれなかった。
祖母は僕を座らせて改まってこう言った。
「あれはもののけじゃ。犬の幽霊じゃ。見てはならんぞ」
祖母はよく恐い話をしてくれたので、これも僕を怖がらせようとしているのだなと思い、
「どんな幽霊?」と聞くと
「四肢しかない。首も頭もない。それがドブを走っとる」
僕は想像してゾッとした。
「ええか。あれは昔から夏になると出るこどもをさらう山犬の霊じゃ。
こどもを探して一晩中走りまわる。絶対に見てはならんぞ」
都会っこを自称する僕も、そうしたものがあってもおかしくない
田舎独特の空気に気圧されてビビリあがってしまった。
僕は祖母の言うとおり大人しく布団に入った。
しかし布団を頭から被っても犬の唸り声がかすかに聞こえる。
何度目かに家の前を足音が通り過ぎた時、ふと思った。
頭もないのにどうやって犬がこどもをさらうのか?
一度気になると止らない。
僕はどうしても犬の幽霊を見たくなった。
そもそもリアルな足音を聞いているのに、それが幽霊だと言われてもだんだんうそ臭くなってくる。
祖母の怪談の神通力も子供の好奇心には勝てなかったらしい。
僕はこっそりと部屋を抜け出して玄関へむかった。
外に出て見ると、街灯の明かりがかすかに側溝を照らしていたが
肝心の犬の幽霊は見あたらなかった。
僕はやぶ蚊と戦いながら家の前でじっと待っていた。
なにか餌でも投げたら飛んでやってこないかなあ、と考えていた時「それ」がやってきた。
フッフッフッフと荒い息遣いが左手のほうから聞こえてきて黒い影が見えた。
側溝は大人の背丈ほどもあったので、上にいるかぎり犬に飛び付かれることもないと
高を括っていた僕は暗い中でよく見ようと見を乗り出した。
黄色い街灯に照らされて犬の頭が見えたとき、
僕は「やっぱりばあちゃんのホラじゃあ。 ただの犬や」
と妙に勝ち誇った気分になった。
が、「それ」が目の前を通り過ぎた時心臓に冷たい物が走った。
犬はなにかを咥えていた。
僕には全く気付いていないのか、犬は血走った目で泥水を刎ねながら走り去って行った。
僕はその一瞬にわかった。
人間の赤ん坊がその顎に咥えられていた。
首がぶらぶらしていて、今にも千切れそうだった。
僕は腰を抜かしてその場にへたり込んだ。
1歩も動けなくなったが、「ばあちゃんはこれ見てほっといたんか」
という考えがぐるぐる頭を回った。
大人に教えなあかん大人に教えなあかんと呟いてるつもりがカチカチ歯の根が合わなかった。
そうしているとまた犬の足音が近づいてきて、
目を反らせないでいると今度は赤ん坊の首が根元からなくなっていた。
そして犬が走り去って行く時、ちょうど僕の目の前を赤ん坊の首が笑いながらすーっと追いかけて行った。
僕は這うようにして家に戻ると、祖母の布団に潜りこんで泣いた。
祖母は「あれはもののけじゃ。あれはもののけじゃ」と言いながら俺を叱るように抱きしめてくれた。
年寄りの怪談は素直に怖がるべきだということを思い知らされた。
学生時代に大学のすぐ裏のアパートに住んでいたんだ。
夏のある夜のこと、暑苦しくて窓を全開にして
漫画を読んでたらいきなりその窓から顔面ぐちゃぐちゃの人間が入ってきた。
スカートにノースリーブの服の普通の格好だったから
一瞬人が入ってきたのかと思ったけどここは三階だし、
なにより輪郭がぼやけてるというか大きくなったり小さくなったりしていた。
ぐわんぐわんと。
身長1メートルくらいから部屋の天井に頭がつくくらいまで。
なんか自分がどういう大きさかわかってないみたいな。
顔もぐちゃぐちゃ動いていたけど、これは傷口が動いてるみたいだった。
こっちにじわじわ向ってきてたけど俺は完全に金縛りみたいに
なって机の椅子から動けなかった。
そしたらいきなり部屋で飼ってた猫が
「フギャアアアア」って叫んで毛を逆立てて威嚇しはじめた。
それで我に返って椅子からずり落ちるみたいに降りてから壁際に寄った。
そいつはふらふらと台所のほうへ消えて行って玄関のドアから
すぅっと出て行ったみたいだった。
マジで恐かった。
よくお化けは犬に弱いとか言うけど、猫でも役に立つんだ。
ていうか猫よりヘタレの俺って・・・・
その日の夜、大学構内で自動車部のDQNが
酔っ払って暴走中に学部生をはねたらしい。その女の子は即死。
それ聞いて「やっぱり」って思ったよ。
自動車部は当然ソッコー廃部。
その猫、妙に鋭いところがあって別の日の夜に宗教の勧誘っぽい女が
チャイム鳴らして来た時にスゲー吼えだした。
玄関に来客があってものぞきに来ることなんてないのにその時は飛んでやって来た。
女は楽しいサークルがどうとか訳の分らんことを言ってたので
とにかく追い出した。
猫はそいつの後ろになにか見たんだろうか・・・
ちなみにその猫は今このPCの上で寝てる。
1973年に杉並区のゴミ引き受けを拒否しマスコミで
大きく取り上げられた江東区夢の島騒動をご存知でしょうか?
夢の島というゴミ埋立地は整地されるまで多くの不法投棄が有り
イエバエなどが発生して社会問題化しました。
この夢の島の上に高速湾岸線が通っているのですが、
何年か前に見た深夜番組(トゥナイトだったかもしれません)で
肝試し心霊番組を放送していたのですがその番組を見て冷や汗をかいた話を書きます。
その番組で出た場所は夢の島公園(リンク先を参照してください)付近の空き地で、
高速道建設に多くの作業員が空中に浮かんでいる大きな髪の長い女の生首を目撃したというものでした。
夢の島がまだゴミ処分場だった頃ですが、
女性の一人暮し向けのマンションが多く建設され人気を呼んでいました。
バブルのはしりだった時代でしたので家賃10万前後の物件もすぐ埋る人気振りで空き物件を
探すのに苦労したことを覚えています。
そんな中、上京して一人暮しを始めた女子大生の父親から厳しいクレームを受けました。
化け物がでる部屋を高い金で借りさせられた上娘がノイローゼになって入院したと言って怒鳴り込んで きたのです。
その物件は人気物件にもかかわらず同業他社から回ってきたもので、
当店が受けた時には事故物件という話を聞いておらずこちらとしても当惑するばかりでしたが
相手方の怒り様は凄まじく裁判も辞さないという事でした。
お互いまず話し合い状況を聞きましたところ、
事の始まりは娘さんが髪を洗っていた際にシャワーの音に紛れて
「ウー・・・」っといった唸りのようなものが聞こえていたのだが、
娘が不気味がって部屋に母親を呼んだ時、
母親が浴室を利用して湯に浸かっている時に、
その唸り声とともに大きな髪の長い女の顔が浴室の窓に張り付くように現れ、
そのショックで二人とも入院してしまったというのです。
その日の午後に先輩と一緒にそのマンションの部屋の様子を見てきたのですが、
特におかしなところもなく、また築2年の物件で経営者もバカな事言わないでくれ、
幽霊なんででやしないよと怒る有様でした。
その後問題となった物件は4人入居されたのですがいずれもすぐ退去されてしまいました。
幽霊が出ると言って。
店内ではこれは絶対に何か有るという話になり
同業他社の営業に一杯奢って話を聞き出したところ
耳を塞ぎたくなるような事件の話が出てきました。
問題の物件は地方から出てきた学生向けのマンションで、
新築時の応募で入居された女子大生がその部屋の最初の入居者だったのですが、
ダイエットブームにのって無理な減量をした為
激しいリバウンドで肥満体形となってしまい、
自身の容姿でノイローゼとなり浴室の窓枠にワイヤーを巻いて首を吊り自殺しました。
突発的な自殺行動だったのか浴槽には湯が張っており入浴後に首を吊った様で、
その際に足を滑らしたのか首の肉がワイヤーで裂け血を噴出し、
自重の為胴体が離れ落ちたのだが髪が何重かに巻いたワイヤーに絡まりその大きな顔が中にぶら下がり
胴体は浴室に横たわっているという凄惨な状況だったということを
マル変を担当した警察から聞いたそうです。
この話を課長へ伝えたところ、経営者へお断りを出すか
拝み屋を頼んでユニットバス交換ぐらいやってもらわないと話にならないという事になりました。
経営者側はあっさりと後者を選択し、その手配もこちらに任せるという話になり、
翌日の日中に拝み屋と業者を呼んで立ち会いました。
お祓いが終わり業者がユニットバスの解体を始めたのですが
そこには吐き気を催すような光景が有りました。
ユニットバスの浴槽部分を外したところ、
窓側の壁の浴槽があった部分に赤茶げたカビがビッシリ生えており
またそのカビにはまるで髪が生えたように無数の髪の毛が下がっていました。
なんというか、血糊のついた頭皮としか言い様がないです。
それが壁の一面を成してました。
しかし、事情を知らない業者はただ淡々と仕事を行い新品のバスユニットと入れ替えました。
この物件はその後幽霊騒動もばったり止みクレームを受ける事も無かったのですが、
ただ気になる点はこの当時の産業廃棄物は一体何処に捨てられていたのか?と言う事です。
日誌を読み返して不明だった点についてご存知の方がいらっしゃいましたら教えていただきたいです。
1・6年前くらいにトゥナイトの時間帯に放送されていた番組名。
2・肝試しの番組で出た作業員の幽霊目撃談の詳細。
3・都内の産業廃棄物はすべて夢の島処分場へ集められていたのか。
ネタかどうか議論される前に書いておきますが、
私は幽霊を見ていないので生首幽霊については話半分だと思っています、
しかし自殺があった事は管理会社の管理人に確認しています。
気が向いたらまた書きます。さようなら。
この話しは賃貸不動産板で最低と書かれている不動産E社で
働いていた友人Sから聞いた話しです。
高卒で不動産屋に就職したSが入社から半年を過ぎた11月頃に、
Sの友人Tに賃料が安く駅から近い物件を紹介してくれと
頼まれ築15年の古いアパートだが和6 洋4.5
風呂トイレ別ユニットバスの木造アパートを紹介しました。
Tは物件の下見後即契約しそのアパートへ引っ越しました。
翌年3月にTの友人M(Sの友人でもあります)が上京して来て
Tのアパートで新居が決まるまで同居する事に成りました。
Tは洋間にパイプベッドを置いて寝て、
Mはその横に自分の布団をひいて寝ていたそうです。
数日たってMがTに自分は和室で寝たいと言い出しました。
TがMに理由を尋ねるとMは申し訳なさそうにこう話しました。
「居候している身でTを脅かすようなことを言うのに気がひけて
今まで黙っていたけどもうだめだ、壁が薄くて隣の部屋の
人のTVの音や声が聞こえるのはまだ我慢出来るが
押入から人が毎晩出て来るんだよ、夢か幻覚かもしれないが
あの顔を毎晩見るのは絶えられ無い、
押入の無い和室で寝ればあんな夢は見なくて済むんじゃないかと思って和室で
寝たいと言ったんだ」
Tは引っ越してからそんなおかしな体験を一度もしていなかったし、
ましてSにはお化けが出るとこ紹介したら殺すからな
と何度も念を押していたので笑ってMの話しを聞き流したそうです。
それから毎晩03:00頃にMがTを起すようになったそうです
「マジで今出たんだって」Mは毎回真顔でTにこう言ったそうです。
Tは半信半疑ながらそこまで言うなら
オレがそっちで寝てやるからお前はベッドで寝ろと言って
翌日はTとMで寝る場所を交換しました。
今日はMに起されないだろうと思って熟睡していたTは
その日もMに起されました。
「お前の上素通りしてベッドで寝ているオレんとこに来やがった」
Tはてめえいい加減にしろ!と言ってMと取っ組み合いの喧嘩をしましたが
お互い疲れたところでMが真剣な顔で隣室で誰か死んでいるのかも知れない、
それでその幽霊がこっちの部屋に出てきているのかもしれない、
Sに一度確認してみた方が言い、こう言い出しました。
その日のうちに会社に出勤していたSを呼び出して
3人でMの話しを詳しく聞いたところ次の事が判りました。
毎晩03:00頃に出てくるお化けは
押入から音も無くすべるようにMの寝ている場所まで来ていた事。
そのお化けには手も足も無く黒く長い寝袋の様な形で
寝袋の様な胴体から出ている頭は長い白髪頭で顔は判らない事。
恨み言など何も言わずただ老婆のような泣き声だけ聞かされる事。
昼間でも押入か隣室から老婆の押し殺すような泣き声や唸り声がたまに聞こえて来る事
(Tは入居してからそんなものは全く聞いた事が無い)。
Tが居ない時に押入の天井と床板を外してみたが何も無かったこと。
Sは押入側の隣室の入居者へ分別ごみの出し方で注意する事があったので、
3人で飯を食いに行った後、隣室の中年男性を訪ねました。
用件を伝えた後Sはさりげなく中年男性に隣室の騒音などについて聞いてみました。
その中年男性はMが話したお化けを見たといったような話しはしませんでしたが、
Tの部屋側からお婆さんの押し殺すような泣き声や唸り声がたまに聞こえて来る事、
隣室の嫁さんを見かけないがお婆さんを置いて引っ越したのか?
などといった話しをしました。
そこでSが隣室の住人は昨年引っ越しており
今は学生(T)が住んでいると伝えたところその男性は驚いた様子で
今も嫁にいびられているお婆さんの声が自分の部屋にたまに聞こえてくる、
あの声は何だ?とSに詰め寄ったそうです。
Tの部屋にもどったSは隣室の人もMがと同じ様に泣き声が聞こえると言っていたと
2人に話したところ、TはSに業者に頼んで押入近辺を調べてくれと頼みました。
そこでSがその前にオレがちょっと見てみると言って
押入の壁板をトントン叩いて調べ出しました。
Sは調べているうちに床板や他の壁板がコンコンという軽い音を返すのに、
押入と風呂を挟んだ壁板だけボンボンといった何か詰まっている様な音を返し、
またその壁板が少し膨らんでいるのに気付きました。
Sがそこで板を外すと黄色い袋のようなものが見えました。
Sはこれはヤバイと思い会社の先輩と大家さんを読んで壁板全部を外し
後から来た警察官がその袋を引っ張り出しました。
取り出された袋は黄色い寝袋で中に何か詰まっている様に
ズルッといった感じで出したそうです。
寝袋を押入から出した後警察官が寝袋のチャックを開けようとしたところ
Tが突然「オレの部屋で開けるな!」と
興奮して警察官に怒鳴りました。
その場にいた全員がこれはもう事件がらみだと確信していたため
寝袋は部屋から持ち出され警のワゴン車で開けた所
やはり仏さんが入ってました。
これは結構有名な事件なのでご存知の方もいらっしゃると思いますが、
事件が起きた十数年前は今騒がれている子供の虐待死事件のように
ボケ老人問題で介護疲れの親殺しや無理心中事件が多発していました。
そんな中で起きたのがこの姑塩漬け殺人です。
事件の概要はこういったものでした。
Tが入居する前に嫁と姑がその部屋に入居していた
(契約は10月まで有ったそうですが嫁は8月に退去)
姑は嫁の実母でなく旦那の母親。
旦那が女をつくって失踪、嫁と姑がこの部屋へ引っ越してきた。
姑は旦那以外に身寄りが無く旦那失踪後は嫁が面倒をみていた。
嫁は自分を裏切った旦那への復讐を姑に虐待と言う形で毎日繰り返した。
食事を満足に与えず、頭から熱湯をかけたりアイロンを押しつけたりかなり惨い事をしていた。
(ご遺体の腕などから折れた針が何本も出てきたそうです)
姑は老後の面倒をみてもらっているという負い目から
痛い痛いというだけで逃げ出さなかった。
ある日嫁が姑が布団から出てこないので様子を見ると死んでいた。
嫁は怖くなって姑をゴミ袋で何重にも包み中に
漬物用の塩を大量に入れ更に寝袋に入れて押入の板を外しそこに押し込んで隠した。
嫁の退去後に別の入居者が偶然死体を発見し警察が捜索し嫁は逮捕。
自分、数年前までK察の人間でした、大学を出てすぐ東京都T島区の警察署に配属。
自分はT大出のいわゆるキャリア組で(自慢に聞こえたらスマソ)、
いわゆる期待の星。
そういう背景もあって、お偉いさんたちには自然可愛がられる傾向に。
で、ある日署長サンに飲みに誘われた。
自分はもう、着替えおわって帰り支度が済んでいたけど、
署長はまだ制服姿でしかももうひとメール打つから待てと言う。
暇を持て余してまた自席につき、ぼんやりと閑散とした室内を眺めていると、
目の前にぽん、とバインダーが投げ出された。
「キミも、いずれ知ることになるだろうから。暇潰しに呼んでて。」
そういうと署長はまた席に戻り、カタカタとキーボードを叩く。
厚さ2cmほどのプラスチックバインダの
背表紙には「雨宮さん」と書いてある。
なんだろう。パラパラとページをめくる。
調書や、現場写真。いわゆる、捜査資料の類がファイリングされている。
そして、その内容を読んで愕然とした。
本当に、なんというか、このスレにあるようなオカルトチックな事件の集大成。
そして、そのほぼ全てが未解決。
1ページめくる毎に、ぞくぞくと背中に悪寒が走る。
キツネ憑き(?)の窃盗事件容疑者の写真とか、顔つきが半端じゃない。
人間の顔じゃない。洒落になってない。怖い。
事情聴取の調書にも、素で「ケーン」とか「キキキ」とか書いてある。
いろいろ他にもあったけど、マジでこれ以上は勘弁。割愛します。
1/3ほど読んだところで、署長にファイルを取り上げられる。
「はい、そこでストップ。続きは、キミが署長になったらね。」
そういうと、署長はそのファイルを自席の鍵付きの引き出しにしまった。
頭がボーっとして、脇にイヤな汗を書いていたのを覚えている。
池袋の小料理居酒屋で署長に話を聞く。
簡単に言うと、以下のような感じ。
K察にも所轄毎に、いわゆる「成績表」がある。
検挙率、とかそういうふうに考えてもらえばいい。
で、K察とはご存知地域密着型のサービスゆえ、
様々な側面で「地域格差」が出るのは否めない。
例えば、所轄により、どう頑張っても
「科学捜査では解明できない」事件が多発するエリアがあるらしい。
そういったエリアでは、当然事件解明に至る確率は低下する。
そのような地域による評価の較差をうめるべく、70年代あたりから
特定の条件を満たす特殊な事件に関して、その評価の対象から
暗黙のうちに除外される、というルールができていたらしい。
それが、雨宮さんファイルに綴じられているような事件である、と。
「で、雨宮さんて、誰なんですか?あのファイルの名前・・・」
自分がそう聞くと、署長は胸のボールペンを取り出し、
和紙の敷物に一文字、「霊」。
「な、上のとこ。雨、だろう。」ニヤニヤする署長さん。
また後日、俺はそのファイルの事が気になり、署長に再度見せてくれと
頼んだところ、「気にするんじゃない。忘れておきなさい。」と、
ピシャリと一喝されてそれ以来。
その後、その署長といろいろゴタゴタがあって、K察もやめてしまい、
今はお気楽サラリーマンやってます。
わたしが以前勤めていた法務局の話しをします。
そこは今はもう統廃合されて存在しない出張所なのですが、
とある歴史の古い町の、昔の遊郭の傍にありました。
私がそこに勤めていたのはほんのわずかなのですが、
一緒に働いていた女性たちが次々と病気や怪我など災難に遭うのです。
その出張所にいて妊娠した女性は必ず切迫流産になりましたし、
無事に産んでも免疫系の難病にかかった女性もいました。
肩こりや腰痛がひどくなり動けなくなって辞めたバイトも女性でした。
海水浴中に素足でウニを踏み抜いて半年苦しんだ女性、
盲腸が破裂して死にかけた女性もいました。
元々喘息の持病や腎臓が弱かった女性などもあっという間に悪化して入院、
その後退職しました。
霊感の強かった女性は毎日水晶の数珠を持って
仕事をしてましたが日に日にやせ細り、一年経たずに辞めました。
逆に体がぱんぱんにむくみ医者に行っても原因の判らなかった女性もいました。
一番怖かったのは、首が痛いと言って休んだ女性。
頸椎の神経に傷がいったそうですが、よろよろと診断書を持って
役所に来たときにこんな事を言いました。
「なんだか、左耳のあたりから肩口にかけて、袈裟懸けに斬られたみたいに痛いの・・・」
ひょっとしたら、あの出張所のあった土地は、昔遊女の投げ込み寺でもあったのかもしれません。
俺が今から10年位前、ちょうど高校3年の終わり位の話
いつもの如く学校から帰って部屋で適当にくつろいでた時(16時半位かな)
当時俺の部屋には子機があって普通に電話が鳴った、
台所に母親が居たんだけどその時は俺が子機を取った
「
もしもし○○(俺の苗字)ですけど?」
・・・反応が無い、俺は繰り返した「もしもし○○ですけど」
4,5回繰り返して、何となく雰囲気がおかしいなと思った時
受話器の向こうから反応があった
「・・・×××さんいますかぁ?」
その声を聞いた時、背中の辺りから直感的に震えてヤバイって感じました
(×××ってのは今では忘れたけど普通の女の子の下の名前でした)
俺はちょっとパニくって「い、いえ違います」って答えた
けど相手からの反応がない、俺はヤバイって思いながら「違うんですけど」
って繰り返して言う事しか出来なかった、向こうが無言になって1分後くらい
にある音が受話器の向こうから聞こえてきた
「カタカタカタカタッ・・・」そして「はぁやぁく〜」
そしてまた無言、俺は洒落にならないって震えていたけど
「いえ、違うんですけど」って返す事しか出来なかった
そして無言からまた1分後くらい、今度は「ちりんちりんちりん・・」
って音が聞こえてきて、「まぁだ〜〜〜ぁ」
俺はとにかくヤバイって思ったけど、ただ「違います」って繰り返してた
その後相手が電話を切ったのでしばらく震えが止まるまで考えてた
冷静になって台所へ行き、
母親に「今電話あったよね?」「うん」
「幽霊からだったよ」
母親は笑っていた、「まだ5時よ?」って感じで
俺も悪戯かなってちょっと安心してた
それから数週間後、夜に友達に電話をかけようとした、
その友達は短縮に入れてたから短縮でかけた
「・・もしもし・・・」
あいつだ!声を聞いた瞬間すぐに分かった、速攻で電話を切った
ちょっとしてもう一度同じ短縮を押すと友人の家にかかった、、、
それから数ヶ月して高校を卒業して
俺は予備校が始まるまで自動車学校へ通ってた、
そこで霊感の強い女の子を知り合ってたまに遊んでたんだけど、
ある日友達(前の短縮の相手)から電話があった
そいつは隣の県の私立大学に行ってたんだけど友達伝いから
俺が霊感のある女の子と知り合いってのを聞いてたらしく相談があるって話しだった
平凡な道でバイクでこけたり、どうも最近変な事が続くって話しだから
週末に地元に帰るからその子に合わせて貰えないかって事だった
その週末、俺とその子は友人を駅で待ってた、友人が改札から出てきた時
彼女のほうを向くと一瞬でわかった、「あ、憑いてるな」って
その子は友人の方には近づかず目を下に向けて絶対目を合わせようとしなかった
ちょっと彼女を連れ出して聞くとやはりおばあさんが憑いてるらしく
彼と目を合わそうとするとそのおばあさんが怒るんだそうだ
友人は彼女の知り合いの霊媒師を紹介してもらってお払いを受けてから変な事はなくなったらしい
その友人は高校の時からイベント運が異常に悪くて
高校1年から3年までの体育祭
文化祭、クラスマッチ、修学旅行の前になると骨を折ったり、
病気になったりで一度も参加出来なかった
もう10年経ってるけどその女から電話あったらすぐにわかる自信あります
個人的に対象は俺でなくてその友人だと決めつけて安心しました
冷静になって考えておかしな事をあげると
・普段の生活で普通に電話を取った相手の声(少女のような老婆の声)
その声を例えるとこれしか言い様がない
を聞いた瞬間に背中に恐怖が一気に走った
・電話を切る事が出来なかった
・途中で聞こえた音
「カタカタ」は昔1,2歳児が押して遊んでた玩具(説明がちょっと難しい)
「ちりんちりん」は赤ちゃんをあやす為にベッドの上につけて回りながら音が出るやつ
て見てもないのに音だけですぐに何だとわかった事
ただ無言の1分間×2は恐ろしく長く感じました
霊体験(ぽいもの含め)はわりに多いのだが、なかでも俺はよく「影」を見る。
始めて認識した心霊体験は小学校3年のころにマンションの駐車場で友達
と遊んでた時、夕暮れに解散になって一人で帰ろうとしたら影がついてきた。
走ってる俺の影に、つっ立っている他人の影がかぶさるようにずっとついてきていた。
これにはびびった。まさに誰そ彼。
その後もたびたび影を見た。
ていうか小学4年に引っ越した家の周りは、夜振りかえったら自転車をこぐ影
が見える坂とか、やたら影にまつわる怪異が多いところだった。
そんな話が多いのは、山なんで夜間に明かりが少ないせいもある。
単純な見間違いもあるはず。
しかし俺が体験した最恐の影は見間違いのレベルじゃなかった。
高校3年の夏休みに深夜自転車で帰宅中、
近道をしようと開通したばかりのトンネルを通った。
ベッドタウン密集地帯に向うクソ長いトンネルで、通行料とるせいかガラガラ。
ただでさえ一直線なのにライトもやたら明るくて遥か向こうまで見通せた。
入ってすぐに一台だけ乗用車とすれ違ったけど、そのあとは車の音さえしない。
深夜巨大なトンネルの中で音が無いというのははっきりいって怖いよ。
で、かなりハイペースで自転車を漕いでると急に耳鳴りがしはじめた。
静寂で耳がいたいとかいうけど、そんなんじゃない。
あきらかに俺的「出る」時の前兆。
今は勘弁してくれ〜って感じだった。
俺は、怖い怖いと思ってると見たくも無いはずの異変を探してしまう。
その時も「出るな出るな」と思いながらも
前後左右チラチラと見てしまった。
チビッたよ。
その時左側の歩道を通ってたんだけど右側の壁に上半身だけの影が
映ってて、すーって進行方向に移動していた。
そこからは全力で逃げまくり。
自分の影かも?
とかいう曖昧なレベルじゃない。
めちゃめちゃ明るくて、向こうの壁の小さい案内看板も見える。
歩いてるみたいな人間の影。
でも人はいないし、向こうには歩道さえない。
必死でチャリこいだけどそのトンネルよりによって全長1700メートル。
進んでも進んでも、出口は遥か遠く。
見えてるに。
怪異にあっても逃げ場がないなんてのは始めてだった。
しかも癖でどうしても時々振りかえってしまう。
めっちゃついて来てるし。
生きた心地がしなかった。
途中峡谷があり、一旦空の下にでたが次のトンネルに入ると
また影があらわれた。
何回も魅入られたみたいに振り返ってると
下ろしてた影の手が前に伸びてるのに気付いた。
死ぬ気でこいで結局何事もなく出られたが、
出口にたどり着くまで自分以外の人や車と遭わなかった。
トンネルを出ると新興住宅地の中だったが、
道路脇に地蔵やらちいさい稲荷やら変な注連縄はってある石やら
ブルータルなものがいっぱいあった。
そんなやばいところにトンネル掘るな!
俺は人身事故で有名なC央線を利用して通勤している。
先週も飛び込み自殺があった、俺の使っている駅でだ。
今日、いつもよりちょっと早く起きた俺はホームにたたずんで
なにげなく反対側のホームを見ていた。まだ電車の本数も少なく、
向こうは下りホームだけあって人もまばらだった。
「○○線に××方面行き下り電車が参ります」電車のアナウンスだ。
ふとホームを見ると俺の正面に女性が立っている。
26,7歳くらいのいたって普通の女性だ。
だが何かが変だ・・・、何だ?・・・。
女性の顔が恐怖にこわばっている。
しかも、下りの電車がホームに入ってくるにつれ、
何かに引きずられる様に一歩一歩ホームの端に近づいてくるのだ。
俺はその光景を間近で目の当たりにし、
恐怖のために唇一つ動かす事ができなかった。
鋭い金属音と悲鳴が響き渡り、電車は止まった。
俺の目の前に大量の血とピンクの肉片が広く飛び散っていた。
あまりにグロテスクなものを見てしまい吐き気をもよおしそうになりながらも、
そろそろ会社に行かないといけない俺は急いで振り替えのバスに乗るため
ホームを立ち去った。
あの違和感はなんだったのかバスの中で考える。どうしても分からない。
バスは新宿に近づき、高層ビルの間をくぐりはじめた。
太陽の光が高層ビルのガラスで乱反射してとても眩しい。
「眩しいな・・・、眩しい、そうか!」 俺はついに合点がいき、
大声を出してしまった。
あれは飛び込み自殺を間近に見たり、
恐怖にこわばった女性の顔を見たから違和感があったのではない、
「その前からおかしかった」のだ!。
「思い出せ・・・」 俺は今朝の光景を脳裏に描き始めた。
俺の利用する駅のホームは東西にのびている、
つまり、朝日は上りホームを利用する俺の左手側から右手側に向かって差し込む。
ホームの屋根を支える柱も、駅の売店も、何もかもが左から右に向かって影を作るはず、だ。
しかしあの女性の場合は違った。
あの女性が形作っていた影は足下から下、つまりこちら側にのびていた。
どう考えても自然ではない。
あの女性は何か得たいの知れないものに引きずり込まれたんじゃないのか?。
例えようもない気持ち悪さが胸から喉へとこみ上げてくる。
深夜遅く家に帰り、俺はネットで自分を納得させる理由を探して回った。
そしてついに見つけた。
8年前この駅で人身事故が起こった時のホームの写真だ。
事故の発生時刻は今朝のものとだいたい同じだ。
そして俺はホームを凝視し恐怖した。
黒い腕の様な影が線路からホームへと無数に伸び、
事故にあった人の足下に絡みついているのを。
いまだにキショ恐い、謎な話。
小学校低学年の頃、両親の用事で俺は知り合いのおばちゃんちに一晩預けられた。
そこの家は柴犬飼ってて、俺は一日目の暇つぶしにそいつを連れて散歩に出かけたんだけど
土地感のないところを、やたらめったら歩き回ったんで迷子になってしまった。
シャイボーイだった俺は他人に話し掛けることもできないし、連れてる犬は
役に立たないしでウロウロしてるうちに夕暮れ近くになってしまった。
しかもある場所を通りかかったとき急に犬が足を踏ん張って動かなくなってしまい
俺はそいつ抱えて歩き出したんだけど、異様にクソ重たい犬だったような気がする。
そうやって立ち往生してた場所の右手に2軒つながりのような形の空家があった。
当時昆虫集めに凝ってた俺は、いい虫(カマキリとか)でもいないかと犬をひきずって
そこんちの草ぼーぼーの庭に入り込んだ。
んで、しばらく草をかき分けてるうちにいいかげん暗くなってきてこりゃやばい
と顔をあげたとき、空家のほとんどの窓は雨戸しまってたんだけど、俺とこから
玄関はさんで向こう側の窓だけ雨戸が少しだけ開いてて、そこから女の人が
顔突き出してるのが見えた。
顔つきとか覚えてないけど確か女で、両目閉じたまま顔を左右に振ってたと思う。
とにかくキショイ動きだった。
俺は「ギョエェェェーー!!」と思ったわりに声も出ないまま腰ぬかしたけど
すぐに一目散に空家から飛び出した。
それからどうやっておばちゃんちまでたどり着いたのか忘れたけど、
おばちゃんに半泣きで空家の女のこと言ったら、おばちゃん怒り出して
なんでか分からんけどすぐさま頭をバリカンで丸坊主にされて
その後知らないおっちゃん連れてきて呪文みたいなの聴かされた。
それに出かけてたはずの両親も急遽呼び出されたり結構大事になった。
以来おばちゃんちには一度も行ってないけど犬は結局帰ってこなかったと思う。
すんませんおばちゃん。
つか、これ最近思い出したことなんだけどあれは一体なんだったんだろう。
なんか、警察関係の話が出てたみたいなんで「法と怪異の接点」という観点でひとつ。
先日、親戚の葬式があった。(別に、葬式がらみの怖い話ではないので、悪しからず)
で、そこで検事をやってる叔父と久しぶりに会った。
通夜の席で叔父と2人で酒を飲んでいると、自然と話題は叔父が関わった事件の話になる。
叔父がしたのはこんな話。
広島のある個人経営の商店の店主が夜半にふと目を醒ますと、物音がする。
廊下に出てみると、全身黒づくめで小面の能面をかぶった「何か」にでくわす。
驚いた店主は廊下に立ててあったゴルフクラブを手に取りその能面をめったうちにし、
その「何か」を階段から突き落とした。
果たしてその「何か」の正体は能面をかぶった空き巣であり、
殴打による頭蓋骨陥没骨折、そして階段から転げ落ちたときに頚椎を折って死亡した。
店主は不法侵入に対する正当防衛が認められ無罪。店主いわく。
「悪霊かと思った」
僕はその話を聞いて、ふうっとため息をついた。
「丸腰の相手を凶器を持って一方的に殺害しても、正当防衛で通るものなの?」
「場合によるが、通る。」叔父がうなずく。
で、このあとの叔父の言葉に、俺は少し震えた。
「そもそも、不法侵入に対する正当防衛は法的に、
幽霊や化物の存在を暗黙のうちに前提にしている。」
午前二時少し前ぐらいにコンビニへ行った。
駅を通り抜ける道が近道だったのでいつものように
通っていたが、その日の昼に人身事故があった事を思い出しちとビビる。
改札口を見ないように通り過ぎ、コンビニで立ち読みし、
もと来た道を帰ろうと思ったがビビったので駅を避けて遠回りしようとした。
線路の近くで遠くから駅を眺めると
回送電車らしき電車が駅を出るところだった。
こちらに近づくにつれある車両だけ人が大勢乗ってる事に気付いた。
変だとか考えるヒマもなく電車が近くを通りかかった。
手釣りに首を吊った人が何人もぶら下がっていた。
・・家に帰って、多分人身事故が起こるたびに
その車両の乗客は増えていくんだろうなぁとか思った。
これから僕が書くことは
むかし出版社につとめていた親父がある人に書いてもらった体験談ですが
ある事情でお蔵入りになっていたものです
できることなら、霊だとかそういうものには二度と触れずに
このまま後生を過ごそうと思っていたのですが、
ここに記すことによって、あの頃の私のような向こう見ずな人々を
自粛させる事ができるのなら、あの時の償いができるのではないか、
またこの忌々しい傷跡が消えるのではないかと思ったしだいであります。
1979年8月14日の事です。
私は21歳で、若さと好奇心にあふれる学生でありました。
その年の5月3日、私は中学時代からの友達であった井上、村山、井出(すべて仮名)とともに
実家からそう遠くはない、UFOが出没することで有名な山に登ったのですが空振りに終わり
「今度こそは」という想いでこの調査旅行を計画いたしました。
しかし、何を思ったのかUFOが現れなかった時のための二足のワラジということで
当時流行っていた降霊陣というものを左の腕の付根(ちょうどBCGのあたり)に描いていったのです。
20時に実家近くで彼らと落ち合い、私の運転する車で南に走ること2時間、
当時バイトの先輩に教えてもらったとある村へと辿り着きました。
その村というのは私の母方の祖母の村の隣、といっても海抜では1Km近くも上にあり、
当時その村に登るための道は2本しかありませんでした。
そのうちの1本が私の祖母の家の前を通る道なのですが、道幅は2M程しかありませんし、
もう1本の道よりも山奥に入ったところなのでほとんど利用している人はいません。
私達は休憩がてらに祖母の家(祖母はすでに亡くなっており、
祖父は母の姉が引き取ったため家は事実上空き家)に入ったのですが
(鍵はどうした、思われる方もいるでしょうが昔の家の扉は
心張り棒をかましているだけなので針金で簡単に開きます)
もちろん駐車場などはないので
(家の隣には空き地があるのですが、昔から住人が病気になったり、
商売に失敗したりなどで、もち主がころころと代わるいわく付の土地だったので)
こんな夜中には誰も通らないだろうと思い車を道に止めたまま、
缶ビールをちびちびと飲み交わしていました。
この家は真正面(出入り口)と真後ろを山に挟まれているのですが、
真正面はすぐに道路になっており道の向こう側にぽったん便所と五右衛門風呂があるのですが、
その隣にはお墓があるために日が暮れてからトイレに行くのは少し勇気がいることなんです。
そのうえ、その頃には上の家も下の家も無人になっており、外灯もほとんどなく
明かりといえば山の切れ目から見える満天の星空だけなのですが、
生憎の曇り空で辺りは闇に包まれていました。
ちょうど1缶目を飲み終えた時、村山が小便に行くといい、靴をはき、出ていきました。
と同時に駆け込んでくるやいなや、
バシンと、扉を閉め、心張り棒までかけてしまったのです。
あまりの彼の激しい行為に、こちらも不安になりなりました。
肩で息をついている彼をなんとかなだめ
「なんかあったん?」と聞くと、彼は青ざめた顔で
「そっ、そこの・・・電柱の・・・所に人が・・立ってた」
と、歯をガタガタさせながら言うんです。
もちろんこの場所ではこの時間に人がいることはいささか奇妙ではありますが、
「
あれは絶対幽霊やとおもう・・・なんかボーッと光ってて、
輪郭がはっきりしてへんかったんや」
という彼の言葉に恐怖を感じ、誰も確認にはいけなかったんです。
「ほら、なんかの宗教か何かで、白い服着て、
ほら貝持ってる奴らおったやん。あんな感じのおじさんやねんけど、
真っ直ぐこっち見とって目合ってもおた」彼の説明を聞きながら
昔祖母や母から聞いた話と照らし合わせてみましたが、
そんな人は何処にも出て来ません。
話し合いの結果、明るくなるまではこのまま
ここに居ようということになりました。
初めのうちは皆怯えを隠せず、物音なんかにも過敏に反応していましたが、
時が流れ、酒が入るとしだいに冗談を言っては笑い声が漏れるくらいになりました。
しかし、時刻が2時を少しまわったときです。
出入り口とは反対側の山側の部屋の窓が
コツ・コツ・コツと叩かれる音が聞こえてきたのです。
山と家との間には深い谷がありますので、人の仕業によるものではありません。
私は震える友達を安心させるために
「どうせ蛾か何か虫がぶつかってるだけやって」
と言ってはみたものの、
それはあまりに規則正しく何度も何度も繰り返されたため
「何か」によってなされているものだと確信いたしましたが、
歩いていってカーテンを開けて確認するほどの勇気は持ち合わせてはいませんでした。
今日はなんて日や、とおもっていると、
その時にようやく降霊陣のことに気付き、
みな台所で洗い流しましたが、
窓を叩く音は止むどころか、ますます激しくなりました。
それどころか唸り声のようなものまで聞こえてきます。
それはなんというか、まるで火あぶりにされている人が放つ断末魔のようで、
はっきりとは聞き取れませんでしたが
こんな風に言っていました。「
なんで、はなしたんや。何でやぁ」と。
薄い窓ガラスでありますから
このままでは破られてしまうのではないかと思い、
ここから離れようと決意し、私は皆のポケットにあるものを詰め込みました。
「ええか、いち・にの・さんで扉あけたら、いっきに車に乗り込むで」
エンジンがかかるまでの一瞬がとてつもなく永く感じられました。
エンジンがかかるとアクセルを目一杯踏み込み、走り出しました。
どうらや幽霊が憑いてきている様子もなく、
このまま山を登り続ければ20分たらずで
当初の目的地の村に着くはずだったのですが、
どこをどう間違えたのか、車はすっぽりときりひらかれた場所にでたのです。
草がひざ下くらいにまで伸び、長年ほったらかされているようでした。
左手は山で奥と右手は崖になっており、まるで袋小路のような所でした。
そういえば昔祖母から、このあたりに戦時中に使われていたヘリポートがあると
聞いた事がありましたが、どうやらここがその場所のようです。
しかたがないので引き返そうと思い、Uターンするために車を山側まで進め、
バックしようとしたのですが、ギアがチェンジできず、
しばらくカチャカチャやっていると
突然車がスルスルと後ろ向きに、まるで引っ張られるように、
谷に向かって進んでいるのです。
とてつもない恐怖に焦りながらも
何とか私たちは車外に飛び出すことができました。
ガラ・ガラ・ガラ・ガラ・・ガッシャーンと、車のつぶれる音がしました。
突然の出来事に呆然としていると、
「たすけて」と井上の声がしました。
後部座席に座っていた彼は脱出が一瞬遅れたのでしょうか、
今にも崖から落ちそうなところを
なんとか草にしがみついていました。
私の思考力はもはやなにも考えられなくなっていました。
他の二人同様、私も腰が抜けていましたが、
なんとか井上の所まではっていき、
彼の手をしっかりとつかみました。
私は彼に「しっかりせい。はいあがってこい」といったのですが、
彼は「あかん。あいつにあしひっぱられとる」と今にも泣き出しそうでした。
しばらくこの状態が続きましたが、私も恐怖のためか腕に力がはいらず、
徐々に彼の手が抜けていきそうになりました。
正直、「もうあかん」と思い、心の中では彼に謝っていました。
その時、あの男の声が私の耳元でこう言ったのです「なんでやぁ」と。
すると不思議な事に私は恐怖よりも、「なに糞が」という気持ちの方が強くなり
「絶対井上を離したらあかん、ここで離したらきっとこいつみたいになってしまう」
と思い、無我夢中で腕に力を込めました。
引っ掻いています。血が流れ出しましたが痛みはありません。
ただ、何か彼の憎しみのような、悲しみのような感情が
私に伝わってきたようにおもいます。
そこへ村山と井出がなんとかかけつけてくれ、
私が家で彼らのポケットに詰め込んだ塩を
私たちの方へふりかけてくれたのです。
ギィイヲーーという叫びが聞こえたのと同時に井上の体は軽くなり、
ひっぱりあげることができました。
安堵感から体の力が抜け、私達は草の上に仰向けに寝転び、
しばらく空を眺めていました。
東の空がうっすらと明るくなりはじめていました。
太陽が完全に昇りきった頃、ようやく私たちも動けるようになりました。
これからどうしようか悩みましたが、地面にはタイヤの跡もなく、
こんな話は誰も信じてくれないだろうと思い、
山を下り、バスで帰宅しました。
帰路の途中、とある陰陽師のかたに
念のためのお祓いをしてもらったときに聞いたのですが、
私たちが腕に書いた降霊陣は月が陰のときには有効だが、
陽のときには悪霊を呼んでしまうらしいです。
ただ、その陰陽師が言うには、
「悪霊というのは、自分を悪霊にした悪い人間に復讐するために
成仏できずにいるんだよ」ということです。
この一件以来、私たちは遊び半分で心霊スッポトなどに足を踏み入れることをやめました。
誰も眠っているところを、叩き起こされたくはないでしょう?
それに、もしそんなことをしようもんなら、
あれから十数年たっても消えることのないこの腕の傷が、疼きますから・・・
あれはまだ中学生の時です。
風水の番組かなんかやってて北向きの玄関が良くないとか、どうとか言ってたんです。
その時、ふと友人Hの家が北向き玄関だった事を思い出しました。
彼は幽霊話とか嫌いなのでちょっと脅かしてやろうと思い、何日か後に
遊ぶ約束をしてその話に尾ひれをつけて脅かしてやろうと考えました。
当日、Hにその話をするといつもは変に怖がるのに何か考え込んでいました。
何かと思い聞いてみると、「つい最近なんだけどな…」と話始めました。
彼の部屋は玄関を入ってすぐ脇の部屋でした。
彼がいつものように寝ていると突然、耳元で何か唸るような声が聞こえたそうです。
最初は驚いたものの、すぐ冷静になってなんだろうな?と思ったと同時に、
ばたばたばたばたばたばたばたばた
と、凄い人数の足音が戸の外から聞こえてきた。
なんだ!?と驚いて戸の外を見ようとしたのですが、
耳元の声はまだ聞こえていたので先にそちらを聞こうとしたらしいです。
「……ダメだ、……しちゃダメだ」
と微かに聞こえる声がそう繰り返すのです。
Hはもっとよく聞こうと外の音も忘れて集中するとその声は確かに
「みちゃダメだ、戸の外を見ちゃダメだ」
と、繰り返しているそうです。
みちゃダメだ、と言われると気になるらしく、
ちょっとだけ覗いてみようかな?とか思った時、
その声は急に強い口調で
「見たら死ぬよ」
と一言告げたそうです。
その時、初めてその声が彼の祖母の声だということに気が付いて、
中々鳴り止まない外の音を気にしながらも
気が付けば寝てしまったそうです。
よく百鬼夜行という言葉を聞きますが彼が遭遇したその足音はまさに
その百鬼夜行だったのでしょうか。
後にも先にも一回きりだったみたいです。
そのときにはHのおばあちゃんはとうの昔になくなっています。
彼はそういった霊現象に会うと何かしらの形でおばあちゃんが
守ってくれるそうです。
場所を晒しますが好奇心では行かないように
埼玉県入間市の豊岡第一病院の周り、
航空自衛隊入間基地付近にうっそうとした雑木林があります
その一帯は以前実際に人が首を吊ったため地元の人から
「首吊り山」と呼ばれていて大人も子供もお姉さんも知っている有名な場所です
数年前、俺のダチが高校の仲間3人を連れて肝試しに行きました、
最初は雑談に花を咲かしながらだったのですが
一人後ろを歩いていたダチの友人T氏が
突然「#%$&”$&$%」と英語を呟きだしたそうです。
最初は歌でも歌って気分を紛らわせてるのだろうと思ってた3人でしたが、
その声ははっきりせず、しかも普段のT氏では考えられないほど音程が高かったのです。
不気味に思った3人はT氏に肩越しに声を掛けてみると
T氏は目が覚めたように「あ、ああ、何だよお前ら。え?
俺が歌?英語?何言ってんだよw」と言いました。
しかも彼はずっと意識があったと言うのです。
しかし友人達は見てしまったのです笑顔で対応しているT氏の後ろに
髪の長い外国の女の人が微笑んでるのを・・・
友人達は思わず「おいT!」とその女の幽霊の方を指差しました、
その瞬間女はこちらに体を向けたまま首だけが後ろに回転し、
すうっ、と近くにあった大きいケヤキの木
の中に消えていったそうです。
父の話によると戦後当時入間基地はジョンソン基地とよばれ
アメリカ軍が駐留していたそうで以前女性将校数人がその付近で
首をつって自殺をしたと噂になっていたそうです
大学時代に、友人から聞いた体験談です。
私の大学は結構な田舎でして、羽を伸ばす所がこれといってありません。
そういう事情に加え、学生の多くが車を所有していることもあり、
必然と連れ立ってドライブに行くことが遊びの一つになっていました。
その夜も、私の仲間たちは、隣町の峠道まで出かけたそうです。
私自身はバイトがあったので参加しませんでした。
別に峠を攻めるわけでもなく、
頂上で夜景を楽しみながら一杯飲もうというのが目的だったとか。
峠道や頂上では何もなかったのですが、問題は帰り道のことでした。
自動販売機を見つけた彼らは、飲み物が底をついていたこともあり、
缶コーヒーを買うために車を路肩に停めたのです。
その時、少し先の道端に何か置いてあるのに気づきました。
外灯もろくに無く、暗くてよく見えません。
近づいてみると、それは花束とジュースの缶でした。
「ありゃ」「来る時は目に入らなかったのにね」
とりあえず皆で手を合わせておいたそうです。
一人を除いて。
車が発進した後、中で交わされた会話は――。
「君ら、よくあんな不気味な物の近くに立ってられるな。呆れるわ」
「不気味ってのは非道くないかい?」
「そうそう、花が捧げてあるくらいいいじゃないか」
「花はいいんだよ、花は。俺が言ってるのはランドセルのことだ」
ランドセルだって?
「ほら、花のそばに置いてあっただろう? 一つだけポツンと」
「女の子用の赤いのが」
彼以外の者は、誰もそれを見ていなかったのだそうです。
「おい、冗談言うなよ。しっかりと置いてあったじゃないか」
「そっちこそ変なこと言うなよな。他には何もなかったって」
「お前ってそういうのが見える人だったっけか?」
「もし俺が見える人だとしたら、幽霊なんてこの世にいないってことだ」
その場の全員が皆、霊など見たことがない人ばかりでした。
「その俺に見えたんだから、霊関係じゃないって」
「でも」「そう、でもお前以外のヤツには何も見えなかったじゃないか」
雰囲気が気まずくなり、皆が黙り込んでしまったそうです。
とにかく帰ろうということに意見が一致したので、
即行で帰っていつも溜まり場にしている部屋で飲み直そう、
とあいなりました。
この時点では、皆がこのランドセルの話題はこれで終わりだ、そう思っ
ていたのです。ですが。
車が、溜まり場にしているアパートに近づくにつれ、皆元気を取り戻し、
年頃の大学生らしくHな話題などで盛り上がっていました。
しかしなぜかドライバーはアパートの駐車場に入らずに、そのまま通り過ぎてしまったのです。
「おいおい、何やってんだよ、お前の家を通り過ぎちゃったぜ」
「・・・ダメだ、ダメだよ、俺ン家じゃダメだ・・・」
「ああ? 何言ってんだよ、いったい」
「ランドセルだよ」
「・・・何だって?」
「ランドセル背負った女の子が駐車場にいたんだ」
さすがに皆、冷水を浴びせられたような気がしました。
運転手君の話によると、駐車場の一番奥の外灯下に、
赤いランドセルを背負ったおかっぱ頭の後姿が、じっと佇んでいたのだそうです。
奇妙なことに、運転手と、先ほどランドセルだけ見た友人は別人でした。
今回ランドセルの女の子が見えたのは、運転手だけなのです。
「気のせいじゃないのか。今度は俺には何も見えなかったで」
「お前はまだいい。ランドセルだけだったろ。俺は女の子付きなんだ!」
「もう一回、確認してみない? 当ても無くウロウロ出来ないし」
そこで引き返して駐車場を覗いてみることにしたのですが・・・。
「・・・ダメ。まだいる。同じ所であっち向いて俯いてる」
やはり、他の友人には見えないのですが、そう言われたら気持ちが悪くて
車から降りる気にはなれませんでした。
「仕方ない、狭いけど俺の家に行こうや」
「あ・・・なんか振り向きそう・・・」
「早く車出せ!」
ここから彼らの眠れぬ夜が始まりました。
そう。行く先々でランドセルの女の子が待っていたのです。
それも、彼らの内の誰か一人にだけ見えるという奇妙な形で。
彼らの家には一歩も入ることができませんでした。
まだ深夜営業のファミレスが地元にできる前の話です。
こんな夜遅くに学生がたむろできる場所などありませんでした。
大学の研究室に行って過ごすか、という案も出たのですが、
「もしエレベーターの扉が開いた中に、ランドセルが見えたらどうする?」
という一言で行けなくなったそうです。
皆が皆、パニックの一歩手前みたいな状態だったと後で言っていました。
バイトが終わる時間を見計らって、私を拾いに来たのです。
事情もわからずに「徹夜で麻雀しよう」と強引に家に連れて帰られました。
駐車場の入り口で、しつこく確認されます。
「なあ、お前の家の駐車場、何か変わったモノは見えないか?」
「例えば、赤いランドセルとか・・・」
「???車以外に何もないけど???」
よかったあ、と口々に言いながら皆、私の部屋へ転がり込みました。
トイレがすぐ隣なので、それも彼らにはありがたかったようです。
一人になるのを嫌がっているのが明白なので、
さすがに私も不思議に思い、何があったのかを聞きました。
麻雀牌をかき混ぜながら、彼らは私に事情を説明してくれました。
(かなり本気で叩き出してやろうかと思いましたよ、ええ)
麻雀しながらも皆が怖がっているのはわかりました。
私も説明を受けてからは、結構ビビっていました。
「お前さんは拝んでいないから、多分大丈夫だと思うんだけど・・・」
多分という言葉が余計です。本当に迷惑です。
しかし、赤いランドセルは私の家には姿を現しませんでした。
夜が明け朝が来ると、皆くたびれ果てて眠ってしまいました。
おそらく、精神的に疲れていたのでしょうね。
真面目に学校に行ったのは私だけです。
彼らは、午後からバラバラと授業に出てきました。
日が昇ってようやく家に帰れたのだそうです。
しかし、一人だけ来ない者がいました。
それは最初にランドセルを見た彼でした。
心配しましたが、携帯電話が普及する前なので、連絡がつきません。
その日最後のコマが終わると、そいつの部屋に皆で行くことにしました。
部屋に着き呼び鈴を鳴らすと、憔悴した彼の顔が出てきました。
学校に行く準備をしている時に、駐車場から見上げるランドセル姿に気付き、
外に出られなくなったのだそうです。
今は見えなくなっているが、一人で外に出る気になれないと彼は言いました。
いきなり私たちの内の一人が、奇妙な声を上げました。
その様子から私たちはランドセルの少女がまだここにいることを知ったのです。
皆そのままゆっくりと中を見ずに外に出て、鍵をかけました。
車に乗り込んだ後で尋ねると、
部屋の隅にランドセルがあるのに突然気付いたとのことでした。
私を含め、皆泣きそうになりました。
しばらくして皆でお払いに行ったらしいのですが、
何も憑いていない様子だと言われたのだとか。
彼らはその後もランドセルを度々見ていたのですが、別に害は無かったようで、
二ヶ月もすると何も見えなくなったそうです。
果たして、事故に会ったのは本当に小学生女子だったのかも不明です。
もしそうだったなら、なにかを伝えたかったのか、単に寂しかっただけなのか。
可哀相だったのは例の最初に目撃した彼で、かなりの間おどおどしていました。
しばらくの間は、通学中の小学生の姿が本気で怖かったそうです。
私は結局、何も見えなかったし、わからなかったのですが。
途中から皆のヒステリーじゃないのかとも思いました。
口にこそ出しませんでしたけどね。
私の周りで起こった?奇妙で少し怖いお話でした。
思い出したくない映像があります
数年前、友人と二人で泊まった旅行先のホテルでの話。
お風呂で髪を洗ってると、後方の入り口ドアが開いたらしくスーッと冷たい風が入ってきました。
私は、友人が開けたのだと思って「何?」っと振り向きました
ドアは20cmぐらい開いていて、そこからにゅーっと人の姿が現れました。
うつむいてる様で、髪がバサーッと前に垂れていて顔は全然見えません。
普通の人ではないというのが一瞬でわかりました。
何故なら頭の位置がおかしいからです。
普通うつむいてもアゴが鎖骨に当たる程度しか首は曲がりませんよね?
でも、その人物は頭が肩より下、胸のあたりまで垂れ下がった状態だったのです。
うなじが丸見えです。
私は頭の中が真っ白になって、気が動転したのでしょうね
それに向かってシャワーをかけました。
すると突然それは、ガタガタと肩でドアをこじ開ける様にして
バスルームに入ってこようとしたのです。
「ぎゃあーっ!!」って叫びましたよ。思いっきり。
声にびっくりした友人が、
「どしたの?」とバスルームのドアを開けて入ってきました。
その頭の垂れた人をすりぬけて・・・
私は生まれて初めて失神しました。
関係ないかもしれませんが、その霊(?)をすりぬけてしまった
友人は、ノイローゼからリストカットを繰り返しとうとう一昨年他界しました。
お葬式で彼女の死顔を見た時、鮮明にあの時の事を思い出し悲しみより恐怖に駆られた事を覚えています。
考えすぎかもしれませんが、あの時私が叫ばなかったら友人は
何事もなく生きていられたのかも・・・
中学生の頃だから、今から20年程前。
家族旅行中、真夏の名古屋で渋滞にハマりました。
気温は35度を超えていて、車はノロノロだからクーラーもきかない。
家族5人汗を流しながら、ぐったりしてたな。
私は運転席の後ろに座って、窓の外を見ていました。
しばらく停車していた渋滞の列が動き出した時に、
すぐ脇の中央分離帯に立っていた男と、窓越しに擦れ違いました。
分離帯には草が繁っていて、その端に立つ男は俯いていたので、
顔は長めの髪に隠れて見えませんでした。
男は白いスラックスをはいて、このクソ暑いのに、
真っ赤なカーデガンを着ていました。
厨房ながらもヘンだなと思った私は、擦れ違ってすぐに、
車のリアウィンドウ越しに振り返ってみました。
見えたのは後ろに連なる車の列と、無人の中央分離帯だけ。
「今、ヘンな人立ってたよね?」
家族に訊いても、ノーリアクション。
暑さでぼんやりしていた他の家族はともかく、運転していた父は
目にしているはずなのに、あんなに目立つ男を見ていないなんて、、、
ああ、他の人には見えなかったのだなと、
その時、妙に納得したのを覚えています。
思えばアレは本当に赤いカーデガンだったのかなと、今でも時々考えます。
目にしたのは一瞬だったのに、
真っ赤な色がとても鮮明に脳裏に焼き付いているので。
車の免許を取れたのは良いけれど、車を買うお金が無い。
休みの度に、安い車を探して彷徨っていたら、1
0回目ほど訪問していた中古屋さんに良い車があると言われました。
D社のM○Xという軽自動車で、オーナーが10人くらい代わっているけれど、凄く綺麗な状態。
走行距離も1万`以下で、求めていたMT車。
無事故との説明ではあったけれど、お値段車検1年+保険で7万円とのこと。
なんでこんなに安いのか聞くと、社長さん曰く
「オークションで数台車を買って、展示スペースが無いから処分したい」
そんな事もあるのかと思い、自分の幸運を喜びながら即契約。
1週間後に取りに来るように、何度も何度も念を押されて、
2つ返事で了承しながら帰宅しました。
ところが、車を取りに行く直前、先輩達の唐突な誘いで2泊3日の合宿が決定してしまい、
取りに行けないので納車して欲しいと伝えると、即答で拒否。
少しムッとしたけれど、忙しいのだろうと納得して、
3万円出すので納車して頂けないかと頼み込み、何とか了承してもらった。
なぜかイヤイヤなのが、受話器越しにも良くわかりました。
合宿も終わり、「帰ったら、ドライブしよう」
と約束して友人と駅で別れ、弾む足取りで我が家へ、愛車の元へ。
家の前の駐車スペースに車が無い。何処にも赤いM○Xが見当たらない。
(さては、弟が勝手に乗り回しているのでは?)
と無性に腹が立ってきて、家に入るなり母親に車の所在を聞くと、凄く複雑な顔。
「
警察も来たけれど、社長さん、あんたの買った車の中で死んでいたそうだよ」
「帰ったら、警察に連絡するように言われてるから、連絡しな」
警察に連絡すると、出頭要請。で、出頭。
購入の詳しい経緯と、社長さん死亡時のアリバイ等を何度も何度もしつこく聞いてくる。
さすがに不安になって来て『殺人』なのかと聞くと、
少し言いよどんでから『変死』との答。
結局、それ以上は聞きだせずに追い返されました。
人が死んだ車に乗る気は、さすがにしなかったので、中古屋さんに連絡。
解約手続きにいく。
事務所に着くと、喪服姿の女性が先にいて、私の名前を聞くと、
「あんたが・・・」
と呟き、凄い目で私をジッとにらんでから、出て行った。
社長の奥さんだそうで・・・。
解約手続き中も、事務の人達がチラチラと私を見ている。
すごく嫌な感じ。
「では、外で新しい車を選びましょう。いえ、同程度の車を、同じ値段で良いですよ」
と、事務の男性が唐突に言い、展示場に連れ出されました。
80万円以上の新古車が並ぶスペースまで来ると、好きなのを選んで欲しいと言う。
戸惑っていると、男性は悲痛な顔で、
「ごめんなさい・・・本当にごめんなさい。止め様としたのですが出来なかった」
先ほどから訳が解らずイライラしていたので、車の陰に引き込んで、
問い詰めるとトンデモない事を言い出した。
「あの車の所有者は、全員不幸になっているんです。
死んだのは今回で3人目と聞いています。
社長がどこから買ってきたのか解りませんが、
あの車がこの店に来て貴方を含め4人に売りました。
以前の3人は、病気と入院と自殺で、車だけがココ戻ってきているんです」
「あの車、整備の為移動させようと乗り込むと、
私も凄く不安で気分が悪くなりました。
最初は、排気やクーラーガス、車内にやエンジン内に薬物でも付いているのかと疑いましたが、
全て正常でした。
社員達が何度も社長に『潰す』様に言ったのですが、
社長は聞き入れませんでした。
この不景気に首にされるわけにもいかず、
我々も強い事が言えなかったのです」
「あの車は、廃車手続きが終わりました。
警察の許可が出次第、我々の立会いの下、スクラップにします。
社長がいなくなって、やっと潰す事が出来るようになりました」
「さあ、社員一同からのお詫びの意味もありますので、
遠慮無しに好きな車を選んでください。
これなんかどうです?フル装備、新車同然。ナビとカーステもサービスしますよ」
あまりに勝手な言い草に腹が立ちましたが、
展示車のM○Xにオプション装備でなんとか機嫌が直りました
自分の勤める会社の工場で起こった話。
自分の勤める会社は電子関係のメーカーで工場はクリーンルームになっています。
今のように携帯電話やPCが普及して生産が追いつかない時は
24時間体制で工場を稼動させるようになっています。
クリーンルーム内の作業はクリーンスーツと言う上から下までつなぎの不織布で
作られた服と目の部分しか開口部のない帽子とマスクを付けて行います。
見た
で、クリーンルーム入室時にはエアーシャワーと言う空気を噴射して
ホコリやゴミを除去する部屋があります。
前置きが長くなりましたが、夜間にクリーンルーム内で作業をしていると時折
無人のはずのエアーシャワーがゴーッと音を立てて噴射することがあったりします。
これくらいは誤動作も考えられますし、センサーの異常かも知れないので
普通は気にしませんが、ごくまれにいないはずの人がいたりするんです。
クリーンルーム内はいくつかの部屋に分かれているんですが、
その扉の窓にクリーンスーツ姿の顔が覗いていることがあるんです。
しかし、扉の窓と言うのは廊下からの
光を遮るために遮光フィルムが貼ってあり中からも外からも姿が見えるということはないんですが・・・。
それから作業している人数が一人多いと言うこともあるようですが、
お互いの顔が見えないので一人や二人増えていても余り気にしないようにしています。
ところが、ある夜間作業の時、交代でクリーンルームに入ると
現場は作業途中でほったらかしにされて誰もいないと言うことがありました。
そこで更衣室や休憩室を探すと逃げ出した作業員たちが震えていました。
話を聞くと作業をしていると白い半透明の女性が赤ん坊を抱いて壁から出てきて
反対側の壁をすり抜けていったとのことです。
工場内で死んだ作業員もいないし、
工場用地が墓地だったと言うこともないし、
なぜそんなものが見えたのかはいまだに分かりません。
とにかく説明のつかないことが起きたのは確かです。
M県Y市T病院。今から35年前の、梅雨時の晩の事である。
夜勤に当たっていた新人看護婦M子は、1年先輩のHとナースステーションにいた。
その頃M子は独り暮らしをしようと考えており、Hに部屋の家賃の事や家具の事を相談していたという。
時間は午前1時半。前日22時の巡視が終わり、次の巡視まであと30分というところだった。
突然、ナースコールが響いた。どこからのコールなのか、パネルを見て確認する。
するとどうした事か、ナースコールは、半年前に閉鎖し廃病棟となった西棟から掛かっていたのである。
西棟は電気はまだ通っているが窓は塞がれて、外来に使われていた玄関にも鍵が掛けられている。
ナースステーションから鍵を持ち出さない限り、人が入る事は出来ない。
2人は戦慄した。
しかし病棟の管理の事もあり、見回りに行かなくてはならない。
Hがあまりに怖がるので、多少楽天的で活発な性格をしたM子が見回りに行く事になった。
ナースコールは西棟の1階、112号室から。
M子は懐中電灯を片手に、半年前までのこの病棟の様子を思い出しながら112号室へ向かった。
少し立て付けの悪いドアを開ける。
すると不思議な事に、病室から薄ぼんやりした灯が廊下に溢れた。
病室の裸電球が点いていたのだ。
風もないのに、電気の紐が揺れている。全く無気味である。
M子はもうシーツやマットを取り除かれ、
冷たい鉄パイプと板だけになったベッドの上に、妙な物が置かれている事に気付いた。
古ぶるしい木の箱と、聖書。
木の箱には臍の緒が入っていた。
……切支丹DQNの仕業か?
俺の友人の話を…。
友人は、とあるパソコンリサイクルメーカーに勤めていた。
不要になったパソコンが集められ、使える部品は検査して
再利用されるらしい。友人は、ハードディスク(以下HDD)を
担当していました。
ある日、友人はフォーマットされていないHDDを見つけた。
単調作業に飽きていた友人は、本当はいけないのだがそのHDDの内容を見てみることにした。
すると、2.1GBのHDDは、ほとんどがエロ画像で埋め尽くされていた(らしい)。
友人は、それらを複数枚のCD-Rにコピーして持ち帰ってしまった。
自宅へ戻り、興奮しながらコピーした画像をチェックしていると、
地図らしき画像を発見。それはこの付近の地図で、山の奥のところに
Xマークがついている。これは何かがあるに違いないと思った
友人は、休みを利用してそこへ行ってみることにした。
そしてある休日、友人は一人でスコップとプリントアウトした
地図を持って山に入った。
俺も誘われていたけど、その日は仕事だったため、行かなかった。
登山道を外れ、道なき道を歩いて2時間、ついにその場所へつく。
ちょうど、そこだけがちょっとした広場になっていたらしい。
友人は、興奮しながらスコップで地面を掘り始めた。
エロ画像に紛れていただけに、エロ本やその類の物が出てくることを期待していたのだろう。
しばらく掘ると、水色のビニール袋が出てきた。
興奮のあまり、友人は一気にビニール袋を開封した。
しかし、中から出てきたのはエロ本なんかではなかった。
気持ち悪い記号がびっしりと書き込まれたお札の山…。
ぱっと見た感じでは、おそらく数千枚という数だったらしい。
とにかく記号やら絵が気持ち悪いらしく、友人は土をかぶせると速攻で帰った。
次の日、友人が出社すると社内はパニックに陥っていた。
どうやら、泥棒が入ったらしく、保管庫にあったメモリやらマザーボードが盗まれたらしい。
盗まれたものの中には、例のHDDも含まれていた。
警察の現場検証で待機命令が出たため、友人は昨日の出来事を同僚に話そうとしたその時、
女子社員が悲鳴をあげながら友人の所へ来た。
友人の車に、気持ち悪い絵が書かれたお札が貼られているという。
それを聞いた友人は、まさかと思い自分の車を見た。
助手席側の窓に、昨日のお札が貼られている。
今日家を出るときには、貼られていなかったはずなのに…。
それに、お札は1枚も持ち帰っていない…。
その日以来、友人の車には毎日お札が貼られるようになった。
警察に頼んで自宅周辺のパトロールが強化されたが、お札は毎日、しかも1枚ずつ増えていく。
相談を持ちかけられた俺は、隠しカメラを設置して誰が貼っているか監視したらどうかと言ったが、
友人は
「そんなことしたら、殺される。」と震えていた。
友人とは長い付き合いだが、こんなに怯えている友人を見たのは初めてだった。
半年後、友人は会社を辞め、どこかへ引っ越した。
突然のことだったので、連絡手段もない。
今でも、お札は貼られ続けているのだろうか?
Kさんというタクシー運転手が遭遇した話です。
ある夜遅く、客を探して走っていると、手を上げている若い女の人が見えました。
「こんな夜遅くに一人で危ないな・・・」
と思いながら彼女を乗せると、Kさんは妙な事に気づきました。
彼女の着ている服は病院の患者が着ているようなもので、
Kさんは気味が悪くなりましたが、その女性はぼそぼそと行き先を指示しました。
「そこを右へ・・・」「そこを左へ・・・」
路地を進むにつれKさんは、さっきから同じ場所をぐるぐる回っていることに気づきました。
冷やかしだと思って腹が立ったKさんは、「同じところばっかりじゃないか、
降りてくれ!怒鳴って、その女性を車から降ろしました。
憎らしげにKさんは、「頭がおかしいんじゃないのか?!」とつぶやくと、
その瞬間にバックミラー越しに、物凄い形相をしたその女が四つん這いで車を追いかけてきました。
それも信じられないスピードで。
恐ろしくなったKさんは必死に逃げましたが、
後日その話を同僚にすると、ずっと前にその近辺にあった病院で火災があり、
入院していた若い女性が焼け死んだ事を知らされました。
その女性は煙で前が見えないために四つん這いになって病院の廊下を
何度もぐるぐると這って逃げるうちに亡くなったそうです。