【ネギま!】4番 綾瀬夕映萌えスレッド【第17章】

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782名無しかわいいよ名無し
 日毎に空気が冷えていくようなので、私はオマルに便座カバーを着ける事にした。
樹脂素材の白い胴体にピンク色のカバーが映えて、ややすれば無骨にもなりがちなオマルに、幾分の華やかさが演出された。
見る者から賛辞の一つ位あってもいいものだが、同室の二人はここ最近、私と目を合わせようとすらしてはくれなかった。

 悲しい事だと思う。
のどかとパルの二人には、物事の本質というものが見えていないのだ。
従来不浄のモノとして扱われてきた糞尿が、その実美味で栄養に富んだものであるという逆転の価値観。
それを受け入れられる程には、二人の思想は未だ熟成されていなかったのだ。

 また、これは何もこの二人だけに限っての事ではなかった。
四葉さんを除いた3-Aの誰もが、私の提示した新たな価値観に激しい拒絶を表した。
今や3-Aの人間で私と口をきいてくれるのは、四葉さんとネギ先生のたった二人だけだ。
そのネギ先生にも、何処か余所余所しい態度が目立つ。

 中には『これだからAB型は』などと陰口をたたく者もいたが、これは浅慮であると言わざるを得ない。
AB型に変人が多いという血液型占いの説を私への批判の根拠としているのならば、その占いは完全に大外れである。
元より私は血液型占いなどという代物を信じる口ではないが、だいいち飲尿健康法なるものすら実在しているのだ、
糞尿に対する私の価値観は極めて正しいと言える。
"間違っている"のは彼女達の側なのだ。

 オマルのカバーに尻を載せ、深く息を吸っては力む。
この繰り返しこそが、私が生きている事の証明であるように思われた。
排泄を通して、自己を確認しているのだと思えた。
また多くの場合において、排泄の時間とは憩いそのものであるはずだ。
ましてや私にとって、これこそが"命の洗濯"であるといっても過言ではない。

 ブリッ!ブリブリッ!!!ジョロロロ……プゥ〜ッ

排泄に混じって奏でられる放屁は、正に極上のセレナーデ。
聞く者全てに感動を与える、優美で絶異なる調べだ。

 そうして美の体現に陶然とする私の耳に、部屋の扉の開く音が聞こえた。
パルとのどかの二人が買い物袋を手に提げ帰ってきたのだ。
 「あぁ〜、お腹空いた……早くご飯にしよっ」
 「うん。そっ……そう、だね」
部屋の片隅でオマルに跨っていた私を一瞥し、そのまま何事もなかったかのように会話を続ける二人に、
一抹の寂しさを覚えないでも無い。
しかし、漸く見いだした新たな価値観を手放してまで二人にすり寄るつもりなど毛頭無かった私には、
いつか二人がこの糞尿文化を受け入れてくれるようになるまで、ただ糞尿の尊さを説示し続けるより他になかった。
だが、この素晴らしい思想を啓蒙しようにも、これまでのように其れをただ説いて聞かせるだけでは、
相手の拒絶をいたずらに引き出すのみに終わってしまう。
何か良い方法は無いものか……。

 私が物思いに耽っている間に、二人は夕飯の準備をあらかた済ませてしまったらしい。
この臭いは……今夜の食事は、どうやらカレーのようだった。