ジャンプキャラ・バトルロワイアルSS投下専用スレ PART.1

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149蒼き虎と黒き龍
深夜の森に甲高い音が響く。
リズム良く火花を散らし、音色を奏でるそれは、刃物が奏でる戦闘曲。
闇の中、山口県の山中で、その戦いは繰り広げられていた。

飛影は闇に紛れ、一定の距離を保ちながら、飛び回るようにナイフで切りかかる。
対する桃は、その攻撃を巨大な円形の刀で受け止め反撃に転ずる。
どちらも譲らぬ一身一体の攻防。

桃の持つこの奇妙な刀。
名を燐火円礫刀と言う。
魔界整体師、時雨の愛刀であり。
皮肉にも、対峙する飛影に邪眼の手術を施した張本人の愛刀である。
その威力は斧が如く。
その切れ味は薄刀の如く。
並ぶもの無き無双の刀。
その奇妙な形状から、扱えるものはそうはいない。
だがこの扱い辛い刀を、桃はいとも簡単に使いこなしていた。

―強い。
その男の実力に、飛影は少なからず動揺を隠せずにいた。
あの男しか扱えないと思われた燐火円礫刀を、いとも簡単にこの男は扱う。
剣技は互角か。
いや、武器の面で自分が不利か。
だが自分には、第三の目と炎がある。
総合的には自分に分があるはずだ。

「――邪王炎殺剣」
飛影はナイフを柄とし、炎の剣を紡ぎだす。

これで武器は互角。
ならば、まだ炎の妖気がある自分が負ける道理が無い。

「ほう、炎か。いいね、燃える野郎は嫌いじゃないぜ」
その剣を見て桃は笑う。
戦闘中に浮かべるその実に楽しそうな笑みは、どこかの馬鹿を思い出させた。

「チッ」
気に食わない。
飛影は舌を打つ。

妙な人間、自分を変える。
そんなものはいらない、自分には戦いしかないのだから。
そうだ、戦いだ。
目の前には極上の獲物がいる。
なにを迷うことがある。
150蒼き虎と黒き龍 :2005/07/03(日) 23:31:25 ID:63+yrZxY
「…行くぞ」
飛影は炎の剣を構え一歩踏み出す。
「おう、来いチビ助」
桃は涼やかに笑い、飛影を迎え撃つ。

地面を蹴り、闇に同化した飛影は風のように駆ける。
同時に振り下ろされた炎の剣を、桃は円礫刀を傾け受け流す。
だが、既に飛影の左腕には炎の妖気が纏われていた。
「炎殺煉獄焦!」
突き出される炎の拳。
その炎の拳を、桃は素手で受け止めた。
「熱いね、だが、男塾の魂はもっと熱いぜ」
拳を受け止めながら、桃は飛影に蹴りを放った。
だが、飛影はその場から即座に離れ、蹴りを回避する。
そして再度、戦いは仕切りなおされた。

飛影が斬る。
桃が弾く。

桃が薙ぐ。
飛影がかわす。

飛影が燃やす。
桃が受ける。

桃が蹴る。
飛影が避ける。

どれほどそれを繰り返しただろう。
接近戦では埒か明かないと判断した桃は、斧が威力の円礫刀を強く振り、飛影を弾き飛ばした。
そして、距離をとった桃は必殺の構えを取る。

「王虎寺超奥義暹氣虎魂!!」
振り抜かれた円礫刀から青白いエネルギーが放たれた。
牙を剥き、爪を唸らすその姿はまさに虎。

「邪王炎殺黒龍波!!」
着地した飛影は、答えるように右手を突き出し、その腕から黒く燃える闇の龍を解き放った。

激しくぶつかり合う蒼き虎と黒き龍。
蒼き虎は全てを砕き。
黒き龍は全てを焼き尽くす。
暴れ狂う龍虎のエネルギーは、周囲の木々を薙ぎ払い辺りを更地に変えてゆく。
そして、散々暴れ狂ったエネルギーが辺りの景色を完全に変えきった頃、龍虎は上空で弾ける様に消滅した。
151蒼き虎と黒き龍 :2005/07/03(日) 23:31:44 ID:63+yrZxY
桃はじっとそれを見上げていたが、大きく息を吐くと口を開いた。
「ふう……俺の負けか」
そう呟き飛影に目を移す。
そこに立つ飛影の姿に、なんら変化は無いように見られた。
だが、桃ほどの実力者には理解できた。
飛影の纏う、その黒き力を。

先程の黒龍波は消滅したのではない、飛影が黒龍を食ったのだ。
アレほど爆発的なエネルギーを飲み込んだその器。
黒い炎に包まれた莫大なエネルギーが桃には見えた
もはや自分でアレにはかなわないだろう。

「と、言いたいところだが。諦めないのが男塾精神でね、精々足掻かせてもらうぜ」
燐火円礫刀を構え、このような状況だというのに桃は朗らかに笑う。
その目は強く輝き、諦めないという強い意志が篭っていた。
「それじゃま……行くぜッ!!」
駆け出した桃の怒声が、深夜の山に木魂した。


――――――――――――――――――。


闇を駆ける飛影は焦っていた。
あの男の実力は自分の想像以上だった。
まさか黒龍波を使う羽目になるとは。
このままでは副作用である冬眠が始まってしまう。
早急に安全な場所を探さなければならない。

頭が重い、ドロリとした眠気が意識を犯す。
もはや邪眼を開放するのすら辛い。
なんとか意識を奮い立たせ、飛影は邪眼を開放する。
そして人気の無い、安全そうな建物を発見した。
出来れば周囲の安全も確認したいが、もはやそんな余裕は無い。
急いで飛影はその建物に向かった。

 【山形県の山中/黎明】

 【飛影@幽遊白書】
 [状態]:極度の疲労と眠気
 [装備]:マルス@BLACK CAT
 [道具]:荷物一式、燐火円礫刀@幽遊白書
 [思考]:1冬眠する
 2幽助と決着を付ける、強いやつと戦う

【剣桃太郎 死亡確認】
【残り120人】