ジャンプキャラバトルロワイアル準備スレ PART.3

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260試験投下
「いやー、君の扮装をいきなり見たときは驚いたけどいい人で良かった!」
「扮装って…… 一応、これでも本物のヒーローなんだけどね。ともあれ、よろしくお願するよペドロくん」
「ああ、共に頑張って仲間を探し出し、この島を脱出しよう! 友情マン!」
「これで僕たちは友達というわけだ。この調子でどんどん友情の輪を広げていきたいね」
「もちろんさ!」

森の中でばったりと出会った二人。
突然このような殺し合いの場に放り出され、実直なペドロはかなり神経を張り詰めていたが
友情マンの友好的な態度に安堵し、現在は逆にかなりハイテンションになっていた。
「それで具体的な行動方針だけどこれからどうするんだ?」
「そうだね。ここから北に行くと街があるらしいんだ。
 人が集まりそうだからここで友達を増やそうじゃないか」
「OK!」
支給品の地図を眺めながら方針を示す友情マンの言葉に迷う間もなくペドロは頷く。
不安の裏返しであろうそのハイテンションに友情マンは気付いていたが、そのことには触れず
何気ない会話とともにペドロを連れて北上を始めた。

「そうか、ペドロくんは空手の達人なんだね」
「達人というほど自惚れちゃいないが、結構やるほうだと思うぜ?
 何しろ世界一といえる凄い先生の下にいるからな!」
「そいつは凄い。僕はヒーローと言っても後方支援が主で戦いは苦手だから
 君に護ってもらえるなら安心だなー」
「任せておけよ! HAHAHA!!」
ペドロのハイテンションは変わらないが、友情マンはそれに合わせて
おだて、持ち上げてしっかりと戦闘はペドロに任せられるように予防線を張っていく。
個別に支給されたアイテムもお互いに確認してみたが、どちらも戦闘用のアイテムではなかった。
そんな時、山道の前方から接近してくる一つの影に気がついた。
向こうはその前から気がついていたらしい。迷わずにこちらに向かってくる。
近づくにつれて姿がハッキリと見えてくる。
全身緑色のスキンヘッドで、2mを超える巨躯。頭に奇妙な触角のようなものがついている。
人型をしているが明らかに人間ではない。黒い道着のような服の中心に魔の文字が入っている。
その者の発する正に魔人というべき威圧感に思わず立ち止まり、戦闘態勢を整える二人。
まずはペドロが威嚇の声を上げる。
「待て、そこで止まってくれ! 俺たちに戦う意志はない!
 仲間を募り、この島を脱出する術を探しているんだ! 君もよければ俺たちの……」
しかしその緑色の男は意に介した様子もなく歩みを止めずに向かってくる。
その口元は嘲笑に歪んでいた。
「グフフ……虫けらどもが徒党を組んでこの島を脱出だと?
 可愛いことを考えおる。しかし……浅はかだな!」
言うが早いか、緑色の男はペドロに襲い掛かり、爪を翻らせる。
「くっ!」
ペドロ間一髪で避けるが、空を切った男の爪はペドロの背後にあった巨木を中ほどまでえぐりとってしまった。
「な、なんてパワーだ!?」
「ちぃっ、このピッコロ大魔王様の力がここまで制限されているとはな!」
その破壊力に驚愕する友情マンだが、男は悔しそうに吐き捨てる。
『あ、あれで制限されているだって?
 僕のヒーロパワーもいくらかは制限されているが……とてつもない化け物だな
 これは、勝てない』
「待ってくれ!あなたはこのゲームに乗るというのか?
 主催者の思惑に従うのか!王と名乗るものが!」
冷静に勝利を諦めた友情マンは咄嗟に逃走の隙を作るために問いを投げつける。
わずかな情報から導き出した相手が答えざるを得ないであろう問いを。
狙い通りピッコロは動きを止め、友情マンを見据える。
「わしはわし以外に王と名乗る者を許さん。奴らは必ず皆殺しにしてやるとも。
 しかし今、わしの命が奴らの掌の上にあることも事実だ――忌々しいことだがな。
 フン、奴らの思惑に乗るのは確かに気に喰わぬことである。
 だが奴らの元に行く手段がこれしかないのであればいたし方あるまい。
 この島の全員を殺しつくし、首輪を取り去った後に直々に奴らにわしの恐ろしさを思い知らせてやるわ!
 貴様らはその手始めだ!」
261試験投下:2005/06/07(火) 00:10:26 ID:NmlJH3Nh
「だったら、お前の方をこそ永遠に王を名乗れなくしてやる!」
その口上を聞いて逆上したのか、ペドロが隙を突いてピッコロに打ちかかる。
先ほどの友情マンとの会話で自分が戦わなければという観念もあったかもしれない。
しかしそれは余りにも無謀な突撃だった。
「よせ、ペドロくん!」
友情マンの静止も虚しく、ペドロの拳はピッコロに向かって打ち出される。
ドン!
「フフン、なんだそれは? 蚊に刺されたほどにも感じんぞ?」
「ぐあぁ! そ、そんな馬鹿な……」
まるで分厚いタイヤを殴ったような衝撃に逆にペドロのほうが拳を痛めてしまう。
「拳というのはな、こう撃つのだ!」
お返しとばかりのピッコロのアッパーカットをペドロは避けようとするが、避けきれずに左腕に喰らってしまう。
 メ ギ シ ャ ア 
なんとも嫌な音を鳴り響かせて、ペドロの左腕は肩口から千切れ飛んでしまった。
「うぎゃぁああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「ペドロくん!」
絶叫を上げるペドロに追い討ちを喰らわせようと爪を振りかぶるピッコロ。
しかしその瞬間、友情マンがピッコロに向かって飛び蹴りを放った。
「ムッ!?」
予想外の鋭さを持った蹴りにピッコロは咄嗟にその場から後方に飛んで避ける。
間合いが開いた瞬間に友情マンは自分の頭についた太陽の形をした飾りを腕で囲むようなポーズをとった。
「太陽光線!」
飾りから眩いばかりの熱線がピッコロに向かって撃ちだされる。
眩しさに思わず眼を閉じたピッコロはすぐに両手を目の前にかざして身を守る。
衝撃。しかしその衝撃は自身に降りかかったものではなかった。
眼を開くとそこには朦朦と煙る土煙。
友情マンはピッコロの足元に光線を放ち、二重の眼晦ましを仕掛けていたのだ。
「おのれぃ! 小癪な真似を!」
土煙を掻き分けて、煙幕の外に飛び出すがそこにはもう二人は影も形も存在しなかった。

息を荒げながら森の木々を掻き分けて走る二人。
特に腕を失ったペドロは顔面を蒼白にし、息も絶え絶えの様相だ。
「大丈夫かペドロくん?」
「……ああ、こんなもの何ともないぜ……すまないな友情マン」
強がりながらも走り――それはもう殆ど歩みとなっていたが――を止めずに答える。
友情マンはその様子を見、ペドロの腕から血が絶え間なく滴り落ちているのを見て舌打ちする。
『チ、存外に役に立たない。これはもう……利用価値はないな』
友情マンは立ち止まり、表情だけは穏やかにペドロに腕を差し出す。
「ペドロくん、荷物をこっちに渡してくれ。
 手当てもしなければならないし、君の負担も減らさなくてはね」
「……だ、だが今は手当てをしている暇は……距離を稼がないと……」
逡巡するペドロに諭すように声をかける。
「いや、君はもう限界だ。それにここまでくれば大丈夫さ。
 手当てをしないと君が危ない。さあ、荷物を」
「ありがとう、友情マン」
ペドロが弱弱しく、荷物を友情マンに渡す。そして荷物を受け取った瞬間――
 ザ ク
友情マンの貫手がペドロの胸板を貫いていた。
「な……ぜ、友……情マ、ン?」
まるで何かの冗談でも聞いたかのように呆然と友情マンを見るペドロ。
「君が余りに役に立たないからだよ、ペドロくん。
 せっかく逃げたのに君の血が道標となって敵を案内してしまうじゃないか。
 止血をしたところで今度は足手纏いを抱えることになるからね。
 それなら、いっそのことここで死んで僕のための囮となってくれたまえ」
「な、……友、情マン……貴様……!」
ペドロは最期の力を振り絞って友情マンの肩を掴む。
「友達だと…言ったじゃないか……あれは嘘だったのか……?」
すがるように友情マンにしがみつくペドロ。
262試験投下:2005/06/07(火) 00:11:08 ID:NmlJH3Nh

しかし友情マンは冷徹にペドロを振りほどいた。
「触らないでくれないか、敵が臭いにも敏感だったらどうするんだ。
 それにね、友達と言ったのは嘘じゃあないさ。
 ペドロくん、君は考え違いをしているよ。 君は僕の友達なんだ。
 だ っ た ら 僕 の た め に 命 を 捨 て る の は 当 然 だ ろ う ?」
「そ、んな……」
「僕は君の尊い友情を快く受け取るよ。
 君のおかげで僕は救われる。君はそのことを誇りに思っていいんだ。そうだろう?」
「…………」
「君の友情は忘れない。
 さよなら、ペドロ=カズマイヤー」

 グ シ ャ

いつの間にか友情マンの手に握られていた石が振り下ろされ……ペドロは物言わぬ骸となった。
「ふう、やれやれ。早くここを離れないとな」
何でもないかのように呟いて友情マンは走り出す。
『それにしてもあんな化け物がいるとはね。
 その化け物にしてもどうしようもなくゲームに従うしかないときた。
 これは島の脱出は思った以上に困難だな』
ヒーローである自分は集められた者たちの中でもかなり強い方だと思っていた友情マンだが
その考えを改めることにする。
そしてその化け物にもゲームを強制させることの出来る主催者たちのことを思考に上らせた。
一人一人がとてつもない力を持っていることは最初の説明での顔合わせのときに推し量ることが出来た。
もともと友好関係が幅広く、人を見る眼には自信のある友情マンである。
しかしその眼力を以ってしても底の見えない彼らの強大さに
徒党を組んだところで到底勝てないことを彼は冷静に認める。
しかもそれが三人だ。
一人であったなら不意を突くことができたかもしれない。
二人であったなら軋轢を生むことができたかもしれない。
しかし三人ではいかなる隙も生まれることはないだろう。
主催者に逆らうことは不可能。ならばどうすればいいのか。
263試験投下:2005/06/07(火) 00:11:56 ID:NmlJH3Nh

友情マンの口元が笑みの形に歪む。
「主催者達と友達になればいい。簡単なことだ。」
彼らが喜ぶことをして、認めてもらうのだ。
果たしてそれは何なのか?
「ゲームを成功させること」
この島にいる自分以外の129人を全て殺し、最後の一人になることだ。
「おっと、もう128人か。それとももっと減っているかな?」
自問自答を繰り返しながら友情マンは走り続ける。
しかしそれにも問題がある。先ほどであったピッコロのような化け物の存在だ。
彼らは例え隙を突こうとも容易に倒せる相手ではない。自分の兄も含めて。
「仲間が必要だ」
強い仲間だ。ペドロのような役立たずではない、化け物と同格の強者の存在だ。
そんな存在を友情を結び、化け物にぶつける。
それを繰り返して最後に残った弱りし者を自分が倒す。
これが理想だが、そう上手くもいくまい。臨機応変に策を取る必要がある。
だが友情マンには確信があった。
自分はうまくやれる。必ず自分のいいようになる。
自分は強者ではない、賢者なのだ。賢きものこそがこの舞台で生き残ることができるのだ。
もう、彼の心からはヒーローに相応しい正義の心は完全に消え去っていた。
森を抜け、平野にでる。そこには街道を歩く人影が見えた。
友情マンは自分の身体に返り血がついていない事を確認し、極上の笑顔で語りかける。

「やあ、僕の名前は友情マン。早速だけど友達にならないかい?」

【場所不明/1日目/時刻不明】

【友情マン】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:デイパック(支給品一式)、ペドロのデイパック
[思考]:強い者と友達になる。/最後の一人になる。

【ピッコロ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:デイパック(支給品一式)
[思考]:ゲームに乗る。/最終的に主催者を殺す。

【ペドロ=カズマイヤー 死亡】
【残り??名】