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五歳。祖父の葬儀のため、お前をペットショップに預けた。
四日目の朝、ペットショップからかかってきた電話。
「早く迎えに来てあげてください」
予定を切り上げて急いで迎えに行くと、四日間飲まず食わずのお前がすり寄った。
悲しいことがあって泣いていると、オドオドして顔をのぞきこもうとする様子に思わず笑顔がこぼれた。
空から降る雪を食べようとして、宙で口をパクつかせてはしゃぐお前と制服のままころげまわった。
クッキー、お前が天国に行ってから十年、今でも同じ犬種を見るたび、お前の姿が目に浮かぶよ。
「お前、うちにもらわれて幸せだった?」
いつも最後にいきつくお前への問いかけ。
「幸せだったよ」
夢でもいい、そう伝えてくれたなら------、
私もまた新しい気持ちで、犬と家族になれる気がするのよ。