(つづき)
・クルマの運転は犯罪の一歩手前の行為だという認識が、絶望的にない。ひき逃げ犯を捕えてみれば、
そのほとんどが昨日まで善良な市民だった人々という事実からは、この重篤な罪を犯すことは、何ら
特別なものでないことが分かる。その他の軽い道交法違反をも犯罪だと考えるなら、彼らのほぼ全員
が犯罪者だと言える。
・上に関連して、ゆえに彼らの心理は日々荒廃してゆく。鋼鉄製の密室の中では、誰もが品行下劣な
言動をはばからない。ドライバーはその事をよく知っており、あたかも敵同士のように互いを忌み
嫌っている。
・クルマそれ自体の詰まらなさに一向に気づかない。単なる工業製品によせる以上の愛着を自動車に
寄せたり、無茶なスピードを出して喜んだりするのは、現代人の心理に巣食う幼児趣味である。
人は成長とともに、物事の外部よりもその本質を見るようになるのが自然だが、クルマ社会の内実
は、目を覆いたくなる惨状である。少しでもこれを知った者は、もはや二度とクルマを楽しむなど
という芸当はできなくなる。であるのに、しかし・・・・・・ふぅ。