【キセノン】 後付HID Part35 【短文で語るスレ】

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18長文親方
スレチな話題だが、本スレ>>44氏の素朴な疑問に答えるべく、過疎って消える寸前のこのスレを利用して書いておく。

以下は、技術的な点以外は俺の独断と偏見が多分に入っているので、賛同できなくても
突っかかってこないでくれるとありがたい。

家庭用としての放電管利用はいくつか障害があるので、現状では普及していないのが実情だ。
また、将来的にもたぶん普及はしないだろう。
店舗や商業照明の世界では一般的になっているが、これも普及のサイクルが一段落ついて、
適材適所の使い分けとして定着している。なので、この先HIDだらけになるかというとそうでもなく
蛍光灯がメインのベース照明として確実な地位に君臨するだろう。

一般家庭でHIDを使用する場合の障害としては、まず、ランプ価格が高い。寿命が長いとはいえ
一本で数千円から一万数千円ほどになってしまう。
つぎにバラストやインバーターが高かったり、入手がそこらへんでは出来ない。
さらに輝度が高すぎて、視界に入るところに光源が見える裸状態で設置するには向かない。
そして致命的なのが、点灯時、再点灯時までの特性が悪く、他の電球と比べて安定まで時間がかかる点だ。
そして、点灯消灯を頻繁に繰り返すところには向いていないし、再点灯するたびに寿命が縮まるので、
一度つけたらしばらく消さないところでないと向いていない。

そして、蛍光灯が現在すごい勢いで進化してきているので、上記のHIDの欠点をほぼカバーして、
価格は安い。高くても数千円程度。
インバーターは家庭用なら電球の基部に組み込んでしまうことによって入手性とコストを良くしている。
輝度はHID並みまで上げる事が可能になり、点ではなく棒やスパイラル形状として直視しても目がつぶれない程度の
程よい明るさまでコントロールできる。
点灯立ち上がり特性も改善されて、実用なら15秒程度、定格なら1分以内で立ち上がる。
もちろんHIDと違って点灯時に色が変わって行ったりというのはないので安心感がある。
再点灯で寿命が縮まる問題も克服されてきている。
19長文親方:2008/02/02(土) 07:57:04 ID:/f0LyRle0
建物の中の照明では、ベースとなるスポット的ではない全体に広く広がる明かりが要求されるため、
その場合点光源のHIDより、棒状光源のコンパクト蛍光灯や直管蛍光灯のほうが適した形状になる。
ということで、HIDは点光源と高輝度を生かした部分での運用をするのが今のトレンドだ。
ベースは蛍光灯を使う方が導入コスト運用コストとも安いので。
ちょっとしゃれた服飾系の店舗などでは今のはやりとして、蛍光灯のベタ明かりは使わず、
HIDでスポット的に床や商品にきつめに明かりを当てて、天井面の明るさを押さえて、
ハレーションで魅せる照明技法などがはやっているが、こういう用途にはHIDは向いている。

これを家でやろうとすると明かりの陰影がキツすぎて実用的ではない。ベース照明には上記のような理由で向いていない。
すると間接照明として光源が見えない状態にして天井や壁にあてるのはなかなか効果的ないい方法だ。
明かりに関心がある香具師だとそういうテクニックも知っていたり試したりするが、
一般的なレベルだと明るければそれで良いレベルなので、そういう香具師は蛍光灯で十分という事になる。
車用HIDは車の過酷な環境を満たすべく開発製品化されているので、温度性能とか再点灯性は非常に良好だが
それ以外の基本的な性能ではディスプレイ用に大きく劣っているので、再利用で使用して気に入っているのでなければ
ディスプレイ用の放電灯の使用をお勧めする。
先日書いたフィリップスのCDMは35Wで、電圧80V付近で点灯するので、車用バラストで点灯することが出来る。
球の価格も定価12000円だが、だいぶ普及したので売値は半額ぐらいになっている。
そして色温度は電球と同じぐらいの3000kなので、家で使うには落ち着くだろう。
逆に、温度特性を無視できるなら、CDMを車に積んで使う事も出来る。
無着色で電球色だ。イエローではないが。
20長文親方:2008/02/02(土) 08:23:05 ID:/f0LyRle0
最後に環境について。
RoHS指令なる物が最近幅を利かせてきていて、この流れはアメリカよりヨーロッパの方がヒステリックに近い運動になっているが
アメリカはおおらかというか、浪費が美徳のような認識が蔓延しているので、安い電気代で
白熱電球を家中一日中つけっ放しとか当たり前だったりする。
一方ヨーロッパ各国ではそこまで資源が潤沢ではないので、電気は節電という考え方が日本同様浸透しているが
歴史と国民性から、日本と違って青白い光は好まず、家庭で使用するのは電球色が標準になっている。

ここで電気喰う白熱電球より、もっと省電力な電球色蛍光灯やLEDを使おうという流れなのだが、もう一つ大きな理由がある。
白熱電球や従来の水銀がたくさん入った蛍光灯や放電管や、鉛が入った電子回路基板は、
いまや中国やそれ以下の技術レベルの国で簡単に製造できてしまう。
すると、産業的にヨーロッパのメーカーは窮地に立たされてまうわけで、実際そうなってしまっているので、
基準を厳しくして、そのような二流品、枯れた技術で作った安い物をシャットアウトする事が最重要事項になっているわけだ。
なので、環境がどうのこうのなんていうのは方便でしかない。

ヨーロッパの大手メーカーは国際的に影響力が大きいのと歴史があるので、そのような政治力でRoHSなんて言う馬鹿げた
厳しい基準も通してしまうわけだが、もちろん、環境にダメージが少ない、その企業でしか作れない
優れた技術も持っているわけで、それしか採用できないように締め付けていると言った方が良いかもしれない。
日本は基準が厳しくなると、なんとかそれに合わせて通る製品を作れてしまうだけの技術力があるのでまだしばらく安泰だが、
上記のように環境のためというのは二の次の大義名分で、本音はヨーロッパの地元老舗企業の特許以外では作れない物で
固めるのがメインの目的なので、ヒステリックな品目規制には疑問な点ばかりだったりすごく矛盾していたりする事が多い。
21長文親方:2008/02/02(土) 08:23:28 ID:/f0LyRle0
まあ、長い目で見れば過去の車の排ガス規制のように厳しくしてよかったという事になるんだろうが
俺の持論としては人間や地球に優しい物質は工業製品としてはいい性能がでない物がほとんどだと思っているので
判断が難しい。

ちなみに白熱電球は製造コスト、材料ともに環境ダメージは非常に低い部類に入るのだが、電気代だけがかさむ。
ただし、これを電気代だけは安いが、材料、製造コスト、さらにインバーター回路まで内蔵して
廃棄時の環境ダメージまで考えるとダメージ低いと言えないインバーター蛍光灯がなんで絶賛されるのかを考えてみると
環境問題なんて矛盾だらけという事に気がつくかもしれない。

あと、トイレの電気のようなところは使用時間が短いので、蛍光灯ではなく白熱電球を使った方が安い。
蛍光灯を使うと再点灯時の劣化であっという間に使えなくなる。
お年寄りが夜中にも使うというなら、逆に電球型蛍光灯を一日中つけっぱなしの方が安く上がる。
適材適所で考えるのが重要だ。

最後に、真剣に環境の事を考えるなら、使っていないときのPCの電源を切る事をお勧めする。
これだけで電球型蛍光灯で二部屋分ほどの電力消費を抑えられる。