____ r っ ________ _ __
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詳しくは
>>2ぐらいが説明してくれます
2 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/04/04(月) 01:09:46 ID:5N+QkM7OO
2
78 名前:名無しさん@そうだドライブへ行こう[] 投稿日:2005/04/03(日) 14:13:58 ID:CByEjFPw0
洗車小説お試し版
その日、ヒロシは名だたる男達の集う洗車場に入った。
中には地元では有名なハードシャンプー山下が自慢のインプレッサを、
粘土二刀流の元祖と呼ばれる佐藤が33GTRを洗車していた。
そこに最近有名になり始めてきたヒロシのシーマが入って来たのだ、
洗車場の空気は張りつめ、一台のシーマの動きを見守った。
ヒロシのシーマは高圧水のあるポイントに入った。それを見た粘土の佐藤
がニヤリと笑みを浮かべる。
「バカが。高圧水は微量ながら細かいキズを付ける」
だがヒロシはそんな男達の目に気をも止めず、車のボディーのホコリを
軽く落とした後に高圧水を手に取り、ボタンを押した。
「なに!!ソフトだと!!その手があったか。しかしソフトでも高圧水
ではキズが付く可能性があるのは否定できんぞ!!」
粘土の佐藤はそう叫ぶが、ヒロシは車から3メートルの距離を取り放水を
始めた。
「な、なんだと!!その微妙な距離・・・そうか、キズを付けず確実に
ソフトな水圧で汚れを落とせる距離をヤツはすでにマスターしていたと
言うのか。なんてヤツだ・・・」
粘土の佐藤が驚愕していると、シャンプーの山下が言った。
「ヤツの洗車を見てみろ。ヤツは最近現れたばかりのルーキーだが、その
洗車の腕はかなりのものだ。見てみろ。ヤツの傍らに置かれているワック
スを。それがヤツのこだわりを証明している」
「ん?な、なに!!」
粘土の佐藤は信じられない物を見たような声を上げる。
「ば、ばかな。ザイモールだと。30万もするようなワックスをヤツは惜
しげもなく使うというのか。あり得ん。いや、しかしあのシーマの輝きが
その攻撃力を証明しているか。だがヤツの車の光沢の秘密はそれだけじゃ
ないはずだ。なにか洗車の裏技を手にしているはず」
佐藤の問いに、山下はオレは知っているというような笑みを浮かべた。
83 名前:名無しさん@そうだドライブへ行こう[] 投稿日:2005/04/03(日) 14:58:24 ID:bKORv1j30
さっきの続きは誰か書いて。
お試し第二作、洗車バトルヒロシ
今日ヒロシは粘土の山下に洗車勝負を申し込まれていた。最初は乗り気では
なかったが、洗車勝負を受けなければ親友のハタを44マグナムで射殺する
と言われ、仕方なく勝負を買って出た。
ヒロシの道具はシャンプー代わりのジョイ、シュアラスター粘土、そしてザ
イモールの三点に対し、山下は究極とも言えるソナックス、シュアラスター
粘土二つ、液体コンパウンド、ブリスとフクピカを用意していた。
「いくらザイモールが凄かろうが、究極の下地処理を得意とするオレの手に
掛かればザイモールを上回る仕上がりに出来る」
自信をみなぎらせる山下をベンチで見ていた佐藤がつぶやく。
「ブリスとフクピカか。確かに下地処理を完璧にこなせばこの組み合わせは
究極の光沢と、それに加えてわずかな艶を与え、微妙なバランスでの仕上が
りを見せ、その完成度はザイモールの艶とはまた別次元の存在となるはず」
佐藤がつぶやいている間にすでに試合は始まっていた。
得意のソフト放水で汚れを流すヒロシに対し、山下は軽く水を流しただけで
ソナックスでのシャンプー洗車に入った。それを見て佐藤が叫ぶ。
「速い!!なんてスポンジ裁きだ!!オレほどではないにしろ、これほどの
シャンプー洗車技術を持つヤツがまだこの町にいたと言うのか」
凄まじい速さでシャンプーを済ませ、ソフト放水で流しきる山下。そしてそ
の両手には新品の粘土が掴まれていた。
「出た、粘土二刀流だ。通常の二倍で作業が出来るばかりがヤツの凄い所じゃ
ない。ヤツは指先にセンサーを持つと言われる男。微量な汚れと鉄粉を指先で
感じ取り、的確な強度でそれらを取ってしまう恐ろしい粘土の使い手だ。その
技術の高さから年収1億でオート○ックスに粘土マンとしてスカウトされたと
言う嘘臭い伝説までもっているだけはある」
ひたすら感心する佐藤がチラリとヒロシに目を向けると、信じられない物を目
にした。
84 名前:名無しさん@そうだドライブへ行こう[] 投稿日:2005/04/03(日) 14:59:57 ID:bKORv1j30
「あ、あり得ない。なんて事だ。水洗いの後にジョイを使い、それだけでなん
の下地作りもなくザイモールだと。どういう事だ。勝負を捨てたというのか!!」
叫ぶ佐藤に答えるようにヒロシがボソリと言う。
「キズもあり、汚れもある車なら下地も必要だろう。だが常に最高の状態にあり、
試合前に見たところ水垢や鉄粉は確認できなかった。最高の状態で粘土やコンパ
ウンドを使い下地処理しても、その実は余計なキズを増やしてしまっているだけ
にしか過ぎない。最高だからこそ基本作業で完成させる事が出来る」
そう言い切るヒロシに佐藤は恐怖した。
洗車好きが集まるこの地で、その基本を守れるヤツが居るなんて・・・つい余計
な事をしてしまうのが人のサガというのに、コイツは人を越えているのか!!
そう恐怖せずにはいられない。
勝負はすでに見えていた。最後まで見るまでもない。
全てを見切り、常に自分の車を信じてそのコンディションをチェックしている男に
勝てるはずがない。たとえ山下がどのような武器を持ち下地を作ろうと、毎回下地を
作って居たのでは反対にキズが増える一方でしかない。たとえそれが肉眼では確認で
きないようなキズでも、最終的な艶、光沢に微量ながら差が出るのだ。
この勝負、ヒロシの勝ちだった。だが勝負の帰り、ヒロシ自慢のシーマを電柱に激突
させて廃車にしてしまったのを佐藤は見ていた。
ヒロシは洗車テクニックはおそらくこの町最強だろうが、運転の下手さも最強だった。
ヒロシ・シーマ編終了
97 名前:名無しさん@そうだドライブへ行こう[] 投稿日:2005/04/03(日) 21:39:03 ID:bKORv1j30
洗車野郎ヒロシ、新車編〜インプレッサSti〜
シーマを大破した後、ヒロシは現金一括でインプレッサを購入した。ヒロシは
実はビル○イツが日本人の愛人に産ませた子供のため、お金だけは腐る程
あった。そのヒロシが隣町の洗車場に姿を現した。
「おい、アイツ、隣町で有名なシーマのヒロシじゃねーか?」
「ああ、車は違うが間違いない。あのザイモール独特の艶はそうそう誰にでも
出せるもんじゃねーよ。ついにこっちまで勢力を伸ばしに出たか」
そういうのはB町では有名な洗車兄弟、シュアラスター加藤兄弟だった。
シュアラスター製品を使わせればこの町では右に出る物は居ないと言われ
る究極の使い手で、その名は最速最ピカを目指す洗車雑誌オプション洗車
号にも取材された程の腕の持ち主であり、噂では廃車寸前の車を磨いて新
車のようにしてしまったとも言われるほどの男達だ。
「よー、あんたヒロシさんでしょ?究極の洗車野郎で有名な」
そう声を掛けたのは加藤弟であった。
「究極かどうかは知らないけど、ヒロシです」
ヒロシはボソリと言うと洗車コーナーに車を入れて、高圧水の機械に料金を
投入した。
それを見て加藤兄弟がニヤリと笑う。
「ヒロシ、あんたは最大のミスをしたな。ここはソフトはねーぜ。洗車パワー
を選べないタイプの高圧水なんだよ。そのインプレッサのブルメタ塗装がキ
ズつくのが容易に想像できるぜ。ハハハハハ」
高笑いする加藤兄弟を無視して放水を開始するヒロシ。
「お、おい、マジかよ。キズつくって言ってんだろ」
驚愕する加藤兄弟。まさかヒロシは洗車を愛せなくなってしまったのか!!
だがヒロシも考え無しではなかった。
「強いなら必要に応じて距離を取ればいいだけの話しだ。距離を極めれば
放水の強さなんて関係ないさ」
そのヒロシの言葉に動揺する加藤兄弟。
98 名前:名無しさん@そうだドライブへ行こう[] 投稿日:2005/04/03(日) 21:41:06 ID:bKORv1j30
加藤兄弟も負けてられない。一方的ではあるが勝負に出た。
加藤兄弟も自慢のサニーを洗いに掛かる。金がないのでサニーだが、その
艶や光沢はどんな高級車にも負けないほどであった。その加藤兄弟が本気
になった。
「兄貴、いくぜ。ブラザー洗車アタックフォーメーション2だ!!」
「おお!!」
そう叫ぶと加藤兄は放水を開始、弟は濡れながらもシュアラスターのシャンプー
とクロスでボディを磨き始めた。放水とシャンプーの同時施行。兄弟ならでは
の究極の技だ。そして見る見る加藤兄弟のサニーが光り輝いて行く。それを
見たヒロシも少なからず驚きを隠せない。
そしてシャンプーが終わると加藤兄が叫ぶ。
「行くぞ!!日差しのある昼ならではの技、太陽天頂シールド拭き取りだ!!」
そう叫ぶと加藤兄は洗車コーナーの上にシートを被せて太陽熱を遮断した!!
「よし、やったぜ兄貴。これで太陽熱は遮断できた。乾いてカルキ痕が残る
心配もない。あとは二人で素早く拭き取りだ。やはり拭き取りもシュアラスター
が最高の吸水力だぜ」
宣伝のような事を言いながら素早く水分を拭き取る兄弟。友人二人では不可能
とも言える兄弟ならではの拭き取り作業であった。左右が全く同じ速度で拭き取
りされているのだ。
ヒロシにとってこの加藤兄弟は今までで最強の敵だ。だがヒロシも洗車好きであ
りそれだけは誰にも譲れない。ジョイでのシャンプーを終えたヒロシは一枚のクロ
スを取り出した。
「兄貴、ヒロシが持ってるアレは・・・」
「メガネ拭きか!!」
100 名前:名無しさん@そうだドライブへ行こう[] 投稿日:2005/04/03(日) 21:42:22 ID:bKORv1j30
そう、ヒロシメガネ拭きを取り出した。鏡面クロスも良いが、やはりメガネ拭きでボ
ディを磨くのが一番だ。だが通常はワックス後に使う物であり前に使う物ではない。
「分かってないな・・・シャンプー後に磨くことでワックスのノリを良くしている。」
ヒロシの言うとおり、ボディを磨いた後のザイモールのノリは凄まじかった。
シュアラスター加藤兄弟をも凌ぐ仕上がりであった。
「小細工は要らない。必要なはコンディションを知る愛情だ」
ヒロシのその一言に、加藤兄弟はその場に膝をつき、涙を流した。
負けた・・・あまりにもヒロシは格が違いすぎる。その仕上がりだけではなく、その
車に対する愛情もなにもかも。
またしても勝利を収めたヒロシ、だがターボ初体験の為、少しばかりアクセルを
踏み込みすぎてしまい買って一週間のインプレッサは無惨にも電柱に食い込ん
でいた。またしても廃車。
ヒロシ新車編終了
不評のためコレにて最終回となりました。
112 名前:17[sage] 投稿日:2005/04/03(日) 23:18:35 ID:Gxby1iiI0
近隣の洗車場を制覇したヒロシは、洗車道を極めるため遠征に出ていた。
到着したのは家族連れが和やかに洗車をしている、普通の洗車場だ。
「ここか・・・、伝説のコンパウンド使いが居る洗車場は・・・」
洗車ブースにクルマを入れ、挑発するようにジョイを泡立たせていると、
柴犬を連れた恰幅の良い和服姿の男がニコニコしながら話掛けて来た。
「きさん、ジョイを使うちゃ、なかなかやるね」
男はクルマに近づき、フロントフェンダーを確認するように撫でた。
「しかし、いくらジョイといえどナノ単位での洗車傷はつく。
きさんのクルマはオングストローム単位で傷が入りまくりたい」
「馬鹿な・・・そんな傷が判るというのか?」
「なんちか?きさん。舐めた口きくとぼてくりまわっそ!
オイは龍、コンパウンドの龍たい。それくらいの傷は簡単に見分けられるったい。
ちょっと退きんしゃい、本当の下地作りを見せてやるったい!」
そう言うと龍は懐からコンパウンドを取り出し、おもむろにボンネットを磨き始めた。
高速で縦横縦と磨いていく。それはとても力強く且つしなやかな動きだ。
みるみる内にボンネットの半分を磨き上げていく。
「くっ、無駄のない完璧な動き。これが伝説のテクニックか!」
「馬鹿言んしゃい。本番はここからたい!」
113 名前:17[sage] 投稿日:2005/04/03(日) 23:19:06 ID:Gxby1iiI0
龍は両手にスポンジを持ち更に高速で磨きはじめた。
残像で腕が何本もあるように見える。
すると摩擦熱で光を放ち始めた。後光が差しているようだ。
「す、凄い・・・。これはまるで千手観音!
でもそれは塗装に優しくない!止めろ!止めろーーっ!!」
止めに入るヒロシを跳ね除け、龍は叫んだ。
「ドラゴングラインドーーーーー!!!!!」
超高速で磨く摩擦面から炎が立ち上り、龍の形になりヒロシを襲った。
「ぐわーーー!熱い!熱いーーーー!!」
のたうち回るヒロシにさらに龍の柴犬が襲う。
「ガウーグルルルルッ!」
「ギャー!痛い!うわーーーーーっ!!!!」
「ハッハッハー、見たかコンパウンドの龍の実力を!さてハチ、帰るでごわす」
動けなくなり無力化したヒロシを一瞥し、
龍はガルウイングのシルビアに乗り込みNAサウンドを響かせ洗車場を出て行った。
「お、俺は洗車を甘くみていたっ・・・
世の中にはこんなに凄いウォッシャーがいるなんて・・・」
シルビアの後を追いかける龍の愛犬ハチの姿を見ながらヒロシは意識を失った。
11 :
17:2005/04/04(月) 01:40:47 ID:IVqbaBJo0
染みのある天井、所々欠けた漆喰の壁。
色あせた天地真理のポスターがこちらを見て微笑んでいる。
湿気を含んだせんべい布団の中でヒロシは寝ていた。
── 俺はコンパウンドの龍に負け気を失ったが・・・
「目覚めたようじゃな」
声のするほうを見ると、油で汚れた作業服を来た丸顔のオヤジが立っていた。
「ここは?あなたは一体・・・」
「ワシか、ワシは解体屋のオヤジ。ここはワシの家じゃ。
洗車場のバトルを一部始終見させて貰った。なかなかなもんじゃったが、まだまだだな」
オヤジはコンロの前に行き、鍋をかき混ぜる。どうやらお粥を作っているようだ。
「実はな、あの龍を育てたのはワシじゃ。
九州からわざわざワシに教えを請いにきたんじゃ。
根性のある奴でめきめきと力を付けていったんじゃがな・・・」
お玉から直接に味見をし、静かにうなずく。
「しかしな、厳しくしすぎたのか、ある日反発しここを飛び出していったのじゃ。
その後、暗黒の洗車チームに入ったとは聞いていたが、このように人を傷つけるとは・・」
茶碗にお粥を注ぎ、箸を探す。
「お前には洗車のセンスがある。龍を倒す為にここで修行をせんか」
そう言うとオヤジはお粥を熱そうに食べだした。
「おっちゃん、俺アイツを倒すためなら何でもするよ。でもその前にそのお粥くれ!」
12 :
17:2005/04/04(月) 01:42:07 ID:IVqbaBJo0
その日からヒロシの修行が始まった。
毎朝5時に起き、夜の7時まで解体前のクルマのボディを磨く。
「馬鹿もーん!磨きの基本は縦横に動かすんじゃ!円で磨くな!」
「曲面は気を付けて磨かないと、削れすぎるんじゃ!」
「一度に沢山磨こうとするな!縦横20cmくらいで少しずつやらんか!」
オヤジに怒鳴られながらヒロシは手に血を滲ませ懸命に頑張った。
そんな日々が3ヶ月続き、ついに最終試験を受けることになった。
「これで最後じゃ、この3ヶ月の成果を見せてみろ」
オヤジは準備していたコップになみなみと水を注ぎドリンクホルダーに置いた。
「この水をこぼさないように磨いてみろ!」
ヒロシは両手にスポンジを持ち、高速ながらも丁寧に磨き始めた。
その動きはまるでとても優雅なダンスを踊っているようだった。
「ほう・・・。ここまでやるとはな・・・。
じゃが、それだけでは車体が揺れ水がこぼれるぞ」
コップの水は小刻みな揺れによりこぼれそうになる。
が、しかし、その揺れはだんだん規則正しくなり、
水はコップの縁のところをくるくる回るだけでこぼれない。
アン・ドゥ・トロワ、アン・ドゥ・トロワ
「なんということだ・・・磨きのリズムで車体が踊っているようにみえる・・・!合格じゃ!」
そうしてヒロシの修行は終わった。
13 :
17:2005/04/04(月) 01:46:05 ID:IVqbaBJo0
すみません。眠たいのでまた明日にします。
14 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/04/04(月) 01:51:18 ID:zvKYPiig0
韻を踏んで、洗車男ってのは・・・ダメ?
面白い!
期待してます
超大福餅R兄貴は、愛車の自慰えっくす71クレスタで洗車場に乗り付けた。
随分おもしろい事やってるなw
これからに期待する
19 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/04/05(火) 00:02:08 ID:o3ugaXYJ0
続編まだ?
20 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/04/05(火) 01:51:33 ID:kekQs/u40
初代ヒロシ書きです。
ヒロシ死闘編を書きます。
ヒロシvsホリエモン、艶と光沢は金じゃ買えないにこうご期待。
わくわく
うはっ やべっ
めちゃくちゃおもしれw
23 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/04/05(火) 08:33:16 ID:UpyqR/jRO
トランスを流してBIPオデッセーに乗った、吉永が現われた。後ろには護衛のビックスクーターに乗った舎弟を従えていた、
成金のフェラーリ乗りとか登場したらオモロイかも。
『洗車なんて、自分でやるものじゃあないよ。ボクはいつもプロに任せているさ。』とか、
『やっぱり○○コートは最高だね。見てくれよこの艶を。それにこの自慢のスーツも汚れずに済むしね。』
って感じで嫌みばっかり言いに現れる。
そこでヒロシ達洗車マニアが一致団結してギャフンと言わせるとか…。
何にしてもこれからに大期待してますわ〜
なんつーか、懐かしいノリだよな。コ○コロのミニ四駆マンガか
ボ○ボンのガンプラ漫画みたいな…
でも、一向に小説がUPされないのはどういうことだ??
まあのんびり待とうや。
商売でやっている訳じゃないんだし。
小説書きガンガレ(`・ω・´)
先生の作品が読めるのはココだけ
先生にはげましのおたよりをだそう。宛先は
TEAM カルナバー参上
プロジェクト Sの涼拓だ。
20年以上前のAE86がまるでCGのように輝いていた。
あれほどの状態に保つことができる藤原をメンバーに入れたいと思う。
敗因は、放水時間と放水場所の違いだ。
平たく言えば、すすぎが下手くそだってことさ!
黒い車で艶を追求するブラックエンジェルズの登場!の巻
34 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/04/06(水) 07:17:32 ID:COq2wAXnO
団長は黒鉄ヒロシ、会計監査は黒柳徹子、広報担当は黒丸せつこだ。
35 :
洗車マニア:2005/04/06(水) 07:46:22 ID:5Qt5xJK8O
コイン洗車にこだわりあるけど、高圧水は傷がつく可能性あるって本当(・・?)コイン洗車は高圧水でボディの汚れや埃を除去してからシャンプーするのが醍醐味であり、高圧水はダメなんて聞いた事ないけど(・・?)
36 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/04/06(水) 08:23:59 ID:+FWPJk1W0
俺も高圧でキズ付くってのは聞いてないよ〜、本当なら今日からやめる。
つーか距離おけばいいのか?
やっぱアラブの石油王とか出さないと(ry
ボディに砂が付いた状態で、砂の上に垂直方向から高圧水が当たると・・・???
何となくヤバい気がしてきた単純な俺
>>37 汚れたら買い換えるのか。勝負にならんなw
子供が車に手紙書いて返事が来る例のコピペで石油王が改心とか?
そーいえばヒロシってビル○イツの隠し子って設定だったっけ?
いや孫だ
ヒロシ
1980年3月21日神奈川県箱根町生まれ
愛車 フェアレディZ(Z32) 黒 2by2
趣味 洗車
特技 洗車
自慢 愛車の艶
ところで距離を置いて水圧をコントロールするってのは
現実でもやる技なんですか?
バケツに水入れる時やる
>>43 俺それ上手くいったことないや。
バケツごとふっ飛ばすか、ほとんど溜まらないかのどっちかだw
つーかできるのか?
カーステから大音量で流すユーロビート、それに合わせてハッスル、ハッスルしてシュアラスターワックスを拭き上げろ!(゚Д゚#)ゴラァ
くずぐすするな、おまえの後を待つ10セルシオ300ナンバーの兄ちゃんと喧嘩が始まる前に、とっとと終わらせろ! (゚Д゚#)ゴラァ
なにーっ? 百円玉に両替するのを忘れたっ?!(゚Д゚#)ゴラァ
>>44 多くても2/3くらいしか溜まらないけどな
>>45 「愛と青春の旅立ち-洗車編-」or「スターシップトゥルーパーズ-洗車編-」
首都圏洗車バトルリローデッド
48 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/04/08(金) 08:23:20 ID:IvVA3M7VO
ジェットノズルの貴公子、ジョニー
m9(・∀・) この勝負もらった!
おまえ早くそこどけ!(゚Д゚)ゴラァ
Σ('A`:)
頭文字S 公道最艶伝説
小説の続きを頼む・・・
52 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/04/09(土) 09:28:54 ID:0HN9sWCUO
夕暮れになり、コイン洗車場の照明が落ちた。
今日の勝負はこれまでだ、洗車王は洗車クラブの手下達と吉牛に向かった。そこには見覚えのあるラングレーが止まっていた、
洗車場で、マナーの悪いおっさんともめごとになって
その際に知り合った女性(外車)と付き合うことになるが
洗車知識がないので、そのたびに巨大掲示板に問い合わせに来る
もてない男の物語ですか?
おまいの脳内にある漢字3文字を言わせるのか?
基地外
57 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/04/10(日) 18:26:17 ID:0eArV3XqO
広田君はそんな洗車バカ達をほくそ笑っていた、『あいつらの車はいくら洗っても汚い、即ち洗う奴の心が汚いからだ。
おっと現像が上がる時間だ、カメラのきた■ら に戻らないとな。。』
そんな広田君の洗車親方は、通称あらいぐま ラスカルこと写真部OBの熊山であった。熊山のコルディアはいつも光沢を放っていた。
当然お約束の必殺ワザとかあるよな?
「スーパービューティーウォーターアタック」とかそういうやつ。
外伝 〜ヒロシ誕生編1〜
そう、あの日のことは未だに忘れられないんだ。
あの人と出会った日のことを。
その人の名前は、「週5のマサ」。そう、週に5日の洗車を30年続けていたという伝説の男だ。
あれは、暑い夏の日だった。
俺は、免許を取って初めてのドライブへ。
車は親父から借りたマークU。何も言わずに貸してくれた。
CDデッキが親父自慢の装備だった。
海まで流したあと、潮風は車に良くないと聞いていた俺は親父へのせめてもの礼をと、洗車場へ向かった。
軽い気持ちで、ブラシ洗車機にでも突っ込もうと思っていたのさ。俺も若かったよ。
洗車機の前へ車を着け、コインを入れようとしたそのとき、後ろから声がした。
「おい、ニィチャン、そりゃあいけねぇなぁ。
それ、親父さんの車だろ?なーに、親父さんとは良くここで会うんだよ」
少ししわがれた声。馴れ馴れしい物言い。
振り返ると、そこには初老の男性が立っていた。
つづく
(・∀・)ワクワク
61 :
洗太:2005/04/10(日) 23:24:59 ID:Z0Ub9JGWO
うちの会社には日3の谷がいる。休日でやることがないとすぐ洗車するらしい。
62 :
洗車野郎玲二:2005/04/10(日) 23:27:51 ID:rg4QX17r0
(・∀・)ドキドキュ
(・∀・)キタキタキター
ヒロシはゲイツの隠し子なんじゃないのか?
ほら、隠し子だから
遺伝子上の父とは別に
育ての父がいるんですよ。
66 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/04/11(月) 07:49:46 ID:Y+M8b7B7O
それは他でもない、エマニエル 三太夫である。
いうまでも無くこいつもインド帰りだ、インド仕込みのマサラ洗車を見せ付ける憎い椰子。 以前は練馬のハセガワでホイール洗いの修業を積んでいた、
67 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/04/11(月) 08:50:48 ID:9X9aABvW0
ヒロシしかキャラが居ないと小説書きづらいな。
なんかキャラクター考えてくれよ。あとその人の持つ車と洗車アイテム。
洗車教官ジェームス
洗車野郎玲二
も出没してるが・・・・・
70 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/04/12(火) 12:51:03 ID:WuymXrc0O
のらえもんは悪態をついた、それは(rya
ジェームス『おいのらえもん、ダッシュで角の百円ショップで歯ブラシ買ってこい!』
のらえもん『買ってきますた、教官殿。』
ジェームス『バカかお前は?!お釣りに5百円玉ぢゃなくて五百ウオン硬貨が入っているぢゃねえか?これでどうやって機械を動かすんだ?(゚Д゚#)ゴラァ、交番に行ってこい!』
72 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/04/14(木) 14:02:24 ID:RVd4Gcx+O
そこにデコトラ兄貴の虎雄が現われた、『教官殿、再試験をお願いしまつだ!』
ジェームス『(  ̄Д ̄;)y──┛~。。。』
嫌な沈黙が流れた。。
59の続きマダー?
更に沈黙は続く。。
75 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/04/17(日) 10:39:51 ID:5b9YhnMTO
職人待ちage
そしてヒロシは厳しい修行の旅から帰ってきた
つづく
77 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/04/20(水) 16:12:10 ID:iokCvanR0
ここは20XX年、人類の洗車への欲求はとどまることを知らず、車の輝き
だけが世界を支配する時代に突入していた。
「来ねえなぁ。噂は本当かよ」哲也が苛立つように言い放った。
俺の名前は裕次郎。大学卒業後、役所の洗車課に就職するが、組織の古い体質
や人間関係に嫌気がさして3ヶ月で退職。夢は、SG(洗車グッズ)関連企業
の社長。これでも、洗車に関しては、地元ではちょっとした有名人だ。
今日は、洗車界で5指に入るといわれるヒロシに洗車勝負を挑む為、噂を聞き
つけ、ここお台場、洗車スタジアムにやって来た。
「おかしいなぁ。そろそろ来る頃なんだけど・・・」とその時、真紅の
フェラーリF90が、燃料エンジン独特のサウンドを響かせながら現れた。
ヒロシは、卓越した洗車技術を持ち、洗車界の革命児とまで言われている
SG企業の大社長だ。俺の目標でもある。いや、正確には、だった。今の
ヒロシは、自分自身の欲のため、売名行為、企業買収を繰り返し、洗車を愛
することを忘れちまった、ただのわがまま社長に過ぎない。タレントと
付き合っているのも気に入らない。俺は、そんなヒロシが許せなかった。
「ヒロシさん、俺と勝負してくれ」単刀直入に切り出した。ヒロシは、
一呼吸ついて、かったるそうに、
「あなたが出てくるのは想定の範囲内ですよ。」さらに
「そんなこと分からなかったら経営者やめますよ。」と意味不明なこと
を言いながらも、勝負は始まった。
78 :
17:2005/04/21(木) 01:03:25 ID:voHXI/rn0
ヒロシはコンパウンドの龍にリベンジするため、再び三ヶ月前の洗車場に立っていた。
傍らのベンチにはオヤジが座っている。
向こうからNAサウンドが響いてきた。犬の鳴き声も聞こえてくる。
「来たようじゃの・・・」オヤジはそう呟き静かに立ち上がった。
シルビアが洗車場に入ってきた。ガルウイングを開け龍が降りてくる。
直ぐにヒロシの姿を見つけ、怪訝そうな顔で言った。
「きさん、なんばしょっとね?まだ懲りずにやってきたでごわすか?」
「うるさい!ところで俺とコンパウンド勝負しろ!」
短刀直入にヒロシは言った。
「ふっ、よいでごわすよ。しかしココには昨日磨いたオイのクルマしかないぜよ。
もうナノ単位での傷もないでごわす。どうやって勝負するとね?」
「くっ・・・!」
ヒロシはたじろいだ。そう、磨くものがなければ勝負が出来ない。
「それじゃよ・・・久しぶりだな、龍」
オヤジが近づきながら、龍の愛犬ハチを指差した。
「お、おいちゃん。くっ、しかし、ハチでどうやって勝負をするとね?」
オヤジはタバコに火をつけながら言った。
「モンゴルのナーダムじゃよ」
「!?」
79 :
17:2005/04/21(木) 01:04:17 ID:voHXI/rn0
オヤジの説明に寄るとこうだ。
モンゴル帝国末期。元が滅び衰退していくモンゴルにマンドハイという女帝が現れた。
その女帝はモンゴル復活の鍵は騎馬隊にあると言い、馬を大切に扱う掟を出した。
国民たちは馬を大切に磨き次の戦争に備えた。しかし戦争は起こらず、
ただ馬を磨くことだけが仕事になり、洗馬技術だけが発展していった。
今の洗車の礎を築いたのだ。
そのモンゴルで今も行われている勝負がある。
それはナーダム(夏祭り)の日に二人の男が馬の挟み、その両側を磨き、
どちらがきれいに磨けたかの勝負だ。
「馬も犬も一緒じゃ」
オヤジはそういいタバコを地面に捨てた。
「よし!それで勝負だ、龍! 三ヶ月の成果を見せてやる!」
「望むところでごわすよ!ヒロシ!」
二人は手にコンパウンドとスポンジを持ち、しゃがみ込んでハチを挟んだ。
「審判はワシがやる。それでは始めっ!」
80 :
17:2005/04/21(木) 01:05:02 ID:voHXI/rn0
一匹の犬を二人の漢が磨き始める。
超高速で両側が磨かれていく。
毛を削り、毛穴の凸凹までも平らに磨き込んでいく。
ハチは気持ち良さそうに尻尾を振る。
二人ともスピードは同じように見えたが、龍の方が速く少しづつ差が開いていく。
龍は物足りそうな顔で言う。
「この程度でごわすか、ヒロシ!」
ヒロシは龍を睨み、そして叫ぶ。
「ダンシングドッグーーー!!」
ヒロシの磨きはリズミカルになり、ハチの躰がワルツのリズムで踊る。
「ふっ、やるでごわすね、ヒロシ」
ヒロシはニヤリと笑い動きを速めた。
「まだまだーーー!次はサンバだーーー!」」
毛を削られ、きわどい下着姿みたいになったハチが
ラテンの情熱的なリズムで踊りだす。
「こ、これは浅草サンバカーニバルでごわすか!」
「そうだ!ココはほとんどブラジル、ほぼブラジル、ボボ・ブラジルだー!」
81 :
17:2005/04/21(木) 01:05:33 ID:voHXI/rn0
「くっ!こうなれば・・・必殺技を出すしかないでごわす」
龍は両手にスポンジを持った。
「ドラゴングライン・・・」
『キャイーーーン!グワグワ!』
余りの衝撃にハチは叫び、本能的に龍の手を噛んだ。
「ははっ、飼い犬に手を噛まれるとはこの事だな」
「く、くそっ!ドラゴングラインドが使えないでごわす・・・」
「トドメだ!」
ヒロシは用意していたヘッドフォンを頭にかぶった。
「ヒロシスクラッチーーー!!!」
ヒロシはハチのお腹をさすった。
毛の無いお腹部分からは音が鳴る。
キュッ、キュッ、キュキュキュ!
お腹をさすられたハチは余りの気持ちよさに喘ぎはじめる。
『キャン、キャン、キャキャキャ!』
ヒロシの動きに連動して喘ぐ。
♪キュッ、キュッ、キュキュキュ!
♪キャン、キャン、キャキャキャ!
♪キュッキュキュ、キャンキャキャ、チェケラッチョ!
「こ、これは、DJ hiroshi!お、オイの負けでゴワス!」
「勝負ありーーー!そこまでーーー!」
オヤジが叫び、戦いは終わった。
82 :
17:2005/04/21(木) 01:07:54 ID:voHXI/rn0
「オイが、このオイが負けたでごわす・・・」
龍はうな垂れ、崩れ込んた。
オヤジはその龍の肩に手を乗せ言った。
「龍、お前は修行途中なんじゃ、ヒロシに負けて当然じゃ」
「お、おいちゃん!」
「もう一度ワシのところに来んか・・・」
龍はオヤジに振り向く、しかしオヤジは照れくさそうにそっぽを向く。
ヒロシが満面の笑みで言う。
「龍、俺たちと一緒にチームを組もうぜ。暗黒の洗車チームをやっつけるんだ」
「ヒ、ヒロシ・・・で、でも俺はお前を傷付けたでごわすよ・・・」
「なあに、いいってことよ。昨日の敵は今日の友だ」
「・・・・・・」
「よーし、おっちゃん、帰るぞ!龍、一緒に行こう!」
「お、おう・・・」
三人はシルビアに乗り込み、洗車場を後にした。
洗車場の影に一部始終を見ていた怪しい二つの影があった。
「にいちゃん、凄いバトルだったね」
「うむ、しかし龍が負けるとはな・・・」
「大丈夫だよにいちゃん。俺たちは絶対負けないよ」
「そうだな、行こうか」
二人はアメ車に乗り、ヒロシたちの後を追った。
83 :
17:2005/04/21(木) 01:10:41 ID:voHXI/rn0
84 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/04/21(木) 11:44:50 ID:hhx+tb9HO
うはWWWWWWWWWW
洗車してねWWWワロスWWWWWWWWW
洗犬wwwwwww
86 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/04/22(金) 15:58:33 ID:a/3dJuP/O
まさか…
トラップネンド山本兄弟では…
単独スレにするとのびないな。
洗車すれのままでよかったんじゃね。
続編見たかったなあ。
88 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/04/27(水) 13:36:15 ID:AiaRaoIG0
捕手
ヒロシはゴールデンウィーク中の大混雑の洗車場に走った。
90 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/04/30(土) 13:28:44 ID:pY/DtW9K0
期待保守
着いた先は超大型洗車場「カーピカランド」
広さは45000m2、東京ドームくらいの面積である。
そしてヒロシは多くの車の中から一段と輝いてる
黒のフェアレディZに目を向けた。
綺麗な車は山ほどあるが、何故すぐにそのZに目を向けたのか?
真の洗車野郎には普通の奴には感じない「オーラ」が漂っている。
ヒロシはそのオーラを感じ取っていたのだ・・・。
「この輝きはザイモール・・・いや違う、これはシュアラスターインパクトジュニア缶だ!
どうしてこんな輝きが・・・」
ジュニア缶ワロス
謎のZ乗り:「よく、この輝きがジュニア缶だと分かったな。大抵の奴はザイモールと勘違いするはずだが・・・
その名は確かに伊達では無いようだな・・・・ヒロシ!!!」
ヒロシ:「俺の名を知っているのか!?なら話は早い、俺とバトルしてくれないか?」
↑
×:ジュニア缶
○インパクトジュニア缶
Z乗りがヒロシに向かって歩いてくる。
そして次の瞬間Z乗りの着ているTシャツをよく見てみると「Shining Blacks」のロゴに
ヒロシは驚く!しかし、挑んだ以上動揺を相手に見せるわけにはいかない。
説明しよう!
Shining Blacksとは影の洗車軍団で表立った活動は不明、巷ではかなりの知名度だが
メンバー以外の者では詳細を知る者はいない。メンバーの愛車は様々だがどれも黒で
その輝きは異常なほどの輝きを放っている。
99 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/04(水) 09:47:59 ID:64oyC/i2O
Z乗「お前の話しは聞いてるぞ。あのコンパウンドの龍を
倒したんだってな。だが、あいつは俺等のチームでは一番の下っ端よ。
俺と違ってナンバーをもらって無い。」
そう言い車をちらっと見つめる。
Zのナンバープレーとには10のナンバーが
あった。
Z乗「俺は御大から10のナンバーをいただいた。1000人から
いるチームの中で10番目の使いてだ。」
ヒロシ「何!?そんなすごい奴なのか。俺とバトルしてくれよ」
Z乗「ナンバーズの俺が貴様と?馬鹿も休み休み言えよ。
貴様の相手はこいつで充分だ。おいっ!ちょっとこい」
誰か後お願い
Z乗りは3台向こうのブースで磨きをしていた、舎弟らしい人物を呼んだ。
舎弟:「なんすか?ケンジさん」
Z乗り:「ちょっとこいつの相手をしてやってくれよ」
舎弟:「え〜、この人とバトルんですか〜?」
Z乗り:「ああ、軽くバトってくれや」
こいつ、ケンジって言うのか。
まてよ、ケンジってまさかトレビアンケンジじゃねえよな?!
トレビアンケンジとは県内各地の洗車場でバトルをしまくり、
200戦無敗という記録を持つ黒のZ乗りのことである。
噂では聞いていたが、こいつがそのトレビアンケンジなのか?・・・・
舎弟がヒロシに話し掛けてきた。
舎弟:「へへっ、すんません、ちょっと車見させてもらいますわ〜」
そして舎弟はヒロシの車をじっくり覗き込んだ
102 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/04(水) 19:24:56 ID:HLdi+ujb0
これがコイツのご自慢の愛車か・・・なるほど、確かにケンジさんにバトルを挑むだけのことはある!!
俺はナンバーズに・・・いやケンジさんに憧れてこの世界に入ったんだ、
そのケンジさんが俺にこの勝負を任せてくれたんだ―――負けられない!!!
ヒロシ「 (・・・コイツにもケンジほどでは無いがオーラを感じる。
だからといってこの俺が負ける要素は・・・ない!!) 」
ケンジ「いいか、勝負は至極簡単だ。用意された車のボディーをシャンプー洗車でどちらが綺麗に洗い上げるかだ。
洗車アイテムは自由に使って構わない。わかったな?」
ヒロシ「望むところだ!!」
舎弟「・・・・はい」
3.2.1・・・始め!!
ドキドキ・・・ワクワク・・・
104 :
1/2:2005/05/05(木) 00:23:54 ID:kOlYD57a0
・・・あの洗車場での闘いが、昨日のことのように瞼に浮かぶ。
背の縮んだ煙草を灰皿に押し付け、阿呆のような顔をして空を眺める。
良い日だった。快晴。天晴。雲ひとつ、無し。二人の新たな門出を、空は歓迎していた。
「こんなところにいたのか、ヒロシ」
すっかり耳に馴染んだ野太い声が、呆れとも安堵ともつかない言葉を紡ぐ。
「厄介な仕事押し付けやがって。俺に車を磨くこと以外能がないのは、お前だって知ってるだろう」
百も承知だった。
「こんな格好させやがって・・・窮屈ったらありゃしねぇ」
ぼやきながら、似合わないネクタイを緩めてドッカリと腰を落とす。
「いいのか?お前も一応衣装さんに着付けて貰ったんだろ?」
小さな俺の心配を吹き飛ばすようにケンジはカカカと高く笑う。
「いいんだいいんだ、誰も俺のカッコになんざ期待しちゃおらんよ。
それに今日の主役は俺じゃなくて、お前と。コイツだろ」
太い親指の指す先に、いつからいたのかタケルが恥ずかしそうに俯いていた。
言葉が、出ない。
今日の空のように、あの日一緒に磨いた車のように、タケルは輝いていた。
105 :
2/2:2005/05/05(木) 00:24:36 ID:kOlYD57a0
「最初はまさかお前らがくっつくとは思わなかったがな。お前があの日あの駐車場にこなければ、
そして俺がコイツを舎弟として連れてきていなければ、この出会いはなかったわけか」
厳つい顔のキューピッドは、純白のドレスに身を包んだタケルを眺めながら感慨深げに呟く。
「ケンジさんには本当に感謝しています。俺をあそこで闘わせてくれて、この人と出会えさせてくれて
本当に、本当に・・・」
「阿呆が。ここで泣く馬鹿があるか。親のためにとっときやがれ」
明後日を向きながらケンジは花嫁を叱咤する。
「俺からも言わせてくれ。ありがとう、ケンジ」
予期していなかった俺からの言葉に、ケンジは体を背けて顔を見せようとしない。
職人気質でガサツな磨き屋は、礼を言われる事に慣れていなかった。
「いいから、とっとと行けよ。もう時間もそんなにないんだろ。
コイツだって、メイクさんに無理言って連れてきたんだからな」
照れ隠しなのか何なのか、ケンジはぶっきらぼうに突き放す。
「ああ、わかったよ。仲人、引き受けてくれてありがとな」
会場へ戻る二人に、ケンジは片手を上げて応える。
「・・・新郎新婦の、入場です!」
よく通る司会の声に押され、二人はそろって歩き出す。
「人生」という名の二人の車は、まだまだルーフ部分を磨き始めたばかりであった。
-- fin
時を同じくして、ある場所で洗車バトルが行われていた。
場所は由緒ある寺院。
坊主「拙僧に勝負を挑むこと。すなわち極楽浄土に行くことを示す」
太陽の光に反射して複数のストロボを焚いたような見事な光り具合のスキンヘッドの坊主が語る。
勝負を挑んだ男「あんたの噂は有名だ、あんたに負けた男は皆、謎の死を遂げている。
交通事故に遭ったり、病気になったり、バナナの皮で滑って頭を強打したり・・・
俺の親友もあんたに挑んで負け、死んでいった・・・今日は必ず仇を討つ!」
坊主「拙僧に洗車勝負を挑んで仏になった者はこの数珠にその名を刻んで供養しておる。
むやみに命を粗末にするでない」
男「全ては覚悟の上だ!勝負だ!」
坊主「南無・・・そなたの供養も拙僧に任せられよ」
男はR32スカイラインGTSのトランクから洗車グッズを取り出し、坊主はランボルギーニカウンタックを
正面に回して来た。
男(な、なんという美しさ!40年以上経っている車なのに新車、いや、それ以上の輝き!
この維持はコンパウンドだけでは限界がある・・・)
坊主「それでは始めようかの。そこにある洗車機器や器具は全て自由に使って構わぬ。
道具は全て最高級品を新品で揃えてある」
坊主はカウンタック全体を丁寧に水で流し、取り出した物は、粘土だった。
。
確かに坊主の用意してある道具は最高級品ばかりであった。
年間生産数が限られているという幻のムートン、シャンプーは飲んでも大丈夫な
完全天然の逸品でこれならボディに限りなく優しい。コンパウンドはナノミリ級の研磨に
使用する貴金属よりはるかにデリケートなロケット部品用のもの。
まだまだゾロゾロ高級品が並べてある。
だが男はあえて自分の道具で勝負する。男の名前はトシユキ。
あの日、まだ無名だったヒロシに負け、初めての敗北を味わい、生まれ変わったように
修行に励んだ。現在は東太平洋洗車ランキング3位の腕前を持ち、今ヒロシと勝負したら
あっさり勝てるかも知れないほどの実力なのだ。
しかしトシユキはどんな地位に昇り詰めても驕らず、ヒロシに再び挑戦するまでは強敵と
戦い続ける使命にある。その過程で親友の仇である謎の坊主とバトルをしているのだ。
トシユキ「うぐ・・・俺の・・負けだ!」
坊主「ほう、今まで挑んで来た者で拙僧の高級用品を使わなかった者は道具のせいにして
負け惜しみを言っておったがそなたは違うようだな」
トシユキ「いや、道具にはプライドがある。そんなもののせいではない。そんなことよりこんな
ところでつまづくなんて、あのヒロシと再戦するまでに負けるなんて・・・」
坊主「うむ、そのヒロシとやらの名は聞いておる。最近めきめきと腕を上げている成長株じゃな。
いつか拙僧とぶつかる日が来るであろう。そなたも拙僧に負けたのは恥ではない。
格が違い過ぎたのじゃよ。洗車で一番大事なのは鉄粉などのケアじゃ。
いくらシャンプーと磨きの技術が凄くてもボディがザラザラしていては本末転倒じゃ」
トシユキ「俺は・・死ぬのか?ヒロシに逢う前に死ぬのか!?」
坊主「仏になるなら運命であろう、ただし極楽浄土は約束しよう」
トシユキ「あ、あんたの名は?」
坊主「今生の別れに教えよう。拙僧はねんどの滑粘法師」
トシユキ「わかった。あんたに負けて悔いは無い」
トシユキはGTSに乗り込んで去って行った。
滑粘法師(ふむ。また『ヒロシ』の名が出たか。いつか合間見える日が楽しみじゃ)
トシユキのGTSはそのまま行方不明となった。
また例によって謎の死を遂げたのか、生き延びてどこかで修行をしているのか、誰にもわからない。
おもしろいんだけど
このスレじゃ洗車が学べねーよw
ある日、ヒロシはインターネット2ちゃんねるというサイトの洗車板を
覗いた。すると、そこには【金持ちは】ヒロシ氏ね【下手くそ】
というスレがあった。見てみると
道具を厳選したらだれでも綺麗に出来るとのカキコや
ヒロシ逝って良しのカキコだった。
色々あり、ヒロシはそのスレの住民と道具金額10000円(水はタダ)での
洗車バトルをする事になった。
111 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/08(日) 07:07:36 ID:5BtOYfpBO
空揚げ
112 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/10(火) 12:37:19 ID:17MKgm8N0
「今の勝負、お主の完勝と言えるかな?」
その声に滑粘法師は振り向いた。
「おお、副住職。見ておられたか」
そこには副住職が立っていた。この男、滑粘法師の師匠である鬼洗輝大僧の息子で、
滑粘法師の修行時代からの兄弟子でもある。
「あのトシユキという青年が自ら負けを認めておったが、ワシから見ると引き分けじゃな」
「ほう、その心は」
「滑粘法師、お主のカウンタックの古さとあのトシユキのグレーという色合いの違いじゃ」
副住職は少し溜息をついてからもう一度語る。
「あの男(トシユキ)はおそらくどんな相手にも仕上げの輝きで不利なあの色でバトルを重ねて
きたのじゃろう。お主のカウンタックは仕上げにインパクトのある赤。
いままでお主に勝負を挑んできた者たちは確かにお主とは格が違いすぎて話にならんかったが、
今回は水の使い方、洗い具合、拭き取りから仕上げまで技術もスピードも全くの互角。
粘土に至ってはあのGTSには元々必要ない塗装状態であった。
お主の車の古さに強い印象を持ったが為に負けを認めたのであろう」
「ふむ、副住職がそう思われるのであれば引き分けであろう。確かにあの青年は抜きんだ技術では
あった。拙僧と同じ道具を使っていれば或いは勝負は危なかったかも知れぬ。よもやあの青年、命を拾うかも」
「いや、あれほどのレベルに達していれば道具は選ばぬ。『ヒロシ』『トシユキ』と
俗界にも面白い男たちがいるものじゃ」
新緑の茂る静かな寺院で二人の坊主はこれからの洗車界について瞑想にふけていた。
113 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/12(木) 13:04:42 ID:7YC6DUym0
あげ
114 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/13(金) 01:43:15 ID:/0vi2J2B0
今後の展開に期待age
115 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/14(土) 18:36:06 ID:NOt/QfBI0
ヒロシはアメリカに渡っていた。
116 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/14(土) 19:01:55 ID:BtOVdOVj0
あの100円ショップのフクピカってどうですか?
ヒロシは広大なLAのハイウェイを南へ向かっていた。
クルマはレンタカーのダッジ・ストレイタス、色はゴールドだ。
レンタカー屋のオヤジは「洗車したてだよ!」等と言っていたが
無論ヒロシにとってみれば、洗車したうちには入らないだろう。
ヒロシはパワステの効いた軽いハンドルを右手で持ち、ラジオから流れる
ロックに合わせ左手でリズムを取る。そうこうしているうちに
街はずれの洗車場にたどり着いた。
さすがはクルマ社会のLA、ひっきりなしにクルマが入ってくる。
数人の作業員たちが、セダンを、ミニバンを、手際よく洗い上げていく。
「さすがデビッドの弟子達だぜ…」
洗車場の片隅には、黒い初代アキュラ・レジェンドが停まっていた。
もう17年落ち位のクルマだ。しかし、そのレジェンドの放つオーラは
オーナーの洗車テクを雄弁に語っていた。
ボンネットには青い空とパームツリーがくっきりと写りこんでいる。
「さすがデビッド、腕は衰えていないようだな」
「OH! ヒロシか?!」
振り返ると、だいぶ腹のリザーブタンクが目立つ禿げオヤジが居た。
デビッドだ。
抱擁を交わすヒロシとデビッド。
「デビッド、これは土産だ」
ヒロシが懐から取り出したのは「フクピカ」だった。デビッドの目の色が変わる。
「OH!これがジャパンで話題のフクピカね?!」
「NON!これは100円フクピカだ」
「WHAT?soft99製のフクピカではないのかい?」
「そうだ。アレはいい製品だが、いかんせん高い」
「で、でも、100円フクピカなんて、使い物にならないのでは?」
「いや、これを見ろ・・・袋を破って中の布を乾燥させている」
「な、なんだって、そんな・・・」
「こうすると擬似フクピカドライになるんだ」
「O・・・OH!」
「洗車後にこれで拭き上げると、結構な艶が出るんだ」
「さ、流石キングヒロシ・・・恐ろしい・・・費用と効果のバランスが取れている・・・」
120 :
立志編1:2005/05/14(土) 21:19:01 ID:F5ORWg/40
暇だったので立志編ての作ってみますた。すいません。ヒロシ借ります。
夏−土曜の午後、ヒロシは洗車場に初めて所有した愛車、黒いR34でやって来た。
「いい天気だ。今日もピカピカにするぜ。」
コインを投入し洗車機に入れた。700円のワックスコースだ。
缶コーヒーを飲みながら洗車が終わるのを待つ。
「ヒョヒョヒョヒョヒョ・・・もったいないのぅ」
背後から声がした。声の主は清掃のお爺さんだった。ヒロシは車を買ってこれが
30回目の洗車。この爺さんはヒロシが洗車するのをいつも見ていて不気味に
思っていた。
121 :
立志編2:2005/05/14(土) 21:20:06 ID:F5ORWg/40
「お前さん、3日と空けずに来とるのぉ」
「あぁ、折角車買ったんだ。大事にいつもピカピカで乗ろうと思ってね。幸い祖父が成金で金だけはあるから、もったいないってことはないよ。忠告ありがとう。」
爺さんはゴミ箱からクタクタになったエロ本を見つけ出し、喰い入るように読みながら言った。
「ヒョヒョヒョ・・・ワシがもったいないと言っとるのは洗車代じゃない。その車じゃよ。」
「どういう意味だよ。買って直ぐ5年もつ加工をしてもらったし、今日だってホラ。週に2回は洗ってるからピカピカだろ。」
ヒロシはさすがに少しムッとして言った。
「ピカピカか・・・ヒョヒョッ」
「爺さん。ちょっと失礼だろ。言いたいことがあるんならはっきり言えよ!」
「おぉすまなんだ。・・・そうじゃのぉ。口で言うよりも見た方が早いかの?」
老人は空を見上げながら続けた。
122 :
立志編3:2005/05/14(土) 21:21:04 ID:F5ORWg/40
「今日はもう奴らは来んじゃろうから明日の朝4時。もう一度ここに来てるがええ。」
「訳わかんねぇこと言ってんじゃねーよ。なんだよヤツらって。それに4時って
早すぎるだろ。」
「ええから来るんじゃ。そうすれば全てが判る。・・・おっと。それからもう直ぐ
降るぞ。折角の愛車を濡らしたくなければさっさと帰るんじゃな。ヒョヒョヒョッ」
ヒロシは不機嫌そうな顔で帰路についた。5分も走るとフロントガラスにポツポツ
と雨が落ち始めた。
「ほんとに降り出した・・・あんなに天気良かったのに。あの爺さん何者だ?
それにヤツらって・・・」
123 :
立志編4:2005/05/14(土) 21:22:26 ID:F5ORWg/40
翌朝4時過ぎ。少し白み始めた街を走るGTRの姿が。
「やべぇ。ちょっと遅れてるな。と言ってもこの時間。誰がこんな時間に
洗車してるってんだよ。眠てぇ。ふぁぁ。」
遠目にいつもの洗車場が見えてきた。この洗車場は駅からも遠く、
民家も近くにはない。周辺にあるのは洗車場を運営しているカーショップ
と飲食店やコンビニだ。
「え?まさか!?」
洗車場について愕然とした。5台の車が洗車している。しかもせっせと
拭き上げている。
「こ・こいつら何時から来てんだ?」車から降りながら呟いた。
「バカモン!4時と言ったじゃろうが!約束の時間に遅れるとはなんと
ルーズなヤツじゃ!」
清掃のじじぃが怒鳴った。
124 :
立志編5:2005/05/14(土) 21:23:21 ID:F5ORWg/40
「悪かったよ。ちょっといろいろあったんだよ。」
一番近くで拭き上げ中の眼鏡の青年が突然。
「あー!じっちゃん。この人ぶつけてるよ。遅れたのはそのせいだねきっと。」
皆集まってきてGTRのリアバンパーの左側を見はじめた。
「ホントだ。こりゃやったばかりだな(笑)。よく見つけたな五郎。」
皆が指を指して笑っている。ヒロシは顔を真っ赤だ。
「こ・・これは自動販売機で缶コーヒーを買おうとして・・・。暗くてポール
が見えなかったんだよ。おい爺さん!あんたがこんな時間に呼び出す
からだぞ!」
「ヒョ?これが最近話題の逆ギレというヤツか?ヒョヒョヒョッ」
125 :
立志編6:2005/05/14(土) 21:25:03 ID:F5ORWg/40
長身の男が割って入る。
「あぁ。笑ってすまなかった。でも夜間バックする時は先にヘッドライトで確認するとかしないとな。俺は修司。シュウって呼ばれてる。君は?」
「ヒロシだ・・・」
まだ不機嫌そうだ。
「まぁまぁ機嫌直して。オイラは五郎。よろしくヒロシ君。じっちゃんに声かけられるとは、君、ツイてるよ。」
「おい!自己紹介は後だ。早くしないと時間がないぞ。今日はアトがあるからな。皆、特に急げよ。五郎。お前は特に作業が遅いんだからな。」
シュウの声で皆自分の車に駆け足で戻って行った。
126 :
立志編7:2005/05/14(土) 21:26:06 ID:F5ORWg/40
「おい爺さん。こいつら何モンだよ。それに爺さん、あんたは・・・?」
「ヒョッ?ワシはただのジジイじゃよ。奴らもただの洗車好きじゃ。」
「俺を呼び出した訳は?」
「まぁしばらく奴らのやることをそこで見ておけばえぇ。」
「チッ・・・」
しかし、そこから展開される光景はヒロシにとって驚きの連続だった。
「な・・・なんだあの布は?吸水力が半端じゃない。」
「ヒョヒョ。丈治じゃな?相変わらず拭き上げは早いのぉ。ヤツが使っとる
のはユニセームというヤツじゃ。シュウと五郎はプラスセーヌを使っとるのぉ。」
「しかもこのスピード。このペースだとあと10分もあれば終わるじゃないか。
なんだってこんな時間に・・・。」
「ヒョヒョッ拭き上げは迅速にせんとな。」
127 :
立志編8:2005/05/14(土) 21:26:41 ID:F5ORWg/40
「ん?今度は何だ?水かけながら、何か手に持ってる・・・」
「おぉ。シュウは今鉄粉取り粘土をかけてるんじゃよ。」
「ね・・粘土?車にか?」
「ヒョヒョ。塗装面にはのぉ、鉄粉が突き刺さっておるのじゃ。その上から
じゃと何を塗ってもザラザラじゃし、効果も長続きせん。もっとも、いつも
かけてる訳ではないぞ。今日は特別じゃ。」
ヒロシが呆然と見るめる中作業がどんどん進んでいく。
128 :
立志編9:2005/05/14(土) 21:27:44 ID:F5ORWg/40
「お、今度はワックスだな?しかも液体の。俺みたいにプロに任せれば
手作業なんてしなくてもいいのに・・・」
「ヒョッヒョッヒョッ」
「おい。なんかえらくチマチマとかけているな。もうちょっと景気よくできな
いのかよ?」
「まぁ黙って見ておれ」
シュウのワックスがけが完了したようだ。と思った瞬間。ヒロシはありえな
い光景を見た。
「お!おい!爺さん。あいつ正気か?せっかくワックスかけたのにまた
洗車始めたぞ!」
「ヒョッヒョッ。お前さんがワックスと思っていたのはコンパウンドじゃよ。
あぁして削りカスを流しておるんじゃよ。」
129 :
立志編10:2005/05/14(土) 21:29:06 ID:F5ORWg/40
「コ・・コンパウンド・・・。聞いたことがあるぞ。俺がコーティングを頼んだ
ショップの人が言ってた。塗装を削るから使うなって。おい爺さん止めて
やれよ。」
「ほう。お前の頼んだショップはそう言ったか。まぁ間違いではないがの。
した方が良い時もあるんじゃよ。特に今日のように粘土を使うとの、
鉄粉が抜けた穴や粘土を引きずったキズが入るんじゃ。それをああして
均しとるんじゃよ。まぁヤツらは夏場にコンパウンドすることなど普通はな
いんじゃがの。今日は特別じゃて。」
シュウはプラスセーヌを取り拭き上げを終えた。6時を過ぎた。
五郎は作業が遅れているようだ。汗まみれになりながらまだコンパウンドを
かけている。
「こいつら・・・一体何時間やるんだ?」
130 :
立志編11:2005/05/14(土) 21:30:09 ID:F5ORWg/40
次にヒロシが見たのはやはり見たこともない光景だった。
「おい。今度は何だ?あれはさっき拭き上げで使ってたやつだろう。
「ヒョヒョ。あれはシュウお気に入りのポリラックじゃ。コーティングじゃよ
。塗り方もいろいろあるがシュウはプラスセーヌで塗るんじゃよ。」
「ふ・・・拭き上げ用のもので塗るのか・・・?」
シュウはボンネットとルーフを一気に塗り終え、道具箱の袋から
大事そうに黄色い布を取り、ルーフの拭き上げを始めた。
「え?ほとんど乾かしてないぞ。いいのか?それにあの黄色い布は?」
「ポリラックは10分も乾かせば十分じゃ。シュウはああして二工程前に
塗った場所を拭き上げることで時間を効率良く使っとるんじゃよ。
そしてあの黄色い布はシュアラスターの鏡面仕上げクロスじゃ。粉の出易い
ポリラックの拭き上げには必需品じゃな。」
シュウは一通り施工を終え、もう一度同じ工程を繰り返した。
「二度塗りじゃよ。あーやって皮膜を少しでも厚くするんじゃ。」
131 :
立志編12:2005/05/14(土) 21:30:56 ID:F5ORWg/40
シュウが施工を終えこちらに近付いてきた。
「じっちゃん。なんとか7時までに終終らせたぜ。」
「よう頑張った。水分の拭き上げはもちっと早くする必要があるの。では
ヒロシよ。お前さんの自慢のGTRとシュウのランエボを比較してみるがええ。」
シュウの車に近付くに連れ、ヒロシの体中から汗が噴き出してきた。
「な・なんだこの輝きは!景色が映ってるぞ!ツルピカだ・・・」
比較するまでもなかった。ヒロシの車には無数の線状のキズがついている。
132 :
立志編13:2005/05/14(土) 21:32:24 ID:F5ORWg/40
「ヒロシ。君は車を大事にしているつもりで実は痛めていたんだよ。
黒い車を洗車機に叩き込むなんて・・・」
「いや。それはショップの人が、このコーティングは5年ももつ固いものだから、
普段の洗車は洗車機で十分だと・・。確かにこの線状のキズが気にはなって
いたんだが・・・。ショップの人はもともと黒い車のこのキズはきれいには
しきれないし、コーティングできれいになったから逆に目立つようになったんだと・・・。」
シュウと爺さんの目つきが変わった。
「お前さん。どこに出したんじゃ?」
「駅の近くのツルピカbPという店だけど・・・」
シュウと爺さんが目を合わせ
「やはりな・・・。あそこは線路の近くだと言うのに屋外で作業するとんでもない
ショップじゃ。5年ももつようなコーティングなどないわ。確かに黒い車を完全
にきれいにすることは難しいが、ある程度はできる。おそらく磨きも手を抜いとる
じゃろうて・・・お前さん騙されたんじゃよ。」
133 :
立志編14:2005/05/14(土) 21:34:10 ID:F5ORWg/40
ヒロシはその場に崩れ落ちた。丁度丈治が自分の車の作業を終えて
こちらにやって来た。シュウはヒロシの腕をつかみ引っ張り上げて言った。
「立て。ヒロシ。高くついたがお前は学んだんだ。そして昨日、
この洗車仙人に声をかけられた。お前はついている。さぁお前の車を洗うぞ。
俺たちはその為に早めに作業を始め、日が昇る前に終らせたんだ。
さぁじっちゃん。店を開けてくれ。ヒロシのために洗車道具を揃えよう。」
爺さんは店のシャッターを開け、店に灯りが灯った。シュウと丈治が店に駆け込んだ・・・。
「せ・・・洗車仙人?爺さん、あんた一体・・・?」
五郎もやってきた。残りの二人はまだ洗車している。
「あーやっぱりダメだった。一度塗りしかできなかったよ・・・。
ヒロシ君、このじっちゃんはね。この洗車場とショップのオーナーでね、
この世界でその人ありと言われた洗車仙人なんだよ。君はその洗車仙人
に声をかけられたんだ。ホントついてるよ。」
シュウと丈治が戻ってきた。両手に沢山の洗車グッズを持っている。
「さぁこれが今日からお前の武器だ。定番商品で揃えている。コーティングは
俺と同じポリラックだ。さぁ時間がない。俺が傍で指導する。五郎!丈治!いくぞ!」
134 :
立志編16:2005/05/14(土) 21:35:36 ID:F5ORWg/40
1台の車に4人で群がり、作業が進んでいく。
「違う!いきなりシャンプーするヤツがあるか!最初は濡らして汚れを
浮かすんだ!」
「ハイ!」
「水洗いは高いところからやるんだ!余った時間で下回りの泥を落せ!」
「ハイ!」
「スポンジを落すな!新しいの買って来い!硬いのはダメだぞ!
アイオンだ!アイオンを買って来い!」
「ハイ!」
「コンパウンドは小範囲ずつだ!エッジ部は塗装が落ち易い。気をつけろよ!」
「ハイ!」
・
・
・
135 :
立志編17:2005/05/14(土) 21:36:36 ID:F5ORWg/40
9時を回った。すっかり陽が出ている。4人は洗車を終えた。
「終ったようじゃの。中目コンパウンドから始めたんじゃ。この時間に
終れば上出来じゃろう。」
そこにはシュウの車には及ばないもののヒワイな輝きを放つヒロシの
GTRがあった。
「さぁ恒例行事だ。五郎!コーヒー買って来い!」
7人は何とはなしに磨き終えた車を眺めながらコーヒーをチビチビと飲んだ。
ヒロシの頬は濡れている。
「みんな・・・ありがとう。こんな俺のために・・・」
「良いってことよ。今度はオイラの車を手伝ってよね。君の為に一度塗りしか
できなかったんだから。」
「五郎!自分の作業が遅いのを人のせいにするな!」
「ちぇっ丈治さんはいつも厳しいっす」
「ハハハハハ」
136 :
立志編18:2005/05/14(土) 21:37:20 ID:F5ORWg/40
談笑している中洗車仙人が言った。
「シュウ。どうじゃなヤツは?」
「じっちゃんが見つけただけのことはある。吸収の早さが半端じゃない。
ヒロシならもしかすると・・・」
「うむ。ワシも少々驚いた。まさかコレほどとは。コイツならきっと・・・」
ヒロシはGTRに乗って洗車場を後にした。疲れていた。しかし爽快だった。
身を乗り出し怪しく光るボンネットに目をやると顔が綻ぶ。
助手席何か紙があるのに気付き手に取った。
「請求書 洗車グッズ1式 金弐万三千円也」
ガシャーン!
「あ。ヒロシ君。またぶつけたッス・・・」
以上。
長文、連番漏れ、改行漏れ、誤字脱字をお詫び申し上げます。
138 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/14(土) 21:41:11 ID:ACxTMQoY0
139 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/14(土) 22:16:11 ID:siEtYIER0
グレイトです。ひさびさHIT。
まさしくこれぞ勉強できる洗車小説。
140 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/15(日) 01:08:16 ID:5WJWnZm90
こうやって洗車道に入っていったヒロシがなぜ変態洗車道に・・・
141 :
106-108、112:2005/05/15(日) 02:47:50 ID:QHTMt5IM0
>>137 乙!!
ヒロシはグランドキャニオン付近のGSで洗車をしようとしたが、いかんせん水が高い。
日本のようにはいかないのだ。
「さてどうしたものか」
ヒロシがつぶやくと、幻のフォードGT40、白と青のツートンがいい音をさせて入って来た。
「HEY!オヤジ!またここで車を洗うぞ!金ならいくらでもあるぜ!HA!HA!」
「またあのバカ息子のジョージか」
スタンドのオヤジはあきれ顔でうなだれる。
「オヤジさん、バカ息子ってどういうことだ?」
ヒロシが尋ねると、「ああ、あんたは知らないだろうが、地元で有名な名士の息子さんなんだ」
「この辺の地下水脈を研究するハリスン博士という人が居てね、もの凄い金持ちの上、
地元民の為にこんな田舎で水脈研究をしていて人望が厚い人なんだよ。
なのにあの息子はビートルズみたいな名前をしているくせに貴重な水資源を使って洗車なんぞに
かまけている道楽息子なんだ」
ヒロシは心の中で少し恥じた。「(俺自身もここで水を使って洗車をしようとしていた)」
142 :
106-108、112:2005/05/15(日) 02:50:02 ID:QHTMt5IM0
ジョージは水を大量にぶっかけて洗車を始めた。
スタンドのオヤジにはバカ扱いされているが、かなり手際がいい。
埃を落とし、ボディとガラスはスポンジを使い分け、基本通り上から下を洗い、
拭き上げもボディとガラスでウェスを使い分ける。
ワックスをかけたあと、もう一度水で濡らして拭き上げる。
「チ、金にモノをいわせてワックスが仕上がった車に無意味にまた水をかけるのかよ」
スタンドのオヤジは呆れるが、ヒロシは「いや、あれで正しいんだ。ワックスを定着させる為に
もう一度水をかけるのは基本。しかし、水が貴重なこの地であのやり方は許せん」
ヒロシはジョージに近づき、「HEY!ジョージ!俺なら水を使わず車を綺麗にしてみせるぜ!」
「なんだてめえは?水を使わず洗車?狂っちまったのかい?」
ジョージの取り巻き達も一緒に笑う。
ジョージはこれでもアメリカン洗車コンクールコロラド州金賞の腕前を持つ。
それでも普通にバトルすればヒロシの敵ではないが、今回はヒロシは水なしで闘うというのだ。
143 :
106-108、112:2005/05/15(日) 02:52:20 ID:QHTMt5IM0
ヒロシはSoft99バージョンのフクピカWETを取り出した。
ジョージはますます笑う。
「おいおい、そんなの俺でも知ってるよ!いくらCMではそのまま拭いて傷ひとつなくても、
実際にそのまま拭いたら絶対に目に見えてキズが入る。そんな素人騙しのケミカルで何を
やろうってんだい?」
ジョージの取り巻き達も野次を飛ばす。
しかしヒロシは少し薄笑いを浮かべて作業に入る。本当に乾いたボディになんのためらいもなく
フクピカを滑らせる。みるみる車は綺麗になっていく。しかもキズが全然入らない。
ジョージとその取り巻き、スタンドのオヤジまでが驚愕する。
「おい、どういう魔法をつかったんだい?メイドインジャパンはそんな魔法までかけれるのか?」
ジョージは素直に驚く。
「いや、簡単なことだ。俺にとってはね。まず、風の流れる方向に逆らわない。そして、一番大事なのは
フクピカをボディに当てる力加減なんだ。強すぎればキズが入り、弱すぎては汚れが落ちないばかりか
かえってキズを入れてしまう。その絶妙なバランスを勘と経験で見つけ出して拭いていくんだ」
「初めてコテンパンに負けたよ。俺もそのフクピカを極めよう」
ヒロシとジョージは固い握手を交わした。ヒロシはコロラドの田舎にまでその名を広めた。
後日、ジョージのポケットマネーでなんとかもっていたオヤジのスタンドが潰れたのは言うまでもない。
勝手にアメリカ編を続けてしまいました。
知ったかぶりでわざとらしい内容も多々ですが、細かいツッコミはなしでお願いします・・・
>>141 乙。
ヒロシはフクピカを広めにアメリカに行ったのかww
146 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/15(日) 09:12:07 ID:V4H0+c9F0
2作品ともすばらしい!
乙でした。
>>137>>141乙です。
勉強になります。
やっぱり定番の良品を使うと説得力がありますね。でも水なし洗車は俺には出来ないな〜さすがヒロシ!
148 :
106-108、112ヒロシ、アメリカ伝説編:2005/05/15(日) 20:22:14 ID:8BkJzssB0
ヒロシとジョージはラスベガスに来ていた。
あれからジョージはすっかりヒロシの洗車技術に惚れ込んで勝手についてきている。
ヒロシの借り物の車も壊れてジョージのGT40で修行の旅を続けていたのだ。
しかし、ヒロシはアメリカに来たことを少し後悔していた。
アメリカの車文化は日本と違い、一般庶民の洗車の概念が無いに等しい。
自動車はあくまで移動の道具で、アメリカ人にとって一日千キロの移動なんて日常。
そんなただの道具をいちいち洗車なんてしていられない。ジョージのような洗車好きは
むしろ変わり者というか、道楽以外の何物でもない。事実、ヒロシは強敵にまだ会っていない。
日本のように洗車技術さえあれば家の一軒も立ち、総理大臣にまでなれる文化が根付いていない。
ようやく州ごとの洗車コンテストなども始まったが、ジョージ程度で金賞を取れるような洗車途上国なのだ。
ラスベガスに着いた二人の目の前にとんでもない光景があった。
煌びやかな舞台で洗車バトルが繰り広げられている。
「ヒロシ、少し見て行こうぜ、俺はあのマークっていう黒人が勝つと思うな」
ジョージが目を輝かせる。
マークは愛車のリンカーンナビゲーターをチャンピオンズサークルに車を停め、手を挙げる。
ファンは大歓声をあげ、「マーク!今回も頼んだぞ!お前に全財産を賭けたんだ!」
「もうお前に勝てる奴なんて世界中を捜したっていねえよ!」
いかにもアメリカ的発想な「アメリカ一=世界一」な声が飛び交う。
そう、マークはラスベガスでナンバーワンの洗車屋で、負けなし敵なしのスーパースターなのだ。
それに対し、チャレンジャーズサークルにはグレーのGTSが停められた。
中からヒロシの非常に見覚えのある顔の男が出てくる。
「あ、あいつは!」
そう、スカイラインに乗る男、トシユキであった。
日本で謎の坊主、ねんど使いの滑粘法師とバトルをして以来消息不明だった男である。
ファンはマークが勝って当たり前と思い込んでいる。
トシユキなど視界に入っていないかのような歓声がマークに注がれる。
賭け率もほとんどマークで、配当も一倍に近い。
ヒロシは一息おいて、「ジョージ、俺はあのチャレンジャーが勝つと思うぜ、10ドルほど
賭けてきてくれよ」
「ヒロシ、それじゃあ10ドルをドブに捨てることになるぜ!ただでさえマークに賭けてもほとんど
儲けにならないんだ。あれは10万ドル単位でマークに賭けてやっと小遣い稼ぎになる
お得意客相手のショーみたいなもんだよ」
「いいから頼むよ。お遊びさ!ジョージはボンボンなんだから1000ドルくらい賭けて来いよ」
「・・・いいぜ、ヒロシがそこまで言うなら付き合ってやるよ」
ジョージがチケットを持ってヒロシのもとに戻ってきてほどなくバトルは始まった。
バトルのルールは至ってシンプル。シャンプーすら禁じられる純粋な水洗いバトルとなった。
水洗いならどんな洗い方でもOK。時間無制限、水の使用量も無制限。
マークは洗車ガンから丁寧な水圧調整を駆使してリンカーンナビゲーターを洗いあげていく。
極上のムートンで優しく丁寧に、そして素早く作業を続ける。
さすがはチャンピオンである。これなら日本の洗車の猛者たちでも簡単に太刀打ちできない。
それに対し、トシユキは無数のバケツを用意し、洗車ガンを使わずバケツの水で洗車の作業をする。
もちろん自前のスポンジでやはりこちらも丁寧に素早く作業を進める。
勝負は終わり、判定に入った。
素人目に見て判定などわからない。だが、公正なジャッジのために国際審判員を用意している。
判定基準は技術、施術内容、トータルボディケアで行われた。
技術や施術内容は互角、しかし、トータルボディケアでトシユキに軍配が上がり、大番狂わせ、
トシユキの勝利となった。
当然マークは納得がいかない。審判員に詰め寄る。
「なぜだ!?確かにこいつは素晴らしい洗車屋だ。俺と同等の腕を持つことは認める。しかし、
どう考えても引き分けだろ?もしやバケツの曲芸に加点でもあったのか?バカらしい!」
トシユキはゆっくり語りはじめた。
「マーク、あんたはいつものやり方でいつものようにやっただけ。しかし、そこに罠がある」
マークは意味がわからない。
「なにが罠だ!そんなバケツに何の意味がある!」
「やれやれ、わかっていないようだな。今回は採点にトータルボディケアがあっただろう、
ただの水洗いなのにな」
「それがどうした!俺は持てる最高の技術でボディを洗っただけだ!」
「それなんだよ。マーク、あんたはラスベガスの水道水を使い、俺は日本から取り寄せた天然水を使った」
「!!!」
「ベガスの強い塩素を含む水道水と、ミネラルたっぷりの天然水ではどちらがボディに優しいかな?」
トシユキは続ける。
「普通のルールなら俺とてあんたに勝つことはかなり難しかっただろう。だが、今回のシンプルルール故に
俺には充分な勝算と準備があった。さあ、そこのチャンピオンズサークルからどいてもらおうか」
敗者となったマークには遠慮なく罵声が浴びせられる。そう、ここは勝者には最高の賛辞を、敗者には石を
浴びせられるラスベガス。
ライバルに再会し、大金を手にしたヒロシはラスベガスにしばらく留まることを決めた。
151 :
148:2005/05/15(日) 21:17:34 ID:8BkJzssB0
またアメリカにてヒロシを借りております。
洗車論のネタはかなり出ているのでフィクションらしく大袈裟に書くしかなくなってきました。
GJ!
153 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/16(月) 00:13:48 ID:sktkCih10
ポリラックのフクピカだせ
思いの他お喜び頂いて驚いてます。
学べる小説って結構難しい。そもそも工程の種類が、水洗い・シャンプー・拭き上げ・
水垢落とし・粘土・コンパウンド・ワックスorコーティングくらいしかなくて、
パート毎に細かく書いたらあとは、道具を変えてアレンジするしかなくなる訳です。
「立志編」とか言って、実は一番書き易いところを書いた俺は卑怯者w
しかも、水洗いと拭き上げだけで終わらせれば、次に続かせ易かったんだけど、
ストーリーを優先した為にフルコースになってしまいました。
こんな俺で良ければ、次は復習の形式でシャンプー洗車コース書いてみようかと
思うんだけど・・・つーかもう少し書いたw(@word)、学ぶ要素とストーリーを両立て
すると今度もまた長くなりそう・・・出来たらうpしてよい?
155 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/16(月) 18:31:02 ID:hzc1csbV0
157 :
154:2005/05/16(月) 23:16:12 ID:tyVUUlSF0
できちまったw また長いの連投するけどごめんね。
2週間後、朝6時、ヒロシいつもの洗車場にやってきた。GTRの修理がやっと終ったのだ。
「さぁ忘れないうちに先週のおさらいだ。」
今日もメンバーが全員揃っている。
「ん?」
ヒロシは2週前にはいなかった姿に気付いた。
「おはよう。ヒロシ君。私はミドリ。シュウの妹よ。」
「よろしく。あれ?ミドリさん車は?」
「私はまだ免許もってないから。先々週は寝過ごしてアニキ置いていかれたってワケ。
いつもは皆の洗車を眺めてたり手伝ったり。」
シュウが近寄ってきた。
「お。やっと修理終ったか。乗ってなかった割にははえらく汚れているな。」
「あ、あぁ。ちょっとグラベルを・・・」
「へぇヒロシ君ラリーもするんだ〜。GTRでラリーとか珍しいね〜。」
「あ・・あぁ。まあね・・・」
158 :
立志編2-2:2005/05/16(月) 23:17:25 ID:tyVUUlSF0
今日来る途中、コーナーを曲がりきれず工事現場に突っ込んだことを言えずヒロシは
少し口篭もった。
その光景を遠くから不快そうに眺めている男がいた。名前は真一。彼は半年前にシュウ
に声をかけられこの洗車チーム「Polished Shine」に加わった。彼はチームのHope
であることを自負していたが、シュウや洗車仙人、そして密かに想いを寄せるミドリ
の口からヒロシの名前が出る度、やるせない気持ちになった。
「ラリーねぇ」
シュウは全てをお見通しのようだった。ヒロシはバツが悪そうに車を高圧ガンの近く
に移動した。ミドリが着いてきていた。
「ヒロシ君・・家はどこなの?」
「あぁ。ここから車で30分くらいのトコロだよ。近所の洗車場はゴミが散乱してた
りしてマナーが悪くてね。ここはいつもきれいだから。」
言いながらヒロシは小銭を用意して投入しようとした時、
「あ、待って。ヒロシ君30分かけてここまで来たのよね?熱もってるんじゃない?」
「え?ダメなの?そう言えば2週間前は皆の洗車を見学したあとだったから・・・」
「おいおい。そんなことも知らずによくこのチームに入ってこれたな。」
隣のブースに真一が車を移動して来ていた。
159 :
立志編2-3:2005/05/16(月) 23:18:57 ID:tyVUUlSF0
「ヒロシ君。気にしないで。皆最初はそんなものよ。さぁ一旦移動させてコーヒー
でも飲んで冷えるのを待ちましょ。」
ヒロシとミドリは車を移動させ、しばらく世間話をした。
「さぁ。もう良いわ。私にも手伝わせてね。」
ミドリはMy洗車スポンジを手に持っている。
「えっと・・・確か、流すのは上からで、ガンはボディから離して水は垂直に当てず
に・・・・」
ヒロシはスタートボタンを押した。
「あっ!」
ヒロシがガンを片手で持っていたため、洗車ガンが暴れた。」
「おいおい。こっちまで飛ばさないでくれよ。」
隣から真一の声がした。
「あ、ごめん!」
最初は躓いたものの、ヒロシは先週教えられた通り、ルーフ、ガラス、ボンネット、
トランク、サイド、バンパー・・・と着実にこなしていった。
「さて、余った時間は下回りだったな・・・」
ヒロシはしゃがみこんで下回りにガンを向けた。
160 :
立志編2-4:2005/05/16(月) 23:20:55 ID:tyVUUlSF0
「馬鹿野郎!何やってんだ!」
真一が怒鳴り込んできた。下半身が水びたしだ。ヒロシが下回りを洗う時、水平に向
けてしまったために、ブースの敷居の下から隣の真一のブースまで水が飛んだのだ。
「ご・・ごめん!」
「どーしてくれんだよ!」
「ごめんね〜真一。私が先に言えば良かったわ。はいタオル。ヒロシ君。下回りでガン
を水平にしちゃダメよ。ほら。ガンは少し曲がってるでしょ。これを利用して少し上に
向けるの。そうすれば、隣に飛ぶことはないわ。」
「な、なるほど・・・」
「ちっこれだから初心者は・・・」
「さ、次よ次。」
結局真一はほったらかされ、歯痒そうに拭き上げを終らせ車を移動させていった。
161 :
立志編2-5:2005/05/16(月) 23:22:47 ID:tyVUUlSF0
「次はシャンプー作るんだったな」
「シャンプーとスポンジは何?あ、SONAXとアイオンね。」
「あぁ。シュウと丈治が選んでくれたんだ。・・・下蓋一杯の原液をバケツに入れて、
勢いよく水を10リッターだったな。」
「さすが!飲み込みが早いのね。」
「そ・そうかな?実は先々週、遅刻しちゃってシャンプーはみんなの作業を観察でき
なかったから自信が・・・」
「よくやってるわよ。さ、洗いましょ。そうそう。泡をスポンジにとって、力はかけ
ずに、縦にね・・・」
ヒロシは水で流すのと同じ順番でシャンプーをしていく。とても初心者とは思えない
手つきだ。ルーフ→ボンネット→トランクと終え、サイドに取り掛かった時、
「あ・・・ヒロシ君。スポンジはそのアイオン1つ?」
「いや。どういうわけか同じアイオンが2つとこの変な形のが・・・」
「ふーん。2週間前は気付かなかったのね?アニキ達途中でスポンジ替えなかった?」
「そういえば・・・」
162 :
立志編2-6:2005/05/16(月) 23:24:15 ID:tyVUUlSF0
「ドアの下の方なんかはスポンジを替えるの。特に今日みたいに泥で汚れている時はね。
で、下回り用と通常用に分けるの。その変な形のはシュアラスターね。ホイール用に
用意したんだと思う。」
「な・・なるほど・・・。」
「ガラスも出来たら専用のが欲しいところね。さ、乾くと大変。さっさとすすぎましょ。」
ヒロシは上手くガンを操った。
・・・凄い・・・初心者は普通、ホースをボディに当てちゃうもんだけど・・まるで
後にも目が付いているみたい・・・。
ヒロシはススギを終え、バケツを持ち走り出した。
「ちょ・・・ちょっとドコ行くのよ?移動が先でしょ?」
「え?空いているんだから無理に動かさなくても・・・」
「ダメよ。7時過ぎたら結構お客さん来始めるのよ。その時、ブース内で拭き上げて
たら他の人に迷惑でしょ。」
「そっか・・・ごめん。」
車に乗り込むヒロシの手をミドリが慌てて掴んだ。
163 :
立志編2-7:2005/05/16(月) 23:25:25 ID:tyVUUlSF0
「ホースはちゃんと巻いて!大変なことになるわよ!」
「?」
ヒロシは言われるがままにホースを巻いて車を移動させた。
「さ。いよいよ拭き上げね。先々週はどうやって拭き上げた?」
「えっと・・プラスセーヌの真中を持ってクシャクシャにして・・・」
「なるほど。じゃ、私が違う拭き方見せてあげるわ。」
ミドリは濡らして絞ったプラスセーヌを手に持ち、ルーフの上の端にビタっと広げて、
両端を掴んで引きずった」
「お。おお!凄い!みるみる水分が吸収される。」
「クシャクシャにするのもワイルドでいいけど、こんなやり方もあるのよ。自分にあった
方を選ぶと良いわ。」
164 :
立志編2-8:2005/05/16(月) 23:26:36 ID:tyVUUlSF0
「さ。拭き終わったぞ。」
クスクスクス・・ミドリが笑いだした。
「ん?何かおかしい?」
「んー。そうね。じゃヒロシ君。一度運転席に座って出てきてみて。
「?」
ヒロシは一度運転席のドアを開けた。
「あ!こんなところに!」
「そう。隙間から水が入っているのよ。さぁそこも拭き上げて。」
「これでよし」
と降り、ドアを閉めた時、
「あ!こ、これは!!」
拭いた筈のドアが濡れている。
「そうか!ミラーなんかの隙間に入ってた水が・・・どうすれば・・・・・・これだ!」
ヒロシはドアの開け閉めを繰り返し、こまめに出てきた水を拭き取った。
「ん・・・待てよ。という事は・・・ここと・・・ここもか!」
ヒロシはトランクを開けた。
「やっぱり!」
リアスポイラーの付け根に溜まっていた水がトランクを伝っている。ヒロシはトランク
をバタつかせ、水分を取り除いた。次にヒューエルグリッドカバーを空け、中の水分を
ウエスで拭き上げた。
・・・す・凄い!自分で解決しちゃったわ!それも給油口まで!アニキが惚れ込むわけだわ・・・
「これでどうだ!」
「うん。上出来よ。スピードもなかなか。」
165 :
立志編2-9:2005/05/16(月) 23:27:51 ID:tyVUUlSF0
「コーチありがとう。コーヒーおごるよ。」
二人は洗い終わった車を眺めながらしばし談笑した。
7時半が過ぎてお客さんが混み始めた。ヒロシは新しく入ってくるお客さんの
洗車を眺めながら違和感を感じた。
「ん?あのお客さん何かおかしくない?」
「え?」
どうやらスタートを押したのに水が出ないようだ。
「あ。ホース踏んでる!」
「え!?ウソ!ダメ!!」
ミドリが叫んだが時既に遅かった。洗車ガンは水圧で暴れまわりその車の
ボンネットに突き刺さりそうになった。その時・・・
「ヒョ!」
突然現われた洗車仙人がすんでのところでガンを掴んだ。
ヒロシは腰が抜けている。
「あ、あぶねー。ホースをきちんと巻かないとこんなことになるのか・・・。
しかし凄いなあの爺さん・・・」
「じゃ、俺はそろそろこれで!今日はありがとう」
ヒロシは運転席に乗り込みエンジンをかけた。
コンコン!
ミドリがガラスをノックした。
「ん?」
ヒロシはガラスを降ろした。
「ね、、ヒロシ君。こないだ丈治が言ってたんだけど・・・、アイオンスポンジの感触
ってそんなにおっぱいに似てるかな?」
「さ、さぁ・・・」
ヒロシは顔を真っ赤にして車を走らせた。交差点に入るヒロシ・・・
ガシャーン!!
前かがみで運転したため減速に失敗したヒロシはガードレールに突っ込んだ。
「ヒョヒョ。いいお客じゃの」
Uターンして戻ったヒロシは車を洗車仙人のショップに預け、泣きながらタクシーで
帰って行った。
167 :
以上:2005/05/16(月) 23:30:10 ID:tyVUUlSF0
お粗末さまでした。
誤字脱字をお詫びします。
>>167 すごく面白かったです。また気が向いたらうpして下さい。
ラスベガスにて二人の日本人の名前を知らぬ者はいない状態にあった。
洗車先進国である日本からやってきた男たち。
アメリカは後進国とはいえ大陸から名の知れぬ洗車の雄が集結し、ラスベガスなら
メシのタネにありつける。ヒロシはここでアメリカの強敵と初めて出会い、バトルを
重ねた。USCWA(合衆国洗車機構)主催のディフェンディングチャンピオンと
なったトシユキへの挑戦権を得て、雌雄を決する日が来たのだ。トシユキはヒロシに語りかける。
「ヒロシ、この時をずっと待っていた。俺には肩書きや財産よりもお前と再戦する
ことが生きがいだった。こうしてどこかで闘い続けるといつかお前に逢えると信じて
いたんだ。まさかこんな遠い国で逢うとは思っていなかったがな」
「あの頃はお互い無名で未熟だったな。勿論今でも修行精進の心は忘れていない、
このバトルはあくまで俺達の通過点だ。手は抜かないぜ!」
数年前の街角で一度バトルを交わしただけのこの二人だが、まるで昔からの親友のような
雰囲気で和やかに明日の勝負へ向けて語り合うが、静かな闘志がぶつかり合い、
まるで火花が飛び散って今にも燃え出しそうな熱いオーラをジョージは感じていた。
チャンピオンズサークルにトシユキが、そしてチャレンジャーズサークルにヒロシが
立つ。トシユキはスカイラインGTS、ヒロシはジョージのフォードGT40で闘う。
形式的にはヒロシが挑戦者となるが、トシユキにとっては自分が挑戦者だ。
今回のルールは最も一般的な洗車バトル。洗車後にボディに塗りつけるケミカルは
大きく分けてワックスとコーティング剤とある。ワックスはツヤ重視、コーティングは
ボディ保護を目的とされているが、最近はコーティング機能の強いワックスや逆に
ツヤ出しにも力を入れたコーティング剤も多々ある。一般的に油膜の出やすいワックス
は市場ではシェアを落としつつある傾向にあり、コーティング剤の進化により洗車市場は
コーティング剤が大幅に伸びてきている。こだわりの洗車屋までがあえてコーティング剤
を選ぶ時代にあって仕上げはあえてワックス勝負となった。
あくまで車を輝かせることこそが頑固な洗車屋にとっての無常の達成感といえるのか。
USCWAはトシユキの案によって洗車ガンのタンクに限りなく蒸留水に近い水を入れている。
そして道具もUSCWAの用意したものが使われ、ワックスはシュアラスターインパクトJrが使われる。
全て五分の条件で洗車→ワックスのオーソドックスな手順でのルールでバトルは始まった。
二人の洗車作業に一切のスキはない。水で充分にホコリを落とし、ルーフから下回りまであっという間にシャンプーからねんど、コンパウンドの作業が終わった。
いよいよワックスである。トシユキはエンブレム類を手早く外し、ワックススポンジを水で
一度湿らせて絞ってから神業に近い作業で薄く塗り広げ、拭きとっていく。
周囲から歓声があがる。グレーの車体がまるで金色の孔雀のごとき輝きを出し、周囲の風景
を写し出す。ジョージは溜息をついて見とれていた。
「ヒロシの他にもこんな奴がいたのかよ!俺はこれでもイケてる方だと思っていたのに洗車の世界ってのはこんなに広いのかよ!」
それに対してヒロシは信じられない行動に出た。まだ完全に拭きとりの終わっていない
ボディにいきなりインパクトJrを塗り広げているのだ!
ボディが風を受ける方向に向かって一直線にスポンジを走らせる。熟練の大工がカンナで
木材を芸術的に削り取るがごとくの手際である。その作業はガラスを除いたボディ細部に
まで行き渡った。ワックスの拭きとりをしないまま、ヒロシは作業終了を告げた。
「ヒロシ!お前正気か?まだワックスの拭きとりと定着作業が終わってねーだろ!」
ジョージは客席から叫んだが、車をよく見ると目を見張るほど輝くGT40が視界に入った。
拭きとりをせずにワックスを塗っただけなのに、トシユキのGTSに勝るとも劣らない
輝きを出しているのだ。国際審判員が審査に入ろうとしたそのとき、トシユキが
「その必要はない。ヒロシの勝ちだ。それも圧勝・・・・」
普通、ワックスはできるだけ薄く塗り広げ、徹底的に拭き取らなければならない。
いくら大量に塗っても塗装に定着する分子の厚さは同じなのだ。だから拭きとり作業を
軽減するためにも薄く塗り、拭きとりを念入りにやって均一の厚さをつくり、カルナバロウ
の妖艶な輝きをつくりあげる。ある程度の水分と親和させながら塗る必要があるので、
スポンジは湿らせ、最後はもう一度水をかけるなどの作業が必要になる。
ヒロシは最初からいきなりその作業をたった一回の塗り込みでそれを全部やってのけたのだ。
「ヒロシ、やはりまだまだお前には勝てねーよ。お前は次元が違う・・・」
「フ、だから手は抜かないって言ったじゃねーか」
国際審判員の正式な判断でヒロシのチャンピオンは決定した。
とうとうヒロシはアメリカを完全制覇し、アメリカの洗車界に技術の金字塔を打ちたて、
殿堂入りを果たした。アメリカで伝説の男となったのだ。
客席で謎の日本人が笑みを浮かべている。
「ヒロシの腕前はよくわかった。だが、日本の洗車界ではすでに次のステップに進んでいる。
ボディ洗車は飽和状態。これからは車内清掃の時代なのだ」
ヒロシのアメリカの旅は終わった。再び闘いの場は洗車先進国、日本に移される・・・
174 :
170:2005/05/17(火) 03:02:00 ID:n9uaXeAY0
>>167 乙です。こちらはかなり腕を上げたバージョンのヒロシを登場させております。
さて、お遊びで始めたアメリカ編はこれで終了です。
最後の方でやっとワックスについてのウンチクを書かせていただきました。
これくらいこのスレのみなさんには常識かも知れませんが。
ヒロシは日本に帰りましたが、まだ未消化のキャラである例の粘土の坊さんとかどうしようか
悩んでいます。といってもこの坊さんも私が勝手に作っていたキャラですが・・・
また時間があればなにか書くかも知れません。
175 :
訂正:2005/05/17(火) 03:09:48 ID:n9uaXeAY0
>それに対してヒロシは信じられない行動に出た。まだ完全に拭きとりの終わっていない
>ボディにいきなりインパクトJrを塗り広げているのだ!
↓
>それに対してヒロシは信じられない行動に出た。まだ完全に水分の拭きとりが終わっていない
>ボディにいきなりインパクトJrを塗り広げているのだ!
おやすみなさい。
>>175 乙です。
文章の細部の微妙なこだわり、わざわざ訂正を入れるところなんざぁ、
洗車ヲタっぽくて凄くイイ!
なんかこの何日かで凄いことになってるなw
今いる職人は2人?3人?
おもろいぞ!ガンガレ!
178 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/17(火) 19:54:23 ID:m6HYW1q0O
>>167 ほのぼのラブコメ要素がイイ!
>>175 少年漫画のような展開をすごい文学的(?)な表現で書いてあるから、
そのギャップがイイ!
二作品とも職人の個性がある。どっちも映画化してくれ。
179 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/17(火) 23:19:17 ID:zpHYOQyBO
>>167>>175ハゲ乙。
かなり楽しめましたよ!こいつはもう保存版ですね。
二人ともガンガレ!
うは 作家の人たち乙です。
181 :
175:2005/05/18(水) 01:42:31 ID:bc3oGqot0
さて、続編いきますよ。
長いのでちょっとうっとうしいかも知れませんが、気の長い方はお付き合い下さい。
ヒロシは関西国際空港に降り立った。チケットを手配してくれたジョージが何故か関空行きを用意したからだ。
ついでだからヒロシは関空から少し大阪をぶらついてから帰ろうと思った。
南大阪の街並みが妙に気に入ったヒロシは、とあるコイン洗車場に立ち寄った。
日本で車を手放していたヒロシは当然徒歩で、歩きの旅行者がその辺の洗車場にふらりと
入り込むなど酔狂以外考えられない。ヒロシ自身も自分で自分に苦笑いを浮かべる。
コイン洗車場と書いてあるのに大きな建築物が建っている。
中に入ると完全に屋内型の洗車場になっていた。洗車ガンの他に、ドアミラーなどの
細かい水滴を飛ばす高圧エアガンもあり、室内の照明は紫外線カット加工、空調も洗車に
最適な温度と湿度に設定されている。排水システムも万全でシャンプー液や泥埃の混じった
排水を独自の浄化システムで真水に戻し、もう一度洗車に使用するといった徹底ぶりだ。
「(すげー!こんなのやり過ぎじゃねーのか?プロの設備も真っ青だ)」
ヒロシは奥のフロアに続く。そこには車内清掃の設備があり、掃除機などが並んでいるが、
エアコン清掃や車内脱臭などのサービススタッフが立ち並ぶ。
「いらっしゃいませ!」
元気なスタッフの声に驚いたヒロシが我にかえった。
「お客様、本日はお車をどのようにされますか?」
「い、いえ、通りすがりの者なんです。ちょっと珍しい設備だなと思って」
ヒロシは少し狼狽して答える。奥から中年の男の声がかかった。
「あら、ヒロシ君ね、待っていたわよ」
「(な、なんだこのオカマは!?)」
「なによ、バケモノを見たような驚き方をしないでよ」
「(てゆーかバケモノじゃねーかよ)」
この男の名は尾杉。株式会社潔癖工房の社長で、日本の洗車ブームをいち早く察知し、
関西ではNO.1企業にまで昇り詰めた総合洗車会社を一代で大きくした。
男の豪腕な経営理念と、女(?)の繊細な人材マネージメントとアイデア力を併せ持つ
やり手の社長であった。彼の部下がラスベガスでヒロシを見て知っていたのだと言う。
彼の部下があらかじめ帰国したらヒロシを尾杉のもとへ行かせるようジョージに依頼していた。
それにしても何たる厚化粧。中年男のオカマほど醜いモノはない。
ヒロシは早くその場を逃げ出したかった。
応接室に通されたヒロシはお茶を運んできた美人秘書で目の消毒をしていた。
「しかしまあジョージ君って子はちゃんと私のことをヒロシ君に伝えてなかったのね」
「ええ、関空行きのチケットを渡されただけで、ここに辿り着いたのは偶然なんです。
(ジョージの奴め、このおっさんの話など聞いてないぞ。いや、あいつも事情を
話しづらかったのかな?)」
ジョージはコロラドでくしゃみをしていた。パンフレットで社長の顔を見て
「OH!My God!!!」
と叫んだくらいである。ヒロシが美人秘書の脚に見とれているのをお構い無しに尾杉が語る。
「ヒロシ君は日本に帰国してまだ間もないけど、街を走る車を見て何か思わなかった?」
「ええ、以前に増して車がみんなピカピカですね。まだ南大阪しか見てませんが、
これも尾杉社長のお力ですか?本当にもう社長と車、どちらも美しい!」
ヒロシは目一杯皮肉を込めて言ったつもりだが、尾杉は本気で喜ぶ。
「あらやだ、今度メークの仕方を教えてあげようかしら?」
「(いらねーよ!マジでもう勘弁してくれ!)」
「実はね、ヒロシ君もこの施設を見て感じたと思うけど、外側(ボディ)の洗浄はみんな
自分でやってるの。プロによるボディ洗車の時代は終わりつつあるのよ。
これから私たちが生き残るにはまだプロの入り込む余地のある室内清掃なのよ」
確かに尾杉の言う通り、この洗車場はボディ洗車がセルフ、室内清掃はプロスタッフによる
サービスとなる。ヒロシ自身も室内清掃はお手の物だが、ボディと違って達成感が薄いのは
否めない。それに一人で本格的にやろうと思えば週末が丸々つぶれる。
ヒロシ自身は室内清掃をプロに頼んだことは無いが、確かに他人にやってもらうという発想
もうなずけるのだ。
「だからこの洗車場は室内清掃コーナーが有人なんですね」
「そうなの、ちょっとここだけの話だけどね」
尾杉が顔をヒロシに近づける。
「(うわ、近づくなよ、ひい!香水臭え!)」
尾杉は真面目な顔で語る。
「先月、国会では洗車党が政権を取ったの。とうとう日本も洗車が政治を支配する時代に
なったと言うことね。実は洗車党には私の膨大な票田を利用して代議士になった者が多く、
息のかかった者により大阪府全体をとある特別行政区にする動きがあるの」
ヒロシは真顔に戻り、
「え?何をしようってんですか?」
「あのね、手始めに我が潔癖工房の本拠地である大阪を、個人の室内清掃は禁止にして、
行政の指定する業者だけでしかやってはいけない条例をつくるのよ。
流石にボディ洗浄の禁止は世論が許さないわ。だから比較的やりやすい室内清掃で条例を
制定して、これが成功すれば全国に法律として広めるの。そして我が社を指定業者にする
のよ。世論を納得させ、我が社の競争力を磐石な体勢にする為にはぜひともヒロシ君に
我が社の顧問になって欲しいのよ」
ヒロシは言葉が出ない。だが尾杉は続ける。
「もちろんすぐに返事をちょうだいとは言わないわ。少し考えてから返事をちょうだい」
沈黙が続く。さっきまで湯気が立っていた湯呑み茶碗のお茶もすっかり冷え込んだとき、
「い、いやだ!そんなこと受け入れられない!」
「お金?報酬はたっぷり出すわよ。ヒロシ君がラスベガスで稼いだお金なんてお小遣い
程度に感じるほどね」
ヒロシは涙目になって語り続ける。
「ちがう!そんなんじゃないんだ!そもそも洗車は大衆の娯楽なんだ!趣味なんだ!
みんな車を愛しているんだ!そんな条例だの法律だの難しいことで縛ってはいけないんだ!
お金を出してプロに洗車を頼んでいる人だって自分で汗水垂らして働いたお金を出して
車を綺麗にしているんだ!そんなやり方は許せない!あんた達で勝手にやってくれ!」
そう、アメリカの友人、ジョージですら金持ちのボンボンながら洗車に愛がある。
今まで闘ってきた戦友もみんな深い愛情がある。洗車とは車を愛する者の最高の
娯楽であり、車との対話なのである。
ヒロシは頬の熱い涙の感触を怒りで忘れていた。
「でも、私達もはいそうですかとヒロシ君に帰ってもらうわけにはいかないわ。
どうしてもあなたの力が必要なのよ」
「もう俺に構わないでくれ!帰る!」
尾杉は困り果てた顔で少し考え込む。そしてひとつの案を出した。
「それなら室内清掃でうちのスタッフと勝負してもらうわ。あなたが負ければ顧問に就いて
もらうわ。それだけの条件じゃ不平等なのであなたが勝てばこの特別行政区の話すら
放棄するわ。これでリスクはお互い様よ」
それにしても随分勝手な条件である。ヒロシが今ここで断って帰ればそのうち特別行政、
果ては法案すら通るだろう。ヒロシとしてはこの暗黒の計画をどうしても潰しておかなければ
ならない。ヒロシはこの大きなバトルを受けることにした。
続きは後日です。今まではセリフの部分が読みにくいと思って改行しましたが、
会話部分も改行した方がいいでしょうか?
今回は全く洗車について触れてないので恐縮です。
これからヒロシは室内清掃のチームを組みます。
お願いがあるのですが、キャラの名前を2〜3名募集します。
エラそうで申し訳ないですが、ご協力をお願いします。
189 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/18(水) 02:15:05 ID:iyG0r4KU0
>>188 お疲れデス!
リクエストですが、
タカシ・リュウイチ・ケン
です
>>188 たとえば、北海道富良野のログハウスに住む手縫い鞄製造一筋30年、
皮革を知りつくした男。レザーの熊五郎とか。。。ですか?
191 :
188:2005/05/18(水) 02:33:24 ID:bc3oGqot0
>>189 是非使わせていただきます。
>>190 それも面白いですね。
でも今回はそこまでヘビーな手練じゃないんですw
よろしければ「レザーの熊五郎」もどこかで使わせてください。
ついでに美人秘書の名前も募集します。
こちらはフルネームでお願いします。
このスレの住人のみなさんでストーリーをつくれれば幸いです。
センスのいい名前をお願いします。
たびたびエラそうで申し訳ありませんが、
192 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/18(水) 02:59:15 ID:HmTvtHBfO
>>188 ネ申降臨!!
お世辞ぬきでストーリーの組み立て方が素晴らしい!!
伊東美咲と松嶋菜々子のブレンドで伊東菜々子でいかがですか?
スケールでかっw
194 :
188:2005/05/18(水) 19:32:07 ID:2jZwxzyy0
さて、長い爆撃を開始します。
帰り際、美人秘書がそっとヒロシにハンカチを手渡した。
「これで涙をふいて下さい。勝負は一週間後にここで行います。車はこちらで用意します。
滞在中のホテルはこちらでとっておりますのでご費用などは心配なく」
放心状態でふらふらと歩いて行くヒロシを美人秘書は心配そうに眺めていた。
それにしてもその場の勢いで受けたバトルである。そもそも室内清掃は一人でやっては
とても半日やそこらでは終わらない。
「俺ひとりでも負けるわけにはいかないなあ・・・」
ヒロシは橋の上で美人秘書に手渡されたハンカチを握り締める。尾杉の下品な香水と違って
ハンカチについたあの娘の心地よい残り香がヒロシの鼻腔をくすぐる。
橋の上の眺めはなかなか良かった。見渡すと夕暮れの街並みが一望できる。
手前の方に高校らしき建物が見えた。運動部が部活をしている。ヒロシは高校時代を
思い出してしばし懐かしさにふけっていた。
よく見るとグラウンドの端で洗車をしている。ヒロシは早速その高校に向かった。
「やあ、なんでそんなところで洗車をしてるんだい?」
「なんや兄ちゃん、俺らは洗車部や。夏の洗車甲子園を目指して青春の部活をしている
最中やないけ!見てわからんのか!」
「ゆーても俺ら二軍やけどな!」
「アホ!二軍なんてそんなん黙っときゃわからんやろ!」
大阪の人間はナチュラルな漫才をするんだなとこの3人組に感心していたヒロシだった。
関西ではこんな会話は日常茶飯事だが、ヒロシにとっては新鮮で微笑ましかった。
「ところで君らは無免許だろ?いいのか?車なんて動かして」
「兄ちゃんアホか!ここは学校内の私有地やないけ!兄ちゃんこそ勝手に学校に入って
きてからにフホウシンニュウシャ扱いされてもおかしくないねんで!」
「そうかそうか、すまんすまん」
ヒロシは照れ笑いながら頭を掻く。洗車のこととなると目がないヒロシの悪い癖だ。
と、その時、ヒロシは一計を案じた。
「初対面でいきなり悪いが、少し俺に協力して欲しいことがあるんだ」
「なんやーケツでも貸せ言うんか?」
「なんでやねん!」
「お前の汚いケツなんて誰もいらんわ」
誰かが何かを言うとすかさずツッコミが入る。お笑いセンスとは無縁のヒロシにはますます
新鮮だった。さっきまでのブルーな気持ちが少し和んだ。
ヒロシはこの先の洗車バトルでどうしても協力者が欲しい事情を説明した。
三人組の中でリーダーシップをとっていたタカシはうなずきながら事情を聞きながらも、
「でもなあ、室内清掃やろ?俺らは部活では室内はやってても洗車甲子園の種目には入ってないんや。
悪いけど俺らは一軍入りしてぜひとも洗車甲子園に行きたいねん。他を当たってや」
見知らぬ土地でヒロシにはもう他にアテがない。本当の本当に負けられないのだ。
どうしても最低4人は人員が必要だ。ヒロシとあと3人。時間も無い。
この3人の協力無しには勝ち目がない。
「それならバトルが終わったら君らのコーチを引き受けよう。必ず3人を一軍に上げて
みせる。約束しよう」
今度はリュウイチが口を開く。
「そんなん言うほど兄ちゃん凄いんか?ウチは名門校やで?監督も凄腕や。もっとも二軍
なんて相手にしてくれへんけどな」
「そうやそうや。どこの馬の骨ともわからん兄ちゃんに構ってられへんねん」
一年生のケンまでが口を挟む。それはそうだ。この高校生達にとってはいきなり現れた
男にそんな協力を頼まれても怪しすぎて拒絶するのは当然と言えた。
「論より証拠だ。ちょっとその車を洗わせてくれないか」
3人はヒロシの超絶テクニックを目の当たりにする。部活でボロボロに使い込まれた道具が
まるで購入してきたばかりの新品のごとく機能する。洗車知識は一丁前の3人だが、
実際の技術とスピード、そしてヒロシの無駄のない流麗な動きに3人は完全にハマってしまった。
「また明日も来るよ」
ヒロシはその一言のみ告げて去ろうとした瞬間、タカシが呼び止めた。
「待てや兄ちゃん・・・タダ者では、ないようやな」
「タカシなにカッコつけとんねん」
リュウイチがすかさず突っ込む。タカシはリュウイチのツッコミを無視して続ける。
「俺らも二軍の落ちこぼれと言えど見る目はあるつもりや。それほどの腕のあんたが
そこまで本気なら俺らも一軍に上がることは本気なんや。
協力させてもらうわ。むしろ、協力させて下さい。リュウイチもケンも異存はないな」
リュウイチもケンも頷く。お互いの改めてお互いの自己紹介をし、かくして即席の
室内清掃のチームが組まれた。
勝負の日がやってきた。タカシの名付けた「和泉ヒロシーズ」は株式会社潔癖工房に
乗り込んだ。この日の為にタカシ、リュウイチ、ケンの3人は部活が終わってからも
ヒロシの特別演習に付き合ったのだ。何度か学校側に見つかりそうになったがタカシ達が
うまく誤魔化し続けてくれたのでヒロシも室内清掃の充分な理論組み立てを行えた。
勝負にはトヨタアルファードが用意されていた。
百戦錬磨の尾杉はわざと広大な室内を誇るアルファードでヒロシを困らせる作戦に出て
いたが、3人の頼れる助っ人をバックに持つヒロシにはもうどんな車種でも闘える。
「あら、かわいい男の子たちね。どこから拾ってきたのよ」
3人の助っ人の顔が一気に青ざめる。ヒロシから噂に聞いていたが、実物のもの凄いオカマ
っぷりにかなりひいている。
「バトルの内容はアルファードを各チーム一台ずつ車内清掃よ。判定は国際審判員の資格
を持つこの子がやるわよ。心配しなくても絶対に不正なジャッジはしないから」
国際審判員とは、かの美人秘書のナナコであった。今日は眼鏡をかけていない。
ますます美しいナナコにヒロシ達4人は見とれてしまった。
「それでは始めて下さい」
ナナコの掛け声で和泉ヒロシーズと潔癖工房洗車隊の作業が始まった。
潔癖工房の作業はさすがプロと思わせる作業内容である。シートの取り外しを行い、
潔癖工房オリジナルのシート洗剤で丁寧にシート洗浄を進める。そして、エアコンも取り外せる
部分はみんな外して洗う。エアコン内部にはオゾン脱臭機を使用して殺菌、消臭を施し、
内側ガラスにこびりついた油膜は専用のこれまたオリジナル薬品で落とす。
タバコのヤニはメチルアルコールを使った薬品で丹念に黄ばみを取る。
まさに適材適所で専用の薬品を投入している。シートの仕上げに至っては殺菌消臭の為に
潔癖工房開発の光触媒スプレーを噴射。まさにこれでもかという至れり尽くせりの作業だ。
ステアリングやシフトレバーには高耐久抗菌処理。まるで病院のICUの無菌状態の
如く徹底した室内清掃である。アマチュアにここまでの作業はまず不可能といえるだろう。
そもそもヒロシは業者という意味でのプロとはまともに闘ったことは無い。
業者プロはこのような一般市販されていない専用ケミカルをふんだんに使用し、
スタッフは専門の研修とそのケミカルに特化した訓練を充分に受けている。
さらにチーム作業となるとお互いの得意分野で補い合い、その力は増加されるのだ。
軍隊のごとき統率の取れた潔癖工房洗車隊は、最大限の力を発揮する。
今までのヒロシやそのライバル達は、自分で工夫した道具や市販用品、または指定された道具の
範囲内で闘ってきた。総合的な技術や経験が要求され、このような種別の違う相手に
ヒロシ達はどのように闘うのであろうか?
尾杉としてはいくらヒロシが達人といえど我が社の最強チームとヒロシには用意できない
専用ケミカルがあれば勝利は間違いなし。さらに念を入れて室内の広大なアルファードを
用意したといったところだ。
ヒロシ達もまたシートの取り外しを行う。同じように取り外せる範囲内で部品を外す。
ヒロシが一人でやれば時間を食うところだが、タカシの手際のいい作業によって
こちらもスムーズに進む。リュウイチが取り出したのは、市販の柔軟材入り液体洗濯洗剤
だった。人間の皮脂のついたシートには洗濯洗剤が有効であり、また溶けやすい液体を
チョイスすることによって必要最低限の薄さにまで希釈できる。
ヒロシの指示した通りの倍率に薄めてリュウイチは作業を進める。
エアコンを含む部品類はケンが担当する。こちらは中性洗剤の雄、緑ジョイである。
中性洗剤は化学反応を起こしにくく、油まみれの生きた野鳥をボランティアさんが洗う
ほど生物や物品に優しい。一年生で普段から合宿で洗い物をさせられているケンにとって
ジョイを駆使した洗浄は朝飯前といったところか。
タバコのヤニ対策には薬局で売っている消毒用のエタノールを使用する。純粋にヤニ落とし
だけに特化すればメタノールを使用したいが、危険物2種で人体にも影響が大きいので
ヘタに扱えない。ガラス内部の油膜落としにはウーロン茶を使う。
ウーロン茶に含まれるウーロン茶ポリフェノールだかが油分の分解能力に優れ、ガラスに
こびりついた油膜には中性洗剤では限界があり、ウーロン茶が有効だ。
ヒロシの磨きの腕にかかればこれだけの素材で充分に専用ケミカルに対抗できる。
最小限の柔軟材入り洗剤で洗ったシートの殺菌には緑茶をつかう。緑茶カテキンはオキシドール
より殺菌効果が高いとの研究結果がある。ジョイにも緑茶成分入りバージョンがあるほどだ。
エアコン内部の脱臭には吸入口からヒロシオリジナルブレンドの高濃度茶カテキンヘルシア
緑茶エタノールを吹き込む。蒸発してしまえば人体に影響は全くない。
このように潔癖工房側とは対照的に必要最低限の洗剤類をつかって作業が行われた。
両チームの作業は終わった。どちらもピカピカの車内である。
インパクトで言えば徹底した殺菌処理を施した潔癖工房側に分がある。
ヒロシ達はやれるだけのことはやった。しかし絶対に負けられない。尾杉が一歩出て、
「さあ、判定をお願い。聞くまでもないけどね」
「じゃあ国際審判員の名に恥じず、公正な判定を下します。この勝負、和泉ヒロシーズ
の勝ちです!」
ナナコはバッサリとヒロシ達の勝利を言い渡した。お約束のごとく尾杉は納得いかない。
どう考えても施工内容、作業量は潔癖工房側が上なのだ。
場内に沈黙が走る。ナナコの判定は覆らない。さっきまで黙っていたヒロシが語りはじめた。
「あんたらの負けの理由は明白。愛がない」
「愛・・ですって?」
「あんたらのプロとしての作業は最高のものだ。正直、そこまで徹底した殺菌消臭処理は
俺でも思いつかないし、またそこまでやろうとも思わない。まさに極限の清掃だ。
しかし、車内は人間が居住する場所。ましてミニバンは小さな子供も乗るのだ」
「フン、ガキが乗って汚すからこそ余計に綺麗にしなきゃいけないじゃない!」
尾杉は顔を紅潮させて反論する。ヒロシはやれやれといった表情で語る。
「あんたらの使いまくる薬品がどれだけ子供の身体に影響があると思うのだ?
子供だけでなく、そんなことを続ければ人体がむしばまれていくに決まっている。
薬品など必要最低限で充分なんだ」
「ヒロシ君、あんたは所詮アマチュアだからそんな発想なのよ!私達はお客様からお金を頂いて
お掃除させていただくプロなのよ!出来うる最高のサービスを提供して当たり前じゃない!」
と、そこでナナコの叫び声が!!
「お父さん!ええ加減にしてや!何も分かってないのはお父さんやないの!」
ヒロシ達の目が点になる。
「え???お、親子だったの??」
尾杉と美人秘書ナナコは親子だったのだ。色々な意味でヒロシは開いた口が塞がらない。
ナナコは父である尾杉に近づく。
「前にヒロシさんが言ったやない!洗車の基本は愛なんよ!ヒロシさんの洗車は車と
その車に乗る人に対する愛情がとても深いのよ!これはもう業者とアマチュアとかの
問題やないの!」
ナナコはついに泣き出す。
「お父さんはいつから洗車への愛を忘れたん?なんか最近からずっとおかしいやないの!
昔のように車に優しい目を向けて洗車するお父さんが好きやった!でも、最近は営利に走って
大事なことを忘れてるやない!」
尾杉はずっと黙ってうつむいている。そこへ、潔癖工房洗車隊が近づく。
「社長、ナナコさんの言う通りですわ。僕らもあの洗車への愛情深い社長に惚れてここまで
付いてきたんです。ここは潔く負けを認めましょうや」
このバトルはヒロシチームの勝利となった。タカシ、リュウイチ、ケンの3人は
洗車人生で初めての勝利に歓喜する。ヒロシは念入りにクリーニングした借りていた
ナナコのハンカチでそっとナナコの頬を拭う。タカシ達は思いっきり冷やかし、
ヒロシは3人を追い掛け回してはしゃぐ。その姿を見たナナコに笑顔が戻る。
尾杉は心の中でますますヒロシという逸材が欲しくなった。
こうしてヒロシは株式会社洗車工房の暗黒の計画を止めることに成功した。
だが、洗車社会となった日本でこういった動きは氷山の一角である。
ヒロシはこれからどんな道を歩むのだろうか。
大阪洗車愛情編
完
とりあえず終了です。
ろくに推敲もしていないので誤字脱字おかしな文章はご容赦を。
AとBが実は親子だったとか、ベタな展開へのツッコミもご容赦を。
また、ウーロン茶ポリフェノールが本当に油膜への有効成分なのかはあやふやに
知ったかぶりで書いております。
キャラの名前を提供してくださった方々にも厚く御礼申し上げます。
時間があればタカシ達の一軍昇格の番外編も書きたいですが、
何をどうネタにしても二番煎じになりそうです。
208 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/18(水) 22:14:07 ID:+eMKT0m90
210 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/19(木) 01:14:27 ID:gEJUO/AKO
>>206 乙です!
最近はずっと車内をそうじしてないから久しぶりにやろうと思ったよ。
ウーロン茶の油脂分解成分は烏龍ポリフェノールであたってるようですな。
ほかにもサポニンという成分が乳化剤の効果を発揮するようです。
なんにせよGJ
213 :
206:2005/05/19(木) 20:54:53 ID:dMhVtM7T0
調子に乗って番外編ができました。
>>208 ホイールについて触れておきましたが、ちょっとインチキくさいので
怒らないで下さい。
爆撃を開始します。
ヒロシは約束通りタカシ達に洗車のレクチャーを行うことになった。
3人はヒロシが思っているより飲み込みが早く、ヒロシを信頼しきった3人は
どんどん技術を吸収していく。基本的に我流で洗車技術を身につけたヒロシにとって、
名門校で基礎を叩き込まれた3人の短時間での向上に目を見張るものがあった。
タカシ達の通う高校は洗車部が有名なSL(センシャ・リバティ)学園。
全国の中学から洗車の腕自慢が集結し、洗車甲子園を目指して厳しい部活を続ける
大阪の有名校である。タカシ達は洗車推薦ではなく、一般で入部したただの洗車好きだが、
授業にも洗車の時間が取り込まれ、洗車部一軍のように一流のコーチ陣がついていなくても
基礎はできていたというわけだ。
一軍に上がる試験は、一通りの洗車作業をして、例えばシャンプー洗車で一軍レギュラーより早く
綺麗に仕上げれば、合格というシステムだ。同じ仕上げの美しさならスピードで
上回るだけでも合格。簡単そうだが、引き分けでは不合格なので一度二軍に落ちたら
なかなか上がれない。仕上げ重視でいくと時間を取られ、早さ重視では仕上げに不安がある。
また、チームバトルなので極力息の合ったプレーを要求される。
待ちに待った一軍昇格試験の日がやってきた。
ヒロシは父兄の部活視察ということにしてその場に立ち会うことができた。
試験内容は3対3のシャンプー洗車バトル。校長の白のクラウンを一軍が、監督のシルバーの
セドリックをタカシ達二軍が洗う。汚れ具合は似たようなものだ。というかあまり汚れていない。
監督の野村は低い声でブツブツと喋る。
「・・ほんなら試験を始めるでぇ、さっさとはじめぇや・・ブツブツ・・・」
監督の車を洗うのは試験に左右することの他に責任重大なことがある。
監督の奥方のサチヨ夫人がうるさいのだ。ヘタに仕上げにムラが出るとサチヨ夫人の恐怖の
説教が待っている。それに対し校長は愛車のクラウンをいつも生徒がピカピカにしてくれる
だけで満足なのでそんなに気を遣わない。
今日に限って監督の車を洗うことになったタカシ、リュウイチ、ケンにはいつも以上に
緊張感が沸く。平常心を心がけ、両チームは作業に入った。
一軍の手際はさすがである。みるみる泡が車全体を覆っていく。シャンプー洗車で重要なのは
この泡で、泡が塗装面の汚れを浮かし、ヘタにスポンジでこすりつけるよりも効果的に
泡立たせることがボディに優しい洗車となるのだ。シャンプーの原液と水の割合、そして
原液入りのバケツへの水の注ぎ方とスポンジの当て加減が泡立ち具合を決定させる。
だが、二軍の作業もまったく遅れを取ることはない。ヒロシによる特訓で鍛えられた二軍は
全く同じように車をすっぽり泡で覆っていく。ホースから放水される水際に虹が映りこみ、
快晴の中、順調に試験は進められた。(本来、あまり天気が良すぎるのは洗車に向かないが)
だが、ここまでは互角に作業を進めても引き分けではダメである。勝たなければ意味がない。
ホイール洗浄の作業に入った。一軍は台所掃除の定番、マジックリンを用意した。
マジックリンは強力な洗剤で、校長のクラウンの鉄ちんホイールには最適のチョイスといえる。
ホイールブラシを慣れた手つきで動かし、ホイールはピカピカに輝く。
二軍は、なんと油圧ジャッキを用意し、手に持つのは歯ブラシと練り歯磨きだった。
ケンがジャッキアップをするとリュウイチがタイヤごと外し、タカシがまずシャンプーでおおまかに
洗ってから練り歯磨きと歯ブラシを使って細かい作業に入る。
一軍は横目で見ながら、
「(おいおい、そんな面倒臭い事しとったら時間を食うだけやないか、
お前らもいつも通りマジックリンを使えばええのに)」
と心の中で思っていた。しかし、真剣勝負なので自分達の作業を全力で進める。
結局洗車終了の時間は一軍より二軍が少し遅れた。時間遅れは監督のマイナス判定につながる。
「ブツブツ・・二軍のお前らもわかってきたやないか・・ブツブツ・・よっしゃ、合格や」
合格である。ボディの仕上がりは甲乙つけ難い。腕を上げた二軍は一軍と互角になっていた。
しかし、ホイール洗浄で二軍は時間をとられた。マジックリンを使えば手早くできたのに、
あえてタイヤまで外して練り歯磨きで磨いた。
そもそもホイールは洗車においてよくサボられる箇所である。一般人はボディで頑張っても
ホイールまでちゃんと洗わないものだ。だから汚れが溜まって大変なことになる。
だが、洗車部で洗うような車は常にホイールにも手が行き届く。毎回きちんと洗っていれば
そんなに神経を尖らせることはない。しかし、少しずつこびりつくブレーキカスはホイールの
内側に溜まったらタイヤごと外して磨く必要がある。これには歯磨き用の練り歯磨きが有効で、
ヒロシ直伝の磨きテクニックを身につけた二軍の技でみるみるリフレッシュされた。
さらに、ヒロシの特訓を受けているのを密かに知っていた監督はあえてプレッシャーの
大きな監督車を洗車させたのだ。
「ブツブツ・・あなたがヒロシ君やな。ブツブツ・・よくぞここまで育ててくれた・・
歯磨きで磨くなんて、まさに我が校のリバティ理念や」
見事にタカシ、リュウイチ、ケンの3人を一軍に押し上げたヒロシは約束を果たした。
「ヒロにぃ、ありがとな。俺はこのままずっと一軍で頑張る」
天然ボケ気味で笑わせてくれた一年生のケンと握手を交わす。
「ヒロさん、ほんまおおきに!今までの部活を絶対無駄にせぇへん!」
いつもツッコミ役をしていた三年生のリュウイチとも握手を交わす。
「ヒロさん、あんたに会わへんかったらこのまま二軍で高校生活を終えてたかも知れん。
ほんまに、ほんまにありがとう!俺らは必ず洗車甲子園に行ってみせる!
全国制覇する!ヒロさんが、生まれて初めての勝利を教えてくれた。強大な相手にも負けない
心をもって挑む勇気も教えてくれた。・・・また遊びにきてな!絶対やで!!」
最後にいつも明るく、ギャグばかり飛ばしていた三年生のタカシと両手で握手をし、再会を誓った。
洗車部一同に手を振られ、カッコよく立ち去ったヒロシだが、忘れ物を思い出した。
しかし英雄のように扱われたため、取りに行こうにも行きにくかったのであった。
大阪洗車番外編
完
219 :
番外編は以上:2005/05/19(木) 21:08:38 ID:dMhVtM7T0
私自身、アルミも鉄ホイールもマジックリンで洗っていたことがあり、問題なかったので
登場させました。
でも市販のホイールクリーナーって、結構ハズレが多いですよね。
いいのがあったら教えて下さい。
乙であります。
221 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/20(金) 05:40:13 ID:ZEHHe/xNO
またもや秀作乙です!
今回はシャンプー洗車のお勉強ですか。
マジックリンをホイールに使う勇気はありませんが。
(当方、塗装アルミです)
222 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/20(金) 06:47:12 ID:FZarTwuZ0
みんなスゴイ、面白い!
先生これからもがんばってください。
乙です。
でもマジックリンも歯磨き粉も怖くてできないなー。
224 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/20(金) 18:20:59 ID:ysrSQX0Z0
洗車男
225 :
208:2005/05/20(金) 19:02:17 ID:UWLT9MZR0
>>219 ドンドン美味くなってる〜ッ マジックリン・歯磨き粉は想定外でした
俺が使ってるのはシンプルグリーン希釈2〜5倍(汚れ方に因る)でホイール&タイヤを洗ってます
因みにウィンドウォッシャー液もシンプルグリーン希釈200倍を入れてます
泡立ちが少ない為ボディにはオススメしないです オクで買えば4.7リットル1500円位じゃないかな
すいません。また書いちゃいました。暇な人はドゾー
土曜の昼、洗車仙人のショップへ白いインプレッサが現れた。
「お、GC・・見慣れない車だな・・・」真一が不審そうに見ている。
車から降りてきたのは、なんとヒロシだ。
GTRは先週のクラッシュでまだ修理中だ。
「ハハ・・修理待ちきれずに買っちゃいました・・」
「ちっこれだから成金は・・・」
真一は不快そうだ。
「しかし白ッすか?なんでまた?」と言うのは五郎。
「え?こないだピッカピカの白い車を街で見かけてきれいだなぁと・・・」
「ま、頑張ってくださ〜い。」五郎が笑っている。
「白って・・・大変なのか・・・?」
「シュウ。ちょっとこっちゃ来い。」
洗車仙人が事務所へシュウを連れて行った。
「あやつ・・・白を買ってきたぞ・・・ヒョヒョヒョ・・・」
「とりあえず、金があるのはうらやましい限りだ。」
「そうよ。その金じゃ。普通のヤツなら黒い車を買ったら5年くらいは黒いままじゃ。
その間黒い車用の技術を磨けばええ。じゃが、ヤツは黒い車で業者のコーティングに
騙され、毎週洗車機につっこみ、しかもセカンドカーに白を選びよった。その財力が
普通の人間が10年かけて体験する行程を、わずか数ヶ月で体験させようとしておる。
才能に運も加わっとるわ。」
「確かに。」
「そこでじゃシュウ。こんなのはどうじゃろうか?・・・・・」
「それはいい!早速言ってきましょう。」
店舗内の待合でミドリが説明していた。
「白はね。全てにおいて黒の対極にあるのよ。まぁおいおい勉強していくといいわ。
あ。アニキ。」
「ヒロシ話がある。お前はこの白インプにこれを使え。」
五郎が驚く。
「え?これ固形ワックスじゃないっすか?なんで今時?それも白っすよ」
「ふふ・・やればわかるさ。ということでコーチはテツオ。 お前の出番だ。」
「おう!ワックスならまかせんしゃい!早速明日やるバイ。道具はあとで俺がチョイ
スしとっちゃーよ。よかね?」
「は・ハイ!お願いします。そう言えば、テツオさんいつも一人作業が違いますよね?」
ミドリが意味深な顔で笑う。
「テツオさんはね〜凄いよ〜。カルナバジャンキー黒光りのテツの異名を持つんだから」
「その呼び方はやめんね。なんか卑猥バイ」
「ハハハハハ」
翌朝、2台ともボンネットは十分に冷えている。
「ほれ、ワックス用グッズばい。これで気張りンしゃい。ワックスは俺はマンハッタン
ばってん、ヒロシはシュウの用意したザ・シュアラスターやね。」
テツオが選んだグッズは見事なまでにシュアラスターマンセーだ。ザ・シュアラスター、
ワックススポンジ、拭き上げクロス、鏡面仕上げクロス、スピリット、マイクロクレイ・・・
「な・なんか持ってるものも混じってるようなんですけど・・・」
「よかよか。さぁやるバイね〜。俺はとりあえず見とっちゃーけん。自分でやってみ
んね。今日は粘土とスピリットはせんでヨカよ。シャンプーとワックスだけでよか。」
「は・はい・・・」
ヒロシはシャンプーを素早く終えた。先週の経験が見事に活かされている。
「ほー。速かねー。こりゃぁ鍛え甲斐がありそうバイ。」
「はは・・でも固形ワックス、初めてなんですよね・・・」
「まぁええからやってみんしゃい。」
ヒロシはプラスセーヌで素早く拭き上げを終えた。
シュアラスターワックスを全体に塗りたくり、拭き上げクロスでさっと拭き取り、鏡
面クロスで仕上げた。
「終わりました。どうでしょう?」
テツオは少し残念そうな顔をしていた。
「まぁ手つきはよかばってん・・・まぁそこで俺のするのを見ときんしゃい。」
・
・
・
ヒロシは自宅の書斎でパソコンに向かいテツオの作業を思い出していた。
「な・・なんだったんだアレは・・・」
テツオはスピリットの後、再び軽くシャンプー洗車していた。そして、拭き上げもせ
ずにワックスを塗り始めたのだ。スポンジを少しバケツで湿らせてワックスの缶に入
れ、慣れた手つきでひっくり返して缶を一回転させた。ルーフを塗り終えるまでワッ
クスには二度と手を伸ばさない。そしてルーフを塗り終えるやいなや、いきなり拭き
上げを始める。それをパーツ毎に行い鏡面クロスで一通り乾拭きしたと思ったら、
再び水でながし、また拭き上げ、再び鏡面クロスで拭き上げた・・・。
パソコンの画面にはgoogle、ヒロシの手は休まずキーワード入力と検索クリックを繰
り返す・・・。
「こ・これだ!なるほど、カルナバワックスは水で伸ばすのか。だから濡れたままで
もいいんだ。しかも厚塗りしても取れ易くするだけ・・・だからあんなにも薄塗りな
のか。方向は縦横縦・・・そして最後にもう一度流すことで安定させるんだ・・・。
ワックスも奥が深いんだな・・・。俺はたかがシャンプーがこなせるようになってい
ただけで天狗になっていた。昨日の夜にこれを調べておけばテツオさんを失望さ
せずに済んだものを・・・!!」
「よし!特訓だ!」
ヒロシはスポンジの濡らし具合、ワックスのとり方を、ひたすら繰り返した。
土曜の午前4時。いつもの洗車場でヒロシは待った。
「カルナバジャンキーとまで呼ばれる人だ。きっと今日も来る!」
5時を過ぎた頃、テツオの黒いインスパイアが現われた・・・。
「お、ヒロシやなかとね?どげんねカルナバは?」
「いや、まだなんとも・・・。それよりテツオさん。俺の一週間の成果を見てくれ!」
ヒロシは特訓の成果を遺憾なく発揮した。まだ教わってないスピリットもネットで学
習した技術を披露した。
・
・
・
「さすがやね、ヒロシ。技術レベルではもう俺が教えることはなかよ。・・・で、どげ
んねカルナバの艶は?」
「いや・・・それが・・・これでいいんですかね?テツオさん車と比べると艶がその・・・」
「わはは。白はそんなもんて。まだコーティングなんてない時代、世のお父さん方は
その白いボディにそげんしてワックスばかけよったとよ。」
「こんな艶のために・・・」
「そうタイ。そしてその内洗車せんくなるとよ。まぁもうしばらくその白いインプレッサ
に乗っときんしゃい。何週間かしたら世のお父さんが洗車せんくなっていった理由も
わかるけん。さ。俺も自分の車洗うば〜い。」
「世のお父さんが洗車しなくなった理由・・・?」
ヒロシはテツオの言葉の意味を考えながらテツオの手さばきを眺めていた。
『ま、またワックスを塗り始めた・・・』
ヒロシの中で過去のテツオの作業風景が頭に浮かぶ・・・そう言えばいつもスポンジ
を手に持っている。
『え?この人まさか、毎週ワックスかけてるんじゃ・・・。恐るべしカルナバジャンキー・・・』
「ヒロシ、コーティングと比べるとカルナバワックスは全然耐久力がなかったい。
維持するためには毎週ワックスせんとならんったい。ばってんこの艶を見てん。
エロかろう?最高やろ?この艶の為に俺は毎週洗車しよーとよ。」
「テツオさんありがとうございました。俺の車は白だけど、もう少しこれで頑張ってみます。」
二人はコーヒーを飲みながら車をしばらく眺めた。
236 :
以上:2005/05/20(金) 20:27:54 ID:O/EKp+NU0
誤字脱字をお詫び申し上げます。
Wordで作ってからコピペしてますので、改行位置が少しおかしいですね。
・・・で、実は次も出来てますw
予告
「立志編4−ホワイトショック」
うpは明日あたり?
237 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/20(金) 20:47:14 ID:UWLT9MZR0
最後のオチは次回ですか?・・・微妙に楽しみにしています
238 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/20(金) 21:56:48 ID:VgzIl9uU0
期待してます!先生!
239 :
219:2005/05/20(金) 23:23:38 ID:Ui2l741D0
>>236 乙でございます。
Wordでは一行の文字数を変更すれば書きやすくなると思われます。
味のあるキャラ、洗車仙人を私も使いたいくらいです。
さて、こちらのヒロシはこれから意味もない事件にまた巻き込まれます。
構想はできていますがキャラの名前を考えるのがどうも苦手です。
暇な人はキャラ名のUPを願います。
悪役にも使いますが、どうぞよろしくお願いします。
また後日爆撃予定です。
240 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/21(土) 09:03:14 ID:/3xPnt5M0
241 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/21(土) 11:18:09 ID:Ze2O4qVr0
242 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/21(土) 15:27:55 ID:RejOd0QaO
ヒロシ エンジンクリーニング編
オイル交換の巻 希望
いやはやすごいな!
では、予告どおりうpさせて頂きます。ちょっと怪しい部分もあるので、
眉に唾つけて読んでください。
-------------------------
先週は雨が降ったり止んだりの一週間だった。月曜日、ヒロシは
インプレッサに乗ろうとした・・・。
「な・・なんじゃこりゃぁ!」
車のアチコチに黒い縦筋が入っている。
「こ・これが噂に聞く水アカか?まだ月曜だぞ・・・。俺は今から一週間、
このシマウマみたいのに乗るのか?」
・
・
・
結局平日に洗車することはできず、ヒロシは一週間シマウマに乗った。
そして、待ちに待った週末が来た。ヒロシは早々に洗車場に向かった。
「シュウ!見てくれよコレ!」
「ははは。雨降ったからな〜。ま、頑張って落せ。」
「言われなくたって落すっての。先週ワックスしたばっかだから
シャンプーだけで落ちる筈だし。」
「ふふ・・・」
シャンプーを終えたヒロシは跪いた。
「お・・・落ちねぇ!何故だ!」
ヒロシはしぶしぶスピリットを取り出し作業を始めた。
「お〜。ヒロシ。案の定やっとーね?」
「あ。テツオさん。酷いでしょコレ。先週ワックスしたばっかりだっ
てのに・・・、え?案の定ってもしかして分かってたんですか?」
「まぁ降ったり照ったりやったからねぇ。」
「ちょ・・・ちょっと待ってくださいよ。そんな珍しい天候でもないでしょ?
その度に水垢落しからやるんですか?」
テツオは笑っている。
「まぁやらんと汚かろーもん?」
246 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/21(土) 16:19:54 ID:OmHhWGppO
ヒロシ対闇洗車チーム、
夜間洗車バトル希望。
夜の洗車の注意点をテーマに。
「あ。また皆でヒロシ君からかってる!ちゃんと教えてあげなよ。」
ミドリも来ている。
「ヒロシ君。その縦筋の正体はね。汚れたワックスなのよ。ミラー
なんかの稼動部の隙間やモールの隙間に入った汚れが水に溶けて
流れ、その汚れた水でワックスも溶けて流れちゃうの。で、縞模様
の完成ってわけ。」
「え?じゃぁカルナバ使う限り俺ずっとこの繰り返し?いくらなんでも・・・
あ!!テツオさん、これですか?世のお父さんが洗車を止めてしまう理由!」
「そうたい!綺麗にしようとワックスかけたらそれが原因で縞模様がつくと。
落すためにはワックスの前に水アカ落す作業が必要ったい。しかもガラスに
流れたワックスは油膜になるとよ。
俺みたいに黒に乗っとー奴はそれでもまだ報われるばってん、白にはそれも
なかっちゃん。ヒロシでも嫌な顔するんやけん、世のお父さん方には難し
いとよ。」
「なるほど・・・なんか、残念ですね。皆初めて車買った時はきれい
に維持しようと思う筈なのに・・・」
シュウが道具入れから何か取り出して来た。
「ヒロシ。これ使ってみろ。手軽でいいぞ。」
渡されたのは水アカ一発とポリマーJRだった。
使用方法はシュウがレクチャーしてくれた。水アカ一発はスピリット
と同じ要領。ポリマーJRは吹き付けて拭き上げるだけの超簡単施工だ。
「おお!これはラクだ!みるみる水アカが落ちるぞ。しかもムラにならない。
ポリマーJR.・・・これで2ヶ月ももつなら白ならこれで十分なんじゃないか・・・?」
ヒロシは先週のワックス用グッズ一式と今日の2点の支払いを終え、
意気揚揚と帰って行った。
次の土曜日の朝、ヒロシは興奮気味だ。
「シュウ!凄いよポリマーJR.!恐ろしいほど水を弾くね!」
「あの値段と作業であれは反則だろ?」
「ああ!でも・・・相変わらず雨上がりは縞模様なんだよね・・。
でも水アカ一発があるからなんとか耐えられそうだ。」
「ふふ・・・まあ頑張れ。」
ヒロシはシャンプーを終え水垢一発を拭き上げ始めた。
「あれ?・・・・・??・・・・・・あれ???」
「ヒロシ君どうしたの?」
最近、ミドリは毎週ヒロシの洗車を眺めている。ここ最近、シュウはミドリも
使ったことのないものばかりをヒロシに使わせているため、手伝うことも
ままならないのだ。
「いや・・・落ちないんだコレ・・・」
ヒロシは黒いポツポツを爪でカリカリしながら落としている。
「タールじゃないの?ピッチタールクリーナーで落ちないの?」
「う〜ん。試したんだけどね。落ちないんだコレ・・・。タールら
しきものは溶けるから、何か別のものかな?」
仕方なく二人で爪でコリコリやっていたが、突然ヒロシが叫びながら
トランクを開け紙切れのようなものを取り出した。
「これでどーだー!!」
「ちょ・・・ヒロシ君、それってまさか!」
「ふふ・・・サンドペーパーだ!さすがに取れるね!ははははははー!」
「あ、アニキ!ヒロシ君壊れたー!」
慌ててシュウが止めに入った。ヒロシは肩で息をしている。洗車仙人が
ヒロシに声をかけた。
「ヒョヒョ・・・ちょっとやり過ぎたようじゃの。まさかサンドペーパーまで
持ち出すとはのぉ・・・もう十分じゃろ。シュウ、開放しちゃれ。」
「すまなかったなヒロシ。お前に白い車の苦しみと洗車ヲタの原点を味わって
欲しくてちょっと意地悪してみた。お前がサンドペーパーで落そうとしたのは
ブレーキダストだ。粘土とポリラックで落ちる。
傍でレクチャーしてやる。さぁやってみろ。」
「気が狂うかと思った・・・。早く教えてくれよ。」
ヒロシは道具箱から嬉しそうに粘土とコンパウンドを持って来た。
「あのさ、粘土はこないだシュウと一緒にしてもらっただろ?あの
時、霧吹きで水を確保したけど、あの後俺なりに考えてみたんだ。」
ヒロシはトランクから青いの物体を取り出した。
「そ・・それは!!」「ぞうさんジョウロ!!売ってるの?今時!」
ヒロシはそれに水を入れ左手に持った。ジョウロだ。ジョウロを左に、
右手には粘土が握られている。
「ヒョヒョ・・・考えたのぉ。しかも・・・シュウ、気付いたか?」
「えぇ。ジョウロにしては流水面積が狭い・・・。まさか!」
「そう。このジョウロ、口の外側の穴をボンドで埋めたんだ。
これで水も無駄に流れないから何度も水汲みに行かなくていいんだ。」
「すごいわヒロシ君!こんなの初めて見た!」
「へへ・・・」
ヒロシは粘土をかけ終わり、鏡面コンパウンドをかけ、ポリラックを二度塗りした。
「どうだ〜!」
「うむ。まぁ一般的には十分なレベルじゃ。しかし、粘土に力をかけとる
ようじゃの。粘土は押さえる力は一切要らんぞ。粘土の重さで十分じゃ。
コンパウンドとコーティングもまだまだじゃが、詰め込みすぎるのも良くないじゃろ。
おいおい学ぶとええ。
しかし、ジョウロの工夫は見事じゃった。」
洗車仙人の言葉はまだまだ厳しいものだったが、そこには初めて
ピカピカの輝きを見せる白インプがあった。何よりもそれが嬉しか
った。ポリラック施工でツルツルの肌触りが心地よい。
「しかし、白い車ってこんなに沢山走ってるのに、きれいにするに
は、黒とはまた違う苦労が伴うんだなもんなんだな・・・。」
「そうよ。黒の対極と言ったのはそういう意味。黒は水アカはほと
んど見えないけど、白い車にワックスをかけたら天候次第では一月もしたら
水垢まみれ。磨きキズは目立たないけど、タールが見える。
黒のように怪しく輝きはしないけど、嫌味のない清楚な光を放つの。」
缶コーヒーを飲み一息ついた。白い車を手にして以来、困難の連続
だった。しかし、ヒロシは一回り大きくなった自分を感じていた。
コーヒーを飲み終え、皆が帰り始める。ヒロシはツルツルになった
インプレッサに頬擦りしている。ミドリが耳元で囁いた。
「ヒロシ君、ジョウロは凄いと思ったけど・・・・」
「けど?」
「ハタから見るとちょっと引くかも・・・」
「・・・orz」
256 :
以上:2005/05/21(土) 16:34:15 ID:Kydfrs5U0
誤字脱字をお詫びします。
事故らせなかったこともお詫びします。
>>239 アドバイスありがとうございます。
洗車仙人使ってもらって結構ですよ。悪役にしても構いません。
最初は殺すつもりでしたけどw
どうも私のネタの方がもちそうにないので、殺すのやめました。
エンジンルームは昔は水かけたりもしてましたが、今ではフクピカに堕ちてますw
夜間洗車してませんので、どっちも私には無理ですね。誰かお願いします。
>>252の5行目訂正させて・・・
×ヒロシはそれに水を入れ左手に持った。ジョウロだ。ジョウロを左に、
○ヒロシは水を入れたぞうさんジョウロを左手に、
すごいよ!
ぞうさんジョウロ(・∀・)イイネ!!
GJ!
これマンガ化できないかな?
絵師の降臨を期待してる
その前にまとめスレを作んなきゃ
263 :
239:2005/05/21(土) 23:21:03 ID:Izeue0ED0
>>256 さすがに悪役にできませんが、こちらのヒロシは設定年齢が30前なので「かつての大師匠」的
キャラでどこかで登場させてもらうかも知れません。ヒョヒョ。
>>242 エンジンルームに関しては私は我流なので書けません。
オルタネータやバッテリーに防水処置をして洗うべきですが、私の場合は防水処置なしで
ピンク石鹸を濃く溶かし込んだ熱湯をそのままエンジンルームにぶっかけて高圧水ですすぎます。
その後2〜3時間その辺をドライブして無理矢理乾かします。
しかし、たまたま今まで不具合が出なかっただけで、これは正しいやり方ではありません。
エンジンルーム内の潤滑油類もダメージを受けます。
理想なのは電気系防水処置→通販とかで売ってるスチーム洗浄器を当てる→エンジンをかけたまま扇風機などで
水分をすっとばすことですが、これもお勧めできません。
>>256氏のおっしゃるエンジンルーム用のフクピカみたいなケミカル、エンジンルーム用のクリーナーを
使用するか、信頼できるプロに頼むか、いっそのことエンジンルームには手を出さないかです。
スバルのターボ車はそのまま洗っても問題ないとの富士重工からお墨がついているらしいです。
が、やはりやめておいたほうがいいかも知れません。
エンジンルームについては詳しい人のアドバイスを待ちます。
264 :
239:2005/05/21(土) 23:38:29 ID:Izeue0ED0
>>246 あと、夜間洗車ですが、
>>256氏の「立志編」の中で夜間→明け方の時間帯に洗車をしています。
私の勝手な推測ですが、太陽の紫外線を受けない夜間に下地処理からコーティングを済ませる
重要性を説いているものと考えます。
てゆーか普通、夜に洗車するなんて面倒じゃないですかw
265 :
239:2005/05/22(日) 00:11:38 ID:Y+9Iww5q0
私も調子に乗って爆撃を開始します。
大阪を去ったヒロシはNSXのイモラオレンジを手に入れた。
車を受け取ったときの洗車状態が気に入らないヒロシは当然自分の手で洗いなおすことにした。
本来、車は一度洗うと目に見えない水分が完全に乾燥するまで3日はかかるといわれる。
梅雨の時期は仕方ないが、あまり水浸しにするのは車にとって大きな負担だ。
単にボディ保護という観点では強力なコーティングでもかけておいて晴れる日がしばらく
続いてから洗うというのが望ましい。ヒロシはそんなことは百も承知だが、せっかくの
新車とのファーストコンタクトである。久しぶりの自ら所有する車の洗車に心が躍った。
曇天の空、紫外線の直射を受けない洗車に適したコンディションの中、ヒロシは洗車場に入った。
大阪で出会った美人秘書、ナナコのことを思い出してはニヤつきながらコインを投入した。
隣には先客がいる。トヨタのコンセプト商品、ウィルヴァイがとまっている。
洗車をしているのは少し小柄で長い黒髪のお嬢さん風の娘であった。高圧の放水ガンを少し
よろけながらもなかなか上手く操っている。ヒロシと目が合い、軽く会釈してきたのでヒロシも
会釈で返す。ヒロシはそのままなんとなしに作業を進めようとしたが、娘はまだこちらを見ている。
「(そんなにイモラオレンジが珍しいのかな)」
ヒロシはその程度にしか思っていなかったが、車でなくヒロシをじっと見つめているのだ。
気になったヒロシはチラリと娘の方を見た。娘はいまにも魂を吸い込みそうな澄んだ瞳でこちらを
見る。ヒロシは少し照れながらもう一度会釈なんてしてみた。
「(どうもやりにくいな)」
そう、自分にはナナコさんがいる。今ここで他の女性に移り気をしてはナナコさんに失礼だ。
※(これは完全にヒロシの勘違い思考であると思われる。)
ヒロシは洗車に集中した。最初なので粘土をかなり念入りにかけて下地処理を済ませ、本来は
カルナバ系ワックスでピカピカにしたいところを、最初なので我慢し、アメリカでジョージに貰った
「オーリーゴールドポリマー」を施すことにした。
ジョージの説明では、かなり強力なコーティング力を持ち、シャンプー耐性も強く、上からワックス
をかけても問題ないなど、とてもアメリカンな御都合ケミカルである。
ヒロシはポリッシャーを持ち出して圧着作業に入る。気がついたら隣の謎の女はいなくなっていた。
作業がおわり、ヒロシは仕上げに違和感を覚えた。
「あれ?なんかおかしいな。洗う前と大して変わらない仕上げだな」
イモラオレンジがそういう色なのか、オーリーゴールドがツヤ志向商品じゃないからなのか、
とにかくその時点ではあまりヒロシは気にしていなかった。
あれからどうもおかしい。ヒロシは「ザ・シュアラスター」を使っても仕上げが素人並みである。
どんなに丁寧にやってもうまく仕上がらないのだ。しまいには周囲からも
「あいつはいつも道具やワックスは一流なのに動きも見かけ倒しで仕上げは全然ダメの
なんちゃって洗車野郎だ」
という噂まで立ちはじめる。ヒロシはスランプに陥ってしまったのだ。
何故だろう?あんなに好きだった洗車なのに、洗うたびにみじめな思いをする。
今まで洗車の腕を磨くためなら時間も労力もいとわず、ひたすらストイックに洗車道を進んで
きた。数々のライバルとバトルを重ね、切磋琢磨し、かけがえのない仲間もできてきた。
洗車なしの人生など考えられないヒロシがここで初めて洗車がおっくうになったのだ。
「もう、昔のように車を綺麗にできないのだろうか、このまま俺は素人並みの腕なのか」
日本に帰り、NSXを手に入れてからしょっちゅうヒロシが通っていた洗車場に突然ヒロシが
現れなくなった。ヒロシの来なくなった洗車場の道具たちは心なしか淋しげに見えた。
スランプのヒロシはどうなるやら。
お願いですから今後のキャラ名をお願いします。
男女とも適当に名前を考えて下さい。命名は苦手なんです。
お二人とも乙です。
名前は適当に某漫画より
お嬢様風なサリ
活発なリョウコ
イケイケ姉ちゃんのサワコ
男勝りなアイカ
男
トオル、タツヤ、ツトム
とか?女に設定がついてんのは気にしないでくれ(w
271 :
256:2005/05/22(日) 08:21:39 ID:0RDs92CJ0
>>269 乙であります。命名大変ですよねw
私はこれ以上は出しません。大変なのでw
(最初チームを5人とか書いて4人しか出してないのはご愛嬌w)
磨人=まさと
研司=けんじ
洗一=せんいち
外人でクレイ
女性でヒカリ、すすぎ、鏡子
とか?
あと、ネタっぽくして
紺覇運度(コンパウンド)、蹴費矢亜(けるひゃあ)、朱阿羅須太(しゅあらすた)、
彫津(ほるつ・・・苗字)、租富藤 九十九(そふとう つくも)
・・・租富籐いいなw
272 :
269:2005/05/22(日) 13:09:53 ID:U5O6MRSO0
>>270 トオルをいただきました。
>>271 キャラが立ちやすい名前でいいですね。
よくよく考えたらヒロシの名字って、謎です。
洗車仙人を借りました。
では、続きを投下します。
洗車をしなくなって一ヶ月は経ったであろうか。(普通、一ヶ月洗車しなくても何の問題もない)
ヒロシは懐かしい人に会いに来ていた。
「ヒョヒョ・・しばらく姿を見せてなかったが、随分有名になってしまったな」
「お主の車にしては随分お粗末な状態じゃ。USCWAチャンピオンの名が泣くぞ、ヒョヒョヒョ・・」
洗車仙人はヒロシの噂を知っていた。お互い話したいことは山ほどある。
だが、ヒロシは単刀直入にスランプのいきさつを語った。どうしても車を綺麗に仕上げられない
ことや、とうとう自信喪失してしまったことを。
「ヒョヒョヒョ・・・取りあえずそのNSXを洗ってみなさい」
ヒロシはこんな無様な自分を洗車仙人に見られたくなかったが、頭の上がらない人物の言いつけだ。
素直にNSXを一通りの作業で洗った。ただ無心に。
仕上げ具合について仙人は何も語らず、とある寺院を訪ねるように申し付けた。
ヒロシが去ったあと、洗車仙人は目を細めてつぶやく。
「おそらくヒロシもあの娘を見たようじゃな。あとはヒロシの心次第じゃ」
ヒロシが訪ねた寺院はとても巨大であった。裏庭には無数の車が止めてあり、どれもピカピカで
ある。寺なのに本格的な洗車設備まである。
その中でひときわ輝いていたのは赤いランボルギーニカウンタックであった。
それは、かつてトシユキが闘った謎の法力を持つ坊主、滑粘法師のものだ。
(忘れ去られているキャラかも知れません)
この寺院は一般の武闘派寺院が拳法などの武術で精神や肉体を鍛えるのではなく、洗車求道で
精神や肉体を鍛える寺である。修行僧は墓掃除までも洗車道具でやっている。
「そなたがヒロシという青年であるな。まさかこんな形で会うとは思わなかった」
カルナバワックスで磨いたのかと思わせるほどまぶしい頭の坊主が話しかけてきた。
滑粘は洗車仙人から事情を聞き、ヒロシの来訪を待っていたのだという。
ヒロシは滑粘の口から、信じられない話を耳にする。
ヒロシがスランプに陥った洗車場で2年前に若い女が死んだのだという。その女は洗車マニアで、
洗車野郎たちのアイドル的存在であった。やがて、凄腕のトオルという男と付き合いはじめる。
トオルは近隣では敵なし状態で、とうとう滑粘法師に勝負を挑んできたのだ。
洗車求道を極めきった滑粘に負けると、謎の法力により負けた者は必ず変死する。
これは滑粘の意思を超えたもので、バトルに負けた者の死は滑粘でも止められない。せめて極楽浄土
へ行けるようにと滑粘は数珠に名を刻み供養する。ちょっとアブない坊主の滑粘法師だ。
トオルは滑粘に敗れ去り、非業の死を遂げた。純粋な心を持つ女はトオルの死を嘆き悲しみ、
思い出のかの洗車場で自殺したのだという。
それから洗車場で彼女の姿を見た者は、スランプに陥るという都市伝説のようなものができたらしい。
「そんなオカルトな話を信用できるか!21世紀で平成だぞ!?」
「おそらくそなたは彼女に憑かれていることは間違いないであろう」
「それならあんたが成仏させてくれよ!」
「それはそなたの心次第なのだ。仙人に頼まれた以上、拙僧が面倒を見よう」
今は滑粘法師の言うことに従わざるを得なかった。
しばらくこの寺に滞在することになったヒロシは、夜中に起こされた。
「さて、今から洗車をしてもらおうか」
「こんな夜中に洗車してどうしようっていうんスか?」
「夜の洗車は昼の洗車では見えないものがよく見える。いいから来なさい」
寺の裏庭の洗車場に呼び出されたヒロシは、薄暗い中、寺の車の洗車を開始した。
こんな暗い中で洗ったのでは仕上げすら確認できない。スランプの中、こんなんではやってられない
と思いつつ、ヒロシは毎晩のようにひたすら夜中の洗車をさせられた。
来る日も来る日も色々な車を洗車である。しかも仕上がりは昼に見せてくれないので
欲求不満がたまる。だが、全く先の見えない状態の中、ヒロシは少しずつ変わっていくのであった。
夜目に慣れたせいか、ボディの状態がよくわかるようになってきた。いや、かえって夜の光の方が
ミクロのキズを発見しやすい。また、手触りの感覚も昼より敏感になっているのでザラザラや鉄粉
を発見しやすくなっているのだ。今までは経験と目視で取り除いていたキズ、鉄粉類をヒロシは
研ぎ澄まされた感覚でより判別可能になっていた。夜の洗車のメリットを理解しはじめたのだ。
「どうかな。ヒロシ君。夜の洗車は楽しいかね?」
滑粘が久しぶりにまともに話しかけた。
「今まで判別しにくかったものも判別しやすいようになった。坊さんの言った『昼に見えないもの』
というのがなんとなくわかってきたよ」
「そうか、それではもう一度あの洗車場で洗車してみるとよい」
「いや、まだまだ俺はこの新しい感覚をマスターしたいんだ。もうしばらくここに置いて下さい」
ヒロシのその言葉を聞いた滑粘は厳しい顔から優しい顔になった。
「いや、もう大丈夫であろう。いいからあの洗車場で洗ってみなさい」
ヒロシは例の鬼門ともいえる洗車場に立った。久しぶりに返ってきたヒロシの姿を見て、周囲が
陰口をたたく。
「またあいつが懲りずにやってきたぜ。なんちゃって洗車野郎が」
以前はムカついていたが、今はもう聞き流す。純粋な心で洗車に臨んだ。
今まで何千回、いや何万回かと続けてきた洗車作業。洗車を志したあの日から、今日に至るまでの
思い出を巡らせながらスポンジを走らせる。
ワックス作業に入り、みるみるヒロシのNSXは芸術家が魂を吹き込んだが如く、いつまでも眺めて
いたいと思わせる妖艶な輝きを放つ。洗車場の風景が360度にわたってイモラオレンジ色に
写し出される。ヒロシの必殺技、一発ワックス仕上げが見事に決まった。
周囲からどことなく拍手が起こり、ヒロシの作業に絶賛の嵐が吹いた。今までバカにしていた
連中も心からヒロシの仕事に酔っていた。
ヒロシのスランプは治ったのである。その時、この前のウィルヴァイの娘が横切ったように見えた・・
ヒロシは洗車仙人を訪ね、スランプが治ったことを報告した。
「ヒョヒョ・・良かったの。お主は幽霊にまでモテて大変じゃの」
「でもなんで俺が取り憑かれてしまったんでしょうかね?」
「それはヒロシ、お主に驕りがあったからじゃ。トオルという男は自分の腕を過信し、滑粘法師
に闘いを挑み、死んだ。彼女はおそらくお主のような腕が立ち、なおかつ驕りのある者を
見過ごせなかったのであろう。お主はあの寺で修行をしなおして慢心を取り払ったのじゃ。
いくら頭では修行の精神があっても心に慢心があると精進はできん。彼女はそれを悟らせる為に
お主をスランプにしたのじゃ。彼女にも、そして滑粘法師にも感謝せよ。・・ヒョヒョヒョ」
いつまでも修行の精神を絶対に忘れてはならない。ヒロシはもう一度初心に帰った。
そして、新たな技術を身につけた。
ヒロシは幽霊だとかオカルトは今でも信じていないが、ヒロシに起こったことは現実である。
もう迷ってはいけない。迷ったらひたすら洗車をすればいい。
洗車を続けることしかヒロシは人生の指標がないのだ。
ヒロシ、洗車求道編
完
以上です。夜間洗車について無理矢理触れましたが、これが限界です。
どんな達人も通る道、スランプについて書いてみました。
ほとんど洗車のことは二の次になっていて恐縮ですが。
>>272 洗車仙人の使い方はこんなもんでよろしいでしょうか?
二人称の使い方とか迷ったのですが、「お主」で納めました・・・
279 :
278:2005/05/22(日) 13:31:45 ID:U5O6MRSO0
280 :
278:2005/05/22(日) 13:33:30 ID:U5O6MRSO0
乙です!
282 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/22(日) 14:31:54 ID:VgXqW7d6O
>>278 禿乙です。
コラボですね。
しかし、どんどんマジ小説になってきている(w
284 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/22(日) 15:04:25 ID:zYD3XGal0
ピロキシウマー
いや、hおんとすげーわ
286 :
256:2005/05/22(日) 17:39:25 ID:EtPAjqRC0
乙です。
>洗車仙人
ほんとに出してくれるとは・・・ありがとうございました。
287 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/22(日) 17:50:31 ID:7C72j1mN0
288 :
278:2005/05/22(日) 20:15:00 ID:MbHTy+xd0
>>286 底の知れぬ人物、洗車仙人をお借りしました。
このじいさんがラスボスとかになったら面白そうですね。
実は、オチの部分でヒロシに子どもが寄ってきて、実は既に結婚していたミドリの子で
ヒロシのほのかな昔の恋心を打ち砕くなんてのも考えていましたが、勝手に暴走するのも
どうかなと思ってやめときました。
>>287 消臭ですか・・・
な、なんとか考えときます・・・
私は相変わらず推敲しない人間なので今後もブサイクな文章を連発させることになりそうです。
いやいやあんたサイコーだよ!
290 :
立志編-余話:2005/05/22(日) 20:54:13 ID:zcZhUDkr0
ちょっと本題から離れたほのぼの系の話を書いてみました。
お暇な人はドゾ
-----------------------
今日は朝の洗車のあと、五郎の家に行くことになった。メンバーは
ヒロシの他にミドリとテツオ。五郎は洗車場から徒歩圏のアパートに
一人住まい。五郎の車で移動した。
「ヒロシ君、五郎君の家は初めてだよね?面白いよ〜。」
「へぇ。何があんの?」
「まぁ見てのお楽しみっす。」
五郎のアパートに着いた。外見上は何も面白いことなどない。
家賃の安そうなアパートだ。
「さぁどうぞ」
五郎がドアを開けた。
「うはwww!すげぇwww・・・カー用品店かここは・・・?」
1DKの五郎のアパートの広めのダイニングには、棚がいくつも並び、
洗車グッズがびっしり置かれている。
「ねー。凄いでしょー。」
五郎が照れくさそうに笑う。
「いやぁ、洗車グッズコーナーで新商品を見かけるとツイ・・・。」
「バカチンったい(笑)。でもまぁ参考にはなるとよ。見てん。」
よく見ると商品には必ず使用した時のインプレが写真付でつけられている。
「これはちょっと凄いな。全部メモして帰りたいぐらいだ。」
五郎はカーグッズ関連、それも洗車グッズに特化したライターになるのが
目標らしく、文章を書く練習も兼ねて洗車グッズのレポートを書きまくって
いるそうだ。
ヒロシはちょっと驚いた後で素直に感心した。
「へぇ〜。頑張ってんだ。偉いなぁ。」
それからしばらく、それぞれの夢について語った。
シュウと丈治は全天候型洗車場を共同で経営したいらしい。相談所つき
でアドバイスや実演指導をしたり、オススメグッズも販売するそうだ。
テツオはカルナバワックス専門の洗車サービス事業を。
「へぇ。みんな目標もってやってるんだ。これだけ頑張ってるんだ。きっと叶うよ。」
「それがそうでもないっすよ。結構旧態依然としたところもあるし・・・。」
「アニキも一度は試算してみたらしいけど、やっぱ厳しいみたいね。多くの洗車場は
企業の遊んでる土地なんかで、扱いとしては副収入レベルか税金分だけでも・・・
ってとこなんじゃないかな?今の爺さんのショップもそうだけど、洗車場だけじゃ
食べていけそうにないって。しかも屋内洗車場とかにすると固定資産税が
どうとかこうとか・・・。テツオさんなんてこのご時世にワックスとか言ってるし。」
「きさん!ワックスば馬鹿にすっとか?」
「ハハハハハ」
「ごめん、トイレ貸して。」
ヒロシが立ち上がってトイレに向かった。五郎達3人は顔を見合わせて
ニヤリと笑った。
「うわー!なんだこれー!?」
ヒロシの声だ。予想通りの展開にテツオが爆笑している。
トイレの灯りがブラックライトなのだ。便器に光触媒コーティングを施し、
紫外線を当てるためにブラックライトにしているらしい。他にも洗面所や
浴槽はポリラック、風呂場の鏡にはガラコ、ドアノブはピカール・・・。
「あ、アホだ・・・。偉いなんて言って損した。やっぱりただの洗車バカだ。」
・
・
・
徒歩でショップに戻る途中ヒロシは言った。
「みんな凄いなー。夢に向かって努力してるんだ・・・。俺なんてただ洗車
するだけだもんな〜。」
ミドリが微笑む。
「ヒロシ君はきっと今からよ。私達とは次元の違う人になるような気がする・・・」
ミドリは慰めてくれるものの、ヒロシはなんとなく焦りを禁じえなかった。
「・・・ちょっと気晴らしに洗車して帰ろっ」
「!!2時間前に洗車したばかりでしょ!誰が洗車バカなのよ!」
高圧洗車機の噴霧に虹が映った。
295 :
以上:2005/05/22(日) 21:01:12 ID:zcZhUDkr0
誤字脱字および学ぶ要素が全くない点、深くお詫び申し上げます。
いやいやすげー。
また期待してるよ!
GJです!
次も期待してます!
299 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/22(日) 23:26:45 ID:7C72j1mN0
>>295 アップ店舗からロー店舗へのメリハリが美味か〜ッ
300 :
278:2005/05/23(月) 02:17:21 ID:8jqqprHr0
>>295 GJです!
さて、最近ヘビーな目に遭ってばかりのヒロシですが、今回は脱力系です。
スランプから抜け出したヒロシは今日も絶好調で洗車をしている。
あれから洗車場で彼女の霊も見たことがない。ヒロシはこの洗車場でスター的存在になり、
ヒロシがスランプの時にバカにしていた連中も今ではすっかりヒロシの友人である。
ここで知り合った男、アキラは少し浮かない顔でヒロシに話しかける。
「ヒロシ、最近この辺りで磨き荒らしが連発しているらしいんだ」
「磨き荒らし?なんだそりゃ」
「車体の右半分だけとか、フロントだけとか、中途半端な面積だけをやたら綺麗に磨く
荒らしのことだ。車を見たオーナーが半分だけ輝く車体を見て驚くのを眺めて喜ぶ愉快犯だ」
「ハハハ、暗い奴だな」
アキラは周りを見渡して誰も聞いてないのを確認してから声のトーンを下げた。
「俺の知り合いも被害に遭ったんだが、その時、犯人がしゃべるのを聞いたと言うんだ。
その時、ヒロシと名乗るような感じの言葉が聞こえたそうだ。しかも、磨きの仕上げは
ハンパじゃなく一流らしく、俺の知り合いもバランスを取る為に残る半分を磨いても
どうしても犯人の磨きに及ばず、中途半端なボディ状態で嘆いている。そこまでの腕を
持つのはお前くらいしかいない。しかも、ヒロシと名乗っていた手がかりもある。
疑いたくないが、もしかして・・・お前・・・」
「な、なんでだよ!そんなことをして何のメリットがある?第一、仮に俺が犯人なら
中途半端なことはせず全体をピカピカにしてしまうぞ!」
「そうだよな。いや、疑って悪かった。この話は忘れてくれ」
去っていくアキラの姿を見て、ヒロシは呼び止めた。
「ちょっと待て!俺もそんな中途半端に疑われたままでは寝つきも悪くなる!
ちょっとその被害に遭った奴を連れて来てくれよ!」
アキラが連れてきた被害者は、BMW318に乗る女、ユキ。少しケバいお水風のねえちゃんだ。
このBMWは右半分がやたら美しく輝く。もちろん左半分も丁寧にメンテされているが、
バランスが悪い。これはかなりの腕の洗車屋による犯行に違いない。
取りあえずヒロシは貴金属コンパウンド処理をして、自前のワックスを丹念に塗りこんで
左右のバランスを取り、見事元の状態に戻してみせた。ユキは感心して、
「ちょっとぉ、この人のワックスって、とっても凄くなくなくなーい?」
凄いのか凄くないのかイマイチ分からない言葉だが、とにかくヒロシに感謝はしているようだ。
「でもぉ、この人の名前って、ヒロシでしょう?こんなあっさり元に戻せる上に、犯人は
自分でヒロシだなんて言ってたから怪しいんじゃないのー?」
「おい、ヒロシに失礼だろ!わざわざお前のビーエムを元に戻してくれたんだぞ!」
アキラはヒロシに「すまない!」という表情を向けてユキを怒る。
「いや、別にいいよ。とにかく元に戻ったんだから」
ヒロシは内心、犯人の腕前にうなっていた。大阪で業者プロとバトルして以来、強敵に
会っていない。これだけの腕前を持ちながらなぜ暗い悪戯を続けるのだろう?
その時、背後から男の声が聞こえた。
「ヒロシです。いくら車を磨いても、女にモテません!」
「ヒロシです。せっかく俺が右半分を磨いたのに勝手にバランスを取られたとです!」
ヒロシ、アキラ、ユキの3人は目が点になってぽかーんとしている。
黒いジャケットを着て開襟シャツ姿のホスト風の男がポケットに手を突っ込んでうつむいている。
「あー!こいつだ!こいつが犯人よ!」
ユキが叫ぶや否や、あっという間にアキラによって犯人は御用となった。
事情を聞くと、男は相当暗い過去を持ち、世の中にスネてこんな犯行を繰り返すようになった
という。洗車ブームの中、女にモテようと上京して洗車の修行をしたが、一向にモテないので
幸せそうな車を中途半端に磨いて嫌がらせをしたかったのだという。
そこで、ヒロシの噂を聞きつけ、自分と同じ名前で何故こうも差があるのかと被害妄想に
ふけっていたようだ。ヒロシからすると迷惑以外何ものでもない。
しかし、ヒロシはこの男の磨きの腕は認めていた。
「おい、ちょっと俺と腕くらべをしないか?お前の磨きは本物だ。もし俺に勝ったら
今回のことは水に流してやろう」
「ちょっとぉ!勝手なこと言わないでよ。こんな奴、警察に突き出したらいいでしょ!」
アキラが割って入る。
「まあユキ、ヒロシの好きなようにさせてやってくれよ。お前だってヒロシを疑っていたし、
今はもうビーエムも現状復帰しただろ?俺からも頼むよ」
短い付き合いながらもヒロシの性格を知り尽くしたアキラはなんとかユキをなだめた。
そのかわりホスト風男がヒロシに負けたら即警察に突き出すという条件でバトルは始まった。
この日、まだ洗っていないアキラのアコードを半分ずつ作業する。
勝負は磨きバトル。とにかくボディをコンパウンドで徹底平面処理かつ光らせた方が勝ち。
ホスト風男の手際はかなり鋭い。粘土、コンパウンド処理に限っていえばそこらの洗車屋など
まったく寄せ付けない腕前である。精密機械のように一定の面積ずつを絶妙な力加減で磨き、
ヘタするとスピードではヒロシすら上回る勢いでどんどん作業は進む。
一方、ヒロシも職人技が光る。優美で滑らか、そして確実な作業が進む。しかも、ヒロシは
滑粘法師の寺修行で習得した究極のハンドセンサーで正確にボディ状態を読み取りながら
粘土とコンパウンドを施していく。
勝負はヒロシの勝利となった。もし、ヒロシがあの寺で修行をしなかったら負けていたかも
知れない。久しぶりの強敵を打ち破ったヒロシは充実した気分であった。
ホスト風男は駆けつけた警官に連れられ、
「ヒロシです。ヒロシです。ヒロシです・・・」
と言いながらパトカーに乗せられて去って行った。また今度シャバに出たら真面目に洗車道を
進むとヒロシと固い約束を交わしたが、どうなることやら・・・
これでヒロシの疑惑と汚名は晴れた。当然これ以降磨き荒らしも出なくなり、この地域に
平和が戻ることになる。ヒロシは爽やかな気分で帰って行った。
残されたアキラがヒロシのNSXに向かって叫ぶ。
「おーい!俺のアコードが左右中途半端なままじゃねーか!せめてバランスくらい取れよ!」
ヒロシ、珍事件簿編
完
やってしまいましたw
どうしても主人公の「ヒロシ」という名前をスルーできなかったのです。
・・・いや、ほんますんません・・・
>>305 GJ(・∀・)!!
いつも機械任せだけど手洗い洗車したくなってきますた(゚∞゚) この小説通りに
やってみようかな・・・
307 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/23(月) 03:41:05 ID:ntV5HUrbO
>>305 ガラスの部屋は笑いましたよ。
副題がイイですね。
話がずっとつながってるみたいだからさかのぼって読んでます。
個人的にはオカマのおっさんの話がベストヒット。感動した!
よくこんなハイペースでシナリオを組めるもんだと感心します。
キャラの名前なんかは卒業名簿とかを参考にするのはいかが?
二人とも凄いね〜。俺には想像力創造力も洗車知識もないので、よく小説なんかの
最後にある、関係のある著者以外の人が感想みたいの書いてるアレ風のものを書い
てみた。↓
先に、お二方ともコテハンもついていないので、便宜上「本家著者」「立志編著者」と
お呼びさせて頂くことをお断りする。まずはそれぞれの作品について私なりの感想
を述べさせて頂きたい。
本家著者の凄さはなんと言ってもその展開の速さであろう。読者が予想できない
展開をとんでもないスピードで書き上げていく。そしてその作品は全てユーモラスだ。
すべての登場人物は一癖も二癖もある滑稽な愛すべき人たちである。本家著者の
辛い部分としては、主人公以外の登場人物は、悪い言葉で言えば使い捨てのような
ものであり、本家著者は次から次に登場人物を補充しなければならない。その辺り
の苦悩はご本人のカキコミからも読み取ることができる。
立志編の著者は工程描写が凄い。私も洗車好きの端くれだが、この作品は読み
とその工程が鮮明に頭に浮かんでくる。そして、それらの工程はすべて、読者の
頬が少し緩むような、2chにはあるまじきほのぼのとしたストーリーの中に、違和感
なく埋め込まれている。
309 :
続き:2005/05/23(月) 17:07:33 ID:GP1mPeVX0
しかし、今後の展開として苦しいのは立志編著者の方ではないだろうか。
そのタイトル「立志編」とは、志を立てるまでの極めて短い期間を指し、本家
のヒロシがスーパーマンになっていく過程を、本家とは全く違うタッチで描き出そう
としているのではないかと推察する。
前述の通り、この洗車野郎ヒロシは現在、二人の著者が全く異なる作風で、同じ主人公
を使って書き進められているが、私はここに一つの奇跡を見たように思う。
本家著者は現在を書き、立志編著者が過去を同時進行で書いている訳だが、たまに
行われる両者の会話には、設定の打合せをした痕跡などない。それにも拘わらず、
ヒロシは現在も過去もどちらの作風でも、やはりヒロシなのである。
打合せもなく別々に進む互いの物語が、相手の物語を壊さない。これは一人の
主人公を共有し、互いを尊重することが生んだ奇跡と呼べるものではないだろうか。
私を含め読者は忘れてはいけない。彼らに与えられているのは洗車という極めて
狭い題材であることを。そして覚悟しておかなければならない。彼らがいつか力尽きる
であろうことを。そして恐らく二人の著者は待っている。第三の風が吹くことを。
そして新しいケミストリーを起こすことを。
以上。頑張れ〜!
310 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/23(月) 17:31:45 ID:ntV5HUrbO
>>309 巻末注釈の先生北―――――(゚∀゚)――――――!!
スーパーマンヒロシの作家も立志編の作家もトリップをつけてくれたらいいのに。
読者には二人を混同してる人も多いと思うが。
そうね、トリップつけた方がいいと思いまつ。
カッコいいのお願いしますw
シュアの新製品、ブラックレーベルを登場させてください
>>309 雰囲気ありますね〜。笑わせて頂きました。
ご高察の通り、立志編は間もなく終焉を迎えます。立志編そのものが役割
を終えるためです。
ご指摘はほとんど当りです。長くなるので細かい説明はいずれ・・・。
>>310,311
とりあえずのトリップつけてみました。まさか自分がトリップ付けることに
なろうとはw しかし、もうすぐ終るんですがねw
とりあえず、ここまで来たら立志編は私が完結させないといけないと思って
います。当初の思惑は全然違ったんですが・・・。予定ではあと3話くらいで、
技術系の話としては今回のが最後と言えます。
では、立志編5−ポリ施工をうpします。暇な人、ポリラックに興味ある人
ドゾー。
今日はシュウがポリラックの施工のコーチングを自ら買って出てくれた。このポリラック
はネットで調べてもよく判らないことが多い。とりあえずシュウのやり方を完全に吸収で
きるのはありがたい。今日はGTRの登場だ。所有者の元にあるより修理工場に
入っている方が長いのだから思えば不幸な車だ。
今日出てきているメンバーはシュウとミドリと五郎。テツオは木曜の雨に耐えられず、
昨日の早朝に洗ってしまったらしい。
シャンプーの拭き上げまでを無難に終えた。またスピードが上がっている。拭き上げ
完了までに要する時間はシュウと比べても遜色ないところまで来ているだろう。
コーチングと言っても、ポリラックの施工そのものは簡単だ。プラスセーヌをバケツにつ
っこみ絞る。プラスセーヌは水分が抜けると色が変わるので、白っぽくならない程度に絞
るのがコツだ。10円玉大のポリラック原液を取り薄く伸ばす。ルーフを塗り終えるまで
に必要なポリラックは10円玉2枚分。ぱっと見水分で濡れたのかポリラックが
塗れているのかわかり難いがお構い無しだ。シュウはルーフからボンネットまで
一気に塗る。ボンネットを塗り終えたらルーフをいきなり鏡面クロスで拭き上げる。
そしてトランクを塗ってボンネットを拭き上げて・・・。あっという間に終わってしまう。
そこまで終えてヒロシは手を止めた。
「こないだシュウがこのあと洗車スポンジを握ってたように見えたんだけど・・・」
「よく気付いたな。今日それも教える。見ろそのバケツ、見事なポリラック溶液が
出来てるだろ?」
バケツの水は乳白色になっている。プラスセーヌを湿らせたり絞ったりしている内に、
自然と出来上がったポリラック溶液だ。
「こいつを捨てちゃあ勿体無い。そこにスポンジを突っ込んで、その液でホイールを
洗うのさ。」
やってみると、ホイールの汚れがみるみる落ちていく。
「で、一度目できれいにして、二度塗りの時はプラスセーヌでホイールに
も施工するんだ。」
「なるほど。シュウの作業って手先の早さもあるけど、何より効率がいいよね。」
「手先だけ早くなると雑になってくるからな。俺は手先は器用なほうじゃないしな。」
一度目の施工を終えた。
二度目に入ろうと用意を始めた時、シュウに止められた。なんでも二度目は違う方法で
施工するということらしい。
「じゃ〜ん。」
ミドリは霧吹きと薬品のボトルのようなものを持っている。
「これに少し原液を入れるんだ。そして10倍を目安にこの蒸留水で薄める。」
「それって・・・噂のポリラック洗車だね?」
聞けば蒸留水は薬局で買ってきたのだと言う。使えるものはどこからでも入手する彼らは
逞しい。
「お、知ってたか。これも楽だぞ〜。」
霧吹きで吹きかけ、プラスセームでゆっくりと塗り広げていく。塗っているのか
拭き上げているのかよくわからないので複雑な気持だ。施工の順番はほとんど
変わらないがシュウはこのやり方ならトランクまで一気に塗るらしい。
そして拭き上げはやはり鏡面クロス。
最後に余剰成分を水で流してプラスセームで拭き上げ、鏡面仕上げクロスで
乾拭きして完了。
「これだ。このスベスベ感がたまらないね。コーチングありがとう。コーヒー
おごるよ。」
シュウが笑う。
「おいおい。俺が声かけたんだ。終わったかどうかは俺が判断するぞ。」
「え?まだ何かあるのか?」
「じゃじゃーん」
ミドリが今度はフクピカウェットとヘラを持っている。
「え?フクピカ?冗談だろ?折角ポリラック塗ったのに。」
「冗談じゃぁないんだな〜」
五郎はフクピカを1枚取り出し、GTRに力強く擦りつけた。ヒロシは顔面蒼白に
なり五郎の腕を掴んで止めた・・・。
「あれ??」
フクピカはボディには触れていない。五郎が擦っていたのはモール部だ。
「へっへー。ポリラックはモール部につくと白く固まるでしょ。それを固まる
前にこのフクピカウェットで擦ったらきれいになるっす!溝になってるところは
このヘラも使って・・・
ほら。きれいになるでしょ?」
「この方法は五郎君が考え出したんだよ。洗車グッズヲタらしいでしょ?」
「洗車グッズヲタはよけいっす!」
今度こそ作業が終った。今日はいつも気になっていたモール部も黒々としている。
ヒロシは上機嫌で皆に缶コーヒーを配った。
「シュウ。やっぱりこのメンバー・・・凄いね。」
「だろう。お前もその一員だぞ。」
恒例の洗車後の一服だ。
・
・
・
「あああぁぁ!」
静寂をミドリが破った。
「いっけない。私友達と約束あったんだー!」
「あ。そりゃいけない。送るよ。」
ヒロシが立ち上がった。ミドリは一瞬嬉しそうな顔をしたが、GTRとヒロシの
2ショットを見た瞬間、その笑顔は固まった。
「ご・・ごめん。遠慮しとくわ。アニキ!お願い!」
五郎とヒロシを残して兄妹は去っていった。もう秋だ。洗車でかいた
汗も心なしか冷たく感じられた・・・。
「・・・・・・・・・ヒロシ君・・・運転のコーチしようか?」
「・・・・・・・・・頼む・・・」
321 :
305:2005/05/23(月) 22:45:28 ID:isJbkcVi0
>>312 ブラックレーベルが登場しますよ。
もうしばらくお待ち下さい。
誤字脱字をお詫びします。
珍しく短くまとまりました。次回は、洗車ヲタの壁について少し書かせて
頂きたいと存じます。
>>321 挟んでしまって申し訳ない。
>>322 いえ、こちらこそ割り込んですみません。
乙です。
こちらのヒロシも運転ヘタにしようか、上達してまともになってるか
どうしましょうかw
>>323 >こちらのヒロシも運転ヘタにしようか、上達してまともになってるか
私の方はほぼ終ってますので、もうブツケさせることはありません。
ご都合の良いようにやっちゃて下さい。
ネタとしては使わせてもらいましたけど、
ヒロシが運転ヘタってのと
ビル○イツの隠し子(孫と間違ってました)
ってのには苦しみました。特に後者は私にはわからない感覚ですのでw
>>324 私もビル○イツ関係の設定がよくわからないので、
アメリカで大儲けして強引にヒロシを金持ちにさせました。
原作者の人にヒロシの名字を聞きたいのですがw
私どもで勝手に設定してもいいもかどうか・・・
326 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/23(月) 23:32:09 ID:Sw5OFbq/0
轟洗ヒロシ
さて、私も爆撃を開始します。
ちなみにブラックレーベルはまだ売ってません。
最近ヒロシは小さな友人ができた。洗車好きの小学生の少年で、タロウという。
いつも学校が終わると洗車場に現れては洗車作業を眺めている洗車好きで、
ヒロシの洗車作業がすっかり気に入り、いつもヒロシにくっつくようになった。
タロウが色々質問しても、熱血洗車野郎のヒロシは面倒くさがらずに丁寧に答える。
ヒロシの機嫌のいいときなんかは、車の体積が2倍になったかと思わせるほどの
泡を大量に立てる必殺技を見せたり、ワックスを拭き上げなしで仕上げる一発掛け
の必殺技など、子どもが喜びそうな芸を出していた。
タロウは幼い頃に交通事故で右腕を失っている。子ども社会は残酷なもので、
それを理由にタロウは度々いじめに遭うことがあったが、彼の持ち前の明るい性格で
はねのけていた。彼は将来ヒロシのような洗車名人になりたいと夢を語る。
ヒロシが洗車を志したのはもっと大人になってからだったので、こんな小さな子ども
のうちに同じ道を志すタロウはヒロシにとって弟のように思えた。
洗車党が政権を取ってからは義務教育でも洗車の授業が取り入れられ、タロウの学校でも
洗車の授業が始まった。ある日、いつも明るいタロウが泣きながらヒロシを訪れた。
「ヒロシ兄ちゃん、片腕だったら洗車しちゃいけないの?満足に洗車できないの?」
「どうしたんだよ、いつからそんな泣き虫になったんだ?」
「クラスのみんながいじめるんだ。片腕のお前が洗車なんて習っても意味が無いって」
タロウの同級生達は洗車の授業が始まるにあたって、洗車好きで知識も豊富なタロウに
嫉妬してそういじめたようである。普段、右腕のないハンデを同級生にからかわれても
平気だったタロウだが、大好きな洗車のことでハンデを指摘されて深く傷ついていた。
ヒロシはタロウを励まそうと言葉をかける。
「でもお前は誰よりも洗車好きじゃないか!そんなこと気にするなよ!」
「ヒロシ兄ちゃんは健常者だからそんなのんきな事が言えるんだ!やはりヒロシ兄ちゃん
も僕の気持ちなんて理解できないんだ!」
「おいタロウ!お前らしくないじゃないか!」
タロウは走って洗車場をあとにした。ヒロシはタロウの頭が冷えるまで放っておこうと
思ってあえて追いかけなかった。また次回はいつもの笑顔で洗車場に来るだろう。
そう思って待つことにしたのだ。だが、あれからタロウはさっぱり姿を見せなくなった
のだ。風の便りでは、タロウは親の仕事の都合で転校していったらしい。
連絡先もわからないまま、ヒロシは寂しさとタロウを傷つけた後悔で落ち込んでいた・・・
ある日、ヒロシは大型のカー用品店に道具の買い出しに来ていた。
最近オープンした店で、品数も多くヒロシはいつもよりじっくり品定めをする。
新製品を試そうか、それとも使い慣れたものに落ち着こうか、あれこれ考えている
そんなヒロシを大柄の店員が陰から観察していた。
ヒロシはレジで会計を済ませ、開店記念のクジ引きを勧められ、引いてみたらこれが
大当たりだった。一等の買い物券50万円分を引き当て、手続きの為に事務所に招かれた。
住所氏名などの書類手続きを経て会員になり、買い物券を渡されたヒロシの目の前に、
エラそうな男が現れた。メガネをかけた年配の男で、このカー用品店会社の営業統括
本部長の渡辺ツネオという人物である。社内で通称「ナベツネ」と言われる男だ。
「キミがヒロシ君とやらかね。このたびは当選おめでとう。買い物券50万円分は
ありがたく思ってじゃんじゃん使いなさい。ガハハ」
なんだこいつは・・・ヒロシはせっかくのラッキーな気分がかなり萎えた。
あわてて店長がフォローを入れる。
「いやすいません。実はヒロシさんに別の用件があって、あえて当たりクジを仕込んで
おいたのです」
別に用事があるなら普通に声をかければいいのにとヒロシは不審に思った。
聞くところによると、ヒロシにテレビで生放送される公開洗車バトルに出て欲しい
のだという。50万円の買い物券はその報酬代わりだというのだ。
もしも勝てば現金で1000万円の報酬を上乗せするという。
ヒロシとしてはバトルをすることはやぶさかではないが、こんな大掛かりな仕掛けで
釣った上に、たかが洗車バトルで高額すぎる報酬にキナ臭さを感じる。
わけのわからないことに巻き込まれてたまるか、そう思ったヒロシは何故そんな高額報酬
を出してまでバトルに勝ちたいのか問い詰めた。ナベツネが理由を語る。
「ヒロシ君、与党の洗車党は知っているかね?奴らは民間業者と癒着して大きな利権を
得ようとしている。その動きを止めたいのだ」
ヒロシはピンと来た。以前、その絡みで株式会社潔癖工房とバトルをして暗黒の計画を
阻止したことがある。一般人の洗車活動の一部を制限して指定業者にやらせるという
システムだ。義務教育で洗車を啓蒙する政策をとる一方、車内清掃などを制限して国民に
洗車に興味を持たせつつ、一定の作業は制限して癒着業者に金を落とさせその利権の指揮は
洗車党が裏で一手に引き受けるというもの。思い出したくもない計画だ。
しかし潔癖工房の尾杉の計画は止めたものの、まだ水面下ではそういう動きが進み、
党内でも意見が分かれているところなのだ。現在の洗車党内ではそういう制限はよくない
という意見が強いため、まだはっきりと表面化していない。
だが、いつ同じような動きが出てもおかしくはないのだ。ヒロシはナベツネの意見を
取りあえず聞いてみることにした。
「洗車党にやりたいようにされては一般向きの洗車グッズを売ることができなく
なってくる。ホレ、例えば室内清掃を制限されれば室内用グッズを店に並べられなくなる」
「確かにそうですが、それと公開バトルに勝つこととどんな関係があるわけですか?」
「キミは黙ってバトルに勝ってくれればいい。我が会社の存続の助けだと思ってやって
くれればいいのだ。負けても前払い報酬は50万円だぞ?勝てばたかが洗車野郎に
1000万も出すというのだ。おとなしく従いたまえ!」
どうしても納得のいかないヒロシは頑なに拒否した。押し問答を続けてらちがあかなく
なったとき、店長がナベツネに
「もう本当の理由を言ってもいいでしょう?」
「そうだな。このわからず屋のガキに本当の理由を言ってしまえ」
実は、ナベツネの会社は洗車経済党の息のかかった会社で、今度の公開バトルに勝てば
洗車党の反乱分子が洗車経済党に移り、政権が交代するというのだ。
そのあかつきには洗車用品の販売をナベツネの会社が独占し、現在は用品を安く売って
いるが「洗車用品税」をかけて合理的な税徴収と大きな利権を得る計画があるという。
結局、やっていることは同じで、当然ヒロシは断って席を立とうとした。
だが先程の大柄な店員がヒロシの前に立ちはだかり、
「このまま帰ってもらうわけにはいきませんよ」
「どいてくれ!」
「いや、ヒロシさんが敵側に回れば困るんですよ。公開バトルは2週間後。だから
一ヶ月ほど右腕を不自由にさせてもらいますよ」
ヒロシは取り押さえられたまま、右腕に注射をされた。このまま一ヶ月はしびれて動かない
特殊な薬品だ。これは犯罪行為であるが、公安関係に圧力をかけられるナベツネ達である。
理不尽にもヒロシはそのまま一ヶ月間右腕が使えなくなってしまった・・・
公開バトル当日、ヒロシの姿があった。ナベツネサイドの敵としてエントリーしていた
のだ。右腕を首から包帯でぶら下げて、片腕で闘うというのだろうか?
今日のバトルはテレビで全国放送される。消息を絶ったタロウがどこかで見ている
かも知れない。前回の潔癖工房とのバトル同様、絶対に負けられない。
ナベツネサイドの洗車屋はあの大柄な店員、馬場であった。洗車の腕だけで入社し、
幹部候補生でもある。ナベツネサイドの車はトヨタセンチュリー、黒。幾重にも塗装され、
トヨタの誇る電着塗装で日本車では最高レベルといえる塗装状態の車で、判定に有利な
条件な車を用意した。ヒロシはイモラオレンジNSXを持ち込む。ナベツネは
「ふん、たかが片腕で何ができる」
と片腕にした張本人が悪びれずに悪態をつく。この勝負も国際審判員が判定する。
ラスベガスにも居たり、大阪でナナコが資格を所持していた国際審判員とは何か?
国際審判員とは、世界的に制定された洗車バトルの判定審判で、洗車に関する専門知識
と鑑定眼がかなり高いレベルで要求される、日本における国家公務員T種、司法試験に
匹敵する難関の試験を通った者だけがなれるエリートである。
実技においてはヒロシ達のような超人的なスキルはなくても大丈夫だが、
それでも高い洗車技術を必要とされる。国際審判員は裁判官のように独立した裁定権を持ち、
例え大統領や総理大臣でも国際審判員の判定は覆せないのだ。さらに、公式の洗車バトル
では、洗車屋は国際審判員忌避権を持ち、万が一の審判員の公私混同判定を避ける権利が
ある。役人に顔の利くナベツネといえど国際審判員の判定にまで手回しは不可能なのだ。
とはいえナベツネとしては余裕しゃくしゃくだったのである。
勝負はシャンプー洗車からワックスかコーティングの勝負。キズひとつ無い完璧な
ボディ状態に仕上げるというルールで始まった。
大柄な男、馬場は高圧の洗車ガンを軽々と操ってセンチュリーの下地処理を開始する。
オレンジオイル系のシャンプーを使用し、腕力に任せた泡立ちを起こし、
両手にスポンジを持って豪快に作業を進める。もともと粘土がけを必要としない良好な
塗装状態のボディにシュアラスターブラックレーベルを施す。
馬場はワックススポンジを一度水で濡らして、大きな手で絞り、風格の漂う
ブラックレーベルの缶にスポンジを優しく押し当て、国産車最高といえるセンチュリー
の黒いボディに塗りこむ。
本来、黒という色は光の屈折を最も殺す色で、理論的に輝きとは無縁の色となるが、
車の黒となるとわけが違う。全色で最も洗車の達成感があり、黒いボディが放つ輝きは
多くの洗車屋を魅了する。こだわりの洗車は黒いボディを好んで選ぶ。
国産車最高の塗装と世界最高の黒用ワックスが融合する。馬場は鍛え上げられた筋力で
塗装とワックス成分をなじませ、センチュリーの黒いボディは光を司る太陽の神を嫉妬
させるような美しさを出していく。神すら嫉妬させるシュアラスターブラックレーベルは
センチュリーのボディを隅々まで支配し、奇跡の輝きを放つ。
あまりの黒の美しさに絶句する観衆の顔がセンチュリーに映り込む。
黒のボディは洗車した直後からの衰退が早く、まさにワックスの仕上がった瞬間のみを
楽しむ一期一会の芸術なのだ。国際審判員すら息を飲む仕上げとなった。
一方、ヒロシは左手一本で高圧洗車ガンを操る。しっかりと脇に挟み、両腕で持っている
かのごとく操る。首から包帯をかけた右腕が少し邪魔になるが、左手一本でも見事な
泡立ちを見せる。タロウに見せた「体積2倍泡立て」を片手でやってのけている。
鉄粉など微塵も無いNSXの下地処理も本来は必要ないが、ヒロシはあえて念入りに行う。
これが勝負の命運に関係するのだろうか?
ヒロシが取り出したのは同じくシュアラスター。ワックスオブワックスといえる
マンハッタンゴールドだ。大自然の創り上げた最高のカルナバロウと人類の英知が結集
されて製造されたこれ以上ないワックスのひとつである。
普段のヒロシはボディが濡れたままワックスを滑らせ、拭き上げすら必要としないぎりぎり
の薄さで塗り伸ばす。だが、片腕が使えないからか、あえて一旦ボディの水分を完全に
取り除いた。ヒロシの内心は、どこかでテレビを見ているかも知れないタロウの為に
わざと一般的な手法を選んだのだった。
ヒロシもワックススポンジを一度水につけてから絞る。そして、ワックスの皇帝、
マンハッタンゴールド(ザイモールとかは一般的じゃないので)を極限に薄く塗る。
一定の面積が終わるとメガネやダイヤモンドを磨くような特殊クロスで拭き上げる。
左手一本なので少々手間取るが、作業は確実に行う。
NSXのイモラオレンジが輝きを強めていく。ボディに映りこむ景色は、夕日の
海岸を思わせる風景になっていく。郷愁感の漂う夕焼けの輝きはセンチュリーのブラックの
エロスティックな輝きと対極的にあるかのように思われた。
最後にヒロシは霧吹きを取り出した。デリケートな皇帝、マンハッタンゴールドを
完全に塗装になじませる作業だ。霧吹きでボディに水をかける。
ワックスの皇帝は日本車オンリーワンのスーパーカーに親和していく・・・
両者の作業は終了した。国際審判員は厳正な審査の末、ヒロシの勝利を言い渡した。
(お約束のバトル相手のゴネは省略)
国際審判員は、馬場が見落としていた水垢を見逃さなかったのだ。
馬場は黒いボディでは見落としがちな水垢の処理をしないままブラックレーベルを
施した。ブラックレーベル故の繊細な仕上がりゆえ、わずかな輝きのくすみを発見した。
ヒロシは下地処理の段階で全ての水垢を完全撤去していた。
わずかな手間を惜しみ、黒の王者ブラックレーベルを使ったことが裏目にでた馬場。
ヒロシは唯一機能する左手を突き上げ、勝利を喜んだ。
見事、片腕で勝利し、潔癖工房に続いてナベツネたちの恐怖の計画を阻止した。
あの勝負からさらに2週間、ようやくヒロシの右腕が動くようになった頃、
ヒロシの郵便受けに一通の手紙が入っていた。タロウからだ。
小学生らしい豪快な文字で文章が書き殴られている。ヒロシはポストの前で一気に全部
読んだ。そして、晴天の青空を見上げて最高の笑顔でガッツポーズをした。
ヒロシがナベツネの計画を阻止したことは誰も知らないが、ヒロシは一人の少年の
英雄になったのだ。
ヒロシ、片腕の英雄伝説
完
以上です。
もはやわけがわからん展開でした。
なお、ブラックレーベルは全くの想像で書きました。
ご容赦を。
おや?また推敲不足によるおかしな文章がありますね。
許してください・・・
>>337 (ノ∀`、)乙です!!
いつも楽しく読ませていただいております。
貴方がた小説職人のおかげで、私も洗車道に目覚めてしまいそうです。
>>309 的を得た直球の意見、ありがとうございます。
使い捨てと言えば使い捨てですねw
機会があれば再登場させたいのですが。
>>339 立志編はキャラが立った人物ばかりなので、
あっさり終了するのはもったいないと思いますよ。
とかいう私もストーリーは無限にあるのですがネタがそろそろやばいです。
>>340 文字ばかりでセリフの少ない駄文に付き合っていただいて、ありがとうございます。
的を得た→的を射た
でした。いつものアホが発動ですw
343 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/24(火) 01:32:39 ID:xhZQBm0EO
>>337乙です!
これは泣ける!
スケールがでかすぎて何回も読み直してやっと内容を理解しました。
お笑い芸人のヒロシを出したり、今度は感動物語を書いたり、引き出しの
多さにはビビります。密度の濃い細部の表現が好きです。
立志編の先生も乙です!
もっとヒロシがスーパーヒロシになる過程を見せて下さい。
スーパーヒロシの真似はできませんが、立志編ヒロシなら
なんとかついて行けそうです(w
おいらの車も黒なのでブラックレーベル買おうかな
344 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/24(火) 02:15:46 ID:mohp8lng0
おい、誰かwiki立ててオクレヨ 漏れはスキルないから出来ないんだよ
日曜洗車しようとしたら雨が降り、昨日洗車しようとしたら雷雨で、じゃあ今日
洗車しようと天気予報みたらまた夕立だって・・・orz
洗車野郎ヒロシで学んだテクを試したくてウズウズしてるのに_| ̄|〇
雨洗車というテクもあるのでは?
洗車好きなら梅雨時期に発作がでてやった方も多いと思われ
>>346 仰る通り、湿度の高い雨の日こそワックスやコーティングのノリがいいらしいです。
理想は雨の降る屋外の屋根の下で洗車することみたいですが。
TOTOハイドロテクト親水コーティングって、最近聞かないですね。
348 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/25(水) 18:49:16 ID:VOwD+fL8O
唐揚げして待つ
〜洗車野郎ヒロシ番外編・ヨシオの影〜 vol.1
「アンタが有名なヒロシさんかい?」
男はタバコをふかしながらヒロシにそう尋ねてきた。
「ああ、俺がヒロシだけど…アンタは?」
「俺の名はヨシオ。アンタと洗車勝負がしたくてここに来た。」
ヨシオと名乗るその男は、両手に持っているバケツを突き出した。
「向こうに同じ位汚れた車を用意してある。で、ここに100円ショップの洗車グッズを
用意した。勝負はこうだ、同じ条件で洗車し、結果をギャラリーに見てもらう。
これなら下地や洗う車のコンディションで勝敗は決まらないフェアな勝負だ。受けるよな?」
そう言ってヨシオは顔を奥にやると、そこには薄汚れた車が2台停まっていた。
「俺のこの両手のバケツのどちらかを選べ。中身は同じだが、選ぶのはお前だ。」
バケツの中にはシャンプー・スポンジ・ネルウエス。確かにどれも未開封である。
「その勝負…制限時間は?」
ヒロシが聞くと、ヨシオは20分でいいだろうと言った。
さて、続編があるのですが、
>>349のUPが完了してから投下します。
>>349 割り込んで申し訳ありません。
351 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/25(水) 20:25:41 ID:VOwD+fL8O
>>350 >>349は一時間以上放置プレイのようでつが。
でも、立志編と現在編の間を埋める作家の予感。
てのは期待し杉かな?
スマソ、
>>337氏ドゾー
漏れはゆっくり書きますゆえ。
ちょいと素敵なトリップ貰ってきましたw
なんかうpしにくい雰囲気なんですが・・・気に障ったらごめんなさい。
責任もって立志編終らせます。ラス前です。ドゾー。
ミドリがついに免許を取り車を買った。黄色いプジョー106。今日、最初のコーティング
を行う。
昨日のこと、ミドリに洗車仙人が言った。
「ヒョヒョ。ルンルン気分(死語)じゃのミドリ。そのコーティングじゃがの、ヒロシに
やらせんか?」
ヒロシの成長は著しい。が、初の自分の車だ。自分で洗いたい気持ちもある。
「実はの・・・ゴニョゴニョ・・・」
「そういうことなら・・・」
理由を聞いてミドリは快諾した。また何か企んでいることは明白だった。
土曜の朝。何かを仕掛けられていることは分かっている。気合は十分だ。てぐすね引いて
待ち構えるヒロシの前に106は現われた。
106の状態はいい。水垢取りや鉄粉取りの必要はなさそうだ。テンポ良く水洗いを終え、
コンパウンドにかかった。作業を進めながらヒロシは違和感を感じた。
「?」
何か勝手が違う。初めて磨く車だからか?違う。白インプの時でもこんな
違和感は感じはなかった。楽しくない。
いつもは楽しい作業が全く楽しくないのである。
・
・
・
「と、とりあえず終った・・・しかし・・・」
かつてない疲れを感じた。しかも、決して上手いとは言えない。スクラッチも
まだ残っている。
「ヒョヒョ・・こりゃぁ酷いのぉ。ミドリが可哀想じゃ。」
「う・・・」
「あ。気にしないで。覚悟はしてたから。」
ミドリの言葉がトドメを刺した。その笑顔もヘタな作り笑いだ。失意の内に
ヒロシは帰路についた。
日曜日、自分の車を洗いにヒロシが現われた。今日は久々のGTR登場だ。
「ヒョヒョ。浮かない顔じゃの。」
「そりゃそうさ。昨日のことが気になって。しかもミドリは覚悟してたとか言うし・・・。」
「ヒョヒョヒョヒョヒョ。そうじゃのぉ・・・ヒントをやろう。お主は何を思い洗車する
かの?」
「・・え?そりゃ今まで学んだことを反芻しながら、キズをつけないように・・・・手を
抜かないように・・・」
「ヒョヒョヒョ。それは考えていることじゃ。ワシは何を思っていると聞いた。まぁ謎解
きみたいなもんじゃ。ゆっくり考えるとええ。」
いくら考えても分からない。とりあえずヒロシは自分の車を磨くことにした。
このGTR、オーナーが乗った時間よりも修理工場にいる方が長い。
思えば不幸な車だ。災難続きのこの車には申し訳ない気持ちで一杯になる。
お詫びのつもりでピカピカにしてやろうと思った。
すると・・・楽しい。昨日のことが嘘のようだ。疲れも全然ない。
「何が違うんだ・・・?」
洗車仙人の言葉を思い出した。
「思い出せ・・・今俺は何を考え、何を思った・・・?」
「!!!そうか!!・・しかし、俺に出来るのか???」
ヒロシはしばらく目を閉じた後、自答した。
「できる。やれる!」
早速ミドリに電話した。来週埋め合わせをするから、どうか車をそのままに
して欲しいと頼んだ。
土曜の朝が来た。ヒロシの鼻息は荒い。
早速作業にかかりシャンプーまで終えた。先週もここまでは順調だった。
そこで目を閉じた。1分・・・2分・・・時間だけが過ぎていく。皆不思議そうに
見ている。5分近く経っただろうか。ヒロシがかっと目を見開いた。そこからの
作業は凄まじかった。
昨日とは全く違う。とびっきり丁寧だ。違和感などどこにもない。疲労も感じない。
洗車仙人がシュウに話しかける。
「どうやら気付いたようじゃの。しかも乗り越えおったわ・・・。」
「ああ。やはりコイツは・・・・。」
2時間が経った。そこにはピカピカの106があった。
「すごーい。新車以上よ・・・。ありがとうヒロシ君。」
「ヒョヒョヒョ。こりゃぁきれいじゃ。よう乗り越えたの。」
「あぁ。ミドリの車を磨き始めた時、どうやってきれいにするかだけを考えていた。
すると、ミドリには悪いけど急に面倒くさくなったんだ。あの後、自分の車を洗った
時、面倒くさいなんて微塵も思わなかった。そして全ての原因がわかった。
俺はGTRを洗っている時、この車がピカピカになった画を想像し、その車で
どこに出かけようか考えていたんだ。GTRと106で違うのは所有者だ。106は
きれいになっても俺の手元にはないし、それでどこかへ出かけることもないんだ。」
「ヒョヒョ。そうじゃ。他人の車を洗うとはそういうことじゃ。普通の人が面倒
くさがるように、本来、洗車は苦痛な作業じゃ。お主は苦痛を感じたことはない
ようじゃがの。それは自分の車じゃからこそ乗り越えられた障害なのじゃよ。
稀に例外がおるが、磨く行為そのものが楽しい訳ではない。磨いた後、その車を
いつも眺められるから楽しいのじゃよ。して・・・お主はどう乗り越えた?」
ヒロシは照れくさそうに言った。
「・・・目を閉じてミドリの笑顔を思い浮かべていた・・・。きれいになったこの車で嬉
しそうに出かけるミドリの笑顔を・・・」
「ご・・5分もか!?」
慌ててシュウが詰め寄った。
「・・あ・・いや・・・その・・・」
「何赤くなってるんだ!おいミドリ!何嬉しそうにしてる!お前らまさか・・・ちょっと
待て、いかん!こんな洗車バカ!俺は認めん。認めんぞ!」
「ヒョヒョヒョ。他人の車を磨くにはその人の喜びを自分の喜びにせんと
無理じゃ。・・・しかし、ミドリの車じゃまずかったかのぉ。ほれ。自分の車より
きれいじゃて。ヒョヒョヒョヒョヒョ・・・」
じじぃの薄気味悪い笑い声が洗車場に響いた。
他人の車を洗う苦痛を回りくどく書いてみました。
うpしながら読み直したけど、最早公開オナヌーの世界ですなw
お目汚しごめんなさい。
ちなみに・・・最終話はもっとお恥ずかしいものになりそうです・・・orz
〜洗車野郎ヒロシ番外編・ヨシオの影〜 vol.2
「洗う車はこの二台だ、好きな方を選んでくれ…。」
ヨシオのさした先には、仲良く汚れた黒のGX90チェイサーと紺のY32セドリックがたたずんでいた。
「同じような色、汚れ具合、車種を選んでみたつもりだ。これを同じ道具で洗う。
お互いゴマカシや小細工は一切通用しない100円均一グッズだ。」
いつの間にかセルフ洗車場はギャラリーでひしめきあっている。
「判定はギャラリーの反応、そういう事か?…車を見させてもらうぜ」
ヒロシはおもむろにセドリックに近付く。成程、こいつはどちらもかなりの汚さだ。
「紺のこっちの車でいい。」
ヒロシがセドリック、ヨシオがチェイサーを洗う。ギャラリーの一人がスタート合図をする。
「百均シャンプーも高級シャンプーも基本的には変わらない、バケツに原液を入れた後に水を叩き込むッ!」
ヨシオが高圧洗浄機をまるで手足の様に扱う。距離、角度、噴射位置。全てが完璧だ。
ヒロシも負けていない。二人の動きが全く同じなのだ。限られた時間と定められた道具の中では
やはり目立った差は見られない。
「短い時間で仕上げるには…これだッ!」
ヨシオの奥技、洗剤液直接塗布─バケツシャンプーまるぶっかけが炸裂した。
>>363 >洗剤液直接塗布─バケツシャンプーまるぶっかけ
ワクワク
〜洗車野郎ヒロシ番外編・ヨシオの影〜 vol.3
ヨシオ側のギャラリーからどよめきがわきあがる。
「ヨシオの奴、時間短縮+効率向上のダブル効果を狙っていたのかっ!?」
洗剤液直接塗布─バケツシャンプーまるぶっかけがボディ全体を覆い、車が一気に泡立つ。
バケツに山の如く出てきた泡が車体を包みこみ、みるみる汚れが落ちてゆく。
「ほぅ、なるほどねぇ。」
ヒロシが呟く声は洗浄機の音にかき消される。
じゃあ私もこんなトリップでw
>>362 乙です!
私が勝手に設定し直した洗車仙人の二人称「お主」を合わせて下さってありがとうございます。
◆CARWASHye6 氏の最初の設定では「お前さん」だったのに・・・恐縮です。
>>365 乙です!
バケツ技ドキドキ
さて、いきます。
ヒロシはとある板金工場に来ていた。左フロントを壁にHITさせた。走行に支障はないが、
ガリガリとやってしまったのでフェンダーがへこみ、塗装も剥がれた。
色々な修理屋に断られツテを頼りにNSXのアルミボディも直せるという「闘魂工場」にやってきた。
「いらっしゃい」
年の頃60前ほどの一見温厚そうなオヤジさんが笑顔で迎える。
「ちょっと忙しいのでそこで待っていて下さい。すぐ来るから」
と、作業場に置いてあるパイプ椅子をすすめられ、ヒロシは座って待つことにした。
「アホ!何をやっとんじゃ!順番がちがうやろ!」
奥の方で怒鳴り声とガシャーンという音が聞こえる。さっきのオヤジさんだ。
オヤジさんの名は星野洗一。車に関わる仕事は全て闘いだというのを座右の銘とする。
手を抜いた仕事やくだらないミスが大嫌いで、やる気がない従業員には容赦の無い鉄拳が飛ぶ。
だが、全力で仕事をした結果のミスや不出来には寛容で、洗一自らフォローを入れる。
平成の時代、よく若い従業員はついてくるもんだと思うが、若手は洗一の深い愛情と親分肌に
ついてきている工場。それが「闘魂」工場だ。洗一がヒロシのもとに戻ってきた。
「いやー待たせたね。電話では左前のフェンダーをぶつけたんだって?
高い車なんだから大事にしなきゃいけないよ」
洗一はヒロシの車を見た瞬間、突然恐い顔になった。
「ヒロシ君だったかな?この車、どれくらいのペースで洗っているのですかな?」
「ええ、三日と開けて洗わなかったことはありません」
「そりゃ洗いすぎだよ。塗装が悲鳴をあげている」
「どういうことですか?コーティングとかしっかりメンテしてますよ」
「いや、特にコンパウンドなんか過剰だよ。次もやったら下地が出てくるよ」
プロの板金屋は塗装状態の目利きが凄いのだ。普通、ほとんどの修理には塗装が伴い、色を
調合して塗る。本来、車の塗装は製造工場で下塗りからクリア塗装まで、3〜4重に塗られ、
(5〜6重もある)
一度塗装が剥げると極端な話、製造過程と同じ塗り方をしないと元に戻せないのだ。
市販のタッチアップやスプレーはかなり優秀でほとんどメーカー色と同じ色になっているが、
純正のタッチアップを含め塗装の経年変化や乗り手の使い方によって、同じメーカー色でも
一台一台と違う色になる。プロの板金屋は世界にふたつとない色を極限までオリジナルまで
近づける職人でもあるのだ。それでも見る者が見ると違いがわかってしまう。だが、
熟練するとやり手の買い取り査定マンの目すらくぐり抜ける腕を持つ者もいるほどだ。
ヒロシが塗装を輝かせるアーティストなら、洗一は塗装を創り出すアーティストといえる。
「いいかヒロシ君、ものごとには限度と言うものがある。この車はコンパウンドの掛け過ぎで
クリアと色部分が滅茶苦茶に混ざってしまっている。しかも、アルミボディだからよかった
ものの、それだけ洗車していれば薄くなった塗装に水分が染みこんで内部がサビてボロボロに
なっているところだ。本来洗車なんて、汚れたかな?と思い立った時に軽く洗うだけで充分なんだ。
最近は洗車ブームだかなんだかで国をあげて洗車を推奨しとるが、過剰な洗車はかえって
車を傷めるだけなんだよ」
ヒロシは頭ではそんなことはわかっていても、もはや洗車中毒となった体が勝手に車を洗うのだ。
ほんの少しの小キズでもどうしても見逃せない。どうしてもコンパウンドやコンパウンド入り
ワックスでキズを取ってしまう。一箇所にかけると周りとのバランスが悪くなるので周りにも
かける。すると、その一帯が全体とのバランスが悪くなって全体に・・・を繰り返してしまう。
洗一はそんな若き熱血洗車野郎の気持ちを理解しながらも、優しくアドバイスしてくれたのだ。
洗一の言う通り、車などショーカーでもない限り年がら年中ピカピカにしておく必要はなく、
定期的にコーティングなどでメンテナンスし、鳥の糞でもつかない限り洗いまくるものではない。
ヒロシは思い切って修理と同時に全塗装も頼んだ。(またイモラオレンジにするようだ)
心機一転、全塗装でヒロシはやり直そうと思ったのだ。
半年後、ヒロシはまた別の場所をぶつけて闘魂工場を訪れた。
洗一がヒロシの車を一瞥するなり、ピカピカに光っていながらも塗装がやばくなっているのを見て、
「このどアホウ!!なんにもわかってへんやないか!あれだけ洗いすぎるなと言ったのを
もう忘れたんか!」
ヒロシは殴られでもすると思って、車をおいて一目散に走って逃げたが、怒鳴りながらも
洗一の顔は優しい。
板金屋と洗車屋。(洗車屋といっても商売ではないが)道は違えどその道を極めんとする
熱血洗車野郎ヒロシの姿に洗一は自分の若い頃が重なって見えていたのだった。
ヒロシ、洗車中毒編
完
ダラダラ長い駄文ばかりだったので短くしました。
無推敲、自己満足内容上等!!(逆切れ)
373 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/26(木) 00:20:51 ID:lvbMbDWGO
みなさん、乙です
星野洗一てw
キャラ名の悩みがなくなりつつあるようですな
〜洗車野郎ヒロシ番外編・ヨシオの影〜 vol.4
一方ヒロシといえば、いつも以上に地味に見てしまう。
パネル単位で上から下へ、すぐ水で流す。あまりにも基本的すぎる動作に、ギャラリーも心配の色を隠せない。
「ヒロシさんよ、アンタ噂程じゃないな。もう時間が無いぜ?」
残り時間5分にはヨシオは拭きあげも終わらせ、黒光りするチェイサーの横で一服を始めた。
「この瞬間がたまらなく美味い。ヒロシさん、アンタはこの味を堪能できるのかい?」
ヨシオの挑発には目もくれず一心にネルウエスで拭きあげるヒロシ。
「3、2、1、…終了!」
ギャラリーの一人がストップウォッチを止めた。かっきり20分、ヒロシも洗車終了。
「俺はやっぱりヒロシのセドリックだな。」
「私はヨシオのチェイサーね、時間が早くて同じに見えるならそっちがいいわ。」
「ヒロシが手をかけると百均グッズでこうも仕上がるのか?」
審査員であるギャラリーも甲乙つけ難いようで、両者の車を見比べている。
「これだけ同じに見える仕上がりなんだから、早い時間で終わらせたヨシオが勝ちじゃないか?」
ギャラリーの一人が言うと、周りのギャラリーも確かにそうだと頷いていく。
「俺は…ヒロシだと思うな。」
小柄な青年がヨシオのチェイサーに近付いて行く。そして一点を挿し、
「ここ、見てみなよ。」
〜洗車野郎ヒロシ番外編・ヨシオの影〜 vol.5
青年はルーフパネルの一部をさす。そこは確かに他と比べると、ごく僅かだが曇っていた。
「俺、煙草を吸わないから煙が車にかかるのが気になったんだ。吸う人には多分許容範囲内なんだろうけど…」
青年が言いかけたところで、彼の隣にいた茶髪の男がくってかかる。
「じゃー何か?洗車した後の車じゃ煙草は吸っちゃイケマセンつーのかよテメェ?」
「やめろ!そっちのチビの兄ちゃんの言う通りだ。」
茶髪男を制止したのはヨシオだった。ヨシオは曇りのある位置─さっき自分が洗車後の一服をした場所に立つ。
その周囲だけほんの僅か、ごく僅かだがヨシオの姿が濁る。
「なるほど、確かにヤニ汚れだ。こいつはまずいよな。…俺の負けだ。」
「ヨシオ、アンタもなかなかやるな。」
ヒロシが右手を差し出す。ヨシオは同じく右手を出し、固い握手を交わす。
「次は淡色勝負だ、今回みたいなミスはしねぇ。」
「いいぜ、俺はいつでも洗ってやる。」
ヨシオは洗車場の奥に停めてあった積載車にに乗り込み、チェイサーとセドリックを載せる。
二台のトランクルームから板状の物をインパネに乗せる。そこには
『最終型フルエアロ!コミコミ80万!(リ税・消費税込み)』
『ワンオーナー・ローダウン!』
あっけに取られるヒロシを尻目に、ヨシオは走り去っていった。
「ヨシオ…負けたよ。」
ヒロシが呟く。どちらが勝ったのか、それは翌日中古車センターに並べられた二台の未来の
オーナーだけなのかも知れない。
END
>>375 GJです。
>>366 「お主」のが貫禄あるので変更させて頂きました。
洗一使ってくれたんスね。ありがとうございます。
>>372>>375 GJ!!
昨日洗車してきますた。粘土はサボったけどWAXがうまくいった(゚∀゚)!
ツルツルピカピカで超気持ちいい(>∀<) これからも、楽しみながら学べる
作品期待してまつ(;´Д`)
レスd。ダラダラ頑張ります。
洗車野郎ヒロシ・見えない見せ所 vol.1
「お前には車を洗う資格は無い…」
目の前の強敵に崩れ落ちる男。そして、それを取り巻く洗車仲間。
「ヒロシより綺麗に魅せる奴がいる?」
街のコイン洗車場でそんな噂を聞いたハードシャンプー山下とトラップ粘土の佐藤は、
少し不思議な顔をした。
「確かにあいつは俺達も認める程の洗い屋だが、ヒロシより綺麗に魅せる奴がいるなんてなぁ?」
「待て待てヤマ、ヒロシの時もそうやって甘く見ていたんだ、ヒロシ以上の洗い屋がいたっておかしくない。」
山下と佐藤の二人もヒロシ同様スゴ腕の洗い屋だ。しかし洗い屋独自のネットワークにも引っ掛からない
噂の洗い屋。その噂はヒロシの耳にも入っていた。
「まだ洗車勝負すらしていないのに、俺より綺麗に魅せる…ねぇ?」
ヒロシの目が輝いていた。
>>381 洗い屋ワロス
もしかして一番最初に書いてた人?
コイン洗車場にやってきた一台のマーチ。フロントガラスには初心者マーク。夜の洗車を楽しんでいた
ヒロシに、マーチを降りたドライバーが近付いてきた。洗車勝負なら受けてたつ。敢えて
マーチに背を向け、これみよがしにマーチのドライバーを無視する。
「派手なNSX乗りのオニーサン、名前はヒロシさん?」
声の高さにびっくりして振り向くと、そこにはヒロシと頭ひとつ低い少女…、というか女子高生がいた。
何かのドッキリか?援助交際か?とにかくこの少女は間違いなく俺に話かけているのだろう。
「ヒロシです…」
うつ向き加減に消え入りそうな声で返した瞬間、クールでテンション低い男を演じるつもりが、
ただのコメディアンになってしまった。第一印象は自分と相手の位置を決める重要な場、いうなれば
シャンプー洗車の前の水洗い。それをヒロシは失敗したのだ。気まずい沈黙が続く。
洗車野郎ヒロシ・見えない見せ所 vol.3
「へぇ、ヒロシさんて洗車だけじゃなくてそーゆうギャグも出来るんだぁ?」
予想外の女子高生の切り返しに戸惑うヒロシ。ばつの悪さを感じつつ、女子高生のマーチを
見る。少し埃を被っていて、洗うにはもってこいの『旬』だった。
「…君がこの車を?」
半分挙動不審になりつつあるヒロシがはぐらかすと、女子高生は
「まさか?これは親の車を借りてるの。免許取ったばかりだから、教習所のお金ですっからかん。」
そうなんだ、と返すヒロシ。さっきからクールに決めたいつもりが、どう頑張っても無駄だった。
「…で、俺に何の用なんだい、オジョーちゃん?」
お嬢ちゃんもどうかと思いながら尋ねる。すると女子高生は笑いながら、
「私と洗車勝負しない?勝った方が負けたほうにゴチソウするの!」
「…はぁ?」
何を言っているんだこの小娘は。仮にも俺は少しは名の知れた洗い屋だ。こんな女子高生に
負けるようなチープな腕じゃあない。
「いいぜ、勝負だ。…えーと、名前はなんて?」
「アカネでいいよ。で、勝負方法なんだけど、洗車機にツッコミ勝負!」
アカネと名乗った女子高生もなかなかシュールだが、勝負内容もかなりシュールだ。
「な…なにおう?」
「まさか『洗い屋』が初心者マークの女子高生に勝負を挑まれて、逃げる訳ないよね!?」
手洗い洗車を美学としていたヒロシには洗車機は屈辱の極みだ。だが、ここで逃げては
洗い屋としての屈辱だ。葛藤に悩むヒロシ。そしてそれを傍目に携帯電話をいじるアカネ。
Vol.2は
>>383です、スマソ
>>382氏
全くの別人様でございます。
>>384 アレだね。立志ヒロシが一人で独立して名前を売り始めた頃の設定っぽいね。
違ったらスマソ
頑張って下さい。
約束どおり終らせます。もはや洗車関係なしです。
今更ですが、店の名前決めました。チームと一緒で
Polished Shineです。
店に緊張が走った。100mほど先に建築中の施設が、洗車場兼ショップと判っ
たからだ。偵察にいった五郎が戻ってきた。
「たいへんっス。あのツルピカbPの経営ッス。」
ツルピカbPはヒロシも被害に遭った悪徳業者だ。
「ヒョヒョヒョ、やはりの。」
冷静な洗車仙人にヒロシは苛立つ。
「じいさん、笑い事じゃないだろう。ん?どうした五郎、まだ何かあるのか?」
「そ・それが・・・」
「ヒョ!なんじゃと!」
五郎の話では、店内で準備を進めている人の中に真一がいたというのだ。
「真一さんが・・・。俺のせいだ・・・。」
ヒロシがチームに加わって以来、真一は明らかにおかしくなっていった。
最近では洗車場も変えてしまったようで、ほとんど顔を見ることもなくなっ
ていた。
「ヒョヒョヒョ。そりゃ手強いのぉ・・」
皆一様にショックを受けていた。中でも真一をチームに連れてきたシュウの
ショックは大きい。
「あいつが・・・まさか・・・」
「シュウ。諦めい・・・。ヤツは元々技術だけを高めていく傾向があったか
ら心配はしとったが・・・。なまじ才能があったばかりについにダークサイド
に墜ちてしまったようじゃのぉ。」
・・・ダークサイド・・・。ヒロシは固唾を飲んだ。自分自身、何度もわず
かな技術に自惚れ溺れそうになった。そんな時、いつも仲間達が救ってくれ
たのだ。
翌週、ついにツルピカbPの経営するツルピカwash&storeがオープンした。
ヒロシ、ミドリ、五郎の3人は偵察に来ていた。広い。洗車がブームとなり
つつあるところを睨んでの大規模洗車場だ。20台の高圧洗車機、5台のゲート
型洗車機が備え付けられている。
「おや?お三人さん、敵状視察ですか?ご苦労様です。」
背後から真一の声がした。胸のプレートにはマネージャーと書かれている。
「真一君、どうして・・・?」
「ふふ。昨日シュウにも言われたよ。わざわざ自宅まで来てね。多くを語る
つもりはないけど、俺の技術がオーナーの目に止まったのさ。多忙なため
おもてなしもできませんが、ど う ぞ ご ゆ っ く り」
3人は偵察を終えて店に戻った。
「どうだった?」
心配そうに聞く丈治にヒロシが答えた。
「とにかく広い。そして安い。水洗いが200円だ。建築中、ボーリングして
いたからおそらく井戸水だろう。すぐそばにマンションもあるから、住人に
とっては便利だと思う。」
「ショップの方は?」
「俺が見たところ、他店も含めて大量に仕入れた分余剰在庫を処分価格で出
してるみたいッス。旧いパッケージだったり、既に製造されていない商品だ
ったり・・・。その分値段が犯罪的に安いッス。」
洗車仙人の目がキラリと光った。
「ヒョヒョヒョ。井戸水と余剰在庫か。そりゃ安かろうのぉ。3人ともご苦労
じゃった。ところで、シュウ、ヒロシ、話がある。ちと来い。」
1時間程が過ぎただろうか、事務所から3人が出てきた。笑顔の洗車仙人に
対してシュウとヒロシは深刻な面持ちだ。
ヒロシは店を出て洗車場のベンチに腰を下ろし空を見上げていた。気付くと
ミドリが隣に座っている。
「・・・なんだったの?」
ミドリが心配そうに訊ねると、ヒロシは重々しく口を開いた。洗車仙人が
シュウにこのショップを譲るというのだ。
「そ・そんな・・・こんな時に・・・」
「同じ事を俺たちも言ったさ。じじいが言うには今だから譲るんだと。理由
を聞いても『大丈夫じゃヒョヒョヒョヒョヒョ』って、訳がわからないよ。」
「じゃあ皆でやるの?」
「・・・いや・・・。俺はやらない。・・・俺は、じじいと洗者修行の旅に
出る・・・」
「え・・・?」
別れは突然告げられた。
その日の夜、店の事務所でちょっとした宴があった。結局この日の売上は
開店以来の最低をマークした。シュウは不安が隠せない。
「ヒョヒョヒョ。シュウ、心配せんでええ。今まで通りやるだけでもこの店
は潰れん。それどころか、お主らの力を合わせれば今まで以上の店になる筈
じゃ。やりたいようにやってみるとええ。ただし、これだけは約束するんじゃ。
いつも利用者の気持ちを忘れないと。」
「利用者の気持ち・・・」
ヒロシは外で洗車していた。普段、夜間は洗車しない男だが、今日は何かを
振り払うかのように洗車をしている。しばらくしてミドリも出てきた。
「夜間の洗車は洗い残し拭き残しに注意しないと駄目よ・・・」
「中で皆といなくていいのか?」
「テツオさんの黒田節が始まったのよ。ああなると手がつけられないから。」
洗車も終わり二人はベンチに座って缶コーヒーを飲んだ。すっかり酔いも醒
めている。
「私には洗車なんかの為に修行に出るという感覚はわからないな・・・。」
「じじいが言うには、今起こりつつある洗車ブームはきっと本格化する。そ
して多くのブームの創世記に足を引っ張るのは、利益のみを追求する悪徳業者
のいい加減な技術や自称「通」の撒き散らすデマだと。俺の役目はそいつらに
対抗する『真実の洗車』を世に広めることなんだって。正直、俺にそれほどの
力があるかは分からないけど、自分を試してみたいんだ。」
「・・・ほんと・・・洗車バカね・・・。」
ミドリは笑っているものの目には涙が溜まっている。
「・・・ゴメン・・・。」
少しの沈黙があった。
「ねぇ。私に他に言うことはないの?」
「え?・・あ・・・う・・・・」
ヒロシは口篭もった。ミドリの要求が理解できたからだ。頭を掻き毟り
しばらく考え顔を真っ赤にして口を開いた。
「えっと・・・その・・・。君の黒髪はまるでカルナバワックスをかけたように
艶があって・・・、その・・・瞳はガラス系コーティングをしたように輝いて
いて・・・声はガラスコンパウンドをかけたように透き通ってて・・・。
君を見てると僕の胸はエンジンを切ったばかりのボンネットのように熱くなる。
・・・・今まで、その熱を冷まそう冷まそうと思っていた。でも、今日は
シミになっても構わない・・・」
最悪の口説き文句にミドリはしばらく呆れそして微笑んだ。そして二人は
口づけを交わした。
キュルルルル・・・・・
エンジンをかける音に気付いたシュウが、事務所の窓から少し寂しそうに
GTR見送っていた。シュウの後では三度目の黒田節だ。
初めて乗るGTRの助手席。恐さを紛らわせるためにつけたカーオーディオ
からは感じの良いノリの洋楽が流れ始めた。GTRの艶容な輝きは静かに闇に
溶けていった。
「あれから1年が経ちました。あなたは今どこにいるのでしょう。驚いたこ
とにツルピカwash&storeはあっけなく閉鎖しました。まず、25台もの洗車
機を置いたために井戸が涸れ、洗車中、水が出なくなるお客さんが相次ぎま
した。また、井戸水そのものがきれいでなかったため、上手く仕上げられな
いお客さんが多く、リピーターが着かなかったようです。」
「お客さんの質にも少し問題があり、オーディオの大音量や爆音マフラー、
散乱するゴミなどに近隣住民から苦情が相次ぎ、真一君はその対応で忙殺さ
れていたようです。更に、良いお客さんはマナーの悪いお客さんを見て、
店そのものを敬遠してしまったようです。商品は破格値だけど所詮死に筋商品
です。洗車ブームが盛り上がりつつある中で、徐々に正しい知識を得ていく
洗車フリークが手を伸ばすことはありませんでした。」
「逆にPolished Shineは嘘のように順調です。ツルピカwash&storeが広げ
た裾野から残ったコアな洗車フリークが流れてきて、口コミで評判が広まっ
たみたいです。もちろんアニキ達も何もしなかった訳ではなく、まず、夜間
洗車がし易いように照明を増やしました。五郎君がバイヤーをしてて、得意
のレポをオススメ商品に貼り付けてます。丈治さんとテツオさんは洗車その
ものを請け負ったり実演指導を行ったりしてます。毎日とても忙しそうですが、
皆活き活きとしてて、来月には屋根をつけるんだと張り切っています。」
土曜の朝、ミドリは洗車に向かう支度をしていた。毎週末朝の習慣は
変わっていないが、一つだけ変わったことがある。支度の間に音楽を
流すようになった。
あの夜、車で流れていたヒロシCDを貰った。
机の上の飾られた手垢まみれのジャケットにはこう書かれている。
SuperstarCarWash/GooGooDolls
やべぇ。死ぬほど恥ずかしい。個人特定されたら死ぬかもw
公開オナヌーですな。みんな私を見て!
立志編の終わりとして、人間関係をリセットしないといけないので、
こういう終り方になりました。(じじいが残っちゃいましたがw)
告白シーンは・・・恥ずかしくて最後まで躊躇しましたが、洗車に繋がる
ものがこれしかなかったので。
とりあえず、立志編はこれで終わりです。
ご愛読(?)頂きありがとうございました。
洗車野郎ヒロシ・見えない見せ所 vol.4
「どうしても洗車機なのか?」
苦し紛れにヒロシが尋ねると、携帯電話を打つのを止めたアカネは当たり前のごとく言い放つ。
「手軽く洗車機を通すユーザーと誰かさんみたいに狂ったように磨きこむユーザー、
はたしてどっちが多数派だと思う?ガソリンスタンドには洗車機はあるけど洗車ブースを置く
店舗はそうそう見ないわ。それが答えよ。」
アカネの至極まっとうな言葉に息が詰まる。
「それにね、ヒロシさんの車、あんまり綺麗じゃないから。これじゃこだわってるなんて
言えないわ。洗車機でも大して変わらないわよ。」
この兆発についヒロシが乗ってしまった。
「だったらそのマーチはなんだ?洗車機キズだらけで見るに耐えない!しかも初心者マークの磁石で
塗装が日焼けしているじゃないか!?それでも俺の車と大差ないというのか?」
「マジ馬鹿?何度も同じ事言わせないでくれない?そんなんじゃ洗車機と変わらないって
言ってんのよ!…ははーん、アンタ洗車機に通したことが無いから恐いんでしょ?」
アカネの言葉が胸に深々と食い込む。洗車機などというおぞましいものに車を突っ込むなんて…!
「で、どーすんの?マジ早く決めてくれない?バイト遅刻しそうなんだけど?」
ヒロシはとっさに、
「わかった、後日この洗車場で勝負といこう。君の予定にあわせていい。」
いうな否やアカネが携帯電話を取りだし、何か話し始めた。
「もしー?アタシー。…うん、そ〜なの。…そ〜。マジOKー?…ってゆーかラクショー」
何を話しているかという事よりも、最近の女子高生の行動と態度、そしてストラップのマスコットが
気になるヒロシだった。
>>385氏
いえいえ、完全なオムニバスとして頂ければ。
>>386-400氏
GJ&400おめ。
402 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/28(土) 22:39:52 ID:avinU3hJO
立志編乙でした。
次回作期待AGE
いやはや、おまえらサイコーだよ
洗車野郎ヒロシ・見えない見せ所 vol.5
「うん、そ〜、解った、じゃ〜ねぇ〜」
電話を切ったアカネがヒロシの方を向く。
「勝負は3日後のここ、車は何でもいいわ。その車でもいいし、誰かの車でもいいわ。
ルールは洗車機+自分の創意工夫、勝敗はそこに来た他の人達の反応でいいわよね?」
「いいだろう。」
とにかく今すぐ洗車機をかけるのだけは勘弁して欲しいヒロシは、それで承諾した。
翌日、ヒロシは隣町の洗車場『磨き込み一番』にいた。そこは、あのシュアラスター加藤兄弟の
ホームグラウンドだ。そして、加藤兄弟は相変わらずサニーを洗っていた。
「お、ヒロシじゃないか。こんな所までどうした?」
「また俺達と洗車勝負しないか?今度は負けないぜ。」
加藤兄弟の誘いを丁寧に断りつつ、ヒロシは本題を話す。
「…と、言うわけで洗車機勝負になってしまったんだ…。正直、俺は洗車機なんかに車を入れたくない。」
「その気持ち、よく解るが…。」
「兄貴、誰かの車を借りるっていうのはどうだ?」
加藤弟のアイディアはヒロシによって覆される。
「それは俺も考えた。だけど、自分の車を洗車機にかけるのが嫌だから借り物の車で勝負です、って
訳にもいかないだろう?それじゃあ洗い屋はただの自己満足になってしまう。」
なるほど、確かに一理あると加藤弟はうなづく。
「だがヒロシ、車を変えない限りはお前の車で挑まなければならないんだぞ?」
「そうなんだよな…、あぁあ、洗車機なんかに放り込みたくねぇよォォォ…」
加藤兄が席を立つ。
「そうへこむな。何か冷たいモノでも買って頭をクールダウンさせようぜ。お前は何がいい?」
自販機に向かう加藤兄。それにヒロシが答える。
「右の自販機のスプライト、もしかして品切れか?」
加藤兄が小銭を入れようとした瞬間、弟がひらめく。
「兄貴、それだ!」
>>404 どうなるんだこの話。バナビーブログより楽しみだ。
洗車野郎ヒロシ・見えない見せ所 vol.6
約束の日、ステージとなる洗車場は ギャラリーであふれていた。あのヒロシが洗車機を通す。
それは洗い屋達にとって今世紀最大の出来事のようになっていた。
「ヒロシさん、超遅〜い」
10分前に着いたヒロシよりも先にいたアカネの車は、マーチではなくS-MXだった。
「そ、その車は…?」
ヒロシの質問に、S-MXの運転席から降りてきた男が答えた。
「俺の車だ、文句あるか?…お前か?妹にちょっかい出した馬鹿野郎は!?」
「ちょ、ちょっとやめてよ!?この人とは洗車勝負するだけだから!」
アカネの兄と名乗った男はヒロシの胸倉を掴み、軽々と持ち上げていた。
「なんだ…。悪いな兄ちゃんよ、妹に手ぇ出そうとする馬鹿が多くてよ。」
「いや、いいんだ…。」
ヒロシが少しむせると、アカネの兄が少し気まずそうな顔をする。アカネがヒロシに近づく。
「じゃー、気を取りなおして勝負ね?条件は必ず洗車機に通すこと、あたしが先でいい?」
ヒロシも今すぐ勝負できる状態ではないので、後追いで了解した。
「…な、なんだあれは?」
ギャラリーに来ていたハードシャンプー山下が叫ぶ。
「洗車機のブラシを受けても傷がついていないだと!?」
山下の見ているそれは、まさに奇術だった。通常なら洗車機のブラシで叩きつけられた車体には
線状の細かいキズがつく。それが洗車機上がりのS-MXにはほとんど無いのだ。
「ハハハ、これがハードポリマーコーティングって奴だ。」
高らかに笑うアカネの兄。おもむろにアカネが全てのドアとボンネット、リアゲートを開ける。
そして、トリム周りのボディを丹念に洗い始めた。
「なんだ、あのS-MX…、洗車機とドアの縁だけ洗って、ああも引き締まるものなのか?」
ギャラリーがどよめく。ヒロシのNSXはワックス仕上げ、洗車機に通したらブラシがワックス層を
いとも簡単に突き抜ける事は明らかだ。
「おもしろい、ハードポリマー施工とはね。大抵の洗車機ならそれでOK、ということか。」
ヒロシの瞳が燃え盛る。
洗車野郎ヒロシ・見えない見せ所 vol.7
セーム皮でキッチリ吹き上げられたS-MXの車体が、内蔵されたブラックライトとあいまって
妖しい空気を醸し出す。洗車時間10分未満でここまで洗われるとは、流石のヒロシも予想外であった。
「俺は洗車に時間はかけない。そのかわり、トータルコーディネートにこだわる。
いくら車体表面が綺麗に出来ても、給油口やドア周りが汚いんじゃあ折角の車もキマらねぇ。」
アカネの兄の言う通り、たしかに車体のチリ(パネル継ぎ目やドア縁周り)が今まで見たどの車より
輝き、車全体が引き締まって見える。
「さぁ、今度はヒロシさんの番だよ〜?」
アカネの小悪魔的な微笑みがやけに癇に障る。まるでもう勝敗がついたかのような顔だからだ。
ヒロシのNSXが洗車機ブースに入る。と、ヒロシはなんと車から降り、洗車機の裏へと回ってしまった。
「…まさか、そんな馬鹿な!」
洗車場にいた誰もが驚いた。散水しながら進む洗車機のブラシが動いていないのだ。
「どういうことだ?俺が通した時には確かにブラシは動いたぞ?」
「何でブラシだけ止まっているんだ?配線をぶっ壊したのか!?」
「超マジありえない!?うそ?マジ?」
アカネも驚愕している。ヒロシは何かの魔法でも使ったのか。
やがて洗車機が元の位置に戻るとヒロシはすぐさま拭き上げに入る。流石に手洗いで慣れたヒロシの腕は
早く、あっというまに一滴残さず拭いてしまった。そしてそこには、水を弾く乙女の肌の如く輝きを放つ
NSXがあった。
洗車野郎ヒロシ・見えない見せ所 vol.8
「おい、お前何をした!?まさかぶっ壊したんじゃないだろうな?」
アカネの兄がヒロシにくってかかる。また掴まれるのはごめんだと言わんばかりにヒロシが一歩退く。
「切り替えをしたんだよ。洗車機の裏には操作パネルがある。それでブラシとシャンプーを止めただけさ。」
ヒロシがいうやいなやアカネが洗車機の裏を見る。そこには確かに各動作の切り替えスイッチがあった。
「まさか自販機の『あったかい/つめたい』の切り替えスイッチでアイディアをひらめくとはね、
加藤兄弟もなかなか良いアイディア持っている。」
「な…、なんだってー!?」
アカネの兄、アカネ、山下が叫ぶ。ギャラリーも皆唖然としている。
「…ククク、アッハッハ!!面白い!面白いぞヒロシ!今回は俺の負けでいい!こいつは愉快だ!」
アカネの兄が豪快に笑い出す。
「だけどなヒロシよ、お前の勝ちじゃあない。加藤兄弟って奴らが今回の勝ちだ!」
「えぇ〜?そんなんでいいのぉ?…まぁ、今回はいっか!?」
アカネはそう言うとまた携帯電話をいじり始めた。
「もっし〜?今いい?…うん、そう、…ううん、何てゆーか、負けじゃないんだけどォ〜…」
やはり最近の若者には追いて行けない節がある、そう思うヒロシだった。
洗車野郎ヒロシ・見えない見せ所 vol.9
「で、俺にコレを?」
加藤弟の携帯電話には挑戦状のメールが届いていた。それも一通や二通ではない、半端無い量だ。
「モテる男はつらいね。」
ヒロシがそうひやかすと、加藤兄が苦い顔をする。
「だからって毎日洗車勝負じゃあ、車が何台あっても足りないぜ。」
加藤兄のぼやきに反応した加藤弟がまた叫ぶ。
「ヒロシ、お前、金持ってるんだからボロい中古車買って、それを洗えばよかったんじゃないか?」
ヒロシの目が点になる。加藤兄は笑って、またスプライトをヒロシの前に出す。
「俺のオゴリだ、よく振って飲めよ。」
ありがとうと言ってヒロシが缶を持つと、先日同様まだスプライトは『あったかい』のままだった。
「うわ、まだ直ってないのかよ!?しかも炭酸が溢れるし!」
ヒロシがうろたえる様を見て加藤兄弟が声をそろえる。
「炭酸振る奴がどこにいるんだよ、この馬鹿。」
END
オナヌー続けます。
洗車野郎ヒロシ・究極のガラス処理、至高のガラスコーティング vol.1
雨の降りしきる中、ヒロシは一人愛車の中でドライブを満喫していた。
しかし、ヒロシは雨のドライブが楽しい訳では無い。雨の上がった後の洗車が楽しみなのだ。
ヒロシの前のトラックが黒煙を撒き散らす。顔をしかめたヒロシの目の前にタールが張り付く。
「あー…」
ワイパーのスイッチを切るより早く、ワイパーがフロントガラスを拭う。点々と付着したタールが伸ばされ、油膜となってへばりつく。
こうなったら仕方が無い。徹底的に洗ってやろうと洗い屋の血が騒ぐヒロシ。
411 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/05/30(月) 17:22:39 ID:g6L36+tRO
ハードコーティングヒロシ
>>410 できれば校正してまとめてうpしてくださいな。
>>412 おいおい贅沢言うんじゃないよ。貴重な作家さんだぞ。
>>415 お前がスレ止めてんじゃねーか。
作家さんに謝れ、ボケ。
とりあえず期待age
勢いでカキコしちゃう漏れには、なかなかまとめてカキコって難しいねぇ。
とか何とか言いながらがんがってますが。不定期連載厨でスマソ
>>418 気長に待ってます。しかし、ここ何人くらいが見てるんだろ。
ノシ
421 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/06/03(金) 19:02:32 ID:OV7/rw/QO
保守
新作щ(TДTщ)プリーズ
洗車野郎ヒロシ・究極のガラス処理、至高のガラスコーティング vol.2
雨上がり、いつもの洗車場のいつもの洗車ブース、いつもの顔ぶれ。
「お前もか」といわんばかりに揃って油膜を処理している。その様を何気なく見ていたヒロシは、
ある特徴を見つける。洗い屋にもいくつかのスタイルがある。ガラスが汚れたら拭く者、研磨する者。
どちらが正しいわけでは無いが、ヒロシの車のガラスは撥水コーティング済みだった。
「さすがにガラス研磨は出来ないよな…」
一般には油膜落しといえばガラス研磨、キイロビン等で滑らかにするのが主流なのだが、撥水機能も
こそぎ落としてしまうほど強力な研磨剤のため、ヒロシといえども躊躇する。
「やはりガラコしか無いか…?」
撥水コーティングの王者、ガラコ。その名は洗い屋のなかでは言うに及ばず、一般ユーザーにも認知されるほど
有名な撥水剤である。マイ洗車グッズの中からキイロビンとガラコを取り出すと、油膜でギトギトになった
フロントガラスに近づいた。
「やっほー、ヒロシさんチョー久し振りー、てゆーかナニしてんの?」
突然調子の抜けた声が背後からかけられ、戸惑うヒロシ。振り返ったそこには、いつか見た少女─
アカネがいた。相変わらず現役女子高生のノリについていけないヒロシ。そんなに出来る事といえば、
半分愛想笑いであしらう位である。
「別にどうもしていないが…」
ヒロシの台詞を半分無視したアカネがガラコに気付く。
「何、ヒロシさんガラコ派なんだ?チョーありえなくない?」
あり得るのかあり得ないのか突っ込む前に、ヒロシの手からガラコを取るアカネ。
洗車野郎ヒロシ・究極のガラス処理、至高のガラスコーティング vol.3
「ヒロシさん、ワイパー何使ってるの?ウォッシャー液は?」
「ボ、ボッシュのブレードに純正液か?」
矢継ぎ早にまくし立てる女子高生のペースに必死で食らいつくヒロシ。それを聞いたアカネは
ワイパーブレードのゴムをいきなり抜いた。
「ってゆーかヒロシさん、ワイパーゴム逝ってるっぽくない?こんなんじゃいくらガラコやったって無駄だし。」
…無駄、無駄、無駄無駄…心の奥底でなにかにタコ殴りにされる洗い屋のプライド。さらにアカネの追い討ち。
「やれやれだぜって感じ?っつーかガラコ自体あり得ない。」
「…何?ガラコじゃ駄目だって言うのか?」
流石にヒロシが信じてやまないガラコを否定され、我に返る。
「ガラスコート剤シェア1位のガラコが、何故駄目なのか聞いてやろうじゃないか?」
「だってコレ、単品使用だとガラスが駄目になるんだもん。」
アカネの言葉に一瞬耳を疑う。コーティング剤がガラスを侵す?そんな馬鹿な。
「あー、嘘だと思ってる!じゃあいいわ、あたしの乗ってきたS-MXを見てみたら?」
そう言われてアカネの(兄の)S-MXのフロントガラスを見てみる。確かに何か全体的に濁って見える。
「ウチのアニキ、ボディケアハードポリマーとかで金かけているけど、ガラスとか樹脂のケアには無頓着なの。」
「…で、この有様は?」
「イエローヘルメットの店員に勧められるがままにガラコのウォッシャー液入れてもらったら、
こうなっちゃったから何とかしてこいって。」
「それでここへ?…で、コレを落とすアテはあるのか?」
ヒロシが聞くと、アカネは待っていましたといわんばかりに助手席から何やら持ち出す。
「じゃーん、クリンビュー!そしてセリウム粉!」
「ガラコと大差無いだろ?それになんだその特売のシールは?」
突っ込みたい所は満載だが、どう突っ込んで良いのか解らない。
「んっふっふー、全然違うんだなぁ、コレが。」
ヒロシは当然クリンビューも使った事はある。が、ガラコのイメージブランドと塗った直後の撥水性に惚れて
今ではガラコ派だ。
洗車野郎ヒロシ・究極のガラス処理、至高のガラスコーティング vol.4
「ワイパーゴム・ウォッシャー液・コーティングが全てガラコで統一されていれば
最強の撥水は得られるわ。だけど、どれか一つでも欠けると、途端にああなっちゃうの。」
アカネはS-MXを指差しながら続ける。
「ワイパーが交換時期だからって別メーカーのゴムに換えたら、一気にこうなるの。」
「究極の撥水ガラス処理の意外な落とし穴、か…」
ヒロシが唸る。確かにヒロシにも思い当たる節があった。
「ちなみにあたしはクリンビュー派。瞬間的な撥水効果よりも持続性を取ったって感じ?」
「それはいいんだが…、その粉は?」
アカネの洗車箱の中に煉瓦の粉のようなものが入っている。アカネはニヤリ、と笑いながら
「それがセリウム粉ってゆーの。業者が使うガラス研磨剤ってヤツ?」
「ど、どこでそんなもん手に入れたんだ!?頼む!教えてくれ!」
業務用という言葉にめっぽう弱いヒロシ。しかしアカネもタダではおかない。
「ってゆーか人の物を勝手に見るってチョー最低?知り合いのガラス屋から貰ったんだー」
おそらくその手の関係者でしか手に入らない物となるほど欲しくなるのは人情なのだろう。
そうこうしているうちに、どこかで見た男が背後にいた。
「最近の洗い屋は援助交際もするのか?ン?」
「その声は…まさか?」
声の主はゆっくりとヒロシに向かってくる。背後に彼が乗ってきた車であろう、ボンゴフレンディが
艶めかしくたたずんでいる。半分ウンザリした表情でヒロシがつぶやく。
「やはりヨシオ、か。」
「さっきからの話は聞かせてもらった。どうだ?試しに何台かの車で実験してみないか?」
冗談じゃないと断ろうとした瞬間、アカネが口走る。
「チョー話の解る人じゃん!あ、あたしはアカネ、あなたは?」
「お、元気な女子高生だな。俺はヨシオってんだ。早速俺の『店』に行くかい?」
また一人犠牲者が出た…。そう思うヒロシ。そしてアカネは自分の言葉で後悔することになる。
とりあえずカキコしてみたが、長い上にまだ後半が出来ていないので重ねてスマソ。
やっぱり漏れは不定期連載オナヌー厨だと確信。
>>412氏の期待には激しく添えなかった…
427 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/06/03(金) 21:59:21 ID:EDvm3Ozv0
>>426 乙!GJ!そして今後の展開に期待age!
428 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/06/03(金) 21:59:32 ID:OV7/rw/QO
GJです。
慌てず騒がず楽しみに待ってます。
>>426 待ってる。急がなくていいから今まで通りのヤツ待ってる。
洗車野郎ヒロシ・究極のガラス処理、至高のガラスコーティング vol.5
「さて、ヒロシとアカネお嬢さんの洗い屋魂を見せてもらおうか?」
ヨシオの用意した車─パールホワイトのZ32フェアレディZのフロントガラスは油膜と埃によって輝きを失い、
折角のパールホワイトが台無しだ。
一方、アカネに用意されたのは白のGTO。ATで自然吸気は不人気グレードらしく、半年前から居座る『主』と化している。
「よりによって白、か。」
ヒロシがぼやく。淡色系、特に白系は水垢一つ無い状態になると、ガラスやタイヤ等の
色の濃い部分が非常に目立ってしまうのだ。アカネも続けてぼやく。
「てゆーか、フロントだけでしょ?」
「ウチはそーゆう手抜きはしないぜ。ガラス処理は全面、ちゃんとサンルーフもあるだろ?」
ヨシオの不必要なサービスに黙るヒロシ。有難迷惑とはこの事か。
「パパッと終らせて帰ろ…」
諦めたアカネがフロントガラスに水をかけ始めたのを見て、仕方が無いというようにヒロシも動き始める。
>>431 そのGTOはもちろんフルエアロですよね?
洗車野郎ヒロシ・究極のガラス処理、至高のガラスコーティング vol.6
「誰が何と言おうと俺にはコレしかない…」
ヒロシは愛用のガラコ・三種の神器を取り出す。ウォッシャー液、コーティング液、
ワイパーの3つだ。慣れた手つきでガラスをシャンプー洗車した後、キイロビンで
丁寧に磨いてゆく。
アカネもおなじく、水洗いからシャンプー洗いだが、業務用研磨粉を使っているあたりが
ヒロシと違っている。
「くそう、あの研磨粉が気になる…」
ライバルの秘密兵器が気になるヒロシ。ガラス研磨が終わるとガラスは親水性になり、
水がかかるとアメーバのように伸びていく。ヒロシがガラコ、アカネがクリンビューを
取りだし、ガラスに縦横に塗り始める。
ガラスコーティングはボディコンパウンドやワックスの時と違い、縦方向は一気に上端から
下端まで行い、横方向はあくまで縦方向で行き届かない場所への補助となる。
フロント、側面、リアガラス、そしてサンルーフ。全てのガラスにコーティングがされた。
コーティング液が乾いてきたところで専用のネルウエスを使い、乾拭きして余計な液を
取り除く。ヒロシとアカネ、動きはほぼ同じだ。さらにもう一度同じ工程を行い、
完璧な撥水層を作り上げた。
洗車野郎ヒロシ・究極のガラス処理、至高のガラスコーティング vol.7
「これで…完成だ。」
ワイパーゴムを交換し終えたヒロシがつぶやく。ワイパーを空回しすること数分、
完璧なガラココーティングが成された。
「チョー綺麗になったかも?」
アカネも完了だ。ヨシオが2台を見比べる。
「パッと見には変わらないが、綺麗な艶が出ていていいな。」
高貴な輝きを放つ車体に、その輝きを受けるガラス。この2台だけは例え今土砂降りに
なっても、視界はクリアなことだろう。
「まぁ、この晴天じゃあ甲乙はつけられないからな、やっぱ洗車で勝敗をつけてみるか?」
ヨシオの提案にヒロシとアカネは揃って
「ふざけんな!」
…空はどこまでも青かった。
後日、ヒロシの携帯電話にヨシオから電話があった。アカネの手がけたGTOが先に売れたので
結果的にはアカネの勝ちで良いか?ということだった。ヒロシは笑いながらいいよというと、
先日納車された青いR34の慣らし運転に出かけた。今日は東関東自動車道でも流すとしよう。
道中GTOが走り去って行くのを見て、あのGTOだったら笑えるぜなどと思っていた。
END
相変わらず稚拙だな漏れ(w
435 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/06/05(日) 23:03:58 ID:rX9ikNob0
走り去ったGTOは140q/hだった訳ですね。GJ
不定期連載・洗車野郎ヒロシ 整備屋vs洗い屋 vol.1
愛車R34 GT-Rの慣らし中、お約束のごとく派手に電柱とディープキスしてしまったヒロシ。
しかも運の悪いことに見知らぬ街でやってしまったため、土地勘もさる事ながら現在地すら
わからない。とにかく電話帳を探しに公衆電話を探し始めた。
最近は携帯電話の普及で、なかなか電話ボックスが見つからない。やっとの思いで公園の中にある
電話ボックスを見つけたヒロシは、少し早足で駆けよっていった。
ベンチにツナギを着た男がくつろいでいる。もしかしたらと思い、ヒロシは声をかけてみる。
「すいません、この辺に車の修理工場は無いですか?」
ヒロシの質問に男が答える。
「俺はこの先の山川自動車ってところで整備工をやってるタカカズっていうんだ。
そこで良ければ案内してやれるぜ。」
なんという幸運か。タカカズと名乗った男と共に、オブジェとなった車のもとへと
行くヒロシ。
「これはひどいな、とりあえず積載車に載せるか。」
タカカズは慣れたもので、電柱に激しく食い込んだ車を速やかに積載車に載せると、
これまた慣れた操作で修理ブースに仕掛けてゆく。
「すごいですね、素人の俺が見たらまるで魔法だ。」
みるみる直されてゆく愛車を前に興奮を隠せないヒロシ。缶コーヒーを両手に持った
タカカズが片方のコーヒーをヒロシに差し出す。
「あんた、相当洗車にこだわっているみたいだな。車内が洗車用具で溢れているぜ。」
そう言われてヒロシは照れ笑いをした。しかし何故だろう、同時に何か嫌な予感がする。
438 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/06/07(火) 00:04:30 ID:uvcZNI2DO
山川ッ!
うほっ、期待age
乙ッス!
嫌な予感・・・に期待!
不定期連載・洗車野郎ヒロシ 整備屋vs洗い屋 vol.2
「しかし良かったのか?ホイホイついてきて…?俺は不具合が無くたって構わないで請求しちまうかも
しれないんだぜ?」
缶コーヒーを飲みながらタカカズは尋ねる。ヒロシは胸中の不安を悟られないようにしながら答える。
「いや、こーゆうのはプロに任せるのが最も確実だろうから、もしされても仕方ないだろう。それに…」
「それに?」
「おれはアンタのその洗車タコが気になる。洗車好きに悪い奴はいないと思っている。」
タカカズの手にはバケツを持つ時の手のひらのタコ、ワックス缶を持つ時の指のタコ、それら洗車タコを
ヒロシは見抜いていた。常人には解らなくとも洗い屋ならわかるその微小な差。
「うれしいこと言ってくれるじゃないの。じゃあとことん直してみせるかな。」
タカカズの手によって新車同等、いや、それ以上のモノに蘇った愛車に動揺を隠せないヒロシ。
彼は確かにすごいテクニシャンだ。ヒロシはといえば、ただその技術に身悶えていた。
しかし、予期せぬ言葉をヒロシは放つ。
「輝きが…ないんだ。」
「ん…そうかい?意外に鋭い感覚なんだな?」
タカカズはそういうと、修理工場の奥からシャンプー洗車したばかりのプレリュードをヒロシの前に停めた。
「いいこと思いついた…お前、客の車でワックスかけてみろ。」
ヒロシは訳がわからず、
「えぇっ?客の車をか?」
「男は度胸、洗い屋は根性!何でも試してみるものさ。意外とハマるかもしれないぞ?…ほら、
遠慮しないでワックスかけてみろよ?」
タカカズはそう言うと、奥のほうへ自分の洗車用具を取りに行った。
…会社の客の車を他人にワックスかけさせるなんて、なんて男だろう…
しかし客のシャンプー上がりのプレリュードを見ているうちに、ワックスをかけずにはいられない洗い屋の
愚かな血が『最近通販で買った新発売の商品』を試してみたい欲望に…
「嫌な予感」のオチが読めたが、乙です。
不定期連載・洗車野郎ヒロシ 整備屋vs洗い屋 vol.3
夜中の通販で思わず買ってしまった半ねりワックスをプレリュードに塗るヒロシ。
普段は半ねりワックスなどは邪道だなどと言ってはいるものの、人間一度は試してみたいもので、
だからといって自分の車や知り合いの車には使えず、そんな事をしているうちに貯まりに貯まった
楽々洗車グッズ達。それらがみるみる消費されてゆく。
「タカカズ、プレリュードは終わったぞ?」
「ああ…、次はデミオだ」
さすが修理工場なだけあって、完成車両や架装車両(標準・一般車両を特殊車両に
改造する事。例:パトカー)があふれている。ワックスやコーティングをすれども尽きぬ車の数と種類に、
いつしかヒロシは陶酔していった。
「くうっ…!た、楽しい!」
この初めての体験は、自分の車や知り合いの洗車だけでは知ることの無かった『洗い屋の快楽』を
ヒロシにもたらした。あまりに激しいその工程に、拭き上げたと同時にヒロシ愛用のプラセーヌは
まばゆいばかりの光を放つ無数の車の中で果ててしまっていた。
「このぶんだと相当買いだめしていたんだな…。客の車がピカピカだぜ。」
タカカズの言う通り、ヒロシの周辺には使い切られて成仏したワックス缶やコーティング液の空き容器が
散乱していた。
「これで俺は全ての製品を使い切った…。」
肩で息をするヒロシとタカカズ。特売商品から超高級品まで全てを使い尽くした二人はまさしく
『表面処理ソムリエ』の異名に相応しい技量を得た。
不定期連載・洗車野郎ヒロシ 整備屋vs洗い屋 vol.4
「ところで…、あそこに止めてある俺の車を見てどう思う?」
従業員用駐車場に止まっているハイエース。だいぶ水垢と埃汚れでくすんでおり、今のヒロシには
とても正視できないものがあった。かろうじて
「すごく…汚いです…」
と言うのが精一杯だった。しかしタカカズは少しにやけて
「汚いのはいいからさ、このままじゃおさまりがつかないんだよ。こんどは職員の車も洗うぞ?」
と言うと、今度は従業員の車を持ちこんできた。もはやヒロシはやけくそである。
中古車屋のヨシオの後は修理工場のタカカズ。最初のあの『嫌な予感』はこういうことだったのだろうか。
なにか胸騒ぎがする。
「…で、結局はどうなったの?」
いつもの洗車場でミドリに聞かれる。まさか自分が否定してきたものの中で、結構よさそうなものがありました
とも今更いいづらく、
「手順と用途、それにアイディア次第でどこまでも変わるものだって事が最大の収穫だったかな…。」
とお茶を濁したような曖昧な返事をするヒロシ。そのヒロシは洗車ブースにはおらず、端の掃除機コーナーで
何もせずボーっとしている。いや、何も出来ないのだ。
相当な台数のワックス処理は、日頃運動不足気味なヒロシの足腰、背中や腕に筋肉痛というお土産を残して
くれていたのだ。何をするにもギクシャクした挙動。まともに運転も出来ない上にミドリの洗車も手伝えやしない。
これこそが洗車後の恐怖なのかもしれない。まだ未熟だとヒロシは思っていた。
END
>>442氏
ムキになって洗車してるとこうなっちゃいますからね。こーゆう落し方もアリかな、と。
445 :
442:2005/06/09(木) 00:09:09 ID:LBYm9wsI0
>>444 予想外のオチでした。
なにわともわれGJ!
447 :
444:2005/06/09(木) 08:27:45 ID:B/b4R/e00
大事なこと書き忘れた
GJ!おもしろかったッス
アフォだ俺は
449 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/06/09(木) 08:53:41 ID:n7mWLh6KO
すごい!まさに職人の作品だ!
あんた最高だよ!
>>448 そのIDはスバヲタがびっくりしそうだ。
451 :
◆CARWASHye6 :2005/06/09(木) 21:45:39 ID:HrRAS3Oe0
>>444 GJです。
ミドリご使用ありがとうございます。びっくりしたw
今このスレはあなただけが頼りですね。
不定期連載・洗車野郎ヒロシ 頭文字『G』 vol.1
G県、深夜の洗車場。
「俺の洗車最速理論に間違いは無い…」
そう言い放った男の前にはがっくりうなだれる男とバケツ、そしてスポンジ。そして彼の愛車、R33 GT-R。
「センスは悪くない。だが、ムラが多い。…簡潔に言ってしまえば、
左ドア周りがヘタクソって事だ。」
うなだれる男の左側面には、わずかながら取りこぼしたシャンプー泡のあとがある。
「アニキ、そろそろ行こうぜ。」
走り屋風の男達はエキゾースト音を響かせながら去っていった。
「完全に負けた…。あのヒロシと同等、もしくはそれ以上か…。それにしても、俺もまだまだって事か。」
男は愛車をもう一度洗い始めた。
「ふーん、それで?」
ほとんど相づちの返事で流すハードシャンプー山下。
「奴ら、チームと称して洗車場を占有していやがるんだ。チームリーダーらしい奴ってのが医者の家らしくてな…」
「ふーん。」
「で、俺が洗車勝負を挑んだら、奴らこう言ったんだぜ『俺達は地元では勝負はしない』ってよ。」
「ふーん。」
「アッタマきたから、場所変えて勝負したんだよ。」
「で、返り討ちか?あのな佐藤。お前は馬鹿か?」
佐藤と呼ばれた男…そう、かつてヒロシと戦い破れた、あのトラップ粘土の佐藤はオチを先読みされて少々
不機嫌になった。
「だけどよ、それにしたって奴らは本物だ。シャンプー洗車だけ見ても、ここいらの奴らとは次元が違う。」
「遠くまで遠征してまで、よくやるぜ…」
山下と佐藤がそんなやり取りをしているのを聞いていた影がいた。
不定期連載・洗車野郎ヒロシ 頭文字『G』 vol.2
「ここら辺の奴らじゃアニキの出るまでもねぇな。」
「油断は禁物だが…、確かに骨が無さすぎる。…よし、各自あと20本のプラクティスで撤収だ。」
クールな目をした男が、彼を兄と呼んだ短髪の男に指示を促す。短髪は軽く頷くと
「この前の33Rの奴が一番マトモだったか?」
と兄に告げる。
「そうか…。俺の洗車最速理論はやはり間違っていないということが立証されてるということか。」
洗車最速理論。彼らの誇る洗車テクニックを理論的に、かつ合理的に分析する事で得た洗車における
黄金比のようなものなのだろうか。そして、その理論に基づいて組み立てられた洗車は:──
おそろしく正確で綺麗に仕上がる。
彼らが撤収しようとし始めたその時、1台のAE86トレノが洗車ブースに入っていった。
「なんだアイツ?あんな化石でどーしようっていうんだ?」
短髪の弟が兄に向かって茶化す。
「…ケイスケ、あのハチロク。只者じゃあない。サビどころか目立つ傷やパテ跡が無い。」
弟─ケイスケはそんな兄の言葉に一瞬耳を疑い、もう一度トレノを見てみる。確かに旧車として久しいはずの
AE86が、ここまで良好な状態を保っているとは。
不定期連載・洗車野郎ヒロシ 頭文字『G』 vol.3
「車体はオールペンしたんじゃないか?だったらいくらでも何とかなる。」
ケイスケは兄に尋ねる。しかし兄は相変わらずクールな目でAE86トレノを見定める。
「全塗装は間違い無いだろう。しかし俺が言いたいのはそうじゃなく、塗膜が明らかに弱くなる全塗装を
敢えて行い、それを維持している事に驚いているんだ。」
AE86トレノから降りてきた男はやはりヒロシだった。たまには旧車も乗りたいらしく、レストア上がりの
トレノを買ったらしい。
455 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/06/14(火) 20:28:42 ID:+aQwLskd0
今度は仁Dかyo!
456 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/06/20(月) 14:25:36 ID:6IMGlljd0
捕手
(本文省略)
☆ チン
☆ チン 〃 ∧_∧
ヽ ___\(\・∀・)
\_/⊂ ⊂_ )
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
| 愛媛みかん |/
不定期連載・洗車野郎ヒロシ 頭文字『G』 vol.4
「なあアンタ、アンタがこの辺の洗車場で一番巧い洗い屋か?」
ケイスケが兄の静止を振りきってヒロシに詰め寄る。ヒロシは一瞬何かを考え、答えた。
「多分アンタの希望に応えられると思うがね。もしそうならどうしようっていうんだい?FD乗りのオニーサン?」
明らかにケイスケを挑発した言い回しだ。ケイスケの洗車テクをヒロシは見てはいないものの、突然の不躾な
ケイスケの態度にヒロシも思うところがあったのだろう。それまで静観を決めていた兄が口を開く。
「弟の態度は申し訳無い。俺はリョウスケ、こいつは弟のケイスケ。俺達は群馬の赤城レッドポリッシュという洗車チームの
者だ。公共洗車バトルを中心にやってる。」
赤城レッドポリッシュ…俗に『バケツ族』と呼ばれる峠の洗い屋達なら一度は耳にしたことはある、
群馬県赤城山洗車場をホームブースとした実力派洗車集団。そして、彼等レッドポリッシュのチームリーダーが
白いFCと黄色いFDを駆る兄弟…、誰かがそう言っていた覚えがある。この二人がそうか…。
「俺達はホームブースではバトルはしないんだ。だからこうやって各地の洗車場を回ってる訳さ。」
リョウスケが続ける。彼の言葉が応えたのか、ケイスケは大人しくしている。
シーン
=≡= ∧_∧
/ (・∀・ )
〆 ┌ | | .∈≡∋
|| γ ⌒ヽヽコノ ||
|| .| |:::|∪〓 .||
./|\人 _.ノノ _||_. /|\
460 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/06/25(土) 13:42:33 ID:Y/L97K38O
保守
461 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/06/25(土) 13:50:52 ID:ywczmSbLO
なんだこれ?
おもしれーじゃんか☆
462 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/06/26(日) 08:01:23 ID:VmQQK6gc0
俺もアイオンのスポンジ買った。二つ。
来週はソナックスのシャンプーを買う。
洗車できるのは再来週か・・・
保守
このスレに影響されてプラスセーヌを買った俺ガイル
464 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/06/27(月) 09:39:28 ID:0yr5jVB/O
(´・ω・`)今車ないがな。
不定期連載・洗車野郎ヒロシ 頭文字『G』 vol.5
「…それで?俺と洗車勝負というワケかい?」
リョウスケとケイスケに問い掛けるヒロシ。先に口を開いたのは意外にもケイスケだった。
「アニキ、俺にやらせてくれ。このハチロク、何かとんでもない隠し玉を持ってそうだ…!」
「いいのかケイスケ、俺が見た限りこのハチロクと彼は相当な腕だが?」
リョウスケの話など聞く耳も持たずといった勢いでヒロシにくってかかる。
「俺達レッドポリッシュの技術、その目に焼き付けておけ…!」
そこまで言われてはヒロシも黙ってはいない。
「見せてもらおうか…。レッドポリッシュの技術とやらを?」
ヒロシのハチロク、ケイスケのFDが洗車ブースに入ってゆく。
「バトルのルールは簡単だ。ここは500円で10分のコイン洗車機、500円硬貨1枚での洗車勝負…それでいいか?」
リョウスケが両者に確認を取る。そして、隣り合わせのブースで同時にコインが投入された。
466 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/06/30(木) 02:19:57 ID:9W0+zG4LO
(`д´)つづきぃ〜!
467 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/06/30(木) 22:29:11 ID:TIF/ZPcn0
保守
468 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/07/02(土) 21:44:30 ID:rlPJrK34O
わくわく(`д´)♪
不定期連載・洗車野郎ヒロシ 頭文字『G』 vol.6
…ドシャァァアア!!
両方のブースから痛烈なシャワー音が響き渡る。その音はさも峠でタイヤが悲鳴を上げるかのごとく高らかに轟く。
「いまどきそんな時代遅れのハチロクなんかで新車の輝きは取り戻せねーだろーがヨォ!」
ケイスケが叫びながらバケツを手に取る。シャンプー原液を水の勢いだけでみるみる泡に変えてゆく。
流石はレッドポリッシュのメンバーなだけあって、ケイスケの洗車テクニックは確かなものがある。
ヒロシは相変わらず淡々と洗車を続ける…が、年式から来る金属疲労と再塗装のハンディはいかんともしがたい。
「いける…!!手ごたえはある!!俺のFDが‥行けると教えてくれてる‥!!」
今まで以上のライバルとして認識したのか、ケイスケのテンションが高くなってゆく。自分でも驚く早さと正確さで
通常のシャンプー洗車が終わってしまった。そしてケイスケはレッドポリッシュの秘密兵器、ポリッシャーを
取り出した。
「パネル2枚もポリマーかけたら洗車ブースから消してやるぜ…!」
ソレカラソレカラ? (;・∀・)ドキドキ
471 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/07/02(土) 23:46:00 ID:WjwOXnkK0
最初にヒロシ書いていた人はどうしたんだろ?
闇鍋さんが最初に書いてた人ですか?これからも期待してまつ。
…少し筆休め…
漏れはこのスレの1さんじゃあないですヨ。先の作者氏のキャラクターや出来事を
出来るだけ破綻させないように、かつ何やらのネタを仕込んでみているだけですから…
それにしても頭文字G編、いつまで続くんだか。
そのうち計算高い奴らがカプチで洗車速度勝負を挑んでくるのだろうか。
不定期連載・洗車野郎ヒロシ 頭文字『G』 vol.7
ロータリーポリッシャー特有の爆音(遊星運動※で磨き上げるポリッシャー。実在します)をブース内で響かせるケイスケとFD。
それは素人が聞いても「確実に上手い」と思わせるポリッシュ音だ。事実、ケイスケの得意技はこのロータリーポリッシャーである。
傍目には不規則な回転運動としかとれないそのポリッシャーの動きを確実に捉え、その都度適切な角度調整で車体に当てる。
文字に表せば簡単に見える工程ではあるが、ポリッシャー経験者ならわかるであろうその反動を見事に抑えつけてのける。
ケイスケが車体半分を磨き終えた頃、ヒロシはシャンプー洗車を終わらせていたところだった。
「ケイスケといったか?…アンタ、そのままじゃ終わらないぜ?」
不敵なヒロシの言葉にはっとしたケイスケ。そう、こんなヤツにかまってるヒマは無い!
そう確信したケイスケは一気にポリッシャーを掛け上げる。
最後のパネルを仕上げた直後、洗車機のタイマーがピープ音を告げた。
「さあ、どうだ!俺のこのFDを!」
ケイスケのFDが洗車ブースから出てくると、ギャラリーがほうと歓声をあげた。いくらポリッシャーは自前とは言え、街中の洗車場で
これほどまでの輝きを放つ車を仕上げるのは並大抵の技術ではない。
しかし、隣りの洗車ブースから出てきたヒロシのハチロクを見たギャラリーは一瞬自分の目を疑った。
ケイスケのFDの光沢に勝るとも劣らない輝きを放っているのだ。
「そんな…馬鹿な!!!」
ケイスケは驚きの色を隠せない。何故俺より遅く仕上げたはずのハチロクがこんなに光沢を纏っているんだ…!!
「…なるほど、ハチロクの唯一の利点が作用したのか。」
リョウスケが静かに呟いた。
※遊星運動…物体が重心を基点に回転しながら8の字状に回転運動をする事。ロータリーEgにみられる動き。
475 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/07/04(月) 23:08:37 ID:l5aMxfKdO
いつかこれをまとめて小説に…ウマー(゚Д゜)ですな
476 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/07/05(火) 02:04:53 ID:9DTp/lb30
477 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/07/05(火) 23:13:56 ID:ClpdGu6TO
既に発売準備が!(゚Д゜)ポカーン
>>474 乙です。WAX氏同様ネタの宝庫ですな。
最近の作家さんたちの作品を漫画に載せるとしたら・・・
WAX氏・・・ジャンプ。あの勢いはジャンプ以外あり得ない。
CARWASH氏・・・YJ、BJ、SJ。リアルandほのぼの系なあたりがなんとなく。
闇鍋氏・・・やっぱヤンマガ??
ところで、CARWASH氏が最終回に出したCD実在するのな。
レンタルには置いてなかったけど、ショップにあったから思わず買ってしまったw
ちょいと汚い感じのPOPともROCKともつかない感じ。俺は気に入った。
不定期連載・洗車野郎ヒロシ 頭文字『G』 vol.8
「一体なにがどうなっていやがるんだ!?アニキ、オレは夢でも見ているのか?」
確かに大差をつけて振りちぎった筈のハチロクが自分と同等の仕上がりである事にケイスケは動揺する。
「いや、このハチロクはポリッシャー施工は施していない…。本当に普通の洗車なだけだ。…一点を除いて。」
リョウスケが表面では冷静に喋っている…が、ハチロクの仕上りに少なからずショックをうけている。
ケイスケは確かにリョウスケの洗車最速理論を確実にこなしていた。しかしそれでも現実にFDに劣らぬ出来映えの
ハチロクがある。そこから導き出されることはただひとつ…。
「アニキ、その一点の差ってのは──!!」
「車体の差、だ。」
そう、曲面を多用し複雑な車体となったFDに対しハチロクは直線を基調としたシンプルな外見。加えて車格…
3ナンバー枠の大柄なFDと5ナンバー枠のハチロク。もし同等の技量の人間が同時期にスタートにていたとしたら、
その車体差の恩恵はかなりのアドバンテージになる。そしてボディカラー。影や色褪せで多少の誤魔化しが効いてしまう
有彩色と一切の妥協が出来ない無彩色、発色の良い黄色はその明るさに助けられてわずかなくすみは補われてしまうが、
白/黒のツートンではお互いが張り合うのでわずかな濁りが強調されてしまう。
通常では見えてこない限界の世界が、今ここに形となって現れてしまったのだ。
不定期連載・洗車野郎ヒロシ 頭文字『G』 vol.9
「思わぬ誤算だった…。もう一度洗車最速理論を組み立てなおす必要があるな。」
リョウスケがケイスケに近寄る。
「ケイスケ、お前はお前の出来ることを全て出し尽くしたと俺は思っている。今回は我々レッドポリッシュの負けだ。」
「アニキ…!」
ケイスケはヒロシの方へ向かい、
「ヒロシ、お前の実力は確かにスゲェ。だけどアニキは、いや、レッドポリッシュのチームリーダーはもっと巧い。…それだけだ。」
そう言い残すとFDとFCはそれぞれエキゾーストノートを洗車ブースに轟かせ、彼等の本拠地へ戻っていった。
今回のバトルで露見した洗車最速理論の欠点、そして更なる技術を得て帰ってくるだろう。
あのレッドポリッシュの二人、まだまだ未知数。
そして数日後、ヒロシが愛用のポリッシャーをかけようとコンセントを探した──が、無い。
前回の洗車バトルの時にはあった筈のコンセントが洗車場から綺麗さっぱり消えているのだ。
「…な、なんだってー!!」
思わず驚きの声をあげるヒロシ。その前には一枚の張り紙。
『最近当洗車場内にて無断で電源を使用する方がおられるため、電源用コンセントを撤廃いたしました』
…今度のバトルは、よりヒートアップしそうだ。
END
さて、なにやら無理矢理終らせた感の否めない頭文字G編。
『一切の持込電動用具が使えない限界洗車バトルで白い洗剤ことリョウスケが見た世界とは!?
次回頭文字G、カーシャンプーの限界突破! Go missinng it!』
嘘ですスンマソ。とりあえず一発ネタって事で。
>>478氏
毎週ネタをひねり出すのに苦悩する漫画家の気持ちがよく解った気がします。
YMネタでってコトは、もうあのネタを使うしか無いってコトか──
教えてくれ ドンキの(洗車)セットー──ッ
482 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/07/06(水) 23:27:38 ID:Y/v0s5K9O
乙です!
次回作も期待してます!
てかこれマジで文庫くらいにはなるな…。
不定期連載・洗車野郎ヒロシ 鉄粉ミッドナイト 第一話
ガォアァァァ‥
夜の首都高を走る一台のR33。傍目から見れば首都高ランナーだが、そのR33はマフラーすら変えていない
本当のノーマルだった。そしてそれを駆るヒロシ。
「油温 OK 水温 OK ‥合格だ、R」
純正メーターを見ながら呟く。純正とはいえ仮にもそのテの車、多少は信用できるのだろう。
ふとバックミラーを見ると、こちらをあきらかに意識している一台の車がパッシングを繰り返している。
いつからいたのだろうか。確かさっきのJCT(ジャンクション)ではいなかったと思うが。
バックミラー越しに映るヘッドライト。車種は判らない。だが──間違いなくヒロシと同じ波長を持つ者だ。
ヒロシは意を決すると、最寄りのランプで降りた。‥彼ならきっとついてくる。
ヒロシの勘は的中だ。そのヘッドライトは迷う事無くヒロシのRを照らし続けている。
「こんな時間にそんなコトをしてくるんだ─その気ってコトだろ」
ヒロシと後続車はまるで長年のツレの如く、洗車場へと消えていった。
>>483 乙っす。しかし・・・鉄粉ミッドナイトてw
「その車は━━━━━」
の改変楽しみにしときます。
>>483 乙です。ROMったり名無しでレスしたりしてましたが、名前が出たので
久々にこのトリップで。
パロディ系も面白いですね。うpのペースもこのくらいが息長くてよさそう。
私の場合、ネタもそんなにないのに、Word使って一気に書いて一気に
うpしてたから、あっちゅ−間に生き絶えましたw
これからもマイペースで楽しませてください。
>>478 Superstar Carwash買われましたかw
気に入って頂けて幸いです。
>POPともROCKともつかない
HardPopとかいう中途半端な位置付けです。
不定期連載・洗車野郎ヒロシ 鉄粉ミッドナイト 第二話
「すごいキレイなRなんですね」
あのヘッドライトの車のドライバーらしき若者が声をかけてきた。
「大井の辺りで見付けたんですよ、『あ、この車スゴそう』って」
「フーン、じゃあ全く相手にならないワケじゃあなかったんだ」
ヒロシは若者にきり返す。その若者はどう見ても二十歳前後、あるいはもっと年下か──
若者が歩いてきた方向にふと目をやる。あそこに停まっている車は──S30フェアレディZ!?
思わずヒロシは若者に尋ねる。
「ところで、君の車はあれ?」
「えぇ、今は少しキャブの調子が良くないんです」
この若者があのZのオーナーか‥。そう考えるヒロシ。
「すこし見せてもらっていいかな?」
ヒロシの問いかけにいいですよと返す若者。早速ボンネットを開けてみる。
「ほう、こいつはすごいナ‥タービンが見えないな‥」
素人目でも分かる『本気』のエンジン。しかし、みたところ別段SPL(スペシャル)なパーツは無いが。
「それ、2.8のエンジンを3.1にボアアップしてあるんですヨ」
自分の手の内をサラリと言うこの若者は一体何者なのか。
…いつか、誰かが言っていた事がある。その車は、何度もポリッシュコートとガラスコートをくり重ね──
まるで新車当時の輝きを求めるかのごとくワックスをくり返し── そのたび洗車を重ねるという‥
悪魔の洗車コストと呼ばれたその車は──
ミッドナイトブルーのフェアレディZ───
この車が‥そうなのか──ッ
487 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/07/09(土) 18:39:03 ID:ZEgnao7aO
↓つづく
不定期連載・洗車野郎ヒロシ 鉄粉ミッドナイト 第三話
「あー、やっと見つけたァ」
意識していない方角からの突然の声。若者とヒロシはその方向に思わず顔を向ける。
・・女だ。
「アキオ君ドコ走っているかなァ〜?」
「うわ、ちょっとヤメ」
じゃれあうこの二人は知り合いか、それにしてもこの若者はアキオというのか。
そしてこの女の子は確かどこかで見たような。
「レイナ、仕事はそうしたんだヨ?」
「ん〜、早く上がらせてパパーっと(笑)」
ヒロシが彼女の来た方を見やると、白いR32がいつのまにかいた。・・あれか。
しばらくアキオと話しこんでいた彼女がR32の方へ向かう。どうやら帰るようだ。
「ああーッ!何コレ?」
その声にヒロシとアキオはR32の方へと走り出す。見ると、左フェンダーに黒い痕がついている。
「あー、こりゃ当て逃げだナ」
アキオが呟くと彼女は気にせず運転席に入る。
「何とか動くし、そのまま走って帰れるから大丈夫でしょ?」
その言葉に思わず割り込むヒロシ。
「そりゃちょっと動かしたらマズイな、すぐ積載車呼ぼう」
「え?でも・・」
彼女の話を打ち切るようにアキオが電話をかける。ほどなくして1台のローダーが現れた。
「困るンだよね、こんな夜中に呼び出されちゃあ」
「スイマセン」
ローダーから降りてきた男と軽い冗談を言い合うアキオ。男がR32を見るなりもらす。
「あー、こりゃダメだナ・・クリアー層をえぐっている」
「ウソ?」
彼女の顔色が一気に変わる。
不定期連載・洗車野郎ヒロシ 鉄粉ミッドナイト 第四話
「ホラ、ここんとこの色が変わっているだろう?一見たいしたコト無いヨーに見えて、実はケッコー深刻だったりするんだヨ
ちょっと塗装剥がれちゃったけどまぁ大丈夫、そうしていくうちに思いもよらない場所にストレスがかかり、結果
少しのタッチアップの筈が全塗装になる」
「なるほど・・」
男の的確な言葉に感心する彼女。彼女はヒロシに礼を告げた。
「ども」
ヒロシは軽く返すと、あのZに向かって走って行く彼女を見ていた。
「アキオ君、トナリ乗せてヨ」
「レイナお前むこう乗れヨ」
アキオとじゃれあう彼女──レイナというのか──二人を眺めていると、ローダーにR32を載せ終えた男が話し掛けてきた。
「けっこー仲いーよナ、あの二人──」
「そーですね、若いコっていいですよね・・たしかアナタは──ヤマモトウォッシュの──」
「ああ、最近カンバンを戻した」
「ああ、オレは・・」
「知ってるヨ、Polished Shineに出入りしているヒロシと言えば有名だ」
「有名だなんて、そんな・・」
ヤマモトとヒロシ、そしてアキオとレイナ。走り去るローダーとZを見送るヒロシの目に、また小さな炎がついた。
再び筆休め。
ヤバイ、今回やたら長引きそうな悪寒。スマンカッタそしてスマソ。
多分例のフレーズ「ワケ知り顔がこざかしい理屈で云々」やら「おもいきりかぶせろ云々」やら
どこを削ろうか迷っています。
絶対全部はパロれない、でもヤりたい── どこまでカキコすればいいんだ──(笑
ガンガレ!
映画のタイトルは「洗車男」か
494 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/07/12(火) 00:57:42 ID:i7CuCxfqO
495 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/07/12(火) 03:38:27 ID:FY4PTp9lO
クリア層が削れたら積載車・・・ワロタww
続きщ(゚∀゚щ)プリーズ
496 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/07/12(火) 07:42:05 ID:i7CuCxfqO
長引いても楽しめればおK
仕事はそうしたんだよ?が気になるぉ。
>>488様
なぜか誤字ばっかが目につくorz悪気は無いんです。
498 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/07/13(水) 01:44:34 ID:Ios9v43a0
乙
orz
回線切って洗車ホースでバンジーしてきまふ。
今夜うp予定のも少し見直してみますね。
500 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/07/13(水) 21:54:36 ID:236pYBLBO
スターウォーズ見ながら待ってまつ
不定期連載・洗車野郎ヒロシ 鉄粉ミッドナイト 第五話
思う気持ちが強ければ 自然にお互いが呼び合う──
誰かがいつか言っていた気がする。ヒロシはいつかのZとアキオの事を考えていた。あの車のコンディション、艶、輝き──
まさに悪魔のような妖しい魅力に溢れていた。もう一度めぐり合えるだろうか…
「だからァ ワックス洗車コースでェ」
「ゆーだけ ゆーだけ ハハ」
最近では洗い屋の雰囲気を楽しむのが流行っているらしい。ヒロシは構わず洗車ブースに車を入れると、ためらいもせず
変造500ウォン硬貨を取り出した。
「あ・・ヒロシさん こんばんは」
「お──久し振り 元気ィ?」
以前Polished Shineの常連だった男と他愛の無い会話を2、3する。男の連れ、おそらくは彼女であろう女が尋ねる。
「誰・・?」
「Polished Shineてゆう洗車店の常連サン」
「洗車店・・?」
「クルマをピカピカに磨き上げまくるお店だヨ 洗車屋・・ オレも以前そーゆう店に少し入り浸ってたんだヨ」
「あ──洗い屋とかゆーの?」
どこにでもありそうな二人の会話。だが途中から男の顔が真剣になる。
「・・人のウワサって ホントあてにならないナ」
不定期連載・洗車野郎ヒロシ 鉄粉ミッドナイト 第六話
その眼差しは彼女もおそらく初めて見る顔だ。
「え?」
「Polished Shineは客が引いてすっかり休業状態、古参のヒロシもすっかりクサッてる・・
・・大ウソだナ、クサッてる人があーゆう目してるかヨ」
よくは解らないが、いつになく神妙な表情に、少し嫉妬を覚える彼女。
「洗い屋きどりのお兄サン達 今日は早く帰ンなヨ」
「・・は?」
雰囲気組をそれとなく帰らせた男は、現在の愛車ボルボV70に乗りこんだ。
「オレ達も帰ろ帰ろ」
「え〜〜もっと洗車しよーヨ」
「ダーメ 本物が出てきそうだから」
「本物・・?」
「そ ホンモノ ・・そーゆうのがコイン洗車場にはいるんだよ・・
やっぱかっこいーわヒロシさん いつまでも原液ウォッシャーてカンジで」
男の顔に相変わらず真剣だが、瞳の奥には何か自信がある。
「一時期だったけどPolished Shineで洗車にイレ込んだのはちょっと誇りかナ」
そんな二人の世界などまるで見えないヒロシは、洗車マシンの前でたたずんでいた。
「まれに見るいい状態だ・・ドコにも『故障中』や穴詰まりが今夜はない
また誤植っちまったヨゴシャカアアン フウーフウークワッ
504 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/07/14(木) 00:02:40 ID:236pYBLBO
故障中ではなくてなんか違う言葉がよかったカナ?
505 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/07/14(木) 20:59:25 ID:2+GkY4obO
(´ー`)気長につづきを待つよ〜
>>504 人の文章批判するくらいなら自分で書け。
>>503 乙です。
脳内変換するから誤字脱字なんか気にせんで下さい。
このくらいで批判なのか…
誤字脱字は普通に指摘するなら全く失礼でないどころか本人のためになる。
<チラシの裏>
カキコめ 誤字脱字は無知ゆえの結果だ
助ける必要などない
</チラシの裏>
何ヤってるんですかね、ホント
普通はカキコの前に確認するだろ──って(笑)
って、原作風にして誤魔化してみたり。マジスマソ。
509 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/07/15(金) 23:34:48 ID:oxsHq08kO
俺はこのスレを毎日見る日々…
なんかさみしいな・・・
今日は帰ったら明日の雨に備えてガラコ塗っちまうぜ。
サンルーフも塗っとくかw
只今OCNが規制されているようです(当方OCN)。
現在携帯からのカキコなんですが、規制解除まで続きをお送りできません。スマソ。
不定期連載・洗車野郎ヒロシ 鉄粉ミッドナイト 第七話
コインを入れ散水ノズルを取るヒロシ。メニューパネルを一通り見る。
「! ワックス入りシャンプー? ・・ちがう、ワックスなんかじゃない――ただの撥水剤か
そういえば少なくなったナ 洗車コーナーを本気で使うユーザーは――」
33Rに散水し、シャンプーをかけながらヒロシはつぶやく。
「洗車ブースから手洗い、そして洗車機へ―― だいたいそーゆう流れだ・・でもやっぱり洗車ブースはいいナ
時間的にも効率的な作業だ・・惹かれる――」
コインをさらに追加し、延長洗車をする。
「だが実際にはやはり手洗いだ・・ 魔法のスポンジ洗車機が出た今でも――」
据付のブラシで下回りをこするヒロシ。
「ワケ知り顔がこざかしい理屈で手洗いを評価する 洗車ブースより取りまわしの悪い家庭用ホース、大きく取れないスペース
ピュアに洗車を追及していないと―― 笑わせるぜ どこも洗えてないくせに」
いったんすすぎの水洗い、そして窓ガラスを専用ケミカルで磨く。
「近所に気を使わなければいけない手洗い洗車は たしかに天候や近所との一体感を欠く
だがそれは日中快晴でのハナシだ・・自宅洗車はクオリティを優先し20時過ぎからキク」
さらにすすぎ。そして拭きあげる。
不定期連載・洗車野郎ヒロシ 鉄粉ミッドナイト 第八話
「長い家庭用ホースはフレキシブルに対応し 信じられない所のドロ汚れにまで水が届く
――結果 恐ろしい精度で自由自在に洗える・・」
洗車ブースから車を出し、トラップ粘土をかける。
「そして一番大事なコト 手洗い洗車はキズがつきにくいんだ・・
その洗車キズを気にしない者達はカルく言う『洗車なんてみんな同じでしょ ただ水と洗剤ぶっ掛けるだけでしょ』」
バケツに張った水をかけ、つるつるになったボディをコンパウンドで磨く。
「細かいキズは隠せない――洗車機で傷つかない塗装は世界中ドコにもないんだ」
コンパウンドを荒目から中目、細目そして極細液体コンパウンド。
「ホルツのリキッドコンパウンド――綺麗に磨けるナ ・・きたきた!引っ掻きキズ数本コンパウンド全開
連動してGT88スタンバイ・・ トラップ粘土処理済みの上からいきなりのGT88 キツイぜこれは――」
小さな線キズも逃さず研磨処理するヒロシ。洗車を始めてから既に数時間が経過していた。
「いつもは中目に戻してからまた液体コンパウンドに入る・・だが今回はGT88で試してみたんだ
けっこー平気そーだナ ・・ダメか再研磨処理―― あ 合格だGT88」
>トラップ粘土処理済みの上からいきなりのGT88 キツイぜこれは――
ワロタ
そーいや他の職人さんは今頃どーしてるんですかね。
まさか漏れのオナーヌをROMってるだけじゃなさそうだし、新しい職人もキボンヌ。
今日もリアルで洗ってみた。ヒロシみたいにゃいかねぇな。
516 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/07/20(水) 22:33:30 ID:zH/anFmBO
期待age
517 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/07/20(水) 23:12:04 ID:IaxFus39O
漏れの車はキャンディー塗装なので洗車はかなり気をつかうよ…家庭洗車が一番傷がつかないな。
518 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/07/22(金) 12:19:04 ID:RgEuk77GO
保守
519 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/07/22(金) 22:18:45 ID:s/UhzR4d0
期待&保守
520 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/07/23(土) 07:47:37 ID:0ZgX2ETkO
ここ覗いてるやつどんなけいるんだ?
じゃあ点呼してみよっか
ノシ1
522 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/07/23(土) 08:37:26 ID:mF4qaXCc0
やってみる? は〜い読者1人目でつ
さんにんめ!
('A`)ノ
524 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/07/23(土) 09:32:40 ID:Cf8TIKHD0
ヨンさま
さて 洗車してこよう
5匹目?最近は惰性で覗いてるだけ
(´ω`)ノシ
第6の男、立志ファン。
7人の小人さんが仕事してくれない
528 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/07/23(土) 17:19:23 ID:fAeuhRJ+O
職人の質の低下が…
8
9匹めノ
531 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/07/23(土) 22:51:42 ID:0ZgX2ETkO
固定ファンは一応たくさんいるみたいね♪新作キボン☆
・w・)ミテルヨー10匹目
不定期連載・洗車野郎ヒロシ 鉄粉ミッドナイト 第九話
「さあ──下地は終了だ 鳥フンの汚れもきっちり落としたぜ」
ヒロシが最近手に入れた新製品『ブリス』を取る。
「ボディOK 天候&気温OK 鬼門の洗車ラッシュタイムもきっちりクリアした
あれだけの小キズからいきなりのGT88 そしてブリス処理態勢へ」
ガラス繊維系ケイ素簡易ポリマーは、ヒロシの期待を込められてボディに吹きつけられてゆく。
「自動後退唯一の いや日本中でこれだけの疎水性処理・・
薬液320ml安定タレなし いける 最高に拭き上げウエスがカルい」
ブリスを拭いたボディ面が異常なほどに輝いている。まるでそこだけ別の世界のようだ。
「ここからいっきに仕上げる ここでケリだ ダブルブリス──ッ」
ブリスをもう1セット手に取り、一気にボディに拭いてゆく──が、片手のブリススプレーから液が出ない。
「スプレーできない!?・・液切れ?穴詰まり? ──違う これは・・」
トリガーを引いても硬い感じがしてあまり動かない。
「これは液切れや穴詰まりなんかじゃあない おそらく液漏れストッパの外し忘れ・・
トリガーに食ってるストッパが邪魔してる 少しでも早く仕上げたくてブリス両手持ち それがアダになった・・」
不定期連載・洗車野郎ヒロシ 鉄粉ミッドナイト 第十話
「新しく買ったBliss(ブリス)を準備する時にふと漏れ止め措置のコトが気になった メーカーの工程はどうかな・・と
だけどごまかした 多分外しただろうと 自分に都合よくいいきかせた」
スプレーできないブリスをみてみると、やはり買ったばかりの工場出荷状態のままである。
「やっぱりストッパが入っていた 完全な注意不足だ あまりにも稚拙なミスだった たしかにわかっていたんだ
・・あの時 だけどごまかした 早く洗いたくて自分の心をごまかしたんだ 残ったものはただ‐ 悔やみきれない後悔だけだ」
そういいながら漏れ止めを外す。
「ねー あいかわらずアマい仕事してますヨ・・ だから大事なトコで乾いちゃうんですよね
でも次はないですよ そーそォあのZ ウワサじゃ連日洗車を繰り返してるって」
すっかり乾いてしまったボディには拭きもらしたブリスが付着している。
11匹目参上!ヾ(・∀・)ノ゙
(=゚ω゚)ノシ アキオーッ、俺12人目だ━━━━。
結構人いるんですねぇ。13人目です。
>>526 ありがとうございます。
538 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/07/25(月) 09:44:58 ID:2TPHnBRoO
台風がきているがーーーっ
洗 車 上 等 !
むしろ晴れているので、洗車(´▪ェ▪`)ヤッチマイナ
台風の最中、ウエスで車を一撫で。
これで次の日バッチリ。
多分。
不定期連載・洗車野郎ヒロシ 鉄粉ミッドナイト 第十一話
軽くムラになったブリスを処理し直し、今度こそ完璧な簡易ケイ素ポリマーを施す。
そして表面を馴染ませるために軽く水洗いをしようとブースに再び入れたその時──
あのZが入ってきた。なんという偶然か、それともめぐりあわせなのか。
Zは静かに洗車ブースに入り、中にいたアキオが操作パネルの前に行く。
撃墜態勢──。
ヒロシとアキオ、二人はほぼ同時にコインを入れた。直後、散水ノズルから勢いよく出る水。
「長い夜になりそーだナ」
ヒロシの呟きはシャワーにかき消された。
542 :
北見:2005/07/26(火) 19:44:57 ID:UsyIY2SLO
くくく・・・
おめーらホントに洗車が好きなんだナ
タレントの佐藤江梨子(23)が25日、東京・秋葉原駅西口交通広場前に
東京都内で1万5000基目となる交通信号機が設置されることを記念して、
同所で行われた式典にゲスト出席した。
1930年11月1日に日比谷交差点に都内に初めて設置されてから、
75年を経て1万5000基を数える信号機。佐藤は中学生のころ、
先輩が信号無視のため交通事故で亡くなってしまい、
「先生から信号は絶対守れよと言われ続けてました」というエピソードを披露。
パレードにも参加し、オープンカーで通行客に手を振りながら
「1万5000基が人の命を守ろうとしているのはすごいですね。
義務としてきちんと守ってください」と呼び掛けていた。
(スポーツ報知) - 7月26日8時1分更新
544 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/07/27(水) 22:32:30 ID:OzWFTgb7O
晒しあげる
今日から読ませてもらったがオモロイな。あまり学べんが。
洗車好きのディーラーマンの使う3Mの展示車用ワックス登場させてくれ。
546 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/07/28(木) 11:54:34 ID:SOcBw/BuO
次スレがあるとしたらこんなかな?
【洗車男】ヒロシ☆2【洗車烈伝】
もうちょっと待っててくださいな。
548 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/07/31(日) 22:21:05 ID:UUx/csDB0
いつまでも待つ、機体して松
549 :
北見:2005/08/01(月) 20:36:36 ID:4Q/n60SEO
なんとかは熟するまで待てとはよく言ったもんだゼ・・・
550 :
さかきばら:2005/08/02(火) 23:12:27 ID:NzpJcyRUO
わしゃ、自転車通学がしたくてのぉ…
いやね、姪のほうから「剃ってくれ」って言ってきたんだよね
修学旅行でいじめられるとかなんとか
下手に濃くなったりしないといいんだけどなあ
553 :
さかきばら:2005/08/05(金) 15:12:10 ID:5fy8x807O
ワシの朝はケロッグコーンフレークから!
お久しぶりです。
パソコンがウイルスにやられて前のトリップを失って新トリップにしました。
元 ◆WAX/Kk8dgo です。
闇鍋氏のおかげでこのスレがまだ現役でちょっと感動しました。
どれくらい時間がかかるか分かりませんが、パソコンを復活させたら私も
ささやかな自己満足小説をうpするかも知れません・・・
>>554氏
キター!
漏れの話の続編、実はHDDの中にいるにはいるんですよ。ただPCがあぼーんしたので、
復旧→発掘→コピペでノートPCに移動→うp
になります。
今日中に復旧と発掘目指しています。
556 :
北見:2005/08/08(月) 14:51:03 ID:Wc+03DOMO
くくく・・・
下りる奴は下りる、残る奴は残る。それだけのコトだ───ッ
557 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/08/11(木) 19:36:03 ID:eVJxGKZUO
上げときますね!
558 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/08/13(土) 08:42:47 ID:Mx+8YyKG0
そろそろ期待age
559 :
北見:2005/08/13(土) 22:36:34 ID:z7RPgOITO
だいぶ待っちまったゼーーーッ
香川県民です。
水不足で洗車が躊躇われるとです。
561 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/08/15(月) 20:56:37 ID:tYkwR8LYO
それは深刻ばい
「うっ・・・ここは・・・?」
目を覚ました子の男の名前は名前はヒロシ。
今日はなぜか自衛隊の連中に拉致られ、M本駐屯地に来ている。
「おう、起きたか。俺は大尉の小林だ。お前に頼みがあってM本駐屯地に来てもらった。」
と、何やら偉そうな男がタバコをふかしながら声をかけてきた。
「一体何の目的があって俺をここへ連れてきたんだ小林大尉!!!」
ヒロシは大尉を睨みつけた。
「これを洗って欲しいんだ!!」
小林大尉が力強く指をさしたその先にはとてつもなくよごれた車・・・戦車があったのだ!!
「戦車を洗車・・・センシャをセンシャ・・・・・・・・。」
ヒロシは鳥肌が立ち、その場にぐったりと横たわり、また深い眠りへ陥ってしまった。
563 :
マイケル・タケシ ◆C/M0Nb3ir6 :2005/08/15(月) 23:43:17 ID:uqNencRC0
その3日後・・・
すまん・・・あげてしまった・・・。
>>564 謝らんでいいから続きヨロ
凄くくだらなそうで期待大。
568 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/08/18(木) 22:12:53 ID:w1WD9SJjO
まだあ?
569 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/08/22(月) 01:39:19 ID:iRVIsQ7a0
そろそろいいんじゃないの。
570 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/08/22(月) 23:10:28 ID:9ehVboGgO
(´д`)ハァハァ…禁断症状が…
またまたトリップが微妙に変わってしまい、もはや「誰やねん!」ですが、
久々に投下します。
とある田舎の農村、周囲は田畑に囲まれ、舗装もおぼつかないあぜ道を一台の
クレスタが走る。軽トラのよく似合うこの風景にマッチするとは言い難いピカピカの
クレスタは、あぜ道の途中で農作業をするおっさんを見つけると、車を停めておっさんに
声をかけた。
「すんませーん、ちょっと水を飲ませてもらえませんか」
声をかけたのは二十歳そこそこの若者で、ろくに資金も持たずに全国を旅している
大学生であった。農家のおっさんもちょうど家に帰って昼食をとる時間帯だったので、
この若者を家に連れて行った。よく冷えた麦茶を若者に出してやり、ついでに昼食も
勧めた。若者は遠慮せずに昼食をたいらげた。
庭に止まっている少し古いメルセデスベンツ300E(E300ではない)を見つけ、
お礼に洗車させてもらうことにした。
この若者こそ、以前、ヒロシが株式会社潔癖工房と闘った際にヒロシに協力した当時の
高校生、タカシであった。
タカシはあのまま洗車甲子園に出場し、個人部門、チーム部門両方で全国制覇し、
さらに数々の街の有名洗車野郎達を打ち負かし続ける凄腕の男となっていた。
大学の夏休みを利用して父親のクレスタを駆り、全国洗車修行をしているところだ。
タカシはホースを伸ばし、丹念に水をかけて泥と埃を落とし、丁寧にスポンジをかける。
泥と埃をかぶったメルセデスがみるみる輝いていく。
農家のおっさんは大喜びしてくれて、タカシも大満足だった。だが、背後から
「ちょっと鈴木さん、契約違反ですよ」
という声がかかり、鈴木(農家のおっさん)の表情が凍りついた。タカシが振り向くと、
赤、青、黄、ピンク、緑の衣装を着た5人組が立っていた。
「鈴木さん、我々以外に車を洗車させましたね。この辺一帯の自家用車は我々が洗う
ことになっているのに何故他人に洗わせたのですか?次回の会合で議題にさせて
いただきますよ?」
赤の衣装を着た男が冷たい目で喋る。
なんでも、この一帯の農協ではこの5人組と洗車の保守契約を結び、この5人組以外に
車を洗わせてはいけない契約になっているらしい。
例えタカシの好意で営利目的以外の洗車でも許されないらしい。この契約を破ると
農協や地元の名士から圧力がかかる。何のコネか知らないが、この5人組は洗車に
関して大きな利権を持っているようだ。
当然タカシは納得がいかない。一飯の礼にと洗車しただけなのに、恩人が追い詰められて
いるのだ。
「なんやあんたら、俺はそんな事情は知らんし、鈴木さんの車があまりにも汚れて
いたから洗わせてもらったんやないか!そんな偉そうな能書きをたれるくらいなら
もっと普段から洗車に通わんかい!」
「我々は決まった期日、時間に定期的に訪れて洗車をしている。鈴木さんだけ特別扱い
はできないのだよ」
「それにしてもあまりにも汚れすぎやないか!こんなに汚れていたらボディが泣いて
いる!あんたらのしょぼい洗車の管理で何が洗車保守契約や!」
「おっと、余所者のあなたにそれ以上の発言は控えていただきたい」
「やかましいわ田舎者!そもそも洗車なんて気軽に自由にやるもんやろ!何が余所者や!
だいたいあんたら何モンや!?」
赤の衣装を着た男が高らかに笑う。
「ハハハハハ!我々は洗車レンジャーだ!地元で我々を知らぬ者はいない!
しかも、我々をしょぼい腕だと?無知な小僧が何を抜かす!たかが洗車マニアが我々
正義の洗車集団に畏れ多くもよくそんなセリフを吐けたものだな!」
言われてみれば、よく子ども向け番組でやっている戦隊モノのごとく5色の衣装で5人組、
ピンクが女で黄色がいかにもカレー好きそうな男である。
いい歳をした連中が何をやっているのやら。タカシは内心呆れていたが、売り言葉に
買い言葉、タカシは洗車勝負を申し込んだ。
「そこまで言われれば勝負や!俺が勝てば鈴木さんの件は忘れろ!」
「ふん、時間の無駄だが逃げたと思われるのも癪だな。受けてやろう」
洗車レンジャーは5人、タカシは1人、いくらタカシの腕が立つといってもどう考えても
不利である。だが、タカシはあとには引けなかった。
車は洗車レンジャーの乗ってきたハイエース二台を一台ずつ、制限時間は20分。
だが、洗車レンジャーは各々が腕の立つ猛者揃い、さらに5人のチームワークで作業を
するからさすがにタカシは負けてしまった。やはり1人では分が悪すぎる。
タカシは地面に這いつくばって悔しがった。
「ふん、こちらは5人、貴様は1人。それを負けの言い訳にしない潔さに免じて時間を
与えよう、貴様もかなりの腕を持つようで久々に倒し甲斐のある相手だ。
今度は仲間を4人連れて来い。その時が本当の勝負だ」
リーダーの赤はそう言い残して去って行った。
タカシは鈴木家に滞在させてもらうことになった。高校時代の仲間であるリュウイチと
ケンを呼び出したかったが、2人とも海外で修行中である。どうしたものやら。
途方に暮れて歩いていると、あぜ道から田んぼにはまっているNSXが視界に入った。
(どんくさい車がおるな)そう思って近づくと、懐かしい男がそこにいた。
そう、タカシの人生を大きく変えた洗車の恩師、ヒロシであった。
「ヒロ兄、俺や!タカシや!」
「タカシ!久しぶりだな!」
タカシの旅は、洗車修行でもあり、真の目的はヒロシを捜すことであった。国内を周り、
洗車野郎たちとバトルを重ねればいつかは出会えるだろうと考えてあえて日本国内を旅
していた。洗車を極めた時、ヒロシとバトルをしたいと考えていて、その前に一度
会いたかったのだ。思わぬところで念願が叶ったわけだ。
事情を聞いたヒロシはタカシに協力することにした。ヒロシとしても5対1では分が
悪いと思うし、タカシの腕がどれだけのものになっているか楽しみでもある。
それに、大衆娯楽である洗車を利権によって制限することはヒロシにとって最も許し難い
ことであるのは言うまでもない。
再び洗車レンジャーと対峙することになった。洗車レッドは
「4人連れて来いと言ったのにたった1人連れてきただけか?そんなことで負けた
言い訳にはさせないぞ」
と言うが、最強無敵の助っ人を得たタカシは余裕がある。
「いいからルールを言え。さっさと始めてあっという間に終わらせたる」
「こちらは5対5でやることを前提に考えてきた。制限時間は20分。オーソドックスに
洗車&WAXでより美しい仕上がりが勝ちだ。君達も素人じゃないから仕上がりの
判定はお互いが見れば判るだろう。車はこちらで用意したハイエースだ。
用意ができたら始めるぞ」
確かに20分で満足のいく仕上がりにするには5対2ではかなり分が悪い。
だが、勝負は始まった。洗車レンジャーの5人組はあっという間に水洗いを済ませる。
5人がかりで息の合ったチームワークでガラス、ボディ、下回りを攻略し、
ふき取りも見事な手捌きでお互いを邪魔せずに作業が進む。
WAX作業も申し合わせたように作業領域を分担して合理的に無駄なく、それでいて
それぞれの個性の光る技術でハイエースにWAXが融合していく。
さすがに5人がかりでは20分という時間でも余りある感じで洗車レンジャーは2分
残して先に終了した。
それに対し、ヒロシ達の作業は丁寧かつスピードのある作業である。
最初の水洗いでは徹底的に埃を落とし、ガラス部分の油膜取りも信じられない速さで
進める。WAX作業に至っては左右の領域をきっちり分け、ロボットのような緻密な
動きで作業を進める。ヒロシ達も1分を残して作業が終了した。
判定に入る前に、洗車レッドはうろたえた顔でその場に崩れた。
「判定の必要はない。我々の負けだ」
「何故だ?こいつらが2人で俺たちが5人で仕上げが互角だからか?」
洗車グリーンがレッドにそう叫ぶ。
「そこの緑、もっと2台をよく見てみるんだ」
ヒロシに言われ、グリーンと他の色レンジャーも2台を見比べて初めて気付いた。
「あんたらのWAXに問題がある。あんたらのひとりひとりの腕は一流だ。しかも
チームワークも完璧。だが、WAX仕上げにムラがあり過ぎる。それぞれが一流でも
その個性が5つも一台の車に表れては単なる素人の仕上げになる」
ヒロシがそう言うと、タカシも続ける。
「この人(ヒロシ)は俺の腕に合わせて俺流の仕上げをコピーしながら作業してくれた
んや。しかもここまで完璧にコピーできる腕があるのは俺の師匠であるヒロ兄だけや」
リーダーの洗車レッドは、
「いや、タカシ君、君の腕も超一流だ。我々洗車レンジャーの幹部として迎え入れたい
くらいだ。だが、その人(ヒロシ)が想像を絶する腕だったようだな。
我々にはお互いの仕上げをコピーすることなんてできない。それぞれが完成された技術
だからだ。だが、そこのヒロシさんとやらは我々のWAX作業のコピーすら造作でも
ないだろう。我々の完敗だ。どうだ?あんたら2人とも幹部としてレンジャーに
入ってくれないか?」
「アホか!!」
かくしてタカシはヒロシの協力を得て手強い洗車レンジャーを倒した。
同時に、師匠であるヒロシの底知れない力を再び見せ付けられ、ヒロシと勝負したい
という傲慢な気持ちも考え直すこととなった。
それと同時に、成長したタカシの姿を見て、いつかは自分に追いつき、追い越す洗車野郎
になりうる人物だとヒロシは思うのであった。
相変わらず推敲しない読みにくい文章ですがご容赦を。
今回は主人公の視点をヒロシからかなり以前に登場させたタカシにしてみました。
もうほとんど【小説で】【洗車を学ぶ】から外れすぎていますがw
もうイラネ
もう、旬は過ぎた!
幕を、閉めませんか・・・
>>579 乙
>>581 旬っていつよ?(w
sage進行ならいいんじゃね?辛うじて書き手も読み手もいるんだから。
どっちかいなくなれば自然消滅するでしょ。
ストーリーテリングよかハウツーモノとしてを求める人が多いんだろう
面白いからいいじゃん。
585 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/08/23(火) 22:53:52 ID:jLsU9Y0+O
キ━━━(・∀・)━━━タ!
586 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/08/25(木) 20:07:30 ID:KeRFZ1KN0
いいか?
ageるぞ!
587 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/08/26(金) 16:13:20 ID:8/5oK/JnO
ばっちこい!
>>580-581 あ?イラネだ?旬は過ぎただ?
ソレはお前らだけが思ってるだけだろ!!
次の作品を待ってる俺らのために職人さんも忙しい中わざわざ時間を作って
書き上げてくれてるんだぞ!!金をもらえるわけでもないのに!!
たかだか一言レスしかできねぇような低脳野郎にそんな事言う権利は無ぇんだよ!!
>>580 >イラネ
お前のそのレスと、お前の存在と、お前の家族・親戚一同こそこの世にイラネ
>>581 >もう、旬は過ぎた!
>
>幕を、閉めませんか・・・
フッ、旬って言うのはな、時間が経てばまたやってくるものなんだよ!!
次のお前が言う“旬”が来る前にお前の人生に読点を打て!!
589 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/08/28(日) 11:12:07 ID:SGOkMxSa0
あげてみた
590 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/08/28(日) 13:41:32 ID:89I3AlNU0
なんか熱くなってる奴が要るけど・・・
もう、内容無いしね・・・
ageます!
何か冷めてるくなってる奴が居るけど・・・
もうどうしようも無い市ね・・・
sageます!
592 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/08/29(月) 14:46:58 ID:jh/dBMP30
書き手がいる限り読み手は居る訳で、期待age
>>588の意見はもっともだと思う。
職人さんたちは別にお金にもならないのにごくわずかな読者のために
時間を割いて書いてくれている。
冷めたこと書いてる奴には職人さん以上に面白いものが書けるのか?
読者は俺を含めて数人しかいないかも知れないが、
何日、何週間でも待つ。
594 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/08/29(月) 19:39:54 ID:dtTth8LD0
冷めたこと書くんだったらネタ提供しろよヴォケガァ。邪魔寸なよな。まあどうせ厨だろうけどな。
心待ちにしてる読者Aです。作者様がんばってください。何日でも待ちます。
俺も職人さんの作品を楽しみに待っている読者です。
俺の休日の日課ができたので、職人さん達にはとても感謝しています。
仕事の都合で平日休みが多いために、友達と遊びに行くこともできないので、特にすることも無く、ただドライブしたりぐうたら寝たりしていました。
ある日、偶然見つけたこのスレの職人さん達の作品を読んで、俺は暇つぶしに洗車でもしてみようかと思いました。
自分で車を洗って、兄貴が使っているワックスを勝手に使い、それを拭き取ってみました。するとボディが本当にきれいな輝きを放ち、その眩しさがとても気持ちよかったです。
「やばい、洗車いいじゃん!!」と、何度も何度も車の周りをぐるぐる回りながら、何度も何度もそうつぶやいている自分がいました。あまりにもそれに感動してしまったからです。
その感動が病み付きになり、今では休日といえば半日かけて洗車を楽しんでいます。
職人さんの作品に出会えなかったら、今の俺は真性ぐうたら野郎になってたかもしれない。
職人さん、俺らは職人さん達の作品を本当に楽しみにしています。
また時間があったら作品をうpして下さい。お願いします!!
>>562のマイケルさん
・・・その作品って・・・ダジャレですか?!
夏だね〜
あと1日の辛抱だ。
597 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/09/01(木) 00:36:02 ID:HcxY4z92O
まんこ上げ
598 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/09/02(金) 09:46:31 ID:ayRxmOlf0
駄スレになりつつあるスレの特徴
・ageるやつが出てくる。
・荒らされなくなってくる。
・自作自演が始まる。
とか言いつつお前がageてどーすんだ
>>599 悪かった。sageって入れるの忘れてた。。。
>>601 仕方ねぇーなぁ
ヒロシ「俺の車は宝石箱、他人の車はゴミ箱」
俺の名前はヒロシ。
俺の車はいつも光り輝いている。
なぜかというと、一日に一度は洗車をしているからだ。
そう、雨の日も雪の日も。
俺は自分愛車はのように扱っている。
まるで
>>602 横からすまんが、その続き書いていいかな?
606 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/09/03(土) 13:50:29 ID:w9G4kRrcO
俺関係ないけど続きがあるならみたい
607 :
601:2005/09/03(土) 15:26:56 ID:Y5VnZxyG0
>>605 キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!
是非頼みます。
608 :
602:2005/09/03(土) 20:50:58 ID:BfPPWRSl0
>>605 職人さんキタ━━ヽ(ヽ(゚ヽ(゚∀ヽ(゚∀゚ヽ(゚∀゚)ノ゚∀゚)ノ∀゚)ノ゚)ノ)ノ━━!!!
こんなものの続きを書くのは大変かと思うんですが、大丈夫ですか?!
もし大丈夫でしたらお願いしマッスル!!
できました。
>>602のまるで〜から続けます。
まるで中国古代の秘宝「和氏の璧」もかくあったろうかと言うほど、濡れたような
静かな輝きを放つ。今日も早朝から洗車だ。この時期の洗車は時間との戦いだ。
炎天下に洗車中のボディを晒すわけにはいかない。暗い中では汚れも判り難いため、
朝5時〜7時頃が洗車開始に適した時間だろう。毎日洗っている俺の車の場合、
通常の洗車であれば1時間もあればこと足りる。そして月に一度はコーティングだ。
「ねぇ最近いくらなんでも洗い過ぎじゃないの?」
「まぁ趣味だからね。見てよこの輝き。毎日洗ってないとこうはならないよ。」
「そうかなぁ〜?」
最近、ヒロシの言動には少し問題が目立つ。自分の手際がどんどん良くなっている
ことを鼻にかけ増長してしまっているようだ。
「週一の洗車なんかじゃダメさ。月一なんてもっての他。洗車前にはすっかり
汚れてしまうだろ。なんかあーゆー車見てるとさー。ゴミ箱が走ってるように
見えるんだよね。ミドリも毎日洗車したら?」
「じゃぁ、私は今日から一ヶ月間週一で洗車するわ。一ヵ月後にお互いの車を
見比べてみましょう。」
「いいよ。やってやろうじゃないか。」
急に不機嫌になったミドリの言葉を売り言葉になった。自分の提案を否定された
ヒロシはムキになってスポンジをボディに擦りつけていた・・・。
その日の午後――Polished Shineの事務所――
「ヒョヒョヒョ。ヤツめ、そんなことをぬかしたか。やはり危険じゃのぉ。
まぁええ機会じゃ。懲らしめてやるがええ。」
・
・
・
一ヶ月が経った。2台を並べてみた。
「ほら、俺の車の方がきれいだ。やっぱ週一でも足りないよ。毎日洗わないと。」
得意満面だ。
「ヒョヒョヒョ。このバカタレが。今から二人とも洗え。その後でもう一度判定を
下すんじゃ。」
「なんでだよ?歴然じゃないか!いいよ。どうせ今日も洗車するんだから。」
バカタレ呼ばわりされたヒロシは耳の裏まで赤くなっている。
1時間が経ち再び車を並べた。どちらも綺麗だ。
「だから、俺が毎日洗車するのは、週一だと洗車前が汚いから・・・」
と言いながらミドリの車に近づき、ヒロシは息を飲んだ。
「・・・ま・・・まさか・・・」
至近距離で自分の車と見比べる。茫然自失としているヒロシにシュウが声をかける。
「もう説明の必要ないと思うが・・・。ミドリの106は中古でお前の車より古い。
しかし、今見比べてどっちの車が古く見える?お前はこの3ヶ月間でGTRを
90回以上洗車したことになる。その結果、106の洗車回数を軽く超えてしまった
ようだな。」
「お・・・俺は・・・なんてことを・・・」
ヒロシのボディはぱっと見綺麗だがスクラッチだらけなのだ。
「ヒョヒョヒョ。ヒロシよ。車は洗えば綺麗になるが、擦らずに全ての作業を終える
ことなど不可能じゃ。そして擦れば傷が入る。しかしワックスもコーティングも
なしに塗装面を剥き出しにしておけばやはり塗装は劣化するんじゃ。つまり皮膜を
切らさないようにバランスよく洗車することが大事じゃ。車を激しく傷める
洗車ヲタなど滑稽とは思わんかの?」
シュウがヒロシの肩に手を置く。
「ヒロシ・・・。長く大切に乗ろうと思ったら週一でも多いくらなんだ。しかし、
そこは洗車ヲタだ。汚れを放置することもできん。その為に良い道具を選んで
少しでもボディに負担をかけずに洗うんだ。そしてスクラッチが気になりだしたら
コンパウンドで消す。もちろんコンパウンドは一気に負荷をかけるから、
その作業を最小限にするためにも、俺は洗車は週一くらいが限界だと思う。」
「でもやっぱりきれいな車に乗りたいから、みんなこうして週末の朝に洗車するのよ。」
ミドリが優しく囁く。
「・・・さて・・・このスクラッチまみれのボディ、どうするかな?こいつをピカピカにするのは一筋縄ではいかんぞ・・・」
「そこはチームでしょ。さ、日が昇りきる前に片付けましょ。このメンバーなら大丈夫でしょ。」
「あ・・・ありがとうみんな」
「でも私の車をゴミ箱呼ばわりしたのは許せないわね。ま、今日は缶コーヒーに
ハーゲンダッツで勘弁してあげるわ。」
2時間後、ピカピカになったGTRを前に蝉の声の中、ちょっと溶けかけたアイスと
缶コーヒーでしばし談笑した。
教訓:洗い過ぎに注意。
・・・すいません。まじで。
公開オナヌーにしてもお粗末ですね。続き書くとか言うんじゃなかった・・・orz
意外な切り口の展開で面白かったっす!ありがと!
617 :
読者A:2005/09/04(日) 02:27:11 ID:cjwBpZ6e0
GJ 堪能しました。
618 :
602:2005/09/04(日) 20:09:47 ID:pup3xeBu0
ごちそうさまです。
あんな俺の糞文をここまで成長させてくれてありがとうございます!!
なんか、いろんなものに感動しました!!
619 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/09/05(月) 21:03:46 ID:xKGfgULI0
久々にスレタイ見てワロタ(AA略
620 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/09/06(火) 01:24:43 ID:mU9nvzh5O
感動した!(`・ω・´)
621 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/09/06(火) 21:01:05 ID:vGfu69rz0
>>621 シュウがヒロシの肩に手を置く。←ここか?
ワロタ
624 :
601:2005/09/07(水) 18:27:07 ID:bd9jmHf70
エンジンルーム&車内清掃篇が読みたいでつ。どなたか心やさしい神さま、降臨希望。
久々の作品うpサンクス
いい教訓ですね。
627 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/09/08(木) 16:26:11 ID:8Mpzu7V5O
悪の出張洗車団体、洗う前慄線では3時間に一度、水洗いを慣行していた…
誰か続きたのむ
悪の出張洗車団体、洗う前慄線では3時間に一度、水洗いを慣行していた…
しかし
>>602、
>>609-614で洗いすぎはよくないという教訓を受けたヒロシによってその団体は潰された。
あっぱれヒロシ それ行けヒロシ 地球の平和を守るんだ
以上
>>627 どうだ?満足したか??
そんな短い文章で続きを書けなんて本物の職人さんは書いてはくれんぞ!!
630 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/09/08(木) 18:14:35 ID:8Mpzu7V5O
みじかっ!!
しかし笑った!
ではそろそろ手短にまとめてくれ
はい↓
ヒロシです。。。
↓
>>615 乙です!!
>>625 車内清掃はWAX氏がまだコテハンを付ける前の時代にものすごく濃い作品を書いてる。
CARWASH氏とWAX氏の初心者ヒロシとベテランヒロシの絶妙な競演とキャラのリンクが懐かしい。
634 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/09/10(土) 08:45:57 ID:jU+qMd0J0
635 :
625:2005/09/10(土) 11:59:42 ID:gXeCbOr80
>>633 誘導ありがとう。
「ポリフェノールだかが」で噴いたけど、あえてハッキリ分からない事はこう書く職人さんの誠意を隙間見ました。素晴らしい!
エンジンルームはどうなんですかね?
俺、なんか怖くて雑巾で埃を拭いているだけなんですが、ちゃんと洗えればエンジンの調子も確実に調子良くなるらしいしこのスレで
面白おかしくその辺学べたらいいなと思ってるんですが。
>>635 >あえてハッキリ分からない事はこう書く
細かいことにうるさい2chにおいてベストな表現だと俺も思った。
エンジンルームはちゃんと水分を飛ばせば丸洗いおk!
>>635 巨匠2人はエンジンルームはパスしてたね。お2人とも水洗いはしたことあったよう
だったけど、CARWASH氏は最近はフクピカ愛用でWAX氏は我流だからとのこと。
>>636 丸洗いはいくらなんでもまずいだろw
エンジンルーム洗う前に自分の尻の穴でも洗ってろ!!
639 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/09/12(月) 21:17:20 ID:7wScmTw70
保守
640 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/09/14(水) 11:50:53 ID:F8yjuJ+o0
フハハハハハ
641 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/09/16(金) 00:21:10 ID:NkfPVVBPO
ディーラーの中古車だとキレイに見せる為にエンジンルーム内めちゃテカテカになる艶だし剤塗りたくるよね。
すごいとこだとラジエータのコアサポートをペイントし直ししてたり…
642 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/09/16(金) 20:35:10 ID:iwEcWBaA0
どうでもいいが、メロンくれ
スレタイ見て洗濯屋ケンちゃんを思い出した
644 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/09/19(月) 00:18:13 ID:DQD8hvsR0
来いよ職人
結構マジメな小説なのね。
俺はてっきり現実離れした必殺ワザとか出るのかと思ってた。
646 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/09/19(月) 20:37:01 ID:S0wP/SH8O
そーか?前半に犬を洗う勝負で現実離れした必殺技が炸裂したが…
>1
DQN
648 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/09/21(水) 06:42:16 ID:gJJKPne40
俺は深夜、他人の家の車を洗っていたらその家の住人に見つかり、
通報され逮捕された。
「俺は洗車に興味があった」
「小学生の頃に読んだ“洗車野郎ヒロシ”スレに影響された」と警察に伝えた。
今は冷たい塀の中、反省しています。
>>648 ほう・・・俺は夏のクソ暑い夜に、誰にも見られないだろう、という気持ちで全裸になって洗車をしていたら
夜遊びから帰ってきた向かい家の女子高生(真奈美ちゃん)に見つかってしまったよorz
空が暗かったせいか、彼女が俺だとは思わず他人だと思ったらしく、
「イヤぁーーーーっ!!」と絶叫して家の中に駆け込んで行ってしまった。
そして彼女が部屋の窓から上半身を出して、「○○(俺の家の苗字)さん!!変質者が家の前にいるよ!!○○さん!!○○さん!!」
って何度も叫ぶもんだから俺の父親と母親、そしてじいちゃんまでが俺の家の窓から顔を出して俺を怒鳴りつけた。
「ゴルァワレや!!ワイんちの前で何を舐めたマネしとるんや!!」と父親・・・。
「警察呼んだからええ覚悟しときや!!」と母親・・・。
「近所のみなさーん!!変質者ですよー!!」と周りに知らせる真奈美ちゃん・・・。
「アホやなぁ」と、にこやかなおじいちゃん・・・。
そして近所中の明かりが灯り、俺に罵声が浴びせられた・・・。
しかしなぜ俺が俺である事に皆気づかないのか・・・。
俺は考えてみた。そしてそれを考え始めたのとほぼ同時にある事を思い出した。
そう、そうだ!!今俺は・・・俺は中学3年の妹のパンツを頭にかぶっていたんだ!!!
俺はその姿のまま地面にうずくまり、うおおおおおお!!!と叫ぶとパトカーのサイレンが聞こえてきた。
あの母親が本当に警察を呼びやがったんだ・・・。
逃げても無理だろう・・・オナニーをおっぱじめてもダメだろう(当然か)・・・。
諦めて俺はパンツ・・・いや、パンティーといったほうが正しいだろう。
それを頭から脱がし、そして真奈美ちゃんちに投げつけて、
「俺は・・・俺はただスリルが欲しかったんだ!!!」と泣き叫ぶと、
一斉に周りが「俺」ということに気が付いたのだろう。し〜んと静まり返った。
651 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/09/23(金) 09:10:28 ID:NVGBlqGZ0
真奈美ちゃんあげ
652 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/09/24(土) 05:21:53 ID:BF+cmzopO
真奈美ちゃんはルーズソックスなのか?
653 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/09/24(土) 09:21:45 ID:r3tuelv40
最近はルーズソックスよりハイソックスが女子高生のスタンダードだよな。
ルーズソックス履いてるのなんて田舎の中高生くらいだぞ
654 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/09/24(土) 15:02:02 ID:BF+cmzopO
なんだとてめー!俺はなぁ、俺はなぁ!
ルーズソックスが大好きなんだぁーーっ!
わかったか?!このオタンコナス!
>>654 別にあんたのことを非難してるとは思えないがw
656 :
653:2005/09/25(日) 17:44:19 ID:SqYRvvH20
あ゙ぁ??
俺もルーズソックス大好きだぞ!!
ルーズソックスに短いスカート!!そしてローファーと手持ちカバン!!
これが4大そそりアイテムだ!!
足を巧みに使い、スポンジの代わりにルーズソックスで洗車する女子高生
の登場きぼん
>>657 それイイな!
洗車を学べるとは思えないがw
659 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/09/26(月) 09:42:45 ID:aKcTdyq/O
LSD大好き!!
こ、こぉばやしさん!!!!
661 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/09/30(金) 19:10:05 ID:rXgTuvpwO
職人キボン
662 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/09/30(金) 20:43:33 ID:LpLPrSJ/0
>>659 お前はルーズソックス大好きが大好きなのか?変なヤツだな。
俺はLSは大好きなんだがな
仕事で洗車してるけどエンジンルーム丸洗いしてますよ。
日本車なら高圧水ホースで思いっきり噴射してOK
外車はやめとけ
洗浄後にベルト泣きが発生する場合があるから
必ずベルト泣き防止スプレー用意しとくこと
664 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/10/01(土) 18:15:16 ID:Sqr5nYtr0
スゲー。ヒロシが何故か続いてる。
一番最初に書いた人がまだやってんの?それとも複数?
どれも面白くて最高。
イニシャルDの次はコレを実写映画化してほしいな。
でもBGMがユーロビートってのは勘弁。
666 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/10/03(月) 21:41:26 ID:okj6DfEX0
>>664 映画化どころかスレの存在も危険な状態が続いてるんだが・・・。
ちなみに、書いてる(書いてた?)人は複数で、最初の人は早々に
消えてしまった模様。
667 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/10/05(水) 06:12:10 ID:hRBYwSASO
この燃え上がった思いはどこにぶつければいいんだーーーっ!!
669 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/10/05(水) 18:37:42 ID:hRBYwSASO
今車無い…(T_T)
670 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/10/08(土) 04:50:15 ID:DstoytDI0
671 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/10/08(土) 23:46:20 ID:FGQZmPW+0
ひろしきたいあげ
672 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/10/09(日) 05:00:11 ID:WE7zFRU5O
では俺は恭平に期待。
673 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/10/09(日) 13:17:10 ID:x6CplEcs0
漏れも ヒロシ 期待あげ
674 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/10/09(日) 20:42:27 ID:IDBBGAh20
クソスレの特徴
1.自演が始まる
2.一言クソレスが増える
3.むやみにあげるカスが増える
4.人が少なくなる
5.カス人間しか書き込まなくなる
675 :
牽引免許挑戦者:2005/10/09(日) 20:44:10 ID:M8h7utsG0
676 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/10/11(火) 00:38:40 ID:hRXo5KFdO
うるせー馬鹿。もう済ましたわ!
なんか最近俺の嫁さんはどんどん綺麗になっているのに夜求めると拒否されるんだよなー。
放置プレイの趣味なんか無いのに。
679 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/10/11(火) 22:34:58 ID:valnJXU50
洗車場でたまには、、、、な!
>>677 放水してやれ。
680 :
牽引免許挑戦者:2005/10/11(火) 22:42:00 ID:j+6+4sLj0
681 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/10/13(木) 14:01:30 ID:r2RBRi98O
べつに(*´・ω・)(・ω・`*)ネー
682 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/10/16(日) 05:51:08 ID:nxDnkIbBO
あげ
683 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/10/16(日) 08:58:27 ID:u19ev9HW0
sage
684 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/10/17(月) 17:23:26 ID:mCQB8/eAO
もう…私たち終わりなの…?
ネタなし職人ですいません
687 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/10/17(月) 23:03:59 ID:mCQB8/eAO
いや!私は諦めないわ!そんなに簡単な関係じゃなかったはずよ!
688 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/10/18(火) 06:04:49 ID:Lb29f2m90
オレだってそう思ってたさ!
今までの関係を続けたいよ!!
でも、でも・・・・・・・、駄目なんだよ・・・・・・。
689 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/10/18(火) 08:33:08 ID:aZIDu5qn0
690 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/10/19(水) 04:09:16 ID:EEnQQ/+RO
ヤメテ!そんな風に私を見てたの?!
691 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/10/19(水) 05:12:33 ID:JPEl47Ad0
>>689、そんな他人事みたいな言い方するなよ!
オマエだってこれまでの関係、居心地よかったんだろ?
愛してたんだろっ!?
愛していた・・・って、今でも愛しているのよ。
だから、今日も嘘をついてあなたに会いにきたんじゃない!
自演でもなんでもいいから、そこに洗車を絡めてほすぃ
694 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/10/20(木) 23:12:03 ID:cQ4EeggsO
そう…あれから半年…忘れもしない5月半ばにE/Gブローにて倉庫に放置していた愛車が今復活した…
すっかり埃まみれになってしまい、うかつにボディに触ろうものなら傷が入ってしまいそうだ…
こんな状態の車をどう洗うべきか悩んでいたが作業をしてくれた店長が普通に水洗いしてしまった…(涙)
借金の保証人になったばかりに全財産を失い、愛車NSXを手放さざるを得なかったヒロシは
失意のどん底にいた。
財産や愛車を失ったことそのものより、洗車ができなくなったことがヒロシの心身ともにダメージと
なったのだ。魂を抜かれた人形のようなヒロシはホームレスとなり、
街角の高架下でボロボロになった洗車スポンジを握り締めたまま倒れていた・・・・・・・・・
ヒロシが目覚めると、ベッドの中で、室内にいる風景が映った。
「やあ、目覚めたかね」
初老の男の声が聞こえ、朦朧とした意識のヒロシは力を振り絞って
「ここは・・どこだ?」
と答えた。初老の男は
「とりあえず君は消耗している。これでも食べたまえ」
と、一杯の粥を差し出した。ヒロシは貪るようにガツガツ食べた。
「う、美味い!オヤジさん、どんな魔法の味付けをしたんだ?」
「ふむ、塩だけじゃよ。それに、腹が減っているから美味く感じるだけじゃろ」
「いや、確かに塩だけだろう、だが、この絶妙な加減は只者ではない!オヤジさん、あんた何者だ?」
「ほう、そこまでわかるのか、君には絶対味覚があるようだな」
「絶対味覚?」
「そう、絶対音感という言葉を聞いたことがあるだろう。それと同じで君には
天性の味覚があるのだよ」
かくして、洗車野郎ヒロシは料理人への道を歩むのだろうか!?
久しぶりに書いてみましたが、また時間があったら続きを書きます。
気長に待ってたかいがありました。期待してます。頑張って下さい。
作者様うpありがとうございます。続きを期待してます。よろしくお願いいいたします。
699 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/10/25(火) 03:46:16 ID:bE9XxzVNO
キタ!
お、俺は誰だ?」
うっすらとした意識のなか、ヒロシは自分の名前すら思い出せない。
手に持つものは洗車スポンジのみ。ヒロシは記憶喪失になってしまったのだろうか?
「ん?君は自分の名前すら思い出せないのかね?無理もない。あれだけ消耗していたのだから」
初老の男はデザートの皿を持ってヒロシの元にやってきた。
何日も食事を取っていなかったヒロシはこれもまたガツガツと平らげた。
「こ、これは!?バナナと牛乳に軽くグラニュー糖を混ぜて最高級のカカオを少しまぶし、
卵黄と生クリームでよくこねて空気を入れ、ふんわりとバニラエッセンスを加えて
−12℃で凍らせ、アイスクリームであってアイスクリームでないような胃にもやさしく、
弱った体に力がみなぎってくるようだ!」
それを聞きながら初老の男は眉を細めた。
「やはり君は絶対味覚がある。行くところも無いようだし、記憶喪失でもある。
どうだね?ワシの弟子になって料理人を目指さんかね?」
こうして記憶喪失のヒロシは伝説の料理人、道場七次郎の弟子となった。
必死に修行すれば記憶も少しずつ回復するだろうし、食いっぱぐれもなくなった。
ヒロシは天性の味覚と才能で料理の腕を伸ばした。
だが、たったひとつ変な癖があった。
「これこれ、君はまた洗剤を薄めすぎる。これは希釈の必要はないんじゃよ」
道場に注意されるが、ヒロシは皿を洗っているときのみ、何かが記憶の片隅をよぎる。
「オヤジさん、家庭用の洗剤じゃ濃すぎるんだよ」
「君の皿洗いの腕はすごいのはわかっている。しかしそこまで薄めることはない」
スポンジを片手に洗っているとき、ヒロシに頭痛が走る。
ある日、ヒロシは普段世話になっている道場の愛車兼店舗であるビートルミニバスを
洗車でもしようと考えた。なにげなくバケツに洗剤を入れ、水を注ぐ。
ヒロシの頭の中でなにかがはじけた。
記憶を取り戻すきっかけにと取っておいた例の洗車スポンジを掴む。あっという間に
ビートルミニバスは泡で包まれる。これまでのヒロシのもやもやしていたものがはっきりと
してくる。そう、家庭用洗剤で洗うときはギリギリまで希釈し、車のボディを傷めないように
しなければならない。家庭用洗剤は天ぷら油やソース、ケチャップなど、通常、車には付かない
ような強烈な汚れも落とすものだ。
ヒロシの体が全身で洗車の悦びを味わう。過去の記憶が一気に戻った。
ヒロシの目から一点の曇りもなくなった様子を、道場が目を細めながら眺めていた。
「ほう、記憶を取り戻したか」
道場はうんうんと頷いていた。
道場がヒロシの背後に近づく。気配を感じたヒロシは笑顔一杯で道場に振り向く。
「オヤジさん!!」
ガッ!!
と鈍い音が響き、ヒロシはそのまま気絶した。目が覚めたヒロシは、
「オヤジさん、俺さっき何か思い出したんだけどなー」
また記憶喪失になってしまった。
「(クックック、まだまだ君には記憶を取り戻してもらうわけにはいかん・・・)」
以上です。また時間があればなにか書きます。
うわぁ〜続きが気になるよぉ!
オヤジはなぜヒロシを記憶喪失のままにさせておきたがるのか・・・巨大な陰謀の影が!
うわははは!!
鬼才、WAX氏久々の登場か。ずっと待ってたかいがあった(つд`)
CARWASH、闇鍋両先生もカムバーック!!
706 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/10/25(火) 23:31:29 ID:bE9XxzVNO
ヽ(´ー`)ノワアィ
WAX先生ありがとうございました。待っていた甲斐がありました。
なんだよ!もう記憶が戻っちゃうのかよ!って思って読んでいたら・・・
今後が楽しみだねぇ。
('A`)ヒ、ヒロシドウナッチマウンダ・・・
再び記憶を失ったヒロシは道場のもとで平穏に修行を続けていた。
その頃、巷では最強の洗車ゴロが世間を震撼させていた。
相手が素人であろうがプロであろうが勝負を挑み、勝てば法外な金を
ふんだくる悪魔のような一匹狼の洗車屋がいるという。
巧みな話術で洗車勝負をしかけ、最初は少額の賭けでわざと負け、
相手を安心させて大一番では必ず勝って身ぐるみを剥がしてしまう男である。
偶然にもその男の名前は「ヒロシ」。
もともと(記憶喪失になった)ヒロシの名が通っていることもあり、
実際に凄腕のその男はすんなりと(有名な)ヒロシだと相手に信じられ、
本物のヒロシがここしばらく表舞台に立たないのをいいことにニセモノとして
ヒロシになりきって悪行を働いている。
つづきはいつになるかわかりませんが、忘れそうな頃にUPします。
ヒロシが借金の保証人になってしまったのは何故なのか?
洗車ゴロ「ヒロシ」。の正体は?
道場のオヤジは敵なのか味方なのか?
なにやら本格的なサスペンス調に超期待!
714 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/10/27(木) 21:32:47 ID:zUf6b79dO
こりゃ期待ageだな!湾岸モノからこのスレ見はじめたけどはまるな(W
毎日のように誰かが新作うpしてた頃が懐かしい
「あんたが有名な洗車野郎のヒロシか。いい加減あんたには洗車連合から賞金が掛かっている。
あんたに勝てばヒロシに勝ったという名誉と賞金が手に入る。勝負だ」
腕に自信を持つ洗車野郎ケイイチが偽ヒロシに勝負を挑む。
「いいだろう。ただし、俺が勝てばこの書類に印を押してもらおうか」
「わかった。俺から勝負を挑んだのだから約束は守ろう」
書類の内容は、
『私は洗車勝負に負けました。もう二度と勝負を挑みません』
といった感じのことが書かれている。
実はケイイチには勝算があった。コイン洗車場で洗車をする偽ヒロシの姿を見て、
「(この程度の腕なら俺でも勝てる)」
と思ったのだ。ケイイチも駆け出し時代を除いてはほぼ無敗の凄腕洗車野郎である。
コーティング部門で知事賞を2度も受け取っている。
ケイイチは得意のコーティング勝負を挑んだ。
この業界、勝負を自分の得意部門に引っ張り込むのはごく当たり前のことで、
ケイイチが自分の得意分野で勝負を仕掛けたのはごく自然のことである。
ケイイチは素早い手付きで水洗いを終え、ポリマックスのセットを取り出した。
ポリマックスはボディが濡れたままでも使用できる上、エンブレム部分の取り外しの
必要がないので初心者から洗車野郎まで広く愛用されている。
さらに、ケイイチほどの腕に掛かれば相乗効果で仕上げがより美しくなる。
ケイイチは愛車の赤コペンにポリマックスを塗り込み、最後のネル生地仕上げまで
徹底的なこすり込みでポリマーを定着させた。
誰が見ても目を見張るほど美しい。これをそのまま高級車ディーラーに飾っても
他の高級車がかすむ程の仕上げだ。
ケイイチが作業をしている間、なぜか偽ヒロシは腕組をしたまま何もしていなかった。
昨日にUPするつもりだったのですが、なんかアク禁になっていました。
719 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/10/28(金) 20:08:51 ID:1KOtzPvzO
まだ私たち終わってなかったのね!
また謎を残して終わるパターンか。
こうして隔日で少しずつ連載を読むのも楽しいもんだな。
職人殿、日々の楽しみをありがとう!
ケイイチが作業を終え、何もしない偽ヒロシにさっさと作業を始めるよう催促した。
「おい、さっきからあんた何もしていないじゃないか、さっさとあんたのNSXを洗えよ」
偽ヒロシはケイイチの洗車道具箱からまだ未開封のリフレッシュリキッドを取り出した。
「ちょっと借りるぜ」
偽ヒロシはそう言ってコンパウンドスポンジにリフレッシュリキッドを塗り、いきなり
先程洗車の終わったケイイチの赤コペンのルーフに水をかけ、リフレッシュリキッドを
塗り始めた。
「おい!俺の車はまだ新車だぞ!それに勝手に何を始めるんだ!」
「そうか、やはり新車か、なに、ちょっとルーフ部分のみに施すだけだ」
本来、まだ新車のコペンにコンパウンドは時期早尚である。だが、あえて
偽ヒロシはルーフ部分にリフレッシュリキッドを施し、丁寧に水をかけ、またポリマックスを
塗り込み、素早く正確な手つきでルーフ部分の仕上げをおこなった。
ケイイチが施した部分と偽ヒロシが施した部分の差は明確であった。
明確と言ってもヲタの領域に達した洗車野郎にしかわからない差ではあるが。
ルーフ部分の輝きの方がさらに歪みが少ない。
「な、なぜだ!?俺とあんたのやったことの違いと言えば、あんたがコンパウンドという
余計な作業を追加しただけ。なのに、なぜさらに差がつく?」
ケイイチは新車で、しかも得意分野で勝負を挑み、万全の必勝体制であった。
しかし、現実には負けたのだ。
「おまえの作業そのものには一点の落ち度は無い。だが、お前はおそらく新車で納車された
当日にいきなりコーティングをしただろう。受注生産のコペンは特に塗装がなじんでいない
状態で納車されるのだ。塗装のなじんでいないボディにポリマックスを塗りまくっても
塗料がびっくりするだけだ。だから一度ポリマックス付属のコンパウンドでリセットさせて
もらった。リセットしたルーフ部分にさらに磨きをかけ、少しでもなじませてから
もう一度ポリマックスを塗ったのだ。これが高級車並みの塗装の施された本来のコペンの
輝きだ」
ケイイチは膝をついてへたり込んだ。塗装のなじみや、コペンの高級な塗装くらいのことは
わかっている。わかっているが、納車されれば洗車野郎の血がどうしても騒ぐ。
一刻も早く輝かせたいのだ。今回のバトルは洗車野郎の心理につけこんだ偽ヒロシの
圧勝であった。
そして、ケイイチは例の契約書にサインをした。だが、契約書の真の内容は恐るべきものだった。
『私は勝負に負けましたので、勝負に使用した車を無償で譲渡いたします』
「名義変更は俺の方でやっとくから」
偽ヒロシはそう言いながらコペン車内のケイイチの私物を取り出し、石のように固まったケイイチ
を横目にレッカー車を従えて去って行った。
偽ヒロシの乗るイモラオレンジのNSXは間違いなく記憶喪失になったヒロシのものである。
果たして、ヒロシは以前にこの偽ヒロシに敗北したことがあるのだろうか?
計り知れない実力を持つ偽ヒロシと、料理人の修行をするヒロシがぶつかる日は来るのだろうか?
本日は以上です。
いいね。
直接対決が楽しみだ。
凄ェ、WAX先生、凄ェよ!「塗料がびっくり」なんて描写が出てくるなんて思わなかった!
あと、ヒロシが料理人としての修行の中でどんな新洗車技を編み出してしまうのか、う〜楽しみだ〜
727 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/10/31(月) 21:24:58 ID:S1Qs2woRO
いまだに謎の道場のオヤジ。何が目的でヒロシを修業させるのか?
偽ヒロシはなぜヒロシのNSXを所有しているのか?
今回はこの人独特の描写がよく出ていてマジで楽しんでます。
ヒロシはどうやって偽ヒロシに勝つのかワクワク。
728 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/11/01(火) 01:23:38 ID:oHZK8biJO
最高ですかぁー!?
729 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/11/01(火) 03:26:41 ID:oHZK8biJO
最高でーぇーす!!(`・ω・´)
偽ヒロシは道場の店に来ていた。
「道場さんよ、ヒロシが一度記憶を取り戻しかけたようだが、その後は大丈夫か?」
「あ、ああ大丈夫だ・・・しかしお前はヒロシになりきっていくら稼いだんだ?」
「ふん、あんたの知ったことじゃないだろ。あんたがヒロシをしばらく預かるというから
あんたの借金の残りをチャラにしてやったんだぜ?むろん、あんたに貸していた分
くらいはとうに稼いでいるが、こうして客として来てやってるんだから文句を言うなよ」
「ヒロシはワシがこのまま一人前の料理人に育て上げる。奴には才能がある。
だから、ヒロシが記憶喪失なままなのはワシにとっても都合はいい。
だが、これ以上ヒロシの名を落とすようなことはせんでくれ・・・」
「道場さんよ、あんたにそんな事が言えた義理か?結局自分の借金の返済にあんたも
ヒロシを利用してるんじゃないか」
偽ヒロシはそう言うと、席を立ち、店を出る直前にヒロシの顔をチラリと見た瞬間、
ヒロシと目が合った。
その時、ヒロシにまた頭痛が走り、なにかもやもやとした走馬灯のような記憶が
頭をよぎった。
「(う、あいつは・・・なにか見覚えがある、う、頭が痛い!)」
皿を洗っていたヒロシは目の前が真っ白になり、座りこんでしまった。
偽ヒロシが去ったあと、ヒロシは道場に頭痛と体調不良を訴え、先に帰ると言って
そのまま失踪してしまった。
洗車ゴロ、偽ヒロシは今日も悪知恵と卓越した技術を使って洗車野郎から財産を
巻き上げていた。その噂を聞きつけ、一部始終を陰から見ていた男がいた。
レッカー車に戦利品の車を載せ、意気揚々と引き上げようとする偽ヒロシに
その男は声をかけた。
その男は、なんとヒロシの永遠のライバル、トシユキであった。
「ほう、お前が噂の洗車ゴロ、ヒロシか」
「洗車ゴロとは人聞きが悪いな。これは立派なビジネスだ」
「ビジネス?俺の知っているヒロシはそんな奴じゃねえな」
「お前さんの知っているヒロシはどんな奴か知らないが、俺は合意の元で
この車を頂いて行くんだ。口を出される筋合いはない」
トシユキは一歩前に出て、偽ヒロシの胸ぐらをつかんだ。
「いいか、俺のよく知っているヒロシは洗車を心から愛し、あくまでも娯楽として
考えている。お前のように賭けの対象にして薄汚い行為に使おうなんて微塵にも
考えてない奴だ!!」
偽ヒロシは、薄ら笑いを浮かべ、
「その手を離してもらおうか、俺があんたの知っているヒロシとやらかどうかなんて
関係ない。俺にケンカを売った以上、洗車で勝負だ」
「望むところだ!お前のようなヨゴレ洗車野郎は俺が徹底的に叩きのめしてやる!」
トシユキはそう言って勝負が始まろうとした瞬間、
「待て!」
トシユキ、偽ヒロシ両方に聞き覚えのある声が聞こえた。
そう、それは行方不明になっていたはずのヒロシであった。
本日は以上です。
トシユキなんて昔のキャラ、誰も知らんだろうなw
>>WAX氏
いやいや、トシユキ、しっかり覚えてますよ
734 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/11/01(火) 21:58:30 ID:ciGZ4672O
おいらもしっかり覚えてますよ。懐かしくて涙が出そう。
トシユキVS偽ヒロシかと思わせて、本命ヒロシの登場ですか。
うーん、トシユキカコイイ!偽ヒロシと勝負してみてほしい!
しかし、早く直接対決を見たい!
覚えてくれていてこちらも涙が出そうです。
熱いな。そしてカッコいいな。
「お前は確か、道場のオヤジさんに金を貸し、法外な利息でオヤジさんを苦しめて
いた奴だな!俺は全てを思い出したぞ」
実は、ヒロシと道場は元々知り合いであった。ヒロシが洗車野郎として駆け出しの頃、
洗車以外に能のないヒロシは道場の店で少し働いていたことがあり、
公私共に道場には大変世話になっていたことがあった。
あるきっかけでヒロシは恩人である道場の偽ヒロシからの借金の保証人となり、
法外な利息で払い切れなかった道場の肩代わりをしてしまったのだ。
それでもまだ支払いは及ばず、記憶喪失のヒロシを道場がうまく囲う代わりに
残りの借金をチャラにしていたのだ。
「ほう、スカイラインの兄さんよ、多分あれがあんたの知っているヒロシ
だろうよ」
偽ヒロシは不敵な顔でトシユキにそう言った。
「おいニセモノ!善良な洗車野郎はおろかオヤジさんまで喰い物にしやがって!
しかも俺の名を騙って今日までの悪行の数々は仲間から聞いているぞ!
トシユキ、悪いがこいつとの勝負は俺に譲ってくれないか」
「ああ、お前がケリをつけろ。俺が審判をしてやる。おい、ニセモノ!
判定は平等にやってやるからそこは安心しろ」
こうして、トシユキが立ち会う中、ヒロシと偽ヒロシのバトルが始まった。
738 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/11/02(水) 23:04:47 ID:p1soSgyhO
対決はぜひ漏れの鳥糞&高速でつぶれた虫だらけの10年式ビビオ(紺・バン)でやってくれ(笑)
バトルの内容は偽ヒロシの提案で目隠しでの洗車勝負となった。
前代未聞、洗車に関しては天才的な腕を持ち、数知れない場数を踏んできたヒロシと
トシユキにとって、まさか目隠しをしての洗車など聞いたことがない。
だが、偽ヒロシも同じ条件であるから断る理由もない。
さらに、効果の違う3種類ずつのシャンプーとワックスを用意し、それも目隠し
で選び、運が悪ければ効果の薄いシャンプーやワックスを使うことになる。
全て同じ色、形の容器に入れて選択するルールだ。
いくらヒロシが超人的とは言っても、ある一定の域以上に達した洗車野郎同士
では質の劣るワックスを使えばかなり分が悪い。偽ヒロシもその辺の洗車の猛者
など寄せ付けない腕前を持つことは事実である。しかも、目隠しで洗車をできる
ほどとあっては、偽ヒロシの不気味な底力をバトル前から充分に感じ取れる。
二人ともシャンプーとワックスの位置を確認し、目隠しをしたところでバトルは
始まった。
偽ヒロシは目隠しをしているのにも関わらず、器用な手つきでシャンプーを始めた。
まるで見えているかの如く隅から隅まで泡立つ。
元々ヒロシの所有していたイモラオレンジのNSXはあっという間に泡に包まれ、
手際よく水に流され、ワックス作業に入る。
偽ヒロシはシャンプー、ワックス共にうまく最高のものを選択していた。
しかし、これには仕掛けがあり、偽ヒロシはあらかじめ自分にだけわずかな手触りで
どの容器が最高級品かわかるようにしておいたのだ。
しかも、普段から目隠しでの洗車の訓練をしている偽ヒロシにとって目隠し洗車は
苦にならない。偽ヒロシは勝つ為なら手段を選ばない男である。
それが裏世界に生きるプロの洗車ゴロとしての冷徹なやり方でもある。
確実な勝利を予定していた偽ヒロシだが、彼ほどの男でも、元祖伝説の洗車野郎である
ヒロシの実力を見誤っていたのである。
本家ヒロシは目隠しで3種類のシャンプーとワックスをそれぞれ手に持ち、
何の問題もなく最高品質のものをピックアップし、シャンプーを始めた。
車はトシユキのスカイラインである。
目隠しでの洗車などしたことがないヒロシではあるが、以前にそれに似た経験は積んで
いる。洗車坊主の滑粘法師の下で嫌というほど暗闇の夜の洗車を修行してきた。
今回は暗闇どころか目隠しではあるが、天才ヒロシにかかればそう大差はない。
ヒロシのスポンジ術によってスカイラインは原型がわからないほどの泡立ちをし、
水で流され、ヒロシは目隠しのままでいつもの必殺技であるふき取り無しの
一発ワックスがけを披露した。
こうなれば同じシャンプーやワックスを使い、ヒロシ側も普段通りの力を出せば
ヒロシの勝利は誰が判定しても間違いないものであった。
偽ヒロシはうなだれ、
「ヒロシよ、運が良かったな。お前がシャンプーかワックスのどちらかでも間違った
選択をすればお前が負けていた」
負け惜しみのようなことを言う偽ヒロシにトシユキはまた胸倉をつかもうとしたが、
「いや、何回やってもヒロシはベストのワックスを選んでいた」
そう言って現れたのは道場であった。
「ヒロシには絶対味覚がある。だが、味覚とは甘い、辛い、苦い、しょっぱいなど
の区別しかつかず、真の味と呼ばれるものは嗅覚なのじゃ。
ヒロシには天性の味覚と嗅覚がある。だからワシはどうしてもヒロシにワシの跡を
継いで欲しかった。いや、今はそんな話ではない。つまりヒロシはその天性の嗅覚を
ワシの元での修行で磨きをかけ、シャンプーとワックスはその匂いで嗅ぎ分けたのじゃ」
そう、道場は偽ヒロシがここ一番での大勝負では目隠しバトルを仕掛けることを
よく知っていた。だから以前にヒロシが記憶を取り戻しそうになったときに
あえて封印したのである。こんなこともあろうかと・・・
もうひとつの本心は本気でヒロシに料理人の跡を継いで欲しかったというのもある。
「ヒロシ、済まなかった。ワシは自分苦しさに君を利用してしまった。許されるとは
思わないが、この償いはどんなことをしてでもする」
道場はそう言ってヒロシに頭を下げる。ヒロシは優しい笑顔で答える。
「オヤジさん、俺は昔どれだけ世話になったか・・・それに、オヤジさんのおかげで
俺は洗車の新境地を開くことができた。かえって感謝している。頭を上げてくれ」
道場は泣きくずれる。涙もろいトシユキはもらい泣きをしている。
「おい偽ヒロシ、もう二度とこの界隈に出てくるな」
ヒロシがそう言うと、偽ヒロシは、
「俺の本名もヒロシだ。俺は以前から俺と同じ名前で有名なお前が気に食わなかった。
お前の車が手に入ったとき、お前になりきってさらに稼いでやろうと思っていた。
だが、お前が記憶を取り戻した以上はもう終了だな。
お前の有名税で稼がせてもらった礼にNSXは返してやるよ」
そう言い残し、偽ヒロシ(本名もヒロシ)はヒロシに車のキーを投げ渡して去って行った。
洗車野郎としてもう一度出発することになったヒロシは、トシユキと共に旅立ったのであった。
ヒロシ、記憶喪失編
完
744 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/11/02(水) 23:56:51 ID:nBxLXiALO
先生、最高です!
早く直接対決を見たかったけど、終わってしまうのが寂し過ぎる。
巨匠が降臨していたここ数日の夢の時間が終わるのか(つд`)
ヒロシ〜!記憶が戻って良かったよぉ!
ホント、ヒロシにオレの車も洗って欲しいっす。
今回のストーリーも最高でした!
ありがとうございました。
747 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/11/03(木) 18:14:28 ID:JJ3lDOZOO
面白かった(´ー`)文才あるよね
こんな名スレがあったなんて、ず〜っと見落としていたよ。
最初から一気に読んでいい休日を過ごせたよ。
職人がいない間もスレを保守していた読者もすげーし、
数人の読者の為に書いている職人はマジですごい。
職人様、お疲れ様です。電車男の予感…
WAX氏お得意の長編でしたね。
今回の話なんてそのまま漫画化とかできそう。
俺も何か書きたいけど小説の形式では無理だよ・・・
750 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/11/04(金) 06:46:38 ID:dzquhEUtO
いやいや、洗車男ですわ!
751 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/11/04(金) 18:28:06 ID:G6JvHbbj0
読みやすく、描写も巧いし、しかも面白い。
WAX先生ってプロの物書きさんですか?とても素人とは思えない。
質のいい職人たちとマナーのいい読者たち。
お手本みたいなスレだね。
なるべくsage進行で見守りたい。
>>751 推敲もしないでどんどん書き込むその辺の素人です。
久しぶりに再会し、一緒に洗車修行の旅に出ることになったヒロシとトシユキであった。
トシユキはヒロシのことをライバル視し、尊敬しているが、実のところは
トシユキの方が洗車について色々と懐が深い。東太平洋洗車ランキング3位から
最近チャンピオンに輝き、文部科学洗車省からも洗車功労賞を受けているほど
華々しい肩書と経歴を持つ。一方、ヒロシは洗車後進国であり、洗車は一部の金持ちや
ラスベガスでショーとして行われていたアメリカ大陸に一気に「SENSYA」文化を
広めた男であるが、これもアメリカでトシユキとバトルをしなければおそらく
アメリカでの成功はなかったであろう。
二人は街角のコイン洗車場に入った。
「さて、ボディを洗ったら室内も掃除だ。あのニセモノ野郎め、車内の掃除は
全然やってなかったようだ」
ヒロシがそう言うと、
「おいおい、何をおかしなことを言ってるんだ、室内もやるなら室内が先だろう」
トシユキは呆れるように苦笑いをする。基本は室内清掃が先である。
ボディ洗車を先にすると、いくら水分を拭き取ってもいくらでも水滴が出る。
洗車したら車体が見えない部分も完全に乾くには3日はかかるのだ。
室内清掃はボディが乾いた状態の方が作業性も良く、湿気を含まない状態の
方がクロスによる拭き掃除や掃除機のかかりも良い。
わずかな差であっても室内は先にやるべきである。トシユキは、達人で
ありながらたまにそういう認識の抜けているヒロシがおかしかった。
「じゃあ、まずシートを取っ払うぞ」
トシユキがそう言うと、ヒロシはヒロシで心の中で
「(コイン洗車場みたいな公共の場でそこまでやるのかよ)」
と、豪快なトシユキがおかしかった。
室内の清掃はなるべく小まめな頻度でシンプルに行うのがいい。
フロアマットの水洗いは避けられるなら避け、埃をはたく程度でよい。
ダッシュボードやガラスの内側は水拭きとから拭きで充分であり、
その他は掃除機で吸い込んでおけば特別な処置は必要ない。
今回はシートを外したので、フロアマットを薄めた中性洗剤で洗い、
偽ヒロシが結構汚していたので全て中性洗剤で拭き掃除をした。
シートレールの隙間から結構な総額の小銭が発見された。
ヒロシが缶コーヒーを買いに行っている間、トシユキはヒロシの車内から
一通の書類を発見した。偽ヒロシが残していったものである。
封が開いていたのでトシユキは何気に中身を読んでしまった。
トシユキの表情がみるみる豹変し、手が震えた。
ヒロシがコーヒーを買ってきたとき、トシユキはあわてて手紙を隠し、
「(この内容はヒロシに言うべきか言わぬべきか・・・・)」
その後のトシユキはなにやら浮かない顔で作業を続けていた。
×トシユキはあわてて手紙を隠し、
○トシユキはあわてて書類を隠し、
本日は以上です。
これから書き込みのペースがぐんと落ちると思いますが、
なるべく時間をつくります。
ちなみに、室内清掃とボディ洗車の順番なんてやりやすいようにやればいいです。
おっもう続編開始ですか!ありがとうございます!
ヒロシが意外にも洗車の基本は適当っていうのは意外でした。まぁ天才ってそんなもんなんだろうなぁ。
しかし「偽ヒロシ」とヒロシにどんな関係が・・・
話の引っ張り方上手いっすね〜。
続きが気になる。きっと面白い展開になるんだろな。
スレの最初の方で評価職人がWAX氏を「キャラ使い捨てタイプの職人」と
指摘してて本人も認めていたけど、その辺はどうなるのだろう?
あと、推敲なんてしなくてもいいですよ。
>>757の人と同じく楽しく読んでますので。
>>756 乙です。リクエストのあった車内清掃編ですね。さすがです。
>>757 >評価職人
いましたねそんな人も。アレはアレでおもしろかった。
私の方は見事に核心つかれてましたし。
760 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/11/07(月) 23:36:19 ID:H2XR39b3O
また次の楽しみが増えましたな!(´ー`)
次スレもそろそろ気にしないといけない感じだし
次スレはまだ気が早いかとw
>>759 CARWASH先生の新作も読みたいんですけど・・・まだ構想中でしょうか?
気が向いたらUpして下さい、待ってます!
762 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/11/10(木) 09:11:31 ID:dNwQUmPH0
>>761 CARWASH先生は隠居しました。
次のヒーローはキミだ!!
人知れぬ山奥にひっそりとコイン洗車場がある。
そこはほとんど洗車に来る者もおらず、ひどければ一週間は洗車客が来ない。
だが、なぜかいつも洗車機器は丁寧に整備されており、併設の売店では
高品質の洗車用品が格安で売られていた。だから逆にコアな洗車野郎の間で評判と
なっていて、わざわざ高速代やガソリン代を払ってまで洗車に来る者もいる。
噂では洗車好きの金持ちが酔狂で経営しているのではないかと言われている。
そのコイン洗車場の併設の売店がある小さなビルの屋上で、数人の男が集まって
いる。数ある洗車組織の中でも歴史と伝統、実績ではナンバー1と言われる
「洗車長老会」である。洗車長老会はあまり表立った活動は無いが、
数ある洗車組織の中で特に実績のある者が名簿に加わり、洗車の腕はもちろん
人格や経験も長老会に入会できる条件であり、洗車長老会に名を連ねることは、
トシユキの持つ東太平洋洗車チャンピオンより名誉なことなのだ。
あまりに敷居の高い組織のため、若い洗車野郎の間では幻と呼ばれている。
そして、このコイン洗車場は洗車長老会が長老会の看板を上げずに密かに
経営する洗車場であった。長老会の会合に集まっているのは年配の者ばかりで、
いかにも洗車道を極めたとばかりの男たちであった。
「ほう、我が会、いや、元我が会の最年少会員であった奴(偽ヒロシ)が、
あの噂のヒロシに敗れたか」
「うむ、奴(偽ヒロシ)の腕は良かったが素行が悪いので除名処分にしていた。
反省もせず、例のヒロシの名を騙ってまた悪さをしていたようじゃ」
「まあ、奴(偽ヒロシ)は邪心を捨てればあの噂のヒロシにすら負けない男に
なっていたのに。洗車仙人が目をかけておったあのヒロシにな」
「しかし奴(偽ヒロシ)がどういうつもりでヒロシに近づいたのか知らんが、
これは偶然であろう」
トシユキが偽ヒロシの残した書類を発見した頃、ほぼ同じ頃に
長老会のメンバーの会議は淡々と続いていた。
偽ヒロシは、なんとこの洗車長老会に在籍していたことがあったようだ。
よほどの実績が必要なため、年寄りばかりの長老会において際立った若さで
長老会に在籍していた偽ヒロシは、依然ヒロシに負けて以来消息を絶っている。
今回は以上です。次はいつになるかわかりませんが。
765 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/11/10(木) 21:23:15 ID:eYJDdFdJO
激乙。
新たな展開で長編の良さが滲みだしてますな(´ー`)
WAX先生の引き出しの多さには感服しますね。
「偽ヒロシ」がそんな凄い経歴の持ち主だったとは!
なぜ輝かしい「洗車長老会メンバー」の座を捨て、洗車ゴロなどに身をやつしたのか…
またもや壮大なストーリーの幕が開かれようとしている!
たまに本人が誤字脱字系のミスを修正しているけど、
先生自ら公言されている推敲なしカキコみたいなので、御愛嬌でしょう。
それを差し引くとなんかプロっぽいよね。
ストーリーの組み立てなんか素人とは思えない。
続きを楽しみにしています!
「さて、車内消臭は簡単に済ますか」
ヒロシはそう言って一缶300円程度のスプレー式エアコン消臭剤をセットした。
エアコンを内気循環に設定し、ACを切って風量を全開にしてしばらく車内を
閉めきるだけでいい。
これは簡単な割には強力で、無臭タイプを選んで2本同時に施せばエアコンの
嫌な臭いが結構取れるものだ。さらに消臭スプレーくまなくばらまく。
ヒロシは以前に潔癖工房とバトルしたときには緑茶成分入りの消臭剤を
自作し、潔癖工房のケミカルを否定したことがあるが、潔癖工房のものは
いかにも毒々しい強力過ぎる薬品であったため、今回のようなライトなケミカル
消臭まで否定はしない。換気さえ充分に行えば人体に大きな影響はない。
車内への強力なケミカル使用は、あくまで万人向けでは無いということだ。
ちなみに、車内の悪臭の元は布地から出ていると思われがちだが、
実はプラスチックやガラス部分など、表面の分子が平らである部分の方が
悪臭を放つ。布地は悪臭を吸い込んでも逆に臭いを閉じ込めてしまう性質があり、
プラスチックやガラスは臭い分子がむきだしになるので臭いを放つ。
車内の臭いが気になる人は普段からガラスや樹脂部分をこまめに拭き、
布地部分は中性洗剤を薄めてこする程度で良い。
「なんだよトシユキ、さっきから急におとなしいじゃないか」
ヒロシがトシユキの態度がおかしいことに気付いた。
「い、いや、腹でも減ったな」
トシユキはそう言ってごまかしたが、
「(もしも偽ヒロシが残した書類の内容をヒロシが知ったら、ヒロシはとんでも
ないことに巻き込まれるだろう。それに、これは俺のケジメの問題でもある。
こいつは何も知らない方がいいんだ)」
トシユキはそう思いながら精一杯のつくり笑顔で、
「メシでも食いに行くか」
と言ってヒロシを連れて行列の出来るラーメン屋に行った。
本日は以上です。
CARWASH氏、洗車仙人を借りますよ。
いつも車内清掃では、布地が臭いの元と思いバンバンはたいていたけどプラスチック・ガラスの方だったのか〜
参考になるなぁ。
さっそく明日は洗車と車内清掃の実践だ!
>>769 乙です。書類の謎にワクテカしてます。
>洗車仙人
どーぞ好きなだけお使いください。ヒールにしても殺しても一向に構いませんw
>>761 >>762 隠居っつーかネタがないんですわ。
私は初心者用のHowToものが書きたいんですが、なんせ私がポリラック
マンセーなもんでw
シャンプー、ピッチタール落し、粘土、コンパウンド、カルナバワックス(以前使ってた)、
ポリラックと書いてしまったので、人に伝えるほどのノウハウ持ってるもの
が残ってません。
心残りは粘土ですね。あんまりにも端折り過ぎました。アレじゃ作業でき
ない。リメークしよっかな。
>>770 特にタバコの臭いは車内ガラス、樹脂部分にこびりついています。
車内でも外気に触れる機会が多いですから、外気の排ガスや
油成分、グリスと結合して変な臭いになります。
布地の臭いの元は主に雑菌ですので、洗濯用の液体洗剤、
特に柔軟材入りを薄めて使うと、汚れ落としになりますし、
しっかり乾燥させればファブリックシートの臭いは落ちます。
汗臭い衣類でも洗濯して天日で干せば臭いが消えるのと同じです。
>>771 私の場合は完全に洗車ハウツーから道を踏み外して自己満足
駄文を書きちらかしているだけなので、
是非ともリメークをお願いします。
773 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/11/14(月) 19:05:32 ID:hcthsTeU0
良スレにつきアゲさせていただきます。
774 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/11/16(水) 03:59:23 ID:VL2wDOgzO
聞きたいんやけどホイールの内側に着いた黒くなった固まり(鉄粉?)あれってどうやって落とすよ?
ねんどで取れるかな?あと着かないようにするにはどうすればいい?
>>774 ホイールの内側ってホイール外した裏側の真っ黒なアレのことでしょうか?
ローテーションする時、確かに気にはなりますけど、私はさすがに諦めて
ます。
目の届く範囲で、日常の洗車で手を出せる範囲であれば、ポリラックマンセー
な私は
>>316で書きました。
詳しくは書いてないけど、ブレーキダストならこれで落ちますよ。
ダメなら(ダメだったことはないですが)私は粘土を使うでしょうね。
776 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/11/16(水) 23:04:47 ID:VL2wDOgzO
どうも。ポリラックてそんなにいいんですか!普通にABなんかでも手に入りますかね?
>>776 うーん・・・何とも言えません。私は気に入ってますが。
でも、なーんか怪しいんですよね。
つーかココは洗車質問スレではないので、これをネタにちょっと書いて
みます。カナーリ眉唾ものになりそうだけど明日まで待って。
すいません。所用で遅くなってしまいました。
>>776への回答を、キャラ使って書いてるだけと思ってください。
ポリラックに興味の無い人はツマランと思います。
--------------
ミドリはインプレッサにポリラックを施工しているヒロシに、けげんそうな顔で声をかけた。
「うわ。どうしたのそのインプレッサ。シマウマ状態じゃないの。」
ヒロシの白いインプレッサは、水垢でシマウマのようになり、ボディ下部にはタールやブレーキダストが
あちこちに着いていた。
「あぁ。ちょっと試したいことがあって3ヶ月ほどほっといたんだ。洗いたくて仕方なかったよ。」
「へぇ・・・何?試したいことって。」
「いや、ポリラックのクリーナー効果は高いってよく聞くから、じゃあ3ヶ月洗わなかった
車にポリラックだけかけたらどれくらいきれいになるのかな・・・って」
実際、ポリラックの皮膜があれば、ちょっとした縦筋は水洗いで落ちてしまう。固着するのを待つのにヒロシ
は3ヶ月放置したのだった。
「チャレンジャーね・・・。で、どうなの?」
「・・・・・・・最悪・・・。縦筋も落ちないし、タールも落ちないや。」
「はは。コーティング剤のクリーナー効果がそんなに高いはずがないだろう。」
「あ、シュウ!いい所に来てくれた。じゃあ噂は嘘なのか?」
「それがそうとも言えんのだ。今からその車、粘土とコンパウンドだけできれいにしてみるといい。」
1時間後・・・
「ダメだぁ!キリがないよこれは!水垢は落ちたけど、タールかな?この黒いポツポツをいちいち落すのは大
変だ・・・」
「ははは。じゃあ今からポリラック塗ってみるといい。」
「え?でもまだ残ってるぞ。」
ヒロシは洗車欲求を抑えに抑えてやっと洗える日が来たのだから、ここは徹底的にきれいにしたかった。
「いいから黙って塗ってみろ。」
30分後。ポリラックの拭き取りを終えた。
「おいおい・・・無くなってるよ・・・これは一体?」
「いや・・・それがよくわからんのだ。何故か落ちる。やはりクリーナー効果は高いんだろうな。粘土とコン
パウンドである程度落としやればあとは一気に落ちるんだ。2週に一回程度の施工ペースなら、まだ固着して
ないから粘土無しでも落ちてしまうんだ。」
「へぇ〜。なるほど。だからあーゆー噂になるのか・・・。ポリラックってなんかあやしい・・・」
「ははは。確かにあやしいな。」
そう言ってシュウは聞かれもしないポリラックの特徴を熱く語り始めた。
・水玉コロッコロの撥水はしないが、親水でもない中途半端な撥水。
・今はコーティング剤はいろいろあるが、耐久性、施工の容易さ、汚れ落ち、光沢など、総合するとなかなか
代わる商品はない。
・モールに付くと白く残る。ただし、あとでウェットティッシュやフクピカウェットなどで拭き上げれば落ち
る。
・ガラスに使うと油膜が落ちるようなことが取り説にあるがオススメできない。
・白い車に塗ると黄ばむとかいう噂があるが、きちんと薄塗りすればそんなことはない。
・ホイールに塗るとブレーキダストが落ちる。これはバケツに残った水溶液でも十分。
・皮膜の上からなら付いた多少モール部などから汚れが流れた(縦筋)は、固着前なら水洗いで落ちる。
・300mlあれば普通の人なら1年はもつ。
・売ってる店は少ない。量販店ではオートバックスとハンズくらいか?
・値段はハンズ>オートバックス>ネット通販。ネット通販ではリッターサイズもあり、格段に安い。
・ネット通販は個人輸入で薄めたりしてる悪徳業者もあるという噂。
ここまで語りシュウガ振り返った時、そこにはヒロシもミドリもいなかった。
以上です。
読み返してみても、全然面白くないですねw
ポリラックについてですが、私自身が使って感じていることを書きました。
違うように感じられる方も多いかもしれませんが、ツッコミは適当にお願い
します。
ただ、私自身は年に4回くらいしか施工しないので、眉唾な部分も多いです。
carwash氏乙であります。
最後に笑わせていただきました。
784 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/11/20(日) 05:50:46 ID:ZZqrBEAIO
クソスレあげ
785 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/11/20(日) 19:18:28 ID:ZZqrBEAIO
クソスレ
786 :
776:2005/11/21(月) 22:12:58 ID:unhnWUDWO
どうもわかりやすく説明ありがとうございます。なんか試してみたくなりますね!
自分の車はキャンデーカラーに全塗装してあるんで洗車回数を増やさずにきれいにしたいんですよね。
で、ホイールの内側までこまめに洗ってたんですが限度あるみたいで…手元にねんどがあるんで平行して試したいですね!
787 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/11/22(火) 22:06:42 ID:pvsvBpsj0
闇鍋氏が去ってから久しぶりに読んだが、やはり最高だ!
こういう文才ってのはカコイイ!
本気で本にならないかな〜。
偽ヒロシは相変わらず洗車ゴロとして暗躍していた。
洗車勝負で相手の愛車を巻き上げ、金貸し業界でも名が通っている。
何かに取り憑かれたように荒稼ぎをしているらしい。
トシユキはそんな偽ヒロシが許せず、とうとうヒロシの名を騙り始めたので
我慢できなくなって偽ヒロシの前に表れたわけだが、ヒロシに負け、
例の書類を残して行ってからは偽ヒロシの話題に触れようともしない。
さらにあれから態度がおかしくなっているトシユキを変に思い、
ヒロシはとうとう問いただした。
「トシユキ、あの時なにかの書類をあわてて隠したときからずっと変だな。
あの書類はなにか大事な物だろうと思って黙っていたが、これだけお前が
悩んでいるのを見ると俺までつらくなる。
よかったらあの書類は何だったのか教えてくれないか」
トシユキは書類を隠したのを見られていたのかと思いながら、
「・・・・近いうちに教える・・・」
トシユキのそんな力ない言葉に、ヒロシはそれ以上何も訊かなかった。
その頃、またもや偽ヒロシは有名な洗車野郎に勝ち、身ぐるみを剥ぎ取って
いた。負けた洗車野郎は偽ヒロシを罵倒する。
「き、貴様それでも元洗車長老会のメンバーか!!貴様のような
血も涙もない最低な強欲男が憧れの長老会メンバーだったと思うだけで
反吐が出る!」
偽ヒロシは小悪党のような笑いを浮かべながら聞き流していたが、
「(ふん、何が憧れの長老会だ。俺の方こそ長老会にいた過去に反吐が
出る。あんなに腐ってしまった組織は絶対に潰してやる)」
偽ヒロシがそう思うのは長老会を除名された逆恨みか?それともなにか
深い理由があるのかは今のところ偽ヒロシ本人とトシユキしか知らない。
浮上させとくよ
790 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/11/28(月) 15:52:20 ID:+xogIP2+O
書類の内容はなんだ?
791 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/12/01(木) 05:07:33 ID:trXN9U8DO
今までROMってたけど、なんだかここ寂れたね…。読んでた人も上げないし、作家陣も既に書くのやめちゃったのかな?
792 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/12/01(木) 18:02:55 ID:0/7OD4AdO
いやいや、毎日更新されるのみとるよ!
ヒロシとトシユキは山奥で洗車をしていた。
当初はラーメンマニアであるトシユキが数年前に立ち寄ったラーメンの味が
忘れられず、ヒロシを誘って山奥のラーメン屋へ行ったわけだが、真の理由は
ラーメン屋の娘がトシユキのモロ好みで、頑固そうな店主に遠慮して声をかけられず、
そのまま時間が過ぎていた。なんとなくあの娘はどうしているのかなという気持ちで
ヒロシを誘ったに過ぎない。娘は結婚していて婿さんが頑固オヤジにしごかれながら
仲良く経営している姿を見て、トシユキは複雑な気分であった。
ヒロシはその一部始終を見て状況を悟り、帰り道は淡々と車を走らせていた。
その帰り道、閑静な森林の沢に流れる清水を見て、ヒロシたちは洗車魂が湧き上がり、
その水で洗車することにしたのだ。
バケツで洗車する場合は面倒でもかなり念入りに水をかける必要がある。
ホースや洗車ガンのように充分に埃を落とす水圧をかけられないため、
最初はゆっくりと車体に水をかけ、天井からゆるやかに水を流す。そして
バケツに半分くらいの水を車体に叩きつけるようにかけていく。
自然の中での洗車のため、水洗いのみで作業をしていたが、街中での洗車でも
シャンプーやワックスを使えば結局は自然破壊をしているもので、そんな
人間のエゴを反省しつつ洗車をする二人であった。
「ヒロシ、そろそろ書類の内容を明かすよ」
「・・・・・」
ヒロシは黙って頷いた。
794 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/12/02(金) 20:40:45 ID:RsrNgoVnO
誰かが書き込むの待ってたみたいに次作の登場です!自分は毎日見てますよ!
車をゆっくりと丁寧に拭きながらトシユキは語りだした。
「お前も洗車長老会を知っているだろう」
「知ってるも何もお前の実家みたいなもんじゃないか。じいさんは元気か?」
そう、トシユキは洗車長老会の御大、洗車の神様であるトシヒコ翁の孫であった。
トシユキは物心がついた頃には洗車の毎日で、洗車については神様としか
言い様の無いトシヒコ翁に超英才教育を受けていたようなものである。
天性の才能と感覚で洗車技術を磨いたヒロシとは対象に、トシユキは
神様の下で洗車技術の基本をマスターした生粋の洗車野郎なのであった。
ヒロシも何度かトシヒコ翁に会ったことがあり、天才ヒロシですら
本能的に洗車勝負では敵わないオーラを発していた人物である。
トシヒコ翁は世に趣味としての洗車を普及させるため、自分の洗車組織を起こし、
数々の洗車組織のトップ達を打ち破り、その技術、人格に惚れ込んだ洗車の達人
たちがトシヒコ翁についてきたのが現在の洗車長老会である。
洗車に対して崇高な精神を持つ人で、洗車長老会本部では完璧に整備された
機材のコイン洗車場、優良な洗車道具の格安販売で全国の洗車野郎を魅了
していたのである。
全国の長老会傘下の組織からの寄付金で成り立っており、それもトシヒコ翁の
カリスマ性から成り立つものであった。
だからこそ長老会に名前を連ねることは技術、経験、人格の全てが揃っている必要が
ある。偽ヒロシが若くして洗車長老会に入れたのは、それだけ才能があり、
洗車に対する精神がいかに素晴らしかったかということになる。
トシユキは数年間、祖父や長老会と連絡を取っていなかったので偽ヒロシのことは
知らなかった。偽ヒロシが残した書類で全てが明らかになったのである。
対象→対照的に
797 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/12/03(土) 07:37:01 ID:3CsOkSEKO
意外な展開でおもしろくなりそうですな!サラブレットなワケだ。
798 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/12/04(日) 23:46:07 ID:53+UHMIaO
おっす!オラごくう!
799 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/12/06(火) 23:37:59 ID:CFsaX+ZPO
みんなどこ行った?
>>799 スマソ。プロキシ規制に引っ掛って書き込みできなかったもので。
なんか話がスターウォーズのジェダイ評議会みたいにエライことになってきたなぁ!
あっところでWAX先生。
>>793のラーメン屋の娘の件は先生の体験談ですか?
なんかほのぼの風味でいいですねぇ(w
書類の内容によると、トシヒコ翁は病に倒れ、長老会のナンバー2である
堤ヨシアキが仕切っている。
表向きには長老会は従来通り運営されているように見えるが、ヨシアキは
トシヒコ翁を幽閉し、トシヒコ翁の名で傘下の洗車組織からの寄付金の額を
吊り上げ、不正に着服して私腹を肥やしている。
洗車長老会幹部の中でこの動きに感付いた者がおり、当時会員だった
偽ヒロシに内部調査を命じ、ヨシアキの不正が明らかになった。
その幹部は、洗車長老会の名を落とさぬ為に内部で処理しようとして
ヨシアキに自主退会と返金を求めたが、ヨシアキの陰謀により失脚させられた。
他の長老会幹部はトシヒコ翁の病は知っているが、まさかヨシアキが
トシヒコ翁を幽閉して長老会を私物化していることに気付いている者はいない。
偽ヒロシとしても、騒ぎを大きくすれば長老会、いや、尊敬するトシヒコ翁の
名に傷が付くことを恐れ、あえて自ら素行不良による除名処分を受け、
トシヒコ翁、ヨシアキの共通の知人である洗車仙人に真実を伝えて
ヨシアキを説得してもらおうと考えていたのだった。
これほどまでに偽ヒロシが金に執着するのもなにか深い理由がありそうなのだ。
トシヒコがヒロシに隠していたのは、熱い洗車野郎であるヒロシがこの話を
聞いたら真っ先に動き、騒ぎが大きくなる上、ヒロシに迷惑をかけたくなかった
からである。トシヒコ翁の肉親であるトシヒコとしては、洗車仙人に頼らず、
自分の力で解決するつもりだった。
だがヒロシに隠し事はできず、とうとうヒロシに全てを打ち明けたのである。
804 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/12/07(水) 20:57:38 ID:jMmxKMzlO
みんなちゃんとみてたんだね(-_ヾ)もう廃部になりそうだたーよ。
トシヒコがヒロシに隠していたのは→トシユキが
トシヒコ翁の肉親であるトシヒコとしては→トシヒコ翁の肉親であるトシユキとしては
似たような名前ですいません。
807 :
ビフ タネン:2005/12/07(水) 21:08:21 ID:PYhWCTT9O
ヘイユー!ナイスガイはWAXは2回掛けが基本だぜ!
おもしろいエピソード見つけたおw
>807
バック・トゥ・ザ・フューチャー…?
810 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/12/10(土) 21:40:40 ID:pcF8qQASO
あーネムイ
811 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/12/12(月) 15:30:27 ID:noJhhr75O
あげまん
>>803 「ヨシアキの陰謀により失脚させられた幹部」って既出のキャラなんだろか?
偽ヒロシ。が執拗に金集めしてるのは、その幹部を救う為?
シリアスな展開になっちゃってギャグの入る余地が無いのがちょっと残念。
813 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/12/15(木) 03:56:37 ID:lzZwevfSO
なーに贅沢言ってるんだよ、しっかり楽しみにしてんじゃんか♪
814 :
803:2005/12/15(木) 22:19:43 ID:3drX+QwO0
(*´・ω・`*)ポッ
黙って話を聞いていたヒロシは、
「行くしかないな、そりゃ」
「行くって、どこへ?」
「ヨシアキのおっさんのところだよ」
心の内ではヒロシに一緒に来て欲しかったトシユキは、ヒロシのその言葉を
聞いて今までの胸のつかえが一気に取れた気がした。
その頃、偽ヒロシは某国の運営する暗黒の洗車組織「ショーグン」の幹部に会っていた。
「ショーグン」なる洗車組織は、かなり昔から地下活動しており、
洗車先進国である日本人の腕の立つ洗車野郎を次から次へ拉致しているという噂があり、
洗車に関してほぼ無力であった状態から現在はかなり力をつけてきている組織である。
一般の洗車野郎たちには都市伝説みたいな組織であるが、本当に実在し、
拉致された洗車野郎たちを日本の国家が密かに救出しようと動いているが、
国際情勢からして政府も表立って行動できず、第三の権力と呼ばれるマスコミも
この問題には触れようとしない。洗車長老会は国家から特命を受けて民間組織として
「ショーグン」から拉致された洗車野郎の救出を図ってもいた。
そんな場所に偽ヒロシが出入りしているのだ。
暗黒の洗車組織「ショーグン」の幹部と何かの打ち合わせを終えた偽ヒロシは
少し浮かない顔で帰って行った・・・・
洗車長老会本部に到着したヒロシたちは、真っ先にヨシアキのところに行った。
「ヨシアキのおっちゃん、俺だ」
トシユキがそう言うと、ヨシアキは昔と変わらぬ様子でトシユキを迎えた。
「おお、トシユキのボンじゃねえか、ヒロシも一緒か」
いくつになってもトシユキを子供扱いするヨシアキの相変わらずな態度に、
まさかヨシアキが裏で悪事を働いていることは想像がつかなかったのである。
816 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/12/16(金) 04:11:56 ID:AH9dPBCFO
なんか展開がえらい事になってきたな…ま、とりあえず更新乙
洗車世界の覇権争いか!スケールでかっ!
818 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/12/18(日) 18:07:49 ID:08CuKLsDO
愛知は雪が積もってるよ。昨日洗車しなくてよかったよ(´・ω・`)
酷寒の今こそ、貴方の「洗車野朗」としての資質が問われるのだ!!
821 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/12/19(月) 23:56:07 ID:thpcK0yDO
洗車男
ヒロシ、トシユキ、そしてヨシアキは昔話に花を咲かせていた。
幼少時代のトシユキがトシヒコ翁の厳しい洗車の仕込みでよく泣いていたこと、
トシヒコ翁の課題をクリアできなかったとき、夕食を抜きにされて泣いている
子供のトシユキにヨシアキがこっそり夕食を食べさせ、それを密かに見て見ぬふり
をしていたトシヒコ翁・・・
そう、ヨシアキは父親のいないトシユキの父親的存在でもあった。
洗車の腕も今でもヒロシたちより上かも知れない。そして、トシヒコ翁が最も
信頼していたのがこのヨシアキである。
そんなヨシアキに洗車長老会の予算を密かに横領しているかなど尋ねることは
トシユキにとってはあまりにつらいことであった。
そんなトシユキの気持ちを察してあえてヒロシがストレートに質問した。
「ヨシアキさん、今日ここに来たのは昔話をするためではないんだ、
どうしても確認したいことがある。」
ヨシアキは黙って聞いている。
「まず、トシヒコ会長はどこにおられるのか、病気と聞いているけど、
どこかに入院しているならトシユキと見舞いに行きたい。
そして・・・」
偽ヒロシの残した書類をヨシアキに見せた。
「うむ、皆まで言うな・・・うちにいたヒロシ(偽ヒロシ)から聞いたのか?」
「いいや、直接は聞いていない。だが、奴があんたに関してとんでもない書類を
残していった。もっとも、あんな悪い奴の残した書類の内容なんて信じたくはない。
だが、一介の洗車野郎として長老会の真実を確かめたいだけだ。
もちろん、あんたが潔白ならそう言ってくれれば俺たちはヨシアキさんを信用する」
トシユキもうんうんと頷きながら聞いていた。
ヨシアキは一度黙って立ち上がり、コーヒーのお代わりを持ってきた。
そしてゆっくりと語り始めた。
「奴(偽ヒロシ)は決して悪い奴ではない・・・むしろ、あんな実直で正義感の強い
洗車野郎はいないくらいだ。実直過ぎるゆえに一度走りだすと止まらないところがある。
そして、俺が長老会予算を横流ししているかどうかは、はっきり言えばイエスだ・・・」
トシユキの顔が蒼ざめる。だが正直に話してくれているのでなんとか正気を保っていた。
つづく
なんかこのスレの趣旨に合わなくなってきた。
書いていただけるだけで、有り難い事です。楽しみに続きを待ってます。
826 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/12/21(水) 22:48:12 ID:C5nxYf8pO
いやいや、長編とすればこういう流れは当然てしょ(^_^!)
話の展開から洗車勝負となり白黒つける…そして洗車テクニックをカキコしてもらえると趣旨に合ってくるわくで。楽しみにしてますよ!
827 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/12/21(水) 23:37:09 ID:W7QKCGAX0
記憶喪失ヒロシからの展開をひとつの流れとしたら、
かなり長編になってきてるね。
まさかこんな小説らしい作品をUPする職人が出てくるとは
>>1も想像
していなかったと思う。
828 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/12/24(土) 23:40:26 ID:k3RTRTReO
職人様メリクリあげ。
829 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/12/26(月) 00:13:12 ID:bmxUm/19O
クリスマス終わったな…あとは年明けのみだな…
830 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/12/29(木) 11:07:36 ID:rnZw1KxI0
今日ガソスタで給油中に
店員が洗車機で濡れた車のボディーにグラスタゾールを吹きかけてから
タオルで拭いてたけど グラスターゾールってワックス効果が有るんですか?
831 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/12/29(木) 21:42:02 ID:133P/0PUO
なんすかそれ?
832 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2006/01/02(月) 01:10:24 ID:COyOitfA0
先生帰省待ちアゲ
偽ヒロシは某国洗車組織「ショーグン」の最高責任者に呼び出されていた。
「ヒロシ君(偽ヒロシ)よ、今月も我が組織に多額の献金をしてくれて感謝して
いるよ」
「・・・・・・」
「君が毎月お金を出してくれているおかげで我がショーグンはますます力がつく」
「・・・・・もう、帰っていいか?金は渡したんだ」
「そう言わずに今日は食事でもしていったらどうだ?」
「こんなところに長時間居座りたくないんだ」
「それは嫌われたものだ。しかし、君は食事をしないと帰れないようになっている」
「!?」
数人の屈強そうな男に囲まれた偽ヒロシは逃げようとしたが、あっという間に
取り押さえられた。
「何をする!今月の金は渡したし、こんなことをされる筋合いは無い!」
「ヒロシ君よ、君はもう充分金銭的に我が組織に貢献してくれた、これからは
君の持つ高い洗車の腕の方で我が組織に貢献してくれないか?」
「約束が違う!あと二回金を渡したらあの人を返してくれるはずじゃなかったのか!?」
偽ヒロシはもがきながら叫ぶ。
「気が変わったのだよ。君は非常に優秀な人間だ。あの長老会に在籍していたことが
あり、今は長老会を憎んでいる。しかも、これだけの集金能力があり、
こちらは君の弱味を握っている。もう君には二つの選択肢しかない。
我が組織の人間になるか、嫌ならこのまま行方不明になってもらうかだ」
利用されていたことはわかっていた偽ヒロシだが、金さえ渡しておけば「あの人」
の安全は保障される。そう考えていた自分の甘さに始めて気付いた。
始めて気付いた。 →初めて
誤字脱字ばかりですいません。
話は続きますが、気長に待っていて下さい。
WAX先生、あけましておめでとうございます!今年も宜しくお願いします!
年明け早々サスペンスフルですね!「あの人」って誰なんだろう・・・
836 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2006/01/03(火) 00:48:17 ID:FLJj6l53O
おーっ!新年早々に掲載ですね!あけましておめでとうございます!観てるだけの方もたまにはカキコお願いします!
今日、洗車しましたが。WAX掛けて拭き取り後、水を掛けて慣らすというのを初めてしました。
効果の程がよく解からないのですが、どういう効果があるんでしたっけ?
839 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2006/01/04(水) 16:03:38 ID:anhibXL+O
きれいになるんじゃないの?
>>142で基本中の基本「WAXを定着させる為」って書いてあった。
やっぱこのスレ参考になるな。
841 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2006/01/04(水) 20:49:20 ID:fhNH8lNi0
>>142の内容もまさにWAX先生が名無しで書いていた時代のもの。
アメリカ編も最高に面白かったですよ。
842 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2006/01/05(木) 19:17:39 ID:hUUyCMeV0
一昨日、洗車して今日雪が降った。これで車のWAXは更に強固に定着するだろう。…つω;)
843 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:2006/01/06(金) 23:47:44 ID:7bt8UfvwO
タイヤが終わってるの気付かずサーキットに行きクラッシュ…エアロ大破しました…
>>843 俺はサーキットに向かっている途中でエアロを大破させたことがありますよ。
845 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:
割れたエアロは洗車時にスポンジに挟まって傷が着いてしまうし、手を切ってしまうんですよね…
修理不可なんでまた新品を買わなくてわ…