935 :
レッドマイカ:
連続小説「なにか?じゃねーよ、バーーーカ」第40話(改)
ドライブした日のことを春美は刑事に「一日中風邪で寝ていた」と言っている。
何でそんなウソをつくんだろう?
恋人である僕が殺人犯になるかも知れないというのに・・・
問いつめたい、小一時間問いつめたい。
僕は無性に春美に会いたくなった。
アルテッツァは鼻先を春美の部屋へ向けて走り始めた。
春美のマンションに着いた。
部屋の前までいってチャイムを押すと、中から
「は〜〜〜〜い!」という春美の声がした。
ドアが開いて顔を出すと
「あ、直樹くん、どうしてた?心配してたのよ」
予想に反して明るい笑顔でそう言った。
「中へ入れてくれないか、話があるんだ」
「どうぞ・・・」
リビングに座っていると春美が紅茶を出してくれた。
一口すすったが、ほのかにハーブの香りがした・・・
「ゆり子死んじゃったよね、4〜5年前にはよくカラオケとか一緒に行ったのに・・・」
僕はゆり子との思い出を語ったが、春美は
「ふ〜ん、そんなこともあったわね」
と興味なさそうだった。
「で、ドライブの日の・・ことなん・・だけ・・ど・・・」
何故だか強烈な眠気が襲って来た。
意識を失う直前に見た春美の顔はニヤリと笑っているようだった・・・
(つづく)
936 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:02/02/07 17:50 ID:Lq8Ds33m
1000げと!
937 :
レッドマイカ:02/02/07 18:08 ID:1RQUkBK3
連続小説「なにか?じゃねーよ、バーーーカ」第41話
ふと目が覚めた。
あたりは薄暗くなっていて、僕はアルテッツァの運転席に座っている。
体を起こそうとしたが何故だか自由がきかない。
前方を見ると地面が途中から無くなっている。
どうやら崖の上に車は停まっているいるらしい。
「あ、気がついた?」と春美の声がした。
「紅茶の中に薬を入れておいたの、意識が戻っても体は痺れてて動かないはずよ
私の彼は医療関係に勤めてるから、こういった薬は簡単に手に入るの」
春美の横に男がたっているようだが、首の動かせないので顔までは見えない。
「な、なんで・・・?」
かろうじて声が出た。
「最後だから全部教えてあげるわ」
そして春美の口から信じられないような話が飛び出した・・・
(つづく)
938 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:02/02/07 18:33 ID:N3AbKnHa
おぉ〜、クライマックス?
939 :
レッドマイカ:02/02/07 18:58 ID:1RQUkBK3
連続小説「なにか?じゃねーよ、バーーーカ」第42話
「直樹くんの車に男の死体があったでしょ、あれさぁ私の援交相手だったの
役所の戸籍窓口に偶然来たのを見かけて
戸籍受付係のゆり子から住所とか家族構成を聞いておいたんだ
そして『奥さんにばらすわよ』って恐喝してたんだけどさぁ・・・
最初はお金を払ってくれてたんだけど、警察に行くとか言い出して
それで、彼に頼んで殺してもらったの
彼っていい人なのよ、私の頼みなら何でもきいてくれる」
「ゆ、ゆり子は・・・?」
「ゆり子?ああ、彼女は私の彼とデキてて
許せないわよね、親友だと思ってたのに・・・で刺しちゃった
でも決心がついたのは結婚式で直樹くんを見かけたとき
(この人なら私たちの罪を被ってくれる)と思って
だけど最近話とかしてなかったでしょ、急に電話しても来てくれないかと・・・
そこで、酔っ払ってた直樹くんのポケットにパンティを入れておいたり
ゆり子を殺した後は直樹くんの車に血をかけておいたり
そうすれば不信におもった直樹くんが来てくれると思ったわけよ」
さらに春美は続けた・・・
(つづく)
940 :
レッドマイカ:02/02/07 19:31 ID:1RQUkBK3
連続小説「なにか?じゃねーよ、バーーーカ」第43話
「直樹くんに犯人になってもらうためには、
ゆり子を刺した包丁に直樹くんの指紋を付けたかったのよね
だからキャベツを刻んでもらったの・・・」
「あれは、春美が指を切ったから・・・」
「縁起にきまってるでしょ、バーーーカ
ところで、私はさすがに食べる気がしなかったけど
春美を刺した包丁で作ったポテトサラダは美味しかった?」
と、いたずらっ子のように笑う、悪魔か?・・・この女は。
さらに春美は滑舌に話し続けた。
「直樹くんがお弁当を作ってくれてたでしょ
あの時に壁に掛けておいた直樹くんの上着のポケットから
カギ束を出して窓の外で待っていた彼に渡したの
それで合鍵が作れて直樹くんの部屋に死体を運べたってわけ」
「でも、なんで僕の車に死体を・・・?」
そこで、春美の彼らしき男が話し始めた・・・
(つづく)
941 :
名無しさん@そうだドライブへ行こう:02/02/07 19:36 ID:Pm6n5NwG
映像化すると結構面白いかも。
942 :
レッドマイカ:02/02/07 20:05 ID:1RQUkBK3
連続小説「なにか?じゃねーよ、バーーーカ」第44話
「帰ってくるのが早すぎたんだよなぁ・・・
死体を一つ運び終わった時に帰って来たもんなぁ・・・
春美には『ホテルに誘って時間かせぎしとけ』って言っておいたのに
まぁ、車の合鍵も作っておいてよかったよ」
そこで春美が
「直樹くんって私の体が好きだったんでしょ?
いつもいやらしい目つきで見てたもんね
冥土の土産に抱いておけばよかったのに・・・」
これが僕の愛した春美の正体だったのか・・・
情けなさと悔しさで涙がこぼれそうになった。
春美が一枚の紙を僕の目の前に出した。
ぼんやりと目がかすんでいるが、その文字は読みとれた
〔取り返しのつかない事をしてしまいました。死んでお詫びします。〕
とワープロで打たれてあり
春美は僕の内ポケットにその紙をしまうと車のエンジンをかけた。
そして、シフトレバーをDにすると
「バイバイ直樹くん」と言って、ゆっくりとサイドブレーキを下ろした。
アルテッツァは静かに動き出した・・・目の前に崖っ淵が迫る・・・
(つづく)
943 :
レッドマイカ:02/02/07 21:01 ID:1RQUkBK3
連続小説「なにか?じゃねーよ、バーーーカ」第45話
(うごけっ!僕のからだぁ〜!!)
心の中でそう叫んだが、薬で麻痺した僕の身体はびくともしない。
崖の下は地面なのか?海なのか?ここからじゃ見えない。
どっちにしろ死ぬには違いないだろう。
アルテッツァも全損だな・・・
(ゴメンよ、アルテッツァ、僕があんな女に関わったばかりに・・・)
心の中で謝ると、僕は覚悟を決めた・・・
そのとき、辺り全体が明るくなった。
アルテッツァがスポットライトで照らし出されている。
まるで東京モーターショーのGT-Rのようだ。
警官が駆け寄り、僕を助け出してくれた。
周りには無数のパトカーが・・・
これは後で聞かされたことなんだけど・・・
警察は捜査の途中から春美がぁゃιぃと睨んで
僕を泳がせて尾行していたらしい・・・
薬が効れてきたのか、僕の身体は徐々に動き始めた。
救急車へ運ぼうとする警官の手を振り切って、
手錠をかけられた春美の元へ歩み寄った。
「春美・・・」と声をかけると
春美は振り返って「なにか?」
「なにか?じゃねーよ、バーーーカ」
その一言を言うと、僕は踵を返してアルテッツァに乗り込んだ。
アルテッツァの4気筒サウンドがまるで泣いてるように聞こえた・・・
(おわり)