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御殿守ハ七重、悉黒漆也。御絵所皆金也。高サ十六間々中。天正五丁丑八月廿四日柱立、同霜月三日屋上葺合候。
上一重、三間四方。御座敷之内皆金。外輪ニ欄干有。柱ハ金也。狭間戸鉄黒漆也。三皇五帝、孔門十哲、商山四皓、七賢、狩野永徳ニかゝせられ。
二重目。八角。四間ほと有。外柱は朱、内柱皆金也。釈門十大御弟子等かゝせられ、釈尊御説法之所。御縁輪ニハ餓鬼共ニ鬼どもをかゝせられ、
御縁輪のはた板ニハしやちほこひれうかゝせられ候。かうらんきほし有。
三重目、御絵ハなし。南北の破風に四畳半之御座敷両方在之、こやの段と申也。
四重目、西十二間ニ岩ニ色々の木を被遊、則岩之間と申候。次西八畳敷ニ龍虎之戦有。南十二間、竹之色々被遊、竹間と申候。次十二間、
松計を色々被遊候。東八畳敷、桐ニ鳳凰。次八畳敷、きよゆう耳をあらへは、そうほ牛を牽き帰る所、両人之出たる古郷之躰。次御小座敷七畳敷、でい計也。御絵ハなし。
北十二畳敷、是ニ御絵ハなし。次十二畳敷此内西二間之所ニてまりの木を被遊候。次八畳敷、庭子之景気也。御鷹之間と申候。
五重目、十二畳敷御絵有、花鳥之間と申也。別ニ一段四畳敷き御座之間有、同花鳥之御絵有。次南八畳敷賢人間、へうたんより駒の出たる所有。
東麝香之間八畳敷き。十二畳、御門之上。次八畳敷、ろとうびんと申仙人杖なけ捨てたる所。北廿畳敷、駒之牧之御絵。絵のふりたる所、是ふえつの図と申。
次十二畳敷、せい王母の御絵有。西御絵ハなし。御縁二段ひろ縁なり。廿四畳敷之御物置の御なんと有。口ニ八てう敷き之御座敷在之。
六重目、十二畳敷、墨絵ニ梅之御絵を被遊候。同間内御書院有。是ニ遠寺晩鐘景気被書、まへに盆山被置也。次四てう敷、雉の子を愛する所、
御棚ニ鳩計かゝせられ、又十二てう敷に鵝をかゝせられ鵝之間と申也。又其次八畳敷唐之儒者達をかゝせられ、南又十二てう敷、又八てう敷、
東十二畳敷、御縁六てう敷、次三てう敷、其次八てう敷御膳を拵申所、又其次八畳敷御膳拵申所、六てう敷御南戸、又六畳敷、何も御絵所金也。
北之方御土蔵有。其次御座敷廿六畳敷御なんと也。西六てう敷、次十七てう敷、又其次十畳敷、御なんとの数七ツ。此下ニ金燈爐つらせられ候。七重目。
以上、柱数二百四本。本柱長さ八間、本柱ふとさ一尺五寸四方、六尺四方、一尺三寸四方
狭間戸数六十余有。何れも鉄ニ而黒漆也。