【ソウル=辻渕智之】北朝鮮は五日、国内に駐在する国連機関や国際団体に対し、
朝鮮半島の緊張が高まっていることを理由に職員の国外退避を勧告した。韓国の聯合ニュースなどが伝えた。
北朝鮮が自ら主張する「一触即発、爆発前夜」状態を国際社会に喧伝(けんでん)し、米韓に態度変化や交渉を迫る圧力にする狙いとみられる。
支援事業を続ける国連開発計画(UNDP)側が勧告を受けたと明らかにした。ただ職員は当分とどまり、業務を続けるという。
北朝鮮には国連児童基金(ユニセフ)や世界食糧計画(WFP)、世界保健機関(WHO)、国際赤十字委員会(ICRC)などの職員らが駐在している。
聯合ニュースは、北朝鮮が在平壌の各国大使館にも退避要請したことについて、中国とロシアには個別連絡し、
他国には共同説明の形で「十日以降は身辺安全の保証が難しい」と伝えたと報じた。
ただ、勧告内容の受け止め方は各国大使館で微妙に異なる。直接的な退避勧告ではなく
「参考にするので、退避計画があれば事前に知らせてくれ」と求める程度の水準だった可能性もあるという。
◆「退避しない」国連報道官
【ニューヨーク=長田弘己】北朝鮮が各国に外交官の退避を呼び掛けたことについて、
国連のネザーキー事務総長報道官は五日、記者会見で「人道や開発援助に携わる国連スタッフは、首都平壌のみならず、
どこの地区でも支援をし続ける」と述べ、スタッフを退避させる方針はないことを明らかにした。
報道官は「過去数日緊張が高まっており、北朝鮮当局者に状況の沈静化を要請している」とも述べた。
報道官によると、潘基文(バンキムン)国連事務総長も、状況に危機感を表明しているという。
国連によると、現在北朝鮮には外国人スタッフ三十六人と、二十一人の地元スタッフが七つの国連関連機関の任務に従事している。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2013040602000230.html