ひだまりなずなちゃんのぼっち生活その3

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239学生さんは名前がない
幸い、宮子は体調を崩すことなく、体育の授業も無難にこなした。
校庭で元気よくサッカーをしているゆのと宮子のことを、校舎の窓から沙英が眺めていた。
(大丈夫そうでよかった……)
あのとき、何もせず傍観していた自分にも責任の一端はある。
ふと沙英は、こんなことを思った。
(もし、ヒロと一緒にいて、同じような状況になったら……私はどうするかな?)
沙英の頭の中で、妄想が地平線のように果てしなく広がる。
カバンから秘蔵のノートを取り出し、本能の赴くままに沙英はシャーペンを走らせた。
あまりに卑猥な内容なので詳細は省くが、沙英とヒロがお互いの小水を嬉々として飲み合っているシーンがあるとだけ記しておこう。

チャイムの音で沙英は目が覚めた。どうやら、いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
まだ意識がぼんやりとする中、沙英はあることに気付いた。
(……ノートがない!?)
席から立ち上がり、カバンの中や机の周辺を探す。しかし、どこにもない。
ふと、沙英は背後に誰かの気配を感じた。
「……沙英」
振り向くと、そこにはヒロがいた。右手には、あのノートを持っている。
沙英が何も言えずに立ちすくんでいると、ヒロが冷たい口調でこう言った。
「……沙英がこんなこと考えていたなんて」
「いっ、いや、これは違うよ……」
しどろもどろになる沙英。
そして、ヒロがいたずらっぽく微笑んでから、挑発的に沙英へ告げる。
「ところで、沙英。私、今すごくお手洗いに行きたいの」