【静岡】《経済》 衰退止まらぬ浜松中心街 『パレマルシェかじ町』閉店 2009年12月2日
http://ime.nu/www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20091202/CK2009120202000193.html 「1日も早くまちのにぎわいを取り戻したい。これが商店街の共通の思いなんです」。かじ町プラザと隣り合う
鍛冶町10丁目繁栄会の河合章会長(54)は訴える。破産による閉店から8年たつ百貨店松菱の再生問題もいまだに解決していない。
「何とかしなければ」との焦りが募る。
鍛冶町10丁目商店街の固定客は、ヨーカドー浜松駅前店の撤退に時期を重ねるかのように減少。集客力の高い駐車場を備えた
郊外型の大型ショッピングセンターの進出も大きな打撃を与え、中心街の売り上げはピーク時(1991年)の40%近く落ち込んでいるという。
シャッターを下ろしたままの店舗もあり、往時のにぎやかさはない。
関係者によると、パレマルシェにはレストラン街をつくるとの構想もあったが、不況の波にのみ込まれ、テナントの出店計画は浮かんでは消えた。
食料品を充実させ、高齢者に親しまれたものの、衣料品の品ぞろえは乏しかった。これをそろえた競合店が近隣に散在していることも
撤退の一因になったと指摘する声もある。
近くに住む会社員の女性(47)は週に数回、パレマルシェで買い物をしてきたといい、「品物は良い物がそろっていたので、これから不便になりそうです。
中心街もますます寂れていってしまう」と危機感を募らせる。地元の歴史を研究している男性(80)は「食料品だけじゃ客は集まらない。
中心街が活性化すると思ったところだったのに。寂しいです」とぽつり。
市内のタクシー運転手の男性は営業への影響を懸念。「パレマルシェがなくなればタクシーの利用者が減ってしまう。何とかならないか」と
苦渋の表情を浮かべた。
補助金、市税軽減、規制緩和などの支援策を設けて、中心街への大型店誘致を進める浜松市も事態を重く受け止める。
商業政策課は「活性化を期待していたので非常に残念だが、官民一体となって盛り上げていきたい」と話した。
同店は1日、周辺の世帯に“完全閉店”を知らせるチラシを新聞に折り込み、3日まで売り尽くしセールを実施。
運営会社のパレ(名古屋市熱田区)は原状回復をした上で、20日をめどに撤退する意向を示している。
再開発を手掛けた地元開発業者のアサヒコーポレーション(中区)は「テナント誘致は努力していきたい」としている。