>>175 それは経験主義から出てきた印象批判ってやつでしてね。
「文学とは何かを考え、何らかの理論に従って分析すると面白いと思われる作品も、
何よりもまず読んで楽しいことが第一ではなかろうか」なんて言ってけちつけてるの。
つまりこのひと、これまでの文学理論を全部否定するっていうか、
ま、何も知らないんだなろうけど、そうまでして自分が面白かった、面白くなかっただけの
印象批判に執着してるんだよね。馬鹿がそれやると困るからこそ文学理論ができたっていうのにさ。
こういう印象批判、あるいは印象批判以下の「面白い」「面白くない」だけの
無責任な読書感想文だけはやめようね。
最後に、こういう批評に対して大江健三郎の書いていることを引用しておきます。
これに尽きると思うんだけどね。
「文学理論は必要です。評価する・あるいは否定する根拠なしの、
あいまい主義的な批評にさらされているわが国の作家たちには、
それも特にこれから小説を書き・発表する若い人びとには、
文学理論にたつ批評がなされることほど望ましい話はないはずです。
気分次第で賞めたり叱ったりする親ほど教育的でないものはないように、
あいまい主義的な批評が若い作家をよく育てうるとは思いません」。