行動しなきゃ彼女出来ない29

大生板、リア充より解放される！――このニュースが大生板を駆け巡った日、私はかつてと同じように意気揚々と
回線をつないだ。
「自分の住む板なのに億劫な気分でスレをリロードする。そんな不条理はもう終わったんだ！」
足取り軽やかに私は大生板の大通りを走った。現在リア充スレは新運営によってすべて削除されるか、
スレストによって凍結されている。
中心街に向かうと非リア同胞らが集まって解放の喜びを分かち合っていた。「ダイナマ解放万歳！」「リア充に死を！」
大通りの中央では肉便器どもが、髪を剃られ、裸にされて引き回されていた。売女に容赦なく吹きかけられる痰唾・・・
一見同情を誘うが、他人の生存域を蹂躙した彼らには当然の報いであり、我らが受けた屈辱に比べればまだ軽い。
独立広場の掲示板に張り出された公報――「大生板新運営部より・・・リア充を自称する不正アクセス者たちに告ぐ。
この板は我ら非リアのものである。諸君らに本板に立ち入る資格はない。即刻退去せよ。本日以降本番に残る不正
アクセス者の諸権利は保障しない。また、生活に最低限要するものを除いて、財産は新運営部が没収する。」
掲示板の後方では、恋愛スレを立てた"主要戦犯"のリア充と旧運営部の屍骸が逆さ吊りにされ、非リアの同胞の投石の
マトとなっていた。
「同志！」と呼ぶ声。かつてコテをしていた慶大生Ｓだった。
「Ｓさん、ごきげんよう！今日ほど私たちが待ち望んだ日はない！」
「しかり、強制名無しで名前を奪われ、恋愛スレ乱立で我ら非リアはすべての誇りを踏みにじられた。
これからもこの恨みは消える事はない。わたしはこれから板に来る新入生たちにもリア充が乱入して
からの苦節の３６日間を語り継いでいくつもりだ。」Ｓは涙しながら語った。
「ともかくも苦節は終わったのです！自分の住む板で堂々と発言し、スレを立て、馴れ合う。どの板の住民にとっても
当然のことをまた行えるようになったのです。いまは再び取り戻した自由と板の千秋万歳を願いましょう！！」
この日は大生板の"光復節"として毎年祝われる事となる。。