●おまえら男ならヒカルたんハァハァだよな?Part37○

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952学生さんは名前がない:03/03/18 13:39 ID:7Vh/vlJc


       .▼〃ヾ   ホッシュ!    
        (,,゚▽゚)   
  ⌒  ⌒ /"∞ヽつ ⌒  ⌒   
    ⌒   |_, ∞ ノ         
      ⌒ し`J   ⌒ 
953学生さんは名前がない:03/03/18 17:08 ID:dcIcPOML
いっそお前ら、本スレやネタバレスレに移動すれば?
誤爆ばっかやりやがって
954学生さんは名前がない:03/03/18 19:03 ID:M300rxxG
うれしいこと言ってくれるじゃないの。やらないか?>953
あれは誤爆じゃないと思われ。
俺は煽りにもマジレスするような人間なんだぜ。
955(σ・∀・)σゲッツ!! ◆kNPkZ2h.ro :03/03/18 22:18 ID:LiwS9xzY
(σ・∀・)σゲッツ!!
おまいら…向こうのスレ(ヒカルの爺ちゃん家)に移住したのか?
ここが進藤家…つまりヒカルの部屋だ。
そしてここの1000を取ったら…ヒカルから何かが貰える…はず。
だろ?ヒカルタソ。
956学生さんは名前がない:03/03/18 22:22 ID:2HWpHNKf
>955
馬鹿もの!
ヒカスレの1000ゲットと555ゲットの権利は、伝統的にヒカルタンのものなのじゃ!
957学生さんは名前がない:03/03/18 22:52 ID:Gmo0xkkY
hakkieiitte omaerekimoiyo
958黎明 ◆2DpdawnHik :03/03/18 23:13 ID:YHf7DitU
前のトリップ失くした…
959黎明 ◆2DpdawnHik :03/03/18 23:14 ID:YHf7DitU
「俺、もう、大丈夫だから。」
静かな声で、真っ直ぐにアキラを見つめて、ヒカルはそう言った。
その静謐な目の光を見て、アキラはゆっくりとまばたきをした。
近いうちにこの日が来る事を、アキラは知っていた。
意を決したアキラはすいと立ち上がり、戸を開けて、ついてくるように、と、ヒカルを促した。立ち
上がろうとしたヒカルがよろめく。手を貸してやりたい思いを飲み込んで、彼が彼の足で立ち上
がり、歩き出すのを待つ。
萎えた足で踏みしめるように歩くヒカルを背後に感じながら、アキラはゆっくりと廊下を歩いた。

ある部屋の戸を開け、ヒカルがアキラの後をついてその部屋に入ると、アキラは静かに戸を閉
めた。そして部屋の隅に置かれていた香炉を手に取り、それを捧げるように持ちながら振り返っ
てヒカルを見た。
アキラの手の中の香炉を見てヒカルの視線が揺れた。香のもたらす甘い夢をヒカルは思い、
一瞬、その夢を追うように目を閉じ、けれどすぐにそれを振り切って目を見開き、また真っ直ぐに
アキラを見据えた。
アキラはそんなヒカルを鋭い目で見つめながら香炉に火を点けた。ヒカルは微かに眉根を寄せ、
けれど平静を保とうとこらえながら、それを見ていた。
甘い香りが部屋に漂う。ヒカルの身体が瘧のように震えた。震えながらも視線は香炉から離せ
ないようだった。アキラはヒカルのその様子を冷静に観察しながら手の中の香炉をかざし、甘い
香を吸い込んだ。
アキラの頭がその甘さにくらりと痺れた。
自分こそが、この甘い香りの与える夢に逃げ込んでしまいたい。そしてヒカルと二人で甘い夢の
中に漂っていたい。つらい事など全て忘れて。今はもういないひとの事も、決して振り向いてはく
れない、いつまでもいない人を想うつれない心のことも、なにもかも全て忘れて。今なら、まだ間
に合うのかもしれない。身体だけでも、いや、上手に操れば彼の心も、自分のものにできたの
かもしれない。香の見せるそんな幻惑が一瞬アキラを襲い、その歪んだ夢を映したようにアキラ
の顔が歪んだ。
960黎明 ◆2DpdawnHik :03/03/18 23:15 ID:YHf7DitU
あの香りがどれ程甘やかな夢を見せるか知っている。
心はそれを拒絶しなければならないと思っていても、一度溺れた事のある身体は、あの夢を欲し
てやまない。
全身から脂汗が滲み出そうだった。
歯を食いしばって、ヒカルは香を求める己自身と戦った。
香炉を手に自分を誘う彼は、自分の知っている彼とは全くの別人のように見えた。
これも香の見せる魔なのだろうか。常ならば鋭い抜き身の刃のように斬り付ける眼差しが、今は
濡れて妖しく光り、それは底も見えぬほどの暗い闇の淵のようだ。
黒い瞳がヒカルを誘う。共に闇の中へ堕ちよと。
ヒカルはその闇を、彼を、端麗な冴えた月を、全てを飲み込む深い底なし沼に変えてしまった香
の魔を、心底憎んだ。違う、と心の中で叫んだ。こんなのは彼じゃない。
では彼でなければでは、何だ?
それは。
それは、自分だ。
淫りがましく浅ましく、ただ人肌のみを求めた、闇の底にいた時の己の姿だ。清冽な眼差しが恐ろ
しくて、清浄な彼が妬ましくて、淫猥な身体を擦り付けて彼の内の熱を煽った、あれは自分自身の
姿だ。
そしてヒカルは自分が既に香の魔に囚われてしまっていて、今、己の目に映る彼は真実の彼で
はなく、自らの望むように変貌させた彼なのだと悟る。彼の中に存在しないはずの魔を、自らの闇
を、彼に投影させてしまった自分の心弱さを、そうやって彼を汚した己の闇を、ヒカルは呪った。
憎しみを込めて彼を睨む。
視線にこめられた呪に、眼前の魔物が、怯んだように顔を歪ませた。
961黎明 ◆2DpdawnHik :03/03/18 23:16 ID:YHf7DitU
甘い香にうっとりと酔うアキラの顔を、ヒカルが睨みつけるように真っ直ぐに見据えていた。ヒカル
の眼差しがアキラの幻を切り裂き、彼の目の光にあって、アキラは逃げ出しそうになった己の弱
さを呪った。
なにもかもを、台無しにするところだった。最後の最後で、弱さを、脆さを、露呈してしまったことを
アキラは呪い、それをヒカルに気取られたかもしれないと思うと、猛烈に己を恥じた。けれどその
弱さを押し隠して、香炉をヒカルに差し出した。
闇のように深く黒い瞳が妖しくヒカルをいざなう。
けれどヒカルは香炉を睨みつけながら、ゆっくりと首を振った。
アキラはヒカルのその様子を見ながら、もう一服、その香りを胸に吸い込んだ。
深く吸い込みすぎて、頭の芯がぐらぐらと揺れるのを感じた。あと一服、吸い込んでしまえば、自
分もまた、この甘い香りの闇に堕ちるかも知れない。堕ちることを恐れながらも、心のどこかで堕
ちてしまいたいと感じている自分がいる事を、アキラは自覚していた。
香に痺れたこの身体がくず折れそうになれば、彼の手が己の身体を抱きとめてはくれまいかと、
そんな浅ましい考えがちらりと彼の頭の隅をかすめた。それは全てを捨て去り全てを失っても惜
しくは無いと思わせるほど、甘美な毒を含んだ夢だった。
けれど彼は闇に堕ちることもなく、香の魔に囚われる事もなく、ひとたび瞼を閉じ、そしてゆっくり
と開いた時には、その瞳からは先程の妖しさは消え、いつものように鋭い光を放っていた。
そして眼前の少年が先程と変わらず、彼と同じくらい真っ直ぐな眼差しで彼を見つめているのが
わかると、彼の眼は和らぎ、口元に穏やかな笑みをやっと浮かべた。
962黎明 ◆2DpdawnHik :03/03/18 23:16 ID:YHf7DitU
すいと横を向いてアキラが合図すると、いつの間にかそこに控えていた童が音もなく立ち上がり、
御簾を上げ戸を開けて、冷たい外気を室内に呼び込んだ。
甘い香りは冷たい空気に吹き払われ、幻はあっという間に消え去った。
香りが完全に消え去るまでの僅かな間、アキラは消えていった幻を惜しんだ。
けれど次の瞬間、大切な友人を取り戻した事を思い出し、彼に向かってもう一度、微笑みかけた。
「よかった、ヒカル…もう、大丈夫だ。」
アキラのその声に、ヒカルは少し照れたような、はにかんだような、そして少しだけ誇らしげな、
けれどほっとしたような笑みを返した。
ヒカルは立ち上がってアキラに近づき、その手をとった。
「ありがとう、アキラ。」
アキラは差し出されたヒカルの手を握り返した。
「心配をかけて、悪かった。俺、もう、大丈夫だから。」
「ヒカル……」
彼の名を呼びながら、両手で彼の手を強く握り締めた。
ようやく取り戻した友の手の上に、アキラの熱い涙が一粒、落ちた。
涙は一粒では止まらず、ぱたぱたと音を立ててヒカルの手の上に落ちた。
963黎明 ◆2DpdawnHik :03/03/18 23:18 ID:YHf7DitU
ヒカルは手の上に落ちる熱い涙を感じていた。
この高貴な魂を持った友が、どれ程の苦労を持ってここまで自分を導いてくれたか、そしてどれ
程自分の身を案じていたか、どれ程、自分の快復を願ってくれていたか、ヒカルは今更のように
思い知らされて、ヒカルの目にも涙が浮かんできた。
「ありがとう、アキラ。」
嗚咽をこらえて震える声で、もう一度、彼の名を呼び、彼の心に応えようとした。
アキラが顔を上げてヒカルを見た。ヒカルは優しくアキラに微笑みかけていた。最後にヒカルの
こんな微笑みを見たのは、いったい、どれ程前のことだったのだろう。ついに取り戻したヒカル
の笑みを前に、アキラは声を詰まらせた。
「あ…、あ」
そしてまたアキラの瞳に涙が溢れ、涙でヒカルの微笑みがぼやけた。
「……ヒカル…!…ヒカル、ヒカル、ヒカル、」
アキラはヒカルの身体を抱きしめ、彼の名を呼びながら声を上げて泣いた。
ヒカルの手が、呼びかけに応えるように、優しくアキラの背を叩いた。
964(σ゚▽゚)σ:03/03/19 12:03 ID:V+Fu2jfq
誤爆じゃなければ、ヒカルたんヒカルたん言いたかっただけか?
場をわきまえろ。
965学生さんは名前がない:03/03/19 12:43 ID:GQY7JAFG
あれは、もともとここにあったヤツだよ。
楽しませようとしたのか、嫌がらせかはわからんが
誰かがコピペしたんだな・・・
不愉快な思いさせて悪かったな。
966(σ・∀・)σゲッツ!! ◆kNPkZ2h.ro :03/03/19 13:51 ID:CuhlN2BS
(σ・∀・)σゲッツ!!
皆は移住したようだな…
俺が1000を(σ・∀・)σゲッツ!!してやるぜ
967(σ・∀・)σゲッツ!! ◆kNPkZ2h.ro :03/03/19 19:53 ID:8tf/GjWN
(σ・∀・)σゲッツ!!
って・・・ゆうきよ・・・痩せろ。
まいちゃんは可愛いな。
968黎明 ◆2DpdawnHik :03/03/19 19:57 ID:YvMAzWSH
「…済まなかった、みっともない所を見せて、」
「何を言っているんだ。みっともないのは俺のほうだろう?」
「そんな事はない。」
アキラはこぼれた涙を袖で拭って小さく首をふり、それからやっとヒカルを見上げた。
「…おまえの、おかげだ。ありがとう、アキラ。」
「僕の力など、いかほどのものもない。君が立ち直ったのは君自身の力だ。」
柔らかく微笑みかける眼差しに、ふと怯えたように、ヒカルは俯く。
「おまえ…俺を、軽蔑したり、しなかったのか…?」
「なぜ…?」
「あんな風に…逃げて、馬鹿な奴だって、俺を軽蔑しなかったのか…?」
「軽蔑なんか、する筈がない。」
そう言って、アキラは悲しみさえ感じさせる程に、優しく、微笑みかけた。
「確かに君のとった道は愚かだったかもしれない。だが程度の差こそあれ、ひとは皆愚かな
ものだ。愚かさにかけては君も僕も同じようなものだよ。ただそのあらわれ方が違うだけだ。
そして恋は最も人を愚かにするものだ。」
何か不思議な事でも聞いたように、ヒカルは瞬きしてアキラを見た。
「……おまえが…言うのか?そんな事を…?」
「そうだよ。僕だって、自分の愚かさに嘲うしかないような事だっていくらでもあるさ。」
「そうじゃなくて、…恋って、おまえがそんな事を言うなんて……
もしかしておまえ、誰か想う人がいるのか?」
問われてアキラは僅かに目を瞠ってヒカルを見返した。それから彼はゆっくりと視線を落とし、
小さく首を振った。
「…いるさ、僕にだって。想う人は。」
そして視線を彷徨わせ、どこか遠くを見ているような眼差しで、アキラは言う。
「けれど想う人に想われる喜びを、僕は知らない。
だから想い想われた人に置いてゆかれる悲しみも、僕は知らない。
僕は何も知らないから、君の痛みも苦しみも分からなくて、僕は君の哀しみに寄り添うことさえ
できない。僕の悲しみといったら、そんな自分の不甲斐なさを悲しく思う事くらいだ。」
「そんな事はない。」
「あるんだよ。」
969黎明 ◆2DpdawnHik :03/03/19 19:58 ID:YvMAzWSH
「なぜ…そんな寂しいことを言うんだ…?」
「僕の想う人は、他の人を見ているから。」
そう言ってアキラは小さく微笑った。その寂しげな微笑みに、ヒカルは胸が痛むのを感じた。
「だから、こんな事を言うと君は怒るかもしれないが、むしろ、あれほど苦しみ悩むことの出来る
君をほんの少しだけ羨ましいと、僕は思ったよ。」
応えることができずに、ヒカルは小さく首を振った。
「僕の想う人は僕の想いを知らない。知らないまま他のひとを見ている。
けれど例えその人が僕を見なくても、けして僕を愛さないと知っていても、僕はその人が生きて
いてくれるだけで幸せなのだと、僕は思う。僕は……」
アキラは言葉を詰まらせた。
「…それだけでいい。その人がその人らしくこの世にいてくれれば…」
君が君らしく生きていてくれればそれだけで僕は幸せだ。
なのに、一番大切な人を亡くしてしまった君の前で「生きていてくれれば」なんて口にしてしまう
なんて、それがどんなに君を傷つけるか口に出すまで気付かないなんて、こんな僕が君を望む
なんて、こんな強欲は、それこそ秩序を超えようとするような罪悪だ。
「すまない…君の前でこんな事を言うなんて。それでも…」
何かをこらえようとアキラの身体が震えるのを見て、ヒカルはその身体を抱きしめてやりたいと
思った。自分を闇の淵から救い出してくれた、この凛とした、何にも負けない強い眼差しを持った
年若い陰陽師が、こんな風に見ていて切ないほどの哀しみに身を震わせるのを、初めて見た。
そして、彼をこんな風に哀しませるのは一体どこの誰なのだろうと、思った。
彼にこんな風に想われて想いを返さずにいられるなんて、気付かずにいられるなんて、よっぽ
ど鈍感な馬鹿者だ。その人は他の誰かを見ているのだと彼は言っていたが、彼以上の者なん
てそうそういはしないだろうに。

そんな事を考えてしまうのは心のどこかでその誰かを妬ましく思っている自分がいるからだと
いう事に、ヒカルは気付かないふりをした。それは誰だと、問いたい気持ちは口には出さず、
ただ、彼の想いがその相手に届くことがあればいいのに、と思うだけで、その誰かを羨ましい
と思う気持ちに蓋をした。
970黎明 ◆2DpdawnHik :03/03/19 19:59 ID:YvMAzWSH
ヒカルは縁側に座り、冬枯れの庭を見るともなく見ていた。
一陣の風が吹き通り、その風の冷たさにヒカルは身を震わせた。
そしてふいにアキラに抱きしめられた時の、彼の腕の力強さと、彼の身体の熱さを思い出した。
それから、彼が想い人を語った時の、眼差しの奥の秘められた熱情と、深い悲哀を思った。
その熱いまなざしが、誰か、自分の知らない人に向けられたものなのだという事が、なぜだか
わからないけれど、とてつもなく、寂しかった。
ヒカルの目に涙が浮かび、一筋、頬を伝って流れた。
その涙が、アキラの悲哀が自分にも伝わったためなのか、それとも何か他の涙なのか、ヒカル
にはわからなかった。けれど佐為を失った悲しみではないことだけは確かで、自分にそれ以外
の涙が残っていたのが、何か不思議だった。
いや、それは残っていたものではなく、新たに生まれたものなのかもしれない。そう思って更に、
自分の中に新たに生み出されるものがあった事にヒカルは驚いた。
佐為を失って、自分は何もかも失くしてしまったように思っていた。
だがそれはもしかしたら間違いっていたのかもしれないと、この時初めて思った。
庭に降り立ち天を仰ぐと、天空は晴れわたり、月のない夜空にはけれど星がきらめいていた。
「佐為…」
天を仰いで星を見上げ、ヒカルは逝ってしまった人の名を呟いた。
愛した人に愛された記憶を持つ自分は、確かに幸せだったのかもしれないと思いながら。
971学生さんは名前がない:03/03/19 22:48 ID:5a1Fv0/s
(σ・∀・)σゲッツ!!め…。
かわいいな…ヒカルたんの次ぎに萌えてしまったぜ。
だが下げてくれると嬉しいぞ、(σ・∀・)σゲッツ!!よ…萌え…ヒカルたんの次ぎに。
972(σ・∀・)σゲッツ!! ◆kNPkZ2h.ro :03/03/19 23:03 ID:tb28QW3z
(σ・∀・)σゲッツ!!
sageるぜ。
サイがヒカルの中にいるようにおまいらの中にもヒカルがいるのか?
ゆかり先生も良いな…Jリーガーと結婚してんだよな…たしか。
973学生さんは名前がない:03/03/19 23:07 ID:5a1Fv0/s
sageてくれてありがとう、(σ・∀・)σゲッツ!! よ。やはり萌えるな、ヒカルたんの次ぎに。
このスレはsage進行で一手くれると嬉しいんだ(σ・∀・)σゲッツ!! よ。
俺達の心の中にはいつもヒカルたんが居る。オレ達、萌えてもイイのかもしれない…。
オレ、萌えるよ、(σ・∀・)σゲッツ!! とも、皆とも、何回も、何百回も。
974学生さんは名前がない:03/03/19 23:38 ID:LMq3aHuJ

  | ヾ▼
  |−゚)    …ライバルカ…
  ⊂ノ       
  |
  |
~~~~~~~~~~~~~~
975学生さんは名前がない:03/03/19 23:47 ID:9RxtN9JZ
ヒカルタン、オレはヒカルタンひと筋だよ!

>973
おまいはメイツ失格!

そろそろオレも浮上するよ。
昔やった天○魔境2で「どんなに悲しくても腹はへる…人間って悲しい…」
こんな感じの台詞があったが、まったくその通りだよ。
ヒカルタン(;´Д`)ハァハァはやめられなかった。
で、久しぶりに天○やろうかなっと思ったら
DUOコワレテタ━━━ヽ(д゚; )人(゚д゚;)人(;゚д゚)人(;゚д゚)ノ━━━ !!?

心配かけてスマンかった。
今度来るときはみやげを持ってくるよ。
976学生さんは名前がない:03/03/20 18:05 ID:0yPsxtQq
      ▼〃ヾ
    /,,(,,゚Д゚)っ旦~   ホッシュ!  
   //\ ̄ ̄ ̄\
  // ※.\___\
 \\※ ※ ※ ※ ※ヽ
   \`ー──────ヽ
     ────── ノ 
977黎明 ◆2DpdawnHik :03/03/20 21:39 ID:s03LEVPH
>975
お帰り!戻ってきてくれて嬉しいよ。
おみやげ、楽しみに待ってる。
978黎明 ◆2DpdawnHik :03/03/20 21:40 ID:s03LEVPH
ゆっくりと、ヒカルの身体は快復していった。
ヒカルは剣の稽古を始め、落ちてしまった筋肉を取り戻そうと、鍛錬を始めた。
けれどそうしながらも、ヒカルは自分が完全に復調することを恐れていた。
そうしたらここを出て行かなければならない。
それが嫌だった。
それ程に、ここは居心地がよかった。

あれ以来、アキラは自分の心を語ることをしなかった。そしてヒカルに何かを問うことも、しなかっ
た。ただ、ヒカルの身体をいたわるように、吟味した滋養に溢れた食事を彼のために用意し、黙っ
て彼の快復を待った。
式を残して、宮中に出かけることもあったが、その時もヒカルへの温かい食事は忘れられる事な
く出された。
最近になってアキラが頻繁に留守にするのも本当はヒカルのためで、ヒカルを元の職に復帰させ
るために奔走しているのだということは、ヒカルにもわかっていた。
けれどヒカルはその気遣いに一抹の寂しさを感じていた。
何も問わず、責める言葉の一つもなく、ただ黙ってヒカルを受け入れてくれるアキラという存在か
ら、ヒカルは離れがたく感じていた。
彼がヒカルを見るときの穏やかな微笑みは、先に逝ってしまった人の春の日差しのような暖かい
微笑みとは全く違っていたけれど、けれどその微笑みを見ると、ヒカルは自分の心が不思議に落
ち着くような気がした。
979黎明 ◆2DpdawnHik :03/03/20 21:40 ID:s03LEVPH
夜遅く帰宅したアキラに、寝ないで彼を待っていたヒカルは、訴えるように、こう言った。
「俺、ここを出て行きたくない。ここにずっといたい。ここに、ずっと、置かせてくれよ。」
ヒカルの言葉にアキラは驚きに目を見開き、ゆっくりと瞬きしてから、首を振った。
「駄目だよ。」
「おまえはいつもそう言う。」
アキラの否定の言葉に抗うようにヒカルは言う。聞き入れられない事など知っていたけれど。
「ここは君の仮宿にすぎない。君は在るべき所に在り、為すべきことを為さねばならない。
ここにいて君は何を為すことができるというのだ?」
わかっている。ここですべき事がある訳ではない。そうではなく、自分はただアキラと離れがたく
感じているだけなのに、どうしてそれをわかってくれないのだろう。そう思うと哀しくなった。
「一局、打たないか。」
静かに言う声に、ヒカルは弾かれたように顔を上げた。その様子に気付いているのかいないの
か、アキラはすっと立ち上がり、部屋の隅にあった碁盤を運んで彼の前に置いた。

碁石を持つのは本当に久しぶりだった。
もう一度碁を打つ自分がいる事など、考えもしなかった。佐為を思い出すものは全て自分から
遠ざけていたから。けれどこうしてアキラと打っていると、その横で楽しそうに対局を見ている
佐為がいるような気がして、ふとヒカルは顔をほころばせた。
そして、悲しみ以外の思いで佐為を思い出している自分がいることに気付いて、ヒカルは驚いた。

碁を教えてくれたのは佐為だった。
佐為が逝ってしまっても、自分はこうして碁を打っている。
死んでしまった者がまだ生きている者の中では生き続けている、というのはこういう事かもしれ
ない。俺が生きている限り、俺が忘れない限り、俺の中に佐為はいて、例えば佐為に教えても
らった碁を誰かと打って、その誰かが自分と打った碁を覚えていたら、それは佐為を覚えてい
る事にはならないか。それは佐為がその人の中でも生きている事にはならないか。
980黎明 ◆2DpdawnHik :03/03/20 21:41 ID:s03LEVPH
佐為のあとを追うことは出来なかった。
それはなぜだろう。
置いていかれてしまった事がつらくて、佐為のいないこの世には何の意味も無いと思って、それ
でも、死んでしまいたいとは思わなかった。佐為のいないこの世など消えてしまえばいいと思っ
たのに、自分が消えてしまおうとは思わなかった。それななぜだろう。わからない。
そうして、死んではいなかったけれど生きてもいなかった自分は、今、確かに生き返って、こうして
碁を打っている。不思議だった。
こんな静かな気持ちで碁を打ち、佐為を思い出す日がくるとは、夢にも思わなかった。

小さく顔を上げて、碁盤の向こうの対局相手の姿を盗み見た。彼は自分の視線には気付かずに
真剣に碁盤を見つめている。
彼がいなかったら、こうして己を取り戻す事は出来なかったろう。
佐為を懐かしむ事など、出来なかったろう。
彼は何も言わない。
いつも静かに微笑んで、黙って自分を見る。
けれどその静けさの内に、どんなに激しい熱情が潜んでいるか、自分は知っている。冴えた月の
ように冷ややかに見えるその面の奥に、研ぎ澄まされた刃のような印象を与えるその姿の裏に、
どんなに熱い身体を持っているか、知っている。

彼がふと目を上げた。
視線が合って、彼は柔らかく微笑んだ。
その微笑みに、胸がキリキリと痛んだ。
そんなヒカルを見て彼は訝しげに小さく首を傾げ、けれど微笑んだまま視線を落として、また一つ、
石を置いた。
981黎明 ◆2DpdawnHik :03/03/20 21:42 ID:s03LEVPH
そして最後の石が置かれる。
「終局だ。」
「うん。」
石を並べ替え整地し、目を数える。
「ちぇ。ちょっとだけ、足りなかったな。」
小さく唇を尖らせたヒカルに、アキラは穏やかな笑みを浮かべ、それから並べられた石を崩して
碁笥へと戻した。崩されていく盤上を見つめたまま、ヒカルはアキラの名を呼んだ。
「アキラ、」
どうした、と言うように目を上げて、アキラは黙ったまま微笑を返した。
「おまえの言う事はわかる。けど……けど、俺、おまえと離れたくない。」
そう言ってから顔を上げ、アキラの目を真っ直ぐに見つめた。
「そんな…事を、僕に言うなよ…」
微笑みを絶やさぬまま応えようと努めるアキラは、既に掠れて震える声に裏切られ、揺れる眼差し
と小さく震える睫毛を、今にも溢れ出しそうに湛えられた涙を、ヒカルも泣きそうな思いで見つめた。
自分の言葉の一体何がそこまでアキラを動揺させたかわからなくて、ヒカルはかけるべき言葉も
見つける事が出来ずに、ただ黙ってアキラを見つめていた。ヒカルにはアキラの言葉の意味する
ところも、なぜ彼の目に涙があふれるのかも、わからなかった。
わからないから、それ以上、何も言う事ができなかった。
982学生さんは名前がない:03/03/21 20:42 ID:vz95aIvH

  ホッシューーーッ!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄       (´´
    〃ヾ▼         (´⌒(´
  ⊂(゚Д゚⊂⌒`つ≡≡≡(´⌒;;;≡≡≡
        ̄ ̄  (´⌒(´⌒;;
      ズザーーーーーッ
983黎明 ◆2DpdawnHik :03/03/21 22:14 ID:i94ed99k
「君の出仕が決まったよ。明日の朝だ。」
ある日の夕べ、アキラが穏やかな声で、ヒカルにこう告げた。
「だから、ここでこうやって君と夕餉をとるのも、今日が最後だ。」
ヒカルの手が止まった。
予感はしていた。それが今日であるか、明日であるか、明後日であるか、どちらにしても残された
時間はそれくらいしかないという事を、ヒカルは既に知っていた。
「そうか。」
だから、そっけない返事を返しただけで、再び箸を動かした。
言葉もなく、二人は味気ない食事を口に運んだ。食べ終わると、どこからともなく現れた童が、残
さず綺麗に片付けられた膳を二つ、運んで去っていった。

アキラはすいと立ち上がり、御簾を開け、縁側に立って東の空に昇る月を見た。
ヒカルもその隣に並び、同じように空を見上げた。
「今宵の月は十四日の月。明日は満月だ。」
そしてヒカルを振り返り、満足そうな笑みを浮かべて、こう言った。
「君の復帰の日に相応しい。」
月の満ち欠けだけでなく、ヒカルには計り知れない様々な要因を含めて、アキラがこの日を定めた
のだと言う事が、ヒカルにもわかった。と言う事は、今日が最後である事は、もう随分前から彼の
内では定められていた事なのか。アキラが既にそれを決めておきながら、先刻までそれをヒカル
に告げなかった事を、彼にも理由があってのことであろうとは推測できたが、それでも事前に告げ
られなかった事を、ヒカルは少しだけ、恨んだ。言ってくれなかった事が悲しかった。覚悟はして
いたとはいえ、それでも突然やってきた別れが、悲しかった。
そんな想いを抱えながら、横に並ぶアキラの顔を見た。
アキラがヒカルに気付いて、微笑んだ。その穏やかな微笑が、なんだかとても悲しくて、ヒカルは
笑みを返せなかった。
984黎明 ◆2DpdawnHik :03/03/21 22:15 ID:i94ed99k
横に並んだヒカルはいつの間にかアキラと変わらぬほどに背が伸びていた。
その痩躯には鍛えられたしなやかな筋肉がはりつき、少年の身体はいつしか青年の身体に変
わりつつあって、そこには以前のような柔らかな肉付きも、そして闇の底にあった時の儚げな
頼りなさも、今はもう僅かにその面影を残すのみで、やがてはすっかり消えてしまうのだろう。
アキラは、ヒカルが取り戻し、そして更に前以上に成長したその身体を称えながらも、心の片隅
で、失われゆく儚い少女のような細い身体を、ひっそりと惜しんだ。
アキラのその視線に気付いているのかいないのか、ヒカルはふとそこをはなれ、屋内へと戻り、
すたすたと歩いてゆくと、かつて彼が囚われていた奥部屋の中央に腰を下ろした。アキラは戸惑
いながら彼の後を歩き、座り込んだ彼を見下ろした。
「明日は早い。寝所の用意をさせよう。」
ヒカルから目をそらし、廊下に控える童に目配せしようとしたアキラを、ヒカルが押し止めた。
アキラの腕を掴んで、顔を見上げて、ヒカルは言った。
「最後に、一つだけ、おまえに願いたいものがあるんだ。」
ヒカルの真剣な表情に、そして、彼の願いというものが何であるか見当がつかずに、アキラは戸
惑ったような目で、ヒカルを見下ろした。
「俺は、一つだけ、欲しいものがあるんだ。ここを出て行く前に、最後に、一つだけ。」
ヒカルの物言いに、アキラの目がヒカルの視線を避けるように泳いだ。
「俺は覚えてる。寒さに震えていた俺を、おまえが抱きしめてくれたことを。暖めてくれた事を。
俺を救ってくれたのはおまえだ。おまえの熱だ。だから…」
ヒカルの言葉に、アキラは怯えた。
「けれどおまえは一度として、一番熱いおまえ自身を俺にはくれなかった。
俺はそれが欲しいんだ。」
985(σ・∀・)σゲッツ!! ◆kNPkZ2h.ro :03/03/21 22:46 ID:VhKaBMkG
(σ・∀・)σゲッツ!!
おまいらってヒカルの碁のDVD持ってるのか?
映像特典とかで(;´Д`)ハァハァしてないだろうなゲラゲラ
「よう参られた」
 そう佐為に声をかけながらも、東宮の意識がその後ろに注がれてるの
は明白だ。ちらりと肩越しに見れば、都随一の陰陽師である明がせめて
もの魔よけにと持たせてくれた護神刀を邪魔にならぬように脇に置き、
ヒカルは心持ち俯くようにして静かに座していた。
 吸い込まれるような快活な大きな瞳も、いまは長い睫毛に半ば隠れ、
緊張からか引き結ばれた唇と相まって、佐為ですらどきりとするほどの
色香があった。
 慌てて正面の殿上人へと視線を戻せば、当の本人は魅入られたように
ヒカルを見つめたままだ。
「東宮さま」
 佐為の表情が僅かに険しくなったのを見て取り、東宮の側近らしき男
が東宮に声をかける。
「佐為殿にはすぐに指導碁をしていただかれますか?」
「あぁ、そうだな。佐為殿、お疲れではないか?」
「お気遣い、かたじけなく存じます。大丈夫でございます」
 佐為としては東宮への指導碁に手を抜くつもりはなかったが、気持ち
としては一刻も早く終わらせて、ヒカルを連れて屋敷に帰りたかった。
表面は皆にこやかにしているが、この部屋にいる者は全て東宮の側近。
ヒカルと佐為にとっては四面楚歌もいいところだ。
 それではと、見るからに造りのいい碁盤と碁笥が運ばれて来る。脇と
脚に塗りの入った細かい細工の碁盤に、物珍しさも手伝ってついヒカル
は前へと身を乗り出した。
 そのとき、ヒカルは初めてまともに東宮を見た。そして、そのまま固
まってしまった。東宮もヒカルには見覚えのある顔だったからだ。
「光の君も碁を嗜まわれるのかな?」
 そう東宮に声をかけられ、惚けていたヒカルは慌てて畳に手をつき、
身を屈めた。急に平安の世では自分と相手の間には月とすっぽんほどの
身分の開きがあることを思い出したからだ。
「あっ、ごめんなさ・・・じゃない!失礼致しました」
 ここで佐為と、今は名を借りている近衛光の立場を悪くするわけには
いかない。吊りそうになる舌を何とか動かし、更に身を縮こませた。
「良い、良い」
 東宮は大して気にした様子もなく、にこやかに傍らに控えた女房に、
ヒカルにもお茶と菓子を持ってくるように告げる。ヒカルはほっとして
それを受け取り、小さく息をついた。
 指導碁が始まってしまうと、東宮は意外にも佐為からの指導に集中し、
ヒカルを特別気にかけることもなかった。おそらく使われている碁石も
いい物なのだろう、パチリと盤面に打たれるたびにいい音を立てる。
 碁を打つときの佐為の優雅な動きに見惚れる。実力的には格下の相手
に対する指導碁であっても真剣で、そしてどこか楽しそうだ。東宮は悪
い打ち手ではないらしい。
 つつがなく碁の指導が終わり、それではと佐為が退出を仄めかすと、
呆気なく許しが出た。
「では、失礼を致します」
「ご苦労であった」
 一礼をして立ち上がった佐為とヒカルは目を合わせ、思わず微笑んだ。
佐為の表情からも先程までの厳しさが抜けている。ヒカルの姿を間近で
見たことで東宮が満足したか熱が冷めてしまったと思ったからだ。
 だが、その安堵の気持ちも帰り際の東宮の一言で粉砕した。
「佐為殿、また明日も指導碁を頼むぞ。もちろん、参内の折りには近衛
光も連れて参るように」
「東宮さま、それは・・・」
「良いな。待っておるぞ」
 それは有無を言わさぬ、権力者からの命(めい)に違いなかった。
 その日から毎日、ヒカルは佐為の護衛役として内裏へ、いや、東宮の
元へと参内するはめになったのだ。


第三章・終
989学生さんは名前がない:03/03/22 00:38 ID:IV0veVgH
秘聞録キタ━━━━━━*・。*・゚(*゚∀゚*)・。*・゚*━━━━━!!!!!!!!!!!!!

第三章終わりだが、俺には東宮が未だにわからねええええええ
中一ヒカルたんの話もありがとなー(´∀`)
ぷにショタなのに犯されまくるいたいけなヒカルたん(;´Д`)ハァハァ
990日記 ◆IMTfjwVpA2 :03/03/22 18:42 ID:8iwfRKmR
 緒方は、ヒカルを先ほどと同じところに座らせた。ヒカルは何度も目を擦り、涙を拭った。
でも、何度拭いても、後から後から零れてきて、ヒカルの指を濡らした。
「ほら…もう泣くな…お前いくつだ…十五か?もう十六になったのか?小学生みたいだぞ?」
緒方が、暖かいカップを手に取らせた。中身はミルクだ。
「それも…欲しい…」
ヒカルは、テーブルの上に出されたままのブランデーの瓶に目をやった。
 緒方は、ヒカルの手の中のカップに、ほんの少しだけ琥珀色の液体を注いだ。
「そんだけじゃ足りない…もっと……」
「酔っぱらうぞ?」
そう言いながらも、もう少しだけ足してくれた。
「や、もっと…」
「これ以上は駄目だ。」
緒方は、ふたをきつく閉めると、さっさと片づけてしまった。
――――――どうして、わかってくれないんだよ……
ヒカルは、焦れて叫んだ。
「酔いたいんだよぉ…」
何にも考えたくない。アキラのことも、和谷のことも…全部忘れたい。
「酒に逃げるなんざ、十年早いんだよ!」
鋭い声で叱責されて、ヒカルは、肩をビクリと揺らした。
 「だって、だって、もうヤダ……なんにも考えたくない…忘れたいんだよぉ…」
カップの中のミルクに小さく波紋ができた。いくつもいくつも…。
「……忘れたいよぉ」
991日記 ◆IMTfjwVpA2 :03/03/22 18:43 ID:8iwfRKmR
 グスグスとヒカルが鼻をすする。
「ごめん…ごめんなさい…わがまま言って…」
俯いたまま、暫く、静かに泣いていた。
「オレ…ホントは先生に頼っちゃいけないって…甘えちゃいけないって…わかってるんだ…」
「迷惑ばっかかけて…先生を振り回して…」
手が小刻みに震えている。
「…でも…」
ヒカルは、深く息を吸い込んだ。
「オレ…もう先生しか頼れない…みんなオレから離れていく…」
お願い…側にいて…独りはイヤなんだ―――――――
ヒカルの唇が弱々しく綴る。ヒカルは、流れる涙を拭おうともせず緒方を見つめる。
痛々しくもあえかな姿とは、相反する壮絶な色気があった。眩暈がしそうだった。
992日記 ◆IMTfjwVpA2 :03/03/22 18:43 ID:8iwfRKmR
 ヒカルの隣に腰をかけ、肩を抱いた。頬に幾筋もついている涙の跡を指でたどる。ヒカルは、
甘えるように緒方の胸にもたれ掛かってきた。持っていたミルクのカップを取り上げ、そっと
キスをした。抵抗はない。
「怖くないのか?」
緒方の問いにヒカルは小さく頷いた。
「アキラ君は怖いのに?」
「……でも、先生は怖くない…何でか、わかんないけど…」
しゃくり上げながら、ヒカルは答えた。
「先生は違う…」
 緒方は苦笑した。それは、自分は“男”として、いや“雄”として対象外ということだろうか?
「これでも?」
ヒカルのシャツの下に、手をくぐらせ、胸をまさぐった。
「……!あ…やぁ…」
さすがに、驚いて身を捩って逃げようとする。緒方の太い腕が、ヒカルの腰にまわされた。
「やだ…!やめてぇ…!」
ヒカルの瞳から、せっかく止まったばかりの涙がまたあふれてきた。
 緒方は、ヒカルを自分の膝の上に乗せると、赤ん坊をあやすように宥めた。
「悪かった…」
「うぅ…」
ヒカルは、拳で緒方の胸を何度も叩いた。
993日記 ◆IMTfjwVpA2 :03/03/22 18:44 ID:8iwfRKmR
 「わかっただろ?お前は無防備すぎるんだよ…」
ヒカルの手が止まった。何のことかわからない…そう言いたげな瞳で緒方を見つめる。長い
睫を涙が濡らしていた。
「お前をあんな目にあわせたヤツが誰かは知らないし、聞く気もないが…少し…本当に…
 ほんの少しだけだが、気持ちはわかる……」
ヒカルは、目を見開いた。緒方の言葉が信じられないとでもいうように…。
「オレはお前が好きだし、可愛いと思っている…甘えられれば嬉しいし、望んでいることが
 あるなら、叶えてやりたいと思っている…でも…」
一呼吸おいた。
「でも…時々…苦しい……」
とうとう言ってしまった。緒方の胸に添えられていたヒカルの手が力無く下ろされた。
「………オレ…何かした…?」
「何も…何もしてない……」
「……でも…オレが悪いんだね…?」
 ヒカルは悪くない。だが、それを説明するのは難しい。無邪気に甘えられて、嬉しいと
思う反面、苦しかった。自分の劣情を持て余して、ヒカルを引き裂いたのは、もしかしたら、
自分だったかもしれない。
「オレが悪かったの?だから―――も……」
誰かの名前を言ったようだが、よく聞こえなかった。
「いや、お前は悪くない…」
 ヒカルは、キッと緒方を睨み付けた。
「だったら、おかしいじゃん!悪くないんだったら…何で…何で…」
ヒカルの目からポタポタと大粒の涙が零れた。
「オレ…もぅ…わかんねえ…」
994日記 ◆IMTfjwVpA2 :03/03/22 18:45 ID:8iwfRKmR
 ヒカルが両手で顔を覆って泣き出した。
「何…が…悪いの?オレ…自分…じゃ…わから…ねえよ……」
涙でつっかえながら訊ねる。
「教えてよ…悪いところは全部直すよ…だから…」
ヒカルが涙で濡れた瞳で、緒方を見つめた。
「オレを見捨てないで…お願い…」
 こんな風にお願いされて、拒めるヤツなどいない。だけど、それがまずいのだ。
『そんな目で見るな……進藤…』
誰だって、誤解する。
 端からヒカルを見捨てるつもりはない。けれど……。
「もっと、自覚しろよ…そんな風に煽るな!」
「あお…る?」
大きな瞳が不安に揺らいだ。ヒカルは、怯えるように、それでも真っ直ぐに緒方と視線を合わせた。
視線が絡み合う。不意に、ヒカルは悲しげに眉を曇らせた。そして、ゆっくりと瞳を伏せる。
 ヒカルは静かに緒方の膝の上から降りた。床におかれたままの鞄を取り上げ、のろのろと
玄関へと向かう。
「進藤…!?」
緒方は、慌てて後を追いかけた。
 ヒカルは、屈んでスニーカーの紐を結んでいた。その作業を終えると、ふらつきながら立ち上がった。
「……オレ…先生の言っていることよくわかんねえ…」
「進藤…」
背中を向けたままヒカルが告げる。緒方を見ようともしない。
「先生は、オレが悪いって言ってる……」
「…違う!」
小刻みに震えるヒカルの肩を掴んで、自分の方へ向けた。
 緒方の予想に反して、ヒカルは泣いてはいなかった。ただ、その黒瞳には悲しみだけが
漂っていた。
「……でも…オレもそう思う……」
「…きっと…オレが悪かったんだね…」
ヒカルは眉を八の字に歪めたまま、微笑んだ。
 緒方はその表情に、一瞬、心を奪われた。その隙に、ヒカルは緒方の腕の中からするりと抜け出し、
そのまま部屋を出て行った。
995学生さんは名前がない:03/03/22 19:18 ID:+TulZ0va
連投のお手伝いレス(;´Д`)ハァハァ
久々の日記(;´Д`)ハァハァ
996日記 ◆IMTfjwVpA2 :03/03/22 19:29 ID:qMRbZdeK
 マンションを出たとき、もうすっかり日は落ちていた。街灯の明かりが、ヒカルの身体を
仄暗く浮かび上がらせる。近くの駅は、仕事帰りの人や、これから夏の夜を楽しもうと浮かれる
人たちであふれていた。それが、余計にヒカルの寂しさをかき立てる。
 何とはなしに、後ろを振り返った。そこには誰もいない。いつも当たり前のようにそこに
居た人はもう永久に帰ってこない。視線を斜め前方に戻した。やはり誰もいない。いつも
ヒカルよりほんの少しだけ前を歩いていたアキラ。彼の手も離してしまった。
 そして、今日、緒方は追ってきてはくれなかった。
 最後の避難所を失って、ヒカルは途方に暮れた。もうどこにも行けない。これからは、
自分の部屋の中だけが、安心できる場所になってしまった。人通りの多い、こんなに賑やかな
場所に居てさえも自分は独りだ。
 真っ直ぐ家に帰る気にならず、肩を落として、とぼとぼと歩く。あまり早くは歩けない。
すぐに息が切れてしまうからだ。そんなヒカルの目の前を影が遮った。
 ヒカルは驚いて、顔を上げた。
「ね、ひとり?暇?」
「俺たちと遊びに行かない?」
「カラオケとか好き?」
三人の男が、早口でまくし立てる。年はヒカルと同じか、少し上くらい。格好もヒカルと
似たり寄ったりのストリート系だ。
『なに?ナンパ?』
女の子に間違われることは少なくない。ヒカルは黙って踵を返した。そのヒカルの腕を
一人が強く掴んだ。
997日記 ◆IMTfjwVpA2 :03/03/22 19:31 ID:qMRbZdeK
 瞬間、ヒカルの身体は動けなくなってしまった。恐怖で身体が震えてしまう。
「逃げなくてもイイじゃん。俺たち怖くないよ?」
腕を振り払うこともできなくて、ヒカルは凍り付いたように三人を見つめた。
「……アレ?」
手を掴んでいる男が、ヒカルの間近に顔を寄せた。
「ん――――――………もしかして…キミ男?」
ヒカルは固まったまま、ウンともスンとも言わない。
「え〜〜〜マジかよ!」
「ウッソ!あ〜〜ホントだ〜」
お前もっとよく見ろよ、お前だって可愛いって言っただろ、暗いからだ――と、ヒカルを
無視して三人は揉め始めた。
 しかし、ヒカルを捕らえていた男が、怯えるようなその表情に気がついて、慌てて手を離した。
「ゴメンな?」
ヒカルの顔を覗き込むようにして、謝った。他の二人も、苦笑いで後に続けた。
「女の子と間違えちゃって…ゴメン…」
「もしかして、俺達、男の子に声をかける危ないヤツって思われた?」
ヒカルは俯いたまま、首を振った。慌てる彼らがおかしくて、ぎこちない笑みを口元に
浮かべた。
998日記 ◆IMTfjwVpA2 :03/03/22 19:32 ID:qMRbZdeK
(上に続けてください)

 三人が同時に息を呑んだ。その仕草は彼らの目には、酷く可憐に写ったらしい。だが、ヒカルには、
それがわからなかった。ただ、三人の瞳の中に別の色が混じったのを瞬時に見て取り、
心の中がざわめいた。
「………でも…ホント…マジで可愛いよ……」
「お前、危ねーよ!」
茶化す男の声も、心なしか上擦っている。
「………ホント、惜しかったな…さ、行こうぜ!」
自分たちの中に芽生えた感情を振り払うかのように、残る男がせき立てた。
 口々に「ゴメン」と謝りながら、彼らは去っていった。ヒカルは、一人取り残された。
「……………なんだよ…チク…ショ…!」
小さく毒づいた。なんだよ!アイツら!ヒカルの心臓を凍らせておいて…死ぬほど怖がらせて
おいて……。
「………チクショウ…チクショウ…」
涙が出てきた。止めたくても止まらない。ゴシゴシと目を擦った。
 誰に向かっての言葉なのか…彼らに対してなのか…それとも…自分に対してなのか…
「チクショウ…」
緒方の言葉は本当だ。愛だとか恋だとか、好きか嫌いか、そういう感情を抜きにしても、
自分は、男にとって十分そういう対象になるのだ。認めたくはないが、それが事実だ。
999学生さんは名前がない:03/03/22 19:33 ID:qMRbZdeK
>995
ありがとう やっと書き込めたよ。
さあ、ヒカルタンかもーん!オレの胸に飛び込んでおいで!!
1000学生さんは名前がない:03/03/22 19:37 ID:pGW0lOv5

   (( ( ∩∩ ) ))プルプル
    〜|  |
  ┏━∩━∩━┓     1000ゲトーーー!!
  ‖  (。д。)   ‖
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  ‖         . ‖
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