●おまえら男ならヒカルたんハァハァだよな?Part36○

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952学生さんは名前がない:03/02/26 11:38 ID:jkKiP9PF
たしかに宇多田は好きだが。
953学生さんは名前がない:03/02/26 11:38 ID:+ZBu2lGe
>>940
うおっ!気がつかナカッターヨ
954学生さんには名前がない:03/02/26 18:45 ID:Mk6YjFwg
ageニモ負ケズ...
「えー、嘘だろ!?」
「嘘だと、私も思いたいのですが」
「・・・はぁ(ため息)」
 行洋からの使者と文は、三者三様の反応をもたらしていた。
「賀茂!お前も嘘だって思うだろ?」
「だが、わざわざ藤原行洋さまが偽りの文を寄こすとも思えない」
「でもさぁ」
 ヒカルがあまり大声で嘘と連呼するものだから、行洋からの文を携え
て来た従者(ずさ)の頬がピクピクと引きつっている。だが、今はそん
なことを気にしている場合ではなかった。
 達筆過ぎてヒカルには読めない文には、近衛光の生還をお聞きになり、
帝がすぐに参内するようにと仰せられている。しからば、とりもとりあ
えず早急に参上されたしと書かれているらしい。
「近衛って、帝と会えるような身分じゃないんだろ?」
「それは、光が京の妖しを倒すのに一役買った、功労者だからですよ」
「京の妖しって、佐為と賀茂と一緒にやっつけたっていう、桑原のじー
ちゃんそっくりな妖怪のことだよな?」
「えぇ」
 平成の世での、いや、桑原本因坊は昭和生まれだから、昭和の世なの
かはともかく、どこか得体の知れないところのあるかの老人が、妖怪だ
と聞かされてもヒカルは驚かなかった。千年も昔の幽霊であった佐為を
ありのままに受け入れていただけはある。
「どうしても行かなきゃダメなのか?」
「そうですね。この文によると、光のことを耳にして、当初、帝はたい
そうご立腹だったそうですから」
「な、何で?」
「無事なら無事で、正式に挨拶に来るのが筋と言うものだろうと」
 藤原行洋が、近衛光はまだ病み上がりの身、窶れて見苦しいところを
帝にお見せするのは申し訳ないと申しておりました。そう取りなしたお
陰で、帝も一度は納得したらしいが。
「春の君が、ならば光を参内させて、帝がお声をおかけになれば、闘病
の励みとなりましょうと、おっしゃったそうですよ」
 もちろん、身分の低い検非違使をわざわざ帝が御前に召すことはない。
囲碁指南のために参内する佐為の護衛としてヒカルも付き添い、あくま
で偶然に帝と出くわすという段取りになっているらしい。そして、その
場に東宮も、これまた、たまたま居合わすことになるのだ。
「うわー、姑息だな、東宮」
 歯に衣着せぬ物言いで腕組みをするヒカルに、佐為と明は思わず顔を
見合わせた。
「とりあえず、行くしかないか」
「そうですね」
「俺の顔を改めて見れば、東宮も目が覚めるだろうしさ」
 何しろ、御所でもここでも、明るいところで顔を合わせたことはない
のだ。ヒカルの方は、まだまともに東宮の顔さえ見ていない。
「・・・だといいんだが」
 自分の容姿の美醜に頓着しないヒカルを、明は心配になる。例えば、
市中をどんなに目立たぬ服装で歩いたとしても、人目を引かずにはおか
ないほどに見目麗しい容貌なのだ、ヒカルは。もっとも、当の明も他人
のことを言えないところがあるのだが。
「文には早急にとありましたね?具体的にはいつです?」
「できれば明日にでもと」
「佐為は大丈夫なのか?」
「こんなときですから、何より光を優先しますよ」
「分かった。いいよ。嫌なことを後回しにしても仕方ないもんな」
 きっぱり言い切ったヒカルに、佐為も覚悟を決めて頷いた。こうして
佐為が行洋に文を返し、ヒカルは明日の早い時間に近衛光として御所へ
と参内することとなった。


「はぁ、あぁん・・・」
 気持ちが高ぶって眠れないまま、ヒカルは佐為の部屋へと赴き、褥を
共にした。時の最高権力者と顔を合わせることへの緊張。自分に懸想し
ているらしい東宮の思惑もまだ分からない。自分に味方してくれている
佐為や明、それに行洋に対する申し訳ないという気持ち。そして、近衛
と顔見知りの者に会ってしまうのではないかという不安。それがない交
ぜになって、ヒカルに襲いかかって来ていた。
 それを、一瞬でもいいから忘れたかった。ただ、疲れて泥のように眠
れるように、抱いて欲しい。
「光、光・・・」
 不安は、佐為にとっても同じであった。二年前に、光を失ったように、
この腕の中の少年もなくしてしまうのではないかと、正気でいては考え
なくても良いことに思いを巡らせてしまう。
 二人の気持ちを表すように、その夜の情交は、いつもより深く激しい
ものになった・・・。
958プラモヂル(┐´∧`):03/02/26 22:21 ID:CE8AuaFt
ホーーーーーーーーーシュ!
959プラモヂル(┐´∧`):03/02/26 23:31 ID:1/OBoWxU
と、思ったら次スレもうあるじゃねえか!(`д´)ウァァァァァァン
960学生さんは名前がない:03/02/26 23:37 ID:2+7tGfk3
>959はいい人
961学生さんは名前がない:03/02/26 23:43 ID:66KT7yw8
うん、いい人だ。
>959
ここはここで必要なんだ。保守してくれてありがとう。
962学生さんは名前がない:03/02/27 01:30 ID:1rMnorww
ほちゅ
963学生さんは名前がない:03/02/27 02:05 ID:pT6KH0+S
ヒカルたん(;´Д`)ハァハァ
964学生さんは名前がない:03/02/27 03:12 ID:Uf2rP27E
 
965学生さんには名前がない:03/02/27 03:31 ID:qlc23Feu
ageニモ負ケズ... (´Д⊂
966学生さんには名前がない:03/02/27 12:31 ID:qlc23Feu
ヒカルたん(;´Д`)ハァハァ
967学生さんは名前がない:03/02/27 23:21 ID:EgoHC8Hk
アニメ見てねーからちょっと寂しいぜ・・・
968春の舟 ◆zujBFpKhyI :03/02/28 01:37 ID:3uwoVw4n
1
舟は鏡のような水面を、静かに進んだ。
周りの山肌は若葉の薄緑色にけむり、昼下がりの空気は暖かく湿っている。
春の午後、藤原佐為と近衛ヒカルは、都大路の西の外れの山間にある大きな堤に来ていた。
その堤に浮かべた舟に乗り、若葉の茂る山肌の迫る、堤の堰から奥へと向かっていた。
ヒカルは舟の舳先に前を向いて座り、時々嬉しそうに振り向いては佐為の顔を見る。
舟の中ほどに佐為はゆったりと座り、最初はしぶしぶ着いてきたヒカルが、小さな子供のように
はしゃいでいるさまを楽しそうに見ていた。
この堤の堰の上に馬で登って来た時、ヒカルは堤の奥に霞のように広がる薄紅の一体を指差し、
「あれが桃なんだね?」と興味深そうに言った。

この日の午後、帝の囲碁指南の仕事の後で、警護のために佐為を家に送って来ていたヒカルを、
佐為は、噂で聞いたという桃の花の咲く場所へ見に行こうと誘った。
朝の粥が残っているはずだから、それを食べ、すぐに出掛けて行けば陽のあるうちに帰って来られる。
そう言って誘う佐為の言葉を聞いて、ヒカルは露骨に嫌な顔をした。
「桃?」
「ええ、桃です。いけませんか?」
意外そうに言う佐為の顔を見ながら、ヒカルは溜息をついた。
「佐為って、やっぱり変わり者だよなー。普通は桃より梅だろ?まあ、遊びに行く口実なんだろうけど。
前もさ、俺が梅の木を持って来てやったのに、あんまり喜ばなかったし」
佐為を帝の囲碁指南役にと呼び寄せた藤原行洋が、都に家を持たない佐為のために、
新しく用意したのがこの家だ。
969春の舟 ◆zujBFpKhyI :03/02/28 01:38 ID:3uwoVw4n
2
佐為が住むようになって一年ほどなのだが、囲碁の他に興味を示さない佐為自身のために、
この家の庭はあきれるほど殺風景だった。
行洋や付き合いで訪れる貴族たちに言われて、佐為がようやく植えたのが桃の木だった。
桃の木が植えられ、ようやく庭らしく整えられて行くだろうと思ったが、その後も庭は殺風景なままだった。
気をもんだヒカルが、その庭に梅の木を置いて行ったのは、前の年の秋のことだ。
木を植え替えるなら涼しい季節がいいからと、佐為の家の庭に梅の木を、置いて行ったのだが、
三日ほどしてヒカルが佐為の家を訪れてみると、ヒカルが置いて行ったそのままに梅の木が庭にあった。
それを見たヒカルが怒って梅の木を川に捨てて来ると言うと、その時になって初めて佐為は、
梅が可愛そうだからと、やっと庭に植えたのだ。
その梅の木のことを思い出して、ヒカルは不機嫌そうだった。
「桃の花が好きなんです」
そう笑いながら言う佐為の顔を呆れたような表情でヒカルは見ていたが、諦めたように早く出掛けようと
佐為を促した。

ヒカルは堤の奥の、薄紅の霞をもっと良く見ようと、馬の上で身を乗り出した。
「舟があるはずなのですが…」
南から堰を登り、堤の淵をめぐって北側の細い道へと馬を進めると、さほど行かぬうちに
道が途切れた。
馬を降りて水際へとさらに下りると、枯れた葦の間から初老の男が姿を現した。
男は二人を促し、葦の間を歩くとすぐに水に浮かぶ舟が見えた。
ヒカルは、子供の頃、壊れた川舟が河原に捨てられている横で遊んだことがあるのを思い出した。
その時見た舟よりはだいぶ大きい。無理をすれば大人の男が五人も座れそうだ。
だが、この舟は堤の魚を獲るためのものではなさそうだ。
大事そうに布が敷かれているのを見ると、あの桃の花を見に行くためのものらしい。
970春の舟 ◆zujBFpKhyI :03/02/28 01:38 ID:3uwoVw4n
3
舟の中央に座った佐為の前に、ヒカルは一度行儀よく座ったが、舟が岸を離れ静かな水面を
進んで行くと、舳先へと這って行った。
普段、聞くことのない舟底の、小さな水音が耳に心地いい。
舟べりに手を掛け、さざなみの立つ水面をヒカルは覗き込んだ。
「ヒカル、落ちないでくださいね」
すぐに佐為が声を掛けた。
「わかってるよぉ」
舟はやや大きいために、ヒカルが舟べりから顔を出したくらいでは傾くことも、揺れることもない。
普段は舟に乗る機会などないので、ヒカルは嬉しくてじっとしていられないのだ。
しかし、佐為が心配するよりもヒカルは慎重だった。
これが一年前のヒカルなら、はしゃぎまわって水に落ちることがあったかもしれない。
そんなことを考えながら、時々振り返り、佐為の顔を見ては笑うヒカルを、可愛らしく思った。

桃の花の下に、舟は静かに滑り込んだ。
水面から見上げてみると、何本もの木が集まって咲いているのではなく、大きな木が一本、若い木を
数本従えるように咲いているのがわかった。
霞に包まれたように、あたり一面が薄紅色に染まり、幻想的だ。
だが、間近に見るまだ若い芽は薄緑色に輝き、薄紅の花に色を添えて瑞々しく美しい。
「きれいだなぁ…」
ヒカルは思わず立ち上がり、花天井となった頭上を見上げて感心したように言った。
「おや、ヒカルは少しは風情がわかるようですね」
佐為が、からかうように言った。

971春の舟 ◆zujBFpKhyI :03/02/28 01:39 ID:3uwoVw4n
4
「佐為は庭のことわかんないもんな。オレの方が上ってことかな?」
「……」
すぐにヒカルに返され、佐為は驚いて袖で口元を隠した。

ヒカルは佐為の近くに座り直した。
「噂に聞いた通りですね。これでまた花の散る頃には、この場所を知っている者たちがこの舟を
奪い合うのでしょうね」
「歌を詠んだり、酒を飲んだりするんだな。それならもう一艘くらい舟を浮かべればいいのに」
「でもここは、多くの人は知らないのですよ」
「ぅん?」
「よく顔を合わせる女房殿に教えていただいたのです。この堤は、ある貴族の領地の一部で…」
―――よく顔を合わせる女房…
佐為がそう言った途端に、ヒカルは抑えようのない嫉妬にかられた。
内裏に出入りしていれば、女房の一人や二人の顔見知りは出来る。
それどころか佐為は、帝の他にも手が空いていれば、他の貴族にも女房にも碁を教えることがあるのだ。
普段から仲が良く、ひとりの貴族とその警護役の間柄を越えた、佐為との親密さをヒカルは既に
手に入れてはいたが、ほんの少しのことで心の底が冷たくなるような、ひどく嫌な気持ちになる。
そうして決まってその後は、とても不安になるのだ。
男の自分とのことは気まぐれに起きたことで、いつか佐為は自分の知らない女房と…。
「ヒカル、どうかしましたか?」
急に黙り込んだヒカルのようすを不思議に思い、佐為が訊ねた。
ヒカルはあわてて首を横に振った。
まっすぐにヒカルを見つめてくる佐為の目は、何もかもを見通そうとしているようだ。
誰かに抱く嫉妬心も不安な心も、佐為には知られたくない。
こんな綺麗な場所に大好きな佐為といるのに、こんな気持ちになる自分は醜いと思った。

972春の舟 ◆HIKARU1goo :03/02/28 01:42 ID:3uwoVw4n
5
「少し、冷えましたか?」
ヒカルはうなずいた。
ここは堤に浮かぶ舟の中だ。それに太陽は山影に隠れて見えない。
今日は暖かく風もないが、さすがに足元が冷える。
「いらっしゃい」
佐為はにっこり笑うと両腕を開いて膝をついて立ち、ヒカルを招き寄せた。
ヒカルは素直に脚を開いて座った佐為の脚の間に体を滑り込ませ、体を佐為に預けた。
両腕で抱きしめられると嬉しい。ヒカルは顔を佐為の胸に押しつけながら、両腕を佐為の体に回した。
ふんわりと体が温かくなる。この温かさを無くしたくない。誰かに取られたくない…。
ヒカルの小さな体を優しく包んでいた手が、ヒカルの体を優しく撫で始めた。
顔の輪郭をたどっていた佐為の指がヒカルの顎を捉えて上向かせる。
ヒカルは目を閉じて、佐為の包み込むようなやわらかい口付けを受けた。
しかし、やわらかいと思ったのは最初だけで、すぐに佐為の舌が口の中に忍び込んできて、
ヒカルの舌を強く吸った。
体を掬い上げられるようにされながら、息をするのも苦しいような口付けを交わす。
めまいがするような感覚がしてヒカルは体から力が抜けていくのを感じた。
唇が離れてもすぐには元に戻らない。佐為の腕に体を預け、喉を反らしたままにしていると、
ふいに体が楽になったような感じになった。
めまいがするのとは違うな、と、ヒカルは首をまわし、佐為の腕にしがみつくようにして体を起こすと、
するりと着ている着物の帯が緩んだ。
「あっ…」
佐為がヒカルの狩衣の帯を解き、指貫の紐を解いたのだ。気がつけば佐為の手が着物の中に
忍び込んできていた。するすると手が滑り、腹の下の方へと下りて行く。
ヒカルは思わず体を固くして、佐為の腕を掴んだ。
佐為を見上げるヒカルの目が、不安そうに揺れた。
973学生さんは名前がない:03/02/28 07:56 ID:zevGj82a
「(;´Д`)ハァハァは無限なり」
「百万回(;´Д`)ハァハァしても満たされない」
「答えは……あるのか?」
「スレの中は未だ深い淫欲の闇」
「手探りで前へ逝くのみ 光を求めて」
「しがらみを捨てたにすぎぬ この身は永遠に512kbの迷宮にある」

「私は まだ ヒカルたん(;´Д`)ハァハァを 極めていない−−−−−−」
974学生さんは名前がない:03/02/28 10:33 ID:0ViV67YR
>973
ないすコピペ!
百万回(;´Д`)ハァハァ・・・酸素薄そうだなー。
975学生さんは名前がない:03/02/28 22:11 ID:B7YOCGtS

ホッシュ♪
 . 〃ヾ▼ _∩
,, .(・д・ )丶つ )) 
   ∩_∩_ノ ,,
976学生さんは名前がない:03/02/28 23:17 ID:RR65qMan
>>973
倉庫保存キボンヌ
977春の舟 ◆HIKARU1goo :03/03/01 03:25 ID:mYnR8EHc
この舟にはヒカルと佐為だけでなく、もう一人、男が乗っているではないか。
ヒカルは佐為の肩越しに男を見た。舟の後ろで男はこちらに背中を向けてうずくまっている。
「気になるのですか?」
佐為がヒカルのようすに気づいて囁いた。
「人がいるところでなんか、嫌だよ」
ヒカルが頬を上気させ眉を寄せながら言うと、佐為は不満そうに、
「せっかく帯を解いたのに」
「そういうことじゃないだろ!」
ヒカルが身を捩り、佐為の腕の中から逃げようともがくのを、佐為は簡単にヒカルの
動きを封じ込めてしまう。
佐為は面白そうにくすくすと笑い出し、乱れたままの着物に包まれたヒカルの体を、
器用に撫でまわした。
右腕でヒカルの体を胸に抱きこみ、左手でヒカルの内股を探る。
まだ淡い茂みを指に絡め、口では嫌だと言ってはいても立ち上がってきている中心の物を
手のひらで包んだ。
「……」
ヒカルは息をつめ、片膝を胸につけて身を縮めた。佐為の手の動きを封じようとする、
ささやかな抵抗だ。
「…だめだったら…」
ヒカルは息を乱しながら尚も佐為を拒んだ。
それが佐為の中の意地悪な心をひきだした。
佐為はヒカルの体を抱え上げ、自然下におりたヒカルの両足を自分の足の間に挟み、
体を伸ばすようにすると、ゆっくりと舟底にヒカルの体を押さえ込んだ。
978春の舟 ◆HIKARU1goo :03/03/01 03:26 ID:mYnR8EHc
体重を掛けてヒカルの体を押さえ込み、耳に唇を押し付けて囁く。
「ヒカル、言うことを聞いてもらいますよ」
そう言われてヒカルはビクリと体を震わせた。佐為が何をしようとしているか、
わかったからだ。
佐為はヒカルの耳に舌を尖らせて差し込むようにして舐めた。
「 ! ! …佐為、いやあ!」
ヒカルが暴れだした。首を振って佐為の舌から逃れようとする。
しかし、組み敷かれたままでは執拗に追ってくる佐為の舌から逃げられない。
ヒカルの体の中で一番感じやすいのが、耳だ。
ふたりが睦みあうようになったはじめのころ、佐為がやさしくヒカルを愛しながら耳に
触れて舐め続けると、それまで恥らいながらも佐為を受け入れていたヒカルが、
初めて激しく拒絶した。
感じすぎて変になりそうだと、ヒカルは泣いて嫌がった。
以来、佐為はヒカルの耳に軽く口付けることはあっても、感じさせようとして触れたことは
なかった。

一番弱い耳を責められて、ヒカルは悲鳴をあげた。
すぐに体中から汗が噴き出し、逃げようと暴れていた体から力が抜ける。
抱え上げられた時に指貫がずり落ち、剥き出しになった下半身の中心を佐為の手が
嬲ると、ヒカルはぽろぽろと涙をこぼした。
呼吸を乱して、それでも嫌だと言っていたが次第に言葉を紡ぐことが出来なくなっていく。
「…ぁ、あ!…ああっ!」
背中を反らせ、体を大きく震わせて佐為の手の中にヒカルは精を放ち、息を乱した。

979春の舟 ◆HIKARU1goo :03/03/01 03:27 ID:mYnR8EHc
いつもならここでヒカルを一度休ませるところだか、佐為はヒカルの耳を責め続けた。
佐為の腕をやっと掴んでいたヒカルの手が、力なく舟底に落ちる。
震えていた体が静かに眠ったようになると、ヒカルの浅く早かった呼吸が、急に深く遅く
なった。熱くなっていたヒカルの体温も同時に下ったのを感じ、そこでようやく佐為は
ヒカルの耳から唇を離した。
「ヒカル…」
呼びかけてもヒカルは答えなかった。それどころか、ピクリともしない。
佐為はヒカルから体を離した。ヒカルの汗に濡れた体を着物で包み、上体を起こすと、
自分も狩衣と指貫の帯を解いた。自分の単衣の前をはだけ、ヒカルの着物を脱がせて
裸にすると、再びヒカルと体を重ねる。汗に濡れたヒカルの体は冷たいままだ。
「…ヒカル」
もう一度呼びかけると、ヒカルはうっすらと目を開けた。だが、その瞳はさ迷い、焦点も
合っていない。
佐為は軽くヒカルの頬に唇に、何度も口付けた。やさしく包むように頬を撫で、肩を
抱いているとヒカルの体に熱が戻り、ヒカルの両腕がさ迷うように動いて緩く佐為の首に
絡められた。
ヒカルが大きくため息をつく。
「佐為のばか…」
軽く唇を重ねたその下で、ヒカルが消えそうな声で佐為を呪う。
言いながら、両足を開いて自分から佐為の腰に足を絡め、引き寄せた。
熱く重い佐為の中心がヒカルの内股に強く押し付けられ、体を揺らされた。
佐為はヒカルの涙を吸った後、ゆっくりと首から胸へと口付けて行った。
980学生さんは名前がない:03/03/01 16:04 ID:VvRgE72u

       /\  
      ||▼〃ヾ      シンジナサイ…
  ___|(,,゚Д゚)__      
  ||   ⊆   ⊇  | 
   ̄ ̄ ̄|.|  || ̄ ̄ 
      ||.|  ||   
      ||.UU|  
      ||   |  
      ||   |  
981黎明 ◆b0moonAH5w :03/03/01 17:59 ID:GjhltKtJ
「ヒカル、食事を。食べられるか?」
声をかけると、寝台の中に身を起こしていたヒカルはゆっくりと振り返った。
傍らに膳を整えると、彼はゆっくりと手を伸ばして椀をとり、その中の粥を啜った。
その様子にアキラは小さく胸を撫で下ろした。
この屋敷へ来た当初、彼は食物を中々受け付けず、一匙の重湯を流し込んでもむせ返してしまう
程だった。何も映さない虚ろな瞳の彼の身体を抱きかかえながら、ゆっくりと時間をかけて、一匙
ずつ、手ずから食べさせてやった。
けれど今は、彼の手を借りずとも、僅かとはいえ自らの手で食事を取る彼を、彼の身体がここまで
快復してきた事を、喜ぶべきはずなのに一抹の寂しさをどうしようもなく感じてしまって、その思い
を封じ込むように、アキラはヒカルの姿から目をそらした。
やがて椀が置かれる小さな音がして、彼が食べ終えた事を感じたアキラは、式を呼んで膳を片付
けさせ、自分は隣室へと戻った。
982黎明 ◆b0moonAH5w :03/03/01 18:01 ID:GjhltKtJ
夜半、浅い眠りにつきかけていたアキラに、小さな呻き声が届き、彼は身を起こした。
手燭を掲げながら隣室へと赴くと、果たして薄闇の中に寒さに震えてうずくまる彼の姿があった。
すばやく火桶に新たな火を起こしてから、彼の元へとより、肩に手をかけ、彼の名を呼んだ。震え
ながら彼はアキラを見上げ、腕を伸ばしてアキラの身体に抱きついた。小さく震える彼の背を抱き
しめながら、また、彼の名を呼んだ。
呼ばれて、アキラの腕の中でヒカルが小さく身じろぎした。そして彼を抱いたまま身を横たえようと
するアキラを押しとどめる力を感じて、アキラはその異変にもう一度彼の名を呼んだ。
「…ヒカル?」
僅かに身体を離すと、ヒカルがアキラを見上げ、先ほどまではアキラにしがみついていた手で、
震えながらアキラの身体を押し戻した。そしてぼろぼろと涙をこぼしながら、ヒカルはアキラを見
つめて頑なに首を振った。縋るように見上げる瞳の中に、けれど強い意志を感じて、アキラは彼
の身体から己の身体を引き離した。
追い縋るように彼の手が伸びる。けれど伸ばされた手は中空で止まり、彼の意思がそれを押し
とどめる。彼の内の葛藤をそのまま示すようにその手が震える。震える指先は次の瞬間、彼自身
の身体を封じ込めるように己の腕に巻きついた。
為す術もなく、アキラはただ彼を見つめていた。
抱えるように自らの身体を抱いていた彼は小さな悲鳴を上げて、そこへうずくまった。
己の内の嵐に抗うように、彼は小さく縮こまり、呻き声とも悲鳴ともつかぬ声が彼の喉から漏れた。
983黎明 ◆b0moonAH5w :03/03/01 18:02 ID:GjhltKtJ
奥歯を噛み締め、拳を強く握り締めて、彼の姿から目を背けた。すると耳にはただ彼の呻き声
だけが届いた。
堪え切れぬ悲鳴がアキラの耳を苛み、耐え切れずにアキラはその部屋から逃れた。壁を伝い、
震える足をなんとか進ませて、怯えるようにその部屋から逃れた。もはやあの部屋に、己のいる
べき場所はない。彼のためには、自分はもはや必要でない。彼が彼の意思で嵐と闘おうとする
ことは、彼自身の力で、己を取り戻そうと闘うことは、喜ぶべき事である筈なのに。くず折れそうに
なる身体を支えるように、柱にしがみ付いた。
その時、逃れるようにヒカルから離れようとしたアキラの耳に、かつて聞いた事もない程の絶叫
が届いた。その響きに異変を感じたアキラは顔色を変え、もといた部屋へと走った。
「ヒカルッ!!」
984黎明 ◆b0moonAH5w :03/03/01 18:03 ID:GjhltKtJ
暖められていたはずの室内に足を踏み入れた彼は、一瞬、その冷え冷えとした空気に足を
竦ませた。
それから次の瞬間、駆け寄って彼の身体を力任せに抱きしめた。がくがくと震る細い身体は、
もはや抱きつく力さえ残されていなかった。
彼の身体は恐ろしく冷たかった。彼の衣を剥ぎ、自らの衣を脱ぎ捨て、自らの体熱を移し与え
るように彼の身体を抱きながら、少しでも熱を呼び覚まそうと空いた手で彼の背をさすった。
こんなにも彼の身体が冷え切ってしまった事はこれまでになかった。冷たく芯から冷えた彼の
身体は、抱きしめる己の熱を全て与えても元の通りに温まる事はないのではないのかと思うく
らいに冷たかった。
震えは次第に小さくなり、細い腕は力なく垂れ下がり、呼吸は浅く、白い面には血の色もなく、
アキラは抱きしめた身体から確実に熱が去りつつあるのを感じていた。
ぞくり、と身が震えた。
この震えは、寒さなのか、恐怖なのか。
このまま、彼の身体が冷えたまま、温まる事がなかったら。
目を開けることもなく、冷たく冷えたまま動かなくなってしまったら。
「…ヒカル、」
腕の中のかけがえのない存在が奪われつつある恐怖に震えながら、彼の名を呼んだ。
「ヒカル、」
呼びながら、応える力もない細い身体を抱きしめた。冷たい頬に頬を摺り寄せながら、彼の名
を呼び続けた。背を擦り、冷たい指先を手で包み、身体全体で彼の身体を包み込み、一欠片
の熱も漏らさぬように、この身の発する熱を全て彼に与えられるように。
985黎明 ◆b0moonAH5w :03/03/01 18:04 ID:GjhltKtJ
ぴくり、と彼の指先が僅かに動いた。一瞬、気のせいかと思った。その次に、小さな息が肩にかかる
のを感じた。腕の中で彼が小さく身じろぐのを感じた。
「…ヒカル?」
僅かに身体を離し、彼の名を呼びながら、顔を覗きこんだ。額に張り付く前髪をそうっと祓うと、彼の
睫毛が小さくふるえ、それからゆっくりと、彼は目を開けた。
開かれた目はけれど虚ろに、アキラを映しはしなかった。
「……ヒカル?」
目の奥に次第に光がともり、ゆっくりと焦点の合ってきた目は何かを探すように宙を彷徨う。その眼
差しが、何かを捕えたように、ある一点で止まり、そこを凝視した。
アキラは息を飲んで彼の眼差しの追う、何もないその空間を振り返った。
「佐為。」
か細くはあるけれど、はっきりとした声が、かの人の名を呼んだ。
けれど応えは無い。あろう筈がない。
身動き一つする事もできずに、いないはずの人を見つめる彼の眼差しを、凍える思いで見つめた。
中空を凝視していた目の光がゆっくりと薄れ、諦めたように閉じられた瞼から一筋の涙が流れ落ちた。
986黎明 ◆b0moonAH5w :03/03/01 18:05 ID:GjhltKtJ
僅かに温かみの戻ってきた身体を、そっと抱いた。
抱え込むように彼の頭を胸に抱くと、暖かい涙が胸に落ちるのを感じた。
声にならない声で彼の名を呼ぶと、呼び声に応えるように彼の腕が背に回された。
静かな呼吸を、吐く息を、重なり合った胸に響く彼の鼓動を、確かに感じた。
彼の髪は柔らかく、彼の肌は滑らかで温かく、微かながらもその息遣いは確かで、裸の胸に感じる
湿った吐息から、彼の身体全体から、甘い香りが薫るような気がした。
確かに温かく息づいている肌の温もりは心地良く、ぴったりと触れ合った皮膚を通して彼の熱が己
の身体に流れ込んでくるのを感じる。同時に自分の体温もまた彼を暖めているのを感じる。
そうしてじっと彼を感じていると、鼓動も、体温も、吐く息も、全てが一つに溶け合って、体全体が彼
と溶け合って一つになってしまったかのような錯覚を感じる。
錯覚に過ぎないことを意識の片隅に置きながら、けれどこのひと時だけ、喪われずにすんだ温もり
を抱きながら、彼は優しく暖かい、束の間の儚い夢にしばしまどろんだ。
987学生さんは名前がない:03/03/01 20:34 ID:09WSOKib
             
988学生さんは名前がない:03/03/02 09:59 ID:daa6vTrq
アキラも据え膳食わずに頑張るな。鼻血大量出血して死にそうなほど我慢してるな。
989黎明 ◆b0moonAH5w :03/03/02 22:05 ID:s3h+ePsM
隣室から苦しげなうめき声が聞こえる。彼が、彼自身と闘っている声が。
耳を塞いでしまいたい。いっそここから逃げ出してしまいたい。何も、何の手助けもできない自分
には、その声をただ聞いているのは辛い。それでも、彼から目を離すわけには行かない。彼を襲
う嵐が彼から去るまで、抱きしめてやる事さえできなくとも、それでも自分はここにいなければな
らない。嵐が激しすぎて彼を壊してしまう事のないように、何もできなくともそれだけは見守って
いなければならない。
耐え切れぬように、高い悲鳴が上がる。けれどそれを堪えようと彼が闘っている気配を確かに感
じるので、まだ、その声の内に彼の理性を感じるので、彼の闘いの中に入っていく事はできない。
求められてもいない手を、差し伸べる事はできない。

そうやってヒカルを襲う嵐との戦いはヒカルの勝利に終わる事もあり、またヒカルの敗北の果てに、
アキラが震える彼の身体を抱いて暖めてやる事もあった。けれど次第に彼の意思は嵐に負ける
事なく、アキラが隣室に彼の気配を窺っている内に、嵐が去っていく事の方が多くなっていった。

そして今日もまた、彼は嵐に敗れることもなく、ようやく隣室は静まり、苦しげながらも呻き声は寝息
にかわる。アキラはやっと重く苦しい息をつき、自らの身体をほっと寝台に横たえた。けれどアキラ
の胸の内にざわめく風がアキラから眠りを奪い、彼はまた、夜の闇に彷徨い出る。
990黎明 ◆b0moonAH5w :03/03/02 22:05 ID:s3h+ePsM
身を切るような風の冷たさに我が身を抱きしめながら縋るように立ち木にもたれかかり、夜闇に目
を凝らして、彼はかつて見た甘い夢を思う。
温もりを求めて彼が自分に縋りついてきたのは、本当にあったことだったのだろうか。最後にヒカル
の身体を抱いたのはいったいいつの事だったろう、とアキラは振り返る。
もはや彼は単に身体を暖めるための人肌の温もりを求めはしない。
けれどアキラの手は、身体は、すっかりヒカルの身体を覚えてしまった。
寒い、と震える小さな声を、肩の薄さを、腰の細さを、しがみつく腕の力を、指先にさえ込められた
力を、暖めてくれと訴える声を、おまえが欲しいと繰り返しねだり彼を求める声を、アキラは覚えて
しまった。
震えながらしがみついてくるあの細い身体を抱きしめて、身体全体で彼を感じたのは、彼が自分を
求めて、それでも望むものを与えない自分をなじったのは、あれはいつの事だったろう。
求められるのが嬉しかった自分を知っている。駄目だ、と、彼の求めを冷たく拒絶しながらも、求め
られることが嬉しくて、身体は熱く燃え上がった。そんな風に、最後に求められたのは、一体いつの
事だったろう。
彼の快復を喜びながらも、その一方で、もう一度求められたいと、もう一度あの身体を抱きしめたい
と望む自分がいる。
求められて、けれど彼の望みを冷たく拒む。拒むからこそ、熱く求めてくる。その熱が、いま一度欲
しかった。失われてしまう事を知っているからこそ、それが欲しかった。
そのためにはどうしたらいいか、知っていた。
たった一片の香を、彼に与えてやりさえすれば、それでいい。
いっそ、そうやって、いつまでも彼が手元から逃げてゆかないように、常に自分を求め続けるように
飢えさせていたい。そんな望みが確かに自分の中にある事を感じて、アキラは自らの欲望の浅まし
さに絶望しそうになった。
991黎明 ◆b0moonAH5w :03/03/02 22:07 ID:s3h+ePsM
けれど彼がそんな風に自分を求めたことは、もうずっと遠い昔のことのように思う。
事実、ヒカルはもうほとんど正気に戻り、嵐は日を追って間遠く、また弱くなり、ついには彼を襲う事
もなくなり、ある朝、アキラがヒカルの部屋を訪れると、整然と座りアキラを待っていたヒカルが、静
かな声でアキラにこう告げた。
「俺、もう、大丈夫だから。」
 翌日。ヒカルと佐為は早朝に人目を憚るように参内し、帝との約束の
刻まで、気を落ち着けるように碁盤を挟んで対峙していた。対局に夢中
になっている間、ヒカルの集中力は半端ではなくなる。佐為もまた静か
碁石を置き、ヒカルの手に応えるだけで、言葉はなかった。囲碁は手談、
行き交う碁石の筋だけで、二人の想いは通じ合っていたのかも知れない。
 二人は、そろそろお時間ですと、行洋が寄こした従者(ずさ)が呼び
に来るまで、ただひたすらに打ち続けていた。
「行こう、佐為」
「はい」
 ヒカルたちが向かった先は、帝が日常生活を送る清涼殿から内宴など
が行われる承香殿へと続く渡殿(わたどの)の途中だった。後宮七殿の
一つ、弘徽殿の女御の指導碁の帰りに、帝と偶然出くわす手はずになっ
ており、尊い身分の殿上人が住まう場所だけに、衛士は多いが、関係の
ない貴族たちを閉め出すことができる利点もあった。
 ヒカルは無言で佐為の後ろをついて歩く。廊下の先にたくさんの付き
人を従えた帝らしい人の姿を見て、ヒカルは速くなる鼓動を押さえよう
と深呼吸をした。そして、佐為に倣って廊下の端へと座し頭を低くする。
「これは佐為殿、弘徽殿の指導碁のお帰りか?」
「はい。弘徽殿の女御さまは、とても熱心でいらっしゃいますから」
 恭しく帝に礼をした後、佐為が打ち合わせ通りに返す。
「うむ。これからもよろしく頼むぞ」
「はい」
「ときに・・・」
 見えないまでも帝の視軸がこちらに向いた気配を感じて、ヒカルは床
についた手にぐっと力を込めた。
「そこにおる佐為殿のお付きの者は、検非違使の近衛光ではないか?」
「そうでございます」
 帝の問いに答えるのはもちろん佐為だ。近衛光の身分では、帝からの
特別なお声掛かりがない限り、直接言葉を交わすことさえできない。
「一昨年の大雨の折り、行方知らずになったと聞いておったが?」
「はい。近衛光は・・・」
 打ち合わせ通り、佐為が続けようとしたとき、帝がそれを制した。
「佐為殿。その辺りは、近衛光に直に伺うとしよう」
「ですが・・・」
「身分のことを気にしておるのか?近衛光は、都の有事を救った立役者
だあろう。それに、以前、二言三言、言葉を交わしておる」
 だから苦しゅうないということなのだろうが、ヒカルにしてみれば話
が違うというところだ。が、帝が光の答えを待っている様子がありあり
と窺える。このまま黙っていても不敬罪になるだけだ。
ダメで元々!平身低頭の状態のまま、ヒカルは覚悟を決めて、大きく
息を吸った。
「お、恐れながら、帝に申し上げます」
「うむ」
「私、近衛光が昨年、任務に赴いた先で不覚にも濁流に飲まれたことは、
お聞きになっていることと思います」
「そうであったな。して、そなた。今までどこにおったのだ?」
「はい。私が落ちました川は、大雨により水かさも増し、流れも速くな
っておりました。水を飲み、気を失った私は、思いも寄らぬほど川下に
流されました」
 不思議なことに、話を切り出した途端、自然と言葉が出てくる。澱み
のないヒカルの口上に、帝がほうと感嘆の声を上げた。
「幸い、意識がなく流れに逆らわなかったことが良かったのでしょう。
致命傷は受けずに済みましたが、しばらくは自分の脚で立って歩くこと
もできず、体力が戻り、都に帰れるようになるまで、二年の年月がかか
ってしまいました。その間(かん)、帝にも要らぬ心配をおかけして、
まことに申し訳ございません」
 朗々としたヒカルの声に、佐為は驚きが隠せなかった。確かに明も交
えて帝への対応を協議はしたが、答える役は佐為のもので、当のヒカル
はそんな長い台詞、オレには絶対無理だな。舌を噛みそうだと顔を顰め
ていたのだ。
「うむ。そうであったか」
「はい」
「とりあえずはそなたが無事で何よりじゃ」
「はい、ありがとうございます」
 低い頭を更に低くしたヒカルに、帝がついと近づく。そして、おもむ
ろに手にした扇子をヒカルの顎の下に当てると、そのまま掬い上げる。
つられてヒカルの顔も肩の高さまで上がり、覗き込むようにしている帝
とばっちりと目が合ってしまった。
 し、白川先生〜!?
 どこかで聞いた声だと思ってはいたが、まさか帝がヒカルの囲碁初心
者時代の恩師とも言える白川道夫だったとは。声も出ず、唖然と見返す
ヒカルに、帝は珍しく柔らかい笑みを向けた。
「なるほど、これは雛に稀なるほど美々な面じゃ。東宮が想いを寄せる
のも分かる気がするな」
 そう言われても、何と答えていいのか分からない。気温も高くない季
節だというのに、だらだらと嫌な汗がヒカルの背中を滑り落ちた。
「大君、お戯れはそれくらいに。その者も困っておりますぞ」
 そう口添えをしてくれたのは、名前も知らないが帝の側近らしかった。
「はは、すまぬ。あまりに反応が可愛かったのでな」
「い、いえ、オレ、いえ、私にはもったいないくらいの、お言葉で」
 さっきの口上はまぐれだったとばかりに、ヒカルの返答は歯切れが悪
くなっていた。だが、そんなところも若者らしいと帝は受け取ったのか、
気分を害することもなく、お付きの者たちに目で合図を送り、そのまま
ヒカルの横を通り過ぎて行った。
 その姿が完全に見えなくなるのを待って、やっとヒカルが身を起こす。
「はぁ、疲れた〜」
「一時はどうなることかと思いましたが、無事、大君との対面も済みま
したね」
「本当だよー。もう心臓に悪いったら」
「私も一瞬、肝を冷やしました」
 行洋からの文では、帝が直接ヒカルに言葉をかける手筈にはなってい
なかったのだが。
「それにしても、光があんなにすらすらと口上を述べるとは思いもしま
せんでしたよ」
「佐為と塔矢、じゃなくて賀茂が打ち合わせをしてたのを横で聞いてた
からかな。自分でも信じられないや」
 オレって本番に強いのかもな。緊張が解れた反動か、満面の笑みを浮
かべたヒカルに、佐為も静かに頷いてみせる。
「それに、心配してた東宮の姿もなかったしさ」
「そうですね。酷く光に執着のご様子でしたから、春の君も帝と一緒に
お出でになると思っていたのですが・・・」
996春の舟 ◆HIKARU1goo :03/03/03 04:09 ID:VbWtR2H3
―――佐為の声が遠く、近く聞こえる。
今、自分を抱いているのは佐為のはずなのに、何故か遠くから聞こえてくる。
体がふわふわと空に浮いているような感じがする。
でも、背中に感じるのは堅い何かで、地上のどこかなのだろう。
ここは、どこ?
いつも佐為に抱かれる時は、暗くて少し寒い夜の部屋の中。
なのに、目を開けるとまわりは明るくて、霞に漂う薄紅の花まで見える。
―――これは、夢?
夢を見ているのかもしれない。
いつもより、すごく気持ちがいい。感じ過ぎて…。でも、もっと欲しい。
もっと、もっと強く。もっと酷くして、このまま死んでしまうまで。


…耳元で水の音がする。佐為はまだ耳を舐めているんだ!
嫌だと言ったのに、佐為は意地悪だ。嫌だ、嫌だ嫌だ。
「いや、…耳はいやだよ。ああ…佐為…」
白いもやが頭にかかっている。早くここから抜け出したい。
さっきまで佐為の体を感じて気持ちよかったのに、急に苦しくなってしまった。
「ヒカル。目を開けて」
佐為の声にヒカルは、はっとした。佐為が、真上から長い髪を垂らして自分を見ていた。
両手で強く掴まれ、舟底に押さえつけられた肩が痛い。
痺れるような感覚が薄れ、自分が今どんな格好をしているか分かってくると、ヒカルは
行為に上気した顔をさらに赤くした。
997春の舟 ◆HIKARU1goo :03/03/03 04:10 ID:VbWtR2H3
腰を抱え上げられ、大きく左右に開いた足の間を剥き出しにされ、爪先は床に着きそうだ。
佐為の堅く張り詰めた物が、ヒカルの体を深く重く貫いている。
夢の中で何度か達したと思ったのは、現実でもそうだったのだ。自分の内股も下腹も、
白く汚れて濡れている。
ヒカルは胸を大きく上下させ、喘いだ。
「舟べりを打つ水の音が、耳を舐めている音に聞こえるのですよ」
ヒカルが無意識に佐為を締めつけると、佐為は額に汗を滲ませ、眉を寄せて呻いた。
佐為はヒカルの肩を離し、ヒカルと深く繋がったままゆっくりと体を重ねた。
ヒカルの片方の踵を自分の肩に掛け、もう片方の足は脇腹へと遊ばせてやる。
その方がヒカルの体が楽なのだ。
ヒカルの中の佐為の物が、姿勢を変えたことで腸壁を強く押しつける場所が変わると、
ヒカルの表情が怯えるようなものから、恍惚感の混じったものに変わった。
「…んっ…」
佐為は震え出したヒカルの体をもう一度抱き直すと、いきなり下から強く突き上げた。
「あ!、ぁはう……!あんっ」
叫ぶような声を上げるヒカルをそのままに、何度もヒカルの中の奥を、深く体を沈めた
まま突いてやると、ヒカルは喉と背中をそらせて身を捩らせる。
「あぁんんっ!はぁっ!ああっ…あ!あ!!…んっ!…」
こんな時、普段は喘ぎ声を漏らすまいと口結んでいるヒカルだが、今日は意識を半分
飛ばしているせいか、声の出るまま堪えようともしない。
佐為はヒカルの腰を突き上げては揺らし、ヒカルを喘がせる。
ヒカルの頭を抱え、髪の生え際に息を吹きかけてやると、ヒカルは佐為の肩に顔を
押しつけてきた。

998学生さんは名前がない:03/03/03 04:29 ID:B1DoFEFw

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999学生さんは名前がない:03/03/03 04:29 ID:B1DoFEFw

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1000学生さんは名前がない:03/03/03 04:30 ID:B1DoFEFw

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