●おまえら男ならヒカルたんハァハァだよな?Part12○

このエントリーをはてなブックマークに追加
ど、どうなってしまうんだ、二人は?
ヒカルたんサバサバしてて(・∀・)イイ!
ニューウェーブ始動!
不実なヒカルたんキキキキキキキキキキキキタ━━━━━━((((((゚∀゚;))))))━━━━━━ !!!!!

うん、こりゃーピュアで一途な若先生を応援したくなったよ。
がんがれ!他の男じゃ駄目だと思い知るくらいテクを磨くんだ。
そしてオイタしたヒカルたんを………(;´Д`)ハァハァ………!
954ウツクシキコト 5:02/07/09 17:57
塔矢が俺の部屋を訪ねてきたのは、日比谷公園で別れてから四日後のことだった。
あいつは玄関先で、「鍵を返しにきた」と、暗い顔で言った。
渡されたそれには、シルバーのキーホルダーがついていた。
元名人が懇意にしてる銀座の専門店で買ったとかで、おそろいにしようと俺にもくれたけど、結局使わないままどっかの抽斗にしまったまんだ。
たまたま目にした情報番組で、小さなキーホルダーが一万もするのに驚いたっけ。
俺が使わないことを、塔矢は何度か言葉でなじったけど、なんかさ、使うのが勿体無かったんだよね。
俺は、細かな瑕のついたキーホルダーを鍵から外して、塔矢に返した。
「俺のも、返そうか?」
「おれの?」
「ああ、だからさ、キーホルダー」
「いい。あれは君にプレゼントしたものだから。必要ないなら君が処分してくれ」
「わかった」
用事は終わったはずなのに、塔矢に動く気配はなかった。
俺は、なんだかうまく説明できないけど、罪悪感? うん、なんかそんな気持ちで一杯になって、玄関の上がり框に一歩戻って、塔矢に言った。
「上がれば? 一局打とう」
塔矢は、静かに頷くと、玄関に入ってきた。
ちょうど自分も飲みたかったから、コーヒーを淹れることにした。
フィルターを折りたたんでいると、不意に思い出される。
インスタントしか知らなかった俺に、コーヒーの淹れ方を教えてくれたのは塔矢だった。
そうだよ。このコーヒーセットは塔矢の引っ越し祝いだった。
「進藤……」
塔矢が口を開いた。
俺は軽量スプーンで粉を計りながら「なに」と答えた。
「君と…一緒に暮らしたいと言ったら、考え直してくれないか?」
「考え直すって?」
無意識に尋ねていた。
だが、いくら待っても返事がないので、俺は後ろを振り返った。
そして……、少し驚いた。
切れ長の瞳が潤んでいる。
塔矢の泣き顔なんて……初めて見たよ。
955ウツクシキコト 6:02/07/09 17:58
「座れよ」
俺は勢いよく湯気を上げるケトルをレンジからおろすと、粉の周りから注いだ。
「俺もさ、あれから考えたけど、結局同じことの繰り返しになると思う。
この部屋借りたときはさ、正直おまえと暮らしたいと思ってた。
おまえ、一緒にいてくれるって言ったからさ、暮らしてくれると思ったしね」
ホント、あの頃が一番楽しかったな。
俺は頭悪いからさ、スゴイ物事を単純に考えてた。
塔矢先生は引退後、北京チームと契約してるから、長期に渡って家を空けることが多い。
先生不在の間、塔矢一門をまとめるのは息子の塔矢と緒方先生って感じになる。
塔矢のお母さんも、先生に同行することが多いからさ、どうしても塔矢は家を離れるわけにはいかない。
一緒に暮らせると思ってたんだ。
塔矢も、二つ返事で頷いてくれるって、信じてたんだ。
ホント、俺って馬鹿。
塔矢にそれはできないって言われてさ、俺結構不貞腐れてね。
でも、仕方ないんだよね。
塔矢には塔矢の人生があるんだから。
俺に四六時中かまっているわけにはいかないんだから。
下手にさ、期待してたから、ダメだって知ったときはスゴイがっかりした。
そんな俺を、我侭で欲張りだとか言いながら、それでも塔矢は時間が許す限りここで俺と一緒に過ごしてくれた。
一週間ぐらい泊まりっぱなしってことも、よくあった。
でも、下手に一緒にいたあとは、塔矢が帰ったあとが辛くってさ。
一人ぼっちだなって。
俺もいいかげんわかってるよ。
人間は、結局一人なんだって。
どこまで行っても、一人なんだって。
もうわかってるんだ。
でも、どうしても我慢できない夜があってさ……。

956ウツクシキコト 7:02/07/09 17:58
あれは、去年の5月4日だった。
塔矢の都合が悪くて、その日、俺は一人で過ごさなきゃいけなくて。
昼間はまだ大丈夫だったんだ。
夜になって……、テレビつけても、音楽かけても、ぜんぜんダメで。
寂しくて、寂しくて、気が狂いそうで。
塔矢に何回も電話かけたんだ。でも、あいつ電波の届かないところにいて。
もうこれはなにも考えずに寝たほうがいいだろうって、頭っから布団かぶって、羊を数えても全然眠れなくて。
お酒でも飲めば眠れるかなって、バイクで酒も置いてるコンビにまでいったんだよ。
そしたらさ、そこで偶然加賀とあったんだよね。
加賀が久しぶりだなって笑ってくれて、なんか成り行きで、加賀の家で酒盛りして。
酒の勢いで、気がついたらキスしてた。
塔矢とのキスしか知らなかったからさ、加賀の強引なやり方に目を白黒させてた。
加賀は塔矢より舌が長いみたいで、スゴイ奥まではいってくるんだ。
そのとき、加賀とエッチしたいって思った。
誰かが、自分の中にいるって感覚が、欲しかったんだ。
だから、自分から誘った。
塔矢に比べると、加賀は乱暴だったよ。
改めて、塔矢がどんなに自分を大切に扱ってくれているのか、よくわかったよ。
だけど、あのときの俺には、乱暴なぐらいでちょうどよかったんだ。
別に気持ちよくなりたいわけじゃない。
自分の中で脈打つ、自分のものではない存在。
それが欲しかったから、前戯もそこそこに加賀が入ってきたとき、痛みよりもほっとしたんだ。
ああ、これだって。
俺が欲しかったのはこれだって。
加賀は盛んに腰振ってたけどさ、それも俺にはどうでもよくって。
抜かずの三発だったかなぁ、長い間俺の中にいてくれたのが嬉しかった。
俺、疲れちゃってさ、やってる最中に眠っちゃったんだよね。
次の日、目を覚ましたら、失礼な奴だって、加賀に散々文句言われたけど。
その日も、加賀の家に泊めてもらった。
夜、また抱かれてさ。夢も見ないで眠ることができた。
957ウツクシキコト 8:02/07/09 17:59

それから。
それから、塔矢と過ごせない夜、どうしても我慢ができないとき、加賀に電話して抱いてもらった。
でも、加賀だってそんなにヒマしてるわけじゃないからさ、都合のつかない夜があって。
そういうときは、和谷の部屋に遊びに行った。
だからって、和谷を誘うわけにはいかないからさ。
ただ、碁を打って時間を潰してたんだけど、帰り送ってくれた冴木さんに軽い気持ちで泊まっていってと頼んだら、なんか気がついたらそういうことになっていた。
セフレっていうの?
体だけの関係。加賀や冴木さんの他にも何人かいる。
俺ね、いま一番好きなのは、やっぱり塔矢だと思うんだ。
だけど、塔矢がくれないものを、他の人に求めるのはしょうがないと思うんだ。
塔矢を俺に縛りつけるわけにはいかないじゃん。

「一緒に暮らしても、ダメだよ」
俺は正直に言った。
「塔矢に無理させたくないしね。タイトル戦とかゼミナールとかで、お互い家を空けることがあるじゃん。
あるっていうか……そういうの増えてるし、これからも増えてくだろ? そうでなきゃ、困るもんな。
一緒に暮らしても、ずっと一緒にはいられないんだ。同じことだ」
少し掠れた声で塔矢が言った。
「進藤……、僕の気持ちはどうなるんだ?」
塔矢は本当に俺を思ってくれている。
それは凄くありがたいと思うよ。でもね……。
「塔矢の気持ちは、塔矢のもんだ。俺にはどうすることもできないよ。
それにさ……、遅かれ早かれ、俺たちは分かれるんだし。
それなら早いほうが、お互い傷も少ないよ」
「遅かれ早かれ?」
「そう。おまえ、"塔矢アキラ"だもん。いずれ誰かと結婚して、家を継がなきゃ……。
大丈夫。すぐ忘れるって。おまえもてるからさ、可愛い女の子がすぐ現れるよ。
ほら、将棋の羽生さんみたいにアイドルと結婚したりしてさ」
俺は精一杯明るく言ったつもりだ。
それなのに、塔矢は両手で顔をおおって、テーブルに肘をついて深く息を吐き出した。
958ウツクシキコト 9:02/07/09 18:11
「君は……」
塔矢の声が震えてた。
「……僕の気持ちをその程度と思ってたわけだ」
抑揚のない声だった。
「その程度って……」
「いずれ移ろう、あやふやなものだと思ってたんだ」
「塔矢、しょうがないよ。永遠なんてないんだ」
「僕は望んでいる」
「望んでも届かないものはある」
「僕は、君を望んだ。同性であることに何度も絶望したけれど、曲がりなりにも手に入れた。
望めば叶うんだ。僕はそう信じている」
「永遠も?」
「永遠を―――」
「永遠なんて…ないんだよ、塔矢」
俺は立ちあがった。
「塔矢、一局打とう。俺が教えてやるよ。永遠なんてないことを」


タイトル戦でもない。ギャラリーもいない。
そんな一局に、俺も塔矢も全精力を傾けた。
序盤から、しのぎを削る攻防が盤上で展開された。
勝負は、半目差で塔矢が勝った。
俺は、呟いた。
「いい一局だったよな」
「そうだね」
塔矢も満足げに応えた。
俺は苦笑を浮かべると、両手で碁石を崩した。
「でも、残らないんだ」
塔矢が、目を見開いて、俺の顔を見つめる。
「こんなに複雑で面白い対局、そうそうないよな。でも、残らないんだよ」
「僕が覚えている。君が覚えている」
「棋譜に残せば永遠なのか? そこに、俺とおまえの今の想いは刻めるのか?」
「塔矢が黙った。
「永遠なんてないんだ」
(でも、僕は忘れない。君だって忘れないだろう」
「でも、いずれ俺たちも死ぬんだ……、なにも残らない」
そう、人間は、誰もが死んでいくんだよ。
寂しいことだけどね。
ウツクシキコトたんキタ━━━━━━\(゚∀゚)/\(゚∀゚)/━━━━━━ !!!!

最初は加賀タイ━━━━||Φ|(|゚|∀|゚|)|Φ||━━━━ホ!!!!!!などと
セクース依存症気味な哀しいヒカルたんに(;´Д`)ハァハァしつつ
スリル満点な展開を楽しんでいたんだが、
徐々に真顔になって読んでますた…。凄い。続きが楽しみで仕方がない…。
スゴクヨカッタ( )━(T )━(ДT )━(TДT)━(TДT)━(TД)━( T)━( )━━━━━━!!
うわ、切ねぇなあ…だが、だがな、ヒカルたん。
あぁあ、アキラに代わってキミに言ってやりたいことがあるぞ!
だが今は続きを激しく待つ。
962再生:02/07/09 20:27
ヒカルが目を覚ました時、アキラはもういなかった。
時計を見るともう昼近い。
慌てて飛び起きた。
小さなテーブルの上に、コンビニの袋とメモ書きが置いてあった。

――――仕事があるので出かけます。
    八時までには帰れると思う。
    もし、今日予定がないのなら待っていて欲しい。――――

袋を逆さまにひっくり返した。
テーブルの上に、パンとジュースが幾つも幾つも転がった。
「ちょっと買いすぎだぜ。いくらオレでもこんなに食えるわけねェじゃん。」
あきれながらも、顔が自然と笑ってしまう。
サンドウィッチの封を開け、一切れ頬張った。
自分が空腹だったことに、初めて気がついた。
「塔矢…ありがと…ごめん………」
もう一つ口に放り込んだ。
ジュースと一緒に、飲み下した。

963再生:02/07/09 20:28
アキラが戻った時、ヒカルはちゃんとそこにいた。
ホッとした。
もしかしたら…と思っていたから。
「おかえり」
昨夜とはうって変わった明るさで、ヒカルがアキラを出迎えた。
「ただいま」
アキラも笑顔で応えた。
ヒカルは昨日のことを何も話さない。
アキラも聞かなかった。
ヒカルが側にいる……それでいいと思った。

「塔矢…好きだぜ…」
突然、ヒカルが抱きついてきた。
どうした?と、言いかけたアキラの唇を自分の唇で塞いだ。
ヒカルの指がアキラのシャツのボタンを外し始める。
アキラは狼狽えた。
ヒカルから求められるのは初めてだった―――――。
964再生:02/07/09 20:29
玄関の前にヒカルを見つけた時は、本当に驚いた。
昨日の今日で、どうして会いに来る気になるのか理解できない。
どれくらい待っていたのだろうか。
心細げに立つ頼りないその姿は、いつものヒカルとは別人のように儚げだった。
「あ…先生…」
緒方の姿を見つけて、ヒカルが笑いかけた。
「お前…いつからいたんだ?ずっと待っていたのか?」
「んっと、二時間くらい…」
とにかく入れと、ヒカルを部屋に押し込んだ。

何しに来たんだ――――――――――
そう言いたい気持ちをぐっと堪えた。
ヒカルは、水槽を静かに見つめていた。
「魚―――本物なんだね…」
「あぁ――好きなのか?」
そう言えば、棋院でも水槽を眺めている姿をよく見かけた。
ヒカルは答えずに、ただ笑っただけだった。

何をするわけでもなく時間だけが過ぎていく。
静かで優しい空間がここにあった。
「先生―――オレ、帰るよ。」
まったく……!何だ、こいつは…?
突然来て、突然帰るなんて…。
だが、不思議と怒る気にはなれない。
とても心地よい時間だったから。

「待てよ―――進藤。これ――」
緒方が机の引き出しから、何かを取り出した。それをヒカルに投げる。
手の中の物を見てヒカルは驚いた。
「――――!先生…これ…」
「持ってろ。玄関の前で何時間も待たれてはかなわんからな。」
965ウツクシキコト 10:02/07/09 20:33
塔矢は静かに腰を上げた。
つい、いつもの台詞を口にしてた。
「帰っちゃうんだ?」
中腰の姿勢のまま、塔矢の体が固まる。
まるで……信じられない生き物を見たような眼で、俺を見下ろしている。
そりゃ、そうだよな。別れを切り出したのは俺だ。塔矢は鍵を返すのを口実にやり直そうと言ってくれた。
そんな塔矢の気持ちを、たったいま粉微塵に踏み潰したのは俺なのに、甘える言葉を吐いていた。
「ごめん」
俺は、塔矢の視線から逃れるように顔を背けると、小さな声で謝っていた。
「クソっ!」
塔矢が短く叫んだ。
「残酷だよ!」
塔矢はそう言いながら、僕にしがみついてきた。
どっちの足が蹴ったんだろう。碁盤が裏を見せている。まだ碁笥に戻していなかった碁石が辺りに散らばる。
そのなかで、俺は塔矢とキスをしていた。
乱暴な、噛みつくような、痛いキス。
頬に熱い雫が落ちた。
俺んじゃない。塔矢の涙だ。

こいつは、時々こんな感じで感情を爆発させる。
ああ、また怒らせちゃったな…って、俺は少しだけ悲しくなる。
塔矢が「好きだ」と言ってくれたとき、「同じ気持ちだ」って、俺は答えた。
でも、全然同じ気持ちじゃなかったんだな。
塔矢は、こんな切羽詰った声を出すほど俺を想ってくれたのに、俺はどうしてもやり直す気になれない。
寂しいよ。悲しいよ。
いまだってさ、また一人になるんだって思ったから、咄嗟に引きとめるような言葉はいたんだと思う。
それでも、しょうがない。
いずれ別れなきゃいけないんだ。
それが今だからって、大差ないじゃないか。
966ウツクシキコト 11:02/07/09 20:34

いつもなら、塔矢とキスしているだけで、体が熱くなってくるんだけど、今日はそんな感じじゃない。
加賀としてる感じ。
塔矢の舌が、俺の口の中で暴れてる。
息が苦しくなる。むちゃくちゃで、リズムが読めなくて、息継ぎのタイミングがわからない。だから、苦しくなる。
塔矢の手が性急に動き、俺の服をはいでいく。
酸欠でぼんやりしながら、後ろ洗ってないのに、このままやっちゃうのかな…って、他人事のように考えていた。
俺の唇を貪りながら、塔矢はベルトをカチャカチャ言わせてたけど、今日はがっちりしたバックルの奴だから、片手間では外せないようで、塔矢が顔を離した。
チュパって、音がしたのはせめてものご愛嬌。
俺は呼吸を整えながら、目でコンドームを探した。
塔矢は、上半身起こして、バックルと格闘している。
滑稽だよな。
別れた途端、塔矢は俺を乱暴に扱うんだ。
でも、そのほうが気持ちは楽かもしんない。
「塔矢」
俺は自分から、腰を浮かしてジーンズが脱がしやすいように塔矢を助けながら、声をかけた。
「コンドーム、そこの財布に入ってるから」
もう、いいよね。もう取り繕う必要もないよね。
「コンドーム?」
「俺、後ろ準備してないからさ。使ったほうがいいよ」
俺は畳の上に仰向けになってねからさ、逆光になって塔矢の表情はわからなかった。
「君は、そんなものを…財布に入れて持ち歩いてたのか」
うん、まあ…そういうこと。
塔矢とはね、一回しかコンドーム使ってない。
他の連中とやるときは、大丈夫だとは思うけど、病気もらってさ、塔矢に移すわけいかないじゃん。
だから、いつもゴム使ってた。
いまは、なんつーかね、ついたら悪いし。
「君は…いいのか……」
塔矢が低い声を聞かせる。
「いいって?」
「僕は、君を強姦しようとしてるんだ」
「え、そうなの?」
なんか、塔矢って時々突拍子もないことを口にして、俺を驚かせる。
967ウツクシキコト 12:02/07/09 20:34
強姦ねえ。
いままで散々やってきたことだし、それに俺、別に嫌じゃないし。
俺がきょとんとしている隙に、塔矢は俺の上から体を起こした。そのまま立ちあがり、リビングへと歩いていく。
その肩を落とした後姿が、あまりに寂しげで俺もつられて体を起こした。
服を直して立ちあがり、後を追うと、ガチャンと玄関のほうから、ドアの閉まる音がした。
椅子の背に、塔矢のジャケットを見つけなかったら、それ以上後は追わなかったと思う。
でも、俺は知ってるから。
塔矢がジャケットに財布を入れるのが習慣だって。
俺はジャケットを掴むと、慌てて塔矢の後を追った。
近所迷惑を顧みず、エレベータホールまで一気に走ったけど、間に合わなかった。
おそらく塔矢を乗せているだろう箱は、もう二階下にいる。
俺は、不思議なぐらい焦っていた。
いま、ここで塔矢に会わないと、後悔しそうに思えて、非常階段を前その力で駆け下りた。
「塔矢!」
エントランスで叫んだ。
返事どころか姿もない。
緩やかなスロープから通りに出て、また叫ぶ。
「塔矢!!」
塔矢は車道を横断しようとしていた。
「塔矢!」
まるで酔っ払いみたいに、足元がふらふらしている。
かなり心臓が苦しかったけど、もう少しだと、自分に発破をかけて、また走る。
そのときだった。
向こうから、大型トラックが姿を現したのは。

「塔矢――――――――!」

何がどうなったのかは、わからない。
ただ、全身に感じた衝撃と、植えこみに突き飛ばされたまま、呆然と俺を見つめている塔矢の白い顔が、印象的だった。
「ヒカル?」
こういうときだけ名前呼ぶのは、反則だよな。

――――ヒカル

俺の脳に直接語りかけた、あいつのことを思い出す。

――――――――ヒカル……

2年間、俺の中にいた奴。
いつまでも、ずっと一緒にいられると思っていたのに……。
突然姿を消した……佐為。

ヒカル!

佐為、俺……もう一度おまえに会いたいよ。
968ウツクシキコト:02/07/09 20:39
まだ続くんですが、この先は次の山猫で。
次は、もう少しエロくしたい……。

なにっ!!次の山猫かYO!

多感な時期を佐為と一緒に過ごしちゃったんだもんなぁ。
一人の夜は寂しいだろうなぁ。ヒカルたん・゚・(ノД`)・゚・。
ウツクシキコトたん、いいところで切ってくれて…(TДT)
次のヤマネコでつかっ?! エロ200%増量なんでつねっ!?
待って待つ…ヒカルたん(;´Д`)ハァハァ…
971ウツクシキコト:02/07/09 20:53
うわっ、再生たんがキタ━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━!!!!!
どーしよー、俺続けてうpしちまった……。

この兄貴とヒカルの遣り取り、メチャクチャ好きなんすよ。
ゆったり、時間が流れる感じ。
呼んでて、癒されるんですよね。ゴチです。
ちょっ…、ここで続くかよΣ(゚Д゚)
再生たんと美しき事たんが連れ立ってキタ━━━━( ´∀‘)σ)Д‘)━━━━!!!!

微妙なヒカルたんに合鍵渡す兄貴………合鍵貰ったヒカルたん(;´Д`)ハァハァ
ウツクシキコトたん、次の山猫ってまじで? …デジマ?マジデジ…
気になるー、危なっかしいヒカルたんから離れるな若先生ー
実篤タンキタ━(゚∀゚)━!!(違
だけどおあづけなのかハァハァ(*´Д`*)
975再生:02/07/09 21:15
家に電話をかけて、今日もアキラの家に泊まることを告げた。
そのままアパートに戻ったが、アキラはまだ帰っていないらしい。
合い鍵を使って、アキラの部屋に入った。
お気に入りの場所に座って、リュックを開けた。
今、ヒカルの手の中には二つの鍵がある。
一つはアキラの鍵、もう一つは―――
「緒方先生―――」
緒方の鍵に深い意味はないだろう。
それなのに、何故か後ろめたい気持ちになった。
緒方の側にいると安心できた――居心地がよかったから―――
二つの鍵を握りしめた手に、そっと口づけした。



メモに書いてあった通り、アキラは八時前に帰ってきた。
ヒカルの姿を認めると、アキラは優しく微笑んだ。
その瞳は、ヒカルの顔を愛おしげに見つめている。
それが、ヒカルを落ち着かない気分にさせる。
何だかそわそわして、ヒカルは妙にはしゃいでしまった。
理由は、自分でもよくわからない。
やましい気持ちがあったからかもしれないし、
これ以上、アキラに心配をかけたくなかったからかもしれない。
アキラは、もう、ヒカルに昨日のことを聞こうとしなかった。
ヒカルが話す他愛ない話を微笑んで聞いてくれる。
アキラの優しさが胸に痛い。
ズキズキと疼く胸の中に、別のものが混じっているのを感じた。
急にアキラが愛しくて堪らなくなった。

976再生:02/07/09 21:16
ヒカルの手がアキラの胸をはだけさせ、もどかしげにズボンのファスナーを下ろした。
「し…進藤……?」
戸惑っているアキラを無視して、ヒカルは自分も服を脱ぎ始める。
そして、アキラを押し倒すと、その首筋や胸に舌を這わせた。
「ん…!しん…ど……」
ヒカルの与える刺激に、アキラ自身が反応する。
ヒカルは躊躇うことなくそれを口に含んだ。
愛おしげに懸命に舐めている。
その姿が、視界にぼんやりと映っていた。
アキラは眉根を寄せて、快感に耐えていた。
ヒカルの愛撫は稚拙で、たどたどしかった。
それでも、ヒカルはアキラを確実に高ぶらせていく。
いつもアキラにされていることを、懸命に辿っているようだった。
進藤―――ヒカルの名を呼ぼうとしたが、口からは吐息が漏れるだけだった。

どうして、突然こんなことをするのか――――――必死で考えた。
だが、ヒカルの唇や舌が、それを邪魔する。
思考が途切れる。自分の吐く息が頭に響く。

「!」
荒く息をつくアキラにヒカルが跨った。
アキラはヒカルを止めようと、体を起こした。
が、それと同時に、ヒカルが腰を落としてきた。
「う…くぅ…」
必死にアキラを中に納めようとする。
「や…め…しんど…」
無茶だ!
ヒカルの準備は、まだ十分ではないはずだ。
ヒカルは目に涙をためている。それでも、やめようとしない。
どうして?進藤?
「あぁ…」
「うぅ―――――――」
ヒカルは、無理矢理、アキラを呑み込んだ。

977再生:02/07/09 21:16
一瞬、激しい痛みが背中を駆け抜けた。
その後、鈍い痛みになり、じわじわとヒカルを苛んだ。
涙が頬をつたった。
痛い……痛くて堪らない…
自分でもバカなことをしていると思う。
だけど、今、アキラが欲しかった。
どうしても、欲しかったのだ。

ハァハァと肩で荒く息を吐いた。
アキラも自分と同様に、胸が荒く上下している。
閉じられていたアキラの瞼が、ゆっくりと持ち上がった。
切れ長の美しい目が、ぼんやりとヒカルを捕らえた。
アキラの唇が、何か言いたげに微かに動いた。
ヒカルはそれを避けるように、目を閉じた。
そうして、ゆっくりと腰を動かし始めた。
ほんの少し動くだけでも、痛みが体中を駆けめぐる。
アキラの呼吸だけが、耳に届く。

「ん…あ…ぁあ……くぅ…」
「し…ん…ど……あ…んんン」
痛みを堪えて、ヒカルは動き続けた。
アキラも、それに合わせた。
やがて、ヒカルの中のアキラが、少しずつヒカルを圧迫し始める。
「あぁん…と…や…はぁん…」
「ん…ん…ああ…」
痛みより快感が体を支配し始めた。
アキラと一つになっていると思うだけで、気持ちが高ぶる。
ヒカルは、その感覚に陶酔した。
「と…や…好き…」
ヒカルにつられて、アキラの動きも早くなった。
少しでも早く、ヒカルを解放しようとしているみたいだ。

「あぁ…とうや……」
ヒカルは大きく息を吐いて、アキラの胸に倒れ込んだ。


978再生:02/07/09 21:16
「塔矢がどうしても欲しかったから…」
どうしてこんなことをしたのか?と言うアキラの問いに、
ヒカルはそう答えた。

ヒカルはぐったりとして、息をするのも面倒だと言わんばかりだ。
ヒカルの汚れた顔と体を、濡れたタオルで奇麗に拭いた。
傷ついた下半身に触れると、ヒカルが僅かに身をすくませた。
本当は、奇麗に洗った方がいいのだが…。
アキラがそう言うと、ヒカルはふらふらと立ち上がった。
アキラに支えられて、浴室に入った。

体を洗っている間も、ヒカルはまるで人形のようだった。
いつもは嫌がる行為にも素直に応じた。

進藤――――

ヒカルを寝かしつけた後も、アキラは眠れなかった。
アキラの目には、ヒカルが自分で自分を傷つけているように見えた。
そう…まるで罰を与えているかの様だった。
良くない考えが頭を過ぎった。
それを振り払おうと、軽く首を振り、そっとベッドから抜け出た。
アキラは水を飲みに台所へと立った。
ふと見ると、床の上にヒカルのリュックが無造作に置かれている。
持ち上げた時、外付けのポケットからキーケースが転がり落ちた。
慌ててそれを拾い上げた。蓋が開いている。
鍵は三つ。
見覚えのある鍵が、二つあった。
一つはこの部屋の鍵――――もう一つは―――――!
アキラの胸に靄のような不安が広がった。

979交際:02/07/09 21:19
ウツクシキコトタン
気にせず、うpしる!
どんどん、どんどん続けてくれ。
オレも気にせず、うpしたいときにするよ。
再生タン!ヒカルたんは合鍵嬉しいのかな?
ううう、オガたんの一人称なんで、
ヒカルの気持ちすぐには見えてこない分、
ますます気になるんだよ―――!!!

ウツクシキコトたん
タイトルはもしかして万葉集かな?

戀ひ戀ひてあへる時だに愛しき言盡してよ長くと思はば

981980:02/07/09 21:27
言ってるそばから、再生タンが―――――――!!!!!
痛みに耐えるヒカルタン(;´Д`)ハァハァ ハァハァハァハァハァハァハァハァハァ
ああ、俺もヒカルたんにたどたどしく舐めてもらいてえ(;´Д`)ハァハァ
ああ、息苦しい。
キジョーイヒカルたんキタ?( ゚∀) (∀゚ )キタ!
もー辛抱たまらん!これからの修羅場を考えると益々(;´Д`)ハァハァー!
どーなっちまうんだヒカルたんと若先生……………と兄貴…。

ウツクシキコトたん、タイトルを頭に入れつつ読むとより趣深かったよ!
出典は俺も気になる。てか続きキャモーン(ノ*´Д`*)ノ ハァハァ
983交際:02/07/09 21:56
ヘタレさんや失楽さんは忙しいのだろうか・・・
来て欲しいけど、無理は言えないしな。
こうなったらホントに小説で1000ゲト狙うか。

>ウツクシキコトタン
長いのでウッキータンて呼んでもいいかな?
小猿みたいだからだめか?だめだな・・・
イメージぶちこわしだもんな・・・



984失楽園:02/07/09 22:09
すまんのう…。楽しみにしてもらってるんなら嬉しいし申し訳ないや。
でもなんか、今はそういう気分じゃないよぅ。
ヒカルたん綺麗すぎるな。ハァハァだよ。
985ウッキー:02/07/09 22:31
次の山猫もすぐだと思いますよ。読んでくれてありがdです。

>交際タン
ありがたく使わせていただきやす。

>失楽園タン
そ、そんなコと言わずに……って、無理強いできんし。

>980タン
ビンゴ!古文の時間に、愛しきって書いてウツクシキって読むのがスゴク不思議で。
大学史学科にしたんですけど、この句のせいですね。

へたれタンはまだかな………。



           
  ゝ;;;ヾ                イラッシャイマセゴチュウモンハ?
 ((;;;::(())________   /  〃ヾ▼ 
   ヾ;i|        /    (゚▽゚*)  
   |;;i|       /   / ,O  っ日
  l二二l    /   /   |  |〜
   i;;;;;;;;i   /     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 
.       ━| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 
        ┬┐                 
        ┷,,|      


   ▼〃ヾ     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   (*゚▽゚)  < キョウハアツカッタナァ…
  (フっソ \_   \________
   しlニニlしノ
    /」_|
    台 台


      彡ミ 、    ∩∩
    ヽ彡I/ミ[] /||||"(・x・)
     i"ヽII   |(゚ー゚*)||    ホントウニアツカッタネエ
     []  II  /丶/\
       '⊂「 ||||||||||'\
         \|/  .|/ミ
           |__|
           U U
ヒ、ヒカルたん、夏色ポスター撮影会にいってきたのかい?(;´Д`)ハァハァ
かき氷でも一緒に食べないかい。
うおっ!?
浴衣姿でヒカルたん登場かい?
そんな脱がせやすいものをこのスレに着てくるとは、
ヒカルたん勇気あるなー(カンシン カンシン
ほな、さっそく…ヒカルたん(;´Д`)ハァハァ…

   ▼〃ヾ
   (*゚▽゚)(祭) ハッピモアルヨ
    |祭. ,っY
    |_ |
 〜~uu~

 ▼⊂ヽ   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 (゚▽゚)ノ < ソロソロ1000カ?
 (|  |    \_____
〜|  |
  ∪∪
スレの無駄使いしちゃいかんと思いつつも、もう我慢できーん!!!!
ヒカルたん可愛い!!可愛過ぎるよ!!!!!ぬおおおおお背中の「祭」見せてるのが
たまらーん!!!ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)=3

   ▼〃ヾ
    (*゚ー゚)     ジャンプデモヨムカー
   /っi⌒l⌒lO
 〜(O ⌒つ
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>993
ゴルァ(゚Д゚)!! 今まではんけち噛み締めて堪えてたオレの立場はどーなるんですか!?
でも全文禿同だ!!たまらんムッハー(*´Д`*)

          ♪
       ♪
 ♪    ▼〃ヾ   
      (*゚▽゚)⊃  アリガd♪
   ヽ⊂  丿    
    ⊂ _  /     
       し
黙って見守る大人たち…。
   ▼〃ヾ  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   (*゚▽゚) <  ジーャンプ♪
 _/ つ/つ  \_____
 ~て ) _)    ___
  ∪ ∪    て  ~)   クルリンコ
 ////     ⊂  /   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ωω      (''  ) <  クルット♪
           ▼▼    \_______
              ,,_
             ⊂, \⊃ ベチャ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
               \▼〃ヾ  <  フギャッ!?
               ⊂(*゚Д゚)つ))  \______
 …シッパイシッパイ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄
  ポ  〃ヾ▼  ポ
  ン  (゚▽゚*,) . ン
   (´;) U,U )〜 (;;).
(´)〜(⌒;;UU (´ )...〜⌒(`)

|    イマダ!
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄
 ヒョイ ,  ▼〃ヾ
   ( _(*゚▽゚)     ミ  ___
  ⊂___,.つつ      て.  ) クルリ
彡               ⊂  .ノ
               ("  )          ▼〃ヾ     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
.               ▼▼ 彡       (*゚▽゚)  <   1000ゲト!!
                           /  ,つ    \_______
                          〜、 ノつ  スタッ !
                           .(/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
10011001
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。