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学生さんは名前がない:
北朝鮮に拉致された日本人数名がピョンヤンに連れて行かれた。
数日間、狭い部屋に押し込められたが、食事は3度出てきたし、
見張り役の男も日本語が上手な人のよさそうな男だった。
しかし、日本人たちを不安にさせたのは、自分たちがピョンヤンに
到着した直後から、街の遠くから太鼓の音がずっと鳴り続けている
ことだった。
何故なら見張り役の男に最初に聞いたときに
「あのドラム心配ない。あのドラム止むとすごくまずい」
と答えたからだ。
毎晩毎晩ドラムは続いた。毎晩見張り役の男は繰り返した。
「ドラム心配ない。ドラム止むとすごくまずい」
そしてある晩、ついにドラムの音が止んだ。
見張り役の男は真っ青になった。
「ドラム止んだ。すごくまずい」
「何がまずいんだ?」
日本人の一人がたまらず尋ねると、見張り役の男は答えた。
「ドラムが終わったら、ベース・ソロが始まる」