あたらしい憲法のはなし
六、戦争の放棄(
http://www.nginet.or.jp/box/newkenp.htm#sect6)
みなさんの中には、今度の戦争に、おとうさんやにいさんを送りだされた人も多いで
しょう。ごぶじにおかえりになったでしょうか。それともとうとうおかえりにならな
かったでしょうか。また、くうしゅうで、家やうちの人を、なくされた人も多いでしょ
う。いまやっと戦争はおわりました。二度とこんなおそろしい、かなしい思いをし
たくないと思いませんか。こんな戦争をして、日本の国はどんな利益があったでしょう
か。何もありません。ただ、おそろしい、かなしいことが、たくさんおこっただけではあ
りませんか。戦争は人間をほろぼすことです。世の中のよいものをこわすことです。だか
ら、こんどの戦争をしかけた国には、大きな責任があるといわなければなりません。この
まえの世界戦争のあとでも、もう戦争は二度とやるまいと、多くの国々ではいろいろ考え
ましたが、またこんな大戦争をおこしてしまったのは、まことに残念なことではありませ
んか。
そこでこんどの憲法では、日本の国が、けっして二度と戦争をしないように、二つのこ
とをきめました。その一つは、兵隊も軍艦も飛行機も、およそ戦争をするためのものは、
いっさいもたないということです。これからさき日本には、陸軍も海軍も空軍もないので
す。これを戦力の放棄といいます。「放棄」とは、「すててしまう」ということです。し
かしみなさんは、けっして心ぼそく思うことはありません。日本は正しいことを、ほかの
国よりさきに行ったのです。世の中に、正しいことぐらい強いものはありません。
もう一つは、よその国と争いごとがおこったとき、けっして戦争によって、相手をまか
して、じぶんのいいぶんをとそうとしないということをきめたのです。おだやかにそうだ
んをして、きまりをつけようというのです。なぜならば、いくさをしかけることは、けっ
きょく、じぶんの国をほろぼすようなはめになるからです。また、戦争とまでゆかずと
も、国の力で、相手をおどすようなことは、いっさいしないことにきめたのです。これを
戦争の放棄というのです。そうしてよその国となかよくして、世界中の国が、よい友だち
になってくれるようにすれば、日本の国は、さかえてゆけるのです。
みなさん、あのおそろしい戦争が、二度と起こらないように、また戦争を二度とおこさ
ないようにいたしましょう。