●おまえら男ならヒカルたんハァハァだよな?part2●

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570光明の章
とある火曜日、森下九段の研究会に参加するためヒカルは日本棋院を訪れた。
上へ昇るエレベーターが開き、いざ乗り込もうと前へ一歩踏み出した時、
エレベーターの中にいる人物がこちらを凝視している事に気付いた。
「・・・塔矢」
今一番会いたくない相手との思いがけない再会に気が動転したヒカルは、
反射的に思いっきり後ずさりしてしまう。そのあからさまな行為にひるむことなく、
アキラは鋭い眼差しのままヒカルの前に進み出た。
アキラの右手が静かにあがり、ヒカルの左頬に触れる。
びくっと体を硬直させるヒカル。
アキラはその時、初めて表情を変えた。
ヒカルを哀れむように目を細め、自責からか唇を真一文字に噛み締める。
頭の中では、ヒカルが自分を避けるのも当然の結果だと理解していたものの、
いざ怯えるヒカルを目の当たりにしてみるとかなりショックを受けている自分に気付く。
「・・・・」
アキラは素早くヒカルから手を離し、何も言わずにその場から立ち去った。