●おまえら男ならヒカルたんハァハァだよな?part2●
暗い部屋の中でヒカルは考え込んでいた。
(塔矢は、緒方先生と?)
同じ年齢とは思えない慣れた手つき、躊躇いのない所作。
(塔矢、塔矢)
繰り返し頭の中で名前を呼んでみる。
「熱っぽい」と言って母親に飲まされた風邪薬が効いている。
棋院の中で見た、自販機から滑り落ちてくる煙草のパッケージ。
赤い色。
不意に塔矢の部屋の空気が蘇る。
「・・・・・・・、」
ゆっくりと呼吸が荒くなる。そっとジャージをずらし手を滑り込ませる。
中学生のヒカルにとっては半ば習慣のような行為だが、今日は思い描く対象が
違っていた。
シャワーを浴びた後の肌の温もりと、為すがままだったあの夜。
無意識に親指の爪をかじる。
「は・・・・・っ」
大きく呼吸をし、身体を捩る。
肩口に掛かる塔矢の髪、火照った体とは対象的な冷たいシーツの感触。
目と目が合った瞬間思わず逸らしてしまった自分。
「塔矢、・・・塔矢・・・」
自分より少し背が高く、碁盤を挟んで鋭く睨んでくる同級生。
そいつと俺は・・・。
後の痛みに塔矢を思い出す。「・・・は・・・あ・・・っ」
塔矢の手の感触と自分の手を重ね合わせ激しく動かす。
「・・・・っ」
ベットが少し揺れた。