●おまえら男ならヒカルの碁のヒカル好きだよな?●

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633失着点
ヒカルは和室の部屋の壁にもたれて座り込んだ。何故か無性に腹が立った。
何に対して腹を立てているのかわからなかった。
元名人の息子。大きなタイトルが控えた有望の大物新人棋士。
そんな奴が、なんで、オレなんかに。
本気のはずがない。
しばらくしてキッチンに人が立つ気配があり、頭からタオルをかぶった
アキラが両手にティーカップを持って入って来た。
脱衣所に置いてあったのか白いTシャツにグレーのスウェットパンツを
はいていた。
「紅茶…、レモンもミルクもないから、砂糖だけ、適当に。」
そう言ってテーブルに置く。
「どういうつもりだよ。」険しい表情のままヒカルが尋ねる。
「何が?」ヒカルの方を見ないでアキラが答える。
「シャワーなんか浴びて…。」
「別に…。外から帰ったらシャワーを浴びて着替える習慣なだけだけど。」
「オレ、…帰る。」
「そう。」
ヒカルがゆっくり立ち上がり、アキラも立ち上がる。
玄関に向かおうとしたヒカルの背中にアキラの言葉が投げかけられる。
「進藤、」
ヒカルは立ち止る。
「進藤、…ボクは後悔しない。君とのことは、何一つ後悔しない。」
次の瞬間、振り返ったヒカルの唇は再度アキラの唇を捕らえ、もつれ合う様に
二人は抱きあい、ベッドの上に倒れこんだ。