男でも唇は柔らかいんだなと思った。
アキラと初めてキスをしてヒカルはそう感じた。
あかりの唇も柔らかかった。でも少しヌルッとしていて、柑橘系の人工的な
匂いがした。リップクリームのせいだった。
アキラの唇は何の匂いもしない、肌の味。でもなぜかとても甘かった。
触れた時の感触を楽しむようにヒカルは何度もアキラの唇に自分の唇を重ね、
離してはまた重ねた。
キスってこんなに何回もするもんじゃないと思っていた。
あかりとの時も、一回きりですぐにあかりが部屋から出ていってしまったし、
何だか照れくさくて自分も追わなかった。
でも今は、他に誰もいない碁会所の中で、ヒカルは行為を繰り返した。
アキラの両肩を掴む手に次第に力が入っていく。
「ん…。」
「ご、ごめん…、」
アキラが痛がったと思い、ヒカルは手の力を緩めアキラから顔を離した。
すると今度はアキラがヒカルの頭に手をまわして来て
もう一度自分とヒカルの唇を重ねてきた。
ヒカルよりも強く。