392 :
名無しさん脚:
戦後のツァイス・イエナの品質が落ちたのは、1960年代の半ばに生産ラインが
イエナ工場からアイスフェルド工場に移されてから以降のこと。シリアルナンバーが
390万番台から400万番台にかかり始めた年式からボディの塗装がチープになり、
全体的な工作の手抜きが一目でわかる。とくに非道いのが戦前からの定番機であった
デルトリンテム(8x30)、ビノクテム(7x50)、デカレム(10x50)の各々に
「廉価版」としてライナップしたイエノプテム系で、基本的には同じ光学設計ながら、
イエノプテム系に使われているパーツの品質は悪く、工作精度もかなり低い。たとえば、
プリズムの台座は型抜きされたままの状態で、そこにプリズムを置いて上部を板バネで
固定しているだけなのがイエノプテム。本来のツァイス・イエナ製品のプリズム台座は、
きちんと旋盤でプリズムのサイズに挽かれた台座にプリズムがはめ込まれ、位置と直交を
調整した後に台座のリム部分を細い鏨で叩き、プリズムが動かないようにカシメてある。
そのカシメが十分に効くようにプリズムの側面には予め切り欠きがついている。だから、
そういった機種を分解するときプリズム押さえの板バネをハズしただけでは、台座から
プリズムはハズれない。ドライヤでボディを温めながらガラス材と金属の熱膨張の差で、
ようやく取りハズせるといった具合。イエノプテム系など、押さえの板バネを緩めれば
ポロリとプリズムがハズれる。そういった違いひとつをとっても、戦前から戦後にかけ
誇っていたツァイス・イエナの品質と工作の精度は「イエノプテム以降」には失われた、
と考えていい。問題は、前述のアイスフェルド工場に双眼鏡の生産ラインが移ってから、
イエノプテムのその“手抜き”が、以降のツァイス・イエナの「標準」となってしまった
ことだ。70年代、さらにツァイス・イエナそのものが消滅する直前の80年代の製品は
戦前からの定番機であろうがすべてにおいて、工程の省略が行われ品質が低下している。
その時代のツァイス・イエナで唯一評価されたのは、79年に登場のT3マルチコート。
そのコーティング性能の優秀さのみで、もはや二級品になり果てたツァイス・イエナ製品
全体の品質低下が見過ごされた・・・というのが本当のところ。
393 :
名無しさん脚:2009/05/29(金) 15:19:39 ID:The3wOPD
394 :
名無しさん脚:2009/05/30(土) 00:04:39 ID:OO8mD1nK
>>392 情報ありがとう。
出来ればいままで集めた双眼鏡の情報を載せたホームページ作ってくれませんかねえ。
愛好者が増えると思うんだけど。
395 :
名無しさん脚:2009/05/30(土) 00:57:41 ID:GuZdKA1J
>>394 愛好者が増えるとオクでの値段が上昇する。そうすると転売目的の方々が、
イーベイの相場を増々吊り上げるから、欲しいモノが手に入り難くなるわけで、
そこら辺が痛し痒し・・・といったところ。
396 :
名無しさん脚:2009/05/30(土) 05:54:27 ID:lnccoIwg
本当に好きな物の情報は外には出さない方が良い。
好きならば自分で調べるもの。
397 :
名無しさん脚:2009/05/30(土) 14:03:22 ID:OO8mD1nK
本当に好きな物の情報は伏せておけばいいけど、
例えばオーバーコッヘンのポロの評価とか不当に低いよね?
考え方は人それぞれだからいいけど、趣味もある程度突き詰めて行くと、
情報を記録したい/発信したい、という欲求も出てくるんじゃないかな?
まあ、墓場にまで持って行くよという人も居るだろうけど。
398 :
名無しさん脚:2009/05/30(土) 17:27:20 ID:GuZdKA1J
> 例えばオーバーコッヘンのポロの評価とか不当に低いよね?
同意。まったくそう思います。モノコートながらWESTツァイスの8×50Bや、
10×50Bは、今でもポロ型の「世界最高水準」といって良いレベルにあると思う。
それに比べれば、イエナのイエノプテムなどはまったく足下にも及ばないわけで。
399 :
名無しさん脚:2009/05/30(土) 18:55:15 ID:kT48y87o
否定はしないな。
もっとも、8〜10倍くらいの価格差があったわけだが。
(@1980年代の話)
400 :
名無しさん脚:2009/05/31(日) 10:39:48 ID:pzJw0MXd
最近のヤフオクでイエナの後期のモデルが結構な値段で取引されているのはどうかと思うね。
"使用感の少ない極上品"だなんて、当時から売れないで困っていた大量生産品の倉庫在庫が、
未だにイーベイとかで出回っていて、それを落札してきて転売屋さんが出品している。
潰れてしまったメーカーの製品だから修理もメンテナンスも受けられないし、それに比べて、
オーバーコッヘンなら年式によって部品交換までは無理だとして、少なくともクリーニングや
調整に関してはツァイス・ジャパンでちゃんと面倒を見てくれるよ。
まぁ、ツァイス・イエナのイエノプテムのクラスの機種は、元々が「メンテナンスしながらでも
何年でも使い続ける」といったレベルの双眼鏡じゃないけどね。
401 :
名無しさん脚:2009/05/31(日) 13:05:38 ID:FDkVYLUj
星空観察デビューで、ビクセンの
アルティマZ7×50
フォレスタZR7×50WP あたりで迷っています。
性能的にはほぼ同じだと思うんですが星空に適したのは
どちらか教えていただけませんか?!
402 :
名無しさん脚:2009/05/31(日) 17:45:16 ID:KMBABCyA
そういうことは天文・気象板で聞いた方がいいかと。
で、向こうの住民でもある自分が答えると、星像のシャープさはアルティマが上。
でも夜露に濡れることを考えると、フォレスタの防水性は魅力。
自分ならアルティマかな。アルティマは他の機種に比べてワンランク小さく
感じるし、重量も軽い。そういうのって使用頻度に大きく影響するんだよね。
使わないときはビニールか何かを上に乗せとけば夜露は防げるよ。
403 :
名無しさん脚:2009/05/31(日) 18:02:07 ID:FDkVYLUj
>402さん
初の書き込みで板違いだったようですみません。
とても参考になりました!感謝です
404 :
名無しさん脚:2009/05/31(日) 19:32:14 ID:G2hwlWYf
>>400 マジレス
イエナの双眼鏡なんて、ゴムかぶっているヤツ以外は
修理調整を受けてくれるところがあっちこっちにあるだろ。
思いっきりスタンダードタイプなんだから。
>>400 マジレス
イエノプテムとデカレム両方持ってるが、デカレムと見比べてそれほど劣るとは思わない。光学系一緒と言う話もあるしね。
イエノプテムの方が確かに作りがややチャッチイが、ガタツキがあるとか狂いが出やすいと言うほどの物ではない。
意識しなければ気がつかない、気にならない程度。
アウトドアでバードウォッチなどに何年も使ってるが無問題。
もちろん濡らしたりはしないように、雨が降ってきたらすぐに防水袋に入れるなどしている。
メンテナンスは特にしないが何年でも使い続けている。
あなたのはそんなにすぐに狂ったりしてメンテ必要なの?使い捨ての物なの?
>元々が「メンテナンスしながらでも 何年でも使い続ける」といったレベルの双眼鏡じゃないけどね。
と言うほどの低レベルの品ではないと思うよ。見え方も操作感も仕上げも全部。
むしろデカレムはオレンジ色のコーティングなので、物が青くかぶってしまう。
イエノプテムの方は、折れのは単層コートで色が自然だから、こっちをメインにしている。
これ見てデカレム見ると青くてイライラするから、そのうち売っちまおうと思う。
8×30、7×50、10×50、全部持ってるがどれも悪くない。
デカレムと比べてもね。見え方・操作感もすべて。
折れも全部の機種を比べた訳じゃないけど、何でそんなに評価低いのかわからない。
ヤフオクはほっとけば?
それ言うんなら使い物にならないルビーコートに噛み付きなよ。120倍ズームとかさ。
あ、喧嘩する気ないから、気に障ったらゴメンね。
406 :
名無しさん脚:2009/06/02(火) 02:00:06 ID:snUJ8m3x
>>405 せっかくなのでマジレスすると、
> イエノプテムとデカレム両方持ってるが、デカレムと見比べてそれほど劣るとは思わない。光学系一緒と言う話もあるしね。
> イエノプテムの方が確かに作りがややチャッチイが、ガタツキがあるとか狂いが出やすいと言うほどの物ではない。
イエノプテムとスタンダードモデルの光学設計は同一。レンズやプリズムは同寸なので、互換性もある。
これは、元々のスタンダードモデルが定評のある戦前からの光学設計なので、それを引き継いでいる。というか、
戦後のイエナで「新設計」のモデルは限られているので、基本的に倍率×口径が同じなら“光学系は一緒”だ。
したがって、イエノプテムとスタンダードモデルは大雑把に「見え味は同じだ」としても間違いではない。
両者の違いは主に、それぞれのパーツの作り込みや工作精度の差、耐久性、調整度・・・といったもの。
イエノプテムで、スタンダードモデルから省略されたりコストダウンがされた判りやすい部分は以下の通り。
1:左右の接眼レンズをつなげるアーム部がひと回り細くなっている。フォーカス回りの他のパーツも同様。
2:スリーブもワンサイズ細く、ボディに締め込むネジ部の防水性を高める“段付き”はない。
3:ピントの転輪、視度調整のディオプター目盛りの省略。
4:対物レンズの遮光フードの代わりに、第2プリズムの反射面を鉄板のフタで覆っている。※ イエノプテムの
後期では、さらにプラスチック製の遮光フードを採用してコストと手間を省略している。
5:迷光対策のための内部のスミ塗りやコバ塗りが、スタンダードモデルより雑。
6:対物レンズのエキセン環の緩み防止のネジを省略。
7:プリズムカバーや対物レンズ筐筒をボディに組み込む際の防水のため油土充填はされておらず、
プリズムカバーは、ビニールを裏打ちしてグリスで対応。※ 本来のスタンダードモデルはとくに
「防水」と謳っていないが、基本的に、浸水しやすい箇所すべてに念入りの処理を行っている。
「軽防水」は戦前からの本来のツアイス・イエナ品質といえる。
407 :
名無しさん脚:2009/06/02(火) 02:02:01 ID:snUJ8m3x
>>405 (つづき)
他にも、各部に使われているネジやパーツの品質の違いや、切削処理の違い、等々が見受けられるが、ある意味で、
イエノプテムは「(スタンダードモデルの性能を損なわずに)いかにして手を抜いてコストダウンするか?」の
上手なお手本みたいなもので、使う人間がそれで納得しているならば何ら問題はないのかも・・・。
> と言うほどの低レベルの品ではないと思うよ。見え方も操作感も仕上げも全部。
> むしろデカレムはオレンジ色のコーティングなので、物が青くかぶってしまう。
> イエノプテムの方は、折れのは単層コートで色が自然だから、こっちをメインにしている。
貴兄が比較しているのは、70年代のモノコートの「イエノプテム(10x50W)」と、80年代以降のマルチコートの
「デカレム(10x50)」。だから、コーティングの違いによる見え味の違いが、そのままイエノプテムと
スタンダードモデルの“品質の差”ではない。できれば、年式の近いモノコート同士、マルチコート同士で比べないと
作りの違い、品質の違いはわからないと思う。また、このことは先のコメントでも書いたことだけれど、
「アイスフェルド工場に双眼鏡の生産ラインが移ってから、イエノプテムのその“手抜き”が、以降のツァイス・イエナの
「標準」となってしまった」ために、マルチコートになりそろそろツアイス・イエナそのものの経営も傾き始めたころには、
スタンダードモデルにさえも上記の1〜8の“手抜きの手法”のいくつかが採用されているのも事実。
ディオプタ目盛りのないデルとかデカとか、塗装がチープになりいかにも安っぽい「1Qモデル」を出すようになって・・・
ツアイス・イエナは消滅したわけで。
気に入って使っているならば、それがどんな年式のイエナだろうがイエノプテムだろうが、他人がどうこうと口を出す
筋合いではない。気に触ったら申し訳ない。