営業幹部、増資部門に再三接触 野村証券情報漏れ問題
上場企業の公募増資をめぐって信託銀行などがインサイダー取引をしたとされる問題で、増資情報を事前に
漏らしていた野村証券の内部では、営業部門の幹部が、増資情報を扱う部門の社員と日常的に電話など
でやりとりしていたことが、関係者の話でわかった。
証券会社には、増資を扱う部門から営業部門に情報が漏れないようにする「チャイニーズ・ウオール(万里の
長城)」と呼ばれる仕組みがある。証券取引等監視委員会は、この仕組みが崩れて情報が漏れたとみて、
野村証券を特別検査している。
監視委の調べでは、野村証券は2010年、国際石油開発帝石と、みずほフィナンシャルグループ(FG)が
実施した公募増資の情報を、公表前に旧中央三井アセット信託銀行(現三井住友信託銀行)側に漏らし
たとされる。旧中央三井アセット信託はこの2件でインサイダー取引をした疑いで、監視委による課徴金勧告
の対象となった。
証券市場関係者によると、この2件で旧中央三井アセット信託側に情報を漏らしたのは、野村証券で国内
の機関投資家に株取引を持ちかける「機関投資家営業1部(現機関投資家営業部)」だった。