厚生労働省がまとめた「認知症に関する医療体制の構築に係る指針」が8日、
明らかになった。
在宅での治療を重視し、新規入院患者のうち50%が2カ月で退院できるような
体制整備を求めている。
都道府県が策定する来年度から5年間の医療計画に反映させる。
症状が疑われる初期の段階で認知症を発見して重症化を防ぎ、患者が自宅や地域で
暮らし続けられるよう措置するのが狙い。専門的な診断ができる中小病院や
診療所を新たに「身近型認知症疾患医療センター」に指定し地域の認知症治療の
拠点にできるよう「認知症疾患医療センター」を高齢者6万人に1カ所の割合で
整備する目標も掲げた。
認知症のかかりつけ医となれる診療所・病院は、介護支援専門員(ケアマネジャー)
などと連携し日常的な診察を行うことや、認知症と判断した場合に速やかに
専門医療機関に紹介を行えることを条件にした。
入院医療機関については退院支援部署を有することを打ち出し、在宅治療への
移行を促す。
厚労省は職場での鬱病や高齢化に伴う認知症の増加を踏まえ、医療計画に
盛り込む疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病)に新たに精神疾患を
加えることを決めている。介護を必要とする65歳以上の認知症患者は
2030(平成42)年に現在の約208万人から約353万人に増えると
予測され、指針の内容が焦点となっていた。